JP3851651B2 - 高密度ポリエチレン樹脂製発泡シート、およびこのシート製容器の製造方法 - Google Patents

高密度ポリエチレン樹脂製発泡シート、およびこのシート製容器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高密度ポリエチレン樹脂製発泡シート、およびこの発泡シート製容器の製造方法に関する。さらに詳しくは、各種の包装容器製造用に好ましく使用され、耐寒性、断熱性、耐油性、耐熱性、剛性などに優れたポリエチレン系樹脂製発泡シート、特に二次成形法によってトレー、カップ、ボウル、皿、容器、箱(以下、これらを総称して容器と記載する)などの製造に適したポリエチレン系樹脂製発泡シート、およびこの発泡シートより耐熱性に優れた容器の製造方法に関する。
市販されている食品は、種類によっては樹脂製容器に収納し、0〜−30℃の低温で冷蔵・冷凍されて保存・輸送され、食する際に容器ごと電子レンジによって100〜120℃の温度で加熱調理されるものがある。これら食品を収納する容器は、電子レンジによって上記温度範囲に加熱調理する際に変形しないように耐熱性も要求されるほか、食品に含まれる油、調味料などで侵食され難いという耐油性が要求される。また、食品を収納した容器が低温で冷蔵・冷凍されている状態で、外部から衝撃を受けても破損しない程度の耐寒性、耐衝撃性が要求される。
電子レンジによって加熱調理される食品を収納する容器としては、従来、ポリプロピレン系樹脂製シートを熱成形法で製造(成形)した容器が使用されている。ポリプロピレン系樹脂は耐熱性に優れているので、容器は電子レンジで加熱した際の変形が少ない。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は耐寒性に劣るので、この容器に食品を収納し、0〜−30℃の低温下で冷蔵庫・冷凍庫などでの保管中や、冷凍車輌による輸送過程における荷役作業中などに落下、衝突、振動などの外部からの衝撃で割れやひびが生じて、電子レンジによる加熱調理には堪えられないという欠点がある。この欠点を改善する目的で、ポリプロピレン系樹脂にポリエチレン樹脂、および無機充填材を配合した樹脂組成物からなる熱成形用シートが提案されている(特許文献1)。しかし、このシートから得られる容器は、まだ耐寒性および耐熱性が不十分であった。
高密度ポリエチレン系樹脂を原料とした発泡シートは、断熱性、耐衝撃性、剛性などに優れているので、容器、段ボール素材などとして使用されている。通常の高密度ポリエチレン系樹脂を原料とした発泡シートは、均一な発泡セルが形成され難いという欠点があり、この欠点を改良する方法として、溶融粘度の高いポリエチレン系樹脂を使用する方法が提案されている。溶融粘度が高いと、押出機によって発泡シートを製造する際、押出機モーターに大きな負荷がかかり、発泡シートの製造が困難となる。この問題を解決する手法として、高密度ポリエチレン系樹脂に二種類のポリプロピレン系樹脂を配合した樹脂組成物を原料とした発泡シートが提案されている(特許文献2)。しかし、発明者らの実験によれば、この発泡シートから得られる容器は、まだ耐寒性および耐熱性が不十分であることが分かった。
特開平2−80454号公報 特開2001−213989号公報
本発明者らは、上記状況に鑑み、従来の欠点を排除した耐寒性、断熱性、耐油性、耐熱性、剛性などに優れた樹脂シート、およびこの樹脂シートから耐熱性に優れた容器の製造方法を提供することを目的として、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は、特定の物性を有するポリエチレン系樹脂からなり、発泡シート製造時の押出特性に優れ、耐寒性、断熱性、耐油性、耐熱性、剛性などに優れたポリエチレン系樹脂発泡シート、特に二次成形法によって皿、容器、トレー、箱などを製造するのに適したポリエチレン系樹脂発泡シート、および、耐熱性に優れた容器の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、第一発明では、密度が0.942〜0.968、MFRが0.1〜0.9g/10分、溶融張力が2〜15gの高密度ポリエチレン系樹脂(A)75〜93重量%と、MFRが1〜10g/10分、溶融張力が15〜25gのポリプロピレン系樹脂(B)25〜7重量%とを含む樹脂脂組成物よりなり、発泡倍率が1.1〜5.0倍であり、厚さが0.5〜3.0mmであることを特徴とする、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートを提供する。
