JP3840375B2 - 車両用キーレスエントリー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用のキーレスエントリー装置、特に電子キーの所在を的確に検出して制御を適正に行うようにした装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両側の送受信装置から電子キーを起動させるための電磁誘導信号を間欠的に送信し、電子キーから送信される識別信号に応じてドアロック装置を施解錠するように構成された車両用キーレスエントリー装置が知られている。このような装置においては、電子キーの携帯者が車外に居る時と車内に居る時とで制御の手順が異なるのが普通であり、電子キーの所在が的確に検出されないと誤動作を起こす可能性があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明はこの点に着目し、電子キーの所在が的確に検出して誤動作を防止することを課題としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、この発明では、電子キーとの交信結果に応じて車両に搭載された車載機器を作動させるキーレスエントリー装置において、電子キーを起動させるための電磁誘導信号を車室内に送信する車内用アンテナと、この電磁誘導信号を車室外に送信する車外用アンテナとを有し、送信された電磁誘導信号に応動して電子キーから送信される識別信号を受信して識別信号に応じた動作信号を出力する送受信装置と、出力された動作信号に応じて車載機器を駆動する駆動装置と、ドアの開閉を検出するドアセンサとを備えており、車内用アンテナから電磁誘導信号を発信した時に識別信号の応答があれば電子キーの所在位置は室内と判定し、車外用アンテナから電磁誘導信号を発信した時に識別信号の応答があれば電子キーの所在位置は室外と判定すると共に、ドアの開放が検出されるとドアの開放中は間欠的に送信されている電磁誘導信号の送信周期を短くするように構成している。ここで、上記の車載機器を駆動する駆動装置とは、例えばイグニッションスイッチの操作ノブを操作可能な状態とする操作ノブ用ソレノイド、ドアロック用アクチュエータ、その他の車載機器の各種駆動手段、アクチュエータで駆動されるドアロック装置等である。
【0005】
このような構成により、昇降に伴って電子キーの所在が車内から車外へ、またはその逆に変化し、車両の状態が変化することの多いドア開放時に、電磁誘導信号の短い送信周期により車両側の送受信装置と電子キーとの通信が密に行われることになる。このため、電子キーの所在位置を的確に検出しながら誤動作のない適正な制御が行われ、応答性も向上する。
【0006】
上記の装置においては、車外用アンテナは車両の前部ドアと後部ドアの間にあるセンターピラーに配置され、車内用アンテナはセンターコンソールに配置されている。このような構成により、各アンテナの通信エリアの重複を避けることが可能となり、混信などによる誤動作が防止される。
【0007】
【発明の実施の形態】
次にこの発明の実施の形態を説明する。図1は装置全体の構成を示すブロック図、図2は電子キーの構成を示すブロック図である。図において、1はこの発明に係るキーレスエントリー装置、2は電子キー、3は送受信装置4及び関連する各種機器を有する車両側装置である。このキーレスエントリー装置1は電子キー2と車両側装置3で構成されているが、単なるドアの施解錠だけでなく、電子キー2のバッテリが消耗している場合でも、ステアリングロック装置やイグニッションスイッチのオンオフを制御することができるイモビライザーの機能も備えている。
【0008】
電子キー2は原則として使用者(運転者)が携帯しているものであって、トランスポンダの機能を備えており、図2に示すように、CPUを備えた電子キー側制御部21、電子キー側送受信部22、電磁誘導信号受信用アンテナ23及び応答信号発信用アンテナ24、手動送信スイッチ25、警報発生用のブザー26、電源バッテリ27、トランスポンダ28等で構成されている。上記の制御部21はCPUのほか所定の動作に必要な各種の回路を備えており、また手動送信スイッチ25は手動操作でドアのロックとアンロックの指令を送信するためのものである。また、トランスポンダ28は後述する専用のアンテナ41bからの電磁誘導信号を受けてその起電力で作動し、受信した電磁誘導信号に対応した識別信号を発信するものである。なお、電磁誘導信号には例えば125kHzの比較的低い周波数が用いられ、応答信号には例えば315MHzの高い周波数が用いられる。また電子キー2はカード状のものであり、図3以下のフローチャートで「カード」と記載してあるのは電子キー2を意味しているが、電子キー2の形状は通常の手動操作キー、すなわちマニュアルキーに電子キーの回路部を一体化したものなど、他の形状とすることもできる。
