JP3840209B2 - ライナー付き積層偏光板の製造方法 - Google Patents

ライナー付き積層偏光板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学補償フィルムを含む積層偏光板の製造方法に関する。
液晶表示装置は、一般に、液晶を保持した液晶セルの両面に、偏光子が配置されている。そして、前記液晶セルの複屈折による位相差を、正面方向および斜視方向において視覚補償するため、前記液晶セルと偏光子との間には、さらに複屈折層が光学補償層として配置されている。
特に、ねじれネマティック(TN)型の液晶表示装置は、例えば、斜め方向から見た場合に、コントラストが低下し、階調表示で明るさが逆転する現象が起こるために表示特性が低下するという視野角特性を有している。この特性を改善するために、前記光学補償層として、通常、配向基板上にコレステリック配向する液晶分子からなる屈折率(nx,ny,nz)が負の1軸性「nx=ny>nz」を満たす負複屈折層が使用されている。前記屈指率(nx,ny,nz)とは、それぞれ前記複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。このような光学補償層としては、例えば、支持体上に配向膜を形成し、この配向膜上にディスコティック液晶を傾斜配向させた光学補償層が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。また、液晶性ポリマーを配向基板に塗工し、前記液晶性ポリマーを配向させてコレステリック液晶層を形成し、これを光学補償層として使用することも報告されている(例えば、特許文献3)。
また、垂直配向型(VAモード)液晶表示装置が実用に供されており、これに対しては、垂直配向の液晶を光学的に視野角補償する光学補償板を適用することによって、広い視野角特性を実現する方法が知られている。具体的には、例えば、正の複屈折異方性を有する位相差板と、負の複屈折異方性を有する位相差板とを二枚適用する方法が報告されている(例えば、特許文献4および特許文献5)。
前述のようなコレステリック層から形成される光学補償層と偏光板とを一体化させた積層偏光板は、通常、液晶セル等の他の部材に容易に張り合わせることができるように、その最外層に粘着剤層が配置される。そして、この積層偏光板を商品として流通過程に置く場合には、実用に供するまでの間、前記粘着剤層の露出面の汚染防止や粘着力の維持等を目的として、前記粘着剤層の表面にライナーが配置される。
しかしながら、このようなライナー付き積層偏光板には、例えば、偏光板の寸法変化が原因となりカールが発生するという問題があった。そして、このようなカールが発生したライナー付き積層偏光板を、前記ライナーを剥離して、液晶表示装置等の各種画像表示装置に使用した場合、偏光板の寸法変化に伴って、光学補償層が変形することが原因となる光学歪みスジが見られるという問題があった。
特許第2692035号明細書 特許第2802719号明細書 特許第2660601号明細書 特開平10−153802号 特開平11−95208号
そこで、本発明の目的は、流通工程においても、カールの発生が抑制された光学補償層を有するライナー付き積層偏光板の製造方法の提供である。
前記目的を達成するために、本発明のライナー付き積層偏光板の製造方法は、 偏光板の少なくとも一方の表面に光学補償層が積層された積層偏光板と剥離可能なライナーとを含むライナー付き積層偏光板の製造方法であって、前記積層偏光板の少なくとも一方の表面にライナーを積層する工程を含み、
前記工程において、前記ライナーの長手方向または幅方向に一定の張力を加えた状態で、前記ライナーを、前記積層偏光板の表面に粘着剤層を介して積層し、
前記ライナー付き積層偏光板における前記ライナーの収縮率Xを下記数式(I)で表し、前記ライナー付き積層偏光板における前記積層偏光板の収縮率Yを下記数式(II)で表した場合に、前記収縮率Xと収縮率Yとが、下記式(III)の条件を満たすことを特徴とする。
収縮率X(%)= [(Xa−Xb)/Xb]×100 ・・・(I)
収縮率Y(%)= [(Ya−Yb)/Yb]×100 ・・・(II)
−0.1 ≦ (収縮率X−収縮率Y) ≦0 ・・・(III)
前記式(I)において、Xaは、前記ライナー付き積層偏光板から剥離したライナーの長さ、Xbは、前記ライナー付き積層偏光板における未剥離のライナーの長さを示し、前記式(II)において、Yaは、前記ライナー付き積層偏光板から前記ライナーを剥離した後の積層偏光板の長さ、Ybは、前記ライナー付き積層偏光板からライナーを剥離する前の積層偏光板の長さを示す。
このように積層偏光板の製造方法において、前記ナイナーに一定の張力を加えた状態で積層することにより、前記ライナーの収縮率と、前記ライナーを除いた積層体の収縮率とが、前記数式(III)を満たすライナー付き積層偏光板を製造できる。このような積層偏光板においては、流通過程における偏光板の寸法変化が原因となるカールの発生も抑制される。したがって、このような積層偏光板を各種画像表示装置に使用しても、いわゆる光学歪みスジの発生が抑制され、優れた表示特性が得られるのである。また、従来のライナー付き積層偏光板の場合、そのライナー側を、表面が水平な机の上に置いた際に、前記ライナー付き積層偏光板の中央付近が浮き上がった状態、すなわちライナー側が内側になるようにカールした、いわゆる「逆カール」が発生するため、例えば、液晶セルに貼り付ける場合に、自動貼り合わせ機との相性が悪く、貼り付け効率も悪いという問題があったが、本発明の製造方法によればこのような逆カールの発生を低減できるため、このような問題も解消できる。
なお、このような本発明の製造方法によって得られるライナー付き積層偏光板(以下、本発明のライナー付き積層偏光板ともいう)は、前記ライナーを剥離し、露出する粘着剤層によって各種光学部材に接着することができ、例えば、液晶パネルや液晶表示装置だけでなく、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)およびFED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)等の自発光型表示装置にも有用である。
本発明のライナー付き積層偏光板は、偏光板の少なくとも一方の表面に光学補償層が積層された積層偏光板と剥離可能なライナーとを含むライナー付き積層偏光板の製造方法であって、前記積層偏光板の少なくとも一方の表面にライナーを積層する工程とを含み、
前記工程において、前記ライナーの長手方向または幅方向に一定の張力を加えた状態で、前記ライナーを、前記積層偏光板の表面に粘着剤層を介して積層することを特徴とする。
前記のように、本発明はライナー付き積層偏光板の製造方法である。以下、その方法について説明する。
まず、偏光板と光学補償層とを、前述のような粘着剤または接着剤を介して接着してから、前記光学補償層の他方の表面に粘着剤層を形成する。なお、偏光板と光学補償層との接着方法や、前記粘着剤層の形成方法は、後述のような方法で行うことができる。
つぎに、ライナーを、長手方向または幅方向に引っ張り、一定の張力をかけ、前記張力を維持した状態で、前記光学補償層上の粘着剤層に接触させて、前記光学補償層と前記ライナーとを接着させることによって、本発明のライナー付き積層偏光板が得られる。
