JP3851687B2 - 手術用顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば脳神経外科手術などにおいて使用され、観察光軸上の任意の点を中心として鏡体を傾斜可能な手術用顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、手術用顕微鏡は支持装置に鏡体を保持して使用される。特願平7−216304号の出願で提案されている手術用顕微鏡においての支持装置は、観察光軸上の一点を中心として鏡体を傾斜させることが可能であり、さらに観察光軸上で傾斜中心点を移動させることも可能である。
【0003】
この先行例のものには鏡体の焦準位置を鏡体の傾斜中心点としたい場所に合わせ、その状態で所定のスイッチを操作すると傾斜中心点がその位置に移動するという制御システム技術に関する記載もある。
【0004】
また、最近では、支持装置のアームをオールフリーの状態に設定した場合に焦準機構を予め設定した位置に復帰させるというフォーカスの原点復帰機構が提案されている。本明細書中では、これをフォーカスリセットと呼ぶこととする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
(問題点)
前記手術用顕微鏡の支持装置において、アームをオールフリーにして観察位置を移動した後に焦準を移動した場合、その都度、傾斜中心点を再び設定し直さないと、意図した傾斜操作が行い難い。これは焦準操作の二度手間になってしまい、実際の使用に際しては使い勝手が悪いものであった。
また、手術中に、傾斜中心点を焦準位置に合わせる、または傾斜中心点を体表面に合わせる等といった場合に、傾斜中心点を設定する度に焦準をその位置に合わせなければならないため、手術中の傾斜中心点の切り換え操作が非常に面倒であった。
【0006】
(本発明の目的)
本発明は前記問題点に着目してなされたものであり、請求項1に記載された発明の目的は、焦準を移動した場合でも最適な傾斜中心点の設定が自動的に行われ、操作性を向上させた手術用顕微鏡を提供することにある。また、請求項2及び3に記載された発明の目的は、メモリー手段に記憶された複数の差異データを用いて、傾斜中心点を切り換える操作を容易に行うことができるようになる手術用顕微鏡を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、焦準機構を有する鏡体と、当該鏡体を3次元空間内の所望の位置に支持し、少なくとも前記鏡体を当該鏡体の略観察光軸上の任意の点を中心に傾斜可能に設定し、かつ前記傾斜中心点を前記鏡体の略観察光軸上で移動させることが可能な顕微鏡支持アーム機構と、を有する手術用顕微鏡において、
前記傾斜中心点を移動させる駆動手段と、前記傾斜中心点の位置を検出する傾斜中心点検出手段と、前記鏡体の焦準位置を検出する焦準検出手段と、当該焦準検出手段から入力される実際の焦準位置データと、前記傾斜中心点検出手段から出力される実際の傾斜中心点データの差異を比較演算する第1の演算手段と、前記焦準位置と前記傾斜中心点との差異を予め設定し、この差異データを記憶しておくメモリー手段と、当該メモリー手段に記憶された前記差異データを、前記第1の演算手段で演算された演算結果と比較演算し、その演算結果に基づいて前記差異データと一致する位置に前記傾斜中心点を移動するように自動的に補正するべく前記駆動手段の駆動方向及び駆動量を決定する第2の演算手段と、前記第2の演算手段の演算結果に基づいて前記差異データに一致する位置に前記傾斜中心点を移動するように前記駆動手段を駆動制御する制御手段と、を有し、前記メモリー手段は、前記焦準位置と前記傾斜中心点の差異を予め複数設定して記憶でき、さらに、前記メモリー手段に記憶された前記複数の差異データを選択する切り換え手段を有することを特徴とする手術用顕微鏡である。
請求項2に係る発明は、前記メモリー手段に記憶されている前記焦準位置と前記傾斜中心点の複数の差異データのうち、少なくとも一つは零であることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡である。
【0008】
請求項1に係る発明では、予め術前に焦準位置と傾斜中心点との差を設定しておくことにより、焦準を移動してもその差分だけ傾斜中心点を自動的に補正するべく第2の演算手段から制御部に駆動信号が送られ駆動されるため、焦準位置と傾斜中心点の差は一定に保たれるという作用を持つ。
請求項2及び請求項3に係る発明では、予め術前に焦準位置と鏡体の傾斜中心点との差を複数種類設定しておくことにより、例えば焦準位置を中心とした鏡体傾斜操作と体表面を中心とした鏡体傾斜操作の切り換えが、切り換え手段により行われるという作用を持つ。
【0009】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
図1ないし図6を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
(構成)
図1は第1実施形態に係る手術用顕微鏡の機械的な構成部分を概略的に示す。手術用顕微鏡は鏡体と、この鏡体を3次元空間内の所望の位置に支持する顕微鏡支持アーム機構としての支持装置とを備える。支持装置は具体的には後述するが、少なくとも前記鏡体を略観察光軸上の任意の点を中心に傾斜可能に設定し、かつ前記傾斜中心点を前記鏡体の略観察光軸上で移動させることが可能なものである。
【0010】
同図1中、1は鏡体を支持する支持装置における支柱である。この支柱1は支持台4に対して立設されている。支持台4は底面にキャスターを有した底板4aと立柱4bとからなり、その立柱4bの上端部に前記支柱1が取り付けられている。支柱1は鉛直軸O0 を中心として回転自在に設けられている。支柱1の上部には第1の平行四辺形リンク2が接続されており、その支柱1の下部には第2の平行四辺形リンク3が接続されている。
【0011】
第1の平行四辺形リンク2はアーム2a〜2dを平行四辺形を構成するように配置し、それらを互いに平行な回転軸O1 〜O4 まわりに回動可能に接続してなるものであり、これは前記支柱1の上端部に上方支持部材5を介して接続され、回転軸O1 まわりに回動可能に取り付けられている。ここで、回転軸O1 と鉛直軸O0 とは直交している。
【0012】
第2の平行四辺形リンク3はアーム3a〜3dを平行四辺形を形成するように配置し、これらを互いに平行な回転軸O5 〜O8 まわりに回動可能に接続してなるものであり、これは前記支柱1の下端部に下方支持部材6を介してその回転軸O5 まわりに回動可能に接続されている。ここで、回転軸O5 と鉛直軸O0 とは直交し、かつ前記回転軸O1 と平行である。つまり、第1の平行四辺形リンク2と第2の平行四辺形リンク3は支柱1の上下に分離して相似的な対応関係をもって対称的に配置されている。そして、後述する如く、第1の連動機構および第2の連動機構を介して相似的に連繋した変形動作を行う。
【0013】
第1の平行四辺形リンク2のアーム2aは、回転軸O1 下側一端から屈曲するアーム部を突き出す全体としてL字形の形状をしており、その突出アーム部の先端部分には前記回転軸O1 と平行な回転軸O13が設けられるが、この回転軸O13まわりに回動可能に第1の伝達ロッド7の上端が接続されている。ここで、紙面に平行な面内で回転軸O1 と回転軸O4 を結ぶ線分と、回転軸O1 と回転軸O13を結ぶ線分は直角をなしているが、これに限られるものではない。
【0014】
また、第2の平行四辺形リンク3に対応したアーム3aも、同様なL字形の形状をしており、その突出アーム部の先端部分には、回転軸O5 と平行な回転軸O14まわりに回動可能に前記第1の伝達ロッド7の下端が接続されている。ここで、紙面に平行な面内で回転軸O5 と回転軸O8 を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O14を結ぶ線分は前記同様に直角であるが、前述した第1の平行四辺形リンク2のアーム2aの屈曲して突出するアーム部のものと平行ならば、これに限られるものではない。
【0015】
このとき、紙面に平行な面内で、回転軸O1 と回転軸O4 を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O8 を結ぶ線分は、常に平行をなしており、また、回転軸O1 ,05 ,O14,O13を順次結ぶ各線分が、平行四辺形を形成している。
そして、この実施形態では、アーム2a,3aと、第1の伝達ロッド7により、回動力を伝達して連動する第1の連動機構を構成する。
【0016】
