JP3846683B2 - インクジェット記録用インク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、高い品質の印刷画像が得られるインク組成物に関する。
【0002】
背景技術
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出して、文字や図形を記録媒体表面に記録する方法である。このようなインクジェット記録に用いられるインクには種々の特性が要求されている。例えば、分散安定性、吐出安定性、および印刷物の耐擦過性が良好なことなどが挙げられる。
【0003】
インクとしては、一般に各種の水溶性染料を水性媒体に溶解させたものが使用されている。また、顔料を水性媒体に分散させたインクが提供されている。顔料を水性媒体に分散させたインクは、水溶性染料に比べて耐水性や耐光性に優れるという特徴を有する。
【0004】
一方で、インクジェット記録用インクに求められる特性としては、長期保存中に物性が変化しないこと、微細なノズルを目詰まりさせないこと、印字物の濃度が高く鮮明であること、印字物の保存性(耐水性、耐光性など)などが要求されている。特に、顔料系のインクの場合、保存安定性(すなわち、その顔料を長期間安定に分散させること)、印字中または印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりがないことが求められる。
【0005】
顔料系インクとしては次のようなものが提案されている。例えば、特公昭62−1426号公報には、顔料と樹脂エマルジョンとを水に分散させたインクが提案されている。水不溶性合成樹脂からなるエマルジョンを添加することで、顔料インクの保存安定性が改良されるとされている。
【0006】
特開昭55−157668号公報には、水不溶の樹脂エマルジョン分散液中に顔料を分散させることにより、比較的低粘度においても分散安定性が保たれることが提案されている。特開平1−217088号公報には、特定の造膜温度を有するエマルジョンを使用することで、インクの保存安定性、流動性が改良されるとされている。同様に樹脂エマルジョンを用いたインクが特開平3−160068号公報および特開平4−18462号公報に提案されている。特開平2−18427号公報には、ノズルの目詰まりを改善するために、インクにイノシトールを添加することが提案されている。特開平2−214785号には、インクの耐乾燥性を向上させるために、インクにマルチトールを加えることが提案されている。
【0007】
【発明の概要】
本発明者らは、今般、糖の混合物を含むインク組成物により、良好な印刷画像が実現できるとの知見を得た。とりわけ、インクジェット記録方法に用いられた際、吐出安定性に優れ、ノズルの目詰まりがなく、安定した印刷が可能となり、優れた画像が実現できるとの知見を得た。本発明は、かかる知見に基づくものである。
【0008】
従って、本発明は、良好な画像が実現できるインク組成物、とりわけインクジェット記録方法に用いられた際、吐出安定性に優れ、良好な画像品質を実現するインク組成物の提供をその目的としている。
【0009】
そして、本発明によるインク組成物は、着色剤と、水と、水溶性有機溶媒と、糖の混合物とを含んでなるものであって、
前記糖の混合物が、(a)単糖類および/またはその誘導体と、(b)二糖類および/またはその誘導体と、(c)三糖類以上の多糖類および/またはその誘導体とを含んでなるものである。
【0010】
【発明の具体的説明】
インク組成物
本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印字方式が挙げられる。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。
【0011】
糖の混合物
本発明によるインク組成物は、糖の混合物を含んでなるものであり、この糖の混合物は、単糖類および/またはその誘導体と、二糖類および/またはその誘導体と、三糖類以上の多糖類および/またはその誘導体とを含んでなるものである。この糖の混合物をインク組成物に添加することによって、ノズルの目詰まりを有効に防止することでき、その結果吐出安定性の優れた印刷画像を得ることができる。
【0012】
単糖類の具体例としては、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース等が挙げられ、好ましくは、グルコース、キシロースである。
二糖類の具体例としては、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、イソトレハロース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、ソホロース、イソサッカロースが挙げられ、より好ましくは、マルトース、イソマルトースである。
三糖類以上の多糖類は、グルカン、フルクタン、マンナン、キシラン、ガラクツロナン、マンヌロナン、N−アセチルグルコサミン重合体などのホモグリカン、ジヘテログリカン、トリへテログリカンなどのヘテログリカン;が挙げられる。このような多糖類の具体例としては、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、マルトテトラオース、マルトペンタオース挙げられ、好ましくは、マルトトリオース、イソマルトトリオースである。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、二糖類または三糖類以上の多糖類として、還元性分岐オリゴ糖が挙げられる。本発明において、「還元性分岐オリゴ糖」とは、構成単糖数が2〜10程度であり、好ましくは、2〜5であって、分岐構造を有し、還元性を示すオリゴ糖である。オリゴ糖は、ホモ・オリゴ糖またはヘテロ・オリゴ糖であってよく、好ましくはホモ・オリゴ糖である。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、還元性分岐オリゴ糖は、α−1,6グルコシド結合で少なくとも2つのグルコースが結合しており分岐構造を有するものが好ましい。このようなオリゴ糖は、好ましくはデンプン、アミロペクチン、およびグリコーゲンからなる群から選択される一種または二種以上の混合物から調製することができる。上記化合物から還元性分岐オリゴ糖を得るには、周知慣用手段を挙げることができ、その中でも、例えば加水分解が好ましくは挙げられる。また、本発明にあっては、還元性分岐オリゴ糖は、上記のように多糖類を加水分解する以外に、グルコースのグルコシド結合によって、またはマルトースの異性化反応によっても得ることができ、それを使用することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、還元性分岐オリゴ糖は、イソマルトース、パノース、およびイソマルトトリオースからなる群から選択される一種または二種以上の混合物が好ましい。
