JP3858709B2 - 乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法 - Google Patents

乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3858709B2
JP3858709B2 JP2002022049A JP2002022049A JP3858709B2 JP 3858709 B2 JP3858709 B2 JP 3858709B2 JP 2002022049 A JP2002022049 A JP 2002022049A JP 2002022049 A JP2002022049 A JP 2002022049A JP 3858709 B2 JP3858709 B2 JP 3858709B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deceleration
occupant protection
output level
detected
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002022049A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003220926A (ja
Inventor
裕次郎 宮田
紀文 伊豫田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002022049A priority Critical patent/JP3858709B2/ja
Publication of JP2003220926A publication Critical patent/JP2003220926A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3858709B2 publication Critical patent/JP3858709B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Air Bags (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整装置に係り、より詳細には、加速度センサが出力する減速度に有用な処理を施すことにより、乗員保護の緊急度に適合した出力レベルに、乗員保護装置の出力レベルを高精度且つロバストに調整できる出力調整装置及び出力調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、衝突時に検出される減速度に所定の演算処理を実行し、この演算値と検出された減速度とで画成される波形を、乗員保護装置に対する起動判定用閾値パターンと比較し、この比較結果に基づき乗員保護装置の起動を制御する、乗員保護装置の起動制御装置が知られている。この起動制御装置は、上記演算値として、減速度を時間により1回積分した値を使用し、また、この起動制御装置の起動判定用閾値パターンは、衝突試験等で得られた減速度と上記演算値とで画成される波形を用いて定義されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、車両が衝突した際に乗員をより確実に保護するという観点からは、衝突時に乗員が必要とする保護レベル、即ち乗員保護の緊急度を考慮し、この緊急度に応じて乗員保護装置の出力を調整することがより好ましい。即ち、例えば、車両が先行車に高速で追突した場合には、車両が先行車に低速で追突した場合よりも、乗員保護の緊急度は高く、かかる場合、乗員保護装置の出力を調整して、最適な出力で乗員を保護する必要がある。
【0004】
一方、この乗員保護の緊急度は、乗員保護に関わる重要なパラメータであり、高精度に判別されるべきである。更に、この乗員保護の緊急度は、衝突形態に主として依存するので、衝突形態の相違をより厳密に判別する必要がある。特に、近年では、相違点が僅かな速度差(例えば、10km/s)のみである2種類の衝突を識別できる方法に対する要請がある。
【0005】
そこで、本発明は、相違点が僅かである少なくとも2種類の衝突の識別を容易にでき、且つ、乗員保護の緊急度に高精度に応じることができる、乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整装置であって、
減速度検出手段が検出する減速度を、所定時間で2回積分する手段と、
上記2回積分した値によって定まる閾値を、所与の閾値パターンから決定する閾値決定手段と、
上記決定された閾値と、減速度検出手段が検出する減速度とを比較する手段と、
上記比較結果に基づき上記出力レベルを決定する手段とを含むことを特徴とする、出力調整装置によって達成される。
