JP3848545B2 - 異種金属含有金属酸化物粒子、その製造方法および用途 - Google Patents
異種金属含有金属酸化物粒子、その製造方法および用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異種金属を添加することによって熱線遮蔽性等の特性を付与してなる金属酸化物粒子において前記特性に優れる金属酸化物系粒子と、その製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
Sn含有酸化インジウム(ITO)、Sb含有酸化スズ(ATO)、Al含有酸化亜鉛などは白色導電性粒子として知られている。これらの金属酸化物粒子は、上記Sn,Sb,Al等の異種金属を0.1〜20%含有するとき、その作り方により、可視光の透過性に優れた熱線遮蔽性剤となる場合がある。これら異種金属添加金属酸化物粒子は、例えば、酸化インジウム系、酸化スズ系では、主成分となる金属と異種金属の各化合物(塩化物、硝酸塩等)をアルカリで加水分解することにより水酸化物の共沈体を得て、これを高温で焼成することにより得られる。
【0003】
ところが、Al,In等の異種金属を含有する酸化亜鉛(ZnO)は、上述の方法で作った場合、導電性はあるが、熱線遮蔽性能はないか、あっても実用的なレベルに達しない。これに対し、本発明者らが開発した製造方法(特開平8−253317号公報参照)によれば、熱線遮蔽性能を有するZnO系粒子を得ることが出来る。この方法は、亜鉛源、モノカルボン酸、アルコールからなる混合物をAl,In等のIIIb族金属元素やIVb 族金属元素の化合物の存在下で加熱する方法である。
【0004】
しかし、特開平8−253317号公報記載のこの方法で得られたAl,In等含有ZnO粒子でも、その熱線遮蔽性能がITO粒子やATO粒子に比べて劣るため、これを熱線遮蔽膜として用いる場合、ITOやATOを含む熱線遮蔽膜と同じ熱線遮蔽率を得るためには、その塗布量を高くせざるを得ないという問題点があった。
【0005】
ITO粒子やATO粒子についても、これらは高価であるので、より熱線遮蔽性能の高い粒子とすることによって、その使用量を減少できるようにすることが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、熱線遮蔽性能や可視光透過性などの機能が特に優れる異種金属含有金属酸化物粒子、特に、熱線遮蔽性能に優れるZnO系、In2O3系、SnO2系などの導電性金属酸化物粒子と、その製造方法および用途を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、Al,In等含有ZnO系粒子につい種々の面から分析を行い、上記の問題が起きる原因を追求した。その結果、原因は、添加された異種金属が1次粒子の表面側に偏っていて内部にまで十分に存在していないことにあることを見出した。そして、上記原因は、添加された異種金属が1次粒子の中央部に一定値以上存在することで解消されることを見出した。さらに、このようなAl,In等含有ZnO系粒子を製造するのに好適な方法を見出した。そして、以上のことはAl,In等含有ZnO系粒子以外の金属酸化物粒子にも適用できることを見出して、本発明を完成した。
【0008】
したがって、本発明にかかる異種金属含有金属酸化物粒子(以下単に「金属酸化物粒子」と言う)は、金属(M)に異種金属(Md)を添加してなる金属酸化物系粒子において、異種金属(Md)の含有率(Md/M)が、平均0.5〜20原子%であり、かつ、1次粒子中央部で0.5原子%以上あることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる、異種金属含有金属酸化物粒子の製造方法は、異種金属(Md)の含有率(Md/M)が平均0.5〜20原子%である異種金属含有金属酸化物粒子を製造する方法であって、金属(M)の下記一般式(I)で示される化合物および/または加水分解縮合物と異種金属(Md)の化合物とアルコールを含有するがカルボン酸は含まない溶液を加熱して金属酸化物粒子を析出させる工程を含み、以下の(a)および(b)であることを特徴とする。
【0010】
(a)前記加熱が加圧下で行われること。
【0011】
(b)前記溶液中の水分量が前記異種金属(Md)に対するモル比で100倍モル以下であること。
【0012】
M(O)(m-x-y-z)/2(OCOR)x(OH)y(OR’)z (I)
(但し、Mはm価の金属原子;Rは、水素原子、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;R’は、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;m、x、yおよびzは、x+y+z≦m、0<x≦m、0≦y<m、0≦z<mを満たす。)
そして、本発明にかかる金属酸化物粒子含有組成物は、本発明にかかる上記金属酸化物粒子を0.1重量%以上含有してなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔金属酸化物系粒子〕
本発明にかかる金属酸化物粒子において、異種金属(Md)の含有率(Md/M)は、1次粒子全体の平均が0.5〜20原子%(好ましくは1〜10原子%、より好ましくは2〜10原子%、特に好ましくは4原子%以上)であり、かつ、1次粒子中央部で0.5原子%以上(好ましくは1原子%以上、より好ましくは2原子%以上、特に好ましくは4原子%以上)である。
【0014】
上記異種金属(Md)の含有率(Md/M)における1次粒子全体の平均値(平均含有率)をαavとし1次粒子中央部の値(中央含有率)をαc とすると、平均含有率に対する中央含有率(αc /αav)は、好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.5以上、最も好ましくは0.8以上である。
【0015】
上記平均含有率αavと中央含有率αc の測定方法は、1次粒子の集合体(αavの場合)または単体(αc の場合)について、FE−TEM(透過型電子顕微鏡)によりそれらの透過像を観察しながら、粒子の外に金属の偏析物が無いところを探して、高分解能XMAにより下記所望の空間分解能(スポット径)で元素分析を行う。そして、各金属に帰属するピーク強度から、異種金属(Md)の含有率を求めるという方法である。なお、スポット径は、プローブを絞ることにより下限を1nmφにできるとともに、任意に連続的にスポット径を拡大することができる。偏析物の確認については、FE−TEMでの観察による投影図において、通常、肉眼で確認できないレベルであれば偏析物は無いものとする。
【0016】
上記平均含有率αavの測定に関しては、さらに詳しくは、FE−TEMでの観察により、1次粒子の集合体として偏析物の見られない約10個の粒子について、これら粒子をすべて含むような空間分解能(スポット径)で元素分析することによって行うこととする。
【0017】
