JP3858948B2 - スチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液重合法により透明性、耐候性、熱安定性及び耐溶剤性にすぐれたスチレン−メチルメタクリレート系共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン−メチルメタクリレート系重合体はメタクリル系樹脂の持つ優れた透明性、剛性、耐候性と美麗な外観に加えて、耐溶剤性、低吸水性、寸法安定性及び良好な成形性を備えており、低密度で取り扱い易く経済的な素材として看板、ディスプレイ、照明カバーをはじめ建築用資材や電気部品など多岐に亘って用いられている。さらに光学材料としても高屈折率や寸法安定性の点ではメタクリル樹脂を凌駕し、特に光学用シートの分野では近年賞用されている。
【0003】
従来、スチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造法としては一般に回分式の懸濁重合法や連続的な塊状重合法によるスチレン単量体とメチルメタクリレート単量体の共重合プロセスが採用されている。ところで懸濁重合法においては、回分操作であるため重合の進行度に応じて異なる組成の共重合体が生成し製品重合体の均質性が失われ、例えば屈折率の異なった重合体の混合物となり白濁が生じて透明性が損なわれる等の品質低下が問題となる。
【0004】
この対策として特開昭55−16015号公報には特定の組成範囲のスチレン及びメタクリル酸メチルからなる単量体混合物に対し、特定の重合開始剤と連鎖移動剤を加えて重合させる方法が示されているが、適用される重合体の共重合組成はアゼオトロープ組成付近の狭い範囲に限定される。また、特開昭57−153009号公報ではメチルメタクリレートの単量体転化率が80%以上に達した後、未反応モノマーを反応系外に部分的に除去しながらスチレンとの共重合を行う方法が報告されているが、未反応単量体の回収や重合体の精製の工程が複雑になり実用的でない。加えて懸濁重合法では使用される乳化剤や懸濁分散剤等の製品中への混入が避けられず、光学材料等の高純度の重合体が要求される用途には不適当であるほか、ろ過・洗浄・乾燥・排水処理という煩雑な製造工程を経るなど工業プロセスとしても問題点を残している。この懸濁重合法の欠点を改善する方法としては連続的な塊状重合法と溶液重合法が挙げられ、広範囲の共重合組成に亘って光学特性に優れた高品質の重合体が得られる重合プロセスとして注目されている。
【0005】
連続塊状重合法によるスチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造法として特公昭44−23506号公報には遊離基発生触媒を含む特定組成のスチレンとメチルメタクリレートとの単量体混合物をコイルパイプループ型反応器に連続的に供給し均一相重合させた後、重合反応生成物を抜き出し生成した共重合体を分離する方法が報告されている。しかしながら、この方法では「ゲル効果」と呼ばれる自動加速効果や重合反応生成物の粘度上昇のため、高い単量体転化率において重合反応を安定に制御しつつ連続運転を行うことは非常に難しく、60%程度の単量体転化率を維持するのが限界であり、未反応単量体の回収再使用と重合体の濃縮のための脱揮工程で多くのエネルギーを費やさねばならない上、その際重合体が熱履歴を受け着色や変性を起こしやすいという欠点がある。
【0006】
一方、溶液重合法によれば溶媒によって重合反応生成物の粘度が低下するため前述のゲル効果が抑制され、単量体転化率を高められることが知られているが、溶媒の使用量を最小限に留めないと重合反応生成物中の残存単量体は減少しても揮発分総含量としては塊状重合法と変わらず、揮発成分の除去に費やされるエネルギーも大差なくなり、かえって溶媒及び単量体成分の回収再使用の方法が煩雑になる等の問題点も抱えている。
【0007】
前述の特公昭44−23506号公報にも不活性な液体希釈剤を少量用いる溶液重合法が提案されているが、具体的な実例は示されていない。連続溶液重合法としては特開昭57−135814号公報にスチレンとメチルメタクリレートとの単量体混合物中にアルキルベンゼン類、脂肪族炭化水素、エステル類あるいはケトン類のような汎用溶媒と安定剤とを添加して複数の重合反応器で連続的に共重合させる方法が報告されている。
【0008】