【0007】
上記発明によれば、減速度検出手段が検出する減速度の所定時間で2回積分した値を用いることによって、減速度の所定時間で1回積分した値を用いる場合に比べて、より確実に乗員保護の緊急度を判別することができる。即ち、減速度の所定時間で2回積分した値(以下、「2回積分値」という)は、減速度の所定時間で1回積分した値(以下、「1回積分値」という)に比べて、衝突時に発生する振動成分の影響をほとんど受けず、特に減速度のピーク位置付近で、より高い精度を有している。これより、乗員保護の緊急度に応じた出力レベルに、乗員保護装置の出力レベルを更に信頼性の高い態様で調整することが可能となる。また、上記発明によれば、予め用意される閾値を利用して、よりロバストな判別を実現することができる。即ち、予め用意する閾値が画成する閾値パターンは、当該各衝突の減速度の各ピーク高さの差異に依存することなく、2回積分により増大された各減速度波形の間隙を容易に仕切ることができるので、ピーク高さ特有の誤差(ばらつき)に影響されないよりロバストな判別を実現することが可能になる。
【0008】
尚、上記比較する手段によって比較される減速度と、上記2回積分する手段によって演算処理される減速度とは、同一の減速度検出手段によってそれぞれ検出された減速度であってよく、或いは、いずれかがフィルター処理等の適当な処理を施された減速度であってもよく、更には、異なる減速度検出手段によってそれぞれ検出された減速度であってもよい。特に、異なる減速度検出手段を用いる場合には、減速度検出手段の取付け位置に起因する出力特性の差異を利用することによって、乗員保護の緊急度の更なる厳密且つ確実な判別が可能になる。
【0009】
また請求項2に記載する如く、好ましくは、上記閾値パターンは、上記2回積分した値と、減速度検出手段が検出する減速度とで定まるマップ上に設定され、
上記閾値決定手段が、上記閾値パターン上における上記2回積分した値に対する減速度の値を、前記閾値として決定する。
【0010】
また、上記目的は、請求項3に記載する如く、車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整方法であって、
減速度検出手段が検出する減速度を、所定時間で2回積分するステップと、
上記2回積分した値によって定まる閾値を、所与の閾値パターンから決定する閾値決定ステップと、
上記決定された閾値と、減速度検出手段が検出する減速度とを比較するステップと、
上記比較結果に基づき上記出力レベルを決定するステップとを含むことを特徴とする、出力調整方法によって達成される。
【0011】
上記発明によれば、減速度検出手段が検出する減速度を所定時間で2回積分することによって、減速度を所定時間で1回積分する場合に比べて、より確実に乗員保護の緊急度を判別することができる。即ち、減速度の所定時間で2回積分値は、減速度の所定時間で1回積分値に比べて、衝突時に発生する振動成分の影響をほとんど受けず、特に減速度のピーク位置付近で、より高い精度を有している。これより、乗員保護の緊急度に応じた出力レベルに乗員保護装置の出力レベルを高精度に調整することができると共に、乗員保護の緊急度の差異をより厳密に判別することが可能となる。また、上記発明によれば、予め用意される閾値を利用して、よりロバストな判別を実現することができる。即ち、予め用意する閾値が画成する閾値パターンは、当該各衝突の減速度の各ピーク高さの差異に依存することなく、2回積分により増大された各減速度波形の間隙を容易に仕切ることができるので、ピーク高さ特有の誤差(ばらつき)に影響されないよりロバストな判別を実現することが可能になる。
【0012】
また、請求項4に記載する如く、好ましくは、上記閾値パターンは、上記2回積分した値と、減速度検出手段が検出する減速度とで定まるマップ上に設定され、
上記閾値決定ステップは、上記閾値パターン上における上記2回積分した値に対する減速度の値を、前記閾値として決定することを含む。
【0014】
また、上記目的は、請求項に記載する如く、乗員保護装置の出力レベルに応じた少なくとも2つのマップ領域を有し、車両に搭載された減速度検出手段が検出する減速度と、当該減速度検出手段が検出する減速度を2回積分した値とで定まるマップを、用いて車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整方法であって、上記マップ上における上記減速度検出手段が検出する減速度の波形が新たなマップ領域に移行したとき、該マップ領域に対応する出力レベルに、上記乗員保護装置の出力レベルを変更することを特徴とする、出力調整方法によって達成される。
【0015】