同様にして、第1の平行四辺形リンク2におけるアーム2bの回転軸O2 と、第2の平行四辺形リンク3におけるアーム3bの回転軸O6 とは、それに対して回動可能な第2の伝達ロッド8によって接続されている。つまり、紙面に平行な面内で、回転軸O1 と回転軸O2 を結ぶ線分と、回転軸O5 と回転軸O6 を結ぶ線分とは常に平行をなす関係にあるように設定されている。そして、この実施形態では、アーム2b,3bと、第2の伝達ロッド8により、回動力を伝達して連動する第2の連動機構を構成する。
【0017】
第1の平行四辺形リンク2におけるアーム2dの一端には、紙面に平行な面内にあって、鉛直軸O0 と交差し、回転軸O3 と回転軸O4 を結ぶ線分上の回転軸O9 まわりにおいて回動可能に支持される接続ブロック9が設けられている。この接続ブロック9には第3の平行四辺形リンク機構10が接続されている。すなわち、第3の平行四辺形リンク機構10はアーム10a〜10eおよび接続ブロック9を紙面に垂直な回転軸O15〜O19、O31、O32まわりにそれぞれ回動可能に接続することにより、2連式の平行四辺形リンク機構を形成してなる。この実施形態では、これら接続ブロック9と第3の平行四辺形リンク機構10により、互いに直交する2つの回転軸O9 ,O10を中心にそれぞれ傾斜可能な傾斜機構としての第1の傾斜アーム11を構成している。
【0018】
ここで、顕微鏡鏡体(以下、鏡体という。)12は、その観察光軸が、紙面に平行な面内で、回転軸O17と回転軸O18を結ぶ線分を通る回転軸O20と一致しており、かつ前記アーム10eの下方突出端部に対して前記回転軸O20まわりに回動可能に取り付けられた鏡体支持アーム13を介していわば吊持する状態で保持されている。これにより、鏡体12は、回転軸O9 、回転軸O20、および回転軸O9 と回転軸O20の交点T1を通る紙面に垂直な仮想の回転軸O10まわりにそれぞれ回動可能である。
なお、回転軸O9 、回転軸O10、回転軸O20まわりのそれぞれの自重による回転モーメントが、常に、ゼロになるべく重量配分されている。
【0019】
第2の平行四辺形リンク3におけるアーム3dに対して固定的に接続された固定台20には、紙面に平行な面内にあって鉛直軸O0 と交差し、回転軸O9 と平行な回転軸O21まわりに回動可能に支持された回転ブロック21が接続されている。この回転ブロック21には、回転軸O10と平行であり、かつ回転軸O21と直交する回転軸O12まわりに回動可能に接続された座22が設けられている。そして、この実施形態では、これら固定台20と回転ブロック21および座22により、別の傾斜機構としての第2の傾斜アーム15を構成している。
【0020】
前記座22には、スライドロッド23の一端が接続されており、このスライドロッド23の他端部には前記座22に対して前記回転軸O20を含む紙面に平行な面内で回転軸O12と直交する回転軸O23まわりに回動可能なジョイント24が接続されている。この実施形態では、スライドロッド23とジョイント24によりさらに別の傾斜機構としての傾斜ロッド25が構成されている。なお、ここで、回転軸O21、回転軸O12、回転軸O23まわりのそれぞれの自重による回転モーメントは常にゼロになるべく重量配分されている。
【0021】
前記鏡体12の回転軸O9 ,O10まわりの傾斜運動を直接的に前記傾斜ロッド25の回転軸O21,O12まわりの傾斜運動に同一比で伝達する手段として可撓性の運動伝達部材が設けられている。すなわち、前記第1の傾斜アーム11における接続ブロック9には回転軸O9 と同軸に配設された回転部材としてのプーリー26aが設けられており、このプーリー26aには、それぞれ反対側から巻き付けたワイヤー27a,27bの巻込み端を固定している。この各ワイヤー27a,27bの導出端側はそれぞれ可撓性のアウターチューブ28a,28bの内部に摺動可能に挿通されて案内されるようになっている。アウターチューブ28a,28bの各一端部は固定金具29aを介してアーム2dに対して固定されている。接続ブロック9はプーリー26aの回転によって同時に一体的に回転させられる。
【0022】
同様に、第2の傾斜アーム15の回転ブロック21には、回転軸O21と同軸に配設された回転部材としてのプーリー26bが設けられており、これには前記アウターチューブ28a,28bを通じて導かれてきた前記ワイヤー27a,27bの各他端がそれぞれ反対側から巻き付けられるとともに、そのプーリー26bの周面に固定されている。前記アウターチューブ28a,28bの他端部は、固定金具29bを介して前記固定台20に対して固定されている。したがって、回転ブロック21はプーリー26bの回転によって同時に一体的に回転する。
【0023】
前述した第1の傾斜アーム11における接続ブロック9にはこれに対するアーム10bに回転軸O32と同軸的に連結して配設された同じく回転部材としてのプーリー26cが設けられており、このプーリー26cには、それぞれ反対側から端部を巻き付け、その先端を固定したワイヤー27c,27dが設けられている。このワイヤー27c,27dはそれぞれ前述したものとは別の可撓性のアウターチューブ28c,28dの内部に摺動可能に挿通されて案内される。アウターチューブ28c,28dの各端部は固定金具29cを介して接続ブロック9に対して固定されている。接続ブロック9はプーリー26cと一体的に回転するようになっている。
【0024】
同様に、第2の傾斜アーム15の座22には、回転軸O12と同軸に配設された回転部材としてのプーリー26dが設けられており、このプーリー26dには前記ワイヤー27c,27dの他端側が反対側から巻き付けられるとともに、その先端がプーリー26dに固定されている。このワイヤー27c,27dをガイドする前記アウターチューブ28c,28dの端部は固定金具29dを介して回転ブロック21に固定されている。第2の傾斜アーム15の座22はプーリー26dと一体的に回転するようになっている。
【0025】
ここで、前記プーリー26aとプーリー26bは同一方向から見た場合において、その一方のプーリーを回動させたとき、他方のプーリーが同じ方向に回動すべく向きにワイヤー27a,27bが巻かれているとともに、その回転角度が等しくなるべく、両プーリー26a,26bは、同一の径で形成されている。
【0026】
同様に、前記プーリー26c,26dは、同一方向から見た場合において、一方のプーリーを回動させたとき、他方のプーリーが同じ方向に回動すべく向きにワイヤー27c,27dが巻かれているとともに、その回転角度が等しくなるべく両プーリー26c,26dは、同一の径に形成されている。
【0027】
この実施形態ではこれらプーリー26a〜26d、ワイヤー27a〜27d、アウターチューブ28a〜28d、固定金具29a〜29dにより、運動伝達機構47を構成し、その可撓性で単一の長尺な伝達部材からなるワイヤー27a〜27dは、ガイド手段としてのアウターチューブ28a〜28dを通じて、座屈やたわみがなくその軸方向に進退するように案内される構成である。なお、ワイヤー27a〜27dは1本の単線であっても、芯線の有無に拘らず、より線であってもよい。
【0028】
一方、前記支持台4の底板4aには、鉛直軸O25まわりに回動可能に支持されている垂直シャフト30が設けられている。これにはアーム31a〜31dを互いに平行な回転軸O26〜O29まわりに回動可能に接続してなる固定用平行四辺形リンク31が、その回転軸O26まわりに回動可能に設けた旋回バー32を介して連結されている。ここで、回転軸O26は、前記鉛直軸O25に対して垂直であり、また、垂直シャフト30には、その鉛直軸O25まわりの回動を規制(制動)する電磁ブレーキが配設され、また、アーム31aとアーム31bには、回転軸O26まわりの回動を規制する後述の電磁ブレーキが配設されている。
【0029】
前記傾斜ロッド25のジョイント24の上端には、ロッド33の一端が連結されている。このロッド33の他端は、前記固定用平行四辺形リンク31のアーム31dの一端に連結されている。そして、この傾斜ロッド25は、鉛直軸O25を含む紙面に平行な面内にあり、回転軸O28と回転軸O29を結ぶ線分を通る線上において各部に対して回動可能に接続されている。
【0030】
このロッド33の一端は、前記傾斜ロッド25のジョイント24に対して、回転軸O23と直交する回転軸O24まわりに回動可能に接続されている。この実施形態では、これら垂直シャフト30、固定用平行四辺形リンク31、旋回バー32およびロッド33および後述の電磁ブレーキにより運動規制機構40が構成されている。ここで、前記運動規制機構40の、回転軸O25、O26、O30まわりのそれぞれの自重による回転モーメントが、常にゼロになるべく、重量配分で構成されている。
【0031】
