JP3849383B2 - 圧縮自己着火式ガソリン内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧縮自己着火式ガソリン内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリン内燃機関の熱効率向上手段として、混合気のリーン化が挙げられるが通常の火花点火と火炎伝播による燃焼では、燃焼が不安定となってリーン化にも自ずと限界が生じてしまうことと、リーン燃焼時には排気浄化のための触媒がいわゆる量論比での燃焼時ほど浄化性能、特にNOx の還元性能を発揮できなくなってしまうため、このリーン燃焼の運転可能な負荷範囲の拡大と低NOx 化を目的として、例えば特開平10−196424号公報に示されているように、機関の低中負荷時等に燃焼室内の混合気をピストンの圧縮作用により自己着火燃焼させるようにした圧縮自己着火燃焼式のガソリン内燃機関が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
圧縮自己着火燃焼のような化学反応は燃焼室内の圧力,温度,混合気の組成と濃度等に依存しており、ディーゼル機関と異なりセタン価が低く着火性の悪いガソリンを燃料として用いるガソリン内燃機関では、圧縮自己着火燃焼を成立させる1つの手法として、圧縮比を高く設定することと併せて、燃焼室内の温度を高く維持して混合気の活性化を促進するために、吸,排気バルブのバルブオーバーラップを大きく設定することにより高温の既燃ガスを大量に残留させて所謂内部EGR率を高める等の手段を講じる必要がある。
【0004】
ところが、高圧縮比,高内部EGR率に設定した場合、圧縮上死点付近での燃焼室内の圧力および温度が一様に高まるために、圧縮自己着火燃焼が一斉に生じる所謂急速燃焼が行われ、圧力上昇率が著しく高くなって打音が発生する傾向となり易い。
【0005】
また、この高圧縮比,高内部EGR率の設定は空燃比の希薄限界やノッキング限界を生じて、圧縮自己着火燃焼の運転可能領域を狭めたり、火花点火燃焼を行わせる高回転・高負荷域の運転性能の悪化をもたらす。
【0006】
更に、燃焼室内ではその周壁面付近では冷却により温度が低くなるため燃焼室全体の温度が不均一となり、また、混合気も燃焼室全体で完全に均一となることはないため、圧縮自己着火燃焼の開始時期が燃焼場の自己着火条件の整,不整にによって変動し、燃焼が不安定となってサイクル毎の出力変動を来す可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は圧縮自己着火燃焼を多段的な熱発生の形態をとる調速燃焼とすることができて燃焼時の打音発生を回避することができ、かつ、圧縮比および内部EGR率を可及的に低減できて圧縮自己着火運転領域を拡大できると共に火花点火運転域でのノッキング発生を抑制でき、しかも、圧縮自己着火の開始時期を確定できて燃焼を安定化することができる圧縮自己着火式ガソリン内燃機関を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、火花点火運転時は燃焼室内に設けた点火プラグにより燃焼室内の混合気を火花点火して燃焼させ、圧縮自己着火運転時はピストンの圧縮作用により燃焼室内の混合気を自己着火して燃焼させる圧縮自己着火式ガソリン内燃機関において、燃焼室壁の高温領域となる排気バルブ配置側の部位に、燃焼室よりも容積の小さな副室と、副室断面積よりも小さな開口面積に形成されて該副室と燃焼室とを連絡する噴口を設け、前記噴口を、圧縮自己着火運転時に着火燃焼前の燃料の混合気が圧縮行程で指向する方向とほぼ対向する位置に設け、圧縮自己着火運転時には、圧縮行程で前記噴口を通じて副室内に混合気を流入させ、当該混合気を燃焼室内の混合気よりも早く反応させて副室内にラジカルを生成させ、圧縮行程中の圧力上昇によって、前記副室内から噴口を通じてラジカルを含む高温ガス噴流を燃焼室内へ吹き出させ、当該高温ガス噴流により燃焼室内の混合気を活性化させて自己着火燃焼させるようにしたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の噴口を、燃焼室内の該噴口から最も遠い吸気バルブ配置側へ向けて形成したことを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明にあっては、請求項1,2に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関の吸気系に、吸気行程で燃焼室内に旋回流を発生させるガス流動生成手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3に記載の燃焼室内に、該燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を設けたことを特徴としている。
【0012】
請求項5の発明にあっては、請求項4に記載の圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、圧縮行程に設定したことを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明にあっては、請求項4に記載の圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、圧縮行程の前半と後半とに2回設定したことを特徴としている。
【0014】
