JP3284671B2 - ピストンに副室を備えた副室式エンジン - Google Patents

ピストンに副室を備えた副室式エンジン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,シリンダ側の主
室,ピストン側の副室及び副室に燃料を噴射する燃料噴
射ノズルを有するピストンに副室を備えた副室式エンジ
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来,エンジンの燃焼改善を目的として
渦流室を持つ渦流室式エンジンが開発されている。この
ような渦流室式エンジンは,シリンダヘッドに形成した
渦流室,該渦流室とシリンダ側に形成した主室とを連通
する連絡孔及び渦流室内に配置した燃料噴射ノズルを有
しており,連絡孔を通じて渦流室に流入する渦流によっ
て渦流室内に噴射された燃料とで混合気を形成させてい
る。
【0003】また,実開平3−179127号公報に
は,直接噴射式ディーゼルエンジンの直接燃焼室構造が
開示されている。該直接燃焼室構造は,中心開口及び複
数個の周辺開口が,ピストンの頂面の中心及び周辺部に
それぞれ形成され,直接燃焼室が,前記中心開口から奥
へ向かって半径方向へ広がるように,ピストンの内部に
形成され,各周辺開口が連絡孔を会して直接燃焼室の周
辺奥部へ連通しているものである。
【0004】また,内燃機関の燃焼室構造の一例とし
て,特開昭63−176621号公報に開示されたもの
がある。該燃焼室構造は,ピストンの運動方向に対して
傾きを有し,ピストン上面とピストン燃焼室とを連通す
る少なくとも1つの貫通孔及び/又は溝状スリット付近
をセラミック製部材から構成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで,副室式ディ
ーゼルエンジンは,直噴式ディーゼルエンジンに比べて
熱効率は劣るが,NOX の生成量が少なくなるという長
所を有している。副室式エンジンでは,スワールチャン
バタイプのもので,副室容積比を52〜58%,副室連
絡孔面積比を1.2〜1.6%程度で,単噴孔ノズルで
燃焼の最適化を図っている。副室式燃焼室の燃料噴霧と
空気との混合は,圧縮行程で圧縮された空気が絞りとな
る副室連絡孔を通ることにより,空気の流速が増し,こ
れが混合気生成エネルギーとなり,燃料噴霧との混合を
促進していると考えられている。また,膨張行程では副
室での燃焼と副室連絡孔の絞り効果により,燃焼ガスの
副室から主室への噴出エネルギーとなり,主室での燃焼
を促進している。
【0006】また,主室と副室を連通する連絡孔を副室
壁面の接線方向に角度を持たせて設けることにより,副
室内の空気流動が活発化し,更に着火後,主室への火炎
の噴出エネルギーの減衰がなく,短時間に主室最外周に
火炎が到達するため,空気利用率が向上し,有害ガスの
少ないクリーンな燃焼が可能で出力も向上する。また,
傾斜した副連絡孔を有する副室の場合には,主室内の吸
気流入スワールの影響を考慮しない条件では,流入時と
着火後の噴出時の通過する空気の速度が同じであり,噴
出エネルギーを高めるために連絡孔の口径を絞った場
合,同時に副室内で発生する空気流動即ちスワールも強
くなる。
【0007】ところが,副室に流入するときの空気流動
が強過ぎる場合には,次のような悪影響が発生する。即
ち,まず,副室内で生じるスワール流はオーバースワー
ルの状態となり,NOX の排出量が増加することにな
る。また,副室内の空気流動の速度が増加することによ
り,副室壁面の熱伝導率が上昇し,壁面からの放熱が増
加することにより,出力が低下する。更に,副室内の空
気流動の速度が増加することにより,副室壁面の温度が
上昇するため,圧縮温度が上昇し,着火遅れ時間が短縮