図1で示すように前述した鉛直軸O0 を含む紙面に平行な面内で、回転軸O1 、O4 、O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で、回転軸O5 、O8 、O12をそれぞれ結ぶ三角形と相似形になるべく、各回転軸を配置して構成されている。ここで相似比は、
(△O1 ,O4 ,010)/(△5 、O8 、012)=C
となっている。Cは、定数である。
【0032】
次に、細部の構成について説明する。図1において、37aは、支持台4に配設され、その支持台4に対する支柱1の回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキである。
【0033】
第1の傾斜アーム11および第1の平行四辺形リンク2のアーム2dとの接続部には第1の傾斜アーム11の接続ブロック9に突出して形成される第1の回転ロッド38が設けられている。この第1の回転ロッド38は、前記アーム2dの内部に配設されたベアリングに嵌挿されることにより、回転軸O9 まわりに回動可能である。また、アーム2dには、電磁ブレーキ37dが配設され、この電磁ブレーキ37dはアーム2dに対する前記第1の回転ロッド38の回動を電気的に規制するようになっている。
【0034】
接続ブロック9にも、電磁ブレーキ37eが配設され、電磁ブレーキ37eは接続ブロック9に対するアーム10aの回動を電気的に制動可能なものである。
鏡体支持アーム13にも、鏡体支持アーム13のアーム10eに対する回転軸O20まわりの回転を規制可能な電磁ブレーキ37fが配設されている。
【0035】
次に、図2に従い、上方支持部材5の部分の詳細を説明する。この図2は、図1の矢印a方向から見た回転軸O1 を含む部分の断面を示すものである。
すなわち、上方支持部材5には、上方シャフト34がベアリング36aを介して回転軸O1 まわりに回動可能に支持されており、その上方シャフト34は、前記上方支持部材5に配設された電磁ブレーキ37bにより電気的に規制可能である。前記アーム2aは、前記上方シャフト34の外周にベアリング36bを介して回転軸O1 まわりに回動可能に支持されている。前記アーム2bは、上方シャフト34に設けたフランジ部に対してねじにより固定されている。
【0036】
次に、図3に従い、下方支持部材6の部分の詳細を説明する。図3は図1の矢印b方向から見た回転軸O5 を含む部分の断面を示すものである。
すなわち、前記下方支持部材6には、下方シャフト35が、ベアリング36cを介して回転軸O5 まわりに回動可能に支持されており、その下方シャフト35は、前記下方支持部材6に配設された電磁ブレーキ37cにより電気的に規制可能である。前記アーム3aは、前記下方シャフト35のフランジ部に対してねじにより固定されている。また、前記アーム3bは、前記下方シャフト35の外周にベアリング36dを介して回転軸O5 まわりに回動可能に支持されている。
【0037】
次に、図4に従い、第2の平行リンク3、第2の傾斜アーム15、傾斜ロッド25および運動規制機構40の詳細な構成について説明する。
図4中、T2は、回転軸O12と回転軸O21との交点、S2は回転軸O23、回転軸O24、回転軸O30の交点を示している。第2の平行四辺形リンク3のアーム3dにはねじ軸41が固定されている。このねじ軸41にはカウンターウエイト39が軸線方向に移動可能に支持されている。前記カウンターウエイト39は第1の平行四辺形リンク2、第2の平行四辺形リンク3を連動させたとき、回転軸O0 ,O1 まわりの回転モーメントが、常にゼロになるべく位置および重量配分がなされている。
【0038】
同図4中、43は傾斜ロッド駆動部であり、前記座22に配設された傾斜ロッド25のスライドロッド23を電気的に駆動して回転軸O23の方向に移動させ、傾斜中心点S1,S2を移動させる駆動手段を構成する。また、同図4中、44はその傾斜ロッド駆動部43の駆動量を検出することにより、T2とS2間の直線距離R2を算出する傾斜ロッド位置検出部である。この結果から傾斜中心点S1,S2の実際の位置データを得ることができる。従って、傾斜ロッド位置検出部44は傾斜中心点を検出する傾斜中心点検出部を構成するものでもある。この傾斜ロッド位置検出部44の検出手段としては例えばエンコーダ等、種々のものを利用できる。
【0039】
また、支持台4には支持台4に対する垂直シャフト30の回転軸O25まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキ37gが配設されている。また、固定用平行四辺形リンク31を構成するアーム31a,31bにはアーム31a,31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回動を電気的に規制可能な電磁ブレーキ37h,37iがそれぞれ配設されている。
【0040】
また、アーム31aと旋回バー32のそれぞれには、回転軸O26およびO25まわりの回転モーメントを相殺すべく設ける補助ウエイト42a,42bが固定されている。
【0041】
次に、図5を参照して、鏡体12および電気回路の構成を説明する。鏡体12は対物レンズ50を内蔵する。この対物レンズ50を通じてそれぞれ観察するためにその対物レンズ50を通る左目用の光軸51Lと右目用の光軸51R上に図示しないズームレンズ、結像レンズおよび接眼レンズを設置して左右の観察光学系を構成している。
【0042】
そして、対物レンズ50を通る左目用の光軸51Lと右目用の光軸51Rの交点が焦準位置Pとなる。対物レンズ50の焦点距離をf、鏡体12の傾斜中心点をS1、回転軸O9 と回転軸O10と回転軸O20の交点をT1、交点T1から傾斜中心点S1までの距離がRl、交点T1から焦準位置Pまでの距離をRfとする。対物レンズ50は鏡体12内を光軸方向に移動可能であり、この対物レンズ50を移動させることにより被観察物体側の焦点距離fを変化させることができる。
【0043】
対物レンズ50の移動枠53は対物レンズ駆動部52に機械的に保持されており、その対物レンズ駆動部52により対物レンズ50を移動して焦準位置Pまでの距離fの調節がなされるようになっている。すなわち、対物レンズ駆動部52は、例えば対物レンズ50の移動枠53に設けたラック54と、これに噛合するピニオン55とを有し、そのピニオン55を図示しないモータで回転することにより対物レンズ50を観察光軸方向に移動させるように構成してある。
【0044】
さらに、鏡体12には対物レンズ50が終端に位置したことを検出するフォトインタラプタ56が設置されている。フォトインタラプタ56は、前記対物レンズ50の移動枠53に設けた図示しない遮光部材によって遮光されたとき、前記対物レンズ50がその観察光軸上を移動して最も上方の位置に達したことを検出する。フォトインタラプタ56は支持台4などに設置された焦準位置検出用カウンタ回路101のRESET端子に接続されている。
【0045】
前記対物レンズ駆動部52においてピニオン55を駆動する駆動軸には対物レンズ位置検出手段57が接続されている。対物レンズ位置検出手段57は例えばエンコーダからなり、対物レンズ50の位置を検出する。この対物レンズ位置検出手段57の出力端は前述のカウンター回路101の図示しないデータ入力端に接続されている。そして、焦準位置検出用カウンタ回路101と対物レンズ位置検出手段57は、鏡体12の焦準位置を検出する焦準検出部を構成するものである。
【0046】
前記カウンタ回路101の図示しないデータ出力部には制御部(CPU)102に接続されている。制御部102には対物レンズ駆動部52に駆動指令を与える第1ドライバ回路103が接続されている。第1ドライバ回路103は対物レンズ駆動部52に接続されている。
【0047】
また、制御部102には第2ドライバ回路104が接続されており、この第2ドライバ回路104は、前記傾斜ロッド駆動部43に接続されている。傾斜ロッド駆動部43の図示しない駆動軸には前記傾斜ロッド位置検出部44が接続されている。この傾斜ロッド位置検出部44には図示しないデータ出力部が設けられ、データ出力部は前記制御部102に接続されている。
【0048】
制御部102の図示しないポートはウォッチドックタイマ回路105のクリア端子が接続されている。このウォッチドックタイマ回路105の出力端は制御部102のNMI端子に接続されている。
【0049】
制御部102には焦準位置Pと傾斜中心点S1の差異データΔfを入力するためのデータ入力手段108が接続されている。
さらに制御部102にはROM106及びEEPROM107が接続されている。そして、ROM106には制御部102のCPUに実行させる図6のフローチャートに示すようなプログラムが少なくとも格納されている。