【0009】
図1に示すように、車両側装置3の送受信装置4は、CPUを備えた車両側制御部41と車両側送受信部42を備えたものである。制御部41には専用のアンテナ41bを備えたステアリングロック装置(以下、STLと記す)などを制御するイモビライザー用の制御回路41aが付属しており、この制御回路41aとアンテナ41bはイグニッションスイッチの近傍に配置されている。送受信部42には電磁誘導信号発信用の車内用アンテナ51及び車外用アンテナ52、電子キー2からの応答信号受信用アンテナ53が接続されている。車内用アンテナ51は車室内にある電子キー2に対する発信用で、例えば車両のセンターコンソールに配置されており、車室内の全域に電磁誘導信号を送信するように構成されている。車外用アンテナ52は車室外にある電子キー2に対する発信用で、例えば車両の前部ドアと後部ドアの間にあるセンターピラーに配置されている。
【0010】
更に送受信装置4には、センサ54、駆動装置55、報知装置56、イグニッションスイッチ57等が接続されている。センサ54としては例えばドアセンサ54a、意志確認センサ54b、ロックセンサ54cなどの各種センサがある。なお、ドアセンサ54aは乗降用の各ドアのほか、トランクドアにも適宜設けられる。駆動装置55としては例えばイグニッションスイッチの操作ノブの操作を可能な状態とする操作ノブ用ソレノイド55a、ドアロック用アクチュエータ55b、その他の車載機器55cなどの各種駆動手段、アクチュエータ55bで駆動されるドアロック装置55d等がある。また報知装置56としては、例えばブザー56a、ハザードランプ56b、表示灯56c等が適宜用いられる。57aはイグニッションスイッチ57の操作ノブである。
【0011】
前述したように、この種の車両用キーレスエントリー装置は電子キーを携帯した者が車両に近付くと自動的にドアが解錠され、車両から離れると自動的にドアが施錠されるように構成されたものが一般的である。この実施態様の装置では、単に電子キーの所在場所に応じてドアを施解錠するのではなく、施解錠に必要な他の操作や手順を加え、あるいは警報を発生する機能を付加する等の手段によって、盗難の可能性を大幅に低減している。
【0012】
以下、図示のフローチャートによって動作を説明する。図3乃至図5は車両側装置3の制御部41の基本動作を示すフローチャート、図6は電子キー2の制御部21の基本動作を示すフローチャート、図7及び図8はステアリングロックの制御に関する制御回路41aの動作を示すフローチャート、図9は警報ルーチンのフローチャートである。
【0013】
図3において、ステップS1で初期化された送受信装置4は、ステップS2で電磁誘導信号をアンテナ51及び52から発信し、この状態を保持してステップS3のホールドに進んで待機している。この電磁誘導信号の発信は原理的には連続でもよいが、ここでは例えば0.68秒の周期で0.1秒ずつ発信するという間欠的なものとなっている。これは車両の電源バッテリの消耗軽減等に有益である。この状態で電子キー2の携帯者が例えば1m以内に近付くと、図6に示すような電子キー2側の動作が開始される。
【0014】
図6において、ステップS201はバッテリ27が入れられて初期化された状態であり、外部割込を可能とするステップS202に進んで各信号の入力の受付が可能となる。続いて、ステップS203で制御部21のCPUはホールドされて休止状態となり、ステップS204でアンテナ以外からの信号入力、すなわち外部割込が禁止されて誤動作が防止される。ここで、電磁誘導信号がアンテナ23から入力されると、ステップS205でアンテナからの入力であることが判断され、アンテナからの入力であればステップS210に進んで信号を読み込み、チャタリング等を除去して信号を補正する。
【0015】
次のステップS211では、入力された信号が近傍探査信号であるか否かを判断し、そうであればステップS212に進んで応答用の近傍コードを設定する。この近傍コードは暗号化するほどの必要はなく、単に応答すればよい。またステップS211で近傍探査信号でなかった場合には、ステップS213に進んで入力された信号がチャレンジコードであるか否かを判断し、チャレンジコードであればステップS214で暗号化する。このチャレンジについては後述する。ステップS215ではS212またはS214で設定された信号をアンテナ24から送信し、ステップS202に戻る。またステップS213でチャレンジコードでない場合には、ステップS216に進んで信号が警報コードであるか否かを判断し、警報コードであれはステップS217でブザー26を作動させ、警報を発してステップS202に戻る。この警報についても後述する。