上記中央含有率αc の測定に関しては、さらに詳しくは、FE−TEMにより1次粒子1個の投影像について偏析物の無い状態で観察し、その投影像の中央部分を1nmφの空間分解能(スポット径)で元素分析することによって行うとする。投影像の中央部分を分析する際は、通常、常識的に判断して投影像のおよそ中心であると思われる部分について行えばよいが、少なくともスポットが投影像の輪郭線に接触しない程度の投影像内部について行えばよく、好ましくは投影像の形状を上記およそ中心部を基準に、長さ基準で80%に縮小した領域内、より好ましくは50%に縮小した領域内、さらにより好ましくは20%に縮小した領域内で行えばよい。なお、例えば、粒子形状が針状等であって投影像の形状も針状等であれば、常識的に投影像のおよそ中心と判断した部分であってもそこに設定したスポットが投影像の輪郭線に接触してしまうことがあり得るが、このような場合は、上記投影像のおよそ中心であると思われる部分を中心に、最大長さ部分の長さの50%を直径とする領域内で行えばよい。中央含有率αc の最終的な測定結果は、10個の粒子についての平均値とした。
【0018】
また、1次粒子が厚み(粒径)30nmを超える部分を有する場合は(粒子によっては100nmを超える場合もある)、例えば、粉体試料をエポキシ樹脂と混合し、硬化後、薄切片を得て、この薄切片よりイオンミリング法によって1次粒子の断面が露出した、通常、厚みが30nm以下の極薄片化試料を得るようにし、この極薄片化試料の一次粒子の断面部分について上記測定を行うことが好ましい。理由としては、厚みが30nmを超えると、FE−TEMの電子線透過が不完全になったりXAMの分解能が低減したりするからであり、厚さ方向の情報すべてが分析に関係する以上、測定結果の正確性に欠けることとなるからである。
【0019】
上記測定においては、FE−TEMとして例えば日立製作所製の電界放射型透過型電子顕微鏡(HF−2000型、加速電圧200kV)を用い、XMAとして例えばケヴェックス(Kevex)社製のX線マイクロアナライザー(Sigma型、エネルギー分散型、ビーム径:空間分解能10Åφ)を挙げることが出来る。
【0020】
主金属(M)や異種金属(Md)としては、特に限定はないが、たとえば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra等のアルカリ土類金属元素;La、Ce等のランタノイド系金属元素;Ac等のアクチノイド系金属元素;Sc、Y等のIIIa族金属元素;Ti、Zr、Hf等のIVa族金属元素;V、Nb、Ta等のVa族金属元素;Cr、Mo、W等のVIa族金属元素;Mn、Tc、Re等のVIIa族金属元素;Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等のVIII族金属元素;Cu、Ag、Au等のIb族金属元素;Zn、Cd、Hg等のIIb族金属元素;Al、Ga、In、Tl等のIIIb族金属元素;Ge、Sn、Pb等のIVb族金属元素;Sb、Bi等のVb族金属元素;Se、Te等のVIb族金属元素等を挙げることができ、これらが1種または2種以上併存していてもよい。
【0021】
主金属(M)としては、上記具体例のうち、Zn、Ti、Ce、Fe、Ni、V、Nb、Be、La、Mo、W、Re、In、Ga、Sn、Sb等は、金属の原子価や、粒子の大きさ、結晶構造、不純物の注入、欠陥の注入等によって、光、電気、磁気的機能を制御することができる。このため、紫外線吸収性、赤外線遮蔽性等の光選択透過機能を有する等の光学機能や、(光)導電機能、磁気機能等を有する点で好ましい。さらに、Fe、Ni、V、Nb、Be、La、Mo、W等では、透明性が高く、安定な粒子が得られる。Znは、結晶構造の制御、不純物濃度の制御によって、紫外線吸収性等の光学的性質や、電気的性質を制御できるようになり、好ましい。
【0022】
主金属(M)としては、熱線遮蔽性および可視光の透過率が共に高い点で、たとえば、In、Sn、Znが好ましい。
【0023】
異種金属(Md)としては、熱線遮蔽性および可視光の透過率が共に高い点で、たとえば、金属酸化物粒子が酸化インジウム粒子の場合は4価の金属が好ましく、Sn、Ti等が特に好ましい。金属酸化物粒子が酸化スズ粒子の場合は5価の金属元素が好ましく、Sb、P等が特に好ましい。金属酸化物粒子が酸化亜鉛粒子の場合は、3価の金属元素が好ましく、In、Al、Ga等が特に好ましい。
【0024】
本発明にかかる金属酸化物粒子には、アモルファス粒子も含まれるが、X線回折学的に見て、または電子線回折学的に見て、金属(M)の酸化物結晶性を示すものが好適である。通常、1次粒子径が5nm以上の場合はX線回折法により、また、1次粒子径が5nm以下の場合は電子線回折法により、結晶性であるか否かの確認並びに結晶性の場合には結晶構造、物性の同定を行うことができる。
【0025】
本発明にかかる金属酸化物粒子の1次粒子径は、透明性が高い点で0.1μm以下が好ましい。具体的には、以下の(1)および/または(2)および/または(3)を満足することが特に好ましい。
【0026】
(1)X線回折法(ウィルソン法)あるいは電子線回折法を用いて求めた、結晶子の大きさをDwとするとき、1nm≦Dw≦100nmであること。
【0027】
(2)下記数式で算出される比表面積径をDsとするとき、1nm≦Ds≦100nmであること。
【0028】
Ds=6/(ρ×S) ここで、Ds:μm
(但し、ρ:金属酸化物系粒子の真比重、S:B.E.T.法で測定される金属酸化物系粒子の比表面積(m2/g))
(3)透過型電子顕微鏡で粒子像を測定し、その結晶格子像および大きさの観測から求められる1次粒子径をDeとするとき、1nm≦De≦100nmであること。
【0029】
本発明の金属酸化物系粒子は、透明性に優れている点で 1次粒子径が1〜30nmであることが好ましく、熱線遮蔽剤や導電材料として用いる場合は、5nm≦Dw≦30nmが好ましい。
【0030】
本発明にかかる金属酸化物粒子は、カルボン酸(残)基を含有することが好ましい。ここで、カルボン酸(残)基とは、−COO−基を意味し、具体的には、カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート基(−COO-)、加水分解によってカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を生成するエステル基等のことである。カルボン酸(残)基としては、飽和脂肪酸(残)基が好ましく、炭素数1〜4の脂肪酸(残)基がさらに好ましく、アセトキシ基(CH3COO−)が最も好ましい。
【0031】
カルボン酸(残)基は、吸着および/または化学結合で金属酸化物粒子の表面に存在することにより、2次凝集を抑えて分散性を向上させるので、この金属酸化物粒子を含有する樹脂組成物を塗料としたときに塗膜の透明性が高くなる。
【0032】
カルボン酸(残)基の含有量は、金属(M)に対し好ましくは0.01〜14モル%、より好ましくは0.1〜7モル%、最も好ましくは1〜5モル%である。カルボン酸(残)基の含有量が金属(M)に対し0.01モル%未満であると、粒子の分散性が低下し、粒子が2次凝集しやすくなる。他方、カルボン酸(残)基の含有量が金属元素(M)に対し14モル%超であると、金属酸化物としての機能、たとえば、赤外線遮蔽性や紫外線遮蔽性が低下する。
