JP3841504B2 - キャビン前置型農耕用車輌 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の前にも後にも作業機を連結できるべく、車体の前部にキャビンを、後部にエンジンルーム用ボンネットを配設し、車体前端及び後端に作業機連結装置を装備する農耕用車輌であって、いずれの作業機連結状態でも、視界を確保できることを図る構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の農耕用トラクタは、主に後方に作業機を連結して作業する構造となっており、車体後端に作業機連結装置を装備するとともに、車体前部にエンジンルーム用ボンネットを、車体後部に運転席を配設している。従って、運転席をキャビンにて覆う場合には、車体後部にキャビンを配設することとなる。例えば、特開昭56−28060号公報に示されている。
【0003】
この従来型の農耕用トラクタでは、運転席に座る作業者から見れば、後方に作業機が配置されているので、作業状態は一々後方を振り返って確認しなければならない。そこで、車体の前端にも作業機連結装置を設けるとともに、車体の前部に運転席を配してキャビンで覆い、後部にボンネットを配設するキャビン前置型農耕用車輌が開発された。この場合、車体前端の作業機連結装置に作業機を連結して作業を行うと、車体前部に配されるキャビン内の運転席に座った作業者は、前方を見ながら作業状態を確認できることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のキャビン前置型農耕用車輌は、車体後部に作業機を連結する従来型の農耕用トラクタのシャーシフレームそのままを使用して、キャビンとボンネットとの配設位置を逆転しただけの構成なので、居住性や視界確保の面で様々な問題があった。まず、その居住性から言えば、従来のシャーシフレームは一対の左右各メインフレームが、前後略水平で平行なものとなっている。
【0005】
従来は、後輪に、車径が大きく、幅広の車輪を用いており、これをフェンダーで覆って、その上部に左右幅広の空間を確保することで、左右メインフレーム同士の間隔がある程度狭くても、キャビンの室内空間を広く取ることができた。しかし、キャビンを前部に配置する場合、車径の小さな前輪部分でこのような構造は取れず、シャーシフレームにおける左右メインフレーム間の幅に限定されて、左右幅が小さく、室内空間の狭いキャビンにならざるを得なくなっていた。
また、従来のキャビン前置型農耕用車輌では、キャビンを防振構造としたものは公知となっておらず、騒音、振動面で居住性を欠いていた。
【0006】
更に、視界確保の面から言えば、キャビン自体は、全面ガラス貼りにする等して、全方向の視界を確保できるものである。問題は、視界を遮る各部の部品の存在である。この点で、後方視界に関しては、車体前部に配設したキャビンから車体後端に連結する作業機までの距離は遠く、間にはボンネットが介在する。従って、作業機の様子は、ボンネットの両側からの確認となる。しかし、従来のように大径の後輪であり、更にフェンダーで覆っている場合には、この後方作業機の視界を遮る位置に後輪とフェンダーが配置されることとなり、車体後端の作業機連結装置に作業機を連結した場合には、作業状態が非常に確認しづらくなる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を用いるものである。
【0008】
シャーシフレーム(A)上の前部にキャビン(C)を、後部にボンネット(B)を配設し、車体前端及び後端に作業機連結装置(FL・RL)を装備するキャビン前置型農耕用車輌において、前記キャビン(C)はシャーシフレーム(A)上に、ミッドフレーム(Ca)、座席フロア(12)、及びキャビン本体(Cb)を上下に組付けて構成し、該ミッドフレーム(Ca)は、上から載置する座席フロア(12)を内側より支持するフレーム構成とし、該座席フロア(12)は薄肉板材で成形し、防振ゴム11(11F・11R)を介してシャーシフレーム(A)に取り付けたミッドフレーム(Ca)の上から被せて係止し、該キャビン本体(Cb)は、両側部に上部枠フレーム(17a)、下部水平枠フレーム(17b)、及び下部傾斜枠フレーム(17c)よりなる枠フレーム(17