JP3844849B2 - 多結晶シリコンおよび塩化亜鉛の製造方法 - Google Patents
多結晶シリコンおよび塩化亜鉛の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、四塩化珪素を亜鉛で還元して多結晶シリコンおよび塩化亜鉛を製造する方法に関する。多結晶シリコンの製造に関しては、還元反応によって多結晶シリコンを生成する工程から副生成物を分離する工程まで連続して実施できるとともに、必要に応じて中間化合物である四塩化珪素を製造する工程から副生成物を電気分解する工程までクローズドサイクルを構成することができる多結晶シリコンの製造方法である。また、塩化亜鉛の製造に関しては、還元反応によって塩化亜鉛を生成する工程から塩化亜鉛を分離、回収する工程まで連続して実施できる塩化亜鉛の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
最近の太陽光発電の普及にともない、太陽電池の製造技術は半導体用シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン等と多様な分野で適用され、いずれの分野においても技術開発は著しい。開発当初の太陽電池に要求された特性は光電変換効率の向上を主眼とする高性能化であったが、太陽電池の普及にともなって低価格化が指向されるようになってきた。このため、例えば多結晶シリコン基板の製造においては、原料として半導体用シリコンとして製造された多結晶シリコンの格外品や単結晶シリコンの残材等低価格のものが使用されるようになったが、量的に不十分であり、低価格化にも限界がある。このため、十分な価格競争力を持つ太陽電池の開発には、低コスト多結晶シリコンの製造技術の確立が必要となる。
【0003】
高純度の多結晶シリコンを製造する方法として、従来から多くの製造方法が提案されている(例えば、半導体シリコン結晶工学、15〜22頁、丸善、平成5年9月30日発行)。そのなかで最も代表的な製造方法として、中間化合物であるトリクロロシラン(SiHCl3)を水素(H2)によって還元するシーメンス法(Siemens Method)がある。この製造方法では、気化された高純度のトリクロロシランを高純度の水素とともに反応炉内に導入し、トリクロロシランを下記(A)の反応式にしたがって分解させ、両端をグラファイト電極で支えられ約1100℃に加熱された多結晶シリコン心棒の表面に多結晶シリコンを気相成長させるものである。
【0004】
SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl ・・・ (A)
他の製造方法として、粒状多結晶シリコンを製造するエチル法(Ethy Method)が知られている。この製造方法では、流動床反応炉が用いられ、反応炉内にシードとなるシリコン微粉末を流動させておき、その中にモノシラン(SiH4)と水素の混合ガスとが導入され、600〜700℃に加熱された流動雰囲気中でモノシランが分解する。このとき下記(B)の反応式を経て粒状多結晶シリコンが生成する。このエチル法では、流動反応での省エネルギーや、効率の高い反応性および高歩留りが期待できる。
【0005】
SiH4 → Si + 2H2 ・・・ (B)
しかしながら、これらの高純度多結晶シリコンの製造方法を、太陽電池用として使用する場合には解決しなければならない問題がある。まずシーメンス法では、多結晶シリコン心棒の加熱に多くの電力を消費することから電力原単位が悪くなる。さらに反応炉に導入されたトリクロロシランのうち僅かの比率しか多結晶シリコンの生成に寄与しないので、生産効率が著しく低い。このため低価格化を指向する太陽電池用シリコン原料の製造方法として適さない。一方、エチル法は、前述の通り、シーメンス法に比べ製造コストの面で有利となるが、太陽電池用としては未だ不十分で、もう一段のコスト低減が必要である。
【0006】