本発明のライナー付き積層偏光板において、前記ライナーの収縮率Xは下記数式(I)、前記積層偏光板の収縮率Yは下記数式(II)で表され、本発明のライナー付き積層偏光板は、下記数式(III)を満たす。下記式(I)において、Xaは、前記ライナー付き積層偏光板から剥離したライナーの長さ、Xbは、前記ライナー付き積層偏光板における未剥離のライナーの長さを示し、下記式(II)において、Yaは、前記ライナー付き積層偏光板から前記ライナーを剥離した後の積層偏光板の長さ、Ybは、前記ライナー付き積層偏光板からライナーを剥離する前の積層偏光板の長さを示す。なお、下記数式(I)(II)においては、「長さ」とは、「長手方向の長さ」、「長手方向に垂直な幅方向の長さ」の両方を含み、長手方向の長さを測定した場合に下記条件(III)を満たし、かつ、幅方向の長さを測定した場合にも下記式(III)を満たすことが必要である。
収縮率X(%)= [(Xa−Xb)/Xb]×100 ・・・(I)
収縮率Y(%)= [(Ya−Yb)/Yb]×100 ・・・(II)
−0.1 ≦ (収縮率X−収縮率Y) ≦0 ・・・(III)
本発明のライナー付き積層偏光板は、前記数式(III)の条件を満たすことによって、以下の理由からカールが防止されると推測される。
前記数式(III)において、(収縮率X−収縮率Y)は、−0.1〜0%であって、好ましくは−0.05〜0%、より好ましくは−0.03〜0%である。「収縮率X−収縮率Y」が0より大きいと、例えば、ライナー付き積層偏光板のライナー側を表面が水平な机の上に置いた場合に、中央付近が浮き上がった状態、すなわちライナー側が内側になるようにカールした状態となる(「逆カール」ともいう)。このように逆カールが発生すると、ライナー付き積層偏光板を、例えば、液晶表示装置に貼り付ける時に,自動貼り合わせ機との相性が悪いため、貼り付け効率が低下し、結果として製造効率が低下するという問題が生じる。一方、−0.1%より小さいと、逆カールではなく、前記ライナー付き積層偏光板の両端付近が浮きあがった状態、すなわち偏光板側が内側になるようにカールした状態(「正カール」ともいう)となるが、許容範囲を超えた大きな正カールとなるため、同様に、自動貼り合わせ機との相性が悪く、製造効率が低下するという問題が生じる。
本発明において、前記光学補償層は、その構成分子がコレステリック構造をとって配向しているコレステリック層であることが好ましい。
前記コレステリック層とは、前記層の構成分子がらせん構造をとり、そのらせん軸が面方向にほぼ垂直に配向している、いわゆる平面組織またはグランジャン組織と呼ばれる擬似層構造を有する層ということもできる。また、本発明において「構成分子がコレステリック構造をとっている」とは、例えば、液晶化合物が、コレステリック液晶相となっている場合には限定されず、液晶相では無いが、非液晶化合物が、前記コレステリック液晶相のようにねじれた状態で配向しているものも含む。したがって、コレステリック層の構成分子としては、例えば、後述するような、液晶性ポリマーや非液晶性ポリマーがあげられる。
前記コレステリック層は、例えば、前述のような3つの軸方向における屈折率(nx,ny,nz)が、nx≒ny>nzであることが好ましい。このような光学特性の光学補償層を含む光学補償板は、いわゆるnegative C-Plateの位相差板として使用することができる。
前記コレステリック層は、その選択反射波長帯域が、例えば、100nm〜320nmの範囲であり、その上限は、300nm以下であることが好ましい。一方、その下限は、150nm以上であることが好ましい。選択反射波長がこのような範囲であれば、例えば、コレステリック層の着色や、クロスニコル状態での光漏れ等も十分に回避できるため、本発明の光学補償板を各種画像表示装置に使用した際に、正面方向や斜視方向のいずれにおいても、より一層優れた表示特性を与えることができる。
前記選択反射波長帯域λ(nm)の中心波長は、例えば、コレステリック層が後述するように液晶モノマーを使用して形成されている場合、下記式で表すことができる。
λ=n・P
前記式において、nは、前記液晶モノマーの平均屈折率を示し、Pは前記コレステリック層のらせんピッチ(μm)を示す。前記平均屈折率nは、「(no+ne)/2」で表され、通常、1.45〜1.65の範囲であり、noは、前記液晶モノマーの正常光屈折、neは前記液晶モノマーの異常屈折率を示す。
前記コレステリック層は、カイラル剤を含むことが好ましい。本発明における前記カイラル剤とは、例えば、後述する液晶モノマーや液晶性ポリマー等の構成分子を、コレステリック構造となるように配向させる機能を有する化合物である。
前記カイラル剤としては、前述のようにコレステリック層の構成分子をコレステリック構造に配向できるものであれば、その種類は特に制限されないが、例えば、後述するカイラル剤が好ましい。
これらのカイラル剤の中でも、そのねじり力が、1×10-6nm-1・(wt%)-1以上であることが好ましく、より好ましくは1×10-5nm-1・(wt%)-1以上であり、さらに好ましくは1×10-5〜1×10-2nm-1・(wt%)-1の範囲であり、特に好ましくは1×10-4〜1×10-3nm-1・(wt%)-1の範囲である。このようなねじり力のカイラル剤を使用すれば、例えば、形成されたコレステリック層のらせんピッチを、後述する範囲に制御でき、これによって前記選択反射波長帯域を、前記範囲に制御することが十分に可能である。
なお、前記ねじり力とは、一般に、後述するような液晶モノマーや液晶性ポリマー等の液晶材料にねじれを与え、らせん状に配向させる能力のことを示し、下記式で表すことができる。
ねじり力=1/[コレステリックピッチ(nm)×カイラル剤重量比(wt%)]
前記式においてカイラル剤重量比とは、例えば、液晶モノマーまたは液晶性ポリマーとカイラル剤とを含む混合物における前記カイラル剤の割合(重量比)をいい、下記式で表される。
カイラル剤重量比(wt%)= [X/(X+Y)]×100
X:カイラル剤重量
Y:液晶モノマー重量または液晶性ポリマー重量
また、前記コレステリック層におけるらせんピッチは、例えば、0.25μm以下であり、好ましくは0.01〜0.25μmの範囲であり、より好ましくは0.03〜0.20μmの範囲、特に好ましくは0.05〜0.15μmの範囲である。前記らせんピッチが0.01μm以上であれば、例えば、十分な配向性が得られ、0.25μm以下であれば、例えば、可視光の短波長側における旋光性を十分に抑制できるため、偏光下で使用する場合に、光漏れ等を十分に回避できる。そして、前述のようなねじり力のカイラル剤を使用すれば、形成されたコレステリック層のらせんピッチを前記範囲に制御できる。
前記コレステリック層は、その単体色相b値が、例えば、1.2以下であることが好ましく、より好ましくは1.1以下、特に好ましくは1.0以下である。このような範囲のコレステリック層であれば、例えば、着色が非常に少なく、極めて優れた光学特性を示す。このような範囲の単体色相b値は、例えば、前述のような範囲の選択反射波長帯域に制御することによって達成できる。
なお、前記単体色相b値は、ハンターLab表色系(Hunter, R. S.: J. Opt. Soc. Amer., 38, 661(A),1094(A)(1948); J.Opt. Soc. Amer., 48, 985(1958))により規定される。具体的には、例えば、JIS K 7105 5.3 に準じて、分光測定器または光電色彩計を用いて、試料の三刺激値(X,Y,Z)を測定し、これらの値をLab空間における色差公式として以下に示すHunterの式に代入することによって、単体色相b値が算出できる。この測定には、通常、C光源が使用される。なお、例えば、積分球式分光透過率測定器(商品名DOT−3C;村上色彩技術研究所製)によれば、透過率と共に単体色相b値が測定できる。