しかし該公報で挙げられている溶媒は揮発性に乏しいものや重合体に対して必要以上に高い親和性を有するものであり、実用に耐える残存揮発分濃度0.3%以下のスチレン−メチルメタクリレート系重合体を得るためには重合反応生成物を通常、220℃以上、50mmHg以下の高温真空下で脱揮処理する必要があり、重合反応生成物を加熱昇温するための予熱器、真空装置及び揮発分蒸気の凝縮回収のためのコンデンサーにかかる負荷量が増大して経済的に不利な面も多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来法の上記のような問題点を解決し、高品質のスチレン−メチルメタクリレート系重合体を安定に制御された重合反応を経て経済的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定量のメタノールを溶媒として用いてメチルメタクリレート単量体とスチレン単量体を共重合することにより、高品質の重合体を安定に高生産性を維持しながら製造し得ることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、メチルメタクリレート35〜90重量%とスチレン10〜65重量%からなる単量体混合物を重合するに際し、単量体成分71〜97重量%に対し溶媒としてメタノール3〜29重量%を添加し、100〜180℃の重合温度で単量体転化率が55〜95mol%となるように均一溶液中で重合させることを特徴とするスチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法に関する発明である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において使用される単量体成分としては、メチルメタクリレート35〜90重量%とスチレン10〜65重量%からなる単量体混合物であれば特に制限はない。単量体混合物中のスチレン単量体濃度が65%を越えると生成する重合体のメタノールに対する溶解性が低下して均一溶液中での重合が困難になる。また、本発明の方法を実質的に遂行し得る範囲内で他の単量体を第三成分として添加することも可能である。第三の単量体成分としては、例えば、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン系単量体やメタクリル酸、アクリル酸、アクリロニトリル等を挙げることができ、その使用量は単量体の種類や性質、用途等に依存するが、通常該単量体混合物中の濃度は20%以下である。
【0013】
本発明において溶媒として用いるメタノールは以下の特長を有する。(1)スチレン−メチルメタクリレート系単量体成分を完全に溶解し、重合体に対しても100℃以上の温度で十分な溶解性を有するので広範な濃度範囲で重合反応生成物の均一性を維持でき、溶液重合の溶媒として適している。
(2)揮発性が高く100℃以下の低温ではスチレン−メチルメタクリレート系重合体をほとんど溶解しないので重合反応生成物からの分離が容易であり、脱揮後の重合体中の残存量もアルキルベンゼン等に比べて少ない。
(3)単量体成分に比べて沸点が低いことから重合反応器内で還流し易く重合発熱の除去が容易である。
(4)メタノールの添加により重合反応生成物の剥離性が増進し重合槽内壁や攪拌機、配管内へ重合体が付着し難くなる。この結果、重合反応生成物の不必要な滞留による変質劣化やヤケゴミ等による汚染も防止できる。
(5)メタノールの添加により重合体の着色が低下する効果も知られている。
(6)溶剤あるいは粗原料として工業的規模で大量生産されており、安価に入手可能である。以上の点からメタノールを溶媒とするスチレン−メチルメタクリレート系の溶液重合は従来からの塊状重合法やアルキルベンゼン等の溶媒を用いる溶液重合法と比べて重合槽1系列当たりの単量体転化率を高めることが可能となり生産性が向上するほか製造プラントの特に脱揮工程や揮発分回収工程の簡略化が図られ、この結果、経済的に有利にスチレン−メチルメタクリレート系重合体を製造できる。
【0014】
本発明ではメタノールを単量体混合物71〜97重量部に対し3〜29重量部の割合で使用することが重要である。好ましくは単量体混合物75〜96重量部に対し4〜25重量部の割合で用いられる。より好ましくは単量体混合物80〜95重量部に対し5〜20重量部の割合で用いられる。単量体成分が71重量%未満では生産性が低下し、97重量%を越えると重合反応生成物の粘度が増加して塊状重合と同様に重合を安定に制御することが難しくなる。
【0015】
本発明での重合温度は100〜180℃、好ましくは120〜175℃、特に好適には130〜170℃である。100℃未満の重合温度では重合体の溶解性が著しく低下して分離し易くなり重合反応生成物の均一性を維持できなくなる。一方、重合温度が上記180℃を越えると操作圧力が高くなり反応器の製作費が上昇して不経済であるほかオリゴマー類の生成量増加等により得られる重合体に着色などの変質劣化を招く。
【0016】