上記の多結晶シリコンの製造法に代わって、特開昭54−84824号公報にはシリコン化合物を還元することにより太陽電池用(光電変換用)多結晶シリコンを製造する方法が開示されている。この製造方法は、還元剤によって気体状態のシリコン化合物を還元させる方法であり、還元剤として亜鉛を、その他に錫、鉛等の少なくとも1種の金属を一緒に液体状態で用いることことにより、薄膜状の多結晶シリコンを製造することを特徴としている。確かに、この製造方法によれば、反応条件が750℃近傍の比較的低温で適用されることから、作業効率に優れ、また、多結晶シリコンが薄膜形状に生成するため、太陽電池用としては有利である。しかし、品質面において、重金属不純物の含有が避けられず、シリコンの純度が確保できないという問題がある。また、開示された多結晶シリコンの製造方法は、反応工程の連続化が難しく、また工程のクローズドサイクル化を意図したものでないため、生産効率の向上が図れず、コスト低減の面では不十分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、従来の多結晶シリコン製造技術の問題点に鑑み、四塩化珪素との反応効率がよい溶融亜鉛中での還元反応を利用し、還元反応の後、反応副生成物を分離する工程まで連続して実施できるとともに、必要に応じて中間化合物である四塩化珪素を製造する工程から副生成物を電気分解する工程までクローズドサイクルで構成することができ、生産効率が高く、品質的に安定して、低価格化に対応した多結晶シリコンを製造する方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第二の目的は、上記の多結晶シリコンの製造工程における還元反応で同時に生成される塩化亜鉛を分離、回収する工程まで連続して実施でき、安価で、品質的に安定した塩化亜鉛の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
太陽電池用シリコンの製造においては、所定の光電変換効率を発揮する性能を具備することが前提となる。このため、太陽電池用に供される多結晶シリコンおよびこれを製造するためのシリコン原料には、これに必要な高純度、具体的にはそれぞれ6N(99.9999%)、7N(99.99999%)相当の純度を確保することが要請される。このような高純度を達成するには、採用する製造方法としては、金属シリコンをハロゲン化反応して中間化合物を生成したのち、それを2次汚染させることなく還元・分解して高純度のシリコンを製造する方法が有効である。
【0010】
本発明者らは、種々の検討の結果、下記(C)の反応式で示されるように、中間化合物として四塩化珪素(SiCl4)を用い、これを溶融亜鉛(Zn)で還元することによってシリコン(Si)を製造するのが、生産性に優れ、価格面において有効であることを見いだした。
【0011】
SiCl4 + 2Zn → Si + 2ZnCl2 ・・・ (C)
上記の(C)式において、反応の平衡上からもほぼ全ての四塩化珪素(SiCl4)がシリコン(Si)に進行する反応系であるとともに、プロセスとしても、四塩化珪素(SiCl4)の還元工程で生成したシリコン(Si)と副生成物である塩化亜鉛(ZnCl2)と、場合によっては混入した亜鉛(Zn)との混合物を、還元反応後直ちに反応容器から抜き取ることができ、そのまま抜き取った混合物を分離容器に収容し、混合物中の塩化亜鉛(ZnCl2)や亜鉛(Zn)を蒸発、分離できる。このような生産効率の良い製造方法を採用すれは、低コストの多結晶シリコンを容易に製造することができる。
【0012】
上記のプロセスにおいて、四塩化珪素(SiCl4)の還元工程でシリコン(Si)とともに生成された塩化亜鉛(ZnCl2)を混合物として還元反応後直ちに反応容器から抜き取ることができ、そのまま抜き取った混合物を分離容器に収容し、混合物中の塩化亜鉛(ZnCl2)を分離、回収できる。このように回収された塩化亜鉛は、低コストで製造できるが、品質的に安定しており、亜鉛メッキの前処理剤、乾電池の電解成分等として広い分野で使用することができる。
【0013】