され,燃焼が悪化する。上記のことより,副室から主室
へ噴出する火炎のペネトレーションの増加と,副室内の
燃焼の悪化は,背反する関係になり,副連絡孔の径は両
者がバランスする寸法となり,最適な値はとれない。
【0008】また,エンジンを副室式燃焼室に構成した
場合に,副室式燃焼室の燃焼スピードを直接噴射式燃焼
室の燃焼スピードと同程度まで速くするには,副室と主
室とを連通する連絡孔の通路断面積を拡大することが必
要である。ところが,連絡孔の通路断面積を大きくする
と,副室から主室へ流出する噴出スピードが低下し,主
室での燃焼が十分に行われない。
【0009】また,渦流室式エンジンでは,副室と主室
とを連通する連絡孔が小さいので,該連絡孔による絞り
損失が発生し,エンジン出力を低減する原因になる。一
般に,主室と副室とを連通する連絡孔は,シリンダ中心
部或いは外周部の1つの部位のいずれかに設けられてい
るので,噴流の到達しなければならない距離が長くな
り,主室での空気との混合が不十分になり,HC,スモ
ークの発生原因になる。更に,連絡孔は絞られて傾斜状
態に形成されているので,吸気ポートを通じて流入した
吸入空気はシリンダ内でスワール流を形成しているが,
該スワール流が連絡孔を通じて副室に流入する時に,副
室内にそのスワール流のエネルギーを十分に活かすこと
ができない。
【0010】そこで,本出願人は,上記の課題を解決す
るため,副室式エンジンを開発して特願平5−4617
5号(特開平6−241049号公報参照)として先に
出願をした。該副室式エンジンは,燃料噴射ノズルを副
燃焼室の中央に配置し,多噴孔から副燃焼室の周壁へ向
かって燃料を噴射し,連絡孔を副燃焼室中心から偏心し
た周方向に隔置して複数形成し,シリンダ軸に対して前
記副燃焼室への流入方向が前記主燃焼室のスワール流と
逆方向に周方向斜めに形成し,前記副燃焼室から前記主
燃焼室への噴き出し方向が前記主燃焼室のスワール流に
順流方向に形成されている。上記副室式エンジンは,副
燃焼室内でのスワール流を抑制して適正化し,副燃焼室
から外部への熱放散を防止し,連絡孔の絞り損失を低減
し,燃料リッチで燃焼させてNOX の発生を抑制し,ま
た,副燃焼室をシリンダ中央に配置して副燃焼室から連
絡孔を通じて主燃焼室へ噴出する噴流のシリンダ周辺ま
での到達距離を短くでき,主燃焼室に存在するスワール
流を利用して新気との混合を促進し,燃焼期間を短縮し
て性能を向上させ,スモーク,HC,NOX 等の発生を
抑制するものである。
【0011】この発明の目的は,ピストンに副室を形成
し,上死点近傍でピストンの中央連絡孔に突入する燃料
噴射ノズルによる中央連絡孔の絞り期間を適正化し,副
室での燃焼期間を最適化してNOX の発生を抑制して性
能をアップし,特に,主室と副室との通路面積を適正化
し,副室及び主室での燃焼を良好にしてNOX ,スモー
ク,HC等の発生を抑制し,空気利用率を向上させ,主
室での燃焼期間を短縮して熱効率を向上させて燃費を低
減するピストンに副室を備えた副室式エンジンを提供す
ることである。
【0012】この発明の別の目的は,ピストンに副室を
形成し,上死点近傍でピストンの中央連絡孔に突入する
燃料噴射ノズルを設け,中央連絡孔の外側に周方向に形
成した連絡孔をシリンダ軸に対して斜めに形成し,特
に,ピストン頂面をすり鉢状に形成してピストン上死点
でのシリンダ外周の空気量を低減し,連絡孔からの混合
気の到達時間に影響されずに主室での燃焼期間を短縮し
て熱効率を向上させるピストンに副室を備えた副室式エ
ンジンを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は,ピストンの
ほぼ中心軸上に設けた副室,シリンダ側に形成した主
室,前記副室の中央部の前記ピストンに形成した中央連
絡孔,該中央連絡孔に突入して前記副室内に燃料を噴射