単体色相b=7.0×(Y−0.847Z)/Y1/2
前記コレステリック層の構成分子の具体例としては、まず、非液晶性ポリマーがあげられ、前記非液晶性ポリマーは、コレステリック構造をとって配向した液晶モノマーを重合または架橋したポリマーであることが好ましい。このような構成であれば、後述するように、前記モノマーが液晶性を示すため、コレステリック構造をとって配向させることができ、かつ、さらにモノマー間を重合等させることによって前記配向を固定できるのである。このため、液晶モノマーを使用するものの、前記固定によって、重合したポリマーは非液晶性となる。なお、前記液晶モノマーをコレステリック構造とするために、例えば、後述のようなカイラル剤を使用した場合は、前記液晶モノマーとカイラル剤とが重合・架橋した非液晶性のポリマーとなる。
前記コレステリック層の構成分子としては、このような非液晶性ポリマーが以下の理由から好ましい。このような非液晶性ポリマーから形成されたコレステリック層は、コレステリック液晶相のようなコレステリック構造をとるが、前述のように液晶分子から構成されていないため、例えば、液晶分子に特有の、温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への変化が起きることもない。したがって、そのコレステリック構造が温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた光学補償層となるため、本発明の光学補償板は、例えば、光学補償用の位相差フィルムとして有用であるといえる。
前記液晶モノマーとしては、後述する化学式(1)で表されるモノマーが好ましい。このような液晶モノマーは、一般に、ネマティック性液晶モノマーであるが、本発明においては、例えば、前記カイラル剤によってねじりが付与され、最終的には、コレステリック構造をとるようになる。また、前記コレステリック層においては、配向固定のために、前記モノマー間が重合または架橋される必要があるため、前記モノマーは、重合性モノマーおよび架橋性モノマーの少なくとも一方を含むことが好ましい。
前記液晶モノマーを使用した場合には、前記コレステリック層は、さらに、重合剤および架橋剤の少なくとも一方を含むことが好ましく、例えば、紫外線硬化剤、光硬化剤、熱硬化剤等の物質が使用できる。
前記コレステリック層における液晶モノマーの割合は、例えば、75〜95重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは80〜90重量%の範囲である。また、前記液晶モノマーに対するカイラル剤の割合は、5〜23重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜20重量%の範囲である。また、前記液晶モノマーに対する架橋剤または重合剤の割合は、0.1〜10重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8重量%の範囲であり、特に好ましくは1〜5重量%の範囲である。
また、前記コレステリック層の構成分子としては、前記非液晶性ポリマーの他に、例えば、液晶性ポリマーがあげられ、前記液晶性ポリマーが、コレステリック構造をとって配向している構成のコレステリック層であってもよい。前記液晶性ポリマーとしては、例えば、特許第2660601号に開示されている各種液晶性ポリマーがあげられる。
前記光学補償層の厚みは、特に制限されないが、例えば、3〜200μmの範囲であり、好ましくは10〜180μmであり、特に好ましくは30〜150μmである。
前記光学補償層としては、その種類は特に制限されないが、前述のように非液晶性ポリマーを構成分子とするコレステリック層は、例えば、以下のようにして調製できる。
例えば、液晶モノマーと、前記カイラル剤と、重合剤および架橋剤の少なくとも一方とを含む塗工液を配向基材上に展開して、展開層を形成する工程、
前記液晶モノマーがコレステリック構造をとった配向となるように、前記展開層に加熱処理を施す工程、および、前記液晶モノマーの配向を固定して非液晶性ポリマーのコレステリック層を形成するために、前記展開層に重合処理および架橋処理の少なくとも一方を施す工程を含む製造方法によって形成できる。
まず、前記液晶モノマーと、前記カイラル剤と、前記架橋剤および重合剤の少なくとも一方とを含む塗工液を準備する。
前記液晶モノマーとしては、例えば、ネマティック性液晶モノマーが好ましく、具体的には、下記式(1)で表されるモノマーがあげられる。これらの液晶モノマーは、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
Figure 0003840209
前記式(1)において、A1およびA2は、それぞれ重合性基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、A1およびA2はいずれか一方が水素であってもよい。Xは、それぞれ単結合、−O−、−S−、−C=N−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−CH2−O−または−NR−CO−NRを表し、前記XにおいてRは、HまたはC1〜C4アルキル基を表し、Mはメソーゲン基を表す。
前記式(1)において、Xは同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
前記式(1)のモノマーの中でも、A2は、それぞれA1に対してオルト位に配置されていることが好ましい。
また、前記A1およびA2は、それぞれ独立して下記式
Z−X−(Sp)n ・・・(2)
で表されることが好ましく、A1およびA2は同じ基であることが好ましい。
前記記式(2)において、Zは架橋性基を表し、Xは前記式(1)と同様であり、Spは、1〜30個のC原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基からなるスペーサーを表し、nは、0または1を表す。前記Spにおける炭素鎖は、例えば、エーテル官能基中の酸素、チオエーテル官能基中の硫黄、非隣接イミノ基またはC1〜C4のアルキルイミノ基等により割り込まれてもよい。
前記式(2)において、Zは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましい。下記式において、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等があげられる。
Figure 0003840209
また、前記式(2)において、Spは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましく、下記式において、mは1〜3、pは1〜12であることが好ましい。
Figure 0003840209
前記式(1)において、Mは、下記式(3)で表されることが好ましく、下記(3)において、Xは、前記式(1)におけるXと同様である。Qは、例えば、置換または未置換のアルキレン基もしくは芳香族炭化水素原子団を表し、また、例えば、置換または未置換の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C12アルキレン基等であってもよい。
Figure 0003840209
前記Qが、前記芳香族炭化水素原子団の場合、例えば、下記式に表されるような原子団や、それらの置換類似体が好ましい。
Figure 0003840209