また、第二発明では、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シート製容器を熱成形法によって製造するにあたり、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートが、密度が0.942〜0.968、MFRが0.1〜0.9g/10分、溶融張力が2〜15gの高密度ポリエチレン系樹脂(A)75〜93重量%と、MFRが1〜10g/10分、溶融張力が15〜25gのポリプロピレン系樹脂(B)25〜7重量%とを含む樹脂脂組成物よりなり、発泡倍率が1.1〜5.0倍であり、厚さが0.5〜3.0mmのものであり、熱成形する際の金型温度を105〜115℃の温度範囲とし、容器成形後に10〜20秒間アニーリングすることを特徴とする、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シート製容器の製造方法を提供する。
本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のような特別に優れた効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートは、MFRが低い高密度ポリエチレン系樹脂と、MFRが高いポリプロピレン系樹脂とを特定の割合で配合したものを原料樹脂とするので、発泡シート製造時の押出特性に優れている。
2.本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートは、MFRが低い高密度ポリエチレン系樹脂と、MFRが高いポリプロピレン系樹脂とを特定の割合で配合したものを原料樹脂とするので、得られた発泡シートは外観が美麗で、成形性、耐寒性、断熱性、耐衝撃性などに優れている。
3.本発明に係るポリプロピレン系樹脂製発泡シートは、耐薬品性に優れているので、食品に含まれる油、調味料などで侵食され難い。
4.本発明に係るポリプロピレン系樹脂製発泡シートは、耐寒性に優れ、かつ、剛性にも優れているので、低温下で冷蔵庫・冷凍庫などでの保管中や、冷凍車輌による輸送過程における荷役作業中に落下、衝突、振動などの外部からの衝撃で割れやひびが生じ難い。
5.本発明に係るポリプロピレン系樹脂製発泡シートは、耐熱性に優れているので、電子レンジにより加熱・調理する各種食品の収納用容器製造用として好適である。
6.本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートは、発泡倍率が1.1〜5倍の範囲にされており材料樹脂の使用量が少なくできるので、製品のコストを低減することができる。
7.本発明に係る製造方法で製造された発泡シート製容器は、耐熱性に優れているので、電子レンジにより加熱・調理する各種食品の収納用容器として好適である。
8.本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートから製造された容器は、材料樹脂の使用量が少ないので、回収後に焼却処理する際に、容量当りの燃焼カロリーが少なく焼却炉を損傷させ難く、また、焼却時に発生する容量当りの黒煙の量も少なく空気汚染も少なくできる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートの原料樹脂は、高密度ポリエチレン系樹脂(A){以下、樹脂(A)と記載することがある}とポリプロピレン系樹脂(B){以下、樹脂(B)と記載することがある}である。樹脂(A)は、密度が0.942〜0.968のものである。樹脂(A)は、密度が0.942〜0.968のポリエチレン、または、エチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィンをごく少量共重合させたポリエチレン樹脂である。密度が0.942未満では十分な耐熱性が得られない場合がある。密度の好ましい範囲は、0.945〜0.965である。
樹脂(A)は、また、MFR(JIS K7210に準拠して測定。以下、同じ意味である)が0.1〜0.9g/10分、溶融張力(MT)が2〜15gのものである。MFRが0.1g/10分未満であると、流動性が劣り発泡シートが製造し難く、0.9g/10分を超えると、熱成形などの二次成形法によって発泡シートから容器を製造する際に、ドローダウン(シートを加熱した際、自重により垂れ下がること)が大きくなり好ましくない。溶融張力が2g未満であると、発泡シートの製造が難く、また発泡シートから熱成形法によって容器を製造する際に、発泡シートが破損し易く、溶融張力が15gを超えると、発泡シートの外観が悪化するので好ましくない。