請求項7の発明にあっては、請求項4に記載の圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、吸気行程と圧縮行程とに2回設定したことを特徴としている。
【0015】
請求項8の発明にあっては、請求項4〜7に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関のピストンの冠面には、圧縮自己着火運転時に燃料噴射弁より噴射された燃料噴霧を、ピストンの圧縮作用により噴口に指向して流動ガイドする凹部を設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項9の発明にあっては、請求項4〜8に記載の燃料噴射弁を二つの吸気弁間の近傍位置で燃焼室内に臨ませて設けると共に、点火プラグを燃焼室内の略中心位置に臨ませて設け、前記噴口を点火プラグに近接して該点火プラグの排気バルブ配置側となる位置に開口させ、かつ、吸気系にはガス流動生成手段として吸気行程で燃焼室内に順タンブル流を生成するタンブル生成手段を設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項10の発明にあっては、火花点火運転時は燃焼室内に設けた点火プラグにより燃焼室内の混合気を火花点火して燃焼させ、圧縮自己着火運転時はピストンの圧縮作用により燃焼室内の混合気を自己着火して燃焼させる圧縮自己着火式ガソリン内燃機関において、燃焼室壁の高温領域となる排気バルブ配置側の部位に、燃焼室よりも容積の小さな副室と、副室断面積よりも小さな開口面積に形成されて該副室と燃焼室とを連絡する噴口とを設け、前記噴口を、圧縮自己着火運転時に着火燃焼前の燃料の混合気が圧縮行程で指向する方向とほぼ対向する位置に設け、燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を二つの吸気弁間の近傍位置で当該燃焼室内に臨ませて設けると共に、点火プラグを燃焼室内の略中心位置に臨ませて設け、前記噴口を点火プラグに近接して該点火プラグの排気バルブ配置側となる位置に開口させ、かつ、吸気系にはガス流動生成手段として吸気行程で燃焼室内に順タンブル流を生成するタンブル生成手段を設け、圧縮自己着火運転時には、圧縮行程で前記噴口を通じて副室内に混合気を流入させるとともに、圧縮自己着火時期よりも早い時期に前記点火プラグを点火作動させて燃焼室内の混合気が副室内へ流入する直前で点火エネルギに相当した分だけ混合気ラジカルを発生させ、この混合気ラジカルを火種として副室内にラジカルを生成させ、圧縮行程中の圧力上昇によって、前記副室内から噴口を通じてラジカルを含む高温ガス噴流を燃焼室内へ吹き出させ、当該高温ガス噴流により燃焼室内の混合気を活性化させて自己着火燃焼させるようにしたことを特徴としている。
【0018】
請求項11の発明にあっては、請求項1〜10に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関の火花点火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、吸気行程に設定したことを特徴としている。
【0019】
請求項12の発明にあっては、請求項1〜11に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関の噴口および副室を断熱構造としたことを特徴としている。
【0020】
請求項13の発明にあっては、請求項1〜12に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関の副室を、噴口の中心軸線上に長軸を持つ回転楕円形に形成し、噴口断面積は副室最大断面積より小さくしたことを特徴としている。
【0021】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、燃焼室と副室とを連絡する噴口は副室断面積よりも小さな開口面積であるため、該副室は十分な掃気がなされずに既燃ガスが残る温度の高い空間となり、しかも、該副室は排気バルブ配置側の高温領域にあって壁温も高い空間であるため、圧縮自己着火運転時は圧縮行程で噴口を通じて副室内に流入する混合気は燃焼室内の混合気よりも早く反応してラジカルを多量に生成する。
【0022】
このラジカルの生成による発熱は副室内の圧力上昇を伴い、この圧力上昇によってラジカルは絞られた噴口を通過する際に噴流となって燃焼室内へ吹き出し、このラジカルを含んだ高温ガス噴流により燃焼室内の混合気を活性化して自己着火燃焼させる。
【0023】
このような噴口から噴出するラジカルをトリガーとした自己着火燃焼は、燃焼室内の全域で一斉蜂起的に発生する自己着火燃焼と異なって多段的な熱発生の形態をとる調速燃焼となり、これにより燃焼時の打音発生を防止することができる。
【0024】
また、自己着火のトリガーとなるラジカルを準備できるため、従来、燃焼室内の全域で圧縮自己着火を発生させるために高めていた圧縮比および内部EGR率を下げることができ、この結果、圧縮自己着火運転によるリーン燃焼領域を拡大できると共に火花点火運転領域でのノッキング発生を抑制することができる。
【0025】
しかも、噴口から噴出するラジカルによって燃焼室内の混合気を確実に圧縮自己着火燃焼させることができるため、混合気をより稀薄化でき、前記圧縮自己着火運転によるリーン燃焼領域を拡大できることと相俟って、燃費を一段と向上することができる。
【0026】