前記式に表される芳香族炭化水素原子団の置換類似体としては、例えば、芳香族環1個につき1〜4個の置換基を有してもよく、また、芳香族環または基1個につき、1または2個の置換基を有してもよい。前記置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記置換基としては、例えば、C1〜C4アルキル基、ニトロ基、F、Cl、Br、I等のハロゲン、フェニル基、C1〜C4アルコキシ基等があげられる。
前記液晶モノマーの具体例としては、例えば、下記式(4)〜(19)で表されるモノマーがあげられる。

Figure 0003840209

Figure 0003840209
前記液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なるが、例えば、40〜120℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜100℃の範囲であり、特に好ましくは60〜90℃の範囲である。
前記カイラル化剤としては、前述のように、例えば、前記液晶モノマーにねじりを付与してコレステリック構造となるように配向させるものであれば特に制限されないが、重合性カイラル化剤であることが好ましく、前述のようなものが使用できる。これらのカイラル剤は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
具体的に、前記重合性カイラル化剤としては、例えば、下記一般式(20)〜(23)で表されるカイラル化合物が使用できる。
(Z−X5)nCh (20)
(Z−X2−Sp−X5nCh (21)
(P1−X5nCh (22)
(Z−X2−Sp−X3−M−X4nCh (23)
前記各式においては、Zは前記式(2)と同様であり、Spは、前記式(2)と同様であり、X2、X3およびX4は、互いに独立して、化学的単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−NR−CO−NR−を表し、前記Rは、H、C1〜C4アルキル基を表す。また、X5は、化学的単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−NR−CO−NR、−CH2O−、−O−CH2−、−CH=N−、−N=CH−または−N≡N−を表す。Rは、前述と同様にH、C1〜C4アルキル基を表す。Mは、前述と同様にメソーゲン基を表し、P1は、水素、1〜3個のC1〜C6アルキル基によって置換されたC1〜C30アルキル基、C130アシル基またはC3〜C8シクロアルキル基を表し、nは、1〜6の整数である。Chはn価のカイラル基を表す。前記式(23)において、X3およびX4は、少なくともその一方が、−O−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−または−NR−CO−NR−であることが好ましい。また、前記式(22)において、P1がアルキル基、アシル基またはシクロアルキル基の場合、例えば、その炭素鎖が、エーテル官能基内の酸素、チオエーテル官能基内の硫黄、非隣接イミノ基またはC1〜C4アルキルイミノ基によって割り込まれてもよい。
前記Chのカイラル基としては、例えば、下記式に表される原子団があげられる。
Figure 0003840209
Figure 0003840209
前記原子団において、Lは、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、ハロゲン、COOR、OCOR、CONHRまたはNHCORであって、前記RはC1〜C4アルキル基を表す。なお、前記式に表した原子団における末端は、隣接する基との結合手を示す。
前記原子団の中でも、特に好ましくは下記式で表される原子団である。
Figure 0003840209
また、前記(21)または(23)で表されるカイラル化合物は、例えば、nが2、ZがH2C=CH−を表し、Chが下記式で表される原子団であることが好ましい。
Figure 0003840209
前記カイラル化合物の具体例としては、例えば、下記式(24)〜(44)で表される化合物があげられる。なお、これらのカイラル化合物は、ねじり力が1×10-6nm-1(wt%)-1以上である。

Figure 0003840209
Figure 0003840209
前述のようなカイラル化合物の他にも、例えば、RE−A4342280号およびドイツ国特許出願19520660.6号および19520704.1号にあげられるカイラル化合物が好ましく使用できる。
前記重合剤および架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、以下のようなものが使用できる。前記重合剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が使用でき、前記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート架橋剤等が使用できる。これらはずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記塗工液は、例えば、前記液晶モノマー等を、適当な溶媒に溶解・分散することによって調製できる。前記溶媒としては、特に制限されないが、例えば、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル系溶媒、あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が使用できる。これらの中でも好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチルセロソルブである。これらの溶剤は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。
前記カイラル剤の添加割合は、例えば、所望のらせんピッチ、所望の選択反射波長帯域に応じて適宜決定されるが、前記液晶モノマーに対する添加割合は、例えば、5〜23重量%の範囲であり、好ましくは10〜20重量%の範囲である。前述のように、液晶モノマーとカイラル剤との添加割合をこのように制御することによって、形成される光学フィルムの選択波長帯域を前述の範囲に設定できる。液晶モノマーに対するカイラル剤の割合が5重量%以上であれば、例えば、形成される光学フィルムの選択反射波長帯域を低波長側に制御することが非常に容易になる。また、前記割合が23重量%以下であれば、液晶モノマーがコレステリック配向する温度範囲、すなわち前記液晶モノマーが液晶相となる温度範囲が広くなるため、後述する配向工程における温度制御を厳密に行うことが不要となり、製造が極めて容易になる。
例えば、同じねじり力のカイラル剤を使用した場合、液晶モノマーに対するカイラル剤の添加割合が多い方が、形成される選択反射波長帯域は低波長側となる。また、例えば、液晶モノマーに対するカイラル剤の添加割合が同じ場合には、例えば、カイラル剤のねじり力が大きい方が、形成される光学フィルムの選択反射波長帯域は、低波長側となる。具体例として、形成される光学フィルムの前記選択反射波長帯域を200〜220nmの範囲に設定する場合には、例えば、ねじり力が5×10-4nm-1・(wt%)-1のカイラル剤を、液晶モノマーに対して11〜13重量%となるように配合すればよく、前記選択反射波長帯域を290〜310nmの範囲に設定する場合には、例えば、ねじれ力が5×10-4nm-1・(wt%)-1のカイラル剤を、液晶モノマーに対して7〜9重量%となるように配合すればよい。