【0016】
さらに、本発明にあっては、還元性分岐オリゴ糖として市販品を用いることもできる。その具体例としては、例えば、HS−300、HS−500(商品名:林原商事(株)製)、PO−300、PO−500(商品名:東和化成工業(株)製)が挙げられる。
【0017】
糖の誘導体は、糖アルコール、糖酸、アミノ糖、チオ糖等が挙げられ、好ましくは、糖アルコール、アミノ糖である。
【0018】
糖アルコールは、単糖類由来の糖アルコールまたは二糖類由来の糖アルコールが好ましい。
単糖類由来の糖アルコールは、グリセリン、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、リキシトール、ソルビトール(グルシトール)、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ガラクチトール、アリトール、アルトリトール等が挙げられ、好ましくは、キシリトール、ソルビトール、グリセリンである。
二糖類由来の糖アルコールは、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトール等が挙げられ、好ましくは、マルチトール、イソマルチトールである。マルチトールまたはイソマルチトールを用いることによって、より吐出安定性の優れた印刷画像を得ることが可能となる。
【0019】
糖酸は、ウロン酸(モノカルボン酸を有する糖の誘導体)、アルダル酸(ジカルボン酸を有する糖の誘導体)が代表的なものとして挙げられる。ウロン酸の具体例としては、グリセリン酸、トレウロン酸、エリトルロン酸、キシリルロン酸、リブロン酸、アラビヌロン酸、リキスロン酸、マンヌロン酸、グルクロン酸、グルロン酸、イズロン酸、タルロン酸、アルトルロン酸、アルロン酸、ガラクツロン酸等が挙げられ、好ましくは、グリセリン酸である。アルダル酸の具体例としては、グリセラル酸(タルトロン酸)、トレアル酸(酒石酸)、エリトラル酸(メソ酒石酸)、キシラル酸、リバル酸、アラバル酸、リキサル酸、マンナル酸、グルカル酸、グラル酸、イダル酸、タラル酸、アルトラル酸、アラル酸、ガラクタル酸等が挙げられ、好ましくは、グリセラル酸である。
【0020】
アミノ糖は、糖の水酸基をアミノ基で置換したものである。また、チオ糖は糖の酸素原子を硫黄原子で置換したものである。アミノ糖、チオ糖は、それぞれ先に述べた糖を置換して得られるものである。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、本発明による糖の混合物は、二糖類の誘導体としてマルチトールを含んでなるものが好ましい。そして、本発明のより好ましい態様によれば、このマルチトールと、キシリトールと、還元性分岐オリゴ糖とを組み合わせた混合物が好ましい。
【0022】
本発明による好ましい態様によれば、単糖類および/またはその誘導体と、三糖類以上の多糖類および/またはその誘導体との合計量は、糖の混合物の全量に対して2重量%以上30重量%未満、好ましくは5重量%以上25重量%未満である。
本発明による好ましい態様によれば、二糖類および/またはその誘導体の含有量は、糖の混合物の全量に対して70重量%超過98重量%未満、好ましくは、75重量%以上95重量%未満である。
【0023】
着色剤
本発明によるインク組成物に含まれる着色剤としては、染料、顔料のいずれであってもよいが、インク組成物の不溶化あるいは増粘等の作用によって、インク中の着色成分の浸透を抑制する場合は、水性媒体中に溶解している染料よりも分散している顔料の方が有利である。
【0024】
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0025】
顔料としては、特に限定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネスト法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
【0026】
黒インクとして使用されるカーボンブラックとしては、三菱化学製のNo.2300,No.900,MCF88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No2200B等が、コロンビア社製のRaven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,Raven700等が、キャボット社製のRegal 400R,Regal 330R,Regal 660R,Mogul L,Monarch 700, Monarch 800, Monarch 880, Monarch 900, Monarch 1000, Monarch 1100, Monarch 1300, Monarch 1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1,Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black FW18, Color Black FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex 35, Printex U, Printex V, Printex 140U, Special Black 6, Special Black 5, Special Black 