)を配設し、前記左右下部傾斜枠フレーム(17c)の下方に、下部サイドガラス(27)を取り付けるための下部サイドガラスフレーム(23)を配設し、該キャビン本体(Cb)の搭載に際し、該座席フロア(12)上に、該下部サイドガラスフレーム(23)の下端がシール部材を介して載置され、該下部サイドガラスフレーム(23)及び下部サイドガラス(27)の後端は内側向きに曲折して、後端左右両隅にも下部サイドガラス(27)を配置し、キャビン後端の両隅部に透明部を配設したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のキャビン前置型農耕用車輌の実施の形態を、添付の図面をもとに説明する。
【0010】
図1は本発明に係るキャビン前置型農耕用車輌の側面図、図2は同じく正面図、図3は同じく後面図、図4は同じくキャビン本体Cbを除いた状態の平面図、図5はシャーシフレームAの平面図、図6は同じく正面図、図7は同じく後面図、図8は図5中X−X線断面図、図9はメインフレーム1の側面図、図10はキャビンCの構成及びそのシャーシフレームAへの搭載構造を示す側面図、図11は同じく後面図、図12はミッドフレームCaの平面図、図13は同じく側面図、図14は同じく後面図、図15は座席フロア12の平面図、図16は同じく正面図、図17は同じく後面図、図18は同じく側面図、図19は図15中Y−Y線断面図、図20はキャビン本体Cbの平面図、図21は同じく側面図、図22は同じく正面図、図23は同じく後面図、図24は下部サイドガラス27の側面図、図25は同じく平面図、図26はHST用主変速レバー32及び副変速スイッチ34の配置構成を示すダッシュボード28の部分平面断面図である。
【0011】
まず、図5乃至図9より、シャーシフレームAの構成について説明する。
シャーシフレームAは、前後方向に左右一対のメインフレーム1・1を配設し、適宜箇所にて両メインフレーム1・1間を連結し、また、各メインフレーム1の適宜箇所に各種部材取付用のブラケットを付設してなる。
【0012】
メインフレーム1は、図9のように、途中に傾斜部分を設けた角状の鋼管材である。傾斜部分を傾斜部1b、それより前方の一段低い部分を前水平部1a、それより後方の一段高い部分を後水平部1cとする。これを本発明のキャビン前置型農耕用車輌のシャーシフレームAとして適用する場合には、メインフレーム1を車体前後方向に配して、前後の水平部1a・1cを側面視水平になるようにするととともに、正面視においては、該傾斜部分1bが傾斜状になるようにして、該前水平部1aが該後水平部1cよりも外側になるように傾ける。つまり、図6及び図7のように、左右のメインフレーム1・1の両傾斜部1b・1bが、正面視で八の字となるようにするのである。これによって、前水平部1aは、図8の如く後水平部1cよりも一段低くなると同時に、図5のように、後水平部1c・1c間の幅よりも前水平部1a・1a間の幅の方が長くなる。
【0013】
本発明は、キャビンを車体前部に配置する農耕用車輌である。そのため、乗降を容易とするように、また、前方視界を低地まで及ぼすことができるように、キャビンの前部を低くすることが望ましい。前水平部1aは、座席やボンネット等が載置される後水平部1cよりも一段低くなっているので、キャビン前部が低くなる。
【0014】
加えて、前水平部1a・1a間が広いために、立設するキャビンの室内の左右方向も広くすることができ、居住性が向上できる一方で、後方のボンネット部分は後水平部1c・1c間の幅が狭く絞られているので、ボンネットの左右幅を短く絞ることができ、後記のキャビンCのリアガラス26や下部サイドガラス27の形状と相まって、ボンネットの左右外側より後方の作業機の状態をキャビンより確認することができるのである。
【0015】
シャーシフレームAのその他の構成について説明する。左右のメインフレーム1・1(前水平部1a・1a)の前端部に、前部プレート2・2が配設されており、該前部プレート2・2に、防振ゴム取付用螺子孔2a・2aが穿設されている。両前部プレート2・2の後端は、左右メインフレーム1・1の両前水平部1a・1a間に架設される、後記の前部作業機連結装置FLを支持するための前部リンクフレーム3に固着されている。また、後水平部1c・1cの前端部分同士が連結フレーム4にて連結されており、その直後にて、各後水平部1c・1cより水平内向きに防振ゴム取付用螺子孔5aを有するキャビン搭載用ブラケット5・5が突設されている。