【0016】
また、ステップS205でアンテナからの入力でないと判断された場合には、ステップS220に進んで手動送信スイッチ25の操作による信号であるか否かが判断され、そうでなければステップS202に戻る。またそうであればステップS221でロック指示コードを作成し、ステップS222で手動送信スイッチ25のロック側が操作されていなければステップS223に進み、アンロック側の操作であればステップS224でアンロック指示コードを作成し、ステップS225でRF(高周波)信号として送信アンテナ24から送信する。またS222でロック側が操作されていればステップS227に進み、ロック指示コードをRF(高周波)信号として送信アンテナ24から送信する。これらの各指示コードは次回のコード設定のために制御部21のメモリに記憶され(ステップS226及びS228)、ステップS202に戻る。
【0017】
なお、上記のアンロック指示及びロック指示の各コードを受信する送受信装置4の読み込みタイミングは、電磁誘導信号の送信と同じ0.68秒間隔で行われる。従って、どのタイミングで読み込みが行われても確実にコードを読み込めるように、指示コードの送信は読み込み間隔の2倍強の1.4秒間行い、その間にコードが2回出力されるようにしてある。
【0018】
上述の手順において、ステップS212及びS215により電子キー2から応答用の近傍コードが送信されると、送受信装置4ではステップS4からステップS11に進み、送受信部42の受信モジュールユニット(以下、RFUと記す)がオンとなり、ステップS12のI/O読込判定で入出力の最新状態を確認し、ステップS13で信号を読み込んだ後、ステップS14でRFUをオフにする。そしてステップS15で今読み込んだ信号がキーレス信号、すなわち手動送信スイッチ25の操作による信号であるか否かが判断される。
【0019】
キーレス信号であれば、ステップS16でその信号がアンロック指示コードであるか否かを判断し、そうであればステップS17でドアロック用のアクチュエータ55bにアンロック信号を出力してドアをアンロックする。またアンロック指示コードでなければステップS18でロック指示コードであるか否かを判断し、そうであればステップS19でドアセンサ54aの信号でドアが開いているか否かを判断し、開いていなければアクチュエータ55bにロック信号を出力してドアをロックする。これらの手順によってアンロックあるいはロックが行われた場合には、ステップS21で例えばハザードランプ56bをアンロックが行われた場合には1回、ロックが行われた場合には2回それぞれ点滅させてアンサーバツクを行う。そしてステップS22に進み、電子キー2が複数個ある場合に現在キーレス操作中である電子キーを優先し、他の電子キーの信号を受け付けないようにした後、図5のステップS101に進む。このステップS22の優先処理については、図4において説明する。
【0020】
なお、ステップS18でロック指示コードでない場合、及びステップS19でドアが開いていた場合は、そのまま図5のステップS101に進む。また、上記のステップS15で信号がキーレス信号でなかった場合には、ステップS50の警報ルーチンに進む。この警報ルーチンについては図9において後述する。
【0021】
次に、図5により電子キー2が車両の外にあるか、中にあるかを判定する所在確定ルーチンを説明する。この所在判定は常時行うのではなく、電磁誘導信号の送信タイミングの5回に1回の頻度で行われる。このため、ステップS101でアンテナ信号の出力回数をカウントして、ステップS102でカード所在を判定するタイミングであるか否かを判断し、否であればそのままステップS3に戻り、判定タイミングであればステップS105に進む。
【0022】
ステップS105では通常は前回位置は不明であるため、ステップS111からステップS112に進み、電子キー2が車室内にあるか否かの判定を行う。この判定は、電子キー2が車内用アンテナ51と車外用アンテナ52のいずれからの探査信号に対して応答して、ステップS212の近傍コードを送信して来たかによって行われる。今回は室外であるためステップS125に進み、室外判定はまだであるからステップS106に進んで室外判定を行う。そして今回は室外であるためステップS108で前回室外と記憶し、次の判定に備えてステップS123及び124で判定フラグを零として判定未とし、ステップS3に戻る。