【0033】
本発明にかかる金属酸化物粒子の粒子形状は特に限定されない。形状の具体例としては、球状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、(六角)板状等の薄片状などが例示される。
〔金属酸化物粒子の製造方法〕
上記金属酸化物粒子を製造する方法については、特に限定はないが、たとえば、次に述べる方法を好ましいものとして挙げることができる。
【0034】
金属(M)の化合物および/または加水分解縮合物と異種金属(Md)の化合物とアルコールを含有する溶液を加熱して金属酸化物粒子を析出させる工程を含み、以下の(a)および/または(b)であることを特徴とする。
【0035】
(a)前記加熱が加圧下で行われること。
【0036】
(b)前記溶液中の水分量が前記異種金属(Md)に対するモル比で100倍モル以下であること。
【0037】
上記(a)については、加熱時の圧力は、常圧(大気圧)を1kg/cm2 とする絶対圧Pで示すと、P>1kg/cm2 を満たし、好ましくは1.5kg/cm2 ≦P≦100kg/cm2 を満たすことである。加圧効果が高く、かつ経済的な設備で行えると言う点で、3kg/cm2 ≦P≦20kg/cm2 を満たすことが特に好ましく、5kg/cm2 ≦P≦10kg/cm2 を満たすことが最も好ましい。
【0038】
加圧方法としては、たとえば、アルコールの沸点より高い温度に加熱する方法や、気相部を窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスで加圧にする方法などを採用できる。
【0039】
上記加熱温度については、アルコールの沸点等にもよるが、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100℃〜アルコールの臨界温度、最も好ましくはアルコールの常圧沸点より20℃以上高い温度である。
【0040】
上記(b)については、前記溶液中の水分量には、遊離の水分量を意味するが、金属(M)の化合物や異種金属(Md)の化合物が結晶水を有する場合の結晶水も含まれる。この水分量は、カールフィッシャー法によって測定することができる。ここでいう水分量は、使用する原料中に含まれる水(使用するアルコールおよびその他の溶媒成分中の遊離の水、金属(M)の化合物や異種金属(Md)の化合物中の結晶水等の水の総和)の、使用する全異種金属(Md)の化合物中の全異種金属(Md)に対するモル比を意味しており、加熱反応において副生する水については考慮しないとする。
【0041】
この水分量は、使用する異種金属(Md)全量に対するモル比で50倍モル以下であると好ましく、20倍モル以下であるとさらに好ましい。水分量が多すぎると、金属(M)の酸化物の結晶子中に異種金属(Md)が含有されにくくなり、機能性の高い異種金属含有金属酸化物粒子が得られにくくなる。
【0042】
主金属(M)の化合物は、下記一般式(I)で示される構造を有するものである。具体的には、金属酸化物粒子の説明において前述した。
【0043】
M(O)(m-x-y-z)/2(OCOR)x(OH)y(OR’)z (I)
(但し、Mはm価の金属原子;Rは、水素原子、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;R’は、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;m、x、yおよびzは、x+y+z≦m、0<x≦m、0≦y<m、0≦z<mを満たす。)
上記一般式(I)における、RやR’としては、分散性の高い金属酸化物系粒子が得られやすくなるため、メチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。上記一般式(I)における、xとしては1≦x≦mを満たすものが好ましく、yとしては0≦x<m/2を満たすものが好ましく、zとしては1≦x<m/2を満たすものが好ましい。これらの場合に、分散性の高い金属酸化物系粒子が得られやすいからである。
【0044】
一般式(I)で表される化合物としては溶解速度の速いものを用いると、分散性に優れた粒子が得られるため好ましい。ここに、溶解速度とは、反応で直接測定することもできるが、25℃において、式(I)の化合物2重量部(以下、部と略す)を25±3℃のイオン交換水(pH5〜8)200部に混合し、攪拌したとき、完全に溶解して透明な溶液が得られるまでの時間tで定義される。一般式(I)で表される化合物の溶解速度は、好ましくは2分間以内、さらに好ましくは1分間以内、最も好ましくは30秒間以内である。
【0045】
一般式(I)で表される化合物の加水分解縮合物は、一般式(I)で示される構造を有する金属元素(M)の化合物を加水分解および/または縮合して得られる加水分解物および/または縮合物であり、モノマーから高分子化合物までの化合物である。縮合物は、主金属(M)元素と酸素(O)とがメタロキサン結合した結合鎖−(M−O)n(但し、nは1以上)を有する化合物である。縮合物の縮合度については、限定はなく、結晶子の大きさ、形態のそろった金属酸化物系粒子を得るためには、縮合度(平均)が好ましくは100以下、さらに好ましくは10以下である。
【0046】
本発明にかかる製造方法で用いられる異種金属(Md)の化合物としては、たとえば、上記一般式(I)で金属元素(M)を前述の金属元素(Md)に代えた化学構造を有する化合物や、異種金属(Md)の金属アルコキシド類を挙げることができる。前者については、具体的には、金属酸化物粒子の項で前述した。
【0047】
本発明にかかる製造方法で用いられるアルコールとしては、特に限定はないが、たとえば、1価アルコールで水溶性の高いアルコールが好ましい。このようなアルコールとしては、たとえば、以下のA)〜C)等の水に対する溶解度1重量%以上のアルコールを挙げることができ、水に対する溶解度10重量%以上のアルコールがさらに好ましい。
【0048】
A)メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブチルアルコール等の炭素数1〜4の1〜3級の脂肪族アルコール
B)シクロヘキサノール、ベンジルアルコール
C)グリコール誘導体
a)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルキレングリコールエーテル類
b)エチレングリコールアセテート、プロピレングリコールアセテート等のアルキレングリコールアセテート類
本発明にかかる製造方法では、主金属(M)の化合物(I)および/またはその加水分解縮合物とアルコールを混合して、これらを含む溶液を調製する。ここでいう溶液は、乳化状や懸濁状のものを含む。異種金属の化合物についても同様である。上記混合は、金属化合物(加水分解縮合物)の粉体をそのままアルコールに添加する方法であってもよく、また、一旦別の溶媒に添加して予め懸濁液または希釈溶液を調製しておき、これをアルコールに添加すると言う方法によってもよい。懸濁液または希釈溶液の調製に用いる溶媒としては、アルコールまたはその酢酸エステルが好ましく、加熱保持する際に用いるアルコールがさらに好ましい。