【0016】
後水平部1c・1cの後半部分には、ミッションケースMや走行用伝動軸、PTO伝動軸等を支持するブラケット6・6・・・等が配設されており、後端部には、後記の後部作業機連結装置RLを支持するための後部リンクフレーム7が架設されている。
【0017】
シャーシフレームAを中心に、キャビン前置型農耕用車輌の各部レイアウト構成について説明する。
シャーシフレームAの下方においては、メインフレーム1の後水平部1cの下方にて前輪用及び後輪用の各アクスルケースが配設されて、同一径の前輪FW・後輪RWが懸架されている。なお、前輪FWの直前部にメインフレーム1の傾斜部1bが配置される。シャーシフレームAの前端及び後端には、それぞれ、前部作業連結装置FL、後部作業連結装置RLが取り付けられている。そして、シャーシフレームAの上部においては、メインフレーム1の前水平部1a、傾斜部1b、及び後水平部1cの前部分にわたって、キャビンCを搭載しており、後水平部1c上にて、該キャビンCの後端よりシャーシフレームAの後端にわたって、ボンネットBを搭載している。ボンネットBは、その保護を兼ねて、燃料タンク等、様々な物を載置できるような構成のワークフレーム35にて囲まれている。
【0018】
ボンネットB内はエンジンルームになっていて、シャーシフレームAの下方にて、該ボンネットBの下方にHST用ミッションケースMが配設されており、後輪のアクスルケースに連結されて、後輪RWに走行動力を伝達し、また該ミッションケースMより前輪のアクスルケースに伝動軸を介設して、前輪FWに走行動力を伝達する。更に、後部作業連結装置RLに連結する作業機に対して動力を伝達するための後部ユニバーサルジョイントRUに対して、該ミッションケースMより、PTO軸を後方に突設し、また、前部作業連結装置FLにて連結する作業機に動力伝達するための前部ユニバーサルジョイントFUに対して、前方にもPTO軸を連結している。
【0019】
次に、シャーシフレームAに対するキャビンCの取付構成について説明する。
まず、キャビンCは、図10及び図11の如く、ミッドフレームCa、座席フロア12、及びキャビン本体Cbを上下に組み合わせて構成される。ミッドフレームCaは、図12乃至図14図示の如き構成で、上下方向の左右支柱フレーム8・8、前後方向の左右下部フレーム9・9、及び座席フレーム10を組み合わせてなる。各支柱フレーム8の下端及び各下部フレーム9の前端にはそれぞれ、防振ゴム取付用螺子孔を有する防振ゴム取付用部8a・9aが形成されていて、シャーシフレームAへの取付に際しては、該防振ゴム取付用部8a・9aの各螺子孔を前記のシャーシフレームAにおける防振ゴム取付用螺子孔2a・5aに合わせ、それぞれ、前部防振ゴム11F、後部防振ゴム11Rを螺装して共締めするのである。なお、前部防振ゴム11Fについては、後記の如く、キャビン本体Cbのフロアフレーム19を共締めする。
【0020】
ミッドフレームCaは、座席フロア12を内側より支持するフレーム構成となっており、座席フレーム10の中央部は、座席Sを搭載する座席搭載部10aとなっており、またその左右部分は、一段低くなっていて、座席フロア12との組み合わせで各種スイッチ類やレバー類を配置する操作パネルフレーム部10b・10cとなっている。左操作パネルフレーム部10bは、後記の如くミッドフレームCa上に座席フロア12を被せた時に座席Sの左側に配される2WD/4WD切換用スイッチ及び空調用スイッチの左操作パネル13Lを支持する部分であり、右操作パネルフレーム部10cは、PTO制御及び作業機昇降用のレバーの操作パネルである後記右操作パネル13Rを支持する部分である。特に右操作パネルフレーム部10cは、直接に前部作業機昇降用レバー15F、及び後部作業機昇降用レバー15Rを取り付けるための昇降レバー用ブラケット10f・10gを有するレバー装着用プレート10dを載置している。10eは、PTO変速レバーガイド溝である。
【0021】