更に、前述のように副室内で発生したラジカルをトリガーとして圧縮自己着火燃焼を行わせるため、圧縮自己着火燃焼の開始時期を確定できて燃焼を安定化することができる。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、副室内で発生したラジカルを噴口から最も遠い吸気バルブ配置側へ向けて噴出させることができるため、燃焼室全体で効率よく圧縮自己着火燃焼を行わせることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1,2の発明の効果に加えて、燃焼室内に形成される旋回流によって混合気を噴口付近に分布させることができるので、圧縮行程でピストンの圧縮作用により噴口から副室内への混合気の流入を良好に行わせることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の発明の効果に加えて、副室内で生成するラジカルをトリガーとする圧縮自己着火の開始時期を燃料噴射時期に応じて確定できるので、圧縮自己着火開始時期を最適にコントロールすることができる。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、圧縮自己着火運転時は圧縮行程で燃料噴射弁から燃料を噴射させるため、噴口を経由して副室内へ濃混合気を供給でき、一層多くのラジカルの生成,増殖を促進することができる。
【0032】
また、燃料の圧縮行程噴射によって成層燃焼を実現できるため、混合気の希薄限界を広げることができる。
【0033】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、圧縮自己着火運転時は圧縮行程の前半と後半でそれぞれ燃料噴射弁から燃料を噴射させるため、この圧縮行程における短時間での2回の燃料噴霧により燃焼室内の混合気層が2層となって、燃焼による熱発生を2段階にして熱のピークを下げることができ、従って、圧縮自己着火運転領域の高負荷側でのノッキング発生を防止することができる。
【0034】
また、燃料の圧縮行程噴射によって、噴口を経由して副室内へ濃混合気を供給できて一層多くのラジカルの生成,増殖を促進することができ、かつ、該燃料の圧縮行程噴射によって成層燃焼を実現できて混合気の希薄限界を広げることができる。
【0035】
請求項7に記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、圧縮自己着火運転時は吸気行程と圧縮行程でそれぞれ燃料噴射弁から燃料を噴射させるため、吸気行程での1回目の燃料噴射によって燃焼室内に均一な希薄混合気が準備され、圧縮行程でこの希薄混合気が副室内に流入して活性化された状態で、該圧縮行程で2回目の燃料噴射が行われることによって濃い混合気が副室内に流入し、副室内でのラジカルの生成,増殖をより促進することができる。
【0036】
しかも、このように吸気行程での1回目の燃料噴射によって燃焼室全域に均一な希薄混合気が準備された状態で、圧縮行程で2回目の燃料噴射を行って副室で生成したラジカルの放出により圧縮自己着火燃焼を行うため、燃焼を燃焼室全域で安定化させることができると共に、燃焼室内の混合気層が2層となって燃焼による熱発生を2段階にして熱のピークを下げることができ、従って、圧縮自己着火運転領域の高負荷側でのノッキング発生を防止することができる。
【0037】
請求項8に記載の発明によれば、請求項4〜7の発明の効果に加えて、燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧をピストン冠面の凹部により噴口に指向して流動ガイドできるため、混合気の副室への流入を確実に行わせることができる。
【0038】
請求項9に記載の発明によれば、請求項4〜8の発明の効果に加えて、燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧を順タンブル流によって点火プラグ周りを経由して該点火プラグに近接した噴口に向わせることができるため、点火プラグ周りに滞留する高温の既燃ガスとともに混合気を副室へ良好に供給することができる。
【0039】
この結果、圧縮自己着火運転時は副室内でのラジカルの生成,増殖を促進できる一方、火花点火運転時は点火プラグによる着火火炎を副室に速かに波及させることができ、燃焼の最終了域が該副室内となることを回避して副室がノッキングの発生源となるのを防止することができる。
【0040】
請求項10に記載の発明によれば、圧縮自己着火運転時は圧縮自己着火時期よりも早い時期に点火プラグを点火作動させるため、混合気が副室へ流入する直前で点火エネルギーに相当した分だけ混合気にラジカルを発生させ、このラジカルを火種として副室内で大量のラジカルを生成することが可能となる。
【0041】
このため、圧縮自己着火の正確なトリガー時期を決定することができると共に、高回転時のように燃焼時間の短い運転域でも安定した燃焼を行えるため、圧縮自己着火運転領域を更に拡大することができる。
【0042】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1〜10の発明の効果に加えて、火花点火運転時は吸気行程で燃料噴射弁から燃料を噴射させるため、均一予混合燃焼を実現して出力を確保することができる。
【0043】
請求項12に記載の発明によれば、請求項1〜11の発明の効果に加えて、噴口および副室を断熱構造としてあるため噴口および副室の高温保持性が高められ、ラジカルの生成,増殖を更に促進することができると共に、噴口からの噴出流の冷却損失を小さく抑制することができる。