【0023】
前述のステップS16における判定結果がアンロック指示コードであれば、ドアはアンロックされており、電子キー2の携帯者はドアを開けて乗車することができる。乗車すると、手順はステップS101からS102、S105と進み、前回が室外であるからステップS106、S107を実行し、今回は室外ではないためステップS109に進む。そして室内判定はまだであるからステップS111、S112を実行し、今回は室内であるからステップS113で前回室内としてステップS114に進む。ここで説明しているキーレスエントリー装置は、No.1からNo.3までの3台の電子キー2を備えたものであって、ステップS114のチャレンジとは優先する電子キーを設定するための問いかけを意味しており、各電子キー2に対する信号の出力順が設定される。
【0024】
次のステップS115ではNo.3まで完了しているか否かが判定され、完了していない場合にはステップS116からS120までの手順が繰り返される。すなわち、ステップS116でRFUをオンとし、ステップS117でチャレンジ信号を送信し、ステップS118で送信した信号を暗号化する。電子キー2はこのチャレンジ信号を受信すると、図6のステップS214で暗号化した信号を返信する。これをステップS119でRFUが受信すると、ステップS120でこの受信信号が所定のコードであるか否かが判定される。所定のコードであればステップS121で照合して一致すればステップS122に進み、後述するSTL制御用の信号が制御回路41aに送信され、ステップS123及び124を実行してステップS3に戻る。
【0025】
また、この状態から電子キー2の携帯者が車室外に出ると、ステップS101からS102、S105と進み、前回は室内であったからステップS111、S112を実行し、今回は室内ではないためステップS125に進み、室外判定はまだであるからステップS106に進んで室外判定を行う。そして今回は室外であるためステップS108で前回室外と記憶し、ステップS123及び124を経てステップS3に戻る。
【0026】
更に、電子キー2の携帯者が車から遠い位置まで離れた場合には、ステップS101からS107に進むが、電子キー2との交信ができないため室外ではないと判定してステップS109に進む。そして室内判定はまだであるからステップS111に進むが、交信ができないため室内ではないと判定してステップS125に進む。そして室外判定は済みであるためステップS126に進んで前回不明とし、ステップS123及び124を経てステップS3に戻る。なお、ステップS109で室内判定済みの場合にもステップS110で前回不明とし、ステップS123及び124を経てステップS3に戻る。
【0027】
さてこの装置においては、ステップS15以下の手順において述べた手動送信スイッチ25による施解錠操作のほかに、電子キー2の所在場所に応じてドアを自動的に施解錠するというキーレスエントリー装置としての一般的な機能を備えているが、その際に車両側装置3に設けられている意志確認センサ54bを操作することを必要としており、更に、イモビライザーの機能により電子キー2でイグニッションスイッチ57も制御するようになっている。上記の意志確認センサ54bとしては、例えばドアのアウターハンドルに設けられているスイッチが用いられている。なお、電子キー2の所在場所に応じてドアを自動的に施解錠するという上記の動作は一般的なものであるので、図6のフローチャートには含まれていない。
【0028】
次に、意志確認センサ54bを操作した場合の動作を説明する。図3に示すステップS3のホールド状態において、電子キー2の携帯者がドアを開けようとして意志確認センサ54bに触れるとこれが検出され、ステップS4からステップS5に進み、更にステップS10に進んでタイマーのカウントを停止してクリアし、図4のステップS31に進み、複数の電子キー2に対する処理順を決定してステップS32に進み、決定順に従ってステップS33以下の処理が行われる。なお、ステップS10のタイマーは図9のステップS52でカウント開始したタイマーであり、図9については後述する。
【0029】