また、前記液晶モノマーと前記カイラル剤との組み合わせとしては、特に制限されないが、具体的には、前記式(10)のモノマー剤と、前記式(38)のカイラル剤との組み合わせ、前記式(11)のモノマー剤と、前記式(39)のカイラル剤との組み合わせ等があげられる。
また、前記液晶モノマーに対する架橋剤または重合剤の添加割合は、例えば、0.1〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜8重量%の範囲、より好ましくは1〜5重量%の範囲である。前記液晶モノマーに対する架橋剤または重合剤の割合が、0.1重量%以上であれば、例えば、コレステリック層の硬化が十分容易となり、また、10重量%以下であれば、例えば、前記液晶モノマーがコレステリック配向する温度範囲、すなわち前記液晶モノマーが液晶相となる温度が十分な範囲となるため、後述する配向工程における温度制御がより一層容易となる。
また、前記塗工液には、例えば、必要に応じて各種添加物を適宜配合してもよい。前記添加物としては、例えば、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等があげられる。これらの添加剤は、例えば、いずれか一種を添加してもよいし、二種類以上を併用してもよい。具体的に、前記老化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、ホスフィン系化合物等、前記変性剤としては、例えば、グリコール類、シリコーン類やアルコール類等、従来公知のものがそれぞれ使用できる。また、前記界面活性剤は、例えば、光学補償層の表面を平滑にするために添加され、例えば、シリコーン系、アクリル系、フッ素系等の界面活性剤が使用でき、特にシリコーン系が好ましい。
このように液晶モノマーを使用した場合、調製した塗工液は、例えば、塗工・展開等の作業性に優れた粘性を示す。前記塗工液の粘度は、通常、前記液晶モノマーの濃度や温度等に応じて異なるが、前記塗工液におけるモノマー濃度が前記範囲5〜70重量%の場合、その粘度は、例えば、0.2〜20mPa・sの範囲であり、好ましくは0.5〜15mPa・sであり、特に好ましくは1〜10mPa・sである。具体的には、前記塗工液におけるモノマー濃度が、30重量%の場合、例えば、2〜5mPa・sの範囲であり、好ましくは3〜4mPa・sである。前記塗工液の粘度が0.2mPa・s以上であれば、例えば、塗工液を走行することによる液流れの発生がより一層防止でき、また、20mPa・s以下であれば、例えば、表面平滑性がより一層優れ、厚みムラを一層防止でき、塗工性にも優れる。なお、前記粘度としては、温度20〜30℃における範囲を示したが、この温度には限定されない。
つぎに、前記塗工液を、配向基板上に塗布して展開層を形成する。
前記塗工液は、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法等の従来公知の方法によって流動展開させればよく、この中でも、塗布効率の点からスピンコート、エクストルージョンコートが好ましい。
前記配向基板としては、前記液晶モノマーを配向できるものであれば特に制限されず、例えば、各種プラスチックフィルムやプラスチックシートの表面を、レーヨン布等でラビング処理したものが使用できる。前記プラスチックとしては、特に制限されないが、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等のポリオレフィン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリノルボルネン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶性ポリマー等から形成されるフィルム等があげられる。また、アルミ、銅、鉄等の金属製基板、セラミック製基板、ガラス製基板等の表面に、前述のようなプラスチックフィルムやシートを配置したり、前記表面にSiO2斜方蒸着膜を形成したもの等も使用できる。また、前述のようなプラスチックフィルムやシートに、一軸延伸等の延伸処理を施した複屈折性を有する延伸フィルム等を配向膜として積層した積層体も、配向基板として使用することができる。さらに、基板自体が複屈折性を有する場合は、前述のようなラビング処理や、表面に複屈折性フィルムを積層すること等が不要であるため、好ましい。このように基板自体に複屈折性を付与する方法としては、基板の形成において、例えば、延伸処理の他に、キャスティングや押し出し成型等を行う方法があげられる。
続いて、前記展開層に加熱処理を施すことによって、液晶状態で前記液晶モノマーを配向させる。前記展開層には、前記液晶モノマーと共にカイラル剤が含まれているため、液晶相(液晶状態)となった液晶モノマーが、前記カイラル剤によってねじりを付与された状態で配向する。つまり、液晶モノマーがコレステリック構造(らせん構造)を示すのである。
前記加熱処理の温度条件は、例えば、前記液晶モノマーの種類、具体的には前記液晶モノマーが液晶性を示す温度に応じて適宜決定できるが、通常、40〜120℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲であり、より好ましくは60〜90℃の範囲である。前記温度が40℃以上であれば、通常、十分に液晶モノマーを配向することができ、前記温度が120℃以下であれば、例えば、耐熱性の面において前述のような各種配向基材の選択性も広い。
次に、前記液晶モノマーが配向した前記展開層に架橋処理または重合処理を施すことによって、前記液晶モノマーとカイラル剤とを重合または架橋させる。これによって、液晶モノマーは、コレステリック構造をとって配向した状態のまま、相互に重合・架橋、またはカイラル剤と重合・架橋し、前記配向状態が固定される。そして、形成されたポリマーは、前記配向状態の固定によって、非液晶性ポリマーとなる。
前記重合処理や架橋処理は、例えば、使用する重合剤や架橋剤の種類によって適宜決定できる。例えば、光重合剤や光架橋剤を使用した場合には、光照射を施し、紫外線重合剤や紫外線架橋剤を使用した場合には、紫外線照射を施せばよい。
以上のようにして、前記配向基板上に、コレステリック構造をとって配向した非液晶性ポリマーから形成された光学補償層が得られる。この光学補償層は、前述のようにその配向が固定されているため非液晶性である。したがって、温度変化によって、例えば、液晶相、ガラス相、結晶相に変化することがなく、温度による配向変化が生じない。このため、温度に影響を受けることがない、高性能の位相差フィルムとして、本発明の光学補償板に使用できる。また、選択反射波長帯域を前記範囲に制御すれば、前述のような光もれ等も抑制できる。
また、前記光学補償層は、例えば、前記配向基板から剥離して使用してもよいし、前記配向基板に積層された状態で使用してもよい。