【0044】
請求項13に記載の発明によれば、請求項1〜12の発明の効果に加えて、副室形状を噴口の中心軸線上に長軸を持つ回転楕円形としてあるため、SV比を小さくして冷却損失を小さくすることができると共に、副室内のラジカルを含んだ高温ガスを噴口からスムーズに噴出させることができて、圧縮自己着火燃焼の反応速度を高めることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0046】
図1,2において、1はシリンダブロック、2はピストン、3はシリンダヘッド、4はこれらシリンダブロック1,ピストン2,およびシリンダヘッド3により形成された燃焼室を示す。
【0047】
シリンダヘッド3は2つの吸気ポート5とこれら吸気ポート5を開閉する吸気バルブ6、およびこれら吸気ポート5,吸気バルブ6と対向的に配置された2つの排気ポート7とこれら排気ポート7を開閉する排気バルブ8を備え、一側の吸気ポート5から吸気して他側の排気ポート7から排気するクロスフローポート構造としてある。
【0048】
シリンダヘッド3には燃焼室4内の略中心位置に臨んで点火プラグ9を設けて、高回転・高負荷運転時には、該点火プラグ9によって火花点火燃焼を行わせるようにしている。
【0049】
また、シリンダヘッド3には燃焼室壁の最も高温領域となる排気バルブ配置側の部位、具体的には前記2つの排気ポート7,7および排気バルブ8,8に囲まれた部位に、燃焼室4よりも容積の小さな副室10と、この副室10の断面積よりも小さな開口面積に形成されて、該副室10と燃焼室4とを連絡する噴口11とを設けてある。
【0050】
これら副室10および噴口11は図3に示すように周壁に鋳鉄層あるいは空気断熱層等の断熱層12を設けた断熱構造としてある。
【0051】
また、副室10は噴口11の中心軸線O上に長軸を持つ回転楕円形に形成してある。
【0052】
この実施形態では燃料噴射弁13を燃焼室4内に臨んで設けて、該燃料噴射弁13により直接燃料を燃焼室4内に噴射する筒内噴射式の機関構造としてある。
【0053】
この燃料噴射弁13は、燃焼室4内の前記噴口11とほぼ対向する吸気弁配置側の側部で2つの吸気弁6,6間の近傍位置に所要の俯角を持って配置してある。
【0054】
前記副室10の噴口11は、この燃料噴射弁13から後述するように圧縮行程で噴射された燃料噴霧が指向する方向とほぼ対向する位置に設けられ、従って、この実施形態では噴口11を燃焼室4内の該噴口11から最も遠い吸気バルブ配置側に向けて形成してある。
【0055】
即ち、噴口11は前記燃焼室4の略中心位置の点火プラグ9に近接して開口し、換言すれば該点火プラグ9は燃料噴射弁13と噴口11との間で該噴口11に近接した位置に設けられる。
【0056】
また、本実施形態ではピストン2の冠面の略吸気弁配置側の半部に、前記圧縮行程で燃料噴射弁13より噴射された燃料噴霧Fをガス流動により適確に前記噴口11に指向して流動ガイドさせるための凹部14を設けてある。
【0057】
一方、吸気系の前記2つの吸気ポート5,5のうちの1つには、圧縮自己着火運転時に吸気行程で燃焼室4内に旋回流の中でも横方向旋回流であるスワールを発生させるガス流動生成手段としてのスワール制御バルブ15を設けてある。
【0058】
このスワール制御バルブ15は圧縮自己着火運転時に全閉作動され、他方の吸気ポート5のみから吸気を行わせることによって新気を燃焼室4の内周面に沿って流動させてスワール流を生成させるもので、場合によってこの他方の吸気ポート5をヘリカルポート構造としてスワール流を強化するようにしてもよい。
【0059】
本実施形態では前記点火プラグ9の点火時期は、火花点火運転領域でのみ最適点火時期(MBT)に設定される。
【0060】
また、燃料噴射弁13は圧縮自己着火運転領域では噴射時期が圧縮行程に設定され、火花点火運転領域では噴射時期が吸気行程に設定される。
【0061】
以上の実施形態の構成によれば、燃焼室4と副室10とを連絡する噴口11は副室断面積よりも小さな開口面積であるため、該副室10は十分な掃気がなされずに既燃ガスが残る温度の高い空間となり、しかも、該副室10は排気バルブ配置側の高温領域にあって壁温も高い空間であるため、圧縮自己着火運転時は圧縮行程で噴口11を通じて副室10内に流入する混合気は燃焼室4内の混合気よりも早く反応してラジカルを多量に発生する。
【0062】
このラジカルの生成による発熱は副室10内の圧力上昇を伴い、この圧力上昇によってラジカルは絞られた噴口11を通過する際に噴流となって燃焼室4内へ吹き出し、このラジカルを含んだ高温ガス噴流により燃焼室4内の混合気を活性化して自己着火燃焼させる。
【0063】
図4は以上のような圧縮自己着火燃焼のプロセスを模式的に示している。
【0064】
図4の(a)は吸気行程終了から圧縮行程への移行時期を示しており、本実施形態では前述のように吸気行程では2つの吸気ポート5,5のうちの一方に設けたスワール制御バルブ15が全閉にされて他方の吸気ポート5のみから吸気が行われて、燃焼室4内にスワール流を生成する。
【0065】
この燃焼室4内のスワール生成により整流されるガス流動は圧縮行程でピストン2の冠面とシリンダヘッド3との間でのスキッシュ作用によって、ピストン2の冠面から点火プラグ9近傍の燃焼室中心方向への上昇流れを形成する。
【0066】
圧縮行程が進むと所定の噴射時期で図4の(b)に示すように燃料噴射弁13から燃料が噴射される。
【0067】