さらに低コストの多結晶シリコンの製造方法を確立するには、クローズドサイクルを構成することである。即ち、上述の製造方法では、四塩化珪素(SiCl4)や亜鉛(Zn)を外部購入に頼る必要があり、また副生成物である塩化亜鉛(ZnCl2)は有効に利用されていない。そのため分離工程で取り出された塩化亜鉛(ZnCl2)を電気分解することにより、金属亜鉛(Zn)および塩素(Cl2)を個別に回収し、再利用を図れば、製造プロセスのクローズドサイクル化が達成され、一層のコスト低減が実現することになる。
【0014】
本発明は上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記の(1)〜(2)を要旨とする多結晶シリコンの製造方法である(図1参照)。
【0015】
(1)反応容器5内で液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元し、生成した多結晶シリコンと塩化亜鉛を含有する混合物を反応容器5外に取り出し、前記混合物を分離容器10に収容し、混合物中の塩化亜鉛と多結晶シリコンとを分離してのち、両者を分離容器から回収することを特徴とする多結晶シリコンおよび塩化亜鉛の製造方法である(以下、「第一の製造方法」という)。
【0016】
(2)上記(1)のうち多結晶シリコンの製造方法であって、四塩化珪素の還元で副生成する塩化亜鉛を混合物から分離してのち、電気分解して金属亜鉛と塩素を回収し、回収された金属亜鉛を再び前記四塩化珪素の還元剤として用い、または/および回収された塩素を前工程として設けられる金属シリコンの塩化処理に用いることを特徴とする多結晶シリコンの製造方法である(以下、「第二の製造方法」という)。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、主として太陽電池用多結晶シリコンの製造用原料等に供される純度7N(99.99999%)の多結晶シリコンを製造する方法であり、その具体的な内容を、第一の製造方法および第二の製造方法に区分して説明する。また、第一の製造方法には、多結晶シリコンの製造と同時に生成する塩化亜鉛の製造方法が含まれる。
【0018】
1.第一の製造方法について
図1は、第一の製造方法、すなわち、金属亜鉛の溶融から還元反応後の反応副生成物の分離に至る製造方法の装置構成を説明する図である。第一の製造方法で対象となる工程は、前記のように▲1▼原料を供給する工程、▲2▼四塩化珪素を溶融亜鉛で還元する工程、▲3▼混合物を分離する工程および▲4▼多結晶シリコンを取り出す工程であり、これらは逐次処理される。以下、各工程の内容を説明する。
【0019】
▲1▼原料を供給する工程
反応炉への供給を容易にするため、還元剤である金属亜鉛は溶融される。金属亜鉛を投入した溶解タンク3は、加熱装置2aを備えた溶解槽2内に設置され加熱される。金属亜鉛の加熱温度は省エネルギーの観点から、金属亜鉛の融点(420℃)直上に保つべきであり、450〜550℃の範囲にするのが望ましい。還元剤の純度は製造されるシリコンの純度に大きく影響を及ぼすので、金属亜鉛の純度は4N(99.99%)以上とするのが望ましい。
【0020】
中間化合物である四塩化珪素は常温でSiCl4タンク1内に収容され、液体状態に保たれる(融点−70℃)。四塩化珪素の純度も製造される多結晶シリコンの純度に大きく影響を及ぼすので、含有される重金属類は50ppb以下とするのが望ましい。
【0021】
溶融亜鉛および四塩化珪素のタンク1、2内は、大気圧の状態で不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気に保持されており、反応容器5への供給はこの不活性ガスで加圧して供給する方式を採用する。この方式によって、溶融亜鉛および四塩化珪素を反応容器5中に別個または同時に供給することができる。
【0022】
▲2▼四塩化珪素を溶融亜鉛で還元する工程