樹脂(B)は、溶融張力(MT)が15〜25gのものである。溶融張力が15g未満であると、発泡シートが製造し難く、また発泡シートから熱成形法によって容器を製造する際に、発泡シートが破損し易く、溶融張力が25gを超えると、溶融状態での張力が高すぎ押出機のトルク上昇による生産性の低下や、発泡シート押出時にフローマークが発生し、外観不良となり好ましくない。樹脂(B)は、MFR(JIS K7210に準拠して測定。)が1〜10g/10分のものが好ましい。MFRが1g/10分未満であると、流動性が劣り発泡シートが製造し難く、10g/10分を超えると発泡シートから熱成形法によって容器を製造する際に、ドローダウンが大きくなり好ましくない。
本発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートは、上記した樹脂(A)と樹脂(B)とを含む樹脂組成物を原料とする。両者の配合割合は、樹脂(A)75〜93重量%、樹脂(B)25〜7重量%とする。樹脂(A)の割合が75重量%未満であると、耐寒性が悪くなり、93重量%を超えると耐熱性が悪くなり、いずれも好ましくない。上記範囲で好ましいのは、樹脂(A)80〜95重量%、樹脂(B)20〜5重量%である。
上記原料樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、造核剤、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着材などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、造核剤、滑剤、可塑剤、充填剤、強化剤、顔料、染料、難燃材、帯電防止剤などの各種樹脂添加剤を配合することができる。
造核剤は気泡開始部を作り出し、発泡シートの気泡の大きさを制御し易くなる。好ましい造核剤としては、クエン酸、重炭酸ナトリウム、クエン酸と重炭酸ナトリウム混合物、タルクと二酸化チタン混合物などが挙げられる。造核剤は、平均粒径が0.3〜5.0μmであって、配合量は原料樹脂組成物に対して、0.01〜1重量%の範囲で選ぶのが好ましい。造核剤は、上記の各種樹脂添加剤と共に混合して、溶融混練して粒状化するか、得られた粒状ポリエチレンとドライブレンドするのが好ましい。
原料樹脂組成物に上記樹脂添加剤を配合するに方法は、溶融混練法によるのが一般的であるが、混合・溶融順序およびその方法には特に制限されるものではない。溶融混練する際の加熱温度は、原料樹脂の種類により異なるが、通常、150〜300℃の範囲で選ぶと、原料樹脂組成物が十分に溶融し、かつ、熱分解せず、十分に発泡性を得ることができる点で好ましい。原料樹脂組成物を溶融混練する際の装置としては、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機などが挙げられる。
次に、上記原料樹脂組成物から本発明に係る発泡シートを製造する方法を説明する。発泡シートは、粒状ポリエチレン系樹脂と造核剤とを混合する工程、混合物を押出機内で可塑化する工程、可塑化した混合物中に発泡剤を導入(添加または注入)し、発泡性混合物を調製する工程、発泡性混合物を押出機内で可塑化し発泡させて押出機ダイから押出し、連続的に発泡シートを製造する工程、の各工程を含む方法によって製造する。
発泡剤は、溶融混練機内で溶融状態にされている原料樹脂組成物に混合し、または圧入し、固体から気体、液体から気体に相変化するもの、または気体そのものであり、主として発泡シートの発泡倍率(発泡密度)を制御するために使用される。原料樹脂組成物に溶解した発泡剤は、常温で液体のものは樹脂温度によって気体に相変化して溶融樹脂に溶解し、常温で気体のものは相変化せずそのまま溶融樹脂に溶解する。溶融樹脂に分散溶解した発泡剤は、溶融樹脂を押出ダイからシート状に押出した際に、圧力が開放されるのでシート内部で膨張し、シート内に多数の微細な独立気泡を形成して発泡シートが得られる。発泡剤は、副次的に原料樹脂組成物の溶融粘度を下げる可塑剤として作用し、原料樹脂組成物を可塑化状態にするための温度を低くする。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;クロロジフルオロメタン、ジフロオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、チッ素、空気などの無機ガス;水などが挙げられる。これら発泡剤は、一種でも二種以上の混合物であってもよい。
上記発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、発泡シートの目標発泡倍率などにより異なるが、原料樹脂組成物に対して、1〜20重量%の範囲で選ぶのが好ましい。発泡剤の導入量が多いほど、気泡内のより高い圧力、および発泡剤の可塑化作用による変形に対して、より低い気泡壁の抵抗性が組合わされた効果のため、発泡気泡は大きくなり発泡倍率も大きくなる。発泡剤の好ましい導入量は、2〜15重量%である。