この燃料噴霧Fはピストン2の冠面の凹部14で受けとめられると共にその弧状面に沿って上方へ偏向されて、図4の(c),(d)に示すようにピストン2の上昇と共に凹部14の弧状面に流動ガイドされて噴口11に指向し、前記スワールおよびスキッシュ作用によって該噴口11周りに集中して分布するようになる。
【0068】
このように燃料噴霧Fが噴口11周りに分布すると、ピストン2の圧縮作用と相俟って図4の(e)に示すように燃料噴霧Fの一部が噴口11を通って、高温の既燃ガスが残留した副室10内に流入し、図4の(f)に示すように燃焼室4内の混合気よりも一早く反応してラジカルを多量に発生する。
【0069】
特に本実施形態では燃料噴射弁13の燃料噴射時期を圧縮行程に設定しているため、噴口11周りに濃混合気を分布させてこれを副室10内へ供給できるため、多量のラジカルを発生させることができ、しかも、噴口11および副室10は断熱層12を設けた断熱構造としてあり、かつ、副室10は回転楕円形としてSV比を小さくしてあるため、冷却損失を可及的に小さく抑制できて、ラジカルの生成,増殖を促進することができる。
【0070】
ここで、図9は圧縮自己着火を決める因子である着火遅れ時間をτ1 〜τ3 として圧力,温度に対して示している。
【0071】
着火遅れ時間は高温,高圧ほど短くなって爆発反応が起き易くなるが、ガソリンのようにセタン価の低い燃料では同図に示すように負の温度係数と呼ばれる着火しにくい特定温度領域が存在し、燃焼室の周壁近傍にこれに近い温度領域が分布する傾向にあって、この負の温度係数の存在が自己着火に大きく影響する。
【0072】
一方、前記副室10内と燃焼室4内とでは、ピストン2の圧縮作用による同一圧力履歴の下でも、圧力上昇に対する副室10内の温度上昇はB線で示すように燃焼室4内の温度上昇(A線)よりも高くなり、副室10内ではこの温度が高くなる分、より着火遅れの短い領域へと進行し、例えばある同一の圧力Pa の下では燃焼室4内では着火遅れ時間がτ3 であるのに対して、副室10内では着火遅れ時間がτ1 とより短くなって、副室10内で燃焼室4内よりも一早く自己着火が進行することになる。
【0073】
このようにして副室10内に流入した混合気が燃焼室4内の混合気よりも早く反応してラジカルを多量に発生すると、このラジカルの生成による発熱に伴う圧力上昇で図4の(g)に示すように該副室10内からラジカルを含んだ高温ガスが噴口11を通して燃焼室4内に噴出して、このラジカルを含んだ高温ガス噴流によって燃焼室4内の混合気が反応して自己着火燃焼を発生し、図4の(h)に示すように燃焼室4内の周壁付近でも確実に自己着火を誘起させることができ、特に噴口11は吸気弁配置側に向けて形成してあるため、該噴口11から最も遠い吸気弁配置側の燃焼室周壁の隅々に至るまで確実な圧縮自己着火燃焼を行わせることができる。また、噴口11は前述のように断熱構造としてあるために、噴口11からの噴出流の冷却損失を抑えてラジカルの熱エネルギーの減衰を回避でき、かつ、回転楕円形の副室10の長軸が噴口11の中心軸線上に設定されているため、前記噴出流を燃焼室4内にスムーズに流出させることができる。
【0074】
これを図10により具体的に説明すると、図10は燃焼室4内と副室10内の駆動運転時圧力AP ,BP をそれぞれ時間軸(クランク角度)に対して示しており、燃焼室4内と副室10内とでは噴口11の絞りが存在するため両室内の圧力上昇にずれが生じて、副室10内の方が燃焼室4内の圧力上昇に対して遅れた挙動を示し、噴口11の絞りがきついとその差異は大きくなる。
【0075】
燃焼室4内の圧力ピークは圧縮上死点(TDC)となるが、副室10内ではその圧力ピークがα分遅角側へずれる。
【0076】
このため、膨張行程ではある時期、例えばαt から副室10内の圧力が燃焼室4内の圧力よりも高くなり、これに加えて前述のように副室10内でのラジカルの生成による発熱に伴う圧力上昇があるため、該副室10内の圧力ピーク時期よりも進角側で副室10内からラジカルが燃焼室4内へ噴出して、燃焼室4内の混合気の自己着火を誘起させる。
【0077】
このような噴口11から噴出するラジカルをトリガーとした自己着火燃焼は、燃焼室4内の全域で一斉蜂起的に発生する従来の自己着火燃焼と異なって多段的な熱発生の形態をとる調速燃焼となり、これにより燃焼時の打音発生を防止することができる。
【0078】
また、自己着火のトリガーとなるラジカルを準備できるため、従来、燃焼室内の全域で圧縮自己着火を発生させるために高めていた圧縮比および内部EGR率を下げることができ、この結果、圧縮自己着火運転によるリーン燃焼領域を拡大できると共に火花点火運転領域でのノッキング発生を抑制することができる。
【0079】
しかも、噴口11から噴出するラジカルによって燃焼室4内の混合気を確実に圧縮自己着火燃焼させることができるため、混合気をより稀薄化でき、前記圧縮自己着火運転によってリーン燃焼領域を拡大できることと相俟って、燃費を一段と向上することができる。
【0080】
更に、前述のように副室10内で発生したラジカルをトリガーとして圧縮自己着火燃焼を行わせるため、圧縮自己着火の開始時期を確定できて燃焼を安定化することができる。
【0081】
ここで、前記噴口11からの高温ガス噴流の噴出速度は燃焼室4内の混合気の燃焼反応の進行速度を決める因子となり、これは副室内温度,空燃比,副室容積,噴口絞り等の他に機関回転数に求められる。
【0082】