【0050】
なお、前記鏡体12にはグリップ61が設けられており、これには水平方向フリースイッチ、上下方向フリースイッチ、全方向フリースイッチ、鏡体球面傾斜スイッチ、傾斜中心点設定スイッチなどの各種スイッチを有し、これらのスイッチも前記制御部102に接続されている。
【0051】
また、電磁ブレーキ37a,37cは図示しない水平動電磁ブレーキ駆動回路を介し、電磁ブレーキ37bは図示しない上下動電磁ブレーキ駆動回路を介し、電磁ブレーキ37d、37eは図示しないティルト電磁ブレーキ駆動回路を介し、電磁ブレーキ37fは図示しない光軸回転電磁ブレーキ駆動回路を介し、電磁ブレーキ37g、37h、37iは図示しない運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路を介して、それぞれ前記制御部102に接続される。
【0052】
(作用)
この第1の実施形態の手術用顕微鏡における作用を説明する。この手術用顕微鏡にあっては、鏡体12の3次元的な移動および直交する3軸まわりの傾斜(以下、6自由度の動きと呼ぶ)、略水平面内の動き、略上下動、観察光軸上の一点を中心とした傾斜動の各動作が、その手術スタイルに応じて種々、選択可能なものである。まず、これらの一般的な各動作について以下、順に説明する。
【0053】
[6自由度の動き]
最初に、グリップ61の全方向フリースイッチを押すと、制御部102にはそれに応じた信号が入力され、水平動電磁ブレーキ駆動回路、上下動電磁ブレーキ駆動回路、ティルト電磁ブレーキ駆動回路、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路および光軸回転電磁ブレーキ駆動回路に対して所要の信号を出力し、全ての電磁ブレーキ37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,37iのブレーキ作用を解除する。
【0054】
そして、電磁ブレーキ37aのブレーキ作用が解除されると、支柱1が支持台4に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になり、このため、第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して、鏡体12が支持台4に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になる。
【0055】
図2に示す電磁ブレーキ37bが解除されると、アーム2bが上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能になり、このため、アーム2cを介してアーム2dがアーム2aに対して回転軸O4 まわりにアーム2bと平行を保ちながら回動可能となる。従って、鏡体12は、第1の傾斜アーム11を介してアーム2aに対して回転軸O4 まわりに回動可能となる。
【0056】
図3で示す前記電磁ブレーキ37cが解除されると、アーム3aが下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動可能になり、第1の伝達ロッド7により接続されたアーム2aが上方支持部材5に対し回転軸O1 まわりに回動可能となる。従って、鏡体12は、第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して全体的に上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能となる。
【0057】
従って、これらの鏡体12の3方向の回動の組み合わせにより、鏡体12は3次元的に移動可能な状況になる。
一方、電磁ブレーキ37dが解除されると、第1の傾斜アーム11は、アーム2dに対して、回転軸O9 まわりに回動可能となる。電磁ブレーキ37eが開放されると、平行四辺形リンク機構10のアーム10aは、接続ブロック9に対して、回転軸O31まわりに回動可能となり、アーム10b〜10dにて接続されるアーム10eはアーム10aと平行に回転軸O10を中心に傾斜動可能となる。また、電磁ブレーキ37fが開放されると、鏡体12は、鏡体支持部材13を介して、アーム10eの回転軸O20まわりに回動可能になる。すなわち、鏡体12は回転軸O9 と回転軸O10との交点T1を中心とした転動が可能となる。
【0058】
ここで、運動規制機構40の電磁ブレーキ37g,37h,37iのブレーキ作用はすべて解除されているため、垂直シャフト30の支持台4に対する回転軸O25まわり、固定用平行四辺形リンク31のアーム31a,31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回動が可能となる。アーム31bの旋回バー32に対する回転軸O26まわりの回動はアーム31cによりアーム31dのアーム31aに対する回転軸O29まわりの回動へと伝達される。従って、ロッド33もアーム31aに対して回転軸O29まわりに回動し、かつロッド33はアーム31dに対して回転軸O30まわりに回動可能である。従って、鏡体12の動きを規制するものはない状態にある。
すなわち、3次元的な移動と直交する3軸まわりの傾斜によって鏡体12は、6自由度の動きが可能となる。
【0059】
次に、前述の、鏡体12の6自由度の動きと連動する作用について説明する。アーム2bの上方支持部材5に対する回転軸O1 まわりの回動により、第2の伝達ロッド8に接続されているアーム3bは、下方支持部材6に対し回転軸O5 まわりにアーム2bと常に平行を保ちながら回動する。そして、アーム3cによりアーム3bに対して平行に接続されたアーム3dもアーム3aに対し回転軸O8 まわりに回動する。このとき、アーム3dは、常にアーム2dと平行を保っている。
【0060】
アーム3aの下方支持部材6に対する回転軸O5 まわりの回動により、アーム3dも下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動する。また、傾斜ロッド25も、第2の傾斜アーム15を介してアーム3dとともに移動する。
【0061】
すなわち、アーム2aとアーム3a、アーム2dとアーム3dは常に平行を保ちながら移動し、鉛直軸O0 を含む紙面に平行な面内で回転軸O1 ,O4 ,O10をそれぞれ結ぶ三角形が、同一面内で回転軸O5 ,O8 ,O12をそれぞれ結ぶ三角形とは常に相似形を保っている。このとき、アーム3dに支持されたカウンターウエイト39は、鏡体12の移動に対し、常に回転モーメントを相殺する位置に移動する。
これらの各部材の動きにより、回転モーメントは常に相殺された状態で鏡体12の6自由度の動きが可能となる。
【0062】
[略水平面内の動き]
脊椎等の手術中において、鏡体12をほぼ水平方向にのみ頻繁に移動させたい場合、術者がグリップ61を握り、水平方向フリースイッチを押すと、制御部102にはその信号が入力され、水平動電磁ブレーキ駆動回路、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路および光軸回転電磁ブレーキ駆動回路のみに信号を出力して、電磁ブレーキ37a,37c,37f,37g,37h,37iのブレーキ作用のみを解除する。
【0063】
すなわち、電磁ブレーキ37aが解除されると、支柱1が支持台4に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になり、第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して、鏡体12が床面に対して鉛直軸O0 まわりに回動可能になる。
【0064】
電磁ブレーキ37cが解除されると、アーム3aが下方支持部材6に対して回転軸O5 まわりに回動可能になり、第1の伝達ロッド7により接続されたアーム2aが上方支持部材5に対し回転軸O1 まわりに回動可能となる。従って、鏡体12は第1の平行四辺形リンク2および第1の傾斜アーム11を介して上方支持部材5対して回転軸O1 まわりに回動可能となる。
【0065】
また、電磁ブレーキ37fが解除されると、鏡体12は、鏡体支持アーム13を介して、アーム10eに対して回転軸O20まわりに回動可能になる。
さらに、電磁ブレーキ37g〜37iも、解除されているため、運動規制機構40は鏡体12の動きを規制しない。
【0066】
ここで、電磁ブレーキ37bは固定状態であり、第1の平行四辺形リンク2のアーム2bは上方支持部材5に対する回転軸O1 まわりの回動が規制されているため、アーム2dは常時紙面に平行な面内で一定の角度を保った状態である。
【0067】