する燃料噴射ノズル,及び前記中央連絡孔の外周の周方
向に隔置してシリンダ軸に対して斜めに前記ピストンに
形成されている前記主室と前記副室とを連通する連絡孔
を有し,前記主室と前記副室とを連通する通路面積につ
いて,前記中央連絡孔に前記燃料噴射ノズルが突入状態
で形成される環状通路の通路面積がピストン頂面面積の
3%以下に設定され且つ前記連絡孔のトータルの通路面
積がピストン頂面面積の1%〜4%に設定されているこ
とから成るピストンに副室を備えた副室式エンジンに関
する。
【0014】また,この発明は,ピストンのほぼ中心軸
上に設けた副室,ピストン頂面がその中央部が凹んだ円
錐状に形成してピストン上死点でのシリンダ外周の空気
量を低減できるシリンダ側に形成した主室,前記副室の
中央部の前記ピストンに形成した中央連絡孔,該中央連
絡孔に突入して前記副室内に燃料を噴射する燃料噴射ノ
ズル,及び前記中央連絡孔の外周の周方向に隔置してシ
リンダ軸に対して斜めに前記ピストンに形成されている
前記主室と前記副室とを連通する連絡孔を有することか
ら成るピストンに副室を備えた副室式エンジンに関す
る。
【0015】この副室式エンジンは,上記のように,前
記中央連絡孔に前記燃料噴射ノズルが突入状態で形成さ
れる環状通路の通路面積は,ピストン頂面面積の3%以
下に設定され,また,前記連絡孔のトータルの通路面積
は,ピストン頂面面積の1%〜4%に設定されているの
で,前記主室と前記副室との通路面積を最適状態に設定
でき,前記副室及び前記主室での燃焼を良好にしてNO
X ,スモーク,HC等の発生を抑制し,空気利用率を向
上させ,前記主室での燃焼期間を短縮して熱効率を向上
させ,燃費を低減することができる。
【0016】また,この副室式エンジンは,上死点近傍
でピストンの中央連絡孔に突入する燃料噴射ノズルを設
け,中央連絡孔の外側に周方向に形成した連絡孔をシリ
ンダ軸に対して斜めに形成し,更に,ピストン頂面をす
り鉢状に形成してピストン上死点でのシリンダ外周の空
気量を低減したので,前記連絡孔からの混合気の到達時
間に影響されずに,前記主室での燃焼期間を短縮して熱
効率を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
によるピストンに副室を備えた副室式エンジンの実施例
を説明する。図1はこの発明によるピストンに副室を備
えた副室式エンジンの一実施例を示す断面図である。
【0018】この副室式エンジンは,アルミニウム,ア
ルミニウム合金,鋳鉄等の金属材料から成るシリンダブ
ロック6,シリンダブロック6にガスケット32を介在
して固定されたアルミニウム合金等の金属材料から成る
シリンダヘッド5を有している。シリンダブロック6に
はエンジンの気筒数に対応する孔部4が形成され,孔部
4にはシリンダ3を形成するシリンダライナ18が嵌合
されている。また,シリンダヘッド5には,各シリンダ
3に対応して吸気ポート13と排気ポート17が形成さ
れ,吸気ポート13のバルブシート21には吸気弁16
が配置され,排気ポート17のバルブシート21には排
気弁26が配置されている。シリンダライナ18に形成
されるシリンダ3には,ピストン8が往復運動するよう
に組み込まれている。主室1は,シリンダヘッド下面1
4とピストン頂面12との間のシリンダ3側に形成され
ている。また,副室2は,ピストンヘッドに形成された
キャビティ15によって形成されている。多噴孔11を
備えた燃料噴射ノズル10は,シリンダヘッド5に取り
付けられている。
【0019】この副室式エンジンは,アルコール燃料,
軽油等の液体燃料を燃料噴射ノズル10から副室2内に
噴射して燃焼させるディーゼルエンジンである。ピスト
ン8に形成した副室2の容積比については,圧縮端にお
ける全体燃焼室容積に対する副室2の容積比は,例え