還元反応は還元炉4内に設置された密閉式の反応容器5内で行われ、中間化合物である四塩化珪素を溶融亜鉛で還元することによって、多結晶シリコンと副生成したハロゲン化物である塩化亜鉛との混合物を得る。還元炉4は加熱装置4aを内蔵しており、内部の亜鉛および副生成する塩化亜鉛は溶融状態で保持される。加熱温度は省エネルギーおよび生成する多結晶シリコンへの汚染防止の観点から、極力低温にするのが望ましいが、ある程度の反応速度を確保するため、800℃程度にするのが望ましい。四塩化珪素はノズルを通して上部から滴下されるか、または溶融亜鉛中に直接吹き込まれる。溶融亜鉛中に直接吹き込む場合には、反応面積が反応容器5内の水平方向だけでなく、垂直方向にも確保できるため、単位面積当たりの生産量が大きくなり、装置のコンパクト化が可能である。
【0023】
前記(C)式で示すように、四塩化珪素の供給にともなって四塩化珪素は溶融亜鉛によって還元され、多結晶シリコン粉と塩化亜鉛が生成する。塩化亜鉛の沸点は732℃であるので、生成した塩化亜鉛は蒸気となって反応容器5の外部に排出される。また、同時に生成される多結晶シリコン粉は非常に微細であり、上述の塩化亜鉛の蒸気とともに混合物7として反応容器5の外部に排出される。反応により減少した亜鉛はそれに見合った量だけ連続または間欠的に溶解タンク3から供給される。
【0024】
▲3▼混合物を分離する工程
反応副生成物の分離は、分離炉9の内部に配置された分離容器10内で行われる。蒸発分離法を用いる場合、分離容器10内には、蒸発にともなう粉粒体状の多結晶シリコンの飛散を防止するため、飛散防止用の多孔板が設置される。多結晶シリコンと塩化亜鉛および場合によっては亜鉛とからなる混合物7は分離容器10の上部から導入され、そののち、分離炉9に内蔵された加熱装置9aによって、分離容器10全体が加熱され、塩化亜鉛や亜鉛が蒸発・分離されることによって、多結晶シリコンが回収される。このときの加熱温度は、多結晶シリコンへの汚染防止の観点からできるだけ低温にするのが望ましく、450〜1000℃の範囲が採用される。また、分離容器10内の圧力は大気圧でも良いが、蒸発、分離を促進するため、10〜10-3Torr程度にするのが望ましい。一方、蒸発、分離された反応副生成物である塩化亜鉛等は、分離容器10の外に排出され、熱交換器11を介して凝縮され、回収される。
【0025】
液体濾過法を用いる場合は、分離容器10には、高温特性を有し、かつ汚染が少ない多孔質のファインセラミックフィルターが施され、分離容器10に導入された混合物7が加圧濾過される。
【0026】
▲4▼多結晶シリコンを取り出す工程
上記の分離を繰り返すことによって、完全に不純物が除去され、純化された多結晶シリコンが製造される。このような多結晶シリコンは、分離容器10の下部から取り出される。取り出された多結晶シリコンの純度は、7N(99.99999%)のグレードであり、太陽電池用として適用できるものである。
【0027】
同様に、多結晶シリコンから分離された塩化亜鉛は、分離容器10から取り出され、亜鉛メッキの前処理剤、乾電池の電解成分等として使用される。
【0028】
2.第二の製造方法について
図2は、第二の製造方法の一例、すなわち、分離工程で取り出された塩化亜鉛を電解して回収された金属亜鉛を再び四塩化珪素の還元剤として用いる工程を説明する図である。前述の通り、第一の製造方法では、還元剤である金属亜鉛および四塩化珪素は外部からの購入を前提としており、分離工程で取り出された塩化亜鉛も系外に排出される。太陽電池用の多結晶シリコンの製造において、さらに低コストの製造方法を達成するには、クローズドサイクルを構成するのが有効である。そのため、第二の製造方法の一例として、図2では、分離容器から排出され、熱交換器によって凝縮され回収された塩化亜鉛を、電気分解して回収された金属亜鉛を還元剤として使用するものである。
【0029】