発泡性混合物を調製する工程と、発泡性混合物を発泡させる工程は、押出機内で行うことができる。すなわち、造核剤を配合したポリエチレン系樹脂組成物を押出機で溶融し、押出機シリンダーの途中から導入(圧入)する。押出機は、一軸押出機、二軸押出機のいずれであってもよい。押出機ダイは、Tダイでもよく、円形(サーキュラー)ダイでもよい。
上記方法によって製造されるポリエチレン発泡シートは、発泡倍率が1.1〜5.0倍で、厚さが0.5〜3.0mm
の範囲とする。発泡シートの発泡倍率が1.1未満であると、二次加工した製品は断熱性、耐寒性、緩衝性などに劣り、発泡倍率が5.0倍を超えると剛性が劣り、いずれも好ましくない。また、発泡シートの厚さが0.5mm未満であると、二次加工した製品は剛性、耐衝撃強さ、弾性率、断熱性などに劣り、厚さが3mmを超えると、発泡セルの均一な発泡シートの製造が困難となるばかりでなく、原料樹脂の使用量が多くなり、二次加工性にも劣り好ましくない。
本発明に係るポリエチレン発泡シートは、表面性や剛性、加熱成形性などを改良する目的で、発泡シートの片面または両面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層(フィルム)を積層することもできる。積層(フィルム)用熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。発泡シートに非発泡層を積層する方法としては、特に限定されるものではなく、(1) 発泡シートを製造した後に、別途作成した非発泡フィルムを、加熱法または接着剤を用いる方法によって積層する方法、(b) 発泡シート表面に直接Tダイから非発泡フィルムに押出して積層する方法、などが挙げられる。特に好ましいのは、非発泡樹脂をポリエチレン系樹脂とし、上記(2) の方法で積層する方法である。
本発明に係るポリエチレン発泡シートは、原料のポリエチレン系樹脂の物性、および発泡シートの特性を規定することにより、二次加工性、すなわちプラグ成形法や真空成形法、圧空成形法などの熱成形法によって最終製品を得る際の加工性に優れ、厚さ斑のない成形品を得ることができる。
熱成形法の例としては、プラグ成形法、マッチド・モールド成形法、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、プラグ・アンド・リッジ成形法、リッジ成形法などが挙げられる。
次に、上に説明した本発明の第一発明に係る高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートから、第二発明に係る方法に従って容器の製造方法について説明する。本発明者らの検討によれば、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートから、熱成形法によって製造させる容器の耐熱性は、結晶化度の程度に依存することが分かった。また、容器の結晶化度は、熱成形法によって容器を製造する際の金型(表面)温度と、アニーリング条件(温度、時間)に依存することが分かった。
好適な金型(表面)温度とアニーリング条件は、金型温度105〜115℃の範囲、容器成形後のアニーリング時間は10〜20秒間が好ましいことが分かった。金型(表面)温度が105℃未満であると、アニーリング時間にもよるが、成形品が結晶化し難く、製品容器の耐熱性が向上せず、金型温度が115℃を超えると、製品容器が軟化状態になり易く、いずれも好ましくない。また、アニーリング時間が10秒未満であると、金型表面温度にもよるが、成形品が結晶化し難く、製品容器の耐熱性が向上せず、20秒を超えると製品容器が金型表面に溶着するばかりでなく、成形サイクルが長くなり、いずれも好ましくない。なお、製品容器のアニーリングは、成形金型で熱成形した後の製品容器を、所定時間成形金型から離型しない状態を維持することをいう。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下の記載例において、原料樹脂の各種物性の評価、および、ポリエチレン発泡シートの各種特性は、以下に記載の方法で行った。
<原料樹脂>
A:高密度ポリエチレンであって、密度が0.960g/cm、MFRが0.5g/10分、溶融張力が5.0gのものである。
B:ポリプロピレンであって、密度が0.90g/cm、MFRが3.0g/10分、溶融張力が19gのものである。
(a)密度:JIS K6767に準拠して測定した。
(b) MFR:JIS K7210に準拠して測定した。
(c) 溶融張力:東洋精機製作所社製のキャピログラフを使用し、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095mm、ピストンスピード10mm/min 、引取速度3.9mm/min の条件で測定した。単位はg(グラム)である。