図15乃至図19図示の座席フロア12は、薄肉板材で成形している。キャビンCの構成及び搭載時においては、前記の如く、防振ゴム11(11F・11R)を介してシャーシフレームAに取り付けたミッドフレームCaの上から被せて、支柱フレーム8・8の各上端のフロア取付部8b・8bを、該座席フロア12に形成するフレーム取付座12a・12aに螺止する。座席Sは、図4の如く座席フロア12の中央部の座席台部12bに搭載され、その左側には左操作パネル部12c、右側には右操作パネル部12dが配されている。
【0022】
図4の如く、該操作パネル部12cには、2WD/4WD切換用スイッチ及び空調用スイッチを装備する左操作パネル13Lを組み付けている。一方、操作パネル部12dには開口部を形成しており、該開口部を塞ぐように右操作パネル13Rを取り付ける。該右操作パネル13Rにはレバーガイド溝13a・13b・13cが形成されていて、ミッドフレームCaのレバー装着用プレート10dの各昇降レバー用ブラケット10f・10gにて取り付けられた作業機昇降用レバー15F・15R、及び前記ミッションケースMより延設されてPTO変速レバーガイド溝10eより突出するPTO変速レバー14が、各レバーガイド溝13a・13b・13cを通って、上部に突出する。なお、操作パネル部12c,12dは、実施例では左及び右にあるが、これに限定せず、どちらの側にあっても良い。
【0023】
また、座席フロア12の前端右寄り部分には、縦状のデフロックペダル溝12eを形成しており、該デフロックペダル溝12eの底部の開口部よりデフロックペダル16を上方に突出していて、デフロックペダル16を踏む足の踵部を案内し、座席フロア12に足の踵部が当たらないようにしている。
【0024】
図1乃至図3及び図20乃至図23図示のキャビン本体Cbは、両側部に上部枠フレーム17a、下部水平枠フレーム17b、及び下部傾斜枠フレーム17cよりなる枠フレーム17を配設している。左右の上部枠フレーム17a・17aの上端間には、ルーフフレーム18が配設されている。また、下部水平枠フレーム17bは、シャーシフレームAにおけるメインフレーム1の前水平部1aに合わせて低くしており、左右の下部水平枠フレーム17b・17b間にフロアフレーム19を配設していて、該フロアフレーム19には、前記ミッドフレームCaの防振ゴム取付用部9a・9aに合わせるべく、防振ゴム取付用部19a・19aを形成している。
【0025】
シャーシフレームAへの取付の際には、シャーシフレームAの防振ゴム取付用螺子孔2aに対して、防振ゴム取付用部9a・19aを、前記の前部防振ゴム11Fにて共締めするのである。即ち、キャビン本体Cbの前部は、このように、前部防振ゴム11Fを介して、ミッドフレームCaとともにシャーシフレームAに防振支持されるのである。なお、左右各下部水平枠フレーム17bの外端にはステップ20が配設されている。また、ミッドフレームCa上に取付け配設したフロアフレーム19上には、図2図示のフロア29が貼設される。
【0026】
該キャビン本体Cbの前部は、このように、一段低い前水平部1a・1aに合わせて、その下端部分を低くすることで、前部作業機連結装置FLに連結する作業機による作業状態が、その下方部分までよく視認できるようになっている。左右の上部枠フレーム17a・17aの前端間には、図2等の如く、フロントガラス25を配設する。左右両側面には、図1や図10の如く、枠フレーム17(上部枠フレーム17a・下部水平枠フレーム17b・下部傾斜枠フレーム17c)に囲まれるようにして、サイドガラス21aを有するサイドドア21を配設している。該サイドドア21の後端は、ピラー22の前端に、ヒンジを介して取り付けられる。該ピラー22より後部には、図1や図3等の如く、リアガラス26が後面及び後端左右隅部にわたって配設される。
【0027】
そして、左右各下部傾斜枠フレーム17cの下方にて、図24及び図25図示の下部サイドガラス27を取り付けるための下部サイドガラスフレーム23が配設されており、キャビン本体Cbの搭載に際しては、該座席フロア12上に、該下部サイドガラスフレーム23の下端が、ウレタン等のシール部材を介して載置される。下部サイドガラスフレーム23及び下部サイドガラス27の後端は内側向きに曲折して、後端左右両隅にも下部サイドガラス27を配する状態にしており、上部のリアガラス26の下方に配置されて、後方を視認できるようにしている。
【0028】