ステップS33からS38の手順は図5で説明したステップS115からS120までと同様であり、3台の電子キー2について同じ手順が繰り返される。この場合は電子キー2に送られる信号は近傍探査信号ではなくチャレンジコードであるため、電子キー2からは暗号化されたコードが発信され、所定のコードでなければステップS33に戻って次のチャレンジコードが送信され、所定のコードであればステップS39で照合して一致すればステップS40に進み、優先順位が下位の電子キー2からの信号の読み込みを拒否するモードを設定する。なおこの電子キーの優先順位の上位とするのは、例えば上述のように意志確認センサ54bが操作された時に交信中のもののほか、例えば手動送信スイッチ25が操作されたもの、使用頻度の高いもの、車外にあるもの、現在交信中のもの、最後に交信したもの、などであり、あらかじめ選択され、あるいは設定できるように構成されている。
【0030】
ステップS41ではアンロック指示コードが設定され、ステップS42に進むが、現在はドアがロックされている状態であるからロックセンサ54cはロック状態を検出しており、ステップS42からステップS46に進む。ドアは閉まっているからドアセンサ54aはドアの閉を検出しており、ステップS47でドアロック用アクチュエータ55bにアンロック信号を出力してドアをアンロックし、ステップS48では例えばハザードランプ56bを2回点滅させるアンサーバツクによってドアがアンロックされたことを報知し、ステップS3に戻る。これで電子キー2の携帯者は車に乗り込むことができるのである。
【0031】
乗車して車室内に入ると、ステップS101からステップS102、S105に進み、前回は室外であるためステップS106、S107を実行し、ステップS107で今回は室外でないためステップS109に進む。室内判定済みではないためステップS111、S112を実行し、今回は室内であるからステップS113からステップS114、S115に進む。そしてステップS115からS120を実行し、ステップS121で照合がOKであればステップS122に進み、STL制御用の信号が制御回路41aに送信されて動作が開始される。なお図示はしていないが、この制御回路41aは、操作ノブ57aが押し込まれておらず、且つSTL制御用の信号が送信されない状態が10秒以上継続した場合には、作動を停止して終了するようになっている。
【0032】
制御回路41aが動作を開始すると、ステップS301で初期化し、ステップS302で出力をオフ状態にした後にステップS303に進む。そしてこの状態ではイグニッションスイッチ57はオフ、ACCもオフであるから、図7のステップS303からS304、S305を実行してステップS306に進む。図示の装置のイグニッションスイッチ57は、操作ノブ57aを押し込んで回動させることによって始動操作される構造のものが使用されており、ステップS306ではこの操作ノブ57aが押し込まれた位置にあることを検出するスイッチの状態が確認され、ここでは押し込まれていないためステップS341に進む。
【0033】
今回はSTL制御用の信号が制御部41から送信されてきたものであるから、制御部41は立ち上がり状態であり、ステップS342に進んでコード処理をし、ステップS343でそのコードを制御部41に送信する。そして、ステップS344でコード処理完了のフラグを立てる。コード処理結果が送信されると、図3のステップS3乃至S6が実行され、ステップS6で通信端子割込があったと判断してステップS7に進み、データを読み込んだ後、ステップS8でコード処理結果を格納するようになっている。
【0034】
次にエンジンをかけるために操作ノブ57aを押し込む。今度はステップS306から図8のステップS307に進み、認証通信のための暗号化または処理したコードの送信が完了しているか否かが確認されるが、既にステップS342乃至S344が実行されて処理されたコードが送信され、ステップS344で送信完了フラグが立てられているため、コード送信完了と判断してステップS313に進み、照合が行われる。そして正規の信号であればステップS314からステップS315乃至S319が実行される。ステップS314では操作ノブ用ソレノイド55aに対する駆動出力が出されると共に、例えば操作ノブ57aの先端に設けた表示灯56cが点灯され、押し込み可能となったことが表示される。ステップS315では、ステップS313で正規のコードであると判断されたコードを制御部41に送信し、ステップS316で送信完了フラグを立てる。
【0035】