(d) 押出特性:50mmφ、L/D=30の単軸押出機によって、40rpmで押出した際の、押出機モーターの負荷と、スクリュー先端樹脂の温度により評価した。押出機モーターの負荷が低い場合を○、押出機モーターの負荷が高い場合を×、○と×の中間のものを△、とそれぞれ表示した。
(e) 発泡倍率:JIS K6767に準拠して測定した。
(f) シートの外観:ポリエチレン系樹脂発泡シートを目視観察し、押出方向に平行のしわ(コルゲートの線)やケバが認められないものを○、押出方向に平行のしわ(コルゲートの線)ヤケバが認められるものを×、○と×の中間のものを△、とそれぞれ表示した。
(g)ドローダウン性:ポリエチレン系樹脂発泡シートを、バッチ式差圧成形機(関西自動成形機社製、型式:PK450V)を使用し、50cm×50cmの寸法のクランプによって固定し、厚さが1.0mmの発泡シートの上下からヒータによって300℃に加熱し、可視光線レーザー変位センサー(キーエンス社製、型式:BL−300)によって、ドローダウン性を評価した。発泡シート中央部の垂れ下がり量が20mm未満のものを○、垂れ下がり量が20mm以上のものを×、○と×の中間のものを△、とそれぞれ表示した。
(h) 成形性:厚さが1.0mmの発泡シートを、300℃に加熱した熱板式ヒータによって1ショット分の大きさ(50cm×50cm)を、300℃に加熱した熱板式ヒータによって48秒間加熱し(加熱した後であって成形直前のシート表面温度は129℃であった)、20cm×25cm×3cmの弁当箱型容器を、1個取り試験金型で差圧成形法(雄型側から減圧する方法)によって成形した。得られた容器につき、偏肉の有無、型決まり状況などの外観を目視観察し、全体として良好なものを○、劣るものを×、○と×の中間のものを△、とそれぞれ表示した。
(i)総合評価:上記(d)〜(h)の評価項目の総てが良好なものを○、いずれか一つでも劣るものを×、○と×の中間のものを△、とそれぞれ表示した。
[実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例4]
<発泡シートの製造>
上記2種類の粒状ポリエチレン(A)と粒状ポリプロピレン(B)とを、表−1に示した割合で秤量し、リボンブレンダーで均一に混合して混合物を得た。この混合物100重量部に対し、造核剤としての重曹−クエン酸(永和化成社製、セルボンSC/K)0.5重量部を、リボンブレンダーで均一に混合して配合物を得た。この配合物を、50mmφ、L/D=30の単軸押出機のホッパーに供給し、発泡剤としての炭酸ガスを、可塑化混合物100重量部に対して2重量%、押出機シリンダー途中から圧入・混合し、サーキュラーダイ(75mmφ)より大気圧下に押出し、マンドレルに引き取りつつ、マンドレルの内部に0.15m3/minで空気を吹き付けて延伸・冷却し、円筒型発泡シートを得、これをカッターで切り開くことによって700mm幅の発泡シートを得た。
<原料混合物、発泡シートの製造、発泡シートの評価試験>
上記した方法によって、原料混合物、発泡シートの製造、発泡シートについて上記した方法で評価試験を行い、評価結果を表−1に記載した。
Figure 0003851651
上記表−1より、次のことが明らかとなる。
(1)MFRが低いポリエチレン(A)と、MFRが高いポリプロピレン(B)の配合割合、その他の特性が特許請求の範囲で規定する要件を満たすものを原料としたものは、発泡シート製造時の押出特性に優れている(実施例1〜実施例10参照)。
(2)また、MFRが低いポリエチレン(A)と、MFRが高いポリプロピレン(B)の配合割合、発泡倍率などが特許請求の範囲で規定する要件を満たす発泡シートは、外観が美麗で、二次成形法によって容器を製造する際のドローダウンが少なく、成形性に優れている(実施例1〜実施例10参照)。
(3)これに対して、MFRが低いポリエチレン(A)単独のもの、および、MFRが低いポリエチレン(A)の割合が特許請求の範囲で規定する範囲外のものは、発泡シート製造時の押出特性に劣り、シートの外観、二次成形する際の成形性などに劣る(比較例1、比較例4参照)。
(4)また、MFRが低いポリエチレン(A)と、MFRが高いポリプロピレン(B)との配合割合が特許請求の範囲で規定する要件を満たしても、発泡倍率が1.1より小さいものは、押出特性に劣り、シートの外観、二次成形する際の成形性などにも劣る(比較例2参照)。
(5)さらに、MFRが低いポリエチレン(A)と、MFRが高いポリプロピレン(B)との配合割合が特許請求の範囲で規定する要件を満たしても、発泡倍率が5.0より大きいものは、押出特性に劣り、シートの外観、二次成形する際の成形性などにも劣る(比較例3参照)。
[実施例11〜実施例19、比較例5〜比較例8]