図11はこの噴出速度と機関回転数との関係を示すグラフで、同図から明らかなように、機関回転数が高くなると実時間において急速な圧縮,膨張がなされて、燃焼室4内から副室10内へのガスの流入速度がこの機関回転数の上昇と共に増し、そして、噴出速度も増すことになるが、前述したように副室10内ではその圧力ピークが圧縮上死点後にずれることに加えて、ラジカルの発生による熱発生に伴う圧力上昇があることから、圧縮上死点後に機関回転数が高いほど調速された急激な噴出が起こり、これにより燃焼室4内の混合気にラジカルを放出して急激に反応進行を促すことができる。
【0083】
従って、圧縮自己着火運転域の機関回転数の高い領域にまで自己着火領域を広げることが可能となる。
【0084】
一方、火花点火運転時、例えば高回転・高負荷時には吸気行程で燃料噴射弁13から燃料を噴射させ、点火プラグ9により最適点火時期に火花点火により燃焼火炎を発生させるため、均一予混合燃焼を実現して全開出力を確保することができる。
【0085】
図5の(a)〜(d)は本発明の第2実施形態における圧縮自己着火燃焼のプロセスを模式的に示すもので、この実施形態では前記第1実施形態における燃料噴射弁13の俯角を小さくすると共に、圧縮行程で噴射された燃料噴霧Fが噴射弁軸線に対して図6に示す吸気ポートによるタンブル流れによって仰角を持って直接的に噴口11を指向し得るように設定してある。
【0086】
また、ピストン2の冠面の凹部14はこの場合燃料の流動ガイド機能はさほど必要ではないため、タンブル流を保存し得るようにピストン冠面の中央部分に略球面状に形成してある。
【0087】
従って、この実施形態にあっても前記第1実施形態とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0088】
前記第1,第2実施形態では何れも圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁13の燃料噴射時期を圧縮行程で1回設定しているが、この燃料噴射時期を圧縮行程の前半と後半とに2回に分けて設定することも可能である。
【0089】
この第3の実施形態のように圧縮自己着火運転時に圧縮行程の前半と後半でそれぞれ燃料噴射弁13から燃料を噴射させることにより、この圧縮行程における短時間での2回の噴射による燃料噴霧で燃焼室4内の混合気層が2層となって、燃焼による熱発生を2段階にして熱のピークを下げることができ、従って、圧縮自己着火運転領域の高負荷側でのノッキング発生を防止することができる。
【0090】
また、前記第1,第2実施形態でも言えることであるが、燃料の圧縮行程噴射によって成層燃焼を実現できるため、混合気の希薄限界を広げることができて燃費を向上することができる。
【0091】
図6は本発明の第4実施形態を示すもので、本実施形態にあっては吸気系に設けられるガス流動生成手段として、吸気行程で燃焼室4内に矢印AT で示すような順タンブル流を生成するタンブル生成手段16を設けてある。
【0092】
具体的には前記吸気ポート5,5は、吸気行程で燃焼室4内に形成される筒内流動としての縦方向旋回流の中でも、前記矢印AT で示すように吸気が燃焼室中心の点火プラグ9の下側を通って排気弁配置側からピストン2の冠面に向い、該ピストン冠面で反転して上方の点火プラグ9に向かう順タンブル流を形成し得るようにしてあって、この順タンブル流AT をピストン冠面の凹部14によって圧縮行程においてもその流動勢力を保存し得るようにしてある。
【0093】
また、この実施形態では吸気ポート5,5内に圧縮自己着火運転時に前記順タンブル流AT を強化する目的で、圧縮自己着火運転時に各吸気ポート5の断面積のほぼ下半部を遮断し、火花点火運転時に開放する部分遮断弁17を設けてあると共に、該部分遮断弁17の下流側に続いて、前記圧縮自己着火運転時における吸気の主流Aを吸気ポート5の燃焼室4に臨む開口部の燃焼室中心側のほぼ半部に指向させる流動ガイド手段18を設けてある。
【0094】
この実施形態では流動ガイド手段18として、吸気ポート5内をほぼ上下に隔成して先端が吸気バルブ6の近くまで延びる隔壁18aで構成した場合を示しているが、図6の仮想線で示すように吸気バルブ6の近傍の吸気ポート上壁より空気を噴射するサブポート18bで構成してもよく、あるいはこれら隔壁18aとサブポート18bとを併設したものであってもよい。
【0095】
この第4実施形態の構成によれば、前記第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる他、燃料噴射弁13から噴射された燃料噴霧を順タンブル流AT によって、点火プラグ9周りを経由して該点火プラグ9に近接した噴口11に向わせることができるため、点火プラグ9周りに滞留する高温の既燃ガスとともに混合気を副室10内へ良好に供給することができる。
【0096】
この結果、圧縮自己着火運転時は副室10内でのラジカルの生成,増殖を促進できる一方、火花点火運転時は点火プラグ9による着火火炎を副室10内へ速かに波及させることができ、燃焼の最終了域が該副室10内となることを回避して副室10がノッキングの発生源となるのを防止することができる。
【0097】
図7は本発明の第5実施形態を示すもので、この第5実施形態にあっては、前記図6に示した第4実施形態の構成において、圧縮自己着火運転時に圧縮自己着火時期よりも早い時期、例えば前記ピストン2の圧縮作用により燃焼室4内の混合気が副室10内へ流入する直前付近で点火プラグ9を点火作動して自己着火を補助するようにしている。
【0098】