前記光学補償層と前記配向基板との積層体として使用する際には、前記配向基板は、透光性のプラスチックフィルムであることが好ましい。前記プラスチックフィルムとしては、例えば、TAC等のセルロース系、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)等のポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチック、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリノルボルネン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶性ポリマー等から形成されるフィルムがあげられる。これらのフィルムは、光学的に等方性であっても、異方性であっても差し支えない。これらのプラスチックフィルムの中でも、耐溶剤性や耐熱性の観点から、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから形成された各フィルムが好ましい。また、この他にも、例えば、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムがあげられる。このポリマー材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチレンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物があげられる。前記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であってもよい。
前述のような透光性配向基板は、例えば、単層でもよいが、例えば、強度、耐熱性、ポリマーや液晶モノマーの密着性を向上する点から、異種ポリマーを積層した積層体であってもよい。
また、複屈折による位相差を生じないものでもよいし、例えば、偏光分離層で反射された光の偏光状態の解消を目的として、複屈折による位相差を生じるものであってもよい。このような偏光状態の解消は、光利用効率の向上や、光源光との同一化によって、視覚による色層変化の抑制に友好である。前記複屈折による位相差を生じる透明基板としては、例えば、各種ポリマー製の延伸フィルム等が使用でき、厚み方向の屈折率を制御したものであってもよい。前記制御は、例えば、ポリマーフィルムを熱収縮フィルムと接着して、加熱延伸すること等によって行うことができる。
前記プラスチックフィルムの厚みは、通常、5μm〜500μm、好ましくは10〜200μmであり、好ましくは15〜150μmである。前記厚みが5μm以上であれば、基板として十分な強度を有するため、例えば、製造時に破断する等の問題の発生を防止できる。
なお、前記光学補償層としては、このような非液晶性ポリマーだけでなく、液晶性ポリマーを構成分子としてもよい。この場合は、例えば、例えば、前述のような液晶性ポリマーと前記カイラル剤とを含む塗工液を配向基材上に展開して、展開層を形成する工程、前記液晶性ポリマーがコレステリック構造をとった配向となるように、前記展開層に加熱処理を施す工程を含む製造方法によって、液晶性ポリマーを構成分子とするコレステリック層を形成できる。
本発明のライナー付き積層偏光板において、前記偏光板は、例えば、偏光子のみでもよいし、さらに透明保護層を有してもよい。前記透明保護層は、前記偏光子のいずれか一方の表面のみに積層されてもよいし、両面に積層されてもよい。両面に積層する場合には、例えば、同じ種類の透明保護層を使用しても、異なる種類の透明保護層を使用してもよい。
前記偏光子としては特に制限されず従来公知の偏光フィルムが使用できる。具体的には、例えば、従来公知の方法により、各種フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製したもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸着させる各種フィルムとしては、例えば、PVA系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましくはPVA系フィルムである。また、前記偏光フィルムの厚みは、通常、1〜80μmの範囲であるが、これには限定されない。
前記透明保護層としては、特に制限されず、従来公知の透明フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等があげられる。また、前記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等もあげられる。この中でも、偏光特性や耐久性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したTACフィルムが好ましい。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムがあげられる。このポリマー材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチレンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物があげられる。なお、前記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であってもよい。
また、前記透明保護層は、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、下記式で表されるフィルム厚み方向の位相差値(Rth)が、−90nm〜+75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmの範囲である。前記位相差値が−90nm〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。なお、下記式において、nx,ny,nzは、それぞれ前記透明保護層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。また、dは、前記透明保護層の厚みを示す。
Rth=[[(nx+ny)/2]-nz]・d
また、前記透明保護層は、さらに光学補償機能を有するものでもよい。このように光学補償機能を有する透明保護層としては、例えば、液晶セルにおける位相差に基づく視認角の変化が原因である、着色等の防止や、良視認の視野角の拡大等を目的とした公知のものが使用できる。具体的には、例えば、前述した透明樹脂を一軸延伸または二軸延伸した各種延伸フィルムや、液晶性ポリマー等の配向フィルム、透明基材上に液晶性ポリマー等の配向層を配置した積層体等があげられる。これらの中でも、良視認の広い視野角を達成できることから、前記液晶性ポリマーの配向フィルムが好ましく、特に、ディスコティック系やネマティック系の液晶性ポリマーの傾斜配向層から構成される光学補償層を、前述のトリアセチルセルロースフィルム等で支持した光学補償位相差板が好ましい。このような光学補償位相差板としては、例えば、富士写真フィルム株式会社製「WVフィルム」等の市販品があげられる。なお、前記光学補償位相差板は、前記位相差フィルムやトリアセチルセルロースフィルム等のフィルム支持体を2層以上積層させることによって、位相差等の光学特性を制御したもの等でもよい。
前記透明保護層の厚みは、特に制限されず、例えば、位相差や保護強度等に応じて適宜決定できるが、通常、5mm以下であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは1μm〜500μm以下、特に好ましくは5μm〜150μmの範囲である
前記透明保護層は、例えば、前記偏光フィルムに前記各種透明樹脂を塗布する方法、前記偏光フィルムに前記透明樹脂製フィルムや前記光学補償位相差板等を積層する方法等の従来公知の方法によって適宜形成でき、また市販品を使用することもできる。
また、前記透明保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、前記透明保護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、前記処理は、従来公知の方法によって行うことができる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防止を目的とする。前記反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等の形成により行うことができる。