上記発明によれば、例えばフロアセンサのような単一の減速度検出手段のみを用いる場合であっても、フロアセンサが検出する減速度と、当該フロアセンサが検出する減速度を2回積分した値とで定まるマップを用いることにより、中速での衝突に対する高速での衝突の差異のような、判別することが困難な差異を明確に判断することができる。また、乗員保護装置の出力レベルの各段階に対応する複数のマップ領域をマップ上に作成することにより、より細分化された乗員保護の緊急度にも対応することができる。尚、マップに定義される各マップ領域は、フロアセンサの減速度と当該減速度を2回積分した値との関係を基に予め作成される閾値ラインによって、仕切られてよい。
【0016】
また、上記目的は、請求項に記載する如く、乗員保護装置の出力レベルに応じた少なくとも2つのマップ領域を有し、車両に搭載された第1の減速度検出手段が検出する減速度と、該第1の減速度検出手段よりも車両後方に配設された第2の減速度検出手段が検出する減速度を2回積分した値とで定まるマップを、用いて車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整方法であって、上記第1の減速度検出手段が検出する減速度の上記マップにおける位置を定めるため、上記第2の減速度検出手段が検出する減速度を所定時間で2回積分するステップと、上記位置の属する上記マップ領域に対応する出力レベルに、上記乗員保護装置の出力レベルを調整するステップとを含む、出力調整方法によって達成される。
【0017】
上記発明によれば、単一の減速度検出手段のみを用いることに代わって、例えばフロントセンサ及びフロアセンサのような2つの減速度検出手段を組み合わせて用いることができる。また、第1の減速度検出手段として例えばフロントセンサが検出する減速度と、第2の減速度検出手段として例えばフロアセンサが検出する減速度を2回積分した値とで定まるマップを用いることにより、中速での衝突に対する高速での衝突の差異のような、判別することが困難な差異を明確に判断することができる。また、乗員保護装置の出力レベルの各段階に対応する複数のマップ領域をマップ上に作成することにより、より細分化された出力レベルの調整にも対応することができる。尚、マップに定義される各マップ領域は、フロントセンサの減速度とフロアセンサの減速度を2回積分した値との関係を基に予め作成される閾値ラインによって、仕切られてよい。
【0018】
また、各減速度検出手段の検出特性の相違を利用して、衝突形態の相違をより確実に判断することができる。従って、上記発明を複数の減速度検出手段の組み合わせ(例えば、フロントセンサと左側のフロントセンサの組み合わせ、及び、フロントセンサと右側のフロントセンサの組み合わせ)に適用することとすれば、乗員保護の緊急度を更に明確に細分化することができ、乗員保護の緊急度の判断を一層確実にすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による乗員保護装置用の出力調整装置80を使用する、乗員保護システムの一実施例を示すシステム構成図である。本実施例の乗員保護システムは、乗員保護装置50の出力レベルを調整する出力調整装置20と、出力調整装置20に接続され、出力調整装置20の指令に従って作動する乗員保護装置50と、出力調整装置20に接続され、車両10の減速度を検出する減速度検出手段30とを備える。
【0020】
乗員保護装置50は、例えばエアバック装置やシートベルト装置等から構成され、車両衝突時に乗員を多種多様な形態で保護する装置である。本実施例の乗員保護装置50は、その出力レベルが調整されるように構成されている。
【0021】
例えば、乗員保護装置50として図1に例示的に示されているエアバック装置に関して言及するに、このエアバック装置は、エアバック52と、当該エアバック52にガスを供給する2個のインフレータ54、54と、図示しないガス発生剤に点火する点火装置56と、点火装置56に通電して上記ガス発生剤を点火させる駆動回路58,58とを備えている。従って、このエアバック装置の出力レベル、即ちエアバック52の圧力は、2個のインフレータ54のうちの作動するインフレータ54の個数を変更することにより、或いは、2個のインフレータ54の作動タイミングを変更することにより、調整することができる。
【0022】
尚、乗員保護装置50は、モータ駆動式シートベルト装置やインフレータプルカーテン装置等であってよい。例えば、乗員保護装置50がモータ駆動式シートベルト装置である場合、当該モータ駆動式シートベルト装置は、その出力レベルとしてシートベルト巻き取り量若しくは作動強度を調整できるように構成されてよい。
【0023】
減速度検出手段30は、図2に示すように、車両10のフロアトンネル(図示せず)に取付けられ、当該取付け位置の車両前後方向(図2中のX、Y方向)の減速度(以下、「フロアG」という)を検出するフロアセンサ22と、車両10のサイドメンバ(図示せず)の前方に取付けられ、当該取付け位置の減速度を検出する左右フロントセンサ24、26とから構成されている。上記フロントセンサは車両10中央の前部位置に1つ設けた形態でもよい。尚、左右フロントセンサ24、26が検出する各減速度は、本明細書中ではこれらを区別することなく、単に「フロントG」と称する。