図3は、第二の製造方法の他の一例、すなわち、分離工程で取り出された塩化亜鉛を電解して回収された金属亜鉛を再び四塩化珪素の還元剤として用い、さらに回収された塩素を前工程として設けられる金属シリコンの塩化処理に用いる工程を説明する図である。図3に示す製造方法では、前述の図2に示す製造方法よりクローズドサイクル化を図っている。具体的には、多結晶シリコンの製造プロセス内に、前工程として金属シリコンを塩化処理し生成した四塩化珪素を蒸留する工程を新たに設け、分離容器から排出され、凝縮された塩化亜鉛の溶融液を電気分解して金属亜鉛と塩素ガスを回収し、回収された金属亜鉛を還元剤として用い、同時に回収された塩素ガスを前工程の塩化処理に使用する。
【0030】
第二の製造方法で使用される電解は、下記(D)式の反応に基づくように、電極上に金属亜鉛を析出させて回収するとともに、塩素ガスを発生させる慣用の方法を採用すればよい。
【0031】
ZnCl2 → Zn + Cl2 ・・・ (D)
前工程における四塩化珪素の製造は、下記(E)式の反応に基づくが、粗四塩化珪素の製造とその精製の2工程からなる慣用の方法によればよい。
【0032】
Si + 2Cl2 → SiCl4 ・・・ (E)
【0033】
【実施例】
本発明の太陽電池用シリコンの製造方法の効果を、第一、第二の製造方法に区分し実施例1、2に基づいて説明する。
【0034】
(実施例1)
図1に示した第一の製造方法によって多結晶シリコンの製造を行った。原料の供給から多結晶シリコンの取り出しまでのそれぞれの工程における操業条件は次の通りである。
【0035】
▲1▼原料を供給する工程
使用した金属亜鉛の純度は4N(99.99%)で、溶解タンクに収容後500℃に加熱し溶融状態とした。中間化合物として純度4N(99.99%)金属不純物20ppb以下の四塩化珪素を用いた。これらの反応容器への供給は、四塩化珪素についてはアルゴンガスで1Kg/cm2に加圧し、コントロールバルブおよび流量計を用いて流量調整をしながら実施した。溶融亜鉛については、溶解タンク内にアルゴンガスを供給して、アルゴンガスの流量を変化させることによって供給量の調整を行った。
【0036】
▲2▼還元工程
最初に還元剤として反応容器内に溶融Znを供給し、800℃に加熱し安定状態としたのち、反応容器の上部から溶融亜鉛中に四塩化珪素の供給用ノズルを浸漬して溶融亜鉛中に四塩化珪素を供給した。四塩化珪素の供給にともない、多結晶シリコンと塩化亜鉛との混合物が生成する。四塩化珪素の供給速度は、ノズル先端から溶融亜鉛層までの高さを0.5mとしたところ、最大1.6Kg-SiCl4/m2minであった。生成する塩化亜鉛は蒸発し、同時に生成する微粉状の多結晶シリコンと気体状の混合物となって、分離容器に移送される。
【0037】
▲3▼混合物を分離する工程
混合物の分離は、蒸発分離法と液体濾過法で実施した。蒸発分離法による場合は、分離容器内は500℃で、1Torrの条件とした。分離の終点は、加熱炉の制御出力の変化を見極めた。
【0038】
一方、液体濾過法による場合は、塩化亜鉛と多結晶シリコンの混合物を500℃に加熱し、塩化亜鉛とそれに含まれる亜鉛を完全に溶解した後、ファインシリカ製の多孔質板を用い、0.2Kg/cm2の圧力をかけて加圧濾過した。
【0039】
▲4▼多結晶シリコンを取り出す工程
分離が完了したのち、高純度の粉粒体状シリコンが取り出される。取り出されたシリコンを分析したところ、純度は7N(99.99999%)であり、太陽電池用として適用できることが確認された。さらに、このようにして製造されたシリコン原料の製造コストを、従来のシーメンス法で製造された多結晶シリコンのそれを100とした場合と比較すると、40となり低価格化が図れたことが分かる。
【0040】
(実施例2)
第二の製造方法のうち、前記図2に示す工程で、分離排出された塩化亜鉛から金属亜鉛を回収して多結晶シリコンを製造した。工程▲1▼、▲2▼および▲3▼は実施例1と同じ条件とした。電解の工程は次の条件で操業した。
【0041】
すなわち、電気分解は浴温度500℃で、電流密度760A/m2、浴電位3V、浴電流2.26Aとし、塩化亜鉛(ZnCl2)の溶融液の濃度を56Zn-g/リットルとなるように浴組成を調整した。電解で回収されたZnの純度は99.998%であり、再び溶融Znとして使用した。