ば,40%〜65%に設定され,従って,主室1の容積
比は,35%〜60%に設定されている。ピストン8
は,図示していないが,耐熱性に富んだ窒化ケイ素,炭
化ケイ素等のセラミックス,或いはセラミックウィスカ
ーと金属との複合材料,或いはNi−Cr系の耐熱金属
によって製作され,遮熱構造に構成することができる。
【0020】この副室式エンジンは,主室1と副室2と
を連通するため,副室2の中心から離れた周方向に互い
に隔置して複数個の連絡孔9及び副室中央に形成された
中央連絡孔7が形成されている。中央連絡孔7には,ピ
ストン上死点近傍で燃料噴射ノズル10が突入できるよ
うに形成されている。そして,燃料噴射ノズル10の外
周面と中央連絡孔7との間には,僅かな環状隙間22が
形成される。燃料噴射ノズル10は,ピストン8の圧縮
上死点近傍で中央連絡孔7に突入し,その時,多噴孔1
1より副室2内に燃料が噴射される。連絡孔9は,主室
1側の開口部19から副室2側の開口部20へシリンダ
軸に対して斜めに傾斜した方向にピストン8に形成され
ている。
【0021】この副室式エンジンは,ピストン8のほぼ
中心軸上に副室2を形成し,副室2の中央部に中央連絡
孔7を形成し,中央連絡孔7に燃料噴射ノズル10が突
入して副室2内に燃料を噴射するものであり,中央連絡
孔7は燃料噴射ノズル10の突入によって環状通路が形
成されて中央連絡孔7の通路面積が絞られるが,その絞
り期間が上死点前30°〜5°から上死点後5°〜30
°に設定されている。中央連絡孔7が燃料噴射ノズル1
0の突入して通路面積が絞られることにより,中央連絡
孔7の外側に設けられた連絡孔9の通路面積と中央連絡
孔7の通路面積のトータルの通路面積が最適値に設定さ
れる必要がある。しかるに,燃料噴射ノズル10が副室
2内に燃料を噴射し,副室2内で混合気形成を行うた
め,燃料噴射ノズル10は中央連絡孔7を貫通して副室
2に突き出すようにシリンダヘッド5に取り付けられ,
そのため,副室2での燃焼初期は燃料噴射ノズル10は
中央連絡孔7を絞る位置にある。この副室式エンジンで
は,連絡孔通路面積を絞ることは,燃焼後,ある期間保
持することが性能上必要であり,それは燃料噴射ノズル
10が中央連絡孔7に突き出している期間でコントロー
ルすることができる。燃料噴射ノズル10の中央連絡孔
7への突出し量の最適値は,本来大きい方がよいが,燃
料噴射ノズル10の耐熱性に限界がある。
【0022】図2において,燃料噴射ノズル10の副室
2への突出し量と性能の関係が示されている。図2で
は,横軸に圧縮上死点後のクランク角度が示されてお
り,縦軸に性能割合(%)が示されている。性能のピー
クは,燃料噴射ノズル10が中央連絡孔7を閉鎖してい
るクランク角度が30°前後であり,それ以上の期間,
燃料噴射ノズル10が中央連絡孔7に突き出している
と,性能は低下する。しかるに,中央連絡孔7の閉鎖期
間が長くなると,圧縮行程時に主室1から副室2へ空気
が流入する時に,通路面積が小さい期間が長くなり,ポ
ンピング損失が発生する。また,副室2内での燃料噴射
ノズル10の滞留時間が長くなると,燃料噴射ノズル1
0を通じて熱エネルギーの放熱量が増大し,しかも燃料
噴射ノズル10の耐久性にも問題が発生する。
【0023】また,図3において,クランク角度に対す
る副室2から連絡孔9を通じて主室1へ噴き出される混
合気の噴出量割合(%)が示されている。図3では,横
軸に圧縮上死点後のクランク角が示されており,縦軸に
連絡孔9からの混合気の噴出量が示されている。燃焼の
点から考慮すると,図3から分かるように,副室2から
連絡孔9を通じて主室1への噴き出しは,クランク角度
が25°でほぼ完了しており,それ以上のクランク角度
では連絡孔面積が性能に及ぼす影響は小さいものとな