【0049】
本発明における製造方法では、主金属(M)の化合物、異種金属(Md)の化合物およびアルコールを含む混合物の加熱を行うが、混合から加熱における一連の操作手順については、特に限定はなく、例えば、1)常温または50℃以下で上記混合物を調製し、昇温および加熱する方法や、2)主金属(M)の化合物および異種金属(Md)の化合物とアルコールとのうちの少なくとも一方を好ましくは加圧下で加熱しておき、もう一方を加熱したものに混合する予備加熱法等を好ましく挙げることができる。予備加熱法としては、具体的には、例えば、a)アルコールを加熱しておき、主金属(M)の化合物および異種金属(Md)の化合物を添加する方法、b)主金属(M)の化合物および異種金属(Md)の化合物(またはこれらの懸濁体、均一溶液)を加熱しておき、アルコールを添加する方法、c)アルコールと主金属(M)の化合物および異種金属(Md)の化合物(またはこれらの懸濁体、均一溶液)とを別々に加熱しておき両者を混合する方法などが好ましく挙げられる。上記1)および2)の方法のなかでも、2)の予備加熱法がより好ましく、反応温度を選択しやすく、粒子径や組成の制御が容易に行える。このとき、予備加熱された少なくとも一方を加圧状態にしておいて混合する方法は、混合と同時に加圧下での加熱処理を開始することができるため、異種金属(Md)の含有率の高い粒子が得られやすく好ましい。
【0050】
金属化合物(加水分解縮合物)をアルコールや他の溶媒に添加混合する方法については、特に限定はなく、▲1▼総量を一挙に、たとえば1分間以内に添加混合する一括添加法や、▲2▼1分間を超える時間をかけて連続的に添加する連続フィードや、▲3▼少量ずつ、2回以上に分けて添加するパルス添加法(各パルスは連続フィードでもよく、一括添加でもよい)等の方法が採用できる。▲2▼または▲3▼の場合は、添加によって生じるアルコールを含む溶液の温度変化が小さい方が1次粒子径の揃った粒子が得られ易く好ましい。具体的には、溶液の温度変化が10℃以内に収まるように添加速度等を制御することが好ましい。
【0051】
金属化合物(加水分解縮合物)をアルコールや他の溶媒に混合する場合の添加速度としては、この添加速度を〔金属化合物(加水分解縮合物)モル/アルコール(モル)/添加時間(分)〕で表したとき、好ましくは0.0001〜2、さらに好ましくは0.0005〜1.0である。この添加速度が0.0001未満であると、1次粒子が0.1μm以下のものを得るのが困難になるおそれがある。他方、この添加速度が2を超えると、上述の温度制御が特に反応スケールが大きくなると困難となり、粒子径の揃った粒子が得難くなる。
【0052】
金属化合物(加水分解縮合物)とアルコールとの混合比は、特に限定はないが、金属化合物(加水分解縮合物)の総量添加終了後の仕込換算のモル比で表して、その下限が、異種金属Mdが均一に1次粒子内に含有されるためには、好ましくは金属(M)の原子価であるm以上、さらに好ましくは2m以上である。上記モル比の上限は、生産性の観点から、好ましくは50以下、さらに好ましくは20以下である。
【0053】
本発明にかかる製造方法においては、粒子の結晶性を高めて熱線遮蔽性能などの性能を高くするために所定温度を30分以上保持するが、具体的な加熱条件としては、好ましくは180℃以上で1時間以上、さらに好ましくは200℃以上で3時間以上である。ここで、加熱温度は反応容器のボトム温度で表す。
【0054】
本発明にかかる製造方法では、加熱中、溶液は攪拌所要動力0.0001kw/m3 以上で攪拌されていることが好ましく、より好ましくは0.001kw/m3 以上であり、特に0.01〜10kw/m3 で攪拌されていることが好ましい。
【0055】
本発明にかかる製造方法では、得られる粒子の分散性を高める目的で、金属化合物(加水分解縮合物)の添加終了後の任意の段階で、脂肪族カルボン酸や脂肪族アミンを、主金属(M)に対し0.1〜10モル%添加する。脂肪族カルボン酸や脂肪族アミンを添加しない場合、主金属(M)の種類によっては、金属酸化物粒子が2次凝集体粒子となる場合がある。
【0056】
上記本発明にかかる製造方法によれば、熱線遮蔽性能や可視光透過性などの機能に優れ、添加金属を含有する金属酸化物系粒子を容易に得させることができる。
〔金属酸化物粒子の用途〕
本発明にかかる金属酸化物粒子は、上記した本発明の金属酸化物粒子を0.1重量%以上含有する組成物である。例えば、バインダー樹脂に対して上記した異種金属含有金属酸化物粒子を0.1重量%以上含有する塗料組成物や成形材料組成物やフィルムである。この組成物は、上記本発明にかかる金属酸化物粒子を含むため、熱線遮蔽性等の特性が特に優れている。
【0057】
以下に、この組成物が塗料組成物と成形材料組成物と金属酸化物粒子含有フィルムについて、順に詳しく説明する。
塗料組成物
塗料組成物は、光選択透過性機能等の光機能、導電機能等の電気機能、光触媒機能等の触媒機能等の各種機能性に優れ、しかも、耐候性が高い塗膜を得させることができる。特に、本発明の熱線遮蔽性に優れる金属酸化物粒子を含むものは、経済性および熱性遮蔽性と可視光透過性に優れ、有用である。
【0058】
塗料組成物に用いられるバインダー樹脂としては、熱可塑性または熱硬化性(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性、湿気硬化性、これらの併用等も含む)の各種合成樹脂や天然樹脂等の有機系バインダーや、無機系バインダー等を挙げることができる。
【0059】
合成樹脂としては、たとえば、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ケトン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、液状ポリブタジエン、クマロン樹脂等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。天然樹脂としては、たとえば、セラック、ロジン(松脂)、エステルガム、硬化ロジン、脱色セラック、白セラック等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0060】
合成樹脂として、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等の天然または合成のゴム等を用いてもよい。合成樹脂と併用する成分として、硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができる。
【0061】
塗料組成物に用いられるバインダー樹脂の形態については、特に限定はなく、溶剤可溶型、水溶性型、エマルション型、分散型(水/有機溶剤等の任意の溶剤)等を挙げることができる。
【0062】