前記アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することによる、偏光板透過光の視認妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、前記透明保護層の表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して前記透明保護層を形成する方式等があげられる。
前記透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげられ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。前記透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μmの範囲である。また、前記透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂100質量部あたり2〜70質量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜50質量部の範囲である。
前記透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、透明保護層そのものとして使用することもでき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視覚補償機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、前記透明保護層とは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
本発明において、前記ライナーの形成材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等があげられる。
前記ライナーの厚みは、例えば、10〜250μmの範囲であり、好ましくは10〜100μmであり、特に好ましくは20〜80μmである。
前記ライナーと前記積層偏光板とを接着する粘着剤層の材料としては、例えば、ライナーを接着し、かつ、剥離できるものであれば特に制限されないが、アクリル樹脂系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニル系粘着剤等、従来公知の粘着剤が使用できる。前記粘着剤層の厚みは、例えば、積層偏光板の構成等に応じて適宜に決定でき、一般には、1〜500μmであり、好ましくは5〜50μmの範囲であり、より好ましくは10〜40μmであり、特に好ましくは15〜35μmである。
前記粘着剤層の粘着特性の制御は、例えば、前記粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するというような、従来公知の方法によって適宜行うことができる。
また、前記偏光板と前記光学補償層との積層や、前記偏光子と前記透明保護層との積層等の方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができ、一般には、前述のような粘着剤の他に、接着剤等も使用できる。これらの種類は、前記偏光板、光学補償層、前記偏光子や透明保護層の材質等によって適宜決定できる。前記接着剤としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等が使用できる。これらの中でも、例えば、吸湿性や耐熱性に優れる材料が好ましい。このような性質であれば、例えば、本発明のライナー付き積層偏光板を液晶表示装置等に使用した場合に、吸湿による発泡や剥離、熱膨張差等による光学特性の低下や、液晶セルの反り等を防止でき、高品質で耐久性にも優れる表示装置となる。
前述のような粘着剤、接着剤は、例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過率や偏光度にも優れる。具体的には、前記偏光子がポリビニルアルコール系フィルムである場合、例えば、接着処理の安定性等の点から、ポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、そのまま偏光子や透明保護層の表面に塗布してもよいし、前記粘着剤製のテープ等を前記表面に配置してもよい。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。
本発明において、前記ライナーにかける張力は、例えば、ライナーの材質、厚み等の条件に応じて適宜決定される。例えば、以下のように設定することができる。
具体的には、前記ライナーが厚み10μm〜250μmのPETフィルムであり、長辺または短辺が0.9m〜1.1mである場合、張力は、150N〜350Nの範囲が好ましく、より好ましくは150N〜250Nであり、特に好ましくは180N〜220Nである。
本発明のライナー付き積層偏光板は、偏光板と光学補償層とを含む積層偏光板と、剥離可能なライナーとを有し、前記偏光板に積層された光学補償層に、前記粘着剤層を介して前記ライナーが配置され、かつ、前記数式(III)を満たしていれば、その構成は特に制限されない。したがって、前記積層偏光板が、さらに位相差フィルム、液晶フィルム、光拡散フィルム、回折フィルム等の他の光学部材を有してもよい。また、前述のように前記偏光板が、偏光子であったり、前記偏光子の片面または両面に透明保護層が積層された積層体であってもよい。
なお、本発明のライナー付き積層偏光板、その構成物(例えば、光学補償層等)は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤による処理等によって紫外線吸収能を持たせたものなどであってもよい。
つぎに、本発明について、以下の実施例および比較例を用いてさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
厚み50μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム社製;商品名T−50SH)上に、1wt%のポリビニルアルコール(PVA)(日本合成化学社製;商品名NH−18)水溶液を塗布し、90℃で乾燥させて、膜厚約0.01μm以下のPVA皮膜を形成した。この皮膜の表面をラビング処理し、配向膜とした。一方、前記式(6)の液晶モノマー(重合性棒状ネマティック液晶)と、前記式(44)のカイラル剤とが、重量比7:3となるように混合し、この混合物が40重量%となるようにトルエンに溶解し、このトルエン溶液に、さらに光重合開始剤(商品名イルガキュア:チバスペシャリティーケミカルズ社製)を3重量%となるように加えて塗工液を調製した。前記配向膜に前記塗工液を塗布し、90℃で1分間熱処理することによって、前記液晶モノマーを配向させた後、さらにUV照射により、前記液晶モノマーを重合させて、その配向を固定した。そして、前記TACフィルムとPVA皮膜とを除去することによって、厚み5μmの光学補償層を得た。この光学補償層は、その面内位相差が1nmであり、厚み方向位相差が200nmであった。
得られた前記光学補償層と、市販の偏光板(日東電工社製;商品名HEG5425DU)とを、厚み10μmのアクリル系粘着剤を介して、ロール圧着により接着し、光学補償層と偏光板との積層体を作製した(幅1m)。