従って、この第5実施形態によれば前記第4実施形態の効果に加えて、圧縮自己着火運転時は圧縮自己着火時期よりも早い時期に点火プラグ9を点火作動して点火補助することによって、燃焼室4内の混合気が副室10内へ流入する直前で点火エネルギーに相当した分だけ混合気にラジカルを発生させ、このラジカルを火種として副室10内で大量のラジカルを生成することが可能となる。
【0099】
このため、圧縮自己着火の正確なトリガー時期を決定することができると共に、高回転時のように燃焼時間の短い運転域でも安定した燃焼を行えるため、圧縮自己着火運転領域を更に拡大することができる。
【0100】
図8は本発明の第6実施形態を示すもので、本実施形態にあっては、前記図5に示した第2実施形態の構成において、圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁13の燃料噴射時期を、吸気行程と圧縮行程とに2回設定している。
【0101】
この第6実施形態によれば、圧縮自己着火運転時には吸気行程で図8の(a)に示すように1回目の燃料噴射が行われると、吸気行程から圧縮行程に移行する間に筒内ガス流動によって同図の(b)に示すように燃焼室4内に均一な希薄混合気Faが準備され、圧縮行程でピストン2による圧縮作用でこの希薄混合気Faの一部が同図の(c)に示すように副室10内に流入して活性化される。
【0102】
そして、圧縮行程の所要の時期に同図の(d)に示すように2回目の燃料噴射が行われると、同図の(e)に示すようにこの2回目の燃料噴射により噴口11周りに分布した濃混合気Fbが副室10内に流入し、同図の(f)に示すように該副室10内でのラジカルの生成,増殖がより促進され、副室10内の圧力上昇によってこの副室10内で生成された大量のラジカルを含んだ高温ガス噴流が同図の(g)に示すように燃焼室4内に噴出して自己着火燃焼が行われる。
【0103】
従って、この第6実施形態の構成によれば前記第2実施形態の効果に加えて、吸気行程での1回目の燃料噴射によって燃焼室全域に均一な希薄混合気が準備された状態で、圧縮行程で2回目の燃料噴射を行って副室10内で生成したラジカルの放出により圧縮自己着火燃焼を行うため、燃焼を燃焼室全域で安定化させることができる。
【0104】
また、燃焼室4内の混合気層が2層となって燃焼による熱発生を2段階にして熱のピークを下げることができるため、圧縮自己着火運転領域の高負荷側でのノッキング発生を防止することができる。
【0105】
本実施形態では前述のように図5に示した第2実施形態の構成を基本構成としているが、図1および図6,7に示した実施形態の構成のものに適用して同様の効果を得ることができる。
【0106】
なお、前記各実施形態において副室10の容積は燃焼室4の容積に応じて、ラジカルの生成を良好に行えるようにSV比を勘案して適切に設定される。
【0107】
また、噴口11の開口面積についても副室10の断面積に応じて既燃ガスの閉じ込め作用と、高温ガス噴流の噴出速度が適切に行われるように任意に設定されるもので、従って、噴口数は1つに限られず複数個にしてもよいが、何れにしても火炎がクエンチされるほど小さくあってはならないことは勿論である。
【0108】
また、本発明は前記実施形態に示した筒内噴射式のガソリン内燃機関に限定されるものではなく、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射式のガソリン内燃機関にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を概略的に示す断面説明図。
【図2】本発明の第1実施形態の燃焼室周りの構成を示す概略的平面説明図。
【図3】本発明の第1実施形態の副室の構造を示す断面説明図。
【図4】本発明の第1実施形態の圧縮自己着火運転時における燃焼プロセスを模式的に示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態の圧縮自己着火運転時における燃焼プロセスを模式的に示す説明図。
【図6】本発明の第4実施形態を概略的に示す断面説明図。
【図7】本発明の第5実施形態の圧縮自己着火運転時における点火アシストによるラジカルを含んだ燃料噴霧と混合気の挙動を模式的に示す説明図。
【図8】本発明の第6実施形態の圧縮自己着火運転時における燃焼プロセスを模式的に示す説明図。
【図9】ガソリン燃料の圧縮自己着火反応を決定する温度と圧力との関係を説明するグラフ。
【図10】燃焼室と副室の圧力上昇を説明するグラフ。
【図11】機関回転数と副室からの高温ガスの噴出速度との関係を説明するグラフ。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 ピストン
3 シリンダヘッド
4 燃焼室
5 吸気ポート
6 吸気バルブ
7 排気ポート
8 排気バルブ
9 点火プラグ
10 副室
11 噴口
12 断熱層
13 燃料噴射弁
14 凹部
15 スワール制御バルブ
16 タンブル生成手段

Claims (13)

  1. 火花点火運転時は燃焼室内に設けた点火プラグにより燃焼室内の混合気を火花点火して燃焼させ、圧縮自己着火運転時はピストンの圧縮作用により燃焼室内の混合気を自己着火して燃焼させる圧縮自己着火式ガソリン内燃機関において、燃焼室壁の高温領域となる排気バルブ配置側の部位に、燃焼室よりも容積の小さな副室と、副室断面積よりも小さな開口面積に形成されて該副室と燃焼室とを連絡する噴口とを設け、
    前記噴口を、圧縮自己着火運転時に着火燃焼前の燃料の混合気が圧縮行程で指向する方向とほぼ対向する位置に設け、