すなわち、アーム2dは回転軸O1 を中心に回転軸O1 と回転軸O4 間の距離を半径とした円弧上を常にその平行を保って移動可能となる。
そして回転軸O9 と回転軸O10の交点T1は紙面と平行な面内で、回転軸O1 を通り、回転軸O9 と平行な直線上で回転軸O1 から鏡体12側に回転軸O4 と回転軸O10との間の距離分離れた点を中心として、回転軸O1 と回転軸O4 間の距離を半径とする円弧上を移動する。
【0068】
ここで、第1の傾斜アーム11の電磁ブレーキ37d,37eのブレーキ作用が固定された状態にあるため、鏡体12は、回転軸O9 、回転軸O10まわりの傾斜を規制されている。従って、鏡体12は、傾斜することなく、その円弧状の軌跡に沿って移動する。
【0069】
これと支柱1の支持台4に対しての鉛直軸O0 まわりの回動を組み合わせることにより略水平面内の動きが可能となる。
この実施形態では、鏡体12は、紙面内での略水平動時に円弧上を移動するため、観察光軸方向に上下動を伴うが、実際の手術で必要とされる水平動幅はかなり小さく、この上下動は、ほとんど問題にならない。
【0070】
[略上下動]
脳神経外科等における開孔部分を通しての深部の手術においては、その手術中に手前側と奥側とを見るために視野をずらさずに、素早く観察光軸方向に鏡体12を移動させたい場合がある。この場合には、術者がグリップ61の上下動フリースイッチを押す。すると、制御部102は信号を入力し、上下動電磁ブレーキ駆動回路、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路、および光軸回転電磁ブレーキ駆動回路のみに信号を出力し、電磁ブレーキ37b,37g,37h,37iおよび37fのみのブレーキ作用を解除する。
【0071】
つまり、電磁ブレーキ37bが解除されると、アーム2bが上方支持部材5に対して回転軸O1 まわりに回動可能となり、アーム2cを介してアーム2dがアーム2aに対して回転軸O4 まわりにアーム2bと平行を保ちながら回動可能となる。従って、鏡体12は第1の傾斜アーム11を介してアーム2aに対して回転軸O4 まわりに回動可能となる。
【0072】
電磁ブレーキ37fが開放されると、鏡体12は鏡体支持アーム13を介して、アーム10eに対して回転軸O20まわりに回動可能になる。
また、電磁ブレーキ37g〜37iも解除されているため、運動規制機構40は傾斜ロッド25の移動および傾斜による前記交点S2のいかなる動きにも追従可能である(図4参照)。
【0073】
この状態は、前述の略水平面内の動きと同じく、鏡体12は回転軸O9 、回転軸O10まわりの傾斜を規制されている。また、電磁ブレーキ37cも固定状態であり、第2平行四辺形リンク3のアーム3aは、回転軸O1 まわりの回動が規制されている。すなわち、第1の伝達ロッド7により連結される第1の平行四辺形リンク2のアーム2aも回転軸O5 まわりの回動も固定されている。
【0074】
このため、アーム2dは、常時紙面に平行な面内で回転軸O4 まわりにのみ回動可能となる。従って、回転軸O9 と回転軸O10の交点T1は、回転軸O4 を中心として回転軸O4 と回転軸O10との間の距離を半径とした円弧上のみ移動可能である。
【0075】
この実施形態では、鏡体12は上下動時に円弧上移動するため、観察光軸の傾斜による観察視野のズレが起こるが、実際の手術で必要とされる上下動幅はかなり小さくこの視野のズレは、ほとんど問題にならない。
【0076】
[観察光軸上の一点を中心とした傾斜動]
この場合には、グリップ61の鏡体球面傾斜動フリースイッチを押すと、制御部102はその信号を入力し、水平動電磁ブレーキ駆動回路、上下動電磁ブレーキ駆動回路、ティルト電磁ブレーキ駆動回路、光軸回転電磁ブレーキ駆動回路のみに信号を出力し、それらの電磁ブレーキ37a、37b、37c、37d、37e、37fのブレーキ作用のみが解除される。これは前述の6自由度の動きの場合に対して、運動規制機構40の電磁ブレーキ37g,37h,37iのみ固定とした状態である。
【0077】
従って、傾斜ロッド25は、前記交点S2の移動が拘束され、その点S2を中心に傾斜のみ可能となる。ここで、点T2は、S2とT2の距離R2を半径とした球面上を動く。T2の動きは前述のアームの作用と同様に伝達され、第1の傾斜アーム11の回転軸O9 とO10の交点T1は交点T2の移動距離に前述の相似な三角形の比の定数であるCを乗した距離だけ反対方向に移動する。
【0078】
傾斜ロッド25の傾斜は可撓性のワイヤー27a〜27dを用いた運動伝達機構47により、その動きが鏡体12に伝達され、その鏡体12の相似的な動きとなって現れる。以下に、その作用を図1および図4に従い説明する。
【0079】
すなわち、傾斜ロッド25が回転軸O12まわりに回動すると、第2の傾斜アーム15の座22と一体に配設されたプーリー26dも一体になり回動する。その結果、プーリー26dの回動方向によりワイヤー27c,27dのいずれか一方が引っ張られ、そのワイヤーは両端部を固定金具29dおよび固定金具29cにより回転ブロック21dおよび接続ブロック9に固定されることによりワイヤーに沿った方向の移動を規制されたいずれかのアウターチューブ28c,28d内をスライドし、第1の傾斜アーム11のアーム10bと一体に配設されたプーリー26cを前記プーリー26dと同一方向に同一角度で回動させる。一方、引っ張られない側のワイヤーも、それぞれプーリー26d,26cの回動を1対1で遊び無く伝達する働きをする。アーム10bの回動は平行四辺形リンク機構10によりアーム10eの回転軸O10まわりの回動として伝達される。従って、鏡体12はその回転軸O10まわりに座22の回転軸O12まわりの傾斜と同一方向に同一角度で回動する。
【0080】
また、傾斜ロッド25が回転軸O21まわりに回動すると、第2の傾斜アーム15の回転ブロック21に配設されたプーリー26bも一体になり回動する。回動方向によりワイヤー27a,27bのいずれかが引っ張られ、そのワイヤーは両端部を固定金具29bおよび固定金具29aにより固定台20d及びアーム2dに固定されることにより、そのワイヤーに沿った方向の移動を規制されたアウターチューブ28aあるいは他のアウターチューブ28b内をスライドし、第1の傾斜アーム11の接続ブロック9と一体に配設されたプーリー26aを前記プーリー26bと同一方向に同一角度で回動させる。
【0081】
一方、引っ張られない側のワイヤーも、それぞれプーリー26b,26aの回動を1対1で遊び無く伝達する働きをする。従って,鏡体12は、第1の傾斜アーム11を介して回転軸O9 まわりに回転ブロック21の回転軸O21まわりの傾斜と同一方向に同一角度で回動する。
【0082】
すなわち、傾斜ロッド25の回転軸O23と、平行四辺形リンク機構10におけるアーム10eの観察光軸と同軸な回転軸O20とが、常に平行に保つ。
このため、観察光軸と同軸な回転軸O20の上のT1から、R2×C=R1の距離の点S1を中心に鏡体12が傾斜可能となる。すなわち、この作用を逐行する機構は傾斜中心点S1を中心に鏡体12を傾動させる手段を構成する。
【0083】
また、グリップ61の傾斜中心点設定スイッチを押すと、対物レンズ位置検出部57からの対物レンズ位置信号および傾斜ロッド位置検出部44からの傾斜ロッド位置信号が、制御部102に入力される。
【0084】
そして、制御部102では、対物レンズ位置信号から、交点T1と鏡体12の焦点面における観察光軸上の焦準点Pとの間の距離Rfを算出し、また、傾斜ロッド位置信号から、交点T2と交点S2の間の距離R2を算出する。そして、距離R2を相似三角形の比であるC倍した値R2×C=Rlと前記Rfを比較し、両者が等しくなるように、傾斜ロッド25を移動させるべく、第2ドライバ回路104から駆動信号が傾斜ロッド駆動部43に出力され、傾斜ロッド駆動部43では図示しないモーターが回動し、図示しない減速機を介して、傾斜ロッド25のスライドロッド23を回転軸O23の軸線上を必要な方向に必要な距離移動させる。
【0085】
この駆動信号が傾斜ロッド駆動部43に出力されている間、制御部102は、運動規制機構電磁ブレーキ駆動回路56eにも起動信号を出力して、電磁ブレーキ37g,37h,37iのブレーキ作用を解除し、かつ、その他の電磁ブレーキ37a〜37fは固定している。
【0086】
この作用により、術者が鏡体12の傾斜中心点としたい点を鏡体12の観察視野中心に合わせ、かつ図示しないスイッチにより対物レンズ50の焦点距離を変化させ、その点に焦点を合わせて(図5中、点P)、グリップ61の傾斜中心点設定スイッチを押せば、S1がPと一致するように移動し、自動的に鏡体12の傾斜中心点が目的とする点に設定される。
【0087】
[焦準を移動した場合の傾斜中心点の設定]