4A, Special Black 4等が使用できる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1, C.I.Pigment Yellow 2, C.I.Pigment Yellow 3, C.I.Pigment Yellow 12, C.I.Pigment Yellow 13, C.I.Pigment Yellow 14, C.I.Pigment Yellow 16 ,C.I.Pigment Yellow 17, C.I.Pigment Yellow 73, C.I.Pigment Yellow 74, C.I.Pigment Yellow 75, C.I.Pigment Yellow 83, C.I.Pigment Yellow 93, C.I.Pigment Yellow95, C.I.Pigment Yellow97, C.I.Pigment Yellow 98, C.I.Pigment Yellow 109, C.I.Pigment Yellow 110, C.I.Pigment Yellow114, C.I.Pigment Yellow128, C.I.Pigment Yellow129, C.I.Pigment Yellow138, C.I.Pigment Yellow150, C.I.Pigment Yellow151, C.I.Pigment Yellow154, C.I.Pigment Yellow155, C.I.Pigment Yellow180, C.I.Pigment Yellow185等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Red 5, C.I.Pigment Red 7, C.I.Pigment Red 12, C.I.Pigment Red 48(Ca), C.I.Pigment Red 48(Mn), C.I.Pigment Red 57(Ca), C.I.Pigment Red 57:1, C.I.Pigment Red 112, C.I.Pigment Red 122, C.I.Pigment Red 123, C.I.Pigment Red 168, C.I.Pigment Red 184, C.I.Pigment Red 202 等が挙げられる。
さらに、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Blue 1, C.I.Pigment Blue 2, C.I.Pigment Blue 3, C.I.Pigment Blue 15:3, C.I.Pigment Blue 15:34, C.I.Pigment Blue 16, C.I.Pigment Blue 22, C.I.Pigment Blue 60, C.I.Vat Blue 4 , C.I.Vat Blue 60が挙げられる。
【0027】
顔料の添加量はインク組成物に対して、0.5〜25重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度の範囲が好ましい。また、顔料の粒径は10μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、この顔料は、顔料を分散剤で溶媒中に分散させて得られた顔料分散液としてインク組成物に添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調製するのに用いられている公知の分散剤、例えば高分子分散剤、界面活性剤を利用することができる。
【0029】
高分子分散剤の好ましい例としては天然高分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類;アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類;サボニンなどのグルコシド類;アルギン酸およびアルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0030】
さらに高分子分散剤の好ましい例として合成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類;ポリビニルピロリドン類;ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル酸樹脂;スチレン−マレイン酸;スチレン−無水マレイン酸;ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体;ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体;酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニルマレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニルクロトン酸共重合体、酢酸ビニルアクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびこれらの塩が挙げられる。これらのなかで、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノマーとの共重合体、および、疎水性基と親水性基とを合わせ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。上記の塩としては、ジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどとの塩が挙げられる。これらの共重合体は、重量平均分子量が3,000〜30,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜15,000である。
【0031】
また、分散剤として好ましい界面活性剤の例としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。上記した界面活性剤はインク組成物に添加されることで、界面活性剤としての機能をも果たすことは当業者であれば理解するであろう。