る。従って,以上のことより,この副室式エンジンで
は,燃料噴射ノズル10の中央連絡孔7への突出し量の
最適値,即ち,燃料噴射ノズル10が中央連絡孔7を絞
っている期限は,上死点後5°〜30°であることにな
る。従って,燃料噴射ノズル10は,中央連絡孔7に上
死点前30°〜5°から突入し,上死点後5°〜30°
で中央連絡孔7から離れることになる。
【0024】次に,図1及び図4を参照して,この副室
式エンジンにおける連絡孔の主室側出口位置に対する性
能について説明する。この副室式エンジンは,燃料噴射
ノズル10が中央連絡孔7を絞り期限を考慮することな
く,連絡孔9の主室側出口位置を適正化した点に関する
ものである。この副室式エンジンは,ピストン8のほぼ
中心軸上に副室2を形成し,シリンダ3側に主室1を形
成し,副室2の中央部のピストン8に中央連絡孔7を形
成し,中央連絡孔7に突入して多噴孔11から副室2内
に燃料を噴射する燃料噴射ノズル10をシリンダヘッド
5に取り付け,更に,主室1と副室2とを連通する連絡
孔9をピストン8に形成されている。この発明による副
室式エンジンでは,特に,連絡孔9は中央連絡孔7の外
周の周方向に隔置してシリンダ軸に対して斜めに形成さ
れ,主室側開口部19がピストン直径の30%〜70%
の位置に設定されていることである。
【0025】図4には,横軸にピストン直径に対する連
絡孔9の開口部19の位置の割合(%)を示し,縦軸左
側に連絡孔9の開口部19の外側位置に存在する空気割
合(%)を示し,縦軸右側に連絡孔9の開口部19から
噴出した混合気のシリンダ壁面までに到達する所要時間
としての時間割合(%)を示している。曲線Aは,ピス
トン直径に対する連絡孔9の開口部19の位置割合
(%)に対する空気割合(%)を示している。位置割合
が0%の位置で空気割合が100%になり,位置割合が
100%の位置で空気割合が0%になる。また,曲線T
は,ピストン直径に対する連絡孔9の開口部19の位置
割合(%)に対する連絡孔9を通って主室1へ噴出した
混合気がシリンダ壁面に到達する時間割合(%)を示し
ている。位置割合が0%の位置で到達時間が0即ち時間
割合が0%になり,位置割合が100%の位置で到達時
間が最も長くなり,空気割合が100%になる。
【0026】この副室式エンジンは,連絡孔9の開口部
19を外周に配置するほど,連絡孔9から噴出した混合
気がシリンダ壁面に到達する時間は短くなり,主室1で
の混合気の生成と燃焼とは短時間で行われるが,開口部
19がピストン外周に位置すればするほど,開口部19
の外側にある空気の質量は低減する。このことから,こ
の副室式エンジンは,性能テストでは,曲線Pに示すよ
うに,30%〜70%のところに設定することが好まし
いことが分かる。
【0027】次に,図5を参照して,この発明による副
室式エンジンの実施例を説明する。図5はこの副室式エ
ンジンの実施例において,ピストン頂面面積に対する中
央連絡孔7と連絡孔9の通路面積の面積割合(%)にお
ける出力割合(%)を示すグラフである。この実施例
は,燃料噴射ノズル10が中央連絡孔7を絞り期限を考
慮することなく,中央連絡孔7と連絡孔9の面積割合を
適正化した点に特徴を有する。
【0028】この副室式エンジンは,ピストン8のほぼ
中心軸上に副室2を形成し,シリンダ3側に主室1を形
成し,副室2の中央部のピストン8に中央連絡孔7を形
成し,中央連絡孔7に突入して多噴孔11から副室2内
に燃料を噴射する燃料噴射ノズル10をシリンダヘッド
5に取り付け,更に,主室1と副室2とを連通する連絡
孔9がピストン8に形成されている。ピストン8が上死
点近傍の時,中央連絡孔7には燃料噴射ノズル10が挿
入され,中央連絡孔7の通路はほぼ閉鎖状態になってい
るが,燃料噴射ノズル10のピストン8に対する干渉を
避けるため,燃料噴射ノズル10の外周面と中央連絡孔