水溶性型のバインダー樹脂としては、たとえば、水溶性アルキド樹脂、水溶性アクリル変性アルキド樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂(水溶性ポリエステル樹脂)、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性メラミン樹脂等を挙げることができる。
【0063】
エマルション型のバインダー樹脂としては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合ディスパージョン;酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリル−シリコーンエマルション、フッ素樹脂エマルション等を挙げることができる。
【0064】
無機系バインダーとしては、シリカゲル、アルカリケイ酸、シリコンアルコキシド等の金属アルコキシド、これらの(加水分解)縮合物、リン酸塩等を挙げることができる。
【0065】
塗料組成物を後述の紫外線吸収性フィルムの製造等に用いる場合、成膜温度等の成膜条件や、得られるフィルムの可撓性や耐候性の観点からは、塗料組成物に用いられるバインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等が好ましい。
【0066】
塗料組成物中の金属酸化物粒子の割合は、たとえば、金属酸化物粒子およびバインダー樹脂の固形分合計量に対して0.1〜99重量%であり、好ましくは10〜90重量%である。金属酸化物粒子の割合が0.1重量%未満であると、紫外線遮蔽性や導電性等の粒子を添加することによって得られる効果が低下する。他方、金属酸化物粒子の割合が90重量%を超えると、可視光透過性および可撓性が低下する。塗料組成物に含まれる金属酸化物粒子が導電性で、塗料組成物から得られる塗膜を導電膜、帯電防止膜等の機能膜として用いる場合は、塗料組成物中の金属酸化物粒子の割合は、金属酸化物粒子およびバインダー樹脂の固形分合計量に対して、さらに好ましくは50〜90重量%であり、最も好ましくは70〜85重量%である。
【0067】
塗料組成物は、金属酸化物粒子とバインダー樹脂以外に要求性能に従って、架橋剤等の硬化剤;硬化助剤等の硬化触媒;可塑剤;消泡剤・レベリング剤;チクソトロピック剤;艶消し剤;界面活性剤;難燃剤;顔料湿潤剤・分散剤;滑剤;紫外線吸収剤;光安定剤;酸化防止剤;その他(熱)安定剤;防腐剤;防かび剤;防藻剤;防食・防錆剤;染料;顔料等の添加剤を含有するものでもよい。
【0068】
硬化剤としては、たとえば、空気(酸素)等の乾性油系に用いられる硬化剤;単官能または多官能の不飽和モノマー等のポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、エポキシ樹脂に用いられる硬化剤;1級、2級アミノ基を含むポリアミン、ポリアミドや、メチロール基を有するアミノ樹脂、カルボキシル基を有する多塩基酸や高酸価ポリエステル等のエポキシ基を有するバインダー樹脂に用いられる硬化剤;イソシアネート基を有するポリイソシアネート、ウレタン基を有するポリイソシアネート、メチロール基、1級および/または2級のアミノ基、アルコキシメチレン基を有するアミノ樹脂等の水酸基を有するバインダー樹脂に用いられる硬化剤;金属キレート剤等のカルボキシル基を有するバインダー樹脂に用いられる硬化剤;水分、多官能エポキシ化合物、水酸基含有化合物等のシリコーン基を有するバインダー樹脂に用いられる硬化剤等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0069】
塗料組成物を後述の金属酸化物粒子含有フィルムの製造等に用いる場合、塗料組成物が光安定剤を含むものであると、耐候性が向上する。塗料組成物が硬化剤としてポリイソシアネートを含むものであると、汎用性が高い。フィルムを製造する場合の塗料組成物の硬化方法については、経済的に加熱硬化法が好ましい。
【0070】
塗料組成物は、溶媒を含むものでもよく、塗料組成物の使用目的やバインダー樹脂の種類によって適宜選択される。溶媒としては、たとえば、アルコール類、脂肪族および芳香族カルボン酸エステル類、ケトン類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族および芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等の有機系溶剤;水;鉱物油;植物油、ワックス油、シリコーン油等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0071】
塗料組成物の製造方法としては、たとえば、有機溶剤に金属酸化物粒子を添加しスラリー化した後、この金属酸化物粒子を含むスラリーに、バインダー樹脂を混合して塗料組成物を製造する方法等を挙げることができる。
【0072】
塗料組成物は、たとえば、ガラス、陶器等の無機物や、樹脂等の有機物等の基材の表面に塗布することができる。特に、有機物の基材表面に塗布して得られる塗膜は、耐候性が高く、可撓性に優れる。上記無機物や有機物の形状については、特に限定はなく、フィルム状、シート状、板状、繊維状等の形状を挙げることができる。これらのうちでも、後述のフィルムや、繊維等に有用である。
【0073】
上記基材として用いられる樹脂の材質としては、特に限定はなく、たとえば、LDPE、HDPE、アモルファスポリエチレン、OPP(延伸ポリプロピレン)、CPP(結晶化ポリプロピレン)等のポリプロピレン、ポリイソブチレンなどのポリオレフィン系;EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)系;ポリスチレン系;軟質又は硬質ポリ塩化ビニル;EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)系;PVA系(ビニロン系);PVDC系(ポリ塩化ビニリデン);ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系;ポリカーボネート系;ポリウレタン系;ポリアミド系;ポリイミド系;ポリアクリロニトリル系;ポリサルフォン系;ポリエーテルサルフォン系;ポリフェニレンサルファイド系;ポリアリレート系;ポリエーテルイミド系;アラミド系;(メタ)アクリル系;ポリエーテルエーテルケトン系;テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン・ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂等を挙げることができる。
【0074】
光学レンズ等の極めて高度な可視光透過性、透明性が要求される用途で用いる場合には、PMMA、MMA−スチレンランダム共重合体、ポリカーボネート、透明ポリプロピレン、MMAとα−メチルスチレンまたはシクロヘキシルメタクリレート等の共重合体、ABS樹脂のMMA変性タイプ、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、透明エポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化ポリイミド、非晶質フッ素樹脂、透明フェノキシ樹脂、非晶質ナイロン樹脂、フルオレン系等の各種樹脂を基材として使用することができる。
