JP3839930B2 - 薄膜作製装置及び薄膜作製方法 - Google Patents
薄膜作製装置及び薄膜作製方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の実施の形態】
本発明は、アーク放電プラズマプロセスを利用した薄膜作製装置及び薄膜作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は一般的な直流アーク放電プラズマを用いる薄膜作製装置の概略構成を示す断面図である。同図において、1は成膜チャンバで、陰極部2へ向けて陽極部3からアーク放電によるプラズマ4が形成されるようになっている。5はその陰極部2の電極、6は陽極部3に設けられた蒸着材料で、これらの間に直流電源7が接続されている。
【0003】
また、8はヒータ9を有したサセプタで、その下側に基板10が取り付けられている。11は排気管12を通してチャンバ内を真空にするためのバルブ、13は陰極側のガス導入管、14はチャンバ側のガス導入管である。
【0004】
真空蒸着や化学気相成長法などによる薄膜の作製に際し、従来より図5に示すような直流アーク放電を発生させることのできるプラズマガンを取り付けた成膜装置が用いられている。成膜中においては、直流アーク放電によりチャンバ内の雰囲気ガスを活性化させることによって、良質の膜を作製することができる。
【0005】
また、アーク放電はグロー放電と比較すると、低電子温度で高電子密度のため、より多くのイオン、ラジカル等の活性種を発生させることができる。そして、これらの活性種の作用によって、より良質の膜を作製することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の薄膜作製装置にあっては、直流アーク放電によって成膜チャンバ内の雰囲気ガスをある程度活性化できるが、まだ十分な活性化ができず、高品質の膜を作製することができない。
【0007】
また、陽極−陰極間の全体にプラズマが発生するので、雰囲気ガス中の特定のガスを所望の場所で効率良く発生させることは困難である。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、成膜チャンバ内の雰囲気ガスをより効率良く活性化することができ、高品質の膜を作製することができ、また雰囲気ガス中の特定のガスを容易に所望の場所で効率良く発生させることが可能な薄膜作製装置及び薄膜作製方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る薄膜作製装置及び薄膜作製方法は、次のように構成したものである。
【0010】
(1)アーク放電プラズマを用いる薄膜作製装置において、薄膜材料を付着させる基板を配した成膜チャンバ内に、該成膜チャンバ内のガスを熱活性化させる加熱手段を設け、前記加熱手段は、フィラメントからなり、その電位を正にバイアスし、アーク放電によるプラズマ内に存在する電子が流れ込むことにより加熱されるようにした。
【0011】
(2)上記(1)の構成において、加熱手段は成膜チャンバ内へのガス導入管の吐出口近傍に配置した。
【0012】
(3)上記(1)の構成において、加熱手段は基板と対向する位置に平均的に設けた。
【0013】
(4)上記(1)の構成において、加熱手段は成膜チャンバ内へのガス導入管の吐出口近傍と基板と対向する位置に設けた。
【0016】
(5)アーク放電プラズマを用いる薄膜作成方法において、薄膜材料を付着させる基板を配した成膜チャンバ内でアーク放電によりプラズマを発生させると同時に、フィラメントからなる加熱手段は、その電位を正にバイアスし、プラズマ内に存在する電子が流れ込むことにより加熱され、同成膜チャンバ内のガスを加熱して熱活性化させるようにした。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施例による薄膜作製装置の概略構成を示す断面図であり、図5と同一符号は同一構成要素を示している。
【0019】
図1において、1は薄膜が形成される成膜チャンバで、側方の陰極部2へ向けて下方の陽極部3からアーク放電によるプラズマ4が形成されるようになっている。5はその陰極部2の電極、6は陽極部3に設けられた蒸着材料で、これらの間に直流電源7が接続されている。
【0020】
8はヒータ9を有したサセプタで、その下側に薄膜が付着される基板10が取り付けられている。11は排気管12を通してチャンバ内を真空にするためのバルブ、13は陰極側のガス導入管、14はチャンバ側のガス導入管である。
【0021】
15は成膜チャンバ1内の雰囲気ガスを熱活性化させるための加熱手段として設けられたフィラメントで、ガス導入管14の吐出口近傍に配置されている。16はフィラメント15に接続された直流電源で、フィラメント15の電位をプラズマ4のウォールポテンシャルよりも正にバイアスして加熱するようになっている。
【0022】
上記のように、成膜チャンバ1内に雰囲気ガスを加熱する加熱手段として例えばフィラメント15を設けた構成においては、成膜過程は図5の装置と同様であるが、成膜中にフィラメント15の加熱によって雰囲気ガスの熱活性化が行われる。このフィラメント15の加熱は、直流電源16によりフィラメント15の電位をプラズマ4のウォールポテンシャルよりも正にバイアスすることによって行われ、プラズマ4内に存在する電子がフィラメント15に流れ込むためにフィラメント15が赤熱する。そして、この赤熱したフィラメント15の近くの雰囲気ガスが、フィラメント15の熱やここから放出される熱電子などの作用によって活性化する。