【0024】
出力調整装置20は、フロアセンサ22により検出されるフロアG、及び/又は、左右フロントセンサ24、26により検出されるフロントGに基づいて、乗員保護装置50の出力レベルを決定するマイクロコンピュータ40を含んでいる。このマイクロコンピュータ40は、CPU42を中心として構成されており、所定の処理プログラム等が記憶されたROM44と、一時的にデータの記憶をするRAM46と、入出力回路(I/O)48とを含む。
【0025】
ところで、出力調整装置20が、乗員保護装置50の出力レベルを決定する際に、車両10が衝突した場合に於ける乗員保護の緊急度を高精度に判別できることは有用である。この乗員保護の緊急度は、一般的に、車両10が高速で衝突した場合には、高く、Highと設定され、車両10が低速、若しくはその中間の中速で衝突した場合には、比較的低く、Lowと設定される。また、出力調整装置20が、このような乗員保護の緊急度の切り換え(例えば、LowからHigh)を、より細分化して、即ちより小さい速度差で(例えば、速度32km/sの緊急度は、High、速度26km/sではLow)実行できることは有用である。
【0026】
かかる有用な処理を実現するため、出力調整装置20のCPU42は、フロアセンサ22が検出するフロアGに対して、次のような演算処理を実行し、演算値d(t)を算出する。
【0027】
d(t)=∫∫Gfloor(t)dt ………(1)
ここで、Gfloor(t)は、時刻tに検出されるフロアGを表わす。但し、Gfloor(t)は、フロアGに対し所定のフィルター処理を施した値であってもよい。また、本発明の理解の容易化のため、積分区間は、衝突開始時刻t=0から時刻t=tまでとし、d(0)=0とする。従って、この演算値d(t)は、物理的には、衝突開始時からある時間tが経過したときの、車両10に固定されていない車両内の物体の当該車両10に対する相対移動量を意味する。
【0028】
図3、図4、図5及び図6の各図は、実際の衝突時、CPU42の演算処理により得られる値をプロットして形成された波形を示し、車両10が中速により正面衝突したときの波形、及び、高速により正面衝突したときの波形が対比的にそれぞれに示されている。図3(A)は、時刻tを横軸とするGfloor(t)の波形を示し、図3(B)は、時刻tを横軸とするフロアGの波形を示している。また、図4(A)は、時刻tを横軸とする演算値d(t)の波形を示している。また、図5(A)は、演算値d(t)を横軸とするGfloor(t)の波形を示し、図6(A)は、演算値d(t)を横軸とするGfront(t)の波形を示している。
【0029】
更に、図5(B)及び図6(B)は、2回積分による演算値d(t)に代わって(図5(A)及び図6(A)参照)、1回積分による演算値v(t)を横軸とするGfloor(t)及びGfront(t)の波形をそれぞれ示す図である。この演算値v(t)は、次式に示すように、Gfloor(t)を時間tで1回積分することにより、算出される。尚、この演算値v(t)は、物理的には、車両10に固定されていない車両内の物体の当該車両10に対する相対速度を意味する。
【0030】
v(t)=∫Gfloor(t)dt ………(2)
図4(B)は、このようにして導出された演算値v(t)の波形を示している。
【0031】
図5(B)及び図6(B)を、図5(A)及び図6(A)と比較して参照するに、車両10が中速で衝突した時の減速度波形のピーク位置と、高速で衝突した時の減速度波形のピーク位置との間のギャップΔc(間隙)が、相対的に小さいことがわかる。また、車両10の構造によっては、両ピーク位置が重なってしまう(Δc=0)場合があることがわかっている。これは、1回積分して得た演算値v(t)の波形に、図4(B)の円内に示すように、元の波形(図3(B)参照)の振動成分が載ってしまっている(残存してしまっている)ことに起因している。この傾向は、図3(A)に示す衝突時のピーク位置付近(図中、t=20ms付近)に関して特に顕著である。これは、衝突時のピーク位置付近には、振動成分が特に多いことから理解できるだろう。
【0032】
これに対して、図4(A)から明らかなように、2回積分して得た演算値d(t)の波形には、元の波形の振動成分が載っていない。これは、更なる積分により、振動成分が平滑化されていることに起因している。この結果、衝突時のピーク位置付近のデータの信頼性が向上されると同時に、図5(A)及び図6(A)から明らかなように、中速での衝突時のピーク位置と高速での衝突時のピーク位置との間のギャップΔcが相対的に増大している。