電磁ブレーキ37aから37iを駆動しての、アームのオールフリーまたは鏡体を傾斜中心点を中心とした傾斜を行う場合において鏡体12の傾斜中心点S1 を移動する際の一般的な手順は前述した通り、傾斜ロッド駆動部43により傾斜ロッド25のスライドロッド23を移動して行うが、ここでは特異な場合において傾斜中心点を自動的に設定する場合の手順を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
まず、術者が電源を投入すると、プログラムに従い、第1ドライバ回路103により対物レンズ駆動部52が駆動され、対物レンズ50及び移動枠53は焦準上端方向へ移動させられる。移動枠53が上端側終端に達すると、図示しない遮光板がフォトインタラプタ(PI)56を遮光する。そのフォトインタラプタ56の出力はハイレベルからロウレベルへ変化する。従って、フォトインタラプタ56に接続されているカウンタ回路101のリセット端子がロウレベルとなり、カウンタ回路101がリセットされる。
【0089】
ついで、プログラムに従い、第1ドライバ回路103が駆動され、対物レンズ50を予め設定された焦準指定位置へ移動させる。この焦準指定位置は入力手段により任意に設定できる。制御部102はカウンタ回路101の出力を監視し、そのカウンタ値が焦準指定位置に達すると、第1ドライバ回路103に停止信号を出力し、対物レンズ駆動部52の駆動を停止させ、その位置に対物レンズ50を停止させる。
【0090】
一方、術者は所望の時間にデータ入力手段108を使用し、焦準指定位置、焦準位置Pと傾斜中心点S1の差異データΔfを入力しておく。
焦準指定位置及び差異データΔfは制御部102を通じてメモリー手段のEEPROM107に記憶される。
上述のデータが入力されていない場合には予め設定された所定のデータが使用される。
【0091】
制御部102は、カウンタ回路101からデータを読み込み、T1から焦準位置Pまでの距離Rfを算出し、鏡体12の焦準位置Pを検出する。また、制御部102は、傾斜ロッド位置検出部44からのデータをもとに傾斜中心点S1からT1までの距離Rlを算出し、傾斜中心点S1の位置のデータを得る。
【0092】
さらに制御部102はRf+Δfの値を算出し、Rlと比較する。Rlとほぼ等しい場合には、制御部102は前記第2ドライバ回路104に対して停止信号を出力し、傾斜中心点S1を移動させる駆動の開始を禁止する。
【0093】
また、Rf+ΔfがRlよりも小さい場合には、制御部102は、傾斜中心点S1を上方向に駆動するべく前記第2ドライバ回路104に対し駆動信号を出力する。従って、傾斜ロッド駆動部43が駆動され、傾斜中心点S1が上方に移動させられる。
【0094】
逆に、Rf+ΔfがRlよりも大きい場合には、制御部102はその傾斜中心点S1を下方に移動するべく前記第2ドライバ回路104に対して駆動信号を出力し、傾斜中心点S1を下方に移動するように第2ドライバ回路104を駆動する。
この動作は図示しないタイマによる割り込み処理にて定期的に繰り返される。
【0095】
さらに、この動作は図示しないフットスイッチ等の入力手段により対物レンズ50が駆動されている場合でも中断なく行われるため、例えば対物レンズ駆動部52が停止している場合には、傾斜中心点S1はRlがRf+Δfと等しくなる位置で停止状態を保ち、対物レンズ駆動部52の駆動により対物レンズ50が移動してRfが変化している場合には、RlがRf+Δfと等しくなるように傾斜中心点S1が連続的に駆動される。このため、傾斜中心点S1は常に焦準位置PからΔfの距離を保ったままの状態が維持される。つまり、焦準を移動した場合でも傾斜中心点Pの設定が自動的に行われる。
【0096】
本実施形態では、制御部102が暴走した際に強制的に割り込み処理を行なうウォッチドックタイマ回路105が備えられているが、制御部102はそのNMI入力端子にウォッチドックタイマ回路105からのNMI割込み信号が入力されると、EEPROM107及び図示しないRAMのメモリチェックを行ない、異常が無ければ傾斜中心点S1を駆動するためのルーチン作業にそのまま復帰し、メモリに異常があった場合に限り、焦準指定位置及びカウンタ回路101を初期設定するためのプログラムを実施する。
【0097】
(効果)
本実施形態によれば、照準部を駆動しても常に傾斜中心点は焦準位置から一定距離を保つため、術中に傾斜中心点を再設定し直す必要が無く、手術の省時間化が可能である。さらに本実施形態によると、制御部102が暴走した場合でも、メモリに異常が無ければそのまま傾斜中心点の焦準位置への追従を続行できるため、手術の中断を最小限にとどめる事ができる。
【0098】
<第2実施形態>
図7及び図8を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
(構成)
前述した第1実施形態と同様な個所の部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0099】
図7において示すように、対物レンズ50を取り付けている移動枠53がスリップ機構121を介して対物レンズ駆動部52に接続されている。前述の移動枠53には、前記スリップ機構121とは異なる位置に手動ツマミ122が取り付けられている。手動ツマミ122の軸(図示せず)には対物レンズ位置検出手段57が接続されている。
【0100】
また、鏡体12に取り付けられたグリップ61にはスイッチSW1及びSW2が設けられている。スイッチSW1及びSW2は、各々ブレーキ制御回路123及び制御部102に接続されている。ブレーキ制御回路123は第1ブレーキ駆動回路124を介して無励磁式電磁ブレーキ(通電時にフリーとなり、非通電時にロックするタイプ)37a〜37fに接続されており、さらに、ブレーキ制御回路123は第2ブレーキ駆動回路125を介して励磁式電磁ブレーキ(通電時にロックし非通電時にフリーとなるタイプ)37g〜37iに接続されている。
【0101】
ブレーキ制御回路123はスイッチSW1からの操作信号によりブレーキ駆動回路124に駆動信号を出力し、スイッチSW2からの操作信号によりブレーキ駆動回路124及びブレーキ駆動回路125に駆動信号を出力するべく図示しない回路を有している。
【0102】
データ入力手段108は第1実施形態と同様に制御部102に接続されているが、このデータ入力手段108によって2種類の差異データΔf(Δf1及びΔf2)が入力可能な構成であり、そこで、EEPROM107はその2種類の差異データΔf1及びΔf2と焦準指定位置を格納可能な容量を有する。
【0103】
制御部102には切り替えスイッチ120が接続されている。また、制御部102に接続されているROM106には、図8に示す如く内容の手順のプログラムが格納されている。図8中の※1及び※2のスタート部分は前記第1実施形態での図6で示した同一符号個所に該当する部分から続く流れである。そのため、図6のフローチャートの内容は省略した。
【0104】
(作用)
本実施形態の作用は以下の通りである。術者が電源を投入した際に、対物レンズ50が上端に達すると、カウンタ回路101がリセットされ、さらに対物レンズ50が駆動されて焦準指定位置に設定される。この作用は第1実施形態の場合と同様である。但し、対物レンズ駆動部52はスリップ機構121を介して対物レンズ移動枠53を駆動する点が異なる。従って、対物レンズ駆動部52による通常の駆動時はスリップ機構121はロックされたままである。そして、これは図示しないフットスイッチ等の入力手段による焦準駆動時も同様である。さらに対物レンズ移動枠53の駆動に対応して手動ツマミ122も回転されるため、対物レンズ位置検出手段57も連動してカウンタ回路101への出力を行なう。
【0105】
制御部102の暴走時に割り込み処理を行なうウォッチドックタイマ回路105の作用も第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
術者は、所望の時間にデータ入力手段108を用いて焦準位置Pと傾斜中心点S1の差異データΔf1及びΔf2と焦準指定位置を入力しておく。
そして、スイッチSW1がONでない場合、術者が図示しない焦準スイッチを操作することで、制御部102は第1ドライバ回路103に対して駆動信号を出力し、対物レンズ50が駆動され、その焦準が行われる。この焦準動作はスイッチSW2がONされていても同様に行われる。
【0106】
スイツチSW1がONされると、ブレーキ制御回路123からブレーキ駆動回路124に対して駆動信号が出力され、無励磁式電磁ブレーキ37a〜37fがフリーの状態となる。従つて、励磁式電磁ブレーキ37g〜37iもフリー状態なので、鏡体12はオールフリー状態となり、3次元空間の所望の位置に位置させることができる。