【0032】
これらの分散剤の添加量は、顔料に対して1〜50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。
【0033】
樹脂エマルジョン
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は樹脂エマルジョンを含んでなることができる。本発明において、「樹脂エマルジョン」とは、連続相としての水に分散させたとき、分散粒子がポリマー微粒子である水性分散液をいう。この水性分散液は、水性エマルジョンまたはポリマーエマルジョンと呼ばれることがある。ここで、分散粒子を構成する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メタクリル酸樹脂、ウレタン樹脂、アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。また、これらの樹脂は、共重合の態様によっては制限されず、例えばブロックコポリマー、ランダムコポリマーなどの形態で存在するものであってもよい。本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂を含んでなるものが好ましい。
【0034】
本発明における好ましい樹脂エマルジョンは、造膜性を有するものが好ましい。ここで、「造膜性」とは、樹脂エマルジョンを水に分散させて水性エマルジョンの形態としたとき、この水性エマルジョンの水成分を蒸発させていくと、樹脂皮膜が形成されることを意味する。この樹脂エマルジョンが添加されたインク組成物は、その溶媒成分を蒸発させていくと、樹脂皮膜が同様に形成される性質を有することとなる。この樹脂皮膜は、インク組成物中の着色剤成分を強固に記録媒体表面に固着する役割を担う。これによって、耐擦性に優れた画像が実現できると考えられる。
【0035】
本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンは室温以上の最低造膜温度を有するものであることが好ましく、より好ましくは50℃以上、最も好ましくは80℃以上の最低造膜温度を有するものであることが好ましい。樹脂エマルジョンは造膜性を有するが、膜形成が室温以上で行われるのが好ましいからである。ここで、最低造膜温度とは、樹脂エマルジョンを水に分散させて得られた水性エマルジョンをアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に透明な連続フィルムの形成される最低の温度をいう。
【0036】
本発明の別の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンは、カルボキシル基を有する不飽和ビニル単量体に由来する構造と、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体によって架橋された構造を有してなるものが好ましい。このような樹脂エマルジョンは、重合の際に、重合可能な二重結合を二つ以上さらに好ましくは三つ以上有する架橋性単量体類を共重合させて三次元架橋構造を構成する。
【0037】
本発明における樹脂エマルジョンとしては単粒子構造のものを利用することができる。一方、本発明においてはコア部とそれを囲むシェル部とからなるコアシェル構造を有する樹脂エマルジョンを利用することも可能である。本発明において「コアシェル構造」とは、「組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態」を意味する。従って、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部ポリマーの一部がコア粒子内にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、コア部とシェル部の中間に、更にもう一層以上、組成の異なる層を含む三層以上の多層構造を持つものであってもよい。コアシェル構造を有する樹脂エマルジョンは、水および水溶性有機溶媒の減少により、樹脂エマルジョン同士が合一し造膜に伴う圧力によって変形する。このような性質によって、コア部とシェル部との両内に存在する反応性の官能基が結合して、網目構造を形成すると考えられる。これにより、より強度の大きな被膜を形成することができるとの利点が得られる。このような樹脂エマルジョン内に反応性の官能基を共存させ、硬化剤を添加しなくとも造膜時にそれら基を反応させ網目構造を形成する性質を本発明にあっては「自己架橋性」と呼ぶ。
【0038】
本発明による方法に用いられる樹脂エマルジョンは、公知の乳化重合によって得ることができる。すなわち、不飽和ビニル単量体(不飽和ビニルモノマー)を重合触媒、および乳化剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
【0039】
不飽和ビニル単量体としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、等のメタクリル酸エステル類;および酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル、等のハロゲン化単量体類;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン、等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類が挙げられる。カルボキシル基を有さない単量体には、カルボキシル基を有する不飽和ビニル単量体の利用が必須となるが、好ましいその具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸が挙げられ、メタクリル酸の利用が好ましい。また、使用可能な乳化剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