【0033】
乗員保護装置50の出力レベルの決定は、当然ながら乗員保護装置50の起動前、即ち、図3(A)の円内に示す最初のピーク位置前までに少なくとも実行されるべきである。この観点からも、衝突時のピーク位置付近のデータの信頼性は特に重要であり、本発明による出力調整装置20は、かかる信頼性の高いデータを特に重要な局面で使用できるという利点を有する。
【0034】
次に、本発明による出力調整装置20が、乗員保護の緊急度の相違を判別する具体的な方法について言及する。
【0035】
出力調整装置20は、上述したような、減速度波形のピーク位置間のギャップΔcを利用して、2以上の衝突が発生した際における各乗員保護の緊急度の相違を区別する。この減速度波形のピーク位置は、主として車両10の構造に依存するので、減速度波形のピーク高さとは異なり、各衝突間で発生し得る誤差(ばらつき)が少ない。従って、ピーク位置間のギャップΔcを利用することによって、よりロバストな乗員保護の緊急度の判別が実現できる。また、このピーク位置間のギャップΔcは、上述したように増大するので、より区別するのが困難な衝突間の相違の判別が可能となる。
【0036】
具体的には、出力調整装置20は、乗員保護の緊急度を判別する際、演算値d(t)により定まる予め用意した閾値を使用する。この閾値は、図5(A)及び図6(A)に示すように、演算値d(t)を横軸とする閾値パターン70,71を画成する。この閾値パターン70は、演算値d(t)に対する減速度を表わす減速度波形(図5(A)及び図6(A)参照)に基づき定義される。尚、この減速度波形は、実際の衝突試験やシミュレーション等により入手してよい。
【0037】
この閾値パターンは、好ましくは、区別したい2以上の衝突に係る減速度波形のうちの最初のピーク位置前までに、上記2以上の減速度波形を仕切るように定義される。即ち、閾値パターンは、実際に乗員保護装置50の起動が行われる前までに2以上の衝突を区別できるように定義される。例えば、図5(A)及び図6(A)にそれぞれ示すような2つの衝突(中速での衝突と高速での衝突)を区別したい場合には、高速での衝突に係る減速度波形のピーク位置までに、両減速度波形を仕切ることができる図示のような閾値パターン70,71が定義されてよい。
【0038】
このようにして、本発明の出力調整装置20は、各ピーク位置間のギャップΔcの増加、及びそれに伴うピーク位置付近の各波形間の実効的なギャップΔcの増加を有効に利用して、区別するのが困難な衝突間の差異を確実に判別することが可能になる。
【0039】
最後に、図7及び図8を参照して、本発明の出力調整装置20による出力レベルの決定方法について言及する。図8は、本発明の出力調整装置20のCPU42の機能ブロック図である。図7は、フロアセンサ22の出力する減速度により定まる出力レベル判定用マップが示されている。図7の閾値パターン72は、上述したように予め用意され、例えばROM44に記憶されている。図7では、この閾値パターン72より上方のマップ領域が、乗員保護の高い緊急度(High)に対応し、閾値パターン72より下方のマップ領域が、乗員保護の低い緊急度(Low)に対応している。
【0040】
減速度検出手段30が検出したフロアG及びフロントGは、図8に示すように、時間t=0〜tの間(衝突開始時刻t=0から現在時刻t=t)、所定の周期でCPU42のフィルター処理部200に入力されると共に、当該フロアGは、時間t=0〜tの間、演算値計算部202にも入力される。フィルター処理部200は、入力されるフロアG及びフロントGに所定のフィルター処理を施し、Gfloor(t)及びGfront(t)を生成する。このGfloor(t)及びGfront(t)は、CPU42の出力レベル決定部206に入力される。
【0041】
演算値計算部202は、時間t=0〜tの間に入力されるフロアGに対して、上述したように、積分区間t=0〜tで2回積分する演算処理を実行し、演算値d(t)を算出する。この演算値d(t)は、CPU42の閾値決定部204に入力される。
【0042】
閾値決定部204は、入力された演算値d(t)により定まる閾値STHfloor及びSTHfrontを、予め定義された閾値パターンに基づいて決定する。例えば、図7において、d(t)=αの場合、閾値パターン72より閾値STHfloor=βが決定される。このようにして決定された閾値STHfloor及びSTHfrontは、CPU42の出力レベル決定部206に入力される。
【0043】