【0107】
このとき、実際の焦準位置Pと、あらかじめ設定してあった焦準指定位置が離れている場合には、制御部102は焦準位置Pを焦準指定位置に合わせるべく第1ドライバ回路103に対して駆動信号を出力し、対物レンズ50が移動するように駆動される。ここで、実際の焦準位置Pと焦準指定位置が、ほぼ同じ場合は制御部102は第1ドライバ回路103に対して停止信号を出力し、対物レンズ50は停止される。これにより、オールフリー時におけるフォーカスリセット動作が行われる。
【0108】
この際、フォーカスリセット動作または図示しない入力手段による焦準駆動に伴つて、第1実施形態と同様の作用により傾斜中心点S1を実際の焦準位置Pに合わせるべく傾斜ロッド駆動部43が駆動され、傾斜中心点S1は焦準位置PからΔfの距離を保って追従される。
【0109】
本実施形態では、Δfのデータを2種類有しており、切り替えスイッチ120により選択することができる。すなわち、切り替えスイッチ120がONの場合にはΔf1を、切り替えスイッチ120がOFFの場合にはΔf2を選択することにより、2種類のΔfのデータが切り替えられる。
【0110】
スイッチSW2がONの場合、ブレーキ制御回路123は、ブレーキ駆動回路124及び125に駆動信号を出力するため、無励磁式電磁ブレーキ37a〜37fがフリーの状態となり、励磁式電磁ブレーキ37g〜37iはロックされるため、鏡体12は傾斜中心点S1を中心とした傾斜操作が可能となる。この際には前述のフォーカスリセット動作は行われず、焦準位置Pと傾斜中心点S1の追従動作のみが行われる。
【0111】
また、第1ドライバ回路103或いは対物レンズ駆動部52等が故障して電動で対物レンズ50を駆動できない場合、術者は手動ツマミ122を回転させて対物レンズ50の駆動を行なう。この場合、対物レンズ駆動部52の例えば図示しない電動機の軸が焼き付いてロックした場合スリップ機構121がスリップすることにより手動ツマミ122にあわせて対物レンズ50が駆動される。本実施形態においてはこの状態でも対物レンズ50の駆動に合わせて対物レンズ位置検出部57から信号が正常に出力されるため、手動操作時においても焦準位置Pの検出が行われる。
【0112】
(効果)
本実施形態によれば、前述の第1実施形態における効果に加えて、次のような効果が得られる。まず、切り替えスイッチ120の操作により複数の傾斜中心点S1を選択できるため、例えばーつのΔfを零に設定しておくことにより焦準位置Pを中心とした鏡体12の傾斜操作と、焦準位置Pから一定間隔をおいた位置での鏡体12の傾斜操作の選択が容易に行なうことができ、体表面と体腔内を交互に観察する必要がある場合などには使い勝手が非常に向上する。
【0113】
また、電動で対物レンズ50を駆動できなくなった場合でも、手動ツマミ122によって対物レンズ50の駆動が行なうことができ、さらに、その際にも傾斜中心点S1と観察位置Pの追従動作も行なうことができ、故障時でも傾斜機能を使用可能である。
【0114】
さらに、本実施形態においては、フォーカスリセット機構の動作中でも傾斜中心点S1が常に焦準位置Pに追従するため、フォーカスリセット動作と組み合わせても使い勝手のよい傾斜機構を提供することができる。
【0115】
なお、本実施形態では常に傾斜中心点S1が焦準位置Pに追従するように構成したが、使用者によつてこのモードは様々なものが考えられる。
例えば、傾斜中心点S1を中心に鏡体12を傾斜操作中、または鏡体12がロックされた状態において焦準位置Pが駆動された場合は、傾斜中心点S1の駆動は行なわず、傾斜中心点S1と実際の焦準位置Pとの差異Δf´をメモリーに記憶しておく。この時点での鏡体12の傾斜操作はΔf´をもとに行なう。鏡体12がオールフリーにされ、フォーカスリセット動作が行われた場合には、Δf´は消去されあらかじめ設定されていたΔfをもとに鏡体12の傾斜操作が行なわれる、といった構成及び作用としてもよい。
【0116】
これにより、術中の焦準操作によって傾斜中心点S1をむやみに変更したくない場合には、使い勝手の良いものを提供することができる。
<第3実施形態>
図9及び図10を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
(構成)
前述した第1実施形態と同様な個所の部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0117】
図9において、鏡体12にはオートフォーカスユニット(以下、AFユニットと呼ぶ)150が図示しない支持具により支持されている。また、鏡体12の内部を通過する左眼用の光束51L上にはビームスプリッター141が、右眼用の光束51R上にはビームスプリッター142が設置されている。一方のビームスプリッター141はAFユニット150に設けられたスポット投影機140の光軸上に配置されたものであり、スポット投影機140からのスポット光を焦準位置Pに反射する方向に設置されている。他方のビームスプリッター142は、焦準位置Pからの光束をAFユニット150に設置された受光素子143に向けて反射する方向に設置されている。受光素子143はAFユニット150内に設置されたAF用CPU(制御部)144に接続されており、また、このAF用CPU144は前述した制御部102とも接続されている。
【0118】
また、前記制御部102に接続されたROM106には、図10に示すごとくの手順内容のプログラムが格納されている。
図10中の※1及び※2は第1実施形態で示した図6の同一符号個所に該当する部分となり、図6のフローチャートの内容は省略した。
【0119】
(作用)
本実施形態の作用は以下の通りである。術者が電源を投入したときの、カウンタ回路101のリセット動作及び対物レンズ50の焦準指定位置への駆動動作、さらにはグリップ61に設けられたスイッチSW1及びSW2による鏡体12の移動に関する作用は第1実施形態及び第2実施形態と同様であるためにその具体的な説明を省略する。
【0120】
AFユニット150に設置されたAF用CPU144は図示しないROMを有しており、それに格納された手順内容によって制御される。AFユニット150には制御部102または図示しない入力手段から合焦命令が入力され、スポット投影機140からスポット光が射出される。射出されたスポット光はビームスプリッター141により焦準位置Pの方向に反射され術部に投影される。術部に投影されたスポット光は術部にて反射され、ビームスプリッター142でさらに反射されて図示しない結像レンズにより受光素子143に結像される。AF用CPUは、上記受光素子143に受光されたスポット光の結像位置のずれにより合焦状態を判断し、制御部102に第1ドライバ回路103に対して対物レンズ50を合焦方向に駆動するべく信号出力を要求する。以上がオートフォーカス駆動の作用である。
【0121】
術者はあらかじめデータ入力手段108を用いて、Δf(第1実施形態と同様)及びT1とS1間の距離Rlの初期設定データRlini を入力し、EEPROM107に記憶しておく。
【0122】
スイッチSW1及びSW2が共にOFFの場合、またはSW1がONの場合で、かつ切り替えスイッチ120がONの場合には、第1実施形態と同様に焦準位置Pに傾斜中心点S1が追従するべく傾斜ロッド駆動部43が駆動される。
【0123】
スイッチSW1及びSW2が共にOFFか、またはSW1がONの場合で、かつ切り替えスイッチ120がOFFの場合には、制御部102はRlがRlini と等しくなるべく傾斜ロッド駆動部43を駆動する。
【0124】
SW2がONの場合には、傾斜ロッド駆動部43の駆動は行われず、 Rf−Rlの値が予め設定された値ΔfTHよりも大きい場合にのみ、制御部102からAF用CPU144に対して合焦動作を要求する信号を出力し、合焦動作が行われる。
【0125】
(効果)
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。傾斜中心点S1を焦準位置Pに追従させるモードと、焦準位置Pと傾斜中心点S1を独立させておくモードの切り替えが、切り替えスイッチ120により容易に行うことが可能である。
【0126】
また、比較的体表面に近い部位の手術を行う場合等で、傾斜中心点S1と焦準位置Pの間の距離が小さい場合、S1を中心とした鏡体12の傾斜操作時にはオートフォーカスは動作せず傾斜動作のみが行われるため、鏡体操作によるスポット投影位置の微妙な変化による敏感なオートフォーカス動作が防がれ、観察しやすい。
【0127】