キャビン本体Cbの前面下部の中央部には、図22等の如く正面視アーチ形状に、後方に凹設した形状のフロントカバー24が形成されており、この中に前部作業機連結装置FLを内包する。ダッシュボード28は、該フロントカバー24を覆うようにして取り付けられる。即ち、前部作業機連結装置FLは、ダッシュボード28内に配設される状態となって、該前部作業機連結装置FLにて前方視界を遮る範囲を低減でき、また、その保護を図ることができるのである。
【0029】
キャビンCb後部における左右の下部サイドガラスフレーム23・23の後端間の空間に収まるように、ボンネットBが配設される。シャーシフレームAのメインフレーム1における左右の後水平部1c・1c間は、前水平部1a・1a間に比して幅が狭くなっており、ボンネットBの左右幅は、キャビンCの左右幅よりも短く構成されている。従って、下部サイドガラスフレーム23及び下部サイドガラス27の後端を前記のように曲折して、リアガラスとなる部分を、ボンネットBの左右外側に配し、ボンネットBの左右外側より後方を視認することが可能となっており、後部作業機連結装置RLに連結する作業機の作業状態を容易に確認することができるのである。
【0030】
また、従来型のキャビン後置型のトラクタであれば、下部傾斜枠フレーム17cの外側にフェンダーを溶接固着するところであるが、前輪FWの上方部分であるキャビンCの左右には、フェンダーは配設されていない。従って、キャビンとフェンダーとの溶接が不要であるばかりでなく、フェンダーによって後方の視界が遮られることがない。また、後輪RWの車幅及びタイヤ幅も、前輪FWのそれらと略同一としており、後輪RWが左右に大きく突出していることもなく、フェンダーも設けていないので、後方の視覚を妨げないようにしている。このことと、前記の下部サイドガラス27の形状とが相まって後部作業機連結装置RLに連結する作業機の状態がよく確認できるのである。特に、後輪が小さければ、視界性はなお良い。
【0031】
ダッシュボート28には、ステアリングコラム30及びハンドル31の他、走行駆動関連のレバーやペダル、スイッチ類、及び計器が配設されている。その中で、HST用の主変速レバー32が図1、図4及び図26の如く、ハンドル31の根元部分(ステアリングコラム30の側方)にて左側向きに配設されている。該主変速レバー32は、中間位置が中立Nとなっていて、前方に押せば前進走行F、後方に引けば後進走行Rとなる。また、主変速レバー32の中立位置からの傾倒角度によって速度が調整されるが、その変速度は、副変速の高と低の切換可能となっている。つまり、高速設定では、主変速レバー32の傾倒量に対する変速量が大きくなり、低速設定では、それが小さくなる。その高速・低速設定の選択用に、副変速スイッチ34が、主変速レバー32の根元付近に設けられた副変速スイッチステー33に取り付けられている。従来副変速操作は、座席の側方にレバー等を配して行うものであったが、該副変速スイッチ34をこのようにハンドル31の近傍に設けたのに伴い、ハンドル31から大きく手を離すことなく、高速・低速設定の切換操作が容易化されるのである。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上の如く構成したので、次のような効果を奏するものである。
シャーシフレーム(A)上の前部にキャビン(C)を、後部にボンネット(B)を配設し、車体前端及び後端に作業機連結装置(FL・RL)を装備するキャビン前置型農耕用車輌において、前記キャビン(C)はシャーシフレーム(A)上に、ミッドフレーム(Ca)、座席フロア(12)、及びキャビン本体(Cb)を上下に組付けて構成し、該ミッドフレーム(Ca)は、上から載置する座席フロア(12)を内側より支持するフレーム構成とし、該座席フロア(12)は薄肉板材で成形し、防振ゴム11(11F・11R)を介してシャーシフレーム(A)に取り付けたミッドフレーム(Ca)の上から被せて係止し、該キャビン本体(Cb)は、両側部に上部枠フレーム(17a)、下部水平枠フレーム(17b)、及び下部傾斜枠フレーム(17c)よりなる枠フレーム(17)を配設し、前記左右下部傾斜枠フレーム(17c)の下方に、下部サイドガラス(27)を取り付けるための下部サイドガラスフレーム(23)を配設し、該キャビン本体(Cb)の搭載に際し、該座席フロア(12)上に、該下部サイドガラスフレーム(23)の下端がシール部材を介して載置され、該下部サイドガラスフレーム(23)及び下部サイドガラス (27)の後端は内側向きに曲折して、後端左右両隅にも下部サイドガラス(27)を配置し、キャビン後端の両隅部に透明部を配設したので、キャビンを防振ゴムを介してシャーシフレームに取り付けることで、キャビンが防振支持され、一層の居住性向上に貢献する。