本発明において単量体転化率は55〜95mol%で、かつ未反応単量体濃度がメタノール濃度の0.5〜14倍となる範囲内で、重合体濃度が50〜90重量%、好ましくは55〜85重量%、さらに好ましくは55〜80単量%となるように設定される。未反応単量体濃度がメタノール濃度の14倍を越える場合および/または重合体濃度が50重量%未満である場合は揮発成分の除去と回収再使用の工程の負荷が増加して不利になる。また、未反応単量体濃度がメタノール濃度の0.5倍未満である場合および/または重合体濃度が90重量%を越える場合は重合液の粘度が増大して均一な撹拌混合が困難となる。
【0017】
本発明において重合反応を開始させ推進するためには加熱による熱重合のみでもよいが更に可溶性の重合開始剤を添加して反応を加速することも可能である。この場合適当な重合開始剤は重合温度で分解し活性ラジカルを発生するものであり、重合温度での半減期が0.01〜60分の範囲であればよいが、例えばジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−アミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−クミルパーオキサイド、tert−アミルクミルパーオキサイド、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−アミルパーオキシイソノナエート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物が挙げられ、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。該重合開始剤は予め単量体混合物中に均一に溶解されて重合反応器に供給され、該単量体混合物中の濃度は所定の単量体転化率及び重合度に到達するように決定されるが、通常0.005mol/l(0.15重量%)以下である。
【0018】
本発明においては重合体の分子量調節及び末端基の安定化のため連鎖移動剤を使用することも可能であり、例えば2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)、ターピノーレン等のオレフィン類、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン及びtert−ブチルメルカプタン等のメルカプタン類が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上組み合わせて用いても良い。該連鎖移動剤は予め単量体混合物中に均一に溶解されて重合反応器に供給され、該単量体混合物中の濃度は通常0.01mol/l(0.25重量%)以下である。
【0019】
本発明の方法においては重合反応生成物中に各種の添加物を予め添加しておくことも可能であり、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤及び帯電防止剤等を挙げることができる。例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールやブチル化ヒドロキシルトルエン等のフェノール系安定剤を使用することで、反応器の器壁や攪拌機への付着物がなく黄変度の少ない重合体が得られることも知られているが、メタノールを溶媒として用いることでこれらを添加せずとも黄色度YI値が低く、全光線透過率の高い光学特性に優れたスチレン−メチルメタクリレート系樹脂が製造可能となる。
【0020】
本発明の重合方法では単量体成分とメタノールに加えて必要とあれば重合開始剤及び連鎖移動剤等を予め調合して単量体混合物を調製した後、重合反応器に供給し所定温度で重合させる。使用される重合反応器としては完全混合される攪拌槽が一般的であるが、スタティックミキサー、スクリューや攪拌機を備えた横型反応器あるいは塔型反応器等を用いることも可能である。複数の重合反応器を直列に接続して段階的に単量体転化率を高めることもできるが、単槽乃至2槽の攪拌槽を用いるのが好適である。この重合反応生成物から溶媒及び未反応単量体等の揮発成分を除去し、残存揮発成分1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.3重量%以下のスチレン−メチルメタクリレート系重合体を得るのが通例である。揮発分の除去方法としては従来より用いられている各種の脱揮処理方法が適用できるが、重合反応生成物を減圧にした脱揮槽にフラッシュする方法あるいはベント押出機に直接供給する方法が一般的である。その際該重合反応生成物を熱交換器を用いて200〜250℃に加熱することにより脱揮しやすくするのが通例であるが本発明の方法によればメタノールの高揮発性により100〜200℃の低温で充分に脱揮できる。