【0075】
また、廃棄処理問題から、生分解性に対する要求に応えるものとして、生分解性樹脂を基材として用いることは今後ますます重要になる。このような場合、たとえば、ポリ−3−ハイドロキシ酪酸エステル、キチン・キトサン系、ポリアミノ酸系、セルロース系、ポリカプロラクトン系、アルギン酸系、ポリビニルアルコール系、脂肪族ポリエステル系、糖類系、ポリウレタン系、ポリエーテル系などの生分解性プラスチック等を基材として用いることが好ましい。
【0076】
基材としては、上述の基材に予めUV吸収膜を配したものや、塗料組成物からなる塗膜と基材との密着性などを高める目的でプライマー層等を予め配したものものでもよい。
【0077】
これらの中でも、プラスチックフィルム、シートのうち、耐候性が高い点でフッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
【0078】
塗料組成物を塗布する方法については、特に限定はなく、ディッピング法、ロールコーター法、フローコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、スピンコーター法、刷毛塗り法、スプレー法等を挙げることができる。また、塗料組成物を塗布して得られる乾燥膜厚については、特に限定はなく、好ましくは0.5〜100μm、さらに好ましくは1〜30μmである。
【0079】
塗料組成物を塗布・成膜した後、耐水性、耐溶剤性、耐酸、耐アルカリ等の耐薬品性、耐擦傷性等の点から、熱硬化(室温硬化を含む)、湿気硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の硬化方法で硬化膜とすることが好ましい。
【0080】
塗料組成物をガラス板等の透明板に塗布して得られた中間膜が透明板上に形成された塗工透明板を用いて、合わせガラスを得ることができる。合わせガラスは、接着剤シートを塗工透明板と別に用意した透明板とで挟むように重ねて製造することができる。なお、塗工透明板の中間膜と接着剤シートとを重ねるようにする。
【0081】
接着剤シートとしては、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂等の軟質樹脂または硬質樹脂を材質とするシートを挙げることができ、軟質樹脂が好ましい。接着剤シートの厚みは、好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.5〜1mmである。
成形材料組成物
この成形材料組成物は、光選択透過性機能等の光機能、導電機能等の電気機能、光触媒機能等の触媒機能等の各種機能性に優れ、耐候性および可撓性の高い成形体を得させることができる。
【0082】
成形材料組成物に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド(6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロン等)、ポリイミド、ポリウレタン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポロプロピレン等)、ポリエステル(PET,PBT,PEN等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂およびこれらの原料となる単量体等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂(フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・ホルマリン樹脂等)、エポキシ樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂等)およびこれらの原料となる単量体等の熱硬化性樹脂等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0083】
成形材料組成物に用いられるバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系等の軟質樹脂または硬質樹脂等も挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
【0084】
成形材料組成物に用いられるバインダー樹脂として、上述の無機系バインターを用いてもよい。
【0085】
成形材料組成物中の金属酸化物粒子の割合は、たとえば、金属酸化物粒子およびバインダー樹脂の固形分合計量に対して0.1〜99重量%であり、好ましくは0.3〜10重量%である。金属酸化物粒子の割合が0.1重量%未満であると、紫外線遮蔽性や導電性等の粒子を添加することによって得られる効果が低下する。他方、金属酸化物粒子の割合が99重量%を超えると、強度や、可視光透過性および可撓性が低下する。
【0086】
成形材料組成物は、金属酸化物粒子とバインダー樹脂以外に要求性能に従って、硬化剤、硬化促進剤、着色剤、離型剤、カップリング剤、シリコーン化合物、反応性希釈剤、可塑剤、安定化剤、難燃助剤、架橋剤等の添加剤を含有するものでもよい。
【0087】
硬化剤は、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を用いる際に必要となる場合がある。たとえば、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、ポリアミド類、脂肪族ポリアミン類、環状脂肪族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類あるいはこれらの一部を変性したアミン類、酸無水物類、ジシアンジアミド類、イミダゾール類、アミンイミド類、ヒドラジド類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック系硬化剤等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。また、バインダー樹脂としてフェノール樹脂を用いる場合は、ウロトロピンやホルマール等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。これらの使用量は、バインダー樹脂に対して適宜の量で用いられる。
【0088】
可塑剤は、組成物の加工性をさらに向上させるためのもので、たとえば、リン酸エステル類、フタル酸エステル類、脂肪族−または二塩基酸エステル類、二価アルコールエステル類、オキシ酸エステル類、ポリグリコール類等が挙げられ、特にバインダー樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合はポリグリコール類が好ましい。 安定化剤は、バインダー樹脂の分解を抑制するものであり、たとえば、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0089】