ステップS317では所定時間が完了しているか否かが判断され、所定時間経過するまではステップS303に戻り、所定時間経過するとステップS318で操作ノブ用ソレノイド55aへの出力が所定時間経過したことを示すフラグを立て、ステップS319で操作ノブ用ソレノイド55aへの出力を停止してソレノイド55aをオフとする。これによって、STLのロックが解除されると共に、あらかじめ設定された時間だけ操作ノブ用ソレノイド55aに対する駆動出力が出され、操作ノブ57aは更に奥まで押し込み可能となってACC位置からON位置まで回動できるようになり、エンジンを始動できる状態となる。
【0036】
ON位置まで回動すると、ステップS303からステップS321に進み、送信完了のフラグをクリアし、ステップS322乃至ステップS324を実行する。ステップS322では、あらかじめ設定された時間が経過していなくても操作ノブ用ソレノイド55aへの出力を停止してソレノイド55aをオフとし、ステップS323でソレノイド55aへの出力が所定時間経過したことを示すフラグを立てるようになっている。そしてステップS324では後述するステップS339でオンにしたアラームをオフにしてステップS325に進み、コードを照合して一致しているか否かが判断され、一致しているとステップS326でエンジンの通電が許可されてエンジンが始動する。コードが一致していない場合には、そのままステップS303に戻り、操作ノブ57aをオン位置まで回動してもエンジンを始動することはできないようになっている。
【0037】
操作ノブ57aを戻してエンジンを停止し、ACCもオフになると、ステップS303乃至S306が実行され、ステップS341に進む。そして制御部41が立ち上がっているタイミングの時であればステップS342に進み、制御部41が立ち上がっていないタイミングの時にはステップS345を経て図8のステップS317に進む。ソレノイドの所定駆動時間は完了しているため、ステップS318、S319を実行してステップS303に戻る。なおコード処理送信が完了していないと判断した場合には、ステップS345からS346に進んでノイズであったと判定する。
【0038】
またエンジンを停止し、イグニッションスイッチがACC位置にある状態でドアを開けて降車しようとすると、ステップS304からステップS331に進んで送信完了のフラグをクリアし、ステップS332で操作ノブ用ソレノイド55aのオンオフが判断される。すなわち、操作ノブ用ソレノイド55aへの出力が所定時間経過したか否かが判断され、今回はステップS323で所定時間完了のフラグが立てられているので、ステップS335に進む。なお、エンジン始動前のソレノイド55aへの出力中に操作ノブを操作してACC状態にした時には、ステップS332からS333に進み、あらかじめ設定された時間が経過していなくても出力を停止してソレノイド55aをオフとし、ステップS334で所定時間が経過したことを示すフラグを立てるようになっている。ステップS335ではイグニッションスイッチの立ち下がりが判断されるが、エンジンを停止してAACにしたためイグニッションスイッチは立ち下がり状態であり、ステップS336に進み、ドアが開かれた場合にはステップS338に進む。
【0039】
そしてステップS339でアラームを所定時間オンとし、例えばブザー56aによって警報音を発するのである。このアラームは、所定時間が完了するとステップS338からS337に進んでオフされる。なお、イグニッションスイッチ57がACC位置にある状態で降車して車両から離れると、STL制御用の信号が送信されない状態となり、この状態が10秒以上継続した場合には、制御回路41aが作動を停止して終了するため、この状態で他人が乗車してイグニッションスイッチをACC位置からON位置まで回動しても、エンジンの始動はできない。また、操作ノブ57aを押し込んで制御回路41aの作動を開始させても、ステップS325でコードが一致しないためやはりエンジンを始動することはできない。
【0040】
上述の図8のステップS307から直接ステップS313に進むのは、電子キー2のバッテリ27が動作する状態の場合であり、バッテリ27が消耗している時には電子キー2の制御部41は全く動作しない。このため、電子キー2の携帯者はマニュアルキーを使用してドアを開き、車に乗り込む必要がある。この場合には、乗車後に電子キー2をイグニッションスイッチ57の近くに置いて操作ノブ57aを押し込むのであり、電子キー2のトランスポンダ28はアンテナ41bから送信される電磁誘導信号を受けてそのエネルギーで動作を開始する。すなわち、操作ノブ57aが押し込まれると制御回路41aの動作が開始され、ステップS301乃至S306を実行してステップS306からS307に進むのであるが、ここではコード信号の送信は完了していないのでステップS308に進む。