7との間には,僅かな環状隙間22が形成されている。
【0029】図5における曲線TSは,ピストン頂面面
積に対する中央連絡孔7の通路面積の面積割合(%)に
おける出力割合(%)を示す。ピストン上死点近傍にお
いて中央連絡孔7と燃料噴射ノズル10とで形成される
環状隙間22は,ピストン8の往復運動によって決まる
が,3%以下であることが,エンジン出力を低減させず
に好ましいものである。また,図5における曲線CS
は,ピストン頂面面積に対する連絡孔9の通路面積の面
積割合(%)における出力割合(%)を示す。中央連絡
孔7の外側の周方向には複数の連絡孔9が形成されてお
り,エンジン出力を低減させずに好ましい面積割合は1
%〜4%である。
【0030】従って,この発明による副室式エンジン
は,特に,中央連絡孔7に燃料噴射ノズル10が突入状
態で形成される環状通路の通路面積をピストン頂面面積
の3%以下に設定し,しかも連絡孔9のトータルの通路
面積をピストン頂面面積の1%〜4%に設定することが
出力を向上させる点で好ましいことが分かる。
【0031】次に,図6及び図7を参照して,この発明
による副室式エンジンの別の実施例を説明する。図6は
この発明による副室式エンジンの別の実施例を示す断面
図,及び図7は図6の副室式エンジンにおける連絡孔の
主室側出口位置に対する性能を示すグラフである。図7
には,横軸にピストン直径に対する連絡孔9の開口部1
9の位置の割合(%)を示し,縦軸左側に連絡孔9の開
口部19の外側位置に存在する空気割合(%)を示し,
更に,縦軸右側に連絡孔9の開口部19から噴出した混
合気のシリンダ壁面までに到達する所要時間としての時
間割合(%)を示している。この実施例は,ピストンの
ピストン上面を円錐状に形成した以外は,図1に示す実
施例と同一の構成を有しているものであるので,同一の
部品には同一の符号を付し,重複する説明を省略する。
【0032】この副室式エンジンでは,ピストン25の
ほぼ中心軸上に副室2を形成し,シリンダ3側に主室1
を形成し,副室2の中央部のピストン25に中央連絡孔
7に形成し,中央連絡孔7に突入して多噴孔11から副
室2内に燃料を噴射する燃料噴射ノズル10をシリンダ
ヘッド5に取り付け,更に,主室1と副室2とを連通す
る連絡孔9をピストン25に形成している。この副室式
エンジンにおいて,特に,ピストン頂面23がその中央
部が凹んだ円錐状に形成され,ピストン上死点でのシリ
ンダ外周の空気量を低減できるシリンダ3側に主室1を
形成したことである。曲線A,曲線T及び曲線Pについ
ては,ピストン頂面12が平らな面に形成された副室式
エンジンのものであり,図4に示すものと同一である。
【0033】ピストン25について,曲線TAは,ピス
トン直径に対する連絡孔9の開口部19の位置割合
(%)に対する空気割合(%)を示している。即ち,位
置割合が0%の位置で空気割合が100%になり,位置
割合が100%の位置で空気割合が0%になるが,途中
の位置割合が50%の位置で空気割合は急激に低下して
いる。曲線TPは,ピストン頂面23をその中央部が凹
んだ円錐状に形成し,主室1を円錐状に形成した場合の
性能を示している。この実施例では,連絡孔9の開口部
19が位置する付近の空気量が多く,従って,連絡孔9
を通じて主室1に噴き出される噴流がシリンダ壁面へ到
達する所要時間に影響されずに,燃焼を短期間に完結で
き,性能を向上させることができる。
【0034】更に,この副室式エンジンは,上記の構成
に加えて,次のように構成することもできる。連絡孔9
は,シリンダ軸に対して主室1側に形成されるスワール
流S(図2)の方向と逆方向に周方向斜めに形成され,
副室2から主室1への噴き出し方向が主室1内のスワー
ル流Sに順流になる方向に形成することができる。吸入