成形材料組成物の製造方法としては、たとえば、金属酸化物粒子とバインダー樹脂とを、ロール、ニーダー、ミキサー等の混合装置を用いて均一に混合する方法等を挙げることができる。
【0090】
成形材料組成物の成形方法としては、たとえば、押出し成形、射出成形、注形、圧縮成形、低圧トランスファー成形、キャスト成形等を挙げることができる。
【0091】
成形材料組成物は、たとえば、フィルム状に成形してもよく、得られたフィルムは、粒子の熱線遮蔽性が高く、可視光透過性に優れる。
【0092】
成形材料組成物を成形して得られた金属酸化物粒子含有シートをガラス板等の透明板で挟み、適宜硬化させることによって、合わせガラスを得ることができる。金属酸化物粒子含有シートの厚みは、好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.5〜1mmである。
金属酸化物粒子含有フィルム
金属酸化物粒子含有フィルムは、上記本発明にかかる金属酸化物粒子含有組成物(塗料組成物)から得られた塗膜を基材フィルム上に形成したフィルムである。この金属酸化物粒子含有フィルムは、本発明の金属酸化物粒子を含むため、光選択透過性機能等の光機能、導電機能等の電気機能、光触媒機能等の触媒機能等の各種機能性に優れ、耐候性が高い。
【0093】
金属酸化物粒子含有フィルムに用いられる基材フィルムとしては、塗料組成物の項で詳しく説明した、基材として用いられる樹脂からなるフィルム等を挙げることができる。好ましいものについても同様である。
【0094】
基材フィルムの膜厚については、特に限定はなく、好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは10〜200μmである。
【0095】
基材フィルム表面に塗料組成物を塗布する方法、乾燥膜厚等については、特に限定はなく、上述のものが好ましい。
【0096】
金属酸化物粒子含有フィルムは、塗料組成物から得られる塗膜が基材フィルム上に形成されたものであれば特に限定はなく、用途、要求特性等に応じてさらに加工されたものでもよい。金属酸化物粒子含有フィルムは、基材フィルムと接しない塗膜の表面、および/または、塗膜と接しない基材フィルムの表面に、粘着層や保護層(耐擦傷性付与のためのハードコート膜等)を形成したものでもよく、他のフィルムとラミネートしたラミネートフィルムであってもよい。
【0097】
金属酸化物粒子含有フィルムを紫外線遮蔽性フィルムとして用いる場合の紫外線透過率については、特に限定はないが、好適には50%以下、さらに好適には10%以下である。紫外線透過率は、JIS R 3106記載の装置および測定方法で得られた値である。
【0098】
金属酸化物粒子含有フィルムの可視光線透過率については、特に限定はないが、好適には70%以上、さらに好適には80%以上である。可視光線透過率は、波長範囲380〜780nmで測定し、JIS R 3106記載の装置、測定方法および計算方法で得られた値である。
【0099】
金属酸化物粒子含有フィルムのヘイズについては、特に限定はないが、好適には10%以下、さらに好適には5%以下、最も好適には3%以下である。ヘイズは、濁度計で測定して得られた値である。
【0100】
金属酸化物粒子含有フィルムの耐侯性は、JIS B 7753−93に記載のサイシャインカーボンアーク灯式耐光性および耐候性試験機を用いて、促進耐候性試験を行って、初期100時間後のヘイズ値および色相を基準にして、さらに1000時間試験後のヘイズ値および色相を比較した場合、ヘイズの変化が2%未満であると好ましく、着色(変色)がないとさらに好ましい。
【0101】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0102】
本実施例における評価等は次の手法により行った。
1.金属酸化物粒子の評価
<粉末試料の作製法>
得られた分散体中の微粒子を遠心分離操作によって分離した後、メタノールによる洗浄、さらにアセトンによる洗浄を充分行った後、30℃で1日真空乾燥し、さらに80℃にて1日真空乾燥し、揮発成分を完全に除去して微粒子の粉末を得、これを粉末試料とした。
<異種金属(Md)の含有率>
平均含有率αavと中央含有率αc は、先に定義した方法で求めた。
【0103】
表2に示す含有率αav-1は、上記平均含有率αavの測定方法において、偏析物が見られる状態であっても約1000個の粒子についてそのすべてが含まれるスポット径を設置して測定したときの異種金属(Md)の含有率である。表2において、含有率αavの値が粒子P−1と粒子Pc −1において含有率αav-1の値を下回ると言うことは、粒子P−1については少し偏析物が見られ、粒子Pc −1については多量の偏析物が見られたことを意味する。
【0104】
上記測定には、FE−TEM(電界放射型透過型電子顕微鏡、日立製、HF−2000型、加速電圧200kV)とXMA(X線マイクロアナライザー、Kevex製、Sigma型、エネルギー分散型、ビーム径(空間分解能)10Åφ)とを用い、主金属(M)に対する異種金属(Md)の平均含有率(αav)と中央含有率(αc )を求めた。
<カルボン酸(残)基含有量>
粉末試料1gを0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液に混合し、3日間撹拌した後、遠心分離操作によって得た上澄みをイオンクロマト分析することによって測定した。ここでは、主金属(M)に対するアセトキシ基等のカルボン酸(残)基のモル%を算出した。
<結晶性>
粉末X線回折により評価した。
<結晶子径Dc(hkl)、Dw>
粉末試料の粉末X線回折測定を行い求めた。
【0105】
Dc(hkl):Scherrer法(Cauchy関数近似による)によって、得られる各回折面(hkl)に対して垂直な方向の結晶子径
Dw:Wilson法を用いて求めた結晶子の大きさ及び格子歪
1.塗工フィルムの評価
<熱線遮蔽性能>
アクリル樹脂バインダーに粒子を分散させ、粒子が10g/m2 となるようにPETフィルムに成膜し、1.5μm光における透過率T1.5 を測定し、以下の基準で判定した。
【0106】
○:T1.5 <40%
×:T1.5 ≧40%
−実施例1(1)−
攪拌機、添加口、温度計、留出ガス出口、窒素ガス導入口および圧力調整弁を備え、外部より加熱し得る耐圧100kg/cm2 のステンレス(SUS316)製反応器、および、添加口にボールバルブを介して直結する添加槽、留出ガス出口に直結する冷却器および留出液トラップを備えた反応装置(反応装置全体が100kg/cm2 の耐圧仕様)を用意した。この反応装置に2−ブトキシエタノール(以下、EGB)1000部を仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、常温より昇温し、窒素を導入して気相部圧を5kg/cm2 に保ち、液温度を160℃に維持した。
【0107】