【0041】
今回はキー操作によってキーシリンダを作動させているので、手順は更にステップS309以下に進み、ステップS310、S311で所定のコードが電子キー2に向けて出力され、電子キー2のトランスポンダ28は所定のコードを返信し、これがステップS312でアンテナ41bによって受信される。そしてステップS313で正規の信号であればステップS314に進み、前述したようにSTLのロックが解除されると共に、エンジン始動が可能となる。このように、電子キー2のバッテリ27が消耗していてもドアを解錠して車両に乗り込み、所望の動作をさせることができるのであり、この場合にはマニュアルキーと電子キーが同時に必要となるので、電子キーをマニュアルキーが一体に形成された形状のものとしておけば使用者にとって便利である。
【0042】
図示の装置はドアの施解錠とSTLの制御の両機能を備えており、施解錠のための識別信号は意志確認センサ54bが操作された時に、車外用アンテナ52から出力されるチャレンジコードを暗号化したものであり、STL制御のための識別信号は電子キー2が室内判定された時に、車内用アンテナ51から出力されるチャレンジコードを暗号化したものである。このチャレンジコードは出力ごとに変更されて異なる信号が出されるので、暗号化はその都度必要であり、この変更は電子キー2と車両側の送受信装置4の双方であらかじめ設定された基準に従って行われる。また、電子キー2が複数個ある場合には、電子キーごとに異なるチャレンジコードが出力される。従って、特定のチャレンジコードに対して特定の電子キーが近傍コードを応答するので、どの電子キー2と通信しているかは送受信装置4で認識することができる。
【0043】
前述したように、電子キー2が車両に近付くと送受信装置4と電子キー2とが常に交信状態となり、またドアは解錠された状態となるが、これが長時間続くことは電子キー2のバッテリ27の無駄な消耗や車両の盗難の原因となるので好ましくない。図示の装置1では、送受信装置4がドア施解錠の識別信号を受信してから所定時間経過するまでにドアセンサ54aがドアの開放を検出しない場合の安全機能を備えている。
【0044】
すなわち、図3のステップS15において信号がキーレス信号でなかった場合には、図9に示すステップS50の警報ルーチンに進む。この場合は、前回室外であるからステップS51からS52に進んでカウントが開始され、あらかじめ設定されたカウント数に達した場合にはステップS53からS54に進み、カウントを停止してゼロに戻すと共に、ステップS55で警報を発する。この警報の発信は例えばクラクションを鳴らし、あるいはハザードランプ56bを点滅させることで行われるが、更にステップS56で電子キー2に対して警報コードを発信し、電子キー2のブザー26を作動させて携帯者に直接報知する(図6のステップS216及びS217)。
【0045】
更にステップS58に進んでドアロック用アクチュエータ55bにロック信号が出力され、ドアがロックされる。このように、あらかじめ設定されたカウント数に対応する時間が経過してもドアが開かれないと、警報発信と自動的なドアロックが行われるので、上記のような問題は生じないのである。ドアがロックされた後は、ステップS59でマニュアルキーを使用してドアを開く操作が検出されるか、ステップS60で手動送信スイッチ25の操作によるキーレス信号で解錠が行われればステップS61に進んでアンロックされる。
【0046】
また、ステップS51で前回室外でなかった場合、及びステップS53で設定カウントに達するまではステップS70に進む。ここでドアが開かれている場合は、ステップS71に進んで電磁誘導信号の出力を0.2秒間隔に早め、ステップS73でカウントを停止してゼロに戻す。このように信号の間隔を早くするのは、ドアが開かれた場合には乗降により電子キー2の所在、すなわち車外か車内かが変化するので、信号の周期を短くして所在確認の回数を増加し、所在を的確に検出して制御が適正に行われるようにするためである。なお、ステップS70でドアが開かれていなければステップS72に進み、通常の0.68秒間隔の出力が継続される。