さらに、上記単量体に加えて、アクリルアミド類または水酸基含有単量体を添加することによって、さらに印字安定性を向上させることが出来る。アクリルアミド類の具体例としてはアクリルアミドおよびN,N’−ジメチルアクリルアミドが挙げられる。また、水酸基含有単量体の具体例としては2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
【0041】
また、コアシェル構造の樹脂エマルジョンは、公知の手法により、一般的には多段階の乳化重合などによって製造される。例えば、特開平4−76004号公報で開示されている方法によって製造することができる。重合に用いられる不飽和ビニル単量体の具体例としては、上記したものが同様に挙げられる。
【0042】
乳化重合の際に使用される開始剤、界面活性剤、分子量調整剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。
【0043】
さらに、本発明にあっては、公知の樹脂エマルジョンを用いることも可能であり、例えば特公昭62−1426号、特開平3−56573号、特開平3−79678号、特開平3−160068号、特開平4−18462号などに記載の樹脂エマルジョンをそのまま用いることができる。
【0044】
さらにまた、市販の樹脂エマルジョンを利用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などが挙げられる。
【0045】
本発明において、樹脂エマルジョンは微粒子粉末としてインク組成物の他の成分と混合されてもよいが、好ましくは樹脂エマルジョンを水媒体に分散させ、水性エマルジョンの形態とした後、インク組成物の他の成分と混合されるのが好ましい。樹脂エマルジョンの含有量はインク組成物に対して、0.1〜40重量%程度が好ましく、より好ましくは1〜25重量%程度である。樹脂エマルジョンの分子量は、10,000以上であり、好ましくは100,000以上である。樹脂エマルジョンの粒径は好ましくは10〜400nm程度であり、より好ましくは50〜200nm程度である。
【0046】
水、水溶性有機溶媒、およびその他の任意の成分
本発明におけるインク組成物の溶媒は、水および水溶性有機溶媒を基本溶媒として含んでなり、また必要に応じて任意の成分を含んでなるものである。
【0047】
水溶性有機溶媒の具体例としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどが挙げられる。
【0048】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記した水溶性有機溶媒の中でも、沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の利用が好ましい。沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の使用はインク組成物の保水と湿潤性をもたらす。この結果、インク組成物を長期間保管しても顔料の凝集や粘度の上昇がなく、優れた保存安定性を実現できる。さらに、開放状態(室温で空気に触れている状態)で放置しても流動性と再分散性を長時間維持するインク組成物が実現できる。さらに、印字中もしくは印字中断後の再起動時にノズルの目詰まりが生じることもなく、高い吐出安定性が得られる。
【0049】
沸点が180℃以上の水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール(沸点:197℃;以下括弧内は沸点を示す)、プロピレングリコール(187℃)、ジエチレングリコール(245℃)、ペンタメチレングリコール(242℃)、トリメチレングリコール(214℃)、2−ブテン−1,4−ジオール(235℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(243℃)、2−メチル−2,4ーペンタンジオール(197℃)、N−メチル−2−ピロリドン(202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(257〜260℃)、2−ピロリドン(245℃)、グリセリン(290℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(243℃)、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール(198℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(190℃)、ジプロピレングリコール(232℃)、トリエチレングリコルモノメチルエーテル(249℃)、テトラエチレングリコール(327℃)、トリエチレングリコール(288℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(230℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)が挙げられる。沸点が200℃以上であるものが好ましい。これらは単独または二種以上の混合物として使用されてよい。
これら水溶性有機溶媒の含有量は好ましくは10〜50重量%程度であり、より好ましくは10〜30重量%である。
【0050】
本発明の好ましい態様によれば、本発明による方法に用いられるインク組成物は、三級アミンまたは水酸化アルカリを含んでなることができる。三級アミンの添加は湿潤性をもたらす。また、三級アミンと水酸化アルカリの添加は、インク組成物中の着色剤および樹脂エマルジョンのインク中での分散安定化をもたらす。
【0051】
三級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリイソプロペノールアミン、ブチルジエタノールアミン等が挙げられる。これらは単独または二種以上の混合物として使用されてよい。これら三級アミンの添加量は、インク組成物に対して0.1〜10重量%程度が好ましく、より好ましくは、0.5〜5重量%である。
【0052】
水酸化アルカリの具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムであり、その添加量はインク組成物に対して0.01〜5重量%程度が好ましく、より好ましくは0.05〜3重量%程度である。