次いで、無水酢酸亜鉛(松垣薬品工業製)152部、無水酢酸インジウム4.85部の各粉末をEGB191部に混合することにより原料懸濁体(A−1)を調製し、添加槽に仕込んだ。気相部圧5kg/cm2 、ボトム温度160℃に維持されたEGB溶媒に、原料懸濁体(A−1)を添加槽より、30secで添加混合した。液温は添加によって、一旦、140℃に低下したが、13分後に160℃に戻り、以後、160℃±3℃で気相部圧5kg/cm2 に6時間保持することによって、In含有ZnO粒子(P−1)の懸濁体(D−1)を得た。
【0108】
−比較例1−
実施例1(1)において、無水酢酸亜鉛を酢酸亜鉛2水和物に代えるとともに水/Mdモル比が110となるよう原料配合を代えることにより得た原料懸濁体(Ac−1)を、常圧、160℃に維持されたEGBに添加する以外は、同様にして、In含有ZnO粒子(Pc−1)の懸濁体(Dc−1)を得た。
【0109】
実施例1(1)、比較例1で得られた各粒子の解析結果を表2に示す。
【0110】
−実施例1(2)−
表1に示す原料懸濁体を調製し、表1に示す温度、圧力条件で添加し、表1に示す温度、圧力条件で加熱処理を行った以外は、実施例1(1)と同様にして、反応を行い、酸化物粒子(P−2)の懸濁体(D−2)を得た。なお、このとき、溶媒としてはプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと称す)を用いた。
【0111】
実施例1(1)、実施例1(2)、比較例1で得られた粒子P−1,P−2、Pc−1についての解析結果を表2に示す。
【0112】
−実施例1(5)−
実施例1(1)における反応装置にn−ブタノール900部を仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、常温より昇温し、液温度を280℃に維持した。気相圧はゲージ圧43kg/cm2 であった。
【0113】
無水酢酸インジウム(III )粉末216部、チタニウム(IV)n−ブトキシド12.6部、n−ブタノール270部を混合することにより、原料懸濁体(A−5)を調製し、添加槽に仕込んだ。
【0114】
ボトム温度280℃に維持されたn−ブタノール溶媒に、原料懸濁体(A−5)を添加槽より、30secで添加混合した。添加により、一旦、240℃に温度が低下したが、再度280℃に昇温後、280±3℃で4時間保持することによって、Ti含有In2 O3 粒子(P−5)が7.3重量%で分散した懸濁体(D−5)を得た。得られた粒子P−5の解析結果を表3に示す。
【0115】
−実施例1(6)〜1(16)−
表4または5に示す添加原料を、同表に示す添加条件(温度および圧力)下でボトム溶液に添加し、同表に示す加熱処理保持条件下で一定時間保持することによって、酸化物微粒子(P−6〜P−16)が分散した懸濁体(D−6〜D−16)を得た。なお、溶媒として用いるエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートは、以下EGEAと称す。得られた粒子P−6〜P−16についての解析結果を表6に示す。
【0116】
−実施例2(1)−
実施例1(1)で得られた懸濁体(D−1)について遠心分離操作を行い、固形分を得た。この固形分を乾燥して、In含有ZnO粒子(P−1)の粉体を得た。
【0117】
この粉体10部、アクリル樹脂溶液(固形分濃度50%)20部、トルエン20部を混合し、ホモジナイザーで分散処理をすることによって、塗料組成物(C−1)を得た。この組成物をPETフィルムに、乾燥膜厚10μmに塗布乾燥することによって、塗工フィルム(F−1)を得た。
【0118】
得られた塗工フィルム(F−1)の1.5μmにおける光透過率は30%であった。
【0119】
−比較例2−
実施例2において、懸濁体(D−1)の代わりに懸濁体(Dc−1)を用いて、In含有ZnO粒子(Pc−1)を得た。これを用いて、実施例2(1)と同様にして、塗料組成物(Cc−1)と塗工フィルム(Fc−1)を得た。得られた塗工フィルム(Fc−1)の1.5μmにおける光透過率は52%であった。
【0120】
−実施例2(2)−
実施例2(1)において、懸濁体(D−1)の代わりに懸濁体(D−2)を用いて、In含有ZnO粒子(P−2)を得た。これを用いて、実施例2(1)と同様にして、塗料組成物(C−2)、乾燥膜厚10μmの塗工フィルム(F−2)を得た。
【0121】
得られた塗工フィルム(F−2)の1.5μmにおける光透過率は25%であった。
【0122】
−実施例2(3)−
実施例2(1)において、懸濁体(D−1)の代わりに懸濁体(D−5)を用いて、Ti含有In2 O3 粒子(P−5)を得た。これを用いて、実施例2(1)と同様にして、塗料組成物(C−5)、乾燥膜厚10μmの塗工フィルム(F−5)を得た。
【0123】
得られた塗工フィルム(F−5)の1.5μmにおける光透過率は10%以下であった。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】
【発明の効果】
本発明にかかる金属酸化物粒子は、熱線遮蔽性能や可視光透過性などの機能に優れる。
【0131】
本発明にかかる金属酸化物粒子の製造方法は、熱線遮蔽性能や可視光透過性などの機能に優れる金属酸化物粒子を容易に得させることができる。
【0132】
本発明にかかる金属酸化物粒子含有組成物は、上記本発明の金属酸化物粒子を含有するため、熱線遮蔽性や透明性等が高く、しかも、光選択透過性機能等の光機能、導電機能等の電気機能、光触媒機能等の触媒機能等の各種機能性に優れ、しかも、耐候性が高い塗膜等を得させる。
Claims (3)
- 金属(M)に異種金属(Md)を添加してなる金属酸化物系粒子において、異種金属(Md)の含有率(Md/M)が、平均0.5〜20原子%であり、かつ、1次粒子中央部で0.5原子%以上ある、ことを特徴とする、異種金属含有金属酸化物粒子。
- 異種金属(Md)の含有率(Md/M)が平均0.5〜20原子%である異種金属含有金属酸化物粒子を製造する方法であって、金属(M)の下記一般式(I)で示される化合物および/または加水分解縮合物と異種金属(Md)の化合物とアルコールを含有するがカルボン酸は含まない溶液を加熱して金属酸化物粒子を析出させる工程を含み、前記溶液中の水分量が前記異種金属(Md)に対するモル比で100倍モル以下であるとともに、前記加熱が加圧下で行われる、ことを特徴とする、異種金属含有金属酸化物粒子の製造方法。
M(O)(m-x-y-z)/2(OCOR)x(OH)y(OR’)z (I)
(但し、Mはm価の金属原子;Rは、水素原子、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;R’は、置換基があってもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた少なくとも1種;m、x、yおよびzは、x+y+z≦m、0<x≦m、0≦y<m、0≦z<mを満たす。) - バインダー樹脂に対し、請求項1に記載の異種金属含有金属酸化物粒子を0.1重量%以上含有してなる、金属酸化物粒子含有組成物。
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