    圧縮自己着火運転時には、圧縮行程で前記噴口を通じて副室内に混合気を流入させ、当該混合気を燃焼室内の混合気よりも早く反応させて副室内にラジカルを生成させ、
    圧縮行程中の圧力上昇によって、前記副室内から噴口を通じてラジカルを含む高温ガス噴流を燃焼室内へ吹き出させ、当該高温ガス噴流により燃焼室内の混合気を活性化させて自己着火燃焼させるようにしたことを特徴とする圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  2. 噴口を、燃焼室内の該噴口から最も遠い吸気バルブ配置側へ向けて形成したことを特徴とする請求項1に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  3. 吸気系に、吸気行程で燃焼室内に旋回流を発生させるガス流動生成手段を設けたことを特徴とする請求項1,2に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  4. 燃焼室内に、該燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  5. 圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、圧縮行程に設定したことを特徴とする請求項4に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  6. 圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、圧縮行程の前半と後半とに2回設定したことを特徴とする請求項4に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  7. 圧縮自己着火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、吸気行程と圧縮行程とに2回設定したことを特徴とする請求項4に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  8. ピストンの冠面には、圧縮自己着火運転時に燃料噴射弁より噴射された燃料噴霧を、ピストンの圧縮作用により噴口に指向して流動ガイドする凹部を設けたことを特徴とする請求項4〜7に記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  9. 燃料噴射弁を二つの吸気弁間の近傍位置で燃焼室内に臨ませて設けると共に、点火プラグを燃焼室内の略中心位置に臨ませて設け、前記噴口を点火プラグに近接して該点火プラグの排気バルブ配置側となる位置に開口させ、かつ、吸気系にはガス流動生成手段として吸気行程で燃焼室内に順タンブル流を生成するタンブル生成手段を設けたことを特徴とする請求項4〜8の何れかに記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  10. 火花点火運転時は燃焼室内に設けた点火プラグにより燃焼室内の混合気を火花点火して燃焼させ、圧縮自己着火運転時はピストンの圧縮作用により燃焼室内の混合気を自己着火して燃焼させる圧縮自己着火式ガソリン内燃機関において、燃焼室壁の高温領域となる排気バルブ配置側の部位に、燃焼室よりも容積の小さな副室と、副室断面積よりも小さな開口面積に形成されて該副室と燃焼室とを連絡する噴口とを設け、
    前記噴口を、圧縮自己着火運転時に着火燃焼前の燃料の混合気が圧縮行程で指向する方向とほぼ対向する位置に設け、
    燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を二つの吸気弁間の近傍位置で当該燃焼室内に臨ませて設けると共に、点火プラグを燃焼室内の略中心位置に臨ませて設け、前記噴口を点火プラグに近接して該点火プラグの排気バルブ配置側となる位置に開口させ、かつ、吸気系にはガス流動生成手段として吸気行程で燃焼室内に順タンブル流を生成するタンブル生成手段を設け、
    圧縮自己着火運転時には、圧縮行程で前記噴口を通じて副室内に混合気を流入させるとともに、圧縮自己着火時期よりも早い時期に前記点火プラグを点火作動させて燃焼室内の混合気が副室内へ流入する直前で点火エネルギに相当した分だけ混合気ラジカルを発生させ、この混合気ラジカルを火種として副室内にラジカルを生成させ、
    圧縮行程中の圧力上昇によって、前記副室内から噴口を通じてラジカルを含む高温ガス噴流を燃焼室内へ吹き出させ、当該高温ガス噴流により燃焼室内の混合気を活性化させて自己着火燃焼させるようにしたことを特徴とする圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  11. 火花点火運転時における燃料噴射弁の噴射時期を、吸気行程に設定したことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  12. 噴口および副室を断熱構造としたことを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
  13. 副室を噴口の中心軸線上に長軸を持つ回転楕円形に形成し、噴口断面積は副室最大断面積より小さくしたことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の圧縮自己着火式ガソリン内燃機関。
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