【0021】
【実施例】
次に実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。ここで記された「部」及び「%」は全て重量部及び重量%を示す。以下の実施例において単量体転化率及び得られた重合体の物性は次の方法により測定した。
(1)単量体転化率はガスクロマトグラフィー(GC)により定量した重合反応生成物中の残存単量体量から算出した。
(2)全光線透過率(%)はASTM−D−1003に準じ、射出成形した厚さ3mmの50mm角試験片を日本電色工業製Z−Sensor Σ80を用いて測定した 。
(3)YI値はJIS−K7103に準じ、射出成形した厚さ3mmの50mm角試験片を日本電色工業製Z−Sensor Σ80で透過法により測定した。
(4)重量平均分子量Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いポリスチレン換算で測定した。
(5)得られた重合体に含まれる揮発成分はGC分析により定量した。
(6)得られた重合体を構成するMMA単量体とスチレン単量体の共重合組成は熱分解クロマトグラフィーにて定量した。
【0022】
実施例1
メチルメタクリレート54.9部、スチレン35.1部、メタノール10.0部及びジ−tert−アミルパーオキサイド0.004部を混合した後、窒素吹き込みによって溶存酸素を除去し原料液を調製した。熱媒を循環するジャケットとヘリカルリボン攪拌翼を備えた内容積6lの重合槽に予めこの原料液5kgを添加して密閉し、十分攪拌して均一混合状態を保ちながら150℃に昇温して単量体転化率75%及び重合体濃度67.5%に到達するまで重合させた後、該原料液を1kg/hの流量で重合槽に連続的に供給した。重合温度150℃、平均滞留時間5時間に維持することにより単量体転化率75%で安定に保たれ、重量平均分子量16.9万のスチレン−メチルメタクリレート系重合体67.5部、メチルメタクリレート14.4部、スチレン8.1部及びメタノール10.0部を含む重合反応生成物が生成された。この重合反応生成物を1kg/hの流量で連続的に抜き出しながらバレル温度230℃、ベント真空度10mmHgに維持したベント押出機(スクリュー径20mm)に供給して脱揮しながら押し出しペレット化した。得られたペレットは、残存揮発成分としてメチルメタクリレート0.10%及びスチレン0.16%を含み、メタノールは検出限界以下であり、無色透明で良好な外観を呈した。この重合体の物性は以下の通りである。
重量平均分子量(Mw) 169,000
全光線透過率 92%
YI 0.8
【0023】
実施例2〜6
実施例1と同様の方法により各種条件で重合し同様に脱揮処理して重合体ペレットを取得した。いずれの実施例でも重合反応は安定に制御され高品質の重合体が得られた。表1に単量体混合物組成、単量体転化率、重合反応生成物組成及び脱揮処理により得られた重合体ペレットの残存揮発成分、重量平均分子量(Mw)及び全光線透過率を示す。
【0024】
比較例1
実施例1と同じ装置を用い、メチルメタクリレート61部、スチレン39部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.007部を混合し、窒素吹き込みによって溶存酸素を除去し原料液を調製した。重合槽に予めこの原料液5kgを添加して密閉し、十分攪拌して均一混合状態を保ちながら、150℃に昇温して単量体転化率75%及び重合体濃度75%に到達するまで重合させた後、この原料液を重合槽に1kg/hの割合で連続的に供給を開始した。実施例1と同様に重合温度を150℃及び平均滞留時間を5時間に設定したが、重合槽内温度は145〜155℃、単量体転化率は75〜84%、重量平均分子量は175,000〜190,000で大きく変動し安定に重合を実施することができなかった。さらに実施例1と同様に脱揮処理したが、そのペレットの残存揮発分濃度は1.5%、全光線透過率91%であり成形材料として実用に耐え得る物性得ることはできなかった。
【0025】
比較例2
実施例1と同じ装置を用い、メチルメタクリレート54.9部、スチレン35.1部、トルエン10.0部及びジ-tert-アミルパーオキサイド0.004部を混合し、窒素吹き込みによって溶存酸素を除去し原料液を調製した。重合槽に予めこの原料液5kgを添加して密閉し、十分攪拌して均一混合状態を保ちながら、150℃に昇温して単量体転化率75%及び重合体濃度68%に到達するまで重合させた後、この原料液を重合槽に1kg/hの割合で連続的に供給し、重合温度を150℃及び平均滞留時間を5時間に維持した。重合条件は実施例1と同様にしたが、連続運転中に単量体転化率は75〜82%、重量平均分子量は145,000〜155,000で大きく変動し安定に重合を実施することができなかった。実施例1と同様に脱揮処理したが、重合体ペレットの残存揮発成分濃度1.2%、全光線透過率91%であり成型材料として実用に耐える物性を満足することはできなかった。