出力レベル決定部206は、フィルター処理部200からt=tに入力されたGfloor(t)及びGfront(t)を、閾値決定部204により決定された閾値STHfloor及びSTHfrontと比較する。例えば、Gfloor(t)に関して、出力レベル決定部206は、Gfloor(t)が閾値STHfloor(t)を超える場合は、乗員保護の緊急度が高いと判断し、当該緊急度に対応する出力レベルを決定する。逆に、出力レベル決定部206は、Gfloor(t)が閾値STHfloor(t)より小さい場合は、乗員保護の緊急度が低いと判断し、当該緊急度に対応する出力レベルを決定する。尚、出力レベル決定部206は、Gfront(t)及びSTHfrontに関しても同様の手法による比較を実行して、乗員保護の緊急度を判断する。
【0044】
図7には、演算値d(t)を横軸とする出力レベル判定用マップにおいて、閾値パターン72及びGfloor(t)に係る減速度波形が示されている。また、図7には、中速及び高速で衝突した時の2種類の減速度波形が示されている。図7から明らかなように、時間t=tで、高速で衝突した時の減速度波形は、閾値STHfloorを超える(マップ領域“Low”からマップ領域“High”に移行する)のに対し、中速で衝突した時の減速度波形は、閾値STHfloorを超えない(マップ領域“Low”にとどまる)ので、これらの衝突の相違は確実に判別することができる。かかる場合、出力レベル決定部206は、減速度波形のピーク位置前の時間t=tで、乗員保護の緊急度の変化に伴い乗員保護装置50の出力レベルを変更することができる。即ち、乗員保護装置50の出力レベルは、出力レベル判定用マップ上における減速度波形がマップ領域“Low”から新たなマップ領域“High”に移行したとき、新たなマップ領域“High”に対応する出力レベルに変更されることになる。
【0045】
尚、請求の範囲に記載した「減速度を2回積分する手段」、「閾値を決定する手段」、「閾値と減速度を比較する手段」、及び「出力レベルを決定する手段」は、実施例に記載したCPU42の「演算処理部」、「閾値決定部」、「出力レベル決定部」、および「出力レベル決定部」によってそれぞれ実現されている。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0047】
例えば、CPU42のフィルター処理部200に入力される減速度のサンプル数を増加させることにより、減速度波形の各ピーク位置間のギャップΔcを実質的に増大させることもできる。これは、例えばフィルター処理部200に入力される減速度の周期を変更することによって実現できる。
【0048】
また、上述した実施例では、CPU42の出力レベル決定部206は、Gfloor(t)及びGfront(t)の双方を用いて、乗員保護の緊急度をより確実に判断するものであったが、Gfloor(t)又はGfront(t)のいずれかを用いて、乗員保護の緊急度を確実に判断することもできる。また、CPU42の出力レベル決定部206は、Gfloor(t)及びGfront(t)から得た乗員保護の緊急度の判断結果を組み合わせて、更に細分化された乗員保護の緊急度を判断することもできる。また、上述した実施例では、演算値d(t)としては、フロアセンサ22が出力するGfloor(t)を2回積分値を使用していたが、他のセンサ(例えば、左フロントセンサ24)が出力する減速度の2回積分値を使用することも可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようなものであるから、以下に記載されるような効果を奏する。請求項1乃至記載の発明によれば、乗員保護の緊急度に乗員保護装置の出力レベルを高精度に適合させることができると共に、乗員保護の緊急度の差異をより厳密に判別する
【図面の簡単な説明】
【図1】乗員保護システムの一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】出力調整装置20が車両10に搭載されたときの様子を例示した図である。
【図3】図3(A)は、時刻tを横軸とするGfloor(t)の波形を示し、図3(B)は、時刻tを横軸とするフロアGの波形を示している。
【図4】図4(A)は、時刻tを横軸とする演算値d(t)の波形を示し、図4(B)は、時刻tを横軸とする演算値v(t)の波形を示している。
【図5】図5(A)は、演算値d(t)を横軸とするGfloor(t)の波形を示し、図5(B)は、1回積分による演算値v(t)を横軸とするGfloor(t)の波形を示している。
【図6】図6(A)は、演算値d(t)を横軸とするGfront(t)の波形を示し、図6(B)は、1回積分による演算値v(t)を横軸とするGfront(t)の波形を示している。
【図7】閾値パターンと減速度波形とが示された出力レベル判定用マップを示す図である。
【図8】本発明の出力調整装置20のCPU42の機能ブロック図である。
【符号の説明】
10 車両
20 出力調整装置
22 フロアセンサ
24 左フロントセンサ
26 右フロントセンサ
28 信号入力部
30 減速度検出手段
40 マイクロコンピュータ