空気が主室側開口部19から連絡孔9及び副室側開口部
20を通じて副室2へ流入することによって,吸気ポー
ト13から主室1に流入して形成されるスワール流Sの
方向に対して逆方向のスワール流CSが副室2内に形成
され,次いで,噴射燃料が燃焼して燃焼ガスが副室2か
ら主室1への噴き出される方向は主室1内即ちシリンダ
3に残留している吸気スワールに順流になる方向とな
る。
【0035】この副室式エンジンは,燃焼室の一部を副
室2に構成することによって,副室2で初期燃焼即ち一
次燃焼を高当量比即ち燃料リッチで行わせ,NOX の発
生を低減することができ,連絡孔9を複数設けて連絡孔
通路面積を大きくして絞り損失を低減し,熱効率を向上
できる。また,副室2から主室1への噴出エネルギーは
連絡孔9が主室1の壁面までの距離が短く,周辺まで短
期に噴出し,噴流のペネトレーションが良好になり,主
室1の新気と噴流との混合が促進して二次燃焼即ち再燃
焼を行わせることができる。しかも,連絡孔9の通路面
積をトータルとして大きくでき且つ主室1に存在する新
気と副室2からの噴流との混合を促進するため,連絡孔
9をシリンダ軸の中央から隔置した周方向に形成してシ
リンダ3の壁面への到達距離を短くして連絡孔9から噴
出される噴流によって主室1に存在する吸気スワールの
空気と良好に且つ短期間に混合を行わせることができ,
HC,スモーク,NOX 等の発生を低減する。
【0036】この副室式エンジンでは,副室2内でのス
ワール流は主室1内のスワール流と逆方向に発生し,副
室2からの噴出流は順流方向になり,しかも,連絡孔9
とシリンダ壁面との距離が短く,連絡孔9からの噴流の
到達距離が短く,燃焼スピードが早く,効率が向上す
る。また,副室2からの噴流の到達距離が短くて済むた
め,連絡孔9を複数形成してその通路面積を大きく形成
でき,しぼり損失を低減でき効率を向上できる。更に,
複数の連絡孔9を設けることによって,1つの連絡孔9
から噴出する火炎,未燃混合気等の燃焼ガスが受け持つ
主室1の範囲は狭くなり,新気との混合が促進され,燃
焼スピードが短くなる。
【0037】この副室式エンジンでは,副室2から連絡
孔9を通じて吹き出す噴流が主室1のシリンダ内に存在
するスワール流と順流であるため,主室1に残存する吸
気スワールのエネルギーを活かすことができ,主室1内
での燃焼火炎及び未燃混合気と新気との混合が促進され
良好になる。即ち,吸気ポート13からシリンダ3内即
ち主室1に流入して形成されるスワール流はピストン上
昇によって最初は連絡孔9と中央連絡孔7から吸入空気
は副室2に流入するが,燃料噴射ノズル10が中央連絡
孔7に突入してシリンダ3内の吸入空気が圧縮される
と,その圧縮空気は連絡孔9から最後の押し込みでベク
トル流として副室2内に流入して副室2内に逆方向のス
ワール流を形成する。そこで,燃料噴射ノズル10の多
噴孔11からアルコール燃料,軽油等の液体燃料が前記
副室内に噴射され,副室2内で燃料リッチで燃焼し,N
X の発生を抑制する。
【0038】次いで,副室2内で燃焼火炎は膨張して連
絡孔9を通じて主室1へ噴出し,連絡孔9はシリンダ3
内の残留吸気スワール流に順流方向であるので,燃焼火
炎と未燃混合気とはシリンダ3内の3割程度残っている
スワール流を有効に利用してそのスワール流に乗るよう
に噴き出され,燃焼火炎と未燃混合気は主室1内に存在
する新気と混合を促進して燃焼スピードをアップする。
従って,主室1でのHC,スモーク等の発生を抑制して
燃焼を完結し,熱効率を向上でき,燃費を低減できる。
【0039】
【発明の効果】この発明による副室式エンジンは,上記
のように,ピストンに副室を形成し,上死点近傍でピス
トンの中央連絡孔に突入する燃料噴射ノズルによる中央
連絡孔の絞り期間を適正に設定し,主室と副室との通路
面積について中央連絡孔に前記燃料噴射ノズルが突入状