上記の実施例6に記載の例で得られた、厚さが1.0mmの発泡シート1ショット分の大きさ(50cm×50cm)を、300℃に加熱した熱板式ヒータによって48秒間加熱し(加熱した後であって成形直前のシート表面温度は129℃)、20cm×25cm×3cmの弁当箱型容器を、1個取り試験金型で差圧成形法(雄型側から減圧する方法)によって成形した。金型表面温度、差圧成形後の成形品のアニーリング時間などを、表−2に記載したように種々変えて成形品(容器)を得た。
容器の成形条件の詳細、得られた容器についての評価試験結果を、表−2に記載した。なお、表−2における評価項目は、次のとおりとした。
(j)結晶化度(%):容器の結晶化度を、示差走査熱分析装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、型式:RDC220)を使用して測定した。測定値は、ポリエチレンの結晶化度とポリプロピレンの結晶化度の合計量である。
(k)耐熱温度(℃):油浴に市販のサラダオイル(日清製油社製、商品名:日清サラダ油)を入れ、100℃〜130℃の範囲で5℃づつ温度を上昇させ、各温度において容器を1分間浸漬したあと取出し、外観を目視観察した。容器のどの部分にも変形が認められない最高温度(℃)を、耐熱温度とした。
(l)電子レンジ加熱試験:容器収納部に幕の内弁当の中身(ご飯と惣菜)を容れ、二軸延伸ポリスチレン製の蓋を施蓋し、電子レンジ(シャープ社製、型式:RE−6000)内に入れ、1400Wに設定して50秒間加熱した。加熱後電子レンジから取出し、容器の変形有無を目視観察した。容器のどの部分にも変形が認められないものを○、変形が認められたものを△として表示した。
(m)耐寒性:容器収納部に水道水を容れ、−20℃に設定した冷凍庫(東芝社製、型式:CR−221BSE)の冷凍室に入れて24時間放置し、水道水を凍結させた。容器を冷凍庫から取出し、80cmの高さからコンクリート床面に落下させ、容器の割れの有無を目視観察した。割れが認められないものを○、割れが認められるものを×と表示した。
Figure 0003851651
上記表−2より、次のことが明らかとなる。
(1)金型表面温度を105℃〜115℃の範囲とし、アニーリング時間を10秒〜20秒とした場合には、容器の結晶化度が高く、耐熱性にも優れている(実施例11〜実施例19参照)。
(2)これに対し、金型表面温度を120℃とした場合は、アニーリング時間を20秒としても、容器が軟化して成形金型からの離型が困難であった(比較例5参照)。
(3)さらに、金型表面温度を100℃以下とした場合は、アニーリング時間を30秒と長くしても、容器の結晶化度が高くならず、耐熱性も実施例のものより劣る(比較例6〜8参照)。
本発明に係る高密度ポリエチレン樹脂製発泡シートは、軽量で耐寒性、断熱性、耐油性、耐熱性、剛性などに優れ、真空成形、圧空成形などの熱成形法により、多くの二次成形品(容器)を得ることができる。容器には、トレー、カップ、ボウル、皿、容器、箱などが挙げられる。特に、特定の成形条件で製造した容器は耐熱性に優れているので、予め調理した食品を収納し、0〜−30℃の低温で冷蔵・冷凍されて保存・輸送され、食する際に容器ごと電子レンジによって100〜120℃の温度で加熱調理される、冷凍調理食品用の容器として好適である。

Claims (2)

  1. 密度が0.942〜0.968、MFRが0.1〜0.9g/10分、溶融張力が2〜15gの高密度ポリエチレン系樹脂(A)75〜93重量%と、MFRが1〜10g/10分、溶融張力が15〜25gのポリプロピレン系樹脂(B)25〜7重量%とを含む樹脂組成物よりなり、発泡倍率が1.1〜5.0倍であり、厚さが0.5〜3.0mmであることを特徴とする、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シート。
  2. 高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シート製容器を熱成形法によって製造するにあたり、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シートが、密度が0.942〜0.968、MFRが0.1〜0.9g/10分、溶融張力が2〜15gの高密度ポリエチレン系樹脂(A)75〜93重量%と、MFRが1〜10g/10分、溶融張力が15〜25gのポリプロピレン系樹脂(B)25〜7重量%とを含む樹脂組成物よりなり、発泡倍率が1.1〜5.0倍であり、厚さが0.5〜3.0mmのものであり、熱成形する際の金型温度を105〜115℃の温度範囲とし、容器成形後に10〜20秒間アニーリングすることを特徴とする、高密度ポリエチレン系樹脂製発泡シート製容器の製造方法。
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