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明のキーレスエントリー装置は、電子キーとの交信結果に応じて車両に搭載された車載機器を作動させるキーレスエントリー装置において、電子キーを起動させるための電磁誘導信号を車室内に送信する車内用アンテナと、この電磁誘導信号を車室外に送信する車外用アンテナとを有し、送信された電磁誘導信号に応動して電子キーから送信される識別信号を受信して識別信号に応じた動作信号を出力する送受信装置と、出力された動作信号に応じて車載機器を駆動する駆動装置と、ドアの開閉を検出するドアセンサとを備えており、車内用アンテナから電磁誘導信号を発信した時に識別信号の応答があれば電子キーの所在位置は室内と判定し、車外用アンテナから電磁誘導信号を発信した時に識別信号の応答があれば電子キーの所在位置は室外と判定すると共に、ドアの開放が検出されるとドアの開放中は間欠的に送信されている電磁誘導信号の送信周期を短くするようにしたものである。
【0048】
従って、昇降に伴って電子キーの所在が車内から車外へ、またはその逆に変化し、車両の状態が変化することの多いドア開放時に電磁誘導信号の送信周期を短くすることにより、車両側の送受信装置と電子キーとの通信を通常よりも密に行うことができる。このため、電子キーの所在位置を的確に検出して誤動作のない制御を行うことが可能となり、応答性も向上するのである。
【0049】
上記の装置において、車外用アンテナを車両の前部ドアと後部ドアの間にあって側面から見て中心付近に位置するセンターピラーに配置し、車内用アンテナを車室の中心に位置するセンターコンソールに配置したものでは、各アンテナの通信エリアの重複を避けることが可能で混信などによる誤動作を防止することができ、また送受信特性の良い通信領域を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る車両用キーレスエントリー装置の全体の構成を示すブロック図である。
【図2】同上の装置の電子キーの構成を示すブロック図である。
【図3】同上の装置の車両側装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図4】同じく車両側装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図5】同じく車両側装置の基本動作を示すフローチャートである。
【図6】同上の装置の電子キーの基本動作を示すフローチャートである。
【図7】同上の装置におけるステアリングロック装置の制御に関するフローチャートである。
【図8】同じくステアリングロック装置の制御に関するフローチャートである。
【図9】同上の装置における警報ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
1 キーレスエントリー装置
2 電子キー
3 車両側装置
4 送受信装置
21 電子キー側制御部
22 電子キー側送受信部
41 車両側制御部
42 車両側送受信部
51 車内用アンテナ
52 車外用アンテナ
54a ドアセンサ
Claims (3)
- 電子キーとの交信結果に応じて車両に搭載された車載機器を作動させるキーレスエントリー装置において、
電子キーを起動させるための電磁誘導信号を車室内に送信する車内用アンテナと、この電磁誘導信号を車室外に送信する車外用アンテナとを有し、送信された電磁誘導信号に応動して電子キーから送信される識別信号を受信して識別信号に応じた動作信号を出力する送受信装置と、出力された動作信号に応じて車載機器を駆動する駆動装置と、ドアの開閉を検出するドアセンサとを備えており、車内用アンテナから電磁誘導信号を発信した時に識別信号の応答があれば電子キーの所在位置は室内と判定し、車外用アンテナから電磁誘導信号を発信した時に識別信号の応答があれば電子キーの所在位置は室外と判定すると共に、ドアの開放が検出されるとドアの開放中は間欠的に送信されている電磁誘導信号の送信周期を短くするように構成されていることを特徴とする車両用キーレスエントリー装置。 - 送受信装置に備えられた制御部は、前回判定した電子キーの所在位置、すなわち室外か室内かを記憶すると共に、前回判定された電子キーの所在位置と同じ側にある車内用アンテナまたは車外用アンテナから電磁誘導信号を発信し、電子キーからの識別信号の応答があれば電子キーが前回と同じ位置にあると判定して、他方のアンテナからの電磁誘導信号の発信をしないように構成された請求項1記載の車両用キーレスエントリー装置。
- 車外用アンテナは車両の前部ドアと後部ドアの間にあるセンターピラーに配置され、車内用アンテナはセンターコンソールに配置されている請求項1又は2に記載の車両用キーレスエントリー装置。
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