【0026】
比較例3
実施例1と同じ装置を用い、メチルメタクリレート54.9部、スチレン35.1部、エチルベンゼン10.0部及びジ-tert-アミルパーオキサイド0.004部を混合し、窒素吹き込みによって溶存酸素を除去し原料液を調製した。重合槽に予めこの原料液5kgを添加して密閉し、十分攪拌して均一混合状態を保ちながら、150℃に昇温して単量体転化率75%及び重合体濃度68%に到達するまで重合させた後、この原料液を重合槽に1kg/hの割合で連続的に供給し、重合温度を150℃及び平均滞留時間を5時間に維持した。重合条件は実施例1と同様にしたが、連続運転中に単量体転化率は75〜83%、重量平均分子量は142,000〜152,000で大きく変動し安定に重合を実施することができなかった。実施例1と同様に脱揮処理したが、重合体ペレットの残存揮発成分濃度1.4%、全光線透過率91%であり成型材料として実用に耐える物性を満足することはできなかった。
【0027】
比較例4
実施例1と同じ装置を用い、メチルメタクリレート59.8部、スチレン38.2部、メタノール2部、ジ−tert−アミルパーオキサイド0.004部を混合して原料液を調製し、実施例1と同条件で連続溶液重合を行ったが、連続運転中に重合液の粘度が徐々に上昇し単量体転化率は最終的に83%に達し、安定に連続重合を行うことはできなかった。実施例1と同様に脱揮処理し重合体ペレットを取得したが、残存揮発分濃度1.1%、全光線透過率91%で成形材料として実用に耐える物性を得ることはできなかった。
【0028】
比較例5
実施例1と同じ装置を用い、メチルメタクリレート40.3部、スチレン24.7部、メタノール35部、ジ−tert−アミルパーオキサイド0.004部を混合して原料液を調製し、実施例1と同条件で連続溶液重合を行った。結果、単量体転化率75%に維持できたが、生成した重合体の重量平均分子量は80,000であり、成形材料として実用に耐える物性を得ることはできなかった。
以上の実施例1〜5及び比較例1〜5の結果をまとめて、表1及び表2に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、高純度で着色のない光学用途にも適したスチレン−メチルメタクリレート系重合体を安定に制御された重合工程を経て生産性を高めて工業的に有利に製造することが可能となる。
Claims (5)
- メチルメタクリレート35〜90重量%とスチレン10〜65重量%からなる単量体混合物を重合するに際し、単量体成分71〜97重量%に対し溶媒としてメタノール3〜29重量%を添加し、100〜180℃の重合温度で単量体転化率が55〜95mol%となるように均一溶液中で重合させることを特徴とするスチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法。
- メタノールの存在量が単量体80〜95重量%に対し5〜20重量%である請求項1に記載のスチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法。
- 単量体に可溶であり重合温度での半減期が0.01〜60分を満足するような重合開始剤の存在下に重合する請求項1に記載のスチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法。
- n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの中から選ばれた少なくとも1種の連鎖移動剤の存在下に重合する請求項1に記載のスチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法。
- 130〜170℃の重合温度でジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−アミルパーオキサイド、tert−アミルパーオキシイソノナエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル及び1 ,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)の中から選ばれた少なくとも1種の重合開始剤の存在下に重合する請求項1に記載のスチレン−メチルメタクリレート系重合体の製造方法。
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