前記積層体の前記光学補償層表面に、さらに前記アクリル系粘着剤(厚み20μm)を塗布した。そして、幅1mのライナー(厚み38μm、商品名MRA38:三菱ポリエステル社製)を長手方向に引っ張り、一定の張力(200N)をかけ、前記張力を維持した状態のまま、前記アクリル系粘着剤によって前記積層体の光学補償層側に接着した。このようにしてライナー付き積層偏光板を作製した。
また、比較例としては、前記ライナーを、張力をかけずに前記積層体に接着した以外は、前記実施例1と同様にしてライナー付き積層偏光板を作製した。この実施例1および比較例1のライナー付き積層偏光板について、以下の評価を行った。これらの結果を下記表1に示す。
(カールの観察)
前記ライナーを接着した直後のライナー付き積層偏光板におけるカールの発生を確認した。前記ライナー付き積層偏光板のライナー側を表面が水平な机の上に置いた場合に、前記ライナー付き積層偏光板の中央付近が浮き上がった場合、すなわちライナー側が内側になるようにカールした状態を「逆カール」、前記ライナー付き積層偏光板の両端付近が浮きあがった場合、すなわち偏光板側が内側になるようにカールした状態を「正カール」と評価した。
(収縮率)
作製した前記ライナー付き積層偏光板について、前記ライナー付き積層偏光板における未剥離ライナーの長手方向の長さ(Xb1)および幅方向の長さ(Xb2)、前記ライナー付き積層偏光板からライナーを剥離する前の積層偏光板の長手方向の長さ(Yb1)および幅方向の長さ(Yb2)を測定した。つぎに、前記ライナー付き積層偏光板から、ライナーを剥離し、剥離した前記ライナーの長手方向の長さ(Xa1)および幅方向の長さ(Xa2)、前記ライナーの剥離により得られる前記積層偏光板の長手方向の長さ(Ya1)および幅方向の長さ(Ya2)を測定した。これらの測定値を、前記数式(I)および数式(II)に代入して、前記ライナーの長手方向における収縮率X1と幅方向における収縮率X2、前記積層偏光板の長手方向における収縮率Y1と幅方向における収縮率Y2を求め、長手方向のける前記両収縮率の差(X1−Y1)および幅方向における前記両収縮率の差(X2−Y2)を算出した。
(熱衝撃試験)
作製した前記ライナー付き積層偏光板からライナーを剥離し、得られた積層偏光板を、露出した粘着剤層によってガラス板に接着した。この積層体を、−40℃で1時間処理した後、さらに80℃で1時間処理した。そして、前記積層体における光学歪みスジ(線状のムラ)の発生を確認した。この結果を下記表2に示す。なお、下記表2において光学歪みスジの発生を「×」、未発生を「○」で示す。
(加熱試験)
作製した前記ライナー付き積層偏光板からライナーを剥離し、得られた積層偏光板を、露出した粘着剤層によってガラス板に接着した。この積層体を、40℃で所定の時間(0、12、24、72、120、168時間)処理し、光学歪みスジの発生を確認した。この結果を下記表2に示す。なお、下記表2において光学歪みスジの発生を「×」、未発生を「○」で示す。
Figure 0003840209
Figure 0003840209
以上のように、本発明の製造方法により製造されるライナー付き積層位偏光板であれば、例えば、出荷時や流通過程における偏光板の寸法変化等が原因となるカールの発生が防止できる。さらに、逆カールとなった比較例のライナー付き積層偏光板は、ライナーを剥離して積層偏光板として液晶表示装置に使用した場合、その後の加熱処理によって光学歪みスジが発生し、品質を維持できなかった。これに対して、正カールとなる本発明のライナー付き積層偏光板であれば、ライナーを剥離して積層偏光板として液晶表示装置に使用した場合、その後の加熱処理によっても光学歪みスジが発生することなく、優れた品質を維持することができた。本発明のライナー付き積層偏光板によれば、優れた品質の画像表示装置等を提供できるといえる。

Claims (12)

  1. 偏光板の少なくとも一方の表面に光学補償層が積層された積層偏光板と剥離可能なライナーとを含むライナー付き積層偏光板の製造方法であって、前記積層偏光板の少なくとも一方の表面にライナーを積層する工程とを含み、
    前記工程において、前記ライナーの長手方向または幅方向に一定の張力を加えた状態で、前記ライナーを、前記積層偏光板の表面に粘着剤層を介して積層し、
    前記ライナー付き積層偏光板における前記ライナーの収縮率Xを下記数式(I)で表し、前記ライナー付き積層偏光板における前記積層偏光板の収縮率Yを下記数式(II)で表した場合に、前記収縮率Xと収縮率Yとが、下記式(III)の条件を満たすことを特徴とする製造方法。
    収縮率X(%)= [(Xa−Xb)/Xb]×100 ・・・(I)
    収縮率Y(%)= [(Ya−Yb)/Yb]×100 ・・・(II)
    −0.1 ≦ (収縮率X−収縮率Y) ≦0 ・・・(III)
    前記式(I)において、Xaは、前記ライナー付き積層偏光板から剥離したライナーの長さ、Xbは、前記ライナー付き積層偏光板における未剥離のライナーの長さを示し、前記式(II)において、Yaは、前記ライナー付き積層偏光板から前記ライナーを剥離した後の積層偏光板の長さ、Ybは、前記ライナー付き積層偏光板からライナーを剥離する前の積層偏光板の長さを示す。
  2. 前記光学補償層が、その構成分子がコレステリック構造をとって配向しているコレステリック層である請求項1記載の製造方法
  3. コレステリック層の厚みが、0.5〜10μmの範囲である請求項2記載の製造方法
  4. 前記コレステリック層の構成分子が、液晶モノマーを重合または架橋したポリマーである請求項2または3記載の製造方法
  5. コレステリック配向のらせんピッチが、0.01〜0.25μmの範囲である請求項4記載の製造方法
  6. コレステリック層の構成分子が液晶性ポリマーであって、前記液晶性ポリマーが、コレステリック構造をとって配向している請求項2または3記載の製造方法
  7. 前記偏光板が、偏光子および透明保護層を含み、前記偏光子の少なくとも一方の表面に前記透明保護層が配置されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法
  8. 前記粘着剤層の形成材料が、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、ビニル系樹脂からなる群から選択された少なくとも一つの樹脂系粘着剤である請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法
  9. 前記光学補償層と偏光板とが接着剤層または粘着剤層を介して積層されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法
  10. 前記接着剤層の形成材料が、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂およびポリイミド樹脂からなる群から選択された少なくとも一つの硬化性樹脂系接着剤である請求項9記載の製造方法
  11. 前記ライナーの形成材料が、ポリエチレンテレフタレートである請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法
  12. 前記ライナーが厚み10μmから250μmのPETフィルムであり、長辺または短辺が0.9m〜1.1mである場合、前記一定の張力が、150〜350Nの範囲である請求項1に記載の製造方法。
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