【0053】
本発明によるインク組成物は、さらに界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の具体例としては、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)および、アセチレングリコール等が挙げられる。これらは単独または二種以上を併用することができる。
【0054】
本発明の好ましい態様によれば、上記した界面活性剤中、アセチレングリコール系界面活性剤を含んでなるのが好ましい。これらの添加によってインク組成物の記録媒体への浸透性が高くでき、種々の記録媒体においてにじみの少ない印字が期待できる。本発明において用いられるアセチレングリコール系界面活性剤の好ましい具体例としては、下記の式(I)で表わされる化合物が挙げられる。
【化2】
Figure 0003846683
[上記式中、m+nは0以上50以下であり、R、R、R、およびRは独立してアルキル基(好ましくは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基)である]
【0055】
上記の式(I)で表される化合物の中で特に好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどが挙げられる。上記の式(I)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を利用することも可能であり、その具体例としてはサーフィノール104、82、465、485、またはTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上 日信化学社製 商品名)が挙げられる。
【0056】
界面活性剤の添加量はインク組成物に対して0.01〜10重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲であり、さらに好ましくは0.5〜3重量%の範囲である。
【0057】
その他、保存安定性を向上させるために必要に応じて、インク組成物にpH調整剤、防腐剤、防かび剤等を添加することも可能である。
【0058】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、MFTは最低造膜温度を表す。
【0059】
糖の混合物の調製
糖の混合物を下記表1の組成に従って調製した。そして、それぞれを混合物A〜Eとした。表1中の数値は、混合物の全量に対する各糖または各糖の誘導体の重量%を示す。
【0060】
表1
混合物 A B C D E
ソルビトール 3 3 2 1
キシリトール 3
トレハロース 30 1
マルチトール 94 94 40 77 98
マルトトリオース 3 27 21
イソマルトトリオース 3
【0061】
インク組成物の調製
下記の組成からなるインク組成物を調製した。
【0062】
インク組成物の調製は下記の通りに行った。顔料、分散剤、水の一部を混合して、サンドミル(安川製作所製)中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の1.5倍量(重量))とともに2時間分散させた。その後、ガラスビーズを取り除き、カーボンブラック分散液を調製した。次いで、上記で調製した糖および/またはその誘導体の混合物と、顔料、分散剤、水の一部とを除く、その他の溶媒とを混合してインク溶媒として、上記の顔料分散液を撹拌しながらインク溶媒を徐々に液下して、常温で20分撹拌した。そして5μmのメンブランフィルターで濾過して、インクジェット記録用インク組成物とした。
【0063】
例1
混合物A 20重量%
カーボンブラックMA7(三菱化学製) 3重量%
スチレン−無水マレイン酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェルE−1002 5重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、
樹脂成分19.9%,MFTが約80℃、
日本ペイント(株)製)
グリセリン 5重量%
純水 残量
【0064】
例2
混合物B 20重量%
カーボンブラックMA7(三菱化学社製) 3重量%
スチレン−無水マレイン酸共重合体(分散剤) 10重量%
グリセリン 10重量%
純水 残量
【0065】
例3
混合物C 20重量%
カーボンブラックMA7(三菱化学社製) 3重量%
スチレン−無水マレイン酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェルE−1002 5重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、
樹脂成分19.9%、MFTが約80℃、
日本ペイント株式会社製)
グリセリン 5重量%
純水 残量
【0066】
例4
混合物D 20重量%
カーボンブラックMA7(三菱化学社製) 3重量%
スチレン−無水マレイン酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェルE−1002 5重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、
樹脂成分19.9%、MFTが約80℃、
日本ペイント株式会社製)
グリセリン 5重量%
純水 残量
【0067】
例5
混合物B 20重量%
カーボンブラックMA7(三菱化学社製) 3重量%
スチレン−無水マレイン酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェルE−1002 5重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、
樹脂成分19.9%、MFTが約80℃、
日本ペイント株式会社製)
グリセリン 5重量%
純水 残量
【0068】
例6
混合物D 10重量%
C.I.ピグメントブルー15:3 2重量%
スチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩 1重量%
(分散剤)
ボンコート5454 10重量%
(アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分50%、
MFTが5℃、大日本インキ化学工業社製)
グリセリン 5重量%
純水 残量
【0069】
比較例1
混合物E 20重量%
カーボンブラックMA7(三菱化学社製) 3重量%
スチレン−無水マレイン酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェルE−1002 5重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、
樹脂成分19.9%、MFTが約80℃、
日本ペイント株式会社製)
グリセリン 5重量%
純水 残量
【0070】
吐出安定性評価試験
インクジェットプリンタEM−900C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、上記例と比較例のインク組成物を充填して、常温、常圧下において、印刷した。10分間連続印刷して全ノズルからインク組成物が吐出していることを確認して印刷を停止した。印刷後、プリンタヘッドにキャップをした状態でプリンタを40℃、25%RHの環境下で1カ月放置した。放置後のプリンタの吐出状態が初期の吐出状態に回復するか否かを下記のクリーニング動作回数によって評価した。その結果は下記の表2に示した通りであった。
【0071】
評価
評価AAA:0回の動作で回復した。
評価 AA:1〜2回の動作により回復した。
評価A :3〜5回の動作により回復した。
評価B :6〜10回の動作により回復した。
評価C :10回以上の動作によっても回復がみられなかった。
【0072】
表2
例 評価
例1 AAA
例2 AA
例3 A
例4 A
例5 A
例6 A
比較例1

Claims (19)

  1. 着色剤と、水と、水溶性有機溶媒と、糖の混合物とを含んでなるインク組成物であって、
    前記糖の混合物が、(a)単糖類および/またはその誘導体と、(b)二糖類および/またはその誘導体と、(c)三糖類以上の多糖類および/またはその誘導体とを含んでなるものであり、インクジェット記録方法に用いられる、インク組成物。
  2. 前記誘導体が、糖アルコール、糖酸、アミノ糖、またはチオ糖である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 糖アルコールが、単糖類由来の糖アルコールまたは二糖類由来の糖アルコールである、請求項2に記載のインク組成物。
  4. 単糖類由来の糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、およびグリセリンからなる群から選択されるものである、請求項3に記載のインク組成物。
  5. 二糖類由来の糖アルコールが、マルチトールまたはイソマルチトールである、請求項3に記載のインク組成物。
  6. 二糖類または三糖類以上の多糖類が還元性分岐オリゴ糖である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 還元性分岐オリゴ糖が、α−1,6グルコシド結合で少なくとも2つのグルコースが結合しており分岐構造を有するものである、請求項6に記載のインク組成物。
  8. 還元性分岐オリゴ糖が、デンプン、アミロペクチン、およびグリコーゲンからなる群から選択される一種または二種以上の混合物から調製されたものである、請求項6に記載のインク組成物。
  9. 還元性分岐オリゴ糖が、イソマルトース、パノース、またはイソマルトトリオースである、請求項6に記載のインク組成物。
  10. 単糖類および/またはその誘導体と、三糖類以上の多糖類および/またはその誘導体との合計量が、糖の混合物の全量に対して2重量%以上30重量%未満である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物。
  11. 二糖類および/またはその誘導体の含有量が、糖の混合物の全量に対して70重量%超過98重量%未満である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
  12. 樹脂エマルジョンをさらに含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
  13. 樹脂エマルジョンの最低造膜温度が50℃以上である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物。
  14. 水溶性有機溶媒が180℃以上の沸点を有するものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のインク組成物。
  15. グリコールエーテル類および/またはアセチレングリコール系界面活性剤をさらに含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載のインク組成物。
  16. アセチレングリコール系界面活性剤が下記の式(I)で表される化合物である、請求項15に記載のインク組成物。
    Figure 0003846683
    [上記式中、
    m+nは、0以上50以下であり、
    、R、R、およびRは、独立してアルキル基である]
  17. インクジェット記録方法がインク組成物の液滴を吐出して、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行う方法である、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインク組成物。
  18. インク組成物の液滴を吐出して、該液滴を記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェット記録方法であって、請求項1〜16のいずれか一項に記載のインク組成物を用いる、記録方法。
  19. 請求項18に記載された記録方法によって印刷が行われた、印刷物。
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