42 CPU
44 ROM
46 RAM
48 入出力回路
50 乗員保護装置
52 エアバック
54 インフレータ
56 点火装置
58 駆動回路
70〜72 閾値パターン
200 フィルター処理部
202 演算値計算部
204 閾値決定部
206 出力レベル決定部
ことができる。

Claims (6)

  1. 車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整装置であって、
    減速度検出手段が検出する減速度を、所定時間で2回積分する手段と、
    上記2回積分した値によって定まる閾値を、所与の閾値パターンから決定する閾値決定手段と、
    上記決定された閾値と、減速度検出手段が検出する減速度とを比較する手段と、
    上記比較結果に基づき上記出力レベルを決定する手段とを含むことを特徴とする、出力調整装置。
  2. 上記閾値パターンは、上記2回積分した値と、減速度検出手段が検出する減速度とで定まるマップ上に設定され、
    上記閾値決定手段が、上記閾値パターン上における上記2回積分した値に対する減速度の値を、前記閾値として決定することを特徴とする、請求項1に記載の出力調整装置。
  3. 車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整方法であって、
    減速度検出手段が検出する減速度を、所定時間で2回積分するステップと、
    上記2回積分した値によって定まる閾値を、所与の閾値パターンから決定する閾値決定ステップと、
    上記決定された閾値と、減速度検出手段が検出する減速度とを比較するステップと、
    上記比較結果に基づき上記出力レベルを決定するステップとを含むことを特徴とする、出力調整方法。
  4. 上記閾値パターンは、上記2回積分した値と、減速度検出手段が検出する減速度とで定まるマップ上に設定され、
    上記閾値決定ステップは、上記閾値パターン上における上記2回積分した値に対する減速度の値を、前記閾値として決定することを含むことを特徴とする、請求項3に記載の出力調整装置。
  5. 乗員保護装置の出力レベルに応じた少なくとも2つのマップ領域を有し、車両に搭載された減速度検出手段が検出する減速度と、当該減速度検出手段が検出する減速度を2回積分した値とで定まるマップを、用いて車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整方法であって、
    上記マップ上における上記減速度検出手段が検出する減速度の波形が新たなマップ領域に移行したとき、該マップ領域に対応する出力レベルに、上記乗員保護装置の出力レベルを変更することを特徴とする、出力調整方法。
  6. 乗員保護装置の出力レベルに応じた少なくとも2つのマップ領域を有し、車両に搭載された第1の減速度検出手段が検出する減速度と、該第1の減速度検出手段よりも車両後方に配設された第2の減速度検出手段が検出する減速度を2回積分した値とで定まるマップを、用いて車両に搭載される乗員保護装置の出力レベルを調整する出力調整方法であって、
    上記マップ上における上記第1の減速度検出手段が検出する減速度の波形が新たなマップ領域に移行したとき、該マップ領域に対応する出力レベルに、上記乗員保護装置の出力レベルを変更することを特徴とする、出力調整方法。
JP2002022049A 2002-01-30 2002-01-30 乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法 Expired - Fee Related JP3858709B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002022049A JP3858709B2 (ja) 2002-01-30 2002-01-30 乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002022049A JP3858709B2 (ja) 2002-01-30 2002-01-30 乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003220926A JP2003220926A (ja) 2003-08-05
JP3858709B2 true JP3858709B2 (ja) 2006-12-20

Family

ID=27745131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002022049A Expired - Fee Related JP3858709B2 (ja) 2002-01-30 2002-01-30 乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3858709B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4131403B2 (ja) * 2003-09-05 2008-08-13 株式会社デンソー 衝突判定装置