【0042】
本方法で製造した多結晶シリコンを分析したところ、純度は7N(99.99999%)であり、太陽電池用として問題のない品質であった。従来のシーメンス法で製造された多結晶シリコンの製造コストを100とした場合に、本方法で製造したシリコンのそれを試算すると、30となり低価格になっている。
【0043】
【発明の効果】
本発明の多結晶シリコンの製造方法によれば、還元反応の後、反応副生成物を分離する工程まで連続して実施できるとともに、必要に応じて中間化合物である四塩化珪素を製造する工程から副生成物を分離する工程までクローズドサイクルで構成することができるので、品質的に安定して、低価格化に対応した多結晶シリコンを高い生産効率で製造することができる。
【0044】
また、本発明の塩化亜鉛の製造方法によれば、多結晶シリコンの製造プロセスで同時に生成される塩化亜鉛から連続して製造できるので、安価で、品質的に安定した塩化亜鉛を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の製造方法、すなわち、金属亜鉛の溶融から還元反応後の反応副生成物の分離に至る製造方法における装置構成を説明する図である。
【図2】第二の製造方法の一例、すなわち、分離工程で取り出された塩化亜鉛を電解して回収された金属亜鉛を再び四塩化珪素の還元剤として用いる工程を説明する図である。
【図3】第二の製造方法の他の一例、すなわち、分離工程で取り出された塩化亜鉛を電解することにより回収された金属亜鉛を再び四塩化珪素の還元剤として用い、さらに回収された塩素を前工程として設けられる金属シリコンの塩化処理に用いる工程を説明する図である。
【符号の説明】
1:SiCl4タンク、 2:溶解槽
3:溶解タンク、 4:還元炉
5:反応容器、 7:混合物
8:溶融亜鉛層、 9:分離炉
10:分離容器
2a、4a、9a:加熱装置
Claims (7)
- 反応容器内で液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元し、生成した多結晶シリコンと塩化亜鉛とを含有する混合物を反応容器外に取り出し、前記混合物を分離容器に収容し、混合物中の塩化亜鉛を分離してのち、多結晶シリコンを分離容器から回収することを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
- 上記混合物が、塩化亜鉛の蒸気および多結晶シリコン粉が主成分であることを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコンの製造方法。
- 上記塩化亜鉛の分離が、蒸発分離または液体濾過であることを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコンの製造方法。
- 上記四塩化珪素の還元で副生成する塩化亜鉛を混合物から分離してのち、電気分解して金属亜鉛と塩素を回収し、回収された金属亜鉛を再び前記四塩化珪素の還元剤として用い、または/および回収された塩素を前工程として設けられる金属シリコンの塩化処理に用いることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の多結晶シリコンの製造方法。
- 反応容器内で液体または気体状態の四塩化珪素を溶融亜鉛で還元し、生成した多結晶シリコンと塩化亜鉛とを含有する混合物を反応容器外に取り出し、前記混合物を分離容器に収容し、混合物から塩化亜鉛を分離してのち、塩化亜鉛を分離容器から回収することを特徴とする塩化亜鉛の製造方法。
- 上記混合物が、塩化亜鉛の蒸気および多結晶シリコン粉が主成分であることを特徴とする請求項5に記載の塩化亜鉛の製造方法。
- 上記塩化亜鉛の分離が、蒸発分離または液体濾過であることを特徴とする請求項5に記載の塩化亜鉛の製造方法。
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