逆に、体腔内の深い位置を手術する際において、傾斜中心点S1と焦準位置Pの間の距離が大きい場合、S1を中心とした鏡体12の傾斜操作時にオートフォーカスが動作するようにAFユニット150に対して信号が出力されるため、鏡体12の傾斜操作により観察視野が変化しても常に観察視野は合焦常態にあり操作性が良い。
【0128】
本実施形態ではスポット投影式のオートフォーカスとしたが、輝度法のオートフォーカスでも作用及び効果は同様である。
オートフォーカスを多点測距とした場合、フォーカスリセットとの組み合わせで、視野内のいずれかの部分に合焦していれば、フォーカスリセットを実行しないということも容易に可能である。
【0129】
[付記]
(1)前記焦準位置と前記傾斜中心点の差異を予め複数設定し記憶しておくメモリー手段と、当該メモリー手段に記憶された前記複数の差異データを選択する切り替え手段と、を有することを特徴とした請求項1に記載した手術用顕微鏡。
【0130】
(2)前記メモリー手段に記憶されている前記焦準位置と前記傾斜中心点の複数の差異データのうち、少なくとも一つは零であることを特徴とする付記1に記載の手術用顕微鏡。
【0131】
(3)焦準機構を有する鏡体と、当該鏡体を3次元空間の所望の位置に支持し、少なくとも前記鏡体を当該鏡体の略観察光軸上の任意の点を中心に傾斜可能であり、かつ前記傾斜中心点を前記鏡体の略観察光軸上で移動可能な顕微鏡支持アームと前記鏡体を略観察光軸上の任意の点を中心に傾斜するべく、前記顕微鏡支持アームを操作するための第1の操作部と、前記鏡体を少なくとも前記略観察光軸上の任意の点を中心とする傾斜操作以外の操作をするべく、前記顕微鏡支持アームを操作するための第2操作部と、を有する手術用顕微鏡において、
前記傾斜中心点を駆動する駆動部と、前記傾斜中心位置を検出する傾斜中心点検出部と、前記鏡体の焦準位置を検出する焦準検出部と、前記第1操作部と前記第2操作部のうち、いずれが操作されたかを検出するためのアーム操作検出部と、前記焦準検出部と、前記傾斜中心点検出部、及び前記アーム操作検出部の各検出結果をもとに、前記焦準機構及び前記駆動部の駆動方向及び駆動量を演算する演算手段と、前記演算手段の演算結果をもとに前記焦準機構及び前記駆動部を駆動制御する制御部と、を有することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0132】
(4)前記演算手段には複数の演算プログラムが格納されており、当該複数の演算プログラムを選択する切り替え手段を有することを特徴とする付記3に記載の手術用顕微鏡。
【0133】
(付記1、付記2に対する問題点)
なお、手術中に、傾斜中心点を焦準位置に合わせる、または傾斜中心点を体表面に合わせる等といった場合に、傾斜中心点を設定する度に焦準をその位置に合わせなければならないため、手術中の傾斜中心点の切り換え操作が非常に面倒であった。
【0134】
(付記3、付記4に対する問題点)
フォーカスリセット機構との組み合わせに関して、フォーカスリセットと上記の傾斜操作の組み合わせを考えた場合、アームをオールフリーにする度にフォーカスを原点に移動するために、焦準位置と傾斜中心点が頻繁に変化し、その都度、傾斜中心点の再設定が必要となるといった問題が生じていた。これらの問題により、手術の長時間化につながり、術者及び患者の負担が大きかった。
【0135】
(付記1、付記2の発明の目的)
傾斜中心点と焦準位置を合わせる、または傾斜中心点と体表面を合わせる等の切り換え操作が、容易に行うことのできる手術用顕微鏡の支持アームを提供することにある。
【0136】
(付記3、付記4の発明の目的)
フォーカスリセット機構と組み合わせた場合でも、最適な傾斜中心点の設定が自動的に行われる顕微鏡の支持アームを提供することにある。
【0137】
(付記1及び付記2の作用)
付記1及び付記2の構成により、予め術前に焦準位置と鏡体の傾斜中心点との差を複数種類設定しておくことにより、例えば焦準位置を中心とした鏡体傾斜操作と体表面を中心とした鏡体傾斜操作の切り換えが、切り換え手段により行われるという作用を持つ。
【0138】
(付記3及び付記4の作用)
付記3及び付記4の構成により、アームをオールフリーにした場合と傾斜中心点を中心とした傾斜のみを行う場合を検出し、アームの動作状態に応じて焦準位置のみの移動、傾斜中心点と焦準位置の連動した移動等の制御の切り換えが自動的に行われるという作用を持つ。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に記載された手術用顕微鏡によれば、焦準位置を変更した場合でも傾斜中心点は予め設定された最適な値に保たれるため、傾斜中心点を設定し直す手間が省け、手術の省時間化、術者や患者の疲労を軽減するという効果が得られる。
また、請求項2及び3に記載された手術用顕微鏡によれば、メモリー手段に記憶された複数の差異データを用いて、傾斜中心点を切り換える操作を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の機械的構成の概略的な説明図。
【図2】図1のa矢印方向から見た回転軸O1 付近の断面図。
【図3】図1のb矢印方向から見た回転軸O5 付近の断面図。
【図4】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の第2の平行リンク、第2の傾斜アーム、傾斜ロッドおよび運動規制機構の部分を示す斜視図。
【図5】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の鏡体付近の構成、及び手術用顕微鏡の電気回路の説明図。
【図6】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の動作のフローチャート。
【図7】第2実施形態に係る手術用顕微鏡の鏡体付近の構成、及び手術用顕微鏡の電気回路の説明図。
【図8】第2実施形態に係る手術用顕微鏡の動作のフローチャート。
【図9】第3実施形態に係る手術用顕微鏡の鏡体付近の構成、及び手術用顕微鏡の電気回路の説明図。
【図10】第3実施形態に係る手術用顕微鏡の動作のフローチャート。
【符号の説明】
1…支柱、2…第1の平行四辺形リンク、2a〜2d…アーム、3…第2の平行四辺形リンク、3a〜3d…アーム、4…支持台、7…第1の伝達ロッド、8…第2の伝達ロッド、10…平行四辺形リンク機構、12…鏡体、25…傾斜ロッド、43…傾斜ロッド駆動部、50…対物レンズ、52…対物レンズ駆動部、53…移動枠、54…ラック、55…ピニオン、56…フォトインタラプタ、57…対物レンズ位置検出手段、101…焦準位置検出用カウンタ回路、102…制御部(CPU)、103…第1ドライバ回路、104…第2ドライバ回路、105…ウォッチドックタイマ回路、108…データ入力手段、106…ROM、107…EEPROM、P…焦準位置、S…傾斜中心点。

Claims (2)

  1. 焦準機構を有する鏡体と、
    当該鏡体を3次元空間内の所望の位置に支持し、少なくとも前記鏡体を当該鏡体の略観察光軸上の任意の点を中心に傾斜可能に設定し、かつ前記傾斜中心点を前記鏡体の略観察光軸上で移動させることが可能な顕微鏡支持アーム機構と、
    を有する手術用顕微鏡において、
    前記傾斜中心点を移動させる駆動手段と、
    前記傾斜中心点の位置を検出する傾斜中心点検出手段と、
    前記鏡体の焦準位置を検出する焦準検出手段と、
    当該焦準検出手段から入力される実際の焦準位置データと、前記傾斜中心点検出手段から出力される実際の傾斜中心点データの差異を比較演算する第1の演算手段と、
    前記焦準位置と前記傾斜中心点との差異を予め設定し、この差異データを記憶しておくメモリー手段と、
    当該メモリー手段に記憶された前記差異データを、前記第1の演算手段で演算された演算結果と比較演算し、その演算結果に基づいて前記差異データと一致する位置に前記傾斜中心点を移動するように自動的に補正するべく前記駆動手段の駆動方向及び駆動量を決定する第2の演算手段と、
    前記第2の演算手段の演算結果に基づいて前記差異データに一致する位置に前記傾斜中心点を移動するように前記駆動手段を駆動制御する制御手段と、
    を有し、
    前記メモリー手段は、前記焦準位置と前記傾斜中心点の差異を予め複数設定して記憶でき、さらに、前記メモリー手段に記憶された前記複数の差異データを選択する切り換え手段を有することを特徴とする手術用顕微鏡。
  2. 前記メモリー手段に記憶されている前記焦準位置と前記傾斜中心点の複数の差異データのうち、少なくとも一つは零であることを特徴とする請求項1に記載の手術用顕微鏡。
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