更に、キャビンより後方のボンネットより左右外側部分が、キャビン後端両隅の下部サイドガラス(27)等を透して視認することができ、車体後端の作業機連結装置に連結する作業機による作業状態をキャビンの内部より容易に確認することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るキャビン前置型農耕用車輌の側面図である。
【図2】 同じく正面図である。
【図3】 同じく後面図である。
【図4】 同じくキャビン本体Cbを除いた状態の平面図である。
【図5】 シャーシフレームAの平面図である。
【図6】 同じく正面図である。
【図7】 同じく後面図である。
【図8】 図5中X−X線断面図である。
【図9】 メインフレーム1の側面図である。
【図10】 キャビンCの構成及びそのシャーシフレームAへの搭載構造を示す側面図である。
【図11】 同じく後面図である。
【図12】 ミッドフレームCaの平面図である。
【図13】 同じく側面図である。
【図14】 同じく後面図である。
【図15】 座席フロア12の平面図である。
【図16】 同じく正面図である。
【図17】 同じく後面図である。
【図18】 同じく側面図である。
【図19】 図15中Y−Y線断面図である。
【図20】 キャビン本体Cbの平面図である。
【図21】 同じく側面図である。
【図22】 同じく正面図である。
【図23】 同じく後面図である。
【図24】 下部サイドガラス27の側面図である。
【図25】 同じく平面図である。
【図26】 HST用主変速レバー32及び副変速スイッチ34の配置構成を示すダッシュボード28の部分平面断面図である。
【符号の説明】
A シャーシフレーム
B ボンネット
C キャビン
Ca ミッドフレーム
Cb キャビン本体
S 座席
1 メインフレーム
1a 前水平部
1b 傾斜部
1c 後水平部
2 前部プレート
2a 防振ゴム取付用螺子孔
5 キャビン搭載用ブラケット
5a 防振ゴム取付用螺子孔
8 支柱フレーム
8a 防振ゴム取付用部
8b フロア取付部
9 下部フレーム
9a 防振ゴム取付用部
10 座席フレーム
11F 前部防振ゴム
11R 後部防振ゴム
12 座席フロア
17 枠フレーム
23 下部サイドガラスフレーム
27 下部サイドガラス
Claims (1)
- シャーシフレーム(A)上の前部にキャビン(C)を、後部にボンネット(B)を配設し、車体前端及び後端に作業機連結装置(FL・RL)を装備するキャビン前置型農耕用車輌において、前記キャビン(C)はシャーシフレーム(A)上に、ミッドフレーム(Ca)、座席フロア(12)、及びキャビン本体(Cb)を上下に組付けて構成し、該ミッドフレーム(Ca)は、上から載置する座席フロア(12)を内側より支持するフレーム構成とし、該座席フロア(12)は薄肉板材で成形し、防振ゴム11(11F・11R)を介してシャーシフレーム(A)に取り付けたミッドフレーム(Ca)の上から被せて係止し、該キャビン本体(Cb)は、両側部に上部枠フレーム(17a)、下部水平枠フレーム(17b)、及び下部傾斜枠フレーム(17c)よりなる枠フレーム(17)を配設し、前記左右下部傾斜枠フレーム(17c)の下方に、下部サイドガラス(27)を取り付けるための下部サイドガラスフレーム(23)を配設し、該キャビン本体(Cb)の搭載に際し、該座席フロア(12)上に、該下部サイドガラスフレーム(23)の下端がシール部材を介して載置され、該下部サイドガラスフレーム(23)及び下部サイドガラス(27)の後端は内側向きに曲折して、後端左右両隅にも下部サイドガラス(27)を配置し、キャビン後端の両隅部に透明部を配設したことを特徴とするキャビン前置型農耕用車輌。
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