態で形成される環状通路の通路面積をピストン頂面面積
の3%以下に設定し,前記連絡孔のトータルの通路面積
をピストン頂面面積の1%〜4%に設定したので,副室
及び主室での燃焼を良好にしてNOX ,スモーク,HC
等の発生を抑制し,空気利用率を向上させ,主室での燃
焼期間を短縮して熱効率を向上させて燃費を低減するこ
とができる。
【0040】また,この発明による副室式エンジンは,
ピストン頂面をすり鉢状に形成してピストン上死点での
シリンダ外周の空気量を低減したので,連絡孔からの混
合気の到達時間に影響されずに主室での燃焼期間を短縮
して熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるピストンに副室を備えた副室式
エンジンの一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の副室式エンジンの燃料噴射ノズルの副室
への突出し量と性能の関係を示すグラフである。
【図3】図1の副室式エンジンのクランク角度に対する
連絡孔から主室への混合気の噴出量を示すグラフであ
る。
【図4】副室式エンジンにおける連絡孔の主室側出口位
置に対する性能を示すグラフである。
【図5】この発明による副室式エンジンの実施例におけ
るピストン頂面面積に対する中央連絡孔と連絡孔の通路
面積の面積割合における出力割合を示すグラフである。
【図6】図6はこの発明による副室式エンジンの別の実
施例を示す断面図である。
【図7】図6の副室式エンジンにおける連絡孔の主室側
出口位置に対する性能を示すグラフである。
【符号の説明】
1 主室 2 副室 3 シリンダ 5 シリンダヘッド 6 シリンダブロック 7 中央連絡孔 8,25 ピストン 9 連絡孔 10 燃料噴射ノズル 11 多噴孔 12,23 ピストン頂面 19 連絡孔の主室側開口部 22 環状隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02B 23/06 F02F 3/26 F02B 19/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンのほぼ中心軸上に設けた副室,
    シリンダ側に形成した主室,前記副室の中央部の前記ピ
    ストンに形成した中央連絡孔,該中央連絡孔に突入して
    前記副室内に燃料を噴射する燃料噴射ノズル,及び前記
    中央連絡孔の外周の周方向に隔置してシリンダ軸に対し
    て斜めに前記ピストンに形成されている前記主室と前記
    副室とを連通する連絡孔を有し,前記主室と前記副室と
    を連通する通路面積について,前記中央連絡孔に前記燃
    料噴射ノズルが突入状態で形成される環状通路の通路面
    ピストン頂面面積の3%以下に設定され且つ前記連
    絡孔のトータルの通路面積ピストン頂面面積の1%〜
    4%に設定されていることから成るピストンに副室を備
    えた副室式エンジン。
  2. 【請求項2】 ピストンのほぼ中心軸上に設けた副室,
    ピストン頂面がその中央部が凹んだ円錐状に形成してピ
    ストン上死点でのシリンダ外周の空気量を低減できるシ
    リンダ側に形成した主室,前記副室の中央部の前記ピス
    トンに形成した中央連絡孔,該中央連絡孔に突入して前
    記副室内に燃料を噴射する燃料噴射ノズル,及び前記中
    央連絡孔の外周の周方向に隔置してシリンダ軸に対して
    斜めに前記ピストンに形成されている前記主室と前記副
    室とを連通する連絡孔を有することから成るピストンに
    副室を備えた副室式エンジン。
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