DE10360893A1 (de) * 2003-12-19 2005-07-21 Robert Bosch Gmbh Verfahren zur Ansteuerung von Personenschutzmitteln

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003220926A (ja) 2003-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3436185B2 (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JP3333813B2 (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JPH02270656A (ja) 車輌用安全装置の制御装置
JP2003034226A (ja) ロールオーバ判別装置
JPH03208749A (ja) 車両ジャークに応答して乗用車の乗客拘束装置を作動させる乗客拘束装置用作動装置及びその作動方法
US6196578B1 (en) Activation controlling apparatus for passive safety device
WO2003013911A1 (en) Activation control unit and control method thereof for occupant protection apparatus
JP2002059804A (ja) エアバッグ装置の起動制御装置
JP2002331904A (ja) 乗員保護装置の起動装置
EP1227956B1 (en) Pedestrian impact protection
JP3858709B2 (ja) 乗員保護装置用の出力調整装置及び出力調整方法
JP2001030873A (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JP3885757B2 (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JPWO2018189993A1 (ja) 制御装置、及び保護装置の制御方法
KR100437244B1 (ko) 자동차 측면 에어백 시스템 및 그 제어방법
JP3452014B2 (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JP2000142311A (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JP3452012B2 (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JP3452013B2 (ja) 乗員保護装置の起動制御装置
JP4306572B2 (ja) 乗員保護装置の制御装置
JP3772629B2 (ja) 悪路判定装置,悪路判定方法,乗員保護装置の起動装置および起動方法
KR100437245B1 (ko) 자동차 정면 에어백 시스템 및 그 제어방법
JP2000225915A (ja) 車両用乗員保護装置
JP3573076B2 (ja) エアバッグ装置の起動制御装置
KR20060033824A (ko) 에어백 제어방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060606

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060911

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100929

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100929

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110929

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110929

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130929

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees