JP3858653B2 - 電源システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源システムに関し、特に、汎用の化学電池との互換が可能な電源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、民生用や産業用のあらゆる分野において、様々な化学電池が使用されている。例えば、アルカリ乾電池やマンガン乾電池等の一次電池は、時計やカメラ、玩具、携帯型の音響機器等に多用されており、我が国に限らず、世界的な観点からも最も生産数量が多く、安価かつ入手が容易という特徴を有している。
【0003】
一方、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池は、近年普及が著しい携帯電話や携帯情報端末(PDA)、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の携帯機器に多用されており、繰り返し充放電ができることから経済性に優れた特徴を有している。また、二次電池のうち、鉛蓄電池は、車両や船舶の起動用電源、あるいは、産業設備や医療設備における非常用電源等として利用されている。
【0004】
ところで、近年、環境問題やエネルギー問題への関心の高まりに伴い、上述したような化学電池の使用後の廃棄に関する問題やエネルギー変換効率の問題がクローズアップされている。
特に、一次電池においては、上述したように、製品価格が安価で入手が容易なうえ、電源として利用する機器が多種多様で、しかも、基本的に一度放電されると電池容量を回復することができない、一回限りの利用(いわゆる、使い捨て)しかできないため、年間の廃棄量が数百万トンに上っている。ここで、化学電池全体では、リサイクルにより回収される比率は、概ね20%程度に過ぎず、残りの80%程度が自然界に投棄、又は、埋め立て処理されている、とする統計資料もあり、このような未回収の電池に含まれる水銀やインジウム等の重金属による環境破壊や、自然環境の美観の悪化が懸念されている。
【0005】
また、エネルギー資源の利用効率の観点から上記化学電池を検証すると、一次電池においては、放電可能エネルギーの概ね300倍のエネルギーを使用して生産されているため、エネルギー利用効率が1%にも満たない。これに対して、繰り返し充放電が可能で経済性に優れた二次電池であっても、家庭用電源(コンセント)等から充電を行う場合、発電所における発電効率や送電損失等により、エネルギー利用効率が概ね12%程度にまで低下してしまうため、必ずしもエネルギー資源の有効利用が図られているとは言えなかった。
【0006】
そこで、近年、環境への影響(負担)が少なく、かつ、例えば、30〜40%程度の極めて高いエネルギー利用効率を実現することができる燃料電池をはじめとする各種の新たな電源システムや発電システム(以下、「電源システム」と総称する)が注目され、車両用の駆動電源や家庭用のコジェネレーションシステム等への適用を目的として、あるいは、上述したような化学電池の代替えを目的として、実用化のための研究、開発が盛んに行われている。なお、燃料電池をはじめとする各種の電源システムの具体的な構成等については、発明の詳細な説明において詳述する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、今後、燃料電池等のエネルギー利用効率が高い電源システムを小型軽量化して、可搬型又は携帯型のポータブル電源として利用し、かつ、上述したような化学電池の代替え(互換品)として適用する場合には、次に示すような問題点を有している。
【0008】
すなわち、化学電池を動作電源とする既存の携帯機器(特に、近年普及が著しい携帯電話や携帯情報端末)等においては、電池の消耗状態を検知して随時電池残量を表示する機能や、電池の出力電圧が所定の下限値になった場合に、電池の交換や充電を促すアラームやメッセージ等を通知する機能(以下、便宜的に「残量通知機能」と総称する)を備えたものが多い。
【0009】
具体的には、一般的な化学電池における出力電圧の経時的な変化傾向(起電力特性)は、図42に示すように、放電に伴う時間の経過とともに、起電力特性Spが劣化して出力電圧が徐々に低下することが知られているので、この出力電圧の変化を検出して定期的又は継続的に電池残量や機器の駆動可能推定時間を表示したり、携帯機器等において動作が正常に行われる電圧範囲(動作保証電圧範囲)を下回る出力電圧に達した場合に、機器の利用者に電池の交換や充電等を促す通知(残量通知Ip)を行っている。
【0010】
これに対して、燃料電池をはじめとするエネルギー利用効率が高い電源システムのほとんどは、基本的に所定の燃料を用いた発電装置であるので、図43に示すように、電源システムの出力電圧特性(起電力特性)Sfは、放電に伴う時間の経過(すなわち、燃料の残量)に関わりなく、発電部に供給される燃料の量等に基づいて任意に設定される。したがって、携帯機器等の仕様上、安定的な動作を実現することができる理想的な一定電圧Viが出力されるように設計されており、燃料がなくなること(燃料切れ)により、電源システムにおける発電動作が停止して出力電圧Viが0Vに瞬時に変化する。
【0011】
そのため、このような起電力特性Sfを有する電源システム(燃料電池等)を、既存の携帯機器等の電源としてそのまま適用した場合、放電に伴う時間の経過による出力電圧の低下を検出することができないため、上述したような残量通知機能を全く利用することができなくなるという問題を有している。また、今後、燃料電池をはじめとする電源システムを化学電池の代替えとして携帯機器等の電源に利用する場合には、燃料の残量を直接検出して、燃料の充填、補充や電源システム自体の交換を促すための機能や構成を、機器側に新たに備える必要があるため、携帯機器等における電源部周辺の構成の大幅な設計変更が必要となり、製品コストの上昇等を招くという問題を有していた。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、電池の出力電圧の低下を検出して、電池残量の表示や電池の交換、充電を促す機能を備えた携帯機器等の既存のデバイスに対して、汎用の化学電池と同様に、そのまま電源として適用することができ、良好に機器を動作させることができる電源システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電源システムは、発電用燃料が封入された燃料封入部と、該燃料封入部から供給される前記発電用燃料を用いて電力を発生する発電モジュールと、前記発電モジュールの動作状態を制御して、前記電力の発生量を調整する出力制御部と、前記燃料封入部における前記発電用燃料の残量と前記発電モジュールにより生成される前記電力の電圧成分との相関関係を規定した相関テーブルを備え、前記相関テーブルを参照することにより、前記発電モジュールにおける動作状態を調整するための制御信号を前記出力制御部に出力する動作制御部と、を備え、前記発電モジュールは、経時的に出力電圧が変化することを特徴としている。
【0014】
すなわち、燃料封入部(燃料パック)に充填、封入された液体又は気体からなる発電用燃料、又は、該発電用燃料から供給される特定の成分(例えば、水素)を用いて発電を行う発電モジュール(発電器)を備えたポータブル型の電源システムにおいて、該発電による出力電圧特性(起電力特性)が、汎用の化学電池、すなわち、日本国内外で市販、あるいは、機器に付属して流通、販売される一次電池又は二次電池のうちの1種における経時的な電圧の変化傾向に応じた出力電圧となるように、発電モジュールにおける発電状態が制御される。
【0015】
これにより、汎用の化学電池等の電圧変化傾向に応じた出力電圧特性を有するポータブル電源を実現することができるので、既存の携帯機器等の電源としてそのまま使用した場合であっても、この出力電圧の変化を検出して電池残量や機器の駆動可能推定時間を表示したり、電池の交換や充電等を促す機能を支障なく利用することができ、化学電池に対する互換性を高めた電源システムを提供することができる。
【0016】
このような特徴を実現するために、本発明に係る電源システムは、発電モジュールが、前記発電用燃料を用いて所定の負荷を駆動するための第1の電力を発生する第1の電源手段と、少なくとも、前記第1の電源手段を動作制御するための第2の電力を常時出力する第2の電源手段と、を具備し、前記動作制御部は、前記第2の電力により動作し、少なくとも、前記第1の電源手段における動作状態を制御するものであってもよい。
【0017】
ここで、システム制御手段は、少なくとも、第1の電源手段の動作状態を制御して、第1の電力の発生量を調整する出力制御部と、少なくとも、燃料封入部に封入された発電用燃料の残量に応じて、出力制御部を制御し、第1の電源手段により生成される第1の電力の発生量を制御する動作制御部と、を備えた構成を有し、さらに、電源システムは、燃料封入部に封入された発電用燃料の残量を検出して、該残量に関する検出情報を動作制御部に出力する残量検出手段と、を備えた構成を有している。
【0018】
すなわち、第2の発電手段により生成される第2の電力に基づいてシステム制御手段(出力制御部、システム制御手段)が駆動され、燃料封入部に残存する発電用燃料の量(残量)に応じて、第1の発電手段における第1の電力の発生量(発電状態)が制御される。これにより、電源システムの外部から燃料等の供給を受けることなく、発電モジュールにより自立的に発電状態を制御して、発電用燃料の残量に応じた所定の電力を発生、出力することができる。
【0019】
この場合、システム制御手段(動作制御部)による第1の発電手段における発電状態の制御は、汎用の化学電池における経時的な電圧変化傾向、例えば、時間の経過に伴って出力電圧が一義的に低下する傾向に対応して、発電用燃料の残量と出力電圧(第1の電力の電圧成分)との相関関係を予め規定した相関テーブルに基づいて実行されるものであってもよい。なお、第1の発電手段における発電状態の具体的な制御方法は、上記相関テーブルに基づいて、第1の電源手段への前記発電用燃料の供給量を制御することにより調整される。
【0020】
これによれば、燃料封入部における発電用燃料の残量に基づいて、該相関テーブルを参照し、発電部の燃料極への発電用燃料の供給量を調整することにより、簡易に出力電圧を設定制御することができるので、汎用の化学電池と同様の出力電圧特性を有し、電気的特性上、互換が可能な電源システムを提供することができる。
【0021】
上記電源システムにおいて、より好ましい態様は、第1の電源手段及び第2の電源手段が、共に燃料封入部から供給される発電用燃料を用いた電気化学反応により、第1の電力及び第2の電力を発生する燃料電池を有している構成である。これにより、汎用の化学電池に比較して、極めてエネルギー利用効率の高い燃料電池を用いて、電源システムの動作電力及び負荷の駆動電力を生成することができるとともに、汎用の化学電池における経時的な電圧変化傾向と同様の出力電圧特性を有する電源システムを実現することができるので、既存の携帯機器等における残量通知機能等を良好に利用することができるとともに、化石燃料等のエネルギー資源の消費量を削減して有効な利用を図ることができる。
【0022】
また、上記電源システムにおいて、第1の電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであってもよい。この場合、第1の電源手段は、発電用燃料を改質して、特定の成分を抽出する燃料改質器と、該特定の成分が供給される燃料極と、空気中の酸素が供給される空気極と、を備えた燃料改質型の燃料電池としての構成を適用することが好ましい。このような燃料改質型の燃料電池を適用した構成によれば、燃料電池に供給される発電用燃料の量を制御することにより、第1の電源手段により生成される第1の電力の量を簡易に制御することができるとともに、発電用燃料の有する化学エネルギーから極めて高いエネルギー変換効率で電力を生成することができる電源システムを実現することができる。
【0023】
なお、上記電源システムにおいて、第1の電源手段に適用可能な構成としては、上記燃料電池の他に、燃料封入部から供給される発電用燃料の燃焼反応により生じる圧力エネルギーに基づいて、第1の電力を発生する発電装置(ガス燃焼タービン、ロータリーエンジン、スターリングエンジン、パルス燃焼エンジン等と、電磁誘導や圧電変換の原理を用いた発電器との組み合わせ)や、発電用燃料の燃焼反応により生じる熱エネルギーによる高温と電源システム内外の他の領域における定温との温度差に基づいて、熱電変換により電力を発生する発電装置(温度差発電器)、発電用燃料を用いた熱音響効果による外力発生効果に基づいて、電力を発生する発電装置(熱音響効果発電器)、発電用燃料を用いた電磁流体発電により電力を発生する発電装置(電磁流体力学発電器)等であってもよい。
【0024】
また、上記電源システムにおいて、第2の電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであってもよい。この場合、第2の電源手段は、発電用燃料が直接的に供給される燃料極と、空気中の酸素が供給される空気極と、を備えた燃料直接供給型の燃料電池としての構成を適用することが好ましい。このような燃料直接供給型の燃料電池を適用した構成によれば、簡易な構成の燃料電池に燃料封入部から発電用燃料を供給するだけで、自立的かつ継続的に高いエネルギー変換効率で所定の電力(第2の電力)を生成してシステム制御手段に動作電力として供給することができるので、特別な操作を必要とすることなく、発電用燃料の残量に応じた電圧成分を有する第1の電力を出力することができ、汎用の化学電池と同等の電気的特性を有しつつ、取り扱いが簡易な電源システムを提供することができるとともに、第2の電源手段の規模を小型化することができる。
【0025】
なお、上記電源システムにおいて、第2の電源手段に適用可能な構成としては、上記燃料電池の他に、燃料封入部に封入された液体燃料からなる発電用燃料の気化反応又は高圧気体燃料における封入圧力により生じる圧力エネルギーに基づいて、第2の電力を発生する発電装置(ガスタービン、ロータリーエンジン等と、電磁誘導や圧電変換の原理を用いた発電器との組み合わせ)や、電源システムの周辺と内部における温度差、又は、発電用燃料を用いた触媒燃焼反応により生じる熱エネルギーによる高温と電源システム内外の他の領域における定温との温度差、もしくは、燃料封入部に封入され、液化された前記発電用燃料の気化反応により吸収される熱エネルギーによる低温と前記電源システム内外の他の領域における定温との温度差等に基づいて、熱電変換により電力を発生する発電装置(温度差発電器)、発電用燃料を用いた生物化学的反応に基づいて、前記第2の電力を発生する発電装置(生物電池)、発電用燃料の流体移動により生じる振動エネルギーに基づいて、前記第2の電力を発生する発電装置(振動発電器)、電源システムの外部から入射する光エネルギーに基づいて、光電変換により前記第2の電力を発生する発電装置(太陽電池)、電力の蓄積、放出が可能な蓄電装置(二次電池、コンデンサ等)等であってもよい。
【0026】
したがって、本発明に係る電源システムにおいては、第1及び第2の電源手段として、発電用燃料を用いて高いエネルギー変換効率で第1及び第2の電力を生成することができ、かつ、小型化や微細化が可能な構成を有する発電装置や蓄電装置の中から、電源システムの外形形状や電気的特性等に応じて適宜組み合わせた任意の構成を適用することができる。
【0027】
ここで、第1の電源手段又は出力制御部の少なくともいずれか一方は、第2の発電手段から直接出力される第2の電力に基づいて、又は、上記燃料電池又は発電装置から出力される電力を蓄積する蓄電装置から放出された電力(第2の電力)に基づいて動作するものであってもよい。これによれば、第2の電源手段により生成される電力の駆動電力特性に応じて、第2の電源手段から直接供給される電力、又は、蓄電装置に蓄積され、駆動電力特性が高められた電力を起動電力として用いて、第1の電源手段を良好に起動して第1の電力を生成する発電動作に移行することができる。
【0028】
また、上記電源システムに適用される発電用燃料は、少なくとも、水素を主成分とする、又は、水素からなる液体燃料又は液化燃料又は気体燃料、具体的には、メタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、あるいは、水素ガス等の気体燃料であって、特に、燃料封入部から発電モジュールに供給される際の常温、常圧等の所定の環境条件の下で気体状態にあるものを良好に適用することができる。これにより、第1及び第2の電源手段における発電動作において、高いエネルギー変換効率で電力を生成することができるとともに、この発電動作に伴って電力以外に生成される副生成物を比較的簡易な処理で無毒化や難燃化することができ、自然環境等への影響を大幅に抑制することができる。
【0029】
ここで、上記電源システムは、第1の電源手段から出力される第1の電力により駆動する負荷に対して、システム全体が着脱可能な構成、又は、該負荷に対して、少なくとも燃料封入部が着脱可能な構成、もしくは、発電モジュールに対して、燃料封入部が着脱可能な構成を有していることが好ましい。これによれば、燃料封入部に封入された発電用燃料がなくなったときや少なくなったときに、燃料封入部を発電モジュールから取り外して新たな燃料封入部に交換、あるいは、燃料封入部に発電用燃料を注入して補充することができるので、発電モジュールを継続的に利用することができるとともに、電源システム全体又は燃料封入部をあたかも汎用の化学電池のように簡便に使用することができる。また、燃料封入部の交換や回収が可能となるので、電源システム自体の廃棄量を削減することができる。
【0030】
本発明に係る電源システムは、発電用燃料が封入された燃料封入部と、該燃料封入部から供給される前記発電用燃料を用いて電力を発生する発電モジュールと、前記燃料封入部に封入された発電用燃料の残量の減衰にしたがって、前記発電用燃料の供給量を逓減して前記発電モジュールにより生成される電力の発生量を低下させる制御する出力制御部と、を備えることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電池システムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明に係る電源システムが適用される全体の概要について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電源システムの適用形態を示す概念図である。
【0032】
本発明に係る電源システム1は、例えば、図1(a)、(b)に示すように、特定の電気・電子機器のほか、汎用の一次電池や二次電池により動作する既存の電気・電子機器(図1では、情報携帯端末を示す:以下、「デバイス」と総称する)DVCに対して、その全体もしくは一部が任意に装着及び取り外し(矢印P1参照)が可能であるとともに、該電源システム1の全体もしくはその一部が単独で携帯が可能なように構成され、かつ、電源システム1の所定の位置(例えば、後述するように、汎用の一次電池や二次電池と同等の位置)にプラス(+)極及びマイナス(−)極からなる電極が設けられた構成を有している。
【0033】
次に、本発明に係る電池システムの基本構成について説明する。
図2は、本発明に係る電源システムの基本構成を示すブロック図である。
本発明に係る電源システム1は、図2(a)に示すように、大別して、液体燃料又は液化燃料又は気体燃料からなる発電用燃料FLが封入された燃料パック(燃料封入部)20と、少なくとも、該燃料パック20から供給される発電用燃料FLに基づいて、上記デバイスDVCの駆動状態(負荷状態)に対応した電力EGを発生(発電)する発電モジュール10と、燃料パック20及び発電モジュール10相互を物理的に結合するとともに、燃料パック20に封入された発電用燃料FLを発電モジュール10に供給する燃料送出経路等を備えたインターフェース部(以下、「I/F部」と略記する)30と、を有し、各構成が相互に、もしくは、任意の形態で分離(着脱)可能に、あるいは、一体的に構成されている。ここで、I/F部30は、図2(a)に示したように、上記燃料パック20及び発電モジュール10と独立した構成を有しているものであってもよいし、図2(b)、(c)に示すように、上記燃料パック20又は発電モジュール10のいずれかと一体的に、あるいは、燃料パック20又は発電モジュール10の双方に分割して構成されているものであってもよい。
【0034】
以下、各ブロックの構成について、具体的に説明する。
[第1の実施形態]
(A)発電モジュール10
図3は、本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第1の実施形態を示すブロック図である。
【0035】
図3に示すように、本実施形態に係る発電モジュール10Aは、大別して、I/F部30を介して燃料パック20から供給される発電用燃料を用いて、所定の電力(第2の電力)を、常時、自立的に発生して、少なくとも、電源システム1に接続されるデバイスDVCに内蔵され、負荷LD(デバイスDVCの各種機能を有する素子又はモジュール)の駆動制御を行うコントローラCNTの駆動電力(コントローラ電力)、及び、発電モジュール10A内に設けられた後述する動作制御部13の動作電力として出力する副電源部(第2の電源手段)11と、副電源部11から供給される電力により動作し、電源システム1全体の動作状態を制御する動作制御部13と、I/F部30を介して燃料パック20から供給される発電用燃料又は該発電用燃料から抽出された特定の燃料成分を用いて、所定の電力(第1の電力)を発生して、少なくとも、電源システム1に接続されるデバイスDVCの各種機能(負荷LD)を駆動する負荷駆動電力として出力する主発電部(第1の電源手段)12と、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、少なくとも、主発電部12への発電用燃料の供給量を制御する出力制御部14と、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、少なくとも、主発電部12を待機状態から発電可能な動作状態に移行(起動)するように制御する起動制御部15と、を有して構成されている。ここで、本実施形態に係る動作制御部13、出力制御部14及び起動制御部15は、本発明におけるシステム制御手段を構成する。
【0036】
また、発電モジュール10Aは、発電モジュール10A内又はI/F部30A内もしくは燃料パック20EAのいずれか(ここでは、発電モジュール10A内)に、燃料パック20Aに残存する発電用燃料FLの量(残量)を検出し、その残量検出信号を上記動作制御部13に出力する残量検出部16が設けられた構成を有している。
すなわち、本実施形態に係る電源システム1は、システムの外部(発電モジュール10A、燃料パック20及びI/F部30以外)からの燃料供給や制御に依存することなく、電源システム1に接続されるデバイスDVCに対して、所定の電力(負荷駆動電力)を出力可能なように構成されている。
【0037】
<副電源部11>
本実施形態に係る発電モジュールに適用される副電源部11は、図3に示したように、燃料パック20から供給される発電用燃料FLが有する物理的又は化学的エネルギー等を用いて、電源システム1の起動動作に必要な所定の電力(第2の電力)を、常時、自立的に発生する構成を有している。そして、この電力は、大別して、デバイスDVCに内蔵され、その駆動状態を制御するコントローラの駆動電力(コントローラ電力)、並びに、発電モジュール10A全体の動作状態を制御する動作制御部13及び燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLの残量を検出する残量検出部16の動作電力として常時供給される電力E1と、発電モジュール10Aの起動時に、少なくとも、出力制御部14(構成によっては、主発電部12を含む)及び起動制御部15、残量検出部16に対して、起動電力(電圧・電流)として供給される電力E2からなる。なお、残量検出部16の動作電力となる電力は、常時供給されるもののほか、起動制御部15による発電モジュール10Aの起動時以降に供給されるように構成されていてもよい。
【0038】
副電源部11の具体的な構成としては、例えば、燃料パック20から供給される発電用燃料FLを用いた電気化学反応によるもの(燃料電池)や触媒燃焼反応等に伴う熱エネルギーによるもの(温度差発電)を良好に適用することができるほか、燃料パック20に封入された発電用燃料FLの封入圧力や燃料の気化によって生じるガス圧力を用いて発電器を回転させて電力を発生する力学的なエネルギー変換作用等によるもの(ガスタービン発電等)、また、発電用燃料FLを栄養源とする微生物等による代謝(光合成、呼吸等)により生じる電子を捕獲し、直接電力へと変換するもの(生物化学発電)、上記封入圧力やガス圧力に基づく発電用燃料FLの流体エネルギーにより生じる振動エネルギーを電磁誘導の原理を利用して電力に変換するもの(振動発電)、二次電池(充電池)やコンデンサ等の電力蓄積手段単体からの放電によるもの、さらには、上述した発電を行う各構成により生成された電力を、電力蓄積手段(二次電池やコンデンサ等)に蓄積して放出(放電)させるようにしたもの等を適用することができる。
【0039】
以下に、各々の具体例について、図面を参照して簡単に説明する。
(副電源部の第1の構成例)
図4は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第1の構成例を示す概略構成図である。ここでは、上述した電源システムの構成(図3)を適宜参照しながら説明する。
第1の構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パック20から直接供給される発電用燃料FLを用い、電気化学反応により電力(第2の電力)を発生する燃料直接供給方式を採用した固体高分子型の燃料電池の構成を有している。
【0040】
図4に示すように、本構成例に係る副電源部11Aは、概略、所定の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる燃料極(カソード)111と、所定の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる空気極(アノード)112と、燃料極111と空気極112の間に介装されたイオン導電膜(交換膜)113と、を有して構成されている。ここで、燃料極111には、燃料パック20に封入された発電用燃料(例えば、メタノール等のアルコール類及び水)が直接供給され、一方、空気極112には大気中の酸素ガス(O)が供給される。
【0041】
この副電源部(燃料電池)11Aにおける電気化学反応の一例は、具体的には、メタノール(CHOH)及び水(HO)が燃料極111に直接供給されると、次の化学反応式(1)に示すように、触媒反応により電子(e)が分離して水素イオン(プロトン;H)が発生し、イオン導電膜113を介して空気極112側に通過するとともに、燃料極111を構成する炭素電極により電子(e)が取り出されて負荷114(電源システム内外の所定の構成;ここでは、デバイスDVCのコントローラCNT、動作制御部13、主発電部12、出力制御部14等)に供給される。なお、この触媒反応により生成される水素イオン以外の微量の二酸化炭素(CO)は、例えば、燃料極111側から大気中に排出される。
CHOH+HO → 6H+6e+CO ・・・(1)
【0042】
一方、空気極112に空気(酸素O)が供給されると、次の化学反応式(2)に示すように、触媒反応により負荷114を経由した電子(e)とイオン導電膜113を通過した水素イオン(H)と空気中の酸素ガス(O)が反応して水(HO)が生成される。
6H+(3/2)O+6e → 3HO ・・・(2)
【0043】
このような一連の電気化学反応(化学反応式(1)及び(2))は、概ね室温程度の比較的低温の環境下で進行する。ここで、空気極112で発生する副生成物である水(HO)を回収し、燃料極111側に必要量を供給することにより、上記化学反応式(1)に示した触媒反応の原料物質として再利用することができるとともに、燃料パック20に予め備蓄(封入)される水(HO)の量を大幅に減らすことができるので、燃料パック20の容積を大幅に縮小しつつ、副電源部11を長時間、継続的に動作させて、所定の電力を供給することが可能となる。なお、空気極112で発生する水(HO)等の副生成物を回収、再利用する副生成物回収手段の構成については、主発電部12における同様の構成と併せて後述する。
【0044】
このような構成を有する燃料電池を副電源部に適用することにより、他の方式(例えば、後述する燃料改質型の燃料電池)に比較して周辺構成を必要としないので、副電源部11Aの構成を簡素化かつ小型化することができるとともに、例えば、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30に設けられた燃料輸送管を介して毛細管現象により所定量の発電用燃料が副電源部11A(燃料極111)に自動的に送入されて、上記化学反応式(1)及び(2)に基づく、発電動作を開始、継続することができる。
【0045】
したがって、燃料パック20からの発電用燃料の供給が継続する限り、副電源部11Aにより所定の電力が常時、自立的に生成され、デバイスDVCのコントローラ電力並びに動作制御部13及び残量検出部16の動作電力、さらには、主発電部12又は出力制御部14に対する起動電力として供給することができる。また、上述したような燃料電池においては、発電用燃料から電気化学反応を利用して直接電力を発生しているので、極めて高い発電効率を実現することができ、エネルギー資源の有効利用や副電源部を含む発電モジュールの小型化を図ることができるとともに、振動や騒音がないので、汎用の一次電池や二次電池と同様に、広範な機器への利用が可能となる。
【0046】
なお、本構成例における燃料電池においては、燃料パック20から供給される発電用燃料としてメタノールを適用した場合についてのみ示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも、水素元素を少なくとも有する液体燃料、液化燃料、及び気体燃料のいずれかであればよい。具体的には、上述したメタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス(CNG)等の炭化水素からなる液化燃料、あるいは、水素ガス等の気体燃料であって、特に、燃料パック20から副電源部11Aに供給される際の常温、常圧等の所定の環境条件の下で気体状態にあるものを良好に適用することができる。
【0047】
(副電源部の第2の構成例)
図5は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第2の構成例を示す概略構成図である。
第2の構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封入された発電用燃料が有する圧力エネルギー(封入圧力やガス圧力)により圧力駆動機関(ガスタービン)を駆動し、その駆動エネルギーを電力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0048】
図5(a)、(b)に示すように、本構成例に係る副電源部11Bは、概略、複数の羽根が円周の所定の方向に沿って湾曲しつつ、略放射状に配列され、かつ、自在に回転が可能なように構成された可動羽根122aと、可動羽根122aの回転中心に直結され、周知の電磁誘導あるいは圧電変換の原理に基づいて、可動羽根122aの回転エネルギーを電力に変換する発電器125と、複数の羽根が可動羽根122aの外周側に沿って、可動羽根122aとは逆方向に湾曲しつつ、略放射状に配列され、かつ、可動羽根122aに対して相対的に固定された固定羽根122bと、可動羽根122aと固定羽根122bとからなるガスタービン122への気化された発電用燃料(燃料ガス)の供給を制御する吸気制御部123と、ガスタービン122通過後の発電用燃料の排出を制御する排気制御部124と、を有して構成されている。ここで、ガスタービン122、吸気制御部123及び排気制御部124からなる副電源部11Bの構成は、半導体製造技術等により蓄積された微細加工技術をはじめとする、いわゆる、マイクロマシン製造技術を適用することにより、例えば、単一のシリコンチップ121上の微小空間に集積化して形成することができる。なお、図5(a)においては、ガスタービン122の構成を明確にするために、可動羽根122a及び固定羽根122bが便宜的に露出するように示した。
【0049】
このような副電源部11Bにおいて、例えば、図5(b)に示すように、吸気制御部123を介してガスタービン122の固定羽根122b側から可動羽根122a側に、燃料パック20内に封入された液体燃料が気化した高圧の燃料ガスを吸入(矢印P2参照)することにより、固定羽根122bの湾曲方向に沿って燃料ガスの渦流が生じ、該渦流によって、可動羽根122aが所定の方向に回転して、発電器125を駆動する。これにより、燃料ガスが有する圧力エネルギーがガスタービン122及び発電器125を介して電力に変換される。
【0050】
すなわち、本構成例に係る副電源部11Bに適用される発電用燃料は、少なくとも、吸気制御部123が開放されてガスタービン122に吸入される際に高圧気体の状態で吸入され、また、排気制御部124が開放されてガスタービン122内の気体が、気圧の低い方、例えば、常圧である外気に向けて排出されることに伴って生じる圧力差に基づく気体の流動により、可動羽根122aを所定の方向に所定の回転速度(又は、回転数)で回転させ、発電器125において所定の電力を発生する。
【0051】
そして、可動羽根122aの回転に寄与し、圧力が低下した(圧力エネルギーが消費された)燃料ガスは、排気制御部124を介して副電源部11Bの外部に排出される。なお、図3に示した発電モジュール10Aにおいては、副電源部11から排出された燃料ガス(排出ガス)をそのまま電源システム1の外部に排出する構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、後述する実施形態に示すように、主発電部12における発電用燃料として再度利用する構成を有するものであってもよい。
【0052】
したがって、本構成例に係る副電源部11Bにおいては、燃料パック20から供給される発電用燃料(燃料ガス)FLは、必ずしも燃焼性(あるいは、可燃性)を有している必要はなく、特に、電力の生成に利用された燃料ガスを、そのまま電源システム1の外部に排出する構成にあっては、発電用燃料FLを排出ガスとして排出することを考慮すれば、不燃性又は難燃性を有し、さらに、毒性がない方が望ましい。なお、発電用燃料が燃焼性又は毒性がある成分を含む物質からなる場合は、排出ガスを外部に排出する前に難燃化や無毒化する処理が必要となることはいうまでもない。
【0053】
なお、本構成例に係る副電源部11Bのように、燃料ガスの圧力エネルギーに基づいて、電力を発生する構成においては、燃料ガスが副電源部11B(ガスタービン122)内を通過するのみで、上述した燃料電池における電気化学反応のように、副生成物(水等)が発生することがないので、発電用燃料として不燃性又は難燃性であって、毒性がない物質を適用する場合や、燃焼性又は毒性を有する物質であっても、電源システム1の外部に排出する前に難燃化や無毒化する処理を行う構成を有している場合には、排出ガスを回収する手段を備える必要はない。
【0054】
このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、上述した第1の構成例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30を介して高圧の発電用燃料(燃料ガス)FLが副電源部11B(ガスタービン122)に自動的に送入されて、上記発電動作を開始、継続することができ、さらに、発電用燃料FLの供給が継続する限り、副電源部11Bにより所定の電力を常時、自立的に生成して、電源システム1内外の所定の構成に供給することができる。
【0055】
(副電源部の第3の構成例)
図6は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第3の構成例を示す概略構成図である。
第3の構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封入された発電用燃料FLが有する圧力エネルギー(封入圧力やガス圧力)により圧力駆動機関(ロータリーエンジン)を駆動し、その駆動エネルギーを電力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0056】
図6に示すように、第3の構成例に係る副電源部11Cは、外周が概略、楕円型の作動空間131aを有するハウジング131と、作動空間131aの内壁に沿って中心軸133の周囲を回転する略三角形状の断面を有するローター132と、中心軸133に直結された発電器(図示を省略)と、を有して構成されている。ここで、副電源部11Cの構成は、上述した各構成例と同様に、マイクロマシン製造技術を適用することにより、例えば、ミリメートルオーダーの微小空間に集積化して形成することができる。
【0057】
このような構成を有する副電源部11Cにおいて、吸気口134aからほぼ常温に保たれている作動空間131a内に液体の状態の燃料を封入すると、燃料が気化膨張するとともに、排気口134b側を低圧、例えば、常圧に制御することにより、作動空間131aの内壁とローター132により形成される各作動室間に気圧差が生じ、図6(a)〜(c)に示すように、気化した燃料ガスが吸入口134aから排気口134b方向に流動することにより、燃料ガスの圧力によりローター132がその内周を中心軸133の外周に沿うように回転する(矢印P3)。これにより、燃料ガスが有する圧力エネルギーが中心軸133の回転エネルギーに変換されて、該中心軸133に接続された発電器により電力に変換される。
【0058】
ここで、本構成例に適用される発電器は、上述した第2の構成例と同様に、電磁誘導や圧電変換等の周知の原理を用いた発電器を良好に適用することができる。
また、本構成例においても、燃料ガスの圧力エネルギーに基づいて、電力を発生する構成を有しているので、燃料ガスは副電源部11C(ハウジング131内の作動空間131a)内を通過するのみで、電力が生成されるので、発電用燃料として必ずしも燃焼性(あるいは、可燃性)を有している必要はなく、少なくとも、副電源部11Cに供給される際の常温、常圧等の所定の環境条件の下で、気化して所定の体積に膨張されるような高圧の燃料ガスとなる物質であれば良好に適用することができる。
【0059】
したがって、このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30を介して高圧の発電用燃料(燃料ガス)FLが副電源部11C(作動空間131a)に自動的に送入されて、上記発電動作を開始、継続することができ、さらに、発電用燃料FLの供給が継続する限り、副電源部11Cにより所定の電力を常時、自立的に生成して、電源システム1内外の所定の構成に供給することができる。
【0060】
(副電源部の第4の構成例)
図7は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第4の構成例を示す概略構成図である。
第4の構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封入された発電用燃料FLの触媒燃焼反応に基づいて熱エネルギーを発生することにより生じる温度差を利用した熱電変換発電により電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0061】
図7(a)に示すように、第4の構成例に係る副電源部11Dは、概略、発電用燃料FLを触媒燃焼させて熱エネルギーを発生させる触媒燃焼部141と、概ね一定の温度を保持する定温部142と、触媒燃焼部141を第1の温度端、定温部142を第2の温度端として、該第1及び第2の温度端間に接続された熱電変換素子143と、を備えた温度差発電器の構成を有している。ここで、熱電変換素子143は、図7(b)に示すように、2種類の半導体又は金属(以下、便宜的に「金属等」という)MA、MBの端部相互が接合(例えば、金属等MAの両端部に、各々金属等MBが接合)され、各接合部N1、N2が上記触媒燃焼部141(第1の温度端)及び定温部142(第2の温度端)に各々接続された構成を有している。また、定温部142は、例えば、電源システム1が装着されるデバイスDVCに設けられた開口部等を介して、常時外気に晒され、略一定の温度を保持するように構成されている。なお、図7に示した温度差発電器からなる副電源部11Dの構成は、上述した各構成例と同様に、マイクロマシン製造技術を適用することにより、微小空間に集積化して形成することができる。
【0062】
このような構成を有する副電源部11Dにおいて、図7(c)に示すように、燃料パック20に封入された発電用燃料(燃焼ガス)FLがI/F部30を介して、触媒燃焼部141に供給されると、触媒燃焼反応により発熱して、触媒燃焼部141(第1の温度端)の温度が上昇する。一方、定温部142の温度は、ほぼ一定に保持されるように構成されているので、触媒燃焼部141と定温部142との間には温度差が発生する。そして、この温度差に基づいて、熱電変換素子143におけるゼーベック効果により、所定の起電力が発生して電力が生成される。
【0063】
具体的には、第1の温度端(接合部N1)における温度をTa、第2の温度端(接合部N2)における温度をTb(<Ta)と規定した場合、該温度Ta、Tb間の差が微小である場合には、図7(b)に示した出力端子Oa、Ob間に、Vab=Sab×(Ta−Tb)の電圧が生じる。ここで、Sabは、金属等MA、MBの相対ゼーベック係数である。
【0064】
したがって、このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30を介して発電用燃料(液体燃料又は液化燃料又は気体燃料)が副電源部11D(触媒燃焼部141)に自動的に送入されて、触媒燃焼反応に伴う熱エネルギーが発生し、上記温度差発電器による発電動作を開始、継続することができ、さらに、発電用燃料FLの供給が継続する限り、副電源部11Dにより所定の電力を常時、自立的に生成して、電源システム1内外の所定の構成に供給することができる。
【0065】
なお、本構成例においては、触媒燃焼部141と定温部142における温度差に基づいて、ゼーベック効果により電力を発生する温度差発電器について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、金属の加熱により金属表面から自由電子が放出される熱電子放出現象に基づいて、電力を発生する構成を有するものであってもよい。
【0066】
(副電源部の第5の構成例)
図8は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第5の構成例を示す概略構成図である。
第5の構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封入された発電用燃料(液体燃料)FLが気化反応に基づいて熱エネルギーを吸収することにより生じる温度差を利用した熱電変換発電により電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0067】
図8(a)に示すように、第5の構成例に係る副電源部11Eは、概略、発電用燃料(特に、液化燃料)FLを気化させた場合に熱エネルギーを吸収することにより実現される冷熱を保持する冷熱保持部151と、概ね一定の温度を保持する定温部152と、冷熱保持部151を第1の温度端、定温部152を第2の温度端として、第1及び第2の温度端間に接続された熱電変換素子153と、を備えた温度差発電器の構成を有している。ここで、熱電変換素子153は、上述した第4の構成例(図7(b)参照)に示したものと同等の構成を有している。また、定温部152は、電源システム1内外の他の領域に接触又は晒されることにより、略一定の温度を保持するように構成されている。なお、図8に示した温度差発電器からなる副電源部11Eの構成も、上述した各構成例と同様に、微小空間に集積化して形成される。
【0068】
このような構成を有する副電源部11Eにおいて、図8(b)に示すように、例えば、燃料パック20に所定の圧力条件で封入された発電用燃料(液化燃料)FLがI/F部30を介して、副電源部11Eに供給され、常温、常圧等の所定の環境条件に移行することにより、発電用燃料FLが気化し、その際、周囲から熱エネルギーを吸収して、冷熱保持部151の温度が低下する。一方、定温部152の温度は、ほぼ一定に保持されるように構成されているので、冷熱保持部151と定温部152との間には温度差が発生する。そして、この温度差に基づいて、熱電変換素子153におけるゼーベック効果により、上述した第4の構成例に示したものと同様に、所定の起電力が発生して電力が生成される。
【0069】
したがって、このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30を介して発電用燃料(液化燃料)FLが副電源部11Eに自動的に送入されて、気化反応により熱エネルギーが吸収されて冷熱が生じ、上記温度差発電器による発電動作を開始、継続することができ、さらに、発電用燃料FLの供給が継続する限り、副電源部11Eにより所定の電力を常時、自立的に生成して、電源システム1内外の所定の構成に供給することができる。
なお、本構成例においては、冷熱保持部151と定温部152における温度差に基づいて、ゼーベック効果により電力を発生する温度差発電器について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、熱電子放出現象に基づいて、電力を発生する構成を有するものであってもよい。
【0070】
(副電源部の第6の構成例)
図9は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第6の構成例を示す概略構成図である。
第6の構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封入された発電用燃料に対する生物化学的な反応を利用して電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0071】
図9に示すように、第6の構成例に係る副電源部11Fは、概略、発電用燃料を栄養源として成育する微生物や生体触媒(以下、便宜的に「微生物等」という)BIOが貯蔵された生体培養槽161と、該生体培養槽161内に設けられた陽極側電極161a及び陰極側電極161bと、を備えた構成を有している。このような構成において、燃料パック20からI/F部30を介して発電用燃料FLを供給することにより、上記生体培養槽161内で微生物等BIOによる呼吸等の代謝等(生物化学的反応)が生じて電子(e)が生成される。そして、この電子を陽極側電極161aにより捕獲することにより、出力端子Oa、Obから所定の電力が得られる。
【0072】
したがって、このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30を介して微生物等BIOの栄養源となる発電用燃料FLが副電源部11F(生体培養槽161)に自動的に送入されて、微生物等BIOの生物化学的な反応による発電動作が開始され、さらに、発電用燃料の供給が継続する限り、所定の電力を常時、自立的に生成して、電源システム1内外の所定の構成に供給することができる。
なお、上記生物化学的反応において、微生物等BIOによる光合成を利用して電力の生成を行う場合にあっては、例えば、電源システム1が装着されるデバイスDVCに設けられた開口部等を介して、外光が入射するように構成することにより、所定の電力を常時自立的に生成して供給することができる。
【0073】
(副電源部の第7の構成例)
図10は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第7の構成例を示す概略構成図である。
第7の構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パック20から供給される発電用燃料の流体移動により生じる振動エネルギーを電力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0074】
図10(a)に示すように、第7の構成例に係る副電源部11Gは、概略、液体又は気体からなる発電用燃料が所定方向に移動することにより、少なくとも一端側が振動可能なように構成され、その振動端171aに電磁コイル173が設けられた振動子171と、電磁コイル173に対向して永久磁石174が設けられ、発電用燃料の移動に対して振動を生じない固定子172と、を備えた振動発電器としての構成を有している。このような構成において、図10(b)に示すように、燃料パック20からI/F部30を介して発電用燃料FLを供給することにより、発電用燃料FLの流動方向に対して概ね直交する方向(図中、矢印P4)に、固定子172に対して振動子171(振動端171a)が所定の振動数で振動を生じる。この振動により永久磁石174と電磁コイル173間の相対位置に変化が生じることにより、電磁誘導が発生して、電磁コイル173を通じて所定の電力が得られる。
【0075】
したがって、このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30を介して流体としての発電用燃料FLが副電源部11Gに自動的に送入されて、流体移動に伴う振動子171の振動エネルギーの変換による発電動作が開始され、さらに、発電用燃料FLの供給が継続する限り、所定の電力を常時、自立的に生成して、電源システム1内外の所定の構成に供給することができる。
【0076】
なお、上述した各構成例は、発電モジュール10Aに適用される副電源部11の一例を示したに過ぎず、本発明に係る電源システムの構成を何ら限定するものではない。要するに、本発明に適用される副電源部11は、燃料パック20に封入された液体燃料又は液化燃料又は気体燃料が直接的に供給されることにより、副電源部11内部で電気化学反応や電磁誘導、発熱、吸熱反応に伴う温度差等、エネルギーの変換作用に基づいて電力を発生することができるものであれば、他の構成を有するものであってもよく、例えば、ガスタービンやロータリーエンジン以外のガス圧力駆動エンジンと電磁誘導や圧電変換による発電器とを組み合わせたものであってもよいし、次に示すように、上述した各副電源部11と同等の発電装置に付加して、電力蓄積手段(蓄電装置)を備え、副電源部11により発電された電力(第2の電力)の一部を蓄電した後、電源システム1(主発電部12)の起動時に、主発電部12又は出力制御部14に対して起動電力として供給するように構成したものを適用することもできる。
【0077】
(副電源部の第8の構成例)
図11(a)、図11(b)は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第8の構成例を示す概略構成図である。
図11(a)に示すように、第8の構成例に係る副電源部11Hは、概略、燃料パック20に封入された発電用燃料(液体燃料又は液化燃料又は気体燃料)FLがI/F部30に設けられ燃料輸送管を介して毛細管現象により直接的に供給されることにより自立的に電力(第2の電力)を発生することができる発電装置(例えば、上述した各構成例に示した副電源部)181と、該発電装置181により生成された電力の一部を蓄積する2次電池又はコンデンサ等からなる電荷蓄積部182と、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、電荷蓄積部182への電力の蓄積、放出を切り換え設定するスイッチ183と、を備えた構成を有している。
【0078】
このような構成において、燃料パックからの発電用燃料の供給が持続している間、常時駆動している発電装置181により生成された電力は、デバイスDVCのコントローラ電力及び動作制御部13の動作電力として出力されるとともに、その一部がスイッチ183を介して電荷蓄積部182に蓄積される。そして、例えば、動作制御部13が、デバイスDVCのコントローラCNTから出力される、負荷LDがオフ状態から起動してオン状態に切り替わる負荷駆動情報を端子部184を介して受け取り、デバイスDVC(負荷LD)の駆動を検出した場合には、動作制御部13から出力される動作制御信号に基づいて、スイッチ183の接続状態が切り替わり、電荷蓄積部182に蓄積されていた電力が主発電部12又は出力制御部14に対して起動電力として供給される。
【0079】
したがって、このような構成を有する副電源部によれば、発電装置181により単位時間当たりに生成される電力を駆動電力特性の低いもの(微弱な電力)に設定した場合であっても、電荷蓄積部182に蓄積された電力を瞬時に放出することにより、主発電部12又は出力制御部14に対して、十分に駆動電力特性が高い電力を供給することができる。よって、発電装置181の発電能力を十分小さいものに設定することができるので、副電源部11の構成を小型化することができる。
【0080】
また、図11(b)に示すように発電装置181を省略して予めチャージアップされた電荷蓄積部182のみを副電源部として構成するようにしてもよい。電荷蓄積部182は、コントローラCNTへのコントローラ電力及び負荷LDへの負荷駆動電力を供給する機能を有する。負荷LDでの負荷駆動電力の消費に伴い電荷蓄積部182の電荷蓄積量が所定の量まで減衰することを動作制御部13が検知したら、電荷蓄積部182と、出力制御部14及び主発電部12との間で起動制御部として機能するスイッチ183が閉じて、電荷蓄積部182が出力制御部14及び主発電部12に駆動電力を供給する。次いで、駆動開始した出力制御部14が主発電部12に燃料等を供給し、主発電部12は発電して電荷蓄積部182をチャージアップさせる。そして、動作制御部13からの動作制御信号に基づいてスイッチ183を切り替えると、電荷蓄積部182で蓄積された電荷が負荷駆動電力として負荷LDに出力される。電荷蓄積部182で蓄積された電荷になれば主発電部12の発電は停止する。このような構造にすれば、デバイスDVCのコントローラCNTから負荷駆動情報を得ることなしに電荷蓄積部182の電荷の蓄積状態のみで主発電部12が発電及び発電の停止を行うので、端子部184及び起動制御部15が不要となり、デバイスDVCもコントローラCNTから負荷駆動情報を提供する構造でなくてもよい。
【0081】
上記実施形態では、スイッチ182は電荷蓄積部182から主発電部12及び出力制御部14への電力供給並びに主発電部12から電荷蓄積部182への電荷の蓄積と、電荷蓄積部182から負荷LDへの負荷駆動電力の供給と、に切り替えたが、電荷蓄積部182から主発電部12及び出力制御部14への電力供給並びに主発電部12から電荷蓄積部182への電荷の蓄積と、主発電部12から負荷LDへの負荷駆動電力の直接供給と、に切り替えてもよい。
【0082】
<主発電部12>
本実施形態に係る発電モジュールに適用される主発電部12は、図3に示したように、動作制御部13による起動制御に基づいて、燃料パック20から供給される発電用燃料FLが有する物理的又は化学的エネルギー等を用いて、デバイスDVC(負荷LD)を駆動するために必要な所定の電力(第1の電力)を発生する構成を有している。主発電部12の具体的な構成としては、例えば、燃料パック20から供給される発電用燃料FLを用いた電気化学反応によるもの(燃料電池)や、燃焼反応に伴う熱エネルギーによるもの(温度差発電)、燃焼反応等に伴う圧力エネルギーを用いて発電器を回転させて電力を発生する力学的なエネルギー変換作用等によるもの(内燃、外燃機関発電)、また、発電用燃料FLの流体エネルギーや熱エネルギーを電磁誘導の原理等を利用して電力に変換するもの(電磁流体力学発電、熱音響効果発電等)等、種々の形態を適用することができる。
【0083】
ここで、主発電部12により生成される電力(第1の電力)は、デバイスDVC全体の各種機能(負荷LD)の駆動を行う主電源であるため、駆動電力特性が高く設定される。したがって、上述した副電源部11により生成され、デバイスDVCのコントローラ電力や動作制御部13、残量検出部16の動作電力等となる電力(第2の電力)とはその性質を異にする。
【0084】
以下に、各々の具体例について、図面を参照して簡単に説明する。
(主発電部の第1の構成例)
図12は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第1の構成例を示す概略構成図であり、図13は、本構成例に係る主発電部に適用される燃料改質部における水素生成過程を示す概念図である。ここでは、上述した電源システムの構成(図3)を適宜参照しながら説明する。
第1の構成例においては、主発電部の具体例として、燃料パック20から出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを用い、電気化学反応により電力を発生する燃料改質方式を採用した固体高分子型の燃料電池の構成を有している。
【0085】
図12に示すように、主発電部12Aは、大別して、燃料パック20から供給される発電用燃料FLに対して所定の改質反応を利用して、発電用燃料FLに含有される所定の燃料成分(水素)を抽出する燃料改質部(燃料改質器)210aと、燃料改質部210aにより抽出された燃料成分を利用して電気化学反応により、負荷214(負荷LD)を駆動するための所定の電力(第1の電力)を発生する燃料電池本体210bと、を有して構成されている。
【0086】
燃料改質部210aは、図13(a)に示すように、概略、燃料パック20から出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLに対して、蒸発及び水蒸気改質反応からなる各過程を介して、燃料成分を抽出し、燃料電池本体210bに供給する。例えば、メタノール(CHOH)及び水(HO)を発電用燃料FLとして、水素ガス(H)を生成する場合にあっては、まず、蒸発過程において、液体燃料であるメタノール及び水をヒータで概ね100℃以上に加熱することにより、メタノール(CHOH)及び水(HO)を気化させる。
【0087】
次いで、水蒸気改質反応過程においては、上記気化したメタノール(CHOH)及び水(HO)をヒータで概ね300℃若しくはそれ以上の温度に加熱することにより、49.4kJ/molの熱エネルギーを吸熱して、次の化学反応式(3)に示すように、水素(H)と微量の二酸化炭素(CO)が生成される。なお、この水蒸気改質反応においては、水素(H)と二酸化炭素(CO)以外に副生成物として微量の一酸化炭素(CO)が生成される場合がある。
CHOH+HO → 3H+CO ・・・(3)
【0088】
ここで、図13(b)に示すように、水蒸気改質反応において副生成物として生成される一酸化炭素(CO)を除去するための選択酸化触媒部210cを燃料改質部210aの後段に付設して、水性シフト反応及び選択酸化反応からなる各過程を介して、一酸化炭素(CO)を二酸化炭素(CO)及び水素(H)に変換して、有害物質の排出を抑止するように構成してもよい。具体的には、水性シフト反応過程において、一酸化炭素(CO)に対して水(水蒸気;HO)を反応させることにより40.2kJ/molの熱エネルギーを発熱して、次の化学反応式(4)に示すように、二酸化炭素(CO)と水素(H)が生成される。
CO+HO →CO+H ・・・(4)
【0089】
さらに、選択酸化反応過程において、水性シフト反応により二酸化炭素(CO)と水素(H)に変換されなかった一酸化炭素(CO)に対して酸素(O)を反応させることにより283.5kJ/molの熱エネルギーを発熱して、次の化学反応式(5)に示すように、二酸化炭素(CO)が生成される。
CO+(1/2)O →CO ・・・(5)
上記一連の燃料改質反応により生成される水素以外の微量の生成物(主に、二酸化炭素)は、発電モジュール10Aに設けられた排出孔(図示を省略;具体構成例において後述する)を介して、大気中に排出される。
なお、このような機能を有する燃料改質部の具体的な構成については、他の構成とともに、後述する具体構成例において詳しく説明する。
【0090】
燃料電池本体210bは、図12に示すように、上述した副電源部11に適用される燃料直接供給方式の燃料電池と同様に、概略、例えば、白金やパラジウム、さらには白金・ルテニウム等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる燃料極(カソード)211と、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる空気極(アノード)212と、燃料極211と空気極212の間に介装されたフィルム状のイオン導電膜(交換膜)213と、を有して構成されている。ここで、燃料極211には、後述する出力制御部14により供給量が制御された発電用燃料FLから、上記燃料改質部210aにより抽出された水素ガス(H)が供給され、一方、空気極212には大気中の酸素ガス(O)が供給される。これにより、以下に示す電気化学反応により発電が行われ、負荷214(デバイスDVCの負荷LD)に対して所定の駆動電力(電圧・電流)となる電力が供給される。
【0091】
本構成例に係る主発電部12における電気化学反応の一例は、具体的には、燃料極211に水素ガス(H)が供給されると、次の化学反応式(6)に示すように、燃料極211における触媒反応により電子(e)が分離して水素イオン(プロトン;H)が発生し、イオン導電膜213を介して空気極212側に通過するとともに、燃料極211を構成する炭素電極により電子(e)が取り出されて負荷214に供給される。
3H → 6H+6e ・・・(6)
【0092】
一方、空気極212に空気が供給されると、次の化学反応式(7)に示すように、空気極212における触媒反応により負荷214を経由した電子(e)とイオン導電膜213を通過した水素イオン(H)と空気中の酸素ガス(O)が反応して水(HO)が生成される。
6H+(3/2)O+6e → 3HO ・・・(7)
【0093】
このような一連の電気化学反応(化学反応式(6)及び(7))は、概ね60〜80℃の比較的低温の環境下で進行し、電力(負荷駆動電力)以外の副生成物は、基本的に水(HO)のみとなる。ここで、空気極212において生成される副生成物である水(HO)を回収し、上述した燃料改質部210aに必要量を供給することにより、発電用燃料FLの燃料改質反応や水性シフト反応に再利用することができるとともに、燃料改質反応のために燃料パック20に予め備蓄(封入)される水(HO)の量を大幅に減らすことができ、さらには、燃料パック20内に設けられた副生成物を回収する副生成物回収手段への回収量を大幅に減らすことができる。なお、空気極212で発生する水(HO)等の副生成物を回収、再利用する副生成物回収手段の構成については、上述した副電源部11における副生成物回収手段(副電源部11の第1の構成例参照)とともに併せて後述する。
【0094】
なお、上述したような電気化学反応により生成され、負荷214に供給される電力は、主発電部12A(燃料電池本体210bの燃料極211)に供給される水素ガス(H)の量に依存する。したがって、出力制御部14を介して主発電部12に供給される発電用燃料(実質的には水素ガス)FLの量を制御することにより、デバイスDVCに供給される電力を任意に調整することができ、例えば、汎用の化学電池のうちの1種と同等になるように設定することができる。
【0095】
このような構成を有する燃料改質方式の燃料電池を主発電部に適用することにより、出力制御部14により発電用燃料FLの供給量を制御することにより、より効果的に任意の電力を発生することができるので、負荷駆動情報に基づいて、デバイスDVC(負荷LD)の駆動状態に応じた適切な発電動作を実現することができる。また、燃料電池としての構成を適用することにより、電気化学反応により発電用燃料FLから直接電力を発生することができるので、極めて高い発電効率を実現することができ、発電用燃料FLの効率的な消費や主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図ることができる。
【0096】
なお、上述した副電源部(第1の構成例参照)11と同様に、発電用燃料FLとしてメタノールを適用した場合についてのみ示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも、水素元素を少なくとも含む液体燃料又は液化燃料又は気体燃料であればよい。したがって、メタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の常温常圧下で気化される炭化水素からなる液化燃料、あるいは、水素ガス等の気体燃料等を良好に適用することができる。
【0097】
ここで、発電用燃料FLとして、液化された水素や水素ガスをそのまま利用する場合にあっては、本構成例に示したような燃料改質部210aを必要とすることなく、出力制御部14により供給量のみを制御した発電用燃料FLを、燃料電池本体210bに直接供給する構成を適用することができる。また、主発電部12の構成として、燃料改質方式の燃料電池のみを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した副電源部(第1の構成例参照)11と同様に、電力発生効率は低いが燃料直接供給方式の燃料電池を適用して、上記液体燃料や液化燃料、気体燃料等を用いて電力を発生するものであってもよい。
【0098】
(主発電部の第2の構成例)
図14は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第2の構成例を示す概略構成図である。
第2の構成例においては、主発電部の具体例として、燃料パック20から出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを用い、燃焼反応に伴う圧力エネルギーによりガス燃焼タービン(内燃機関)を駆動し、その駆動エネルギーを電力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0099】
図14(a)、(b)に示すように、本構成例に係る主発電部12Bは、概略、複数の羽根が円周の所定の方向に沿って湾曲しつつ、略放射状に配列された吸気羽根222in及び排気羽根222outが連結して、自在に回転が可能なように構成された可動羽根222と、複数の羽根が可動羽根222(吸気羽根222in及び排気羽根222out)の外周側に沿って、可動羽根222とは逆方向に湾曲しつつ、略放射状に配列され、かつ、可動羽根222に対して相対的に固定された吸気羽根223in及び排気羽根223outからなる固定羽根223と、可動羽根222により吸入された発電用燃料(燃料ガス)FLを所定のタイミングで燃焼する燃焼室224と、燃焼室224に吸入された燃料ガスに点火する点火部225と、可動羽根222の回転中心に直結され、周知の電磁誘導あるいは圧電変換の原理に基づいて、可動羽根222の回転エネルギーを電力に変換する発電器228と、可動羽根222と固定羽根223からなるガス燃焼タービンへの気化された燃料ガスの供給(吸入)を制御する吸気制御部226と、ガス燃焼タービンにおける燃焼後の燃料ガス(排出ガス)の排出を制御する排気制御部227と、を有して構成されている。ここで、ガス燃焼タービン、吸気制御部226及び排気制御部227を備えた主発電部12Bの構成は、上述した副電源部11と同様に、マイクロマシン製造技術を適用することにより、例えば、シリコンチップ221上のミリメートルオーダーの微小空間に集積化して形成することができる。なお、図14(a)においては、ガス燃焼タービンの構成を明確にするために、吸気羽根222in、223inが便宜的に露出するように示した。
【0100】
このような主発電部12Bにおいて、例えば、図14(b)に示すように、吸気制御部226を介してガス燃焼タービンの吸気羽根222in、223in側から吸入した燃料ガスを、燃焼室224において所定のタイミングで点火部225で点火、燃焼し、排気羽根222out、223out側から排出することにより(矢印P5)、可動羽根222及び固定羽根223の湾曲方向に沿って燃料ガスの渦流が生じ、該渦流によって、燃料ガスの吸入、排出が自動的に行われて、可動羽根222が所定の方向に連続的に回転し、発電器228を駆動する。これにより、燃料ガスによる燃料エネルギーがガス燃焼タービン及び発電器228を介して電力に変換される。
【0101】
したがって、本構成例に係る主発電部12Bにおいては、燃料ガスの燃焼エネルギーを用いて電力を発生する構成を有しているので、燃料パック20から供給される発電用燃料(燃料ガス)FLは、少なくとも、発火性又は燃焼性を有することが要であり、例えば、メタノールやエタノールブタノール等のアルコール系の液体燃料やジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の常温常圧下で気化される炭化水素からなる液化燃料、水素ガス等の気体燃料を良好に適用することができる。
なお、燃焼後の燃料ガス(排出ガス)を電源システム1の外部にそのまま排出する構成を適用する場合にあっては、排出ガスが燃焼性又は毒性がある成分を含む場合は、排出ガスを外部に排出する前に難燃化や無毒化する処理を行うか、該排出ガスを回収する手段を備える必要があることはいうまでもない。
【0102】
このような構成を有するガス燃焼タービンを主発電部に適用することにより、上述した第1の構成例と同様に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡易な制御方法により、任意の電力を発生することができるので、デバイスDVCの駆動状態に応じた適切な発電動作を実現することができる。また、微細化したガス燃焼タービンとしての構成を適用することにより、比較的高いエネルギー変換効率で電力を発生して、発電用燃料FLの効率的な消費を図りつつ、主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図ることができる。
【0103】
(主発電部の第3の構成例)
図15は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第3の構成例を示す概略構成図である。
第3の構成例においては、主発電部の具体例として、燃料パック20から出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを用い、燃焼反応による圧力エネルギーによりロータリーエンジン(内燃機関)を駆動し、その駆動エネルギーを電力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0104】
図15に示すように、第3の構成例に係る主発電部12Cは、外周が概略、楕円型の作動空間231aを有するハウジング231、及び、作動空間231aの内壁に沿って偏心しながら回転する略三角形状の断面を有するローター232、圧縮された燃料ガスを点火、燃焼させる点火部234を備えた周知のロータリーエンジンと、中心軸233に直結された発電器(図示を省略)と、を有して構成されている。ここで、ロータリーエンジンからなる主発電部12Cの構成は、上述した各構成例と同様に、マイクロマシン製造技術を適用することにより、微小空間に集積化して形成することができる。
【0105】
このような構成を有する主発電部12Cにおいて、ローター232が回転することによる吸気、圧縮、燃焼(爆発)、排気の各行程を繰り返すことにより、燃料ガスの燃焼により生じる圧力エネルギーを回転エネルギーに変換して発電器に伝達する。すなわち、吸気行程においては、図15(a)に示すように、吸気口235aから燃料ガスが吸入されて、作動空間231aの内壁とローター232により形成される所定の作動室ASに充填され、次いで、圧縮行程において、図15(b)に示すように、作動室AS内の燃料ガスが高い圧力に圧縮された後、燃焼行程において、図15(c)に示すように、所定のタイミングで点火部234により燃料ガスを点火、燃焼(爆発)させ、排気行程において、図15(d)に示すように、燃焼後の排出ガスが作動室ASから排気口235bを介して排出される。この一連の駆動行程において、燃焼行程における燃料ガスの爆発、燃焼に伴う圧力エネルギーにより、ローター232の所定方向(矢印P6)への回転が維持されて、中心軸233への回転エネルギーの伝達が継続される。これにより、燃料ガスによる燃焼エネルギーが中心軸233の回転エネルギーに変換されて、該中心軸233に接続された発電器(図示を省略)により電力に変換される。
【0106】
ここで、発電器の構成は、上述した第2の構成例と同様に、電磁誘導や圧電変換による周知の発電器を適用することができる。
また、本構成例においても、燃料ガスの燃焼エネルギーに基づいて、電力を発生する構成を有しているので、発電用燃料(燃料ガス)FLは、少なくとも、発火性又は燃焼性を有することを必要とする。また、燃焼後の燃料ガス(排出ガス)を電源システム1の外部にそのまま排出する構成を適用する場合にあっては、排出ガスが燃焼性又は毒性がある成分を含む場合は、排出ガスを外部に排出する前に難燃化や無毒化する処理を行うか、該排出ガスを回収する手段を備える必要があることはいうまでもない。
【0107】
このような構成を有するロータリーエンジンを主発電部に適用することにより、上述した各構成例と同様に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡易な制御方法により、任意の電力を発生することができるので、デバイスの駆動状態に応じた適切な発電動作を実現することができる。また、微細化したロータリーエンジンとしての構成を適用することにより、比較的簡易な構成、かつ、振動の少ない動作により電力を発生しつつ、主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図ることができる。
【0108】
(主発電部の第4の構成例)
図16は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第4の構成例を示す概略構成図である。ここでは、第4の構成例に適用される周知のスターリングエンジンの基本構造(2ピストン形、ディスプレーサ形)のみを示し、その動作を簡単に説明する。
第4の構成例においては、主発電部の具体例として、燃料パック20から出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを用い、燃焼反応による熱エネルギーによりスターリングエンジン(外燃機関)を駆動し、その駆動エネルギーを電力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0109】
第4の構成例に係る主発電部12Dにおいて、2ピストン形スターリングエンジンは、図16(a)に示すように、概略、互いに作動ガスが往復可能に構成された高温(膨張)側のシリンダ241a及び低温(圧縮)側のシリンダ242a、これらのシリンダ241a、242a内にあって、互いに90°の位相差を有して往復運動するようにクランク軸243に接続された高温側ピストン241b及び低温側ピストン242b、高温側のシリンダ241aを加熱する加熱器244、低温側のシリンダ242aを冷却する冷却器245、クランク軸243の軸芯に接続されたフライホイール246を備えた周知のスターリングエンジンと、クランク軸243に直結された発電器(図示を省略)と、を有して構成されている。
【0110】
このような構成を有する主発電部12Dにおいては、高温側のシリンダ241aを燃料ガスの燃焼に伴う熱エネルギーにより常時加熱し、低温側のシリンダ242aを外気等、電源システム1内外の他の領域に接触又は晒されることにより常時冷却した状態に保持し、等容加熱、等温膨張、等容冷却、等温圧縮の各行程を繰り返すことにより、高温側ピストン241b及び低温側ピストン242bを往復運動させる運動エネルギーを、クランク軸243の回転エネルギーに変換して発電器に伝達する。
【0111】
すなわち、等容加熱行程においては、作動ガスの熱膨張を開始して高温側ピストン241bが下降し始めると、高温側シリンダ241aと連続した空間である小さい容積の低温側のシリンダ242aは、高温側ピストン241bの急下降に伴う減圧で低温側ピストン242bが上昇し、低温側シリンダ242aの冷却した作動ガスが高温側シリンダ241aに流入する。次いで、等温膨張行程においては、高温側シリンダ241a内に流入された冷却された作動ガスは十分熱膨張して高温側シリンダ241a及び低温側のシリンダ242a内の空間の圧力を上昇し、高温側ピストン241b及び低温側ピストン242bがともに下降する。次いで、等容冷却行程においては、低温側ピストン242bの下降により低温側シリンダ242a内の空間が増大され、それに伴い高温側シリンダ241a内の空間が収縮して高温側ピストン241bが上昇し、高温側シリンダ241aの作動ガスが低温側シリンダ242aに流入して冷却される。そして、等温圧縮行程においては、低温側シリンダ242a内の空間を満たす冷却された作動ガスは収縮し、連続した低温側シリンダ242a及び高温側シリンダ241a内の空間はともに減圧され、高温側ピストン241b及び低温側ピストン242bがともに上昇して、作動ガスが圧縮される。この一連の駆動行程において、燃料ガスの加熱、冷却に伴うピストンの往復運動により、クランク軸243の所定方向(矢印P7)への回転が維持される。これにより、作動ガスの圧力エネルギーがクランク軸243の回転エネルギーに変換されて、該クランク軸243に接続された発電器(図示を省略)により電力に変換される。
【0112】
一方、第4の構成例に係る主発電部12Dにおいて、ディスプレーサ形スターリングエンジンは、図16(b)に示すように、概略、ディスプレーサピストン241dにより隔壁され、互いに作動ガスが往復可能な高温空間と低温空間を有するシリンダ241c、このシリンダ241c内にあって、往復運動可能に構成されたディスプレーサピストン241d、シリンダ241c内の圧力変化に応じて往復運動するパワーピストン242d、ディスプレーサピストン241d及びパワーピストン242dが互いに90°の位相差を有するように接続されたクランク軸243、シリンダ241cの一端側(高温空間側)を加熱する加熱器244、シリンダ241cの他端側(低温空間側)を冷却する冷却器245、クランク軸243の軸芯に接続されたフライホイール246を備えた周知のスターリングエンジンと、クランク軸243に直結された発電器(図示を省略)と、を有して構成されている。
【0113】
このような構成を有する主発電部12Dにおいては、シリンダ241cの高温空間側を燃料ガスの燃焼に伴う熱エネルギーにより常時加熱し、低温空間側を常時冷却した状態に保持し、等容加熱、等温膨張、等容冷却、等温圧縮の各行程を繰り返すことにより、ディスプレーサピストン241d及びパワーピストン242dを所定の位相差で往復運動させる運動エネルギーを、クランク軸243の回転エネルギーに変換して発電器に伝達する。
【0114】
すなわち、等容加熱行程においては、ディスプレーサピストン241dが加熱器244による作動ガスの熱膨張が開始し上昇し始めると、低温空間側の作動ガスが高温空間側に流入して加熱される。次いで、等温膨張行程においては、増量した高温空間側の作動ガスが熱膨張して圧力が上昇することにより、パワーピストン242dが上昇する。次いで、等容冷却行程においては、加熱器244による熱膨張した作動ガスの低温空間側への流入によりディスプレーサピストン241dが下降すると、高温空間側の作動ガスが低温空間側に流入して冷却される。そして、等温圧縮行程においては、低温空間側のシリンダ241c内で冷却された作動ガスが収縮して低温空間側のシリンダ241c内を減圧しパワーピストン242dが下降する。この一連の駆動行程において、作動ガスの加熱、冷却に伴うピストンの往復運動により、クランク軸243の所定方向(矢印P7)への回転が維持される。これにより、作動ガスの圧力エネルギーがクランク軸243の回転エネルギーに変換されて、該クランク軸243に接続された発電器(図示を省略)により電力に変換される。
【0115】
ここで、発電器の構成は、上述した第2、第3の構成例と同様に、電磁誘導や圧電変換による周知の発電器を適用することができる。また、図16に示したスターリングエンジンを備えた主発電部12Dの構成も、上述した各構成例と同様に、微小空間に集積化して形成される。さらに、本構成例においても、燃料ガスの燃焼に伴う熱エネルギーに基づいて、電力を発生する構成を有しているので、発電用燃料(燃料ガス)は、少なくとも、発火性又は燃焼性を有している必要がある。
【0116】
このような構成を有するスターリングエンジンを主発電部に適用することにより、上述した第3の構成例と同様に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡易な制御方法により、任意の電力を発生することができるので、デバイスDVC(負荷LD)の駆動状態に応じた適切な発電動作を実現することができる。また、微細化したスターリングエンジンとしての構成を適用することにより、比較的簡易な構成、かつ、振動の少ない動作により電力を発生しつつ、主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図ることができる。
【0117】
なお、上述した第2乃至第4の構成例においては、発電用燃料FLの燃焼反応に基づくガス圧力の変化を回転エネルギーを介して電力に変換する発電装置として、ガス燃焼タービン、ロータリーエンジン及びスターリングエンジンを備えたものを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パルス燃焼エンジン等の各種の内燃機関又は外燃機関と、周知の電磁誘導あるいは圧電変換の原理を適用した発電器とを組み合わせたものを適用できることはいうまでもない。
【0118】
(主発電部の第5の構成例)
図17は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第5の構成例を示す概略構成図である。
第5の構成例においては、主発電部の具体例として、燃料パック20から出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを用い、燃焼反応(酸化反応)に基づいて熱エネルギーを発生することにより生じる温度差を利用した熱電変換発電により電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0119】
図17(a)に示すように、第5の構成例に係る主発電部12Eは、概略、発電用燃料FLを燃焼反応(酸化反応)させて熱エネルギーを発生させる燃焼加熱器251と、概ね一定の温度を保持する定温部252と、燃焼加熱器251を第1の温度端、定温部252を第2の温度端として、第1及び第2の温度端間に接続された熱電変換素子253と、を備えた温度差発電器の構成を有している。ここで、熱電変換素子253は、図7(b)に示したものと同等の構成を有している。また、燃焼加熱器251は、発電用燃料FLが供給されることにより、燃焼反応を継続的に維持して高温を保持し、一方、定温部252は、電源システム1内外の他の領域に接触又は晒されることにより、略一定の温度(例えば、常温又は低温)を保持するように構成されている。なお、図17に示した温度差発電器からなる主発電部12Eの構成も、上述した各構成例と同様に、微小空間に集積化して形成される。
【0120】
このような構成を有する主発電部12Eにおいて、図17(b)に示すように、燃料パック20に封入された発電用燃料が出力制御部14を介して、燃焼加熱器251に供給されると、発電用燃料の供給量に応じて燃焼(酸化)反応が進行して発熱し、燃焼加熱器251の温度が上昇する。一方、定温部252の温度は、ほぼ一定に設定されるように構成されているので、燃焼加熱器251と定温部252との間には温度差が発生する。そして、この温度差に基づいて、熱電変換素子253におけるゼーベック効果により、所定の起電力が発生して電力が生成される。
【0121】
このような構成を有する温度差発電器を主発電部に適用することにより、上述した各構成例と同様に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡易な制御方法により、任意の電力を発生することができるので、デバイスDVC(負荷LD)の駆動状態に応じた適切な発電動作を実現することができる。また、微細化した温度差発電器としての構成を適用することにより、比較的簡易な構成、かつ、振動のない動作により電力を発生しつつ、主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図ることができる。
なお、本構成例においては、燃焼加熱器251と定温部252における温度差に基づいて、ゼーベック効果により電力を発生する温度差発電器について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、熱電子放出現象に基づいて、電力を発生する構成を有するものであってもよい。
【0122】
(主発電部の第6の構成例)
図18は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第6の構成例を示す概略構成図である。
第6の構成例においては、主発電部の具体例として、燃料パック20から出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを用い、電磁流体力学の原理により電力(起電力)を発生する発電装置としての構成を有している。
【0123】
図18(a)に示すように、第6の構成例に係る主発電部12Fは、概略、導電性流体からなる発電用燃料FLが所定の流束で通過する流路の側壁を構成し、相互に対向する一対の電極ELa、ELbと、電極ELa、ELbの対向方向及び発電用燃料FLの流路方向のいずれにも垂直な方向に所定の強さの磁界を発生するNd−Fe−B系のネオジム永久磁石からなる磁界発生手段MGと、各電極ELa、ELbに個別に接続された出力端子Oc、Odと、を備えたMHD(Magneto-Hydro-Dynamics;電磁流体力学)発電器の構成を有している。ここで、発電用燃料FLは、プラズマや液体金属、導電性物質を含有する液体又は気体等の導電性流体(作動流体)であって、電極ELa、ELbに平行な方向(矢印P8)に流動するように流路が形成されている。なお、本構成例に係る主発電部12Fにおいても、上述した各構成例と同様に、マイクロマシン製造技術を適用して、微小空間に集積化して形成される。
【0124】
このような構成を有する主発電部12Fにおいて、図18(b)に示すように、磁界発生手段MGにより発電用燃料の流路方向に垂直に磁界Bを発生させ、流束uで発電用燃料(導電性流体)FLを流路方向に移動させることにより、ファラデーの電磁誘導の法則に基づいて、発電用燃料FLが磁界を横切るときに起電力u×Bが誘導され、発電用燃料FLが有するエンタルピーが電力に変換され、出力端子Oc、Od間に接続された負荷(図示を省略)に電流が流れる。これにより、発電用燃料FLが有する熱エネルギーが直接電力に変換される。
【0125】
なお、MHD発電器の流路通過後の発電用燃料(導電性流体)FLを電源システム1の外部にそのまま排出する構成を適用する場合にあっては、発電用燃料FLが燃焼性又は毒性がある成分を含む場合は、発電用燃料FLを外部に排出する前に難燃化や無毒化する処理を行うか、該発電用燃料FLを回収する手段を備える必要があることはいうまでもない。
【0126】
このような構成を有するMHD発電器を主発電部に適用することにより、流路を移動する発電用燃料FLの速度を調整する簡易な制御方法により、任意の電力を発生することができるので、デバイスDVCの駆動状態に応じた適切な発電動作を実現することができる。また、微細化したMHD発電器としての構成を適用することにより、駆動部品を必要としない極めて簡易な構成により電力を発生しつつ、主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図ることができる。
【0127】
なお、上述した各構成例は、発電モジュール10Aに適用される主発電部12の一例を示したに過ぎず、本発明に係る電源システムの構成を何ら限定するものではない。要するに、本発明に適用される主発電部12は、燃料パック20Aに封入された液体燃料又は液化燃料又は気体燃料が直接的又は間接的に供給されることにより、主発電部12内部で電気化学反応や発熱、吸熱反応に伴う温度差、圧力エネルギーや熱エネルギーの変換作用、電磁誘導等に基づいて電力を発生することができるものであれば、他の構成を有するものであってもよく、例えば、熱音響効果による外力発生手段と電磁誘導や圧電変換による発電器とを組み合わせたもの等を良好に適用することができる。
【0128】
また、上述した各構成例のうち、第2乃至第5の構成例を適用した主発電部12においては、主発電部12に供給された発電用燃料FLを燃焼反応等させて熱エネルギーを取り出す際の点火動作のために、図3に示したように、上述した副発電部11から供給される電力(第2の電力)を起動電力として用いるように構成されている。
【0129】
<動作制御部13>
本実施形態に係る発電モジュールに適用される動作制御部13は、図3に示すように、上述した副発電部11から供給される動作電力(第2の電力)により動作し、本実施形態に係る電源システム1内外の各種情報、すなわち、電源システム1に接続されるデバイスDVC(負荷LD)の駆動状態に関する情報(負荷駆動情報)や、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLの残量等の電源システム1の動作状態に関する情報に基づいて、動作制御信号を生成、出力し、後述する主発電部12における動作状態を制御する。ここで、負荷駆動情報とは、デバイスDVCにおいて、コントローラCNTにより負荷LDを駆動制御する際に出力される特定の信号情報や、負荷LDの駆動状態(起動/負荷変動等)に応じて変動する負荷駆動電力(第1の電力)の電圧変化等をいう。
【0130】
すなわち、動作制御部13は、具体的には、主発電部12が動作していない状態からデバイスDVC(負荷LD)の起動への移行に伴って、コントローラCNTから出力された負荷駆動情報を端子部184を介して検出した場合には、事前に後述する残量検出部16からの残量検出信号に基づく発電用燃料FLの残量データを参照し、起動動作を正常に実行することができる量の発電用燃料FLが残存しているか否かを判断した後、後述する起動制御部15に対して、出力制御部14及び主発電部12を起動させるための動作制御信号を出力する(起動制御)。
【0131】
また、動作制御部13は、主発電部12が動作している状態においては、残量検出部16からの残量検出信号に基づく発電用燃料の残量データを逐次参照し、主発電部12からの出力電圧の全体的な傾向として、例えば、デバイスDVC自体が、通常用いられる汎用の電池からの出力をモニタリングして、この電池の出力残量(電池残量)を検出するという機能を有する場合、発電用燃料FLの残量が減少するにしたがって、主発電部12により生成される電力(特に、出力電圧)が、そのデバイスDVCで通常用いられる汎用の電池の経時的な出力特性に応じて経時的に徐々に変化(低下)するように制御するための動作制御信号を出力制御部14に出力し、それを受けて後述するように主発電部12が、燃料残量情報も兼ねている負荷駆動電力(出力電圧)を負荷LD及びコントローラCNTに経時的に低下するように出力するように設定されている。
【0132】
また、デバイスDVCが、通常用いられる汎用の電池からの出力をモニタリングして電池の出力残量を検出するという機能を有しておらず、かつ、本発明の電源システム1からの燃料残量情報をコントローラCNTに受信できる機能を有している場合、動作制御部13は、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対して、実際の残量データ自体や、残量データをコントローラで判断できるように変換したデータを端子部184を介してデバイスDVCのコントローラCNTに出力するようにしてもよい(出力電圧制御)。
【0133】
したがって、動作制御部13は、発電用燃料の残量と電源システム(主発電部12)の出力電圧との相関関係が一義的に規定された相関テーブルを備え、残量検出部16からの残量検出信号に基づいて、該相関テーブルを参照し、主発電部12における電力の発生量(発電量)を所定の出力電圧特性に対応して変化させるための動作制御信号を出力制御部14に対して出力する。
このようにしてデバイスDVCはこのデータにより駆動可能な残量や駆動可能な残り時間等の燃料残量情報を得ることができる。
【0134】
バッテリの出力を読み取ることによって電池残量を算出した従来のデバイスDVCでは、周囲の温度や連続使用時間等の状況の違いによってバッテリの出力が均一な経時的変位をとらないために、算出した電池残量と実際の電池残量との間に大きな誤差を生じることがあるが、本発明によれば、燃料パック20内の燃料の物理的残量を検出した残量データを用いているので、より周囲の影響が小さい正確な残量判定をすることができる。
【0135】
なお、動作制御部13は、主発電部12が動作している状態で、例えば、デバイスDVC(負荷LD)の駆動状態の変動に伴って、正極及び負極から出力される負荷駆動電力の電圧変化に関連した負荷駆動情報を端子部184を介して検出した場合には、出力制御部14に対して、主発電部12から負荷LDに供給される負荷駆動電力(第1の電力)が、負荷LDの駆動状態に対応した適切な値となるように、主発電部12における電力の発生量(発電量)を調整するための動作制御信号を出力するものであってもよい(フィードバック制御)。
【0136】
さらに、動作制御部13は、主発電部12が動作している状態で、例えば、上記フィードバック制御を実行しているにも関わらず、デバイスDVC(負荷LD)に供給されている負荷駆動電力が過剰となる状態に関連した負荷駆動情報を端子部184を介して所定の時間継続して検出した場合や、デバイスDVCからの負荷停止に関する負荷駆動情報を検出した場合には、起動制御部15に対して、出力制御部14及び主発電部12の動作を停止させるための動作制御信号を出力するものであってもよい(停止制御)。
【0137】
加えて、動作制御部13は、残量検出部16により発電用燃料FLの急激な減少等の残量異常を検出した場合には、該残量異常に関する検出信号に基づいて、主発電部12における電力の生成を停止(具体的には、主発電部12への発電用燃料FLの供給遮断)するための動作制御信号を出力制御部14に対して出力して、主発電部12の発電動作を停止するとともに、残量異常に関する情報をデバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対して出力して、デバイスDVCの使用者(ユーザー)に通知するようにしてもよい。
【0138】
なお、電源システム1の外形形状として、後述するように、汎用の化学電池のように正極と負極の端子電極によりデバイスDVC(負荷LD)と電気的に接続された構成を適用する場合にあっては、正極及び負極を介して、デバイスDVCに対して上記コントローラ電力や燃料残量情報を兼ねた負荷駆動電力を供給するとともに、その変動を端子部184を介して動作制御部13により常時監視することにより、負荷LDの駆動状態を検出するように構成することができる。なお、主発電部12から負荷駆動電力の出力が開始されれば、この電力でコントローラ電力をまかなえるので、副電源部11はコントローラ電力の出力を停止してもよい。
【0139】
<出力制御部14>
図19は、本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの一実施形態の他の例の要部構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る発電モジュールに適用される出力制御部14は、図3に示すように、直接又は起動制御部15を介して、動作制御部13から出力される動作制御信号に基づいて、上述した副発電部11から供給される電力(起動電力)により動作し、主発電部12における動作状態(起動動作、定常動作、停止動作、電力の発生量(発電量))を制御する。
【0140】
具体的には、例えば、発電用燃料の流量や吐出量を調整する流量調整手段等を備え、上述した各構成例に示した主発電部12において、所定の電力からなる負荷駆動電力を生成、出力するために必要な量の発電用燃料(液体燃料、液化燃料又は気体燃料)が供給されるように、動作制御信号に基づいて流量調整手段を制御する。
【0141】
なお、本実施形態において、主発電部12として上述した第1の構成例(図12参照)に示した燃料改質方式の燃料電池の構成を適用した場合にあっては、図19に示すように、出力制御部14の構成として、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、主発電部12Aに供給される発電用燃料(燃料電池本体210bに供給する水素ガス)の量を制御する燃料制御部14aと、主発電部12Aに供給される空気(燃料電池本体210bに供給される酸素ガス)の量を制御する空気制御部14bと、を備えるようにしてもよい。
【0142】
この場合、燃料制御部14aは、動作制御部13から出力される動作制御信号に基づいて、燃料電池本体210bにおいて、所定の電力(第1の電力)を発生するために必要な量の水素ガス(H)となる分の発電用燃料や水等を、燃料パック20から取り込んで燃料改質部210aに供給する制御並びに主発電部12内でのヒータの加熱温度の制御を行う。燃料パック20からの供給量及びヒータの加熱温度は、燃料の残量の減衰に伴う動作制御部13からの信号にしたがって徐々に逓減するように設定されている。
【0143】
また、空気制御部14bは、上記水素ガスを用いた電気化学反応(化学反応式(6)及び(7)参照)に応じた必要な量の酸素ガス(O)を、大気中から取り込んで燃料電池本体210bの空気極212に供給する制御を行う。このような燃料制御部14a及び空気制御部14bにより主発電部12への水素ガス(H)及び酸素ガス(O)の供給量を調整することにより、主発電部12(燃料電池本体210b)における電気化学反応の進行状態が制御され、負荷駆動電力となる電力の発生量(発電量)が制御される。
【0144】
ここで、空気制御部14bは、主発電部12における単位時間当たりの酸素の最大消費量に相当する空気を供給することができるものであれば、主発電部12の空気極212に供給する酸素ガスの量を制御することなく、主発電部12の動作時に常に供給するように設定されていてもよい。すなわち、図19に示した発電モジュール10Aの構成においては、出力制御部14は、電気化学反応の進行状態を燃料制御部14aのみで制御し、空気制御部14bの代わりに後述するような通気孔(スリット)を設け、主発電部12における電気化学反応に用いられる最低限以上の量の空気(酸素)が該通気孔を介して、常時供給されるように構成されているものであってもよい。
【0145】
<起動制御部15>
本実施形態に係る発電モジュールに適用される起動制御部15は、図3に示したように、上述した副発電部11から供給される電力により動作し、動作制御部13から出力される動作制御信号に基づいて、少なくとも、出力制御部14(構成によっては、主発電部12を含む)に対して電力(起動電力)を供給して、主発電部12を待機状態から発電可能な動作状態に移行する起動制御を行う。
【0146】
具体的には、図19に示した構成にあっては、起動制御部15は、主発電部12A(燃料電池本体210b)が動作していない状態で、動作制御部13から主発電部12Aを起動させるための動作制御信号を受け取ると、燃料制御部14a、空気制御部14b及び主発電部12A(燃料改質部210a)に対して、副電源部11から出力される起動電力を供給して動作状態に制御し、燃料電池本体210bの燃料極211に水素ガス(H)を、また、空気極212に酸素ガス(O)を供給することにより、燃料電池本体210bを起動させて、所定の電力(第1の電力)を発生する動作状態(定常状態)に移行させる。
【0147】
また、起動制御部15は、主発電部12Aが駆動している状態で、動作制御部13から主発電部12A(燃料電池本体210b)を停止させるための動作制御信号を受け取ると、少なくとも、燃料制御部14a及び空気制御部14bを制御して、燃料電池本体210bへの水素ガス(H)及び酸素ガス(O)の供給を停止することにより、燃料電池本体210bにおける電力の生成(発電)を停止させて、副発電部11、及び、該副発電部11からの電力(動作電力、コントローラ電力)により動作制御部13及びデバイスDVCのコントローラCNTのみが動作している待機状態に移行させる。
【0148】
なお、ここでは、主発電部12として、燃料改質方式の燃料電池を適用し、起動制御部15により出力制御部14(燃料制御部14a及び空気制御部14b)及び主発電部12Aへの起動電力の供給を制御して、主発電部12Aへの発電用燃料及び空気の供給、遮断を制御することにより、主発電部12Aの動作状態(起動動作、停止動作)を制御する場合について説明したが、上述した他の構成例(例えば、内燃機関や外燃機関等を備えた発電装置)を主発電部12に適用する場合であっても、略同等の制御により、主発電部12の動作状態が制御される。また、主発電部12として、燃料直接供給方式の燃料電池を適用する場合等、主発電部12において起動電力を必要とすることなく、発電用燃料の供給、遮断を制御するだけで、起動制御部15により出力制御部14(燃料制御部14a)に対してのみ起動電力の供給を制御するものであってもよい。
【0149】
さらに、図3に示した構成においては、起動制御部15及び出力制御部14(図19に示した構成においては、燃料制御部14a)には、副発電部11からの電力が動作電力又は起動電力として供給されるが、主発電部12の定常動作時に出力制御部14等で消費する電力が副発電部11から供給される電力のみでは十分でない場合には、副発電部11からの電力に加えて、主発電部12で生成される電力の一部を出力制御部14等に出力することにより維持することができる(図3、図19中、点線矢印参照)。
【0150】
このとき、電源システムとして、デバイスに駆動電源として供給される電力が損なわれないように、出力制御部14は、出力制御部14自体で消費される電力の上積み分に相当する発電用燃料及びデバイスに供給される電力分に相当する発電用燃料の総量を、主発電部12に供給するように制御する。なお、図19に示した構成にあっては、燃料制御部14aにより、上記発電用燃料の総量を燃料改質部210aを介して燃料電池本体210bの燃料極211に供給するとともに、空気制御部14bにより、燃料電池本体210bにおいて十分な電力を発生(発電)するために必要な酸素量を満たす空気を燃料電池本体210bの空気極212に供給するように制御する。
【0151】
<残量検出部16>
本実施形態に係る発電モジュールに適用される残量検出部16は、図3に示したように、上述した副発電部11から供給される電力により動作し、燃料パック20A内に残存する発電用燃料FLの量を検出して動作制御部13に対して残量検出信号を出力するものであって、例えば、燃料パック20A内に発電用燃料FLが液体の状態で封入されている場合には、光学センサ等により燃料の液面を計測する手法や燃料を透過した光の減衰(減光率)等の変化を計測する手法等を採用することにより、発電用燃料FLの残量を検出する。
【0152】
(B)燃料パック20A
本発明に係る電源システムに適用される燃料パック20Aは、例えば、その組成成分に水素を含有する液体燃料や液化燃料、又は、気体燃料からなる発電用燃料FLが、充填、封入された密閉性の高い燃料貯蔵容器であって、図2に示したように、発電モジュール10に対して、I/F部30Aを介して着脱可能に結合された構成、又は、一体的に結合された構成を有している。ここで、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLは、後述するI/F部30Aに設けられた燃料送出経路を介して発電モジュール10Aに取り込まれ、上述した出力制御部14により、デバイスDVCの駆動状態(負荷状態)に対応しつつ、主発電部12からの出力電圧の全体的な傾向として、発電用燃料FLの残量に応じた所定の出力電圧特性に対応した電力(第1の電力)を発生するために必要な量の発電用燃料FLが、主発電部12に随時供給される。
【0153】
また、副発電部11として、上述したように、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLの一部を用い、電気化学反応や触媒燃焼反応、力学的なエネルギー変換作用等を利用して、電力(第2の電力)を発生する構成を適用する場合には、少なくとも、デバイスDVCのコントローラ電力及び動作制御部13の動作電力となる電力を発生するために必要な最低限の供給量の発電用燃料FLが、I/F部30Aを介して副発電部11に常時供給される。
【0154】
特に、電源システム1として、発電モジュール10Aと燃料パック20Aが着脱可能な構成を適用した場合にあっては、燃料パック20Aが発電モジュール10Aに結合された状態でのみ、発電モジュール10Aに発電用燃料FLを供給する。この場合、燃料パック20Aは、発電モジュール10Aに結合されていない状態では、内部に封入された発電用燃料FLが燃料パック20A外部に漏出しないように、例えば、燃料パック20A内部の燃料封入圧力やバネ等の物理的な圧力等により閉止する制御弁等からなる燃料漏出防止手段を備え、I/F部30Aを介して発電モジュール10Aに結合されることにより、I/F部30Aに設けられ、燃料漏出防止手段による漏出防止機能を解除する手段(漏出防止解除手段)が接触又は押圧することによって、例えば、上記制御弁の閉止状態を解除して、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLをI/F部30Aを介して発電モジュール10Aに供給する。なお、この構成を有する燃料パック20Aにおいては、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLがなくなる前に、発電モジュール10Aから燃料パック20Aが分離された場合には、上記燃料漏出防止手段の漏出防止機能が再び作動することにより(例えば、漏出防止解除手段が非接触状態となることにより、上記制御弁が再び閉止状態になって)、発電用燃料FLの漏出が防止され、燃料パック20A単独での持ち運びが可能となる。
【0155】
ここで、燃料パック20Aは、上述したような燃料貯蔵容器としての機能を有しつつ、特定の環境条件下において、元来自然界に存在し、かつ、自然を構成する物質、又は、環境汚染等の発生を生じない物質への変換が可能な材料により構成されていることが好ましい。
すなわち、燃料パック20Aは、例えば、自然界に投棄又は埋め立て処理された場合であっても、土壌中の微生物や酵素等の働き、あるいは、太陽光線の照射、雨水や大気等により、自然界に無害な物質(元来自然界に存在し、かつ、自然を構成する物質、例えば、水と二酸化炭素等)に変換される各種の分解反応からなる特性、例えば、生分解性や光分解性、加水分解性、酸化分解性等の分解特性を有する高分子材料(プラスチック)等により構成することができる。
【0156】
また、燃料パック20Aは、人為的な加熱・焼却処理や薬品・化学処理等を行った場合であっても、有機塩素化合物(ダイオキシン類;ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン)や塩化水素ガス、重金属等の有害物質もしくは環境汚染物質を発生しない、又は、発生が抑制された材料により構成されているものであってもよい。ここで、燃料パック20Aを構成する材料(例えば、上記高分子材料)は、封入される発電用燃料FLとの接触により、少なくとも短期間で分解されるおそれがなく、また、封入される発電用燃料FLを、少なくとも短期間で燃料としての利用が不可能となるほど変質させるものではないことはいうまでもなく、さらに、該高分子材料により構成された燃料パック20Aが、外的な物理的応力に対して十分な強度を有しているものであることもいうまでもない。
【0157】
なお、上述したように、化学電池のリサイクルによる回収率は、僅か20%程度に過ぎず、残りの80%程度が自然界に投棄、又は、埋め立て処理されている現状を鑑みると、燃料パック20Aの材料としては、分解特性を有する材料、特に、生分解性プラスチックを適用することが望ましく、具体的には、石油系又は植物系原料から合成される化学合成型の有機化合物を含む高分子材料(ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、共重合ポリエステル等)や、微生物産生型のバイオポリエステル、トウモロコシやサトウキビ等の植物系原料から抽出されるでんぷんやセルロース、キチン、キトサン等からなる天然物利用型の高分子材料等を良好に適用することができる。
【0158】
また、本実施形態に係る電源システム1に用いられる発電用燃料FLとしては、少なくとも、発電用燃料FLが封入された上記燃料パック20Aが、自然界に投棄、又は、埋め立て処理されて、大気中や土壌中、水中に漏れ出した場合であっても、自然環境に対して汚染物質とならないこと、上述した発電モジュール10Aの主発電部12において、高いエネルギー変換効率で電力を発生することができること、所定の封入条件(圧力、温度等)の下で安定した液体状態又は気体状態を保持し、好ましくは、常温、常圧下で気化して気体の状態で発電モジュール10Aに供給される燃料物質であることが好ましく、具体的には、上述したメタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、常温、常圧下で気体であるジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、もしくは、水素ガス等の気体燃料を良好に適用することができる。なお、後述するように、燃料パック内の発電用燃料の封入状態を安定化させる燃料安定化手段等の構成を設けて、電源システムの安全性をより高めるようにすることもできる。
【0159】
このような構成を有する燃料パック20A及び発電用燃料FLによれば、本実施形態に係る電源システム1の全部又は一部(燃料パック20Aや発電用燃料FL等)が、仮に自然界に投棄された場合や、人為的に埋め立て処理、焼却処分、薬品処理等された場合であっても、自然環境に対して大気や土壌、水質の汚染、あるいは、環境ホルモンの生成等を大幅に抑制することができ、環境破壊の防止や自然環境の美観悪化の抑制、人体に対する悪影響の防止に寄与することができる。
【0160】
また、燃料パック20Aを発電モジュール10Aに対して、着脱可能に構成した場合にあっては、封入された発電用燃料の残量が減少、又は、なくなった場合には、燃料パック20Aへの発電用燃料FLの補充や燃料パック20Aの交換、再利用(リサイクル)を行うことができるので、燃料パック20Aや発電モジュール10Aの廃棄量を大幅に削減することができるリサイクルシステムの構築に寄与することができる。また、単一の発電モジュール10Aに対して、新たな燃料パック20Aを交換して取り付け、デバイスDVCに装着して利用することができるので、汎用の化学電池と略同様に、簡便な使用形態の電源システムを提供することができる。
【0161】
なお、発電モジュール10Aの副電源部11及び主発電部12における電力の発生に際し、電力以外に副生成物が生じる場合であって、該副生成物が周辺環境に悪影響を及ぼす場合や、デバイスDVCに対して動作不良等の機能上の影響を及ぼす場合等には、後述する副生成物回収手段により回収された該副生成物を保持する手段を、燃料パック20A内部に設けた構成を適用することができる。この場合、燃料パック20Aは、発電モジュール10Aから取り外された状態では、燃料パック20A内(回収保持手段)に一旦回収保持された副生成物が燃料パック20A外部に漏出しないように、例えば、副生成物を吸収、吸着固定、定着等することができる吸収ポリマーや、バネ等の物理的な圧力等により閉止する制御弁等を備えた構成を適用することができる。副生成物の回収保持手段の構成については、上記副生成物回収手段とともに併せて後述する。
【0162】
(C)I/F部30AA
本発明に係る電源システムに適用されるI/F部30Aは、図2に示したように、少なくとも、発電モジュール10Aと燃料パック20Aを物理的に結合するとともに、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLを、燃料送出経路を介して、所定の状態で発電モジュール10Aに供給する機能を備えている。ここで、上述したように、電源システム1として、発電モジュール10Aと燃料パック20Aが着脱可能な構成を適用した場合にあっては、I/F部30Aは、上記燃料送出経路に加え、燃料パック20Aに設けられた燃料漏出防止手段の漏出防止機能を解除する漏出防止解除手段を備えている。さらに、後述するように、発電モジュール10Aの副電源部11及び主発電部12において生成される副生成物を回収する副生成物回収手段をも備えた構成を適用する場合にあっては、該副生成物を燃料パック20A内に送出するための副生成物回収経路を設けた構成を有している。
【0163】
I/F部30Aは、具体的には、燃料送出経路を介して、燃料パック20Aに所定の条件(温度、圧力等)の下で封入された発電用燃料FLを液体燃料として、あるいは、気化して気体燃料(燃料ガス)として発電モジュール10A(副電源部11及び主発電部12)に供給する。したがって、発電モジュール10Aと燃料パック20AがI/F部30Aを介して一体的に構成された電源システムにおいては、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLが、燃料送出経路を介して、常時発電モジュール10Aに常時供給可能な状態にあり、一方、発電モジュール10Aと燃料パック20AがI/F部30Aを介して着脱可能に構成された電源システムにおいては、燃料パック20Aが発電モジュール10Aに結合されることにより、燃料パック20Aに設けられた燃料漏出防止手段の漏出防止機能が漏出防止解除手段により解除され、燃料送出経路を介して、発電モジュール10Aに発電用燃料FLが供給可能な状態となる。
【0164】
なお、発電モジュール10Aと燃料パック2AがI/F部30Aを介して一体的に構成された電源システムにおいては、当該電源システムをデバイスDVCに装着するか否かに関わらず、常時発電用燃料FLが発電モジュール10Aに供給され、副電源部11において電力の生成が行われるため、発電用燃料の効率的な消費が図れない場合がある。したがって、例えば、少なくとも、電源システムの使用前(デバイスへの装着前)においては、I/F部30Aの燃料送出経路を遮断(遮蔽)状態に保持し、使用に際して上記遮断状態を解除し、燃料送出経路を燃料供給可能状態に不可逆的に制御(貫通)する構成を適用することにより、発電用燃料の効率的な消費を実現することができる。
【0165】
<全体動作>
次に、上述した構成を有する電源システムの全体動作について、図面を参照して説明する。
図20は、電源システムの概略動作を示すフローチャートである。ここでは、上述した電源システムの構成(図3)を適宜参照して説明する。
【0166】
上述した構成を有する電源システム1は、図20に示すように、大別して、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLを発電モジュール10Aに供給して、副電源部11において上記動作電力及びコントローラ電力となる電力(第2の電力)を常時継続的に生成して出力する初期動作(ステップS101、S102)と、燃料パック20Aの発電用燃料の残量及びデバイスDVCにおける負荷LDの駆動に基づいて、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLを主発電部12に供給して、負荷駆動電力となる電力(第1の電力)を発生して出力する起動動作(ステップS103〜S106)と、上記発電用燃料の残量及び負荷LDの駆動状態の変化に基づいて、主発電部12に供給される発電用燃料FLの量を調整して、負荷LDの駆動状態に応じた電力を発生して出力するフィードバック制御を行う定常動作(ステップS107〜S110)と、上記負荷LDの停止に基づいて、主発電部12への発電用燃料FLの供給を遮断して、電力の生成を停止する停止動作(ステップS111〜S114)と、を実行するように制御される。これにより、既存のデバイスDVCにおいても適用可能な電源システムが実現される。
【0167】
(A)初期動作
まず、初期動作においては、発電モジュール10Aと燃料パック20AがI/F部30Aを介して一体的に構成された電源システムにおいては、例えば、デバイスへの装着に際して、I/F部30の燃料送出経路の遮断状態を解除することにより、燃料送出経路の毛細管現象により燃料パック20Aに封入された発電用燃料が燃料送出経路内を移動して、発電モジュール10Aの副電源部11に自動的に供給され(ステップS101)、副電源部11において、少なくとも、動作制御部13の動作電力、及び、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTの駆動電力(コントローラ電力)となる電力(第2の電力)が自立的に生成され、常時継続的に出力される(電源システムがデバイスに接続されるまでは、動作制御部13及び残量検出部16の動作電力となる電力のみが出力される)(ステップS102)。
【0168】
一方、発電モジュール10Aと燃料パック20Aが着脱可能に構成された電源システムにおいては、燃料パック20AをI/F部30Aを介して発電モジュール10Aに結合することにより、燃料パック20Aに設けられた燃料漏出防止手段の漏出防止機能が解除され、燃料パック20Aに封入された発電用燃料が燃料送出経路の毛細管現象により燃料送出経路内を移動して、発電モジュール10Aの副電源部11に自動的に供給され(ステップS101)、副電源部11において、少なくとも、上記動作電力及びコントローラ電力となる電力(第2の電力)が自立的に生成され、常時継続的に出力される(電源システムがデバイスに接続されるまでは、動作制御部13及び残量検出部16の動作電力となる電力のみが出力される)(ステップS102)。
【0169】
これにより、発電モジュール10Aの動作制御部13及び残量検出部16が動作状態になって、デバイスDVCからの負荷駆動情報及び残量検出部16からの残量検出信号を監視する。また、電源システムがデバイスDVCに接続されることにより、副電源部11により生成される電力の一部がコントローラ電力としてデバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに供給されて、コントローラCNTが駆動状態になって、デバイスDVCの負荷LDの駆動を制御するとともに、該駆動状態を電源システム1(発電モジュール10A)の動作制御部13に負荷駆動情報として通知する。
【0170】
(B)起動動作
次いで、起動動作においては、デバイスDVCの使用者等が負荷LDを駆動するための操作を行うと、コントローラCNTから発電モジュール10Aの動作制御部13に対して負荷駆動電力となる電力(第1の電力)の供給を要求する電力供給要求信号が負荷駆動情報として出力される。動作制御部13は、電源システム1の端子部184を介して入力される電圧変位からなる該負荷駆動情報を受け取ると(ステップS103)、発電モジュール10Aの起動動作に先立って、残量検出部16から出力される残量検出信号に基づく発電用燃料FLの残量データを参照し、該起動動作を正常に実行可能な量の発電用燃料FLが残存しているか否かを判断する(ステップS104)。
【0171】
ここで、発電用燃料FLの残量に異常が検出された場合(例えば、残量がゼロの場合)には、動作制御部13は、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対して、残量異常に関する燃料残量情報を出力して、デバイスDVCの使用者に通知するとともに、起動動作を中止する。一方、燃料パック20Aに十分な発電用燃料FLが残存していると判断した場合には、起動制御部15に対して主発電部12における発電動作を開始(起動)するための動作制御信号を出力する(ステップS105)。
【0172】
起動制御部15は、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、出力制御部14及び主発電部12に対して、副電源部11により生成される電力の一部を起動電力として供給することにより(ステップS106)、燃料パック20に封入された発電用燃料FLを、出力制御部14を介して主発電部12に供給して、負荷駆動電力となる電力(第1の電力)を発生させてデバイスDVC(負荷LD)に出力する動作を行う(ステップS107)。これにより、デバイスDVCにおける負荷LDの駆動要望に対して、発電用燃料が供給されて主発電部12が自動的に起動し、所定の出力電圧からなる負荷駆動電力が供給されるので、汎用の化学電池と略同等の電力的特性を実現しつつ、負荷LDを良好に駆動することができる。
【0173】
なお、この起動動作において、動作制御部13は、主発電部12により生成され、デバイスDVCに供給される電力(負荷駆動電力)の電圧変化を負荷駆動情報の一つとして監視し、該電圧データそのもの、もしくは、所定の電圧に到達したことを示す起動終了信号を、デバイスDVCのコントローラCNTに出力するように構成されているものであってもよい。これにより、負荷駆動電力の電圧値に基づいて、負荷LDの駆動状態を制御する構成を有するデバイスDVCに対しても、電源として良好に適用することができる
【0174】
(C)定常動作
次いで、上記起動動作後の定常動作においては、負荷駆動電力の出力電圧の全体的な制御(経時的な電圧制御)として、動作制御部13は、負荷LDの停止等に基づいて後述する停止動作に移行するまでは、常時又は定期的に残量検出部16からの残量検出信号を検出して発電用燃料FLの残量データを監視し(ステップS109)、該残量データに基づいて、発電用燃料の残量と出力電圧との相関関係が規定された所定の相関テーブルを参照し(ステップS110)、主発電部12における電力の発生量(発電量)が所定の出力電圧特性に応じて変化するように制御するための動作制御信号を出力制御部14に対して出力する(ステップS111)。
【0175】
ここで、動作制御部13は、上記相関テーブルを参照することにより、後述するように、発電モジュール10Aから出力される負荷駆動電力の出力電圧が、例えば、汎用の化学電池(例えば、マンガン電池、アルカリ電池、アルカリボタン電池、リチウムコイン電池等)のうちの1種における経時的な電圧変化傾向と同等の出力電圧特性を示して変化するように制御するための動作制御信号を出力する。このとき、動作制御部13は、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対して、実際の残量データ自体や残量比率もしくは電力を出力することが可能な推定残り時間等を燃料残量情報として出力する。
【0176】
出力制御部14は、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、主発電部12に供給する発電用燃料FLの量を調整して(ステップS112)、デバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧が上記出力電圧特性に応じて電圧に設定されるように制御する(ステップS113)。これにより、電源システム1からデバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧が、汎用の化学電池の同等の経時的な変化傾向を示すので、該出力電圧や燃料残量情報に基づいて、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTが有する既存の残量通知機能を良好に動作させて、定期的又は継続的に電池残量や負荷LDの駆動可能推定時間を、デバイスDVCの使用者に通知することができる。
【0177】
また、負荷駆動電力の出力電圧の部分的な制御(個別的な電圧制御)として、動作制御部13は、上述した全体的な制御に加えて、主発電部12からデバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧の変化を負荷駆動情報として受け取り、該負荷駆動電力の出力電圧が所定の電圧範囲(上述した汎用の化学電池における出力電圧特性に対応して変化する出力電圧の変動許容範囲)内に設定されるように、主発電部12において生成される電力の量(発電量)を増減制御するための動作制御信号を出力制御部14に出力するようにしてもよい。これにより、出力制御部14が、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、主発電部12に供給する発電用燃料FLの量を調整して、デバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧が上記電圧範囲に設定されるようにフィードバック制御が実行されるので、デバイスDVC側の負荷LDの駆動状態(負荷状態)の変化により、負荷駆動電力に電圧変化が生じた場合であっても、該負荷LDの駆動に伴って変化するデバイスDVCの消費電力に対応した電力を供給することができる。
【0178】
加えて、デバイスDVCのコントローラCNTにより、負荷LDの駆動状態が把握され、該駆動状態に応じた電力の供給を電源システム側に要求する機能を備えている場合にあっては、負荷駆動電力の出力電圧のより部分的な制御として、動作制御部13は、コントローラCNTからの電力変更要求信号を負荷駆動情報として受け取り、主発電部12において生成される電力を上記要求に応じた出力電圧に設定するための動作制御信号を出力制御部14に出力するようにしてもよい。これにより、出力制御部14が、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、主発電部12に供給する発電用燃料FLの量を調整して、デバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧が上記要求に応じた電圧に設定されるように制御が行われて、デバイスDVC側の負荷LDの駆動状態(負荷状態)に応じて適切な電力が供給されるので、負荷LDの駆動状態の変化に伴う負荷駆動電力の電圧変化が大幅に抑制され、デバイスDVCにおける動作異常の発生を抑制することができる。
【0179】
ここで、上述した負荷駆動電力の出力電圧の全体的な制御に適用される出力電圧特性ついて、詳しく説明する。
図21は、本実施形態に係る電源システムの出力電圧の経時変化を示す特性図である。ここでは、上述した電源システムの構成(図3)を適宜参照しつつ、汎用の化学電池及び従来の燃料電池における起電力特性(出力電圧特性;図42、図43参照)と対比しながら説明する。
【0180】
図21に示すように、本実施形態に係る電源システムにおける出力電圧特性(説明の都合上、便宜的に「第1の出力電圧特性Sa」と記す)は、例えば、図42に示した汎用の化学電池における放電に伴う出力電圧の経時的な変化傾向(起電力特性Sp)と略同等の変化傾向を示すように出力電圧が制御される。すなわち、発電モジュール20Aの主発電部12における発電状態が、放電に伴う時間の経過(換言すれば、燃料パック10Aにおける液体燃料の残量)に応じて減衰するように、少なくとも出力制御部14による主発電部12への発電用燃料FLの供給量が制御(減少設定)される。
【0181】
具体的には、本実施形態に係る出力電圧の制御方法は、上述したように、まず、残留検出部16により燃料パック20Aに残存する発電用燃料FLの量が検出され、その残量検出信号が常時(継続的)又は定期的に動作制御部13に入力されるが、ここで、発電用燃料FLの残量は、主発電部12における電力の生成に伴う時間の経過に応じて減少するので、発電用燃料FLの残量と経過時間とは密接な相関関係を有している。
【0182】
一方、動作制御部13は、予め図42に示した汎用の化学電池(マンガン電池、アルカリ電池、アルカリボタン電池、リチウムコイン電池等)における放電に伴う出力電圧の経時的な変化傾向に対応するように、発電用燃料FLの残量と出力電圧との相関関係が一義的に規定された第1の出力電圧特性Saを有する相関テーブルを備えている。これにより、動作制御部13は、残量検出信号による発電用燃料FLの残量を放電に伴う時間の経過に対応付け、図21に示した特性曲線(第1の出力電圧特性Sa)に基づいて、一義的に出力電圧を決定し、この出力電圧に対応した量の発電用燃料FLを主発電部12に供給するように調整する。ここで、液体燃料の残量と出力電圧との相関関係を一義的に規定するとは、図4に示したように、発電用燃料FLの残量に対して出力電圧が1対1で対応する関係を意味し、図21に示した特性曲線のように、曲線的な変化傾向を示すものに限らず、一次直線的に変化するものであってもよい。
【0183】
また、汎用の化学電池の出力は、例えば、単1型〜単5型やコイン型のように容量に応じて出力電圧の経時的変位は異なるので、本実施形態に係る電源システムの形状、大きさは、後述するように汎用の化学電池の規格に則った汎用の化学電池の形状、大きさに従うとともに、動作制御部13の相関テーブル(出力電圧特性)は、発電用燃料FLの残量に応じた出力電圧が、同一型の化学電池の残りの寿命に応じた出力電圧に合致又は近似もしくは相似するように設定されている。したがって、例えば、本発明の単1型の燃電源システムの出力電圧の経時的変化の軌跡は、JIS規格の単1型のマンガン電池等の各種化学電池のいずれかの起電力における減衰する出力電圧の経時的変化の軌跡に合同、或いは、時間軸に沿って拡大又は縮小するように設定されている。
【0184】
すなわち、上述したように、発電用燃料FLの残量と経過時間とは密接な相関関係を有するものであるが、その関係は、必ずしも汎用の化学電池における電池残量と放電に伴う経過時間との関係とは一致しなくてもよい。すなわち、主発電部12の構成として燃料電池等を適用した場合にあっては、エネルギー変換効率が汎用の化学電池に比較して高くなる特徴を有しているので、例えば、図21における第2の出力電圧特性Sbに示すように、汎用の化学電池における経時的な電圧変化傾向に対応した第1の出力電圧特性Saよりも長い時間単位で電圧が変化(低下)するものであってもよい。
【0185】
具体的には、第1の出力電圧特性Saにおいて、動作保証電圧範囲の下限を電圧Vとし、電圧Vに至るまでの時間をTとしたときに、時間Tの半分の時間、つまり、残りの寿命が半分になるときの時間をT . とし、そのときの電圧をV . とする。ここで、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTが、電源システムの出力電圧を電圧Vに達したと検知すると残量通知Iaを行うように予め設定されている。
【0186】
一方、第2の出力電圧特性Sbにおいて、発電用燃料FLの残量がほぼなくなるときの電圧を上記化学電池の電圧Vと等しくなるようにし、電圧Vに至るまでの時間をT′としたときに、時間T′の半分の時間、つまり、残りの寿命が半分になるときの時間をT . ′とし、そのときの電圧を上記化学電池の電圧V . と等しくなるように設定されている。
【0187】
すなわち、燃料パック20Aに封入された発電用燃料FLの残量が半分になったときに発電モジュール10Aから出力される電圧が、汎用の化学電池の動作保証電圧範囲での起電力の残量が半分になったときの電圧と等しく、発電用燃料FLの残量がほぼなくなりかけたときの電圧が、汎用の化学電池の動作保証電圧範囲での起電力の残量がほぼなくなりかけたときの電圧と等しいように、出力制御部14による発電用燃料FLの供給量や酸素又は空気の供給量を制御する。
【0188】
このように、デバイスDVCの電源として本実施形態に係る電源システムを適用した場合、放電に伴う経過時間に関わらず、発電用燃料FLの残量に基づいて一義的に決定された出力電圧が、デバイスDVCの動作保証電圧範囲を下回る電圧に達した場合に、デバイスDVCにより電池の交換や充電等を促す残量通知Ibが行われることになり、このタイミングは、汎用化学電池を用いたときの残量通知Iaのタイミングと一致させる必要はない。
【0189】
したがって、本実施形態に係る電源システムの寿命(発電用燃料FLの減少に伴い、出力電圧がデバイスDVCの動作保証電圧範囲の下限を下回る時点)T′は、汎用の化学電池の寿命Tと一致させる必要はなく、時間軸Tに沿って拡大又は縮小した軌跡を描くような時間−出力電圧特性にすればよい。なお、残量検出部16は、発電用燃料FLの残量が半分に達したときや、ほぼなくなるときのみに限らず残量が33%、25%のとき等のように、より細かく分割された発電用燃料FLの残量を検知してもよく、いずれも化学電池の起電力の残量に応じた出力電圧とほぼ一致するような出力電圧に設定すればよい。
【0190】
このような出力電圧特性を有する電源システムによれば、動作電力として既存のデバイスDVCに適用した場合、電源システムからの出力電圧が、汎用の化学電池と同等の経時的な変化傾向を示すので、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTにより、この出力電圧の変化を検出することにより、既存の残量通知機能を良好に動作させて、定期的又は継続的に電池残量やデバイスDVCの駆動可能推定時間を表示したり、デバイスDVCの動作保証電圧範囲を下回る電圧に達した場合に、デバイスDVCにより電池の交換や充電等を促す残量通知を正確に行うことができる。
【0191】
また、後述するように、本実施形態に係る電源システム(発電モジュール)を、マイクロマシン製造技術を適用して微小空間に集積化して小型軽量化し、市販の化学電池と同等の外形形状や寸法に構成することにより、外形形状及び電圧特性において市販の化学電池との完全な互換性を実現することができ、既存の電池市場における普及を一層容易なものとすることができる。これにより、環境問題やエネルギー利用効率等の点で課題が多い既存の化学電池に替えて、燃料電池等のエネルギー利用効率が高い電源システムを支障なく普及させることができるので、環境への影響を抑制しつつ、エネルギー資源の有効利用を図ることができる。
【0192】
(D)停止動作
次いで、停止動作においては、動作制御部13は、負荷LDの停止に関する負荷駆動情報を受け取った場合には(S108)、主発電部12における電力の生成を停止するための動作制御信号を出力制御部14に出力する(ステップS114)。出力制御部14は、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、主発電部12への発電用燃料FLの供給を遮断して(ステップS115)、主発電部12の動作を停止し(ステップS116)、デバイスDVCへの負荷駆動電力の供給を停止する。
【0193】
具体的には、上述した定常動作においてフィードバック制御を行った場合であっても、動作制御部13により、デバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧が所定の電圧範囲を逸脱する状態が所定時間継続して検出された場合には、動作制御部13は、該出力電圧異常を負荷駆動情報として扱い、主発電部12における電力の生成を停止するための動作制御信号を出力制御部14に出力する。
【0194】
すなわち、デバイスDVCのユーザー等が負荷LDを停止する操作を行うことにより、あるいは、電源システム1がデバイスDVCから取り外されること等により、負荷がなくなると、上述した定常動作において、負荷駆動電力の出力電圧を所定の電圧範囲に設定するフィードバック制御等を行った場合であっても、予め設定した負荷駆動電力の電圧範囲を逸脱するため、動作制御部13により、このような状態が一定時間以上継続して検出された場合には、デバイスDVCの負荷LDが停止または無くなったと判断して主発電部12における発電動作を停止する。
【0195】
また、デバイスDVCのコントローラCNTにより、負荷LDの停止状態が把握され、電力の供給停止を電源システム側に要求する機能を備えている場合にあっては、動作制御部13は、コントローラCNTからの電力停止要求信号を負荷駆動情報として受け取り、主発電部12における電力の生成を停止するための動作制御信号を出力制御部14に出力する。
これにより、デバイスDVCにおける負荷LDの停止等に対して、発電用燃料の供給が遮断されて主発電部12が自動的に停止するので、発電用燃料FLの効率的な消費を図りつつ、汎用の化学電池と略同等の電力的特性を実現することができる。
【0196】
さらに、残量検出部16により発電用燃料FLの残量の急激な減少等の残量異常が検出された場合には、動作制御部13は、該残量異常に関する検出信号に基づいて、主発電部12における電力の生成を停止するための動作制御信号を出力制御部14に対して出力して、主発電部12の発電動作を停止するとともに、残量異常に関する情報をデバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対して出力して、デバイスDVCの使用者に通知するものであってもよい。これにより、燃料パック20Aから電源システム1外部への発電用燃料FLの漏出等の異常状態の発生を迅速に検出して、デバイスDVCの使用者に対して、適切な対処を講じるように報知することができる。
【0197】
このように、本実施形態に係る電源システムによれば、電源システムの外部から燃料等の供給を受けることなく、電源システムに接続される負荷LDの駆動状態(負荷駆動情報)及び発電用燃料FLの残量に応じて、所定の駆動電源となる電力の供給、停止制御、及び、電力の発生量の調整制御を行うことができるので、汎用の化学電池と略同等の電気的特性を実現しつつ、環境への負担が小さく、かつ、エネルギー変換効率が極めて高い電源システムを提供することができる。これにより、環境問題やエネルギー利用効率等の点で課題が多い既存の化学電池に替えて、本実施形態に係る電源システムを既存の電池市場で支障なく普及させることができる。
【0198】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
図22は、本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第2の実施形態を示すブロック図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0199】
上述した第1の実施形態に係る発電モジュール10Aにおいては、副電源部11において利用された発電用燃料FLを排出ガスとして電源システム1の外部にそのまま排出するか、あるいは、後述する副生成物回収手段により回収する構成について言及したが、本実施形態に係る発電モジュール10Bにおいては、副電源部11における発電動作が発電用燃料FLの成分変化を伴わない場合、もしくは、成分変化を伴った場合であっても特定の燃料成分が含まれている場合には、副電源部11において利用された発電用燃料FLを、主発電部12における発電用燃料として、そのまま、もしくは、特定の燃料成分を抽出して再度利用する構成を有している。
【0200】
具体的には、図22に示すように、本実施形態に係る発電モジュール10Bは、上述した第1の実施形態(図3参照)と同様の構成及び機能を有する副電源部11と、主発電部12と、動作制御部13と、出力制御部14と、起動制御部15と、残量検出部16と、を備え、特に、副電源部11において電力の生成に利用された後の発電用燃料(排出ガス)の全部又はその一部が、発電モジュール10Bの外部に排出されることなく、出力制御部14を介して、主発電部12に供給されるように構成されている。
【0201】
すなわち、本実施形態に適用される副電源部11は、燃料パック20からI/F部30を介して供給される発電用燃料FLの燃料成分を消費、変換することなく、所定の電力(第2の電力)を発生、出力することができる構成(例えば、上述した第1の実施形態における第2、第3、第5又は第7の構成例に示した発電装置)、もしくは、発電用燃料FLの燃料成分を消費、変換する場合であっても、主発電部12における発電動作に利用可能な燃料成分を含む排出ガスを生成する構成(例えば、上述した第1の実施形態における第4又は第6の構成例に示した発電装置)を有している。
【0202】
また、主発電部12として、上述した第1の実施形態における第1乃至第6の構成例に示した発電装置を適用する場合にあっては、燃料パック20に封入される発電用燃料FLとして、発火性又は燃焼性を有する燃料物質、例えば、メタノールやエタノールブタノール等のアルコール系の液体燃料やジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、水素ガス等の気体燃料が適用される。
【0203】
すなわち、上記液体燃料や液化燃料は、所定の封入条件(温度、圧力等)で燃料パック20に封入された状態では液体であり、副電源部11に供給される際の常温、常圧等の所定の環境条件に移行することにより、気化して高圧の燃料ガスとなり、また、気体燃料は、所定の圧力で圧縮した状態で燃料パック20に封入され、副電源部11に供給される際に、封入圧力に応じた高圧の燃料ガスとなるので、このような発電用燃料FLにより、例えば、副電源部11において燃料ガスの圧力エネルギーを用いて電力(第2の電力)を発生した後、主発電部12において副電源部11の排出ガスを用いた電気化学反応や燃焼反応等により電力(第1の電力)を発生することができる。
【0204】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
図23は、本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第3の実施形態を示すブロック図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0205】
上述した第1及び第2の実施形態に係る発電モジュール10A、10Bにおいては、副電源部11として、燃料パック20から供給される発電用燃料FLを用いて、所定の電力(第2の電力)を常時、自立的に発生する構成を適用した場合について説明したが、本実施形態に係る発電モジュールにおいては、副電源部が燃料パック20に封入された発電用燃料FLを用いることなく、所定の電力を常時、自立的に発生する構成を有している。
【0206】
具体的には、図23に示すように、本実施形態に係る発電モジュール10Cは、上述した第1の実施形態(図3参照)と同様の構成及び機能を有する主発電部12と、動作制御部13と、出力制御部14と、起動制御部15と、残量検出部16と、を備えるとともに、燃料パック20に封入された発電用燃料FLを用いることなく、所定の電力(第2の電力)を常時、自立的に発生する副電源部11を備えた構成を有している。
副電源部11の具体的な構成としては、例えば、電源システム1の周辺環境における温度差に基づく熱電変換によるもの(温度差発電)のほか、電源システム1の外部から入射する光エネルギーに基づく光電変換によるもの(太陽光発電)等を良好に適用することができる。
【0207】
以下に、本実施形態に係る副電源部の具体例を図面を参照して簡単に説明する。
(第1の構成例)
図24は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第1の構成例を示す概略構成図である。
第1の構成例においては、副電源部の具体例として、電源システム1内外の周辺環境における温度差を利用した熱電変換発電により電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0208】
図24(a)に示すように、第1の構成例に係る副電源部11Sは、例えば、電源システム1の一端側に設けられた第1の温度保持部311と、電源システム1の他端側に設けられた第2の温度保持部312と、第1の温度保持部311側に一端側が接続されるとともに、第2の温度保持部312側に他端側が接続された熱電変換素子313と、を備えた温度差発電器の構成を有している。ここで、第1及び第2の温度保持部311、312は、電源システム1内外の周辺環境の温度状態に応じて、その保持する熱量が随時変化するように構成されているとともに、第1及び第2の温度保持部311、312における温度が相互に異なるように、配置位置が設定されている。
【0209】
具体的には、例えば、第1及び第2の温度保持部311、312のいずれか一方が、電源システム1が装着されるデバイスDVCに設けられた開口部等(図示を省略)を介して、常時外気に晒され、定温に保持されるようにした構成を適用することができる。また、熱電変換素子313は、上述した第1の実施形態における第4の構成例(図7(b)参照)に示したものと同等の構成を有している。なお、本構成例においても、温度差発電器からなる副電源部11Sの構成は、上述した実施形態に示した構成と同様に、マイクロマシン製造技術を適用することにより、微小空間に集積化して形成することができる。
【0210】
このような構成を有する副電源部11Sにおいて、図24(b)に示すように、電源システム1の周辺環境における温度分布の偏りに伴って、第1及び第2の温度保持部311、312間に温度勾配が生じることにより、熱電変換素子313におけるゼーベック効果により、該温度勾配による熱エネルギーに応じた起電力が発生して電力が生成される。
【0211】
したがって、このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、電源システム1の周辺環境において温度分布の偏りが存在する限り、副電源部11Sにより所定の電力が常時、自立的に生成され、電源システム1内外の各構成に供給することができる。また、この構成によれば、燃料パック20に封入された発電用燃料FLの全てを主発電部12における電力(第1の電力)の生成に利用することができるので、発電用燃料FLの効率的な消費を実現することができるとともに、負荷駆動電力としての電力を長期にわたってデバイスDVCに供給することができる。
なお、本構成例においては、周辺環境における温度分布の偏りに対して、ゼーベック効果により電力を発生する温度差発電器について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、金属の加熱により金属表面から自由電子が放出される熱電子放出現象に基づいて、電力を発生する構成を有するものであってもよい。
【0212】
(非燃料型副電源部の第2の構成例)
図25は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第2の構成例を示す概略構成図である。
第2の構成例においては、副電源部の具体例として、電源システム1の外部から入射する光エネルギーを利用した光電変換発電により電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0213】
図25(a)に示すように、第1の構成例に係る副電源部11Tは、例えば、p型半導体321とn型半導体322を接合させた周知の光電変換セル(太陽電池)を備えた構成を有している。
このような光電変換セルに所定の波長の光(光エネルギー)LTが照射されると、光起電力効果によりp−n接合部323付近において電子−正孔対が発生し、光電変換セル内の電界によって分極した電子(−)がn型半導体322に、また、正孔(+)がp型半導体321に拡散(ドリフト)してp型半導体321及びn型半導体322の各々に設けられた電極間(出力端子Oe、Of間)に起電力が発生して電力が生成される。
【0214】
ここで、一般に、既存のデバイスにおける電池(又は、電源ユニット)の収納スペースは、デバイスの背面側等の光エネルギー(具体的には、太陽光や照明光)が入射しにくい位置に配置されていたり、デバイス内部に完全に収納する構成を有していたりするため、副電源部に対して光が十分に入射しない可能性がある。そこで、本構成例に係る副電源部11Tを適用した電源システム1を、デバイスDVCに装着する場合にあっては、図25(b)に示すように、少なくとも、副電源部11T又は発電モジュール10C部分に外光LTの入射が可能なように、デバイスDVCに予め開口部(又は、光透過部)HLを設けた構成や、デバイスDVCの筐体を透明もしくは半透明の光透過性の部材により構成することにより、副電源部11Tにおいて所定の電力を発生するために必要な最低限の光エネルギー(所定の波長の光)が入射するような構成を適用する必要がある。
【0215】
したがって、このような構成を有する発電装置を副電源部に適用することにより、デバイスDVCを屋外や屋内等の所定の光エネルギーが入射する環境の下で使用する限り、副電源部11Tにより所定の電力が常時、自立的に生成され、電源システム1内外の各構成に供給することができる。また、この構成によれば、燃料パック20に封入された発電用燃料FLの全てを主発電部12における電力(第1の電力)の生成に利用することができるので、発電用燃料FLの効率的な消費を実現することができる。
なお、本構成例においては、図25(a)において、光電変換セル(太陽電池)の最も基本的な構成のみを示したが、本発明は、これに限定されるものではなく、より発電効率の高い他の構成や原理に基づくものを適用するものであってもよい。
【0216】
<副生成物回収手段>
次に、上述した各実施形態に係る電源システムに適用可能な副生成物回収手段について、図面を参照して説明する。
図26は、本発明に係る電源システムに適用可能な副生成物回収手段の一実施例を示すブロック図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0217】
上述した各実施形態において、主発電部12や副電源部11として、燃料パック20に封入された発電用燃料FLを用いて、電気化学反応や燃焼反応等により所定の電力を発生する構成(上記各構成例に示した主発電部や副電源部)を適用した場合にあっては、電力以外に副生成物が排出される場合がある。このような副生成物の中には、自然界に排出されることにより環境汚染の原因となる物質や、電源システムが装着されているデバイスの動作不良の原因となる物質を含む場合もあるため、このような副生成物の排出を極力抑制する必要性から、以下に示すような副生成物回収手段を備えた構成を適用することが好ましい。
【0218】
本発明に係る電源システムに適用可能な副生成物回収手段は、図26に示すように、上述した各実施形態と同等の構成及び機能を有する発電モジュール10D、燃料パック20D及びI/F部30Dにおいて、例えば、発電モジュール10D内に、主発電部12における電力の発生に際して生成される副生成物の全部又はその一部の成分を回収する分離回収部17が設けられているとともに、燃料パック20D内に、上記回収された副生成物を固定的に保持する回収保持部21が設けられた構成を有している。なお、ここでは、主発電部12において生成される副生成物を回収する場合についてのみ詳しく説明するが、副電源部11に対しても同様に適用が可能であることはいうまでもない。
【0219】
分離回収部17は、上述した各構成例に示した構成を有し、燃料パック20Dから供給される発電用燃料FLを用いた電気化学反応や燃焼反応等により、少なくとも、電源システム1が装着されたデバイスDVCに対して、負荷駆動電力(電圧・電流)となる電力を発生する主発電部12(副電源部11を含むものであってもよい)において、該電力の発生の際に生成される副生成物、もしくは、該副生成物のうち特定の成分を分離して、I/F部30Dに設けられた副生成物回収経路を介して、燃料パック20D内に設けられた回収保持部21に送出する。
【0220】
なお、上述した各構成例を適用した主発電部12(副電源部11を含むものであってもよい)において、電力を発生する際に生成される副生成物としては、水(HO)や窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)等があり、これらの全て、又は、その一部、もしくは、特定の成分のみが分離回収部17により回収されて副生成物回収経路に送出される。なお、回収された副生成物が液体状態の場合には、例えば、副生成物回収経路の内径を連続的に変化するように形成することにより、毛細管現象を利用して分離回収部17から回収保持部21へ副生成物を自動的に送出することができる。
【0221】
また、回収保持部21は、燃料パック20Dの内部、又は、その一部に設けられ、燃料パック20Dが発電モジュール10Dに結合された状態においてのみ、上記分離回収部17により回収された副生成物の送入、保持が可能となるように構成されている。すなわち、燃料パック20Dが発電モジュール10Dに対して着脱可能に構成された電源システムにおいては、燃料パック20Dが発電モジュール10Dから分離された状態で、回収、保持された副生成物又は特定の成分が燃料パック20Dの外部に漏出もしくは排出されないように、回収保持部21に固定的又は不可逆的に保持されるように構成されている。
【0222】
ここで、上述したように、主発電部12における電力の生成により、水(HO)や窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)が副生成物として生成される場合にあっては、水(HO)は常温常圧下で液体状態であるので、副生成物回収経路を介して、回収保持部21に良好に送出されるが、窒素酸化物(NO)や硫黄酸化物(SO)等のように、気化点が常圧で概ね常温未満であり、気体状態にある副生成物の場合には、体積が膨大になり、予め設定された回収保持部21の容積を超過する可能性があるので、分離回収部17内及び回収保持部21内の気圧を高くすることにより、回収された副生成物を液化して当該体積を縮小して回収保持部21に保持されるように構成してもよい。
【0223】
したがって、回収保持部21の具体的な構成としては、上記回収された副生成物や特定の成分を不可逆的に吸収、吸着固定、定着等することができる構成、例えば、回収保持部21内に吸収ポリマーが充填された構成や、上述した燃料パック20に備えられた燃料漏出防止手段と同様に、回収保持部21の内部圧力やバネ等の物理的な圧力等により閉止する制御弁等の回収物漏出防止手段を備えた構成を良好に適用することができる。
【0224】
そして、このような構成を有する副生成物回収手段を備えた電源システムにおいて、図12に示したような燃料改質方式の燃料電池を主発電部12Aに適用した場合にあっては、燃料改質部210aにおける水蒸気改質反応、水性シフト反応及び選択酸化反応(化学反応式(1)〜(3))に伴って、水素ガス(H)とともに生成される二酸化炭素(CO)、及び、燃料電池本体210bにおける電気化学反応(化学反応式(6)、(7))に伴って、電力(第1の電力)の発生とともに生成される水(HO)が、副生成物として主発電部12から排出されることになるが、二酸化炭素(CO)の排出量は極めて微量であり、デバイスへの影響もほとんどないため、非回収物質として電源システム外に排出され、一方、水(HO)等が分離回収部17により回収されて、例えば、毛細管現象等を利用して副生成物回収経路を介して、燃料パック20D内の回収保持部21に送出され、不可逆的に保持される。
【0225】
ここで、主発電部12(燃料電池本体)における電気化学反応(化学反応式(2)、(3))は、概ね60〜80℃程度で進行するため、主発電部12において生成される水(HO)は、ほぼ水蒸気(気体)の状態で排出される。そこで、分離回収部17は、例えば、主発電部12から排出される水蒸気を冷却することにより、あるいは、圧力を加えることにより、水(HO)の成分のみを液化して、他の気体成分から分離することにより回収する。
【0226】
なお、本実施例においては、少なくとも、主発電部12の構成として燃料改質方式の燃料電池を適用し、発電用燃料としてメタノール(CHOH)を適用した場合を示したため、電力の発生に伴う副生成物の大半が水(HO)であって、その他、微量の二酸化炭素(CO)を電源システム外に排出することにより、分離回収部17における特定の成分(すなわち、水)の分離、回収を比較的簡易に実現することができるが、発電用燃料としてメタノール以外の物質を適用した場合や、主発電部12として燃料電池以外の構成を適用した場合には、水(HO)とともに、例えば、比較的大量の二酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)等が生成される場合もある。
このような場合には、分離回収部17において上述した分離方法により、例えば、液体である水と、その他の大量に生成される特定の気体成分(二酸化炭素等)を分離した後、燃料パック20D内に設けられた単一又は複数の回収保持部21に、合一又は個別に保持するようにしてもよい。
【0227】
このように、本実施例に係る副生成物回収手段を適用した電源システムによれば、発電モジュール10Dにより電力を発生する際に生成される副生成物のうち、少なくとも1成分が燃料パック20D内に設けられた回収保持部21に不可逆的に保持されることにより、電源システム外部への排出又は漏出が抑制されるので、副生成物(例えば、水)によるデバイスDVCの動作不良や劣化等の発生を防止することができるとともに、副生成物を保持した燃料パック20Dを回収することにより、該副生成物を自然環境に負担を与えない方法で適切に処理して、副生成物(例えば、二酸化炭素)による自然環境の汚染や地球温暖化等を防止することができる。
【0228】
なお、上述したような分離回収方法により回収された副生成物は、以下に示すような保持動作により回収保持部内に不可逆的に保持される。
図27は、本実施例に係る副生成物回収手段による副生成物の保持動作を示す概略図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0229】
図27(a)に示すように、本実施例に係る燃料パック20Dは、一定の容積を有し、例えば、メタノール等の発電用燃料FLが封入、充填された燃料封入空間22Aと、分離回収部17から送出される水等の副生成物が保持される回収保持空間22Bと、後述するように、回収保持空間22Bの容積を相対的に可変し、回収保持空間22Bを燃料封入空間22Aから隔絶する回収袋23と、燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料FLを出力制御部14に供給する燃料供給弁24Aと、分離回収部17から送出される副生成物を回収保持空間22Bに取り込むための副生成物取込弁24Bと、を有して構成されている。
【0230】
ここで、燃料供給弁24A及び副生成物取込弁24Bは、上述したように、いずれも、燃料パック20DがI/F部30Dを介して発電モジュール10Dに結合された状態でのみ、発電用燃料FLの供給や副生成物の取り込みが可能となるように、例えば、燃料パック20D内部の発電用燃料FLや副生成物の圧力やバネ等の物理的な圧力等により閉止する制御弁の機能を備えた構成を有している。なお、上述したように、副生成物取込弁24Bに制御弁の機能を設ける替わりに、回収保持空間22Bに吸収(吸水)ポリマー等を充填した構成を有するものであってもよい。
【0231】
このような構成を有する燃料パック20Dにおいて、図27(a)に示すように、燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料が燃料供給弁24Aを介して発電モジュール10D(主発電部12、副電源部11)に供給されることにより、所定の電力を発生する動作が実行されるとともに、上記分離回収部17により電力の発生に伴って生成された副生成物のうち、特定の成分(例えば、水)のみが分離、回収されて、副生成物回収経路及び副生成物取込弁24Bを介して回収保持空間22Bに取込、保持される。
【0232】
これにより、図27(b)、(c)に示すように、燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料FLの容積が減少するとともに、相対的に、回収保持空間22Bに保持される特定の成分又は物質の容積が増大する。このとき、回収保持空間22Bに吸収ポリマー等を充填した構成を適用することにより、回収され、取り込まれた副生成物の実質的な容積に比較して、より大きな容積を有するように回収保持空間22Bの容積を制御することができる。
【0233】
したがって、燃料封入空間22Aと22Bの関係は、発電モジュール10における電力の発生(発電)動作に伴って、単に、相対的に増減するだけでなく、回収保持空間22Bに保持された副生成物の量に応じて、図27(b)に示すように、所定の圧力で回収袋23を外方に押圧することにより、燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料FLに圧力が印加されることになるので、発電モジュール10Dへの発電用燃料FLの供給を適切に行うことができ、図27(c)に示すように、回収保持空間22Bに保持される副生成物により、燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料FLをほぼ完全になくなるまで供給することができる。
【0234】
なお、本実施例においては、発電モジュール10Dに付設された分離回収部17により分離、回収した副生成物の全て又は一部を回収して燃料パック20D内に保持するとともに、非回収物質を電源システム1外に排出する場合について説明したが、回収された副生成物(例えば、水)の全部又は一部を発電モジュール10D(特に、主発電部12、副電源部11)における電力の発生の際の燃料成分として再利用する構成を有するものであってもよい。
【0235】
具体的には、主発電部12(副電源部11を含むものであってもよい)として、燃料電池からなる発電装置を適用した構成にあっては、水が副生成物の一部として生成されるが、上述したように、燃料改質方式の燃料電池においては、発電用燃料の水蒸気改質反応等において水を必要とするので、図26中、点線矢印で示すように、回収された副生成物のうち、水の一部を主発電部12に供給して、これらの反応に再利用するように構成することができる。これによれば、水蒸気改質反応等のために発電用燃料FLとともに燃料パック20Dに予め封入しておく水の量、また、回収保持部21に保持される副生成物(水)の量を削減することができるので、一定の容量の燃料パック20Dに対してより多くの発電用燃料FLを封入することができ、電源システムとしての電力供給能力の向上を図ることができる。
【0236】
<燃料安定化手段>
次に、上述した各実施形態に係る電源システムに適用可能な燃料安定化手段について、図面を参照して説明する。
図28は、本発明に係る電源システムに適用可能な燃料安定化手段の一実施例を示すブロック図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0237】
本発明に係る電源システムに適用可能な燃料安定化手段は、図28に示すように、上述した各実施形態と同等の構成及び機能を有する発電モジュール10F、燃料パック20F及びI/F部30Fにおいて、I/F部30F又は燃料パック20Fのいずれか(ここでは、燃料パック20F)に、燃料パック20Fに封入された発電用燃料FLの封入状態(温度、圧力等)を検知して、該封入状態が所定のしきい値を超過した場合に、燃料パック20Fから発電モジュール10F(副電源部11、主発電部12)への発電用燃料FLの供給を停止する供給制御弁25と、燃料パック20F内の発電用燃料FLの封入状態(温度、圧力等)を検知して、該封入状態を所定の安定化状態に制御する圧力制御弁26が設けられた構成を有している。
【0238】
供給制御弁25は、燃料パック20Fに封入された発電用燃料FLの温度が所定のしきい値を超過して上昇することにより自動的に作動して、燃料送出経路への発電用燃料FLの送出を遮断する。具体的には、発電用燃料FLの温度の上昇に伴って燃料パック20F内の圧力が上昇することにより、弁が閉じる制御弁を良好に適用することができる。
また、圧力制御弁26は、燃料パック20Fに封入された発電用燃料FLの温度の上昇に伴って、燃料パック20F内の圧力が所定のしきい値を超過して上昇することにより自動的に作動して、燃料パック20F内の圧力を低下させる。具体的には、燃料パック20F内の圧力が上昇することにより、弁が開く圧力開放弁(リリース弁)を良好に適用することができる。
【0239】
これにより、例えば、電源システムをデバイスDVCに装着した状態で、発電モジュール10Fにおける電力の生成やデバイスの負荷の駆動に伴う発熱等により、燃料パック20F内の温度や圧力が上昇した場合には、自動的に発電用燃料FLの供給停止動作、圧力開放動作が行われるので、発電用燃料FLの封入状態を安定化することができる。
【0240】
そして、上述した電源システムの全体動作(図20参照)において、電源システムを起動動作する場合に、動作制御部13は、事前に供給制御弁25の動作状態、すなわち、燃料パック20Fからの発電用燃料FLの供給状態を参照し、発電用燃料FLが正常に供給されているか否かを判断した後、当該動作を実行する。ここで、上述した燃料安定化手段(特に、圧力制御弁26)による発電用燃料FLの封入状態の安定化動作にも関わらず、発電用燃料FLの供給遮断が検出された場合には、動作制御部13は、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対して、発電用燃料FLの封入異常に関する情報を出力して、デバイスDVCの使用者に通知する。
【0241】
また、上述した電源システムの全体動作(図20参照)において、電源システムの定常動作(フィードバック制御)を継続する場合に、動作制御部13は、供給制御弁25の動作状態、すなわち、燃料パック20Fからの発電用燃料FLの供給状態を逐次参照し、燃料安定化手段(特に、圧力制御弁26)による安定化動作にも関わらず、発電用燃料FLの供給遮断が検出された場合、もしくは、デバイスDVCへの負荷駆動電力の急激な低下を負荷駆動情報として受け取った場合には、動作制御部13は、発電用燃料FLの封入異常に関する情報をデバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対して出力して、デバイスDVCの使用者に通知する。
【0242】
これにより、燃料パック20F内の発電用燃料FLの封入条件(温度、圧力等)の異常に起因する発電用燃料FLの変質や発電モジュール10Fにおける動作異常(例えば、出力電圧不良)、燃料パック20Fから電源システム1外部への発電用燃料FLの漏出等の発生を迅速に検出して、燃焼性を有する発電用燃料FLの安全性を確保した信頼性の高い電源システムを提供することができる。
【0243】
<外形形状>
次に、本発明に係る電源システムに適用可能な外形形状について、図面を参照して説明する。
図29は、本発明に係る電源システムに適用可能な外形形状の具体例を示す概略構成図であり、図30は、本発明に係る電源システムに適用される外形形状と、汎用の化学電池の外形形状との対応関係を示す概念図である。
【0244】
上述したような構成を有する電源システムにおいて、燃料パック20をI/F部30を介して発電モジュール10に結合した状態、又は、これらを一体的に構成した状態における外形形状は、例えば、図29に示すように、JIS規格に則った汎用の化学電池に多用されている円形電池41、42、43や、特殊形状の電池(非円形電池)44、45、46の規格に則って、これらのいずれかと同等の外形形状及び寸法を有するように形成されているとともに、上述した発電モジュール10の副電源部11又は主発電部12により生成される電力(第1及び第2の電力)が、図29に示す各電池形状の正極(+)及び負極(−)の電極端子を介して出力されるように構成されている。
【0245】
具体的には、例えば、燃料電池を適用した主発電部(図12参照)においては、燃料電池本体210bの燃料極211が負極端子に、また、空気極212が正極端子に電気的に接続された構成を有している。また、ガス燃焼エンジンやロータリーエンジン等の内燃、外燃機関と電磁誘導等を利用した発電器(図14乃至図16参照)とを組み合わせた構成や、温度差発電器やMHD発電器を適用した主発電部(図17、図18参照)においては、各々の発電器の出力端子が正極端子及び負極端子に電気的に接続された構成を有している。
【0246】
ここで、円形電池41、42、43は、具体的には、市販のマンガン乾電池やアルカリ乾電池、ニッケル・カドミウム電池、リチウム電池等に最も多用され、対応する機器も多いシリンダ型(円柱型:図29(a))や、腕時計等に利用されるボタン型(図29(b))、カメラや電子手帳等に利用されるコイン型(図29(c))等の外形形状を有している。
【0247】
一方、非円形電池44、45、46は、具体的には、コンパクトカメラやデジタルスチルカメラ等、使用する機器の形状等に対応して個別に設計(カスタマイズ)された特殊形状型(図29(d))や、携帯音響機器や携帯電話等の小型薄型化に対応した角形(図29(e))、平型(図29(f))等の外形形状を有している。
【0248】
なお、上述したように、本発明に係る電源システムに搭載される発電モジュール10の各構成は、既存のマイクロマシン製造技術を適用することにより、例えば、ミリメートルオーダー乃至ミクロンオーダーにマイクロチップ化、あるいは、マイクロプラント化することができる。また、発電モジュール10の主発電部12として、例えば、高いエネルギー利用効率を実現することができる燃料電池やガス燃焼タービン等を適用することにより、既存の化学電池と同等(又は、それ以上)の電池容量を実現するために必要となる発電用燃料の量を比較的少量に抑制することができる。
【0249】
したがって、本実施形態に係る電源システムにおいて、図29に示した既存の電池形状を良好に実現することができ、例えば、図30(a)、(b)に示すように、燃料パック20を発電モジュール10に結合した状態、又は、両者を一体的に構成した状態における外形寸法(例えば、長さLa、直径Da)が、図30(c)に示すような汎用の化学電池47の外形寸法(例えば、長さLp、直径Dp)と略同等になるように構成することができる。
【0250】
なお、図30においては、本発明に係る電源システムの着脱構造(結合関係)と外観形状との関係を概念的に示したものにすぎず、具体的な電極構造等を考慮したものではない。本発明に係る電源システムに各電池形状を適用した場合の、発電モジュール10及び燃料パック20の着脱構造と、電極構造との関係については、後述する実施例において詳しく説明する。
【0251】
また、図29に示した外形形状はいずれも、JIS規格に則って市販、又は、デバイスに付属して流通、販売されている化学電池の一例であって、本発明の適用が可能な構成例のごく一部を示したものに過ぎない。すなわち、本発明に係る電源システムに適用可能な外形形状は、上記具体例以外であってもよく、例えば、世界各国で流通、販売されている化学電池、あるいは、将来実用化が予定されている化学電池の形状に合致し、さらには、電気的特性をも合致するように設計することができることはいうまでもない。
【0252】
次いで、本発明に係る電源システムに上述した各電池形状を適用した場合の発電モジュール10及び燃料パック20の着脱構造と、電極構造との関係について、図面を参照して詳しく説明する。
(着脱構造の第1の実施例)
図31(a)〜図31(d)及び図31(e)〜図31(h)は、それぞれ本発明の第1の実施例に係る電源システムの燃料パック及びホルダー部を上方向、前方向、横方向、後方向から見た外形形状を示す概略構成図であり、図32は、本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0253】
図31(a)〜図31(d)及び図31(e)〜図31(h)に示すように、本実施例に係る電源システムは、発電用燃料が所定の条件で封入された燃料パック51と、該燃料パックが着脱可能に構成されたホルダー部52と、を備えて構成されている。ここで、燃料パック51は、上述した各実施形態と同等の構成及び機能を有しているので、その説明を省略する。
【0254】
ホルダー部52は、上述した各実施形態と同等の構成を有する発電モジュール10Xが収納され、正極端子EL(+)が設けられた発電部52aと燃料パック51との間に介在するI/F部として機能し、大別して、負極端子EL(−)が設けられた対向部52bと、発電部52aと対向部52bを連結するとともに、発電部52aと負極端子EL(−)を電気的に接続する連結部52cと、を有して構成されている。ここで、発電部52a、対向部52b及び連結部52cにより囲まれた貫通した空間SP1が、上記燃料パック51を結合した際の収納位置となる。さらに、ホルダー部52は、対向部52bの当接部分の周囲にバネ材等の弾性を有し、中央に孔を有する凸部52dと、凸部52dの孔及び発電モジュール10の副生成物供給経路17aを連結する副生成物回収経路52eと、を備えている。
【0255】
このような構成を有する電源システムにおいて、図32(a)に示すように、発電部、対向部及び連結部により構成される空間SP1に対して、燃料パック51の燃料供給弁24A(詳しくは、図39において後述する)が設けられた燃料送出口(一端側)51aをホルダー部52に当接させて支点とし、燃料パック51の他端側51bを旋回させて押し込むことにより(図中、矢印P9)、図32(b)に示すように、該燃料パック51の底部(他端側)51bが対向部52bに当接して、燃料パック51が空間SP1に収納される。このとき、燃料送出経路となる燃料送出管52f(詳しくは、図39において後述する)が、バネで姿勢が固定されている燃料供給弁24Aを押し下げることにより燃料パック51の漏出防止機能を解除して、燃料パック51に封入された発電用燃料FLが毛細管52g(詳しくは、図39において後述する)内及び燃料送出管52f内での表面張力により自動的に搬送されて、発電モジュール10Xに供給される。
【0256】
ここで、電源システムは、燃料パック51が空間SP1に収納され、ホルダー部52に結合された状態において、例えば、上述した円柱形状の汎用の化学電池(図29(a)、図30(c)参照)と略同等の外形形状及び寸法を有するように構成されている。また、このとき、燃料パック51が空間SP1に正常に収納された状態で、燃料パック51の燃料送出口51aが発電部52a側の燃料送出経路に良好に当接して接続するように、燃料パック51の他端側51bを適当な力で押圧するとともに、燃料パック51がホルダー部52から不用意に脱落することを防止するために、燃料パック51の他端側51bと対向部52bの当接部分が適当な押圧力で係合するように構成されていることが望ましい。
【0257】
具体的には、図32(a)、(b)に示すように、例えば、副生成物である水等を回収するために燃料パック51の他端側51bに形成された副生成物取込弁24Bが配置された凹部と、対向部52bの当接部分の周囲にバネ材等の弾性を有する凸部52dとの間での係合機構を適用することができる。このとき、凸部52dに押し上げられることで副生成物取込弁24Bが閉じた状態から開いた状態になるとともに、副生成物回収経路52eと連結するため(図31(e)参照;詳しくは、図39において後述する)、副生成物回収経路52eを経由して送出される副生成物が、燃料パック51内に設けられた回収袋23(図27参照)に回収可能となる。
【0258】
これにより、上述した全体動作(図20参照)において説明したように、副電源部11において、自立的に電力(第2の電力)が生成されて、少なくとも、発電モジュール10内の動作制御部13に動作電力が供給される。また、本実施形態に係る電源システムが所定のデバイスDVCに装着されることにより、副電源部11により生成された電力の一部が発電部52aに設けられた正極端子EL(+)及び対向部52bに設けられた負極端子EL(−)を介して、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに駆動電力として供給される(初期動作)。
【0259】
したがって、汎用の化学電池と同様に簡易に取り扱うことができ、汎用の化学電池と同一又は同等の外形形状及び寸法(ここでは、円柱形状)を有するとともに、同一又は同等の電気的特性を有する電力を供給することができる完全互換の電源システムを実現することができるので、既存の携帯機器等のデバイスに対して、汎用の化学電池と全く同様に、動作電力として適用することができる。
【0260】
特に、本実施例に係る電源システムにおいて、発電モジュールとして燃料電池を備えた構成を適用し、かつ、発電部52a(発電モジュール10X)に対して着脱可能に構成された燃料パック51として、上述した分解性プラスチック等の材料を適用することにより、環境への影響(負担)を抑制しつつ、高いエネルギー利用効率を実現することができるので、既存の化学電池の投棄や埋め立て処理による環境問題やエネルギー資源の有効利用の問題等を良好に解決することができる。
また、本実施例に係る電源システムによれば、燃料パック51が収納されるホルダー部52側の空間SP1が、貫通形状を有しているので、燃料パック51の対向する側面部を把持しながらホルダー部52に着脱することにより、燃料パック51の着脱を簡易かつ確実に行うことができる。
【0261】
(着脱構造の第2の実施例)
図33(a)〜図33(c)は、それぞれ本発明の第2の実施例に係る電源システムの燃料パックを前方向、横方向、後方向から見た外形形状を示す概略構成図であり、図33(d)〜図31(g)は、それぞれ本発明に係る電源システムのホルダー部を上方向、前方向、横方向、後方向から見た外形形状を示す概略構成図であり、図34は、本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0262】
図33(a)〜図33(g)に示すように、本実施例に係る電源システムは、発電用燃料が所定の条件で封入された燃料パック61と、該燃料パック61が着脱可能に構成されたホルダー部62と、を備えて構成されている。ここで、燃料パック61は、上述した各実施形態と同等の構成及び機能を有しているので、その説明を省略する。
【0263】
ホルダー部62は、大別して、発電モジュール10Xが収納され、正極端子EL(+)が設けられた発電部62aと、負極端子EL(−)が設けられた対向部62bと、発電部62aと対向部62bを連結するとともに、発電部62aと負極端子EL(−)を電気的に接続する連結部62cと、を有して構成されている。ここで、発電部62a、対向部62b及び連結部62cにより囲まれた凹状の空間SP2が、上記燃料パック61を結合した際の収納位置となる。
【0264】
このような構成を有する電源システムにおいて、図34(a)に示すように、発電部62a、対向部62b及び連結部62cにより構成される空間SP2に対して、燃料パック61の燃料送出口61aを発電部62a側の燃料送出経路に当接させつつ、燃料パック61を嵌合させることにより(図中、矢印P10)、図34(b)に示すように、燃料パック61が空間SP2に収納されるとともに、燃料パック61の漏出防止機能が解除されて、燃料パック61に封入された発電用燃料FLが燃料送出経路を介して、発電部62aに内蔵された発電モジュール10Xに供給される。
【0265】
ここで、電源システムは、上述した第1の実施例と同様に、燃料パック61が空間SP2に収納され、ホルダー部62に結合された状態において、例えば、上述した円柱形状の汎用の化学電池(図29(a)、図30(c)参照)と略同等の形状及び寸法を有するように構成されている。また、このとき、燃料パック61が空間SP2に正常に収納された状態で、燃料パック61がホルダー部62から不用意に脱落することを防止するために、燃料パック61の外形形状がホルダー部62の空間SP2の内部形状に係合する構成を有することが望ましい。
【0266】
これにより、上述した第1の実施例と同様に、汎用の化学電池と同様に簡易に取り扱うことができ、かつ、汎用の化学電池と同一又は同等の外形形状及び電気的特性を有する完全互換型のポータブル型の電源システムを実現することができる。また、発電モジュールに適用する発電装置の構成や着脱可能な燃料パックの構成材料を適切に選択することにより、環境への影響を大幅に抑制して、既存の化学電池の投棄や埋め立て処理による環境問題やエネルギー資源の有効利用の問題等を良好に解決することができる。
【0267】
(着脱構造の第3の実施例)
図35(a)〜図35(c)は、それぞれ本発明の第3の実施例に係る電源システムの燃料パックを前方向、横方向、後方向から見た外形形状を示す概略構成図であり、図35(d)〜図35(f)は、それぞれ本発明に係る電源システムのホルダー部を前方向、横方向、後方向から見た外形形状を示す概略構成図であり、図36(a)〜図36(c)は、本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0268】
図35(a)〜図35(f)に示すように、本実施例に係る電源システムは、発電用燃料が所定の条件で封入された燃料パック71と、該燃料パック71が複数本収納可能に構成されたホルダー部72と、を備えて構成されている。ここで、燃料パック71は、上述した各実施形態と同等の構成及び機能を有するとともに、特に、その外形形状が汎用の化学電池、例えば、単3型マンガン電池等と同等の形状及び寸法を有するように構成されている。
【0269】
ホルダー部72は、大別して、発電モジュール10Xが収納され、同一端面に正極端子EL(+)及び負極端子EL(−)が設けられた発電部72aと、発電部72aとの間に空間SP3を有するように設けられた上部カバー72bと、空間SP3への燃料パック71の収納、取り出しを可能とするとともに、空間SP3内に収納された燃料パック71を押圧固定する開閉カバー72cと、を有して構成されている。
【0270】
このような構成を有する電源システムにおいて、図36(a)に示すように、ホルダー部72の開閉カバー72cを開状態として空間SP3の一面側を開放状態として、複数本(ここでは、2本)の燃料パック71を同一の向きに挿入した後、図36(b)、(c)に示すように、開閉カバー72cを閉状態とすることにより、燃料パック71が空間SP3に収納されるとともに、開閉カバー72cが燃料パック71の他端側71bを押圧して、燃料パック71の燃料送出口71aを発電部72a側の燃料送出経路(I/F部;図示を省略)に当接させることにより、燃料パック71の漏出防止機能が解除されて、燃料パック71に封入された発電用燃料FLが燃料送出経路を介して、発電部72aに内蔵された発電モジュール10Xに供給される。
ここで、本実施例に係る電源システムは、燃料パック71が空間SP3に収納され、ホルダー部72に結合された状態において、例えば、上述した特殊形状の化学電池(図29(d)参照)と略同等の外形形状及び寸法を有するように構成されている。
【0271】
これにより、既存の特殊形状の化学電池と同一又は同等の外形形状及び電気的特性を有する完全互換型のポータブル型の電源システムを実現することができるとともに、発電モジュールに適用する発電装置の構成や着脱可能な燃料パックの構成材料を適切に選択することにより、環境への影響を大幅に抑制して、既存の化学電池の投棄や埋め立て処理による環境問題やエネルギー資源の有効利用の問題等を良好に解決することができる。また、本実施例においては、燃料パックが汎用の化学電池と同等の外形形状及び寸法を有するように構成されているので、汎用の化学電池を電池ホルダーに収納した後、デバイスに装着するような構成を有する電源システムと略同様に、簡易な使用形態の電源システムを提供することができる。
【0272】
(第4の実施例)
図37(a)〜図37(c)は、それぞれ本発明の第4の実施例に係る電源システムの燃料パックを前方向、横方向、後方向から見た外形形状を示す概略構成図であり、図37(d)〜図31(f)は、それぞれ本発明に係る電源システムのホルダー部を上方向、横方向、前方向から見た外形形状を示す概略構成図であり、図38は、本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化又は省略する。
【0273】
図37(a)〜図37(f)に示すように、本実施例に係る電源システムは、発電用燃料が所定の条件で封入された燃料パック81と、該燃料パック81が複数本収納可能に構成されたホルダー部82と、を備えて構成されている。ここで、燃料パック81は、上述した第3の実施例と同様に、その外形形状が汎用の化学電池と同等の形状及び寸法を有するように構成されている。
ホルダー部82は、大別して、発電モジュール10Xが収納され、同一端面に正極端子EL(+)及び負極端子EL(−)が設けられた発電部82aと、発電部82aと対向する面を有する対向部82bと、発電部82aと対向部82bを連結するベース部82cと、を有して構成されている。ここで、発電部82a、対向部82b及びベース部82cにより囲まれた凹状の空間SP4が、上記燃料パック81を結合した際の収納位置となる。
【0274】
このような構成を有する電源システムにおいて、図38(a)に示すように、発電部82a、対向部82b及びベース部82cにより構成される空間SP4に対して、燃料パック81の燃料送出口(一端側)81aを発電部82a側の燃料送出経路(I/F部;図示を省略)に当接させて支点とし、燃料パック81の他端側81bを旋回させて押し込むことにより(図中、矢印P11)、図38(b)に示すように、該燃料パック81の他端側81bが対向部82bに当接して固定され、複数本(ここでは、2本)の燃料パック81が空間SP4に同一の向きに収納される。このとき、燃料パック81の漏出防止機能が解除されて、燃料パック81に封入された発電用燃料FLが燃料送出経路を介して、発電部82aに内蔵された発電モジュール10Xに供給される。
【0275】
ここで、電源システムは、燃料パック81が空間SP4に収納され、ホルダー部82に結合された状態において、例えば、上述した特殊形状の化学電池(図29(d)参照)と略同等の外形形状及び寸法を有するように構成されている。また、このとき、燃料パック81が空間SP4に正常に収納された状態で、燃料パック81の燃料送出口81aが発電部82a側の燃料送出経路に良好に当接して接続するとともに、燃料パック81がホルダー部82から不用意に脱落することを防止するために、上述した第1の実施例と同様に、図38(a)、(b)に示すように、燃料パック81の他端側81bと対向部82bの当接部分が適当な押圧力で係合するように構成されている。
これにより、上述した第3の実施例と同様の作用効果を有する電源システムを実現することができる。
なお、ホルダー部62、72、82には、いずれもホルダー部52の燃料送出管52fと同等の機能を有する燃料送出管が設けられ、さらに、いずれも副生成物回収経路52eと同等の副生成物回収経路が設けられている。
【0276】
(具体的構成例)
次に、上述した各実施形態(各構成例を含む)のいずれかを適用した電源システム全体の具体構成例について、図面を参照して説明する。
図39は、本発明に係る電源システム全体の具体的構成例を示す要部概略構成図である。また、図40は、本具体構成例に適用される燃料改質部の一構成例を示す概略図であり、図41は、本具体構成例に適用される燃料改質部の他の構成例を示す概略図である。ここでは、主発電部12として燃料改質方式の燃料電池が適用されているものとする。また、上述した各実施形態及び各構成例を適宜参照し、同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化する。
【0277】
図39に示すように、本具体構成例に係る電源システム1Aは、図2に示したように、発電モジュール10と燃料パック20がI/F部30を介して着脱可能に構成され、全体として図29(a)又は図30に示したように円柱形状からなる外形形状を有している。また、これらの構成(特に、発電モジュール10)が、マイクロマシン製造技術等を用いて微小空間に構成され、汎用の化学電池と同等の外形寸法を有するように構成されている。
【0278】
発電モジュール10は、概略、円柱形状の円周側面に沿って延在し、相互に分離して積層形成された燃料電池からなる主発電部12と、主発電部12を駆動するための電力を供給する副電源部11(図示を省略)と、円柱状の発電モジュール10内部に、深さ及び幅がそれぞれ500μm以下の燃料流路が接続されるように積層形成された水蒸気改質反応ユニット210A(燃料改質部210a;詳しくは後述する)と選択酸化反応ユニット210C(選択酸化触媒部210c)と、発電モジュール10内部にマイクロチップ化されて収納された動作制御部13及び起動制御部15等を搭載したコントロールチップ90と、発電モジュール10の円柱側面から上記主発電部12の空気極212(図12参照)まで貫通し、外部の空気を取り入れる複数の通気孔(スリット)14cと、上記空気極212側において生成される副生成物(水等)を液化(凝結、凝縮)して分離回収する分離回収部17と、回収した副生成物の一部を水蒸気改質反応ユニット210Aに供給する副生成物供給経路17aと、円柱上面から上記主発電部12の空気極まで貫通し、少なくとも、主発電部の燃料極側や水蒸気改質反応ユニット210A、選択酸化反応ユニット210Cにおいて生成され、非回収物質である副生成物(二酸化炭素等)を発電モジュールの外部に排出する排出孔14dと、を備えて構成されている。
【0279】
燃料パック20(51、61、71、81)は、概略、図26に示した構成と同様に、主発電部12に供給される発電用燃料FLが充填、封入される燃料封入空間22Aと、上記分離回収部17により回収された副生成物(水)を固定的に保持する回収保持空間22B(回収保持部21)と、発電モジュール10との境界にあって、発電用燃料FLの漏出を防止する燃料供給弁24A(燃料漏出防止手段)と、回収保持された副生成物(回収物)の漏出を防止する副生成物取込弁24B(回収物漏出防止手段)と、を有して構成されている。ここで、燃料パック20は、上述したような分解性プラスチックにより形成されている。
【0280】
このような構成を有する燃料パック20を、発電モジュール10及びI/F部30と結合すると、燃料送出管52fがバネで姿勢が固定されている燃料供給弁24Aを押し下げて燃料パック51の漏出防止機能を解除して、燃料パック51に封入された発電用燃料FLが毛細管52g内及び燃料送出管52f内での表面張力により発電モジュール10(水蒸気改質反応ユニット210A等)まで自動的に搬送される。
【0281】
また、I/F部30は、燃料パック20に封入された発電用燃料FLを主発電部12や必要に応じて副電源部11に供給する燃料送出管52fと、上記主発電部12において生成され、分離回収部17により回収された副生成物(水)の全部又は一部を、燃料パック20に送出する副生成物回収経路52eと、を有して構成されている。
なお、図示を省略したが、発電モジュール10又は燃料パック20もしくはI/F部30には、図3、図28に示したように、燃料パック20の燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料FLの残量を検出する残量検出手段(残量検出部16)や、発電用燃料FLの封入状態を安定化させる燃料安定化手段(供給制御弁25、圧力制御弁26等)が設けられた構成を有している。
【0282】
ここで、本具体構成例に係る電源システムに適用される水蒸気改質反応ユニット210Aの構成は、例えば、図40に示すように、シリコン等の微小基板201の一面側に、半導体製造技術等の微細加工技術を用いて、所定の溝形状及び所定の平面パターンを有するように設けられた燃料吐出部202a、水吐出部202b、燃料気化部203a、水気化部203b、混合部203c、改質反応流路204、水素ガス排気部205と、上記改質反応流路204の形成領域に対応する領域であって、例えば、微小基板201の他面側に設けられた薄膜ヒータ206と、を備えて構成されている。
【0283】
燃料吐出部202a及び水吐出部202bは、上述したような水蒸気改質反応における原料物質となる発電用燃料及び水を、例えば、所定の単位量ごとに液状粒として流路内に吐出する流体吐出機構を有している。したがって、燃料吐出部202a及び水吐出部202bにおける発電用燃料又は水の吐出量に基づいて、例えば、上記化学反応式(3)式に示した水蒸気改質反応の進行状態が制御されることになるため(詳しくは、後述する薄膜ヒータ206からの熱量も密接に関連する)、燃料吐出部202a及び水吐出部202bは、上述した出力制御部14(燃料制御部14a)における燃料供給量の調整機能の一部を担う構成を有している。
【0284】
燃料気化部203a及び水気化部203bは、それぞれ発電用燃料及び水の沸点等の揮発条件に応じて加熱されるヒータであって、これらのヒータは、副電源部11からの電力で駆動される出力制御部14によって、燃料吐出部202a及び水吐出部202bから液状粒として吐出された発電用燃料又は水を、図13(a)に示した蒸発過程のように所定の温度に加熱して気化させることにより燃料流路の内圧を所定の圧力に設定するされるように制御され、燃料ガスの流路と水蒸気の流路とが連結された混合部203cにおいて、燃料ガスと水蒸気とが混合するようになっている。
【0285】
改質反応流路204及び薄膜ヒータ206は、上記混合部203cにおいて生成された混合ガスを改質反応流路204に導入し、改質反応流路204の内壁面に付着形成された銅-錫(Cu-Zn)系の触媒(図示を省略)、及び、改質反応流路204の形成領域に対応して設けられた薄膜ヒータ206から、改質反応流路204に供給される所定の熱エネルギーに基づいて、図13(a)及び上記化学反応式(3)に示した水蒸気改質反応を生じさせて、水素ガス(H)を生成する(水蒸気改質反応過程)。
【0286】
水素ガス排気部205は、改質反応流路204において生成された水素ガスと一酸化炭素との混合ガスを排出して、選択酸化反応ユニット210Cにおける水性シフト反応過程及び選択酸化反応過程を介して、一酸化炭素(CO)を除去した後、主発電部12を構成する燃料電池の燃料極に供給する。これにより、主発電部12において、上記化学反応式(6)及び(7)に基づく一連の電気化学反応が生じて、所定の電力が生成される。
【0287】
このような構成を有する電源システムにおいて、上述した全体動作(初期動作、起動動作、定常動作、停止動作)に則して、例えば、I/F部30を介して発電モジュール10に燃料パック20が結合されると、燃料供給弁24A(燃料漏出防止手段)による漏出防止機能が解除されて、燃料パック20の燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料(例えば、メタノール)FLが、燃料送出経路31を介して直接副電源部11を構成する燃料電池の燃料極に供給されて、第2の電力が生成される。この電力は、コントロールチップ90に搭載された動作制御部13に動作電力として供給されるとともに、電源システム1Aが図示を省略した正極端子及び負極端子を介して電気的に接続されたデバイスDVC(図示を省略)に内蔵されたコントローラCNTに駆動電力として供給される。
【0288】
そして、動作制御部13が上記コントローラCNTからデバイスDVCの負荷LDの駆動状態に関する情報を受け取ると、起動制御部15に動作制御信号を出力して、副電源部11により生成される電力の一部を用いて、水蒸気改質反応ユニット210Aの薄膜ヒータ206を加熱するとともに、所定量の発電用燃料及び水を水蒸気改質反応ユニット210Aの改質反応流路204に吐出する。これにより、上述した化学反応式(3)〜(5)に示した水蒸気改質反応及び選択酸化反応により、水素ガス(H)及び二酸化炭素(CO)が生成され、水素ガス(H)は、主発電部12を構成する燃料電池の燃料極に供給されて第1の電力が生成され、デバイスDVCの負荷LDに負荷駆動電力として供給されるとともに、二酸化炭素(CO)は、例えば、発電モジュール10の上面に設けられた排出孔14dを介して発電モジュール10(電源システム1A)の外部に排出される。
【0289】
また、主発電部12における発電動作に際して生成される副生成物(水蒸気等の気体)は、分離回収部17において、冷却されて液化されることにより、水とそれ以外の気体成分とに分離し、水のみを回収して一部を副生成物供給経路17aを介して、上記水蒸気改質反応ユニット210Aに供給するとともに、それ以外の水を副生成物回収経路を介して、燃料パック20内の回収保持空間22Bに不可逆的に保持される。
【0290】
したがって、本具体構成例に係る電源システム1Aによれば、電源システム1Aの外部から燃料の補給を受けることなく、駆動される負荷(デバイスDVC)の駆動状態及び発電用燃料FLの残量に応じた適切な電力(第1の電力)を自立的に出力することができるので、汎用の化学電池と同等の電気的特性及び簡易な取り扱いを実現しつつ、高いエネルギー変換効率で発電動作を行うことができるとともに、少なくとも燃料パック20の自然界への投棄、埋め立て等に対して、環境への負担が少ないポータブル型の電源システムを実現することができる。
【0291】
なお、本具体構成例においては、主発電部12や水蒸気改質反応ユニット210A等において生成され、回収された副生成物(水)の一部を水蒸気改質反応ユニット210Aに供給して再利用する構成を示したが、このような構成を適用しない電源システムにおいては、燃料パック20に発電用燃料(メタノール等)とともに封入された水を利用して、水蒸気改質反応ユニット210Aにおける水蒸気改質反応を実行する。
【0292】
したがって、このように予め水が混合して封入された発電用燃料を用いて発電動作を行う場合にあっては、図41に示すように、水蒸気改質反応ユニット210Aの構成として、微小基板201の一面側に、燃料吐出部202、燃料気化部203、改質反応流路204及び水素ガス排気部205のみからなる単一の流路が形成された構成を適用することができる。
【0293】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃料封入部(燃料パック)に充填、封入された液体又は気体からなる発電用燃料、又は、該発電用燃料から供給される特定の成分(例えば、水素)を用いて発電を行う発電モジュール(発電器)を備えたポータブル型の電源システムにおいて、該発電による出力電圧特性(起電力特性)が、汎用の化学電池、すなわち、日本国内外で市販、あるいは、機器に付属して流通、販売される一次電池又は二次電池のうちの1種における経時的な電圧の変化傾向に応じた出力電圧となるように、発電モジュールにおける発電状態が制御される。
【0294】
これにより、汎用の化学電池等の電圧変化傾向に応じた出力電圧特性を有するポータブル電源を実現することができるので、既存の携帯機器等の電源としてそのまま使用した場合であっても、この出力電圧の変化を検出して電池残量や機器の駆動可能推定時間を表示したり、電池の交換や充電等を促す機能を支障なく利用することができ、化学電池に対する互換性を高めた電源システムを提供することができる。
【0295】
このような特徴を実現するために、第2の発電手段により生成される第2の電力に基づいてシステム制御手段(出力制御部、システム制御手段)が駆動され、燃料封入部に残存する発電用燃料の量(残量)に応じて、第1の発電手段における第1の電力の発生量(発電状態)が制御されるように構成することにより、電源システムの外部から燃料等の供給を受けることなく、発電モジュールにより自立的に発電状態を制御して、発電用燃料の残量に応じた所定の電力を発生、出力することができる。
【0296】
この場合、システム制御手段(動作制御部)による第1の発電手段における発電状態の制御は、汎用の化学電池における経時的な電圧変化傾向、例えば、時間の経過に伴って出力電圧が一義的に低下する傾向に対応して、発電用燃料の残量と出力電圧(第1の電力の電圧成分)との相関関係を予め規定した相関テーブルに基づいて実行されるものであってもよく、これによれば、燃料封入部における発電用燃料の残量に基づいて、該相関テーブルを参照し、発電部の燃料極への発電用燃料の供給量を調整することにより、簡易に出力電圧を設定制御することができるので、汎用の化学電池と同様の出力電圧特性を有し、電気的特性上、互換が可能な電源システムを提供することができる。
【0297】
上記電源システムにおいて、より好ましい態様は、第1の電源手段及び第2の電源手段が、共に燃料封入部から供給される発電用燃料を用いた電気化学反応により、第1の電力及び第2の電力を発生する燃料電池を有している構成であり、これにより、汎用の化学電池に比較して、極めてエネルギー利用効率の高い燃料電池を用いて、電源システムの動作電力及び負荷の駆動電力を生成することができるとともに、汎用の化学電池における経時的な電圧変化傾向と同様の出力電圧特性を有する電源システムを実現することができるので、既存の携帯機器等における残量通知機能等を良好に利用することができるとともに、化石燃料等のエネルギー資源の消費量を削減して有効な利用を図ることができる。
【0298】
また、上記電源システムにおいて、第1の電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであってもよく、この場合、第1の電源手段は、発電用燃料を改質して、特定の成分を抽出する燃料改質器と、該特定の成分が供給される燃料極と、空気中の酸素が供給される空気極と、を備えた燃料改質型の燃料電池としての構成を適用することが好ましい。このような燃料改質型の燃料電池を適用した構成によれば、燃料電池に供給される発電用燃料の量を制御することにより、第1の電源手段により生成される第1の電力の量を簡易に制御することができるとともに、発電用燃料の有する化学エネルギーから極めて高いエネルギー変換効率で電力を生成することができる電源システムを実現することができる。
【0299】
また、上記電源システムにおいて、第2の電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであってもよく、この場合、第2の電源手段は、発電用燃料が直接的に供給される燃料極と、空気中の酸素が供給される空気極と、を備えた燃料直接供給型の燃料電池としての構成を適用することが好ましい。このような燃料直接供給型の燃料電池を適用した構成によれば、簡易な構成の燃料電池に燃料封入部から発電用燃料を供給するだけで、自立的かつ継続的に高いエネルギー変換効率で所定の電力(第2の電力)を生成してシステム制御手段に動作電力として供給することができるので、特別な操作を必要とすることなく、発電用燃料の残量に応じた電圧成分を有する第1の電力を出力することができ、汎用の化学電池と同等の電気的特性を有しつつ、取り扱いが簡易な電源システムを提供することができるとともに、第2の電源手段の規模を小型化することができる。
【0300】
なお、上記電源システムにおいて、第1及び第2の電源手段としては、上述した燃料電池の他、発電用燃料を用いて高いエネルギー変換効率で第1及び第2の電力を生成することができ、かつ、小型化や微細化が可能な構成を有する種々の発電装置や蓄電装置の中から、電源システムの外形形状や電気的特性等に応じて適宜組み合わせた任意の構成を適用することができる。
【0301】
また、上記電源システムに適用される発電用燃料は、少なくとも、水素を主成分とする、又は、水素からなる液体燃料又は液化燃料又は気体燃料、具体的には、メタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、あるいは、水素ガス等の気体燃料であって、特に、燃料封入部から発電モジュールに供給される際の常温、常圧等の所定の環境条件の下で気体状態にあるものを良好に適用することができるので、第1及び第2の電源手段における発電動作において、高いエネルギー変換効率で電力を生成することができるとともに、この発電動作に伴って電力以外に生成される副生成物を比較的簡易な処理で無毒化や難燃化することができ、自然環境等への影響を大幅に抑制することができる。
【0303】
ここで、上記電源システムは、第1の電源手段から出力される第1の電力により駆動する負荷に対して、システム全体が着脱可能な構成、又は、該負荷に対して、少なくとも燃料封入部が着脱可能な構成、もしくは、発電モジュールに対して、燃料封入部が着脱可能な構成を有していることが好ましい。これによれば、燃料封入部に封入された発電用燃料がなくなったときや少なくなったときに、燃料封入部を発電モジュールから取り外して新たな燃料封入部に交換、あるいは、燃料封入部に発電用燃料を注入して補充することができるので、発電モジュールを継続的に利用することができるとともに、電源システム全体又は燃料封入部をあたかも汎用の化学電池のように簡便に使用することができる。また、燃料封入部の交換や回収が可能となるので、電源システム自体の廃棄量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電源システムの適用形態を示す概念図である。
【図2】本発明に係る電源システムの基本構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第1の構成例を示す概略構成図である。
【図5】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第2の構成例を示す概略構成図である。
【図6】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第3の構成例を示す概略構成図である。
【図7】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第4の構成例を示す概略構成図である。
【図8】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第5の構成例を示す概略構成図である。
【図9】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第6の構成例を示す概略構成図である。
【図10】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第7の構成例を示す概略構成図である。
【図11】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第8の構成例を示す概略構成図である。
【図12】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第1の構成例を示す概略構成図である。
【図13】本構成例に係る主発電部に適用される燃料改質部における水素生成過程を示す概念図である。
【図14】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第2の構成例を示す概略構成図である。
【図15】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第3の構成例を示す概略構成図である。
【図16】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第4の構成例を示す概略構成図である。
【図17】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第5の構成例を示す概略構成図である。
【図18】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の第6の構成例を示す概略構成図である。
【図19】本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの一実施形態の他の例の要部構成を示すブロック図である。
【図20】電源システムの概略動作を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態に係る電源システムの出力電圧の経時変化を示す特性図である。
【図22】本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図23】本発明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第3の実施形態を示すブロック図である。
【図24】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第1の構成例を示す概略構成図である。
【図25】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第2の構成例を示す概略構成図である。
【図26】本発明に係る電源システムに適用可能な副生成物回収手段の一実施例を示すブロック図である。
【図27】本実施例に係る副生成物回収手段による副生成物の保持動作を示す概略図である。
【図28】本発明に係る電源システムに適用可能な燃料安定化手段の一実施例を示すブロック図である。
【図29】本発明に係る電源システムに適用可能な外形形状の具体例を示す概略構成図である。
【図30】本発明に係る電源システムに適用される外形形状と、汎用の化学電池の外形形状との対応関係を示す概念図である。
【図31】本発明に係る電源システムに既存の化学電池の外形形状を適用した場合の第1の実施例を示す概略構成図である。
【図32】本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。
【図33】本発明に係る電源システムに既存の化学電池の外形形状を適用した場合の第2の実施例を示す概略構成図である。
【図34】本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。
【図35】本発明に係る電源システムに既存の化学電池の外形形状を適用した場合の第3の実施例を示す概略構成図である。
【図36】本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。
【図37】本発明に係る電源システムに既存の化学電池の外形形状を適用した場合の第4の実施例を示す概略構成図である。
【図38】本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。
【図39】本発明に係る電源システム全体の具体的構成例を示す要部概略構成図である。
【図40】本具体構成例に適用される燃料改質部の一構成例を示す概略図である。
【図41】本具体構成例に適用される燃料改質部の他の構成例を示す概略図である。
【図42】汎用の化学電池における出力電圧の経時的な変化傾向(起電力特性)を示す図である。
【図43】従来技術における燃料電池における起電力特性を示す図である。
【符号の説明】
1 電源システム
10、10A〜10F 発電モジュール
11、11A〜11H 副電源部
12、12A〜12F 主発電部
13 動作制御部
14 出力制御部
15 起動制御部
16 残量検出部
17 分離回収部
20、20D〜20F 燃料パック
30、30D〜30F I/F部
DVC デバイス
LD 負荷
CNT コントローラ

Claims (17)

  1. 発電用燃料が封入された燃料封入部と、
    該燃料封入部から供給される前記発電用燃料を用いて電力を発生する発電モジュールと、
    前記発電モジュールの動作状態を制御して、前記電力の発生量を調整する出力制御部と、
    前記燃料封入部における前記発電用燃料の残量と前記発電モジュールにより生成される前記電力の電圧成分との相関関係を規定した相関テーブルを備え、前記相関テーブルを参照することにより、前記発電モジュールにおける動作状態を調整するための制御信号を前記出力制御部に出力する動作制御部と、
    を備え、
    前記発電モジュールは、経時的に出力電圧が変化することを特徴とする電源システム。
  2. 前記発電モジュールは、各種汎用の化学電池のうちの1種における経時的な電圧変化傾向に対応した出力電圧特性に基づいて、前記電力を発生することを特徴とする請求項1記載の電源システム。
  3. 前記発電モジュールは、
    前記発電用燃料を用いて所定の負荷を駆動するための第1の電力を発生する第1の電源手段と、
    少なくとも、前記第1の電源手段を動作制御するための第2の電力を常時出力する第2の電源手段と、
    を具備し、
    前記動作制御部は、前記第2の電力により動作し、少なくとも、前記第1の電源手段における動作状態を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の電源システム。
  4. 前記電源システムは、前記燃料封入部に封入された前記発電用燃料の残量を検出して、該残量に関する検出情報を前記動作制御部に出力する残量検出手段を備えていることを特徴とする請求項記載の電源システム。
  5. 前記発電モジュールは、
    前記発電用燃料を用いて所定の負荷を駆動するための第1の電力を発生する第1の電源手段と、
    少なくとも、前記第1の電源手段を動作制御するための第2の電力を常時出力する第2の電源手段と、
    を備え、
    前記相関テーブルは、前記発電用燃料の残量の減少に伴って、前記第1の電源手段により生成される前記第1の電力の電圧成分が一義的に低下する相関関係を有していることを特徴とする請求項記載の電源システム。
  6. 前記出力制御部は、前記動作制御手段からの前記制御信号に基づいて、前記第1の電源手段への前記発電用燃料の供給量を制御することにより、前記第1の電源手段により生成される前記第1の電力の電圧成分を調整することを特徴とする請求項記載の電源システム。
  7. 前記第1の電源手段及び前記第2の電源手段は、前記発電用燃料を用いた電気化学反応により、前記第1の電力及び第2の電力を発生する燃料電池であることを特徴とする請求項記載の電源システム。
  8. 前記第1の電源手段は、前記燃料封入部から供給される前記発電用燃料を用いた電気化学反応により、前記第1の電力を発生する燃料電池であることを特徴とする請求項記載の電源システム。
  9. 前記第1の電源手段は、前記発電用燃料を改質して、特定の成分を抽出する燃料改質器と、
    該特定の成分が供給される燃料極と、
    空気中の酸素が供給される空気極と、
    を備えた燃料改質型の燃料電池であることを特徴とする請求項又は記載の電源システム。
  10. 前記第2の電源手段は、電力の蓄積が可能な蓄電装置であることを特徴とする請求項記載の電源システム。
  11. 前記第2の電源手段を構成する蓄電装置は、繰り返し充放電が可能な電気化学的な二次電池であることを特徴とする請求項10記載の電源システム。
  12. 前記第2の電源手段を構成する蓄電装置は、繰り返し電荷の蓄積、放出が可能なコンデンサであることを特徴とする請求項10記載の電源システム。
  13. 前記第2の電源手段は、前記燃料電池又は前記発電装置から出力される電力を蓄積する蓄電装置を備え、該蓄電装置に蓄積された前記電力を前記第2の電力として、前記第1の電源手段又は前記出力制御部の少なくともいずれか一方に出力することを特徴とする請求項記載の電源システム。
  14. 前記電源システムは、前記第1の電源手段から出力される前記第1の電力により駆動する前記負荷に対して、着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項に記載の電源システム。
  15. 前記電源システムは、前記第1の電源手段から出力される前記第1の電力により駆動する前記負荷に対して、少なくとも前記燃料封入部が着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項記載の電源システム。
  16. 前記電源システムは、前記発電モジュールに対して、前記燃料封入部が、着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項記載の電源システム。
  17. 発電用燃料が封入された燃料封入部と、
    該燃料封入部から供給される前記発電用燃料を用いて電力を発生する発電モジュールと、
    前記燃料封入部に封入された発電用燃料の残量の減衰にしたがって、前記発電用燃料の供給量を逓減して前記発電モジュールにより生成される電力の発生量を低下させる制御する出力制御部と、
    を備えることを特徴とする電源システム。
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