【0023】
したがって、成膜チャンバ1内の雰囲気ガスはアーク放電の作用によって活性化するのに加えて、上述の熱フィラメントの作用によって更に活性化する。このため、より多くのイオン、ラジカル等の活性種が発生し、これらの多量の活性種によってアーク放電のみで作製した膜よりも良質な膜を基板10に付着させることができる。
【0024】
ここで本実施例では、フィラメント15によりガス導入管14から入ってきたガスを集中的に活性化させるようにしているが、このフィラメント15の大きさ、形状、配置位置は、その膜形成の目的に合わせて様々に設定することができる。例えば図2の第2の実施例のように、フィラメント15を基板10と対向する位置に平均的に設けるようにしても良い。
【0025】
図2の実施例の場合、基板10に到達するガス全体を効率良く活性化することができ、上述の実施例と同様高品質の膜を作製することができる。また、図1と図2の構成を組み合わせ、ガス導入管14の吐出口付近と基板付近のガスを同時に活性化するようにしても良く、より良質の膜を基板10に付着させることができる。
【0026】
このように、フィラメント15の形状や位置を変えることで、成膜チャンバ1内の雰囲気ガスをより効率良く活性化することができ、また容易に雰囲気ガス中の特定ガスを所望の場所で効率良く発生させることができる。
【0027】
図3は本発明の第3の実施例を示す図である。本実施例は、フィラメント15を抵抗加熱部材としてこれを直流電源16により加熱するようにしたものである。このような加熱方式としても上記の各実施例と同様、成膜チャンバ1内の雰囲気ガスを効率良く活性化することができ、良好な成膜が得られる。
【0028】
また、上述の各実施例の加熱方式以外にも多数の加熱方式があり、何れの方式を用いても同等の作用効果を得ることができる。例えば、ガス導入管14を直接ヒータで加熱するようにすることもできる。
【0029】
次に、具体的な例として多結晶シリコン薄膜の作製過程について説明する。この場合、図1に示す装置において、陰極側のガス導入管13からArガスを30sccm、もう一方のガス導入管14からH2 ガスを120sccmそれぞれ流し、またバルブ11により成膜チャンバ1内を70mTorrの状態に保つ。
【0030】
そして、直流アーク放電によるプラズマ4を直流電源7によって80V,200Aの条件下で発生させ、陽極部3のるつぼ内の蒸着材料6である原料シリコンを蒸発させる。このとき同時に、基板10としてガラス基板をヒータ9により300℃に加熱し、またフィラメント15を直流電源16によって0〜300Wの電力で加熱し、上記導入管14から供給されたH2 ガスの熱活性化を行いながらガラス基板にシリコン膜を付着させる。
【0031】
図4は上記のようにして作製された多結晶シリコン膜の結晶化率(Volume Fraction ofCrystalline)とフィラメント15の印加電力(Power) との関係を示す図であり、ラマンスペクトルから見積った多結晶シリコン膜の結晶化率(%)のフィラメント印加電力(W)の依存性を示している。
【0032】
図示のように、フィラメント15を使用しない場合の結晶化率は50〜60%であるが、約300Wの電力でフィラメント15を加熱したときの結晶化率は80%にまで向上している。この実験結果は、本発明の実施例における熱フィラメントがシリコン膜の結晶化に有効であることを示している。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、成膜チャンバ内のガスを熱活性化させる加熱手段を設けたため、成膜チャンバ内の雰囲気ガスをより効率良く活性化することができ、高品質の膜を作製することができ、また雰囲気ガス中の特定ガスを容易に所望の場所で効率良く発生させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の概略構成を示す断面図
【図2】 本発明の第2の実施例の概略構成を示す断面図
【図3】 本発明の第3の実施例の概略構成を示す断面図
【図4】 シリコン薄膜の結晶化率とフィラメントの印加電力との関係を示す図
【図5】 従来例の概略構成を示す断面図
【符号の説明】
1 成膜チャンバ
2 陰極部
3 陽極部
4 プラズマ
5 電極
6 蒸着材料
7 直流電源
9 ヒータ
10 基板
11 バルブ
14 ガス導入管
15 フィラメント(加熱手段)
16 直流電源
Claims (5)
- アーク放電プラズマを用いる薄膜作製装置において、薄膜材料を付着させる基板を配した成膜チャンバ内に、該成膜チャンバ内のガスを熱活性化させる加熱手段を設け、前記加熱手段は、フィラメントからなり、その電位を正にバイアスし、アーク放電によるプラズマ内に存在する電子が流れ込むことにより加熱されることを特徴とする薄膜作製装置。
- 加熱手段は成膜チャンバ内へのガス導入管の吐出口近傍に配置したことを特徴とする請求項1記載の薄膜作製装置。
- 加熱手段は基板と対向する位置に平均的に設けたことを特徴とする請求項1記載の薄膜作製装置。
- 加熱手段は成膜チャンバ内へのガス導入管の吐出口近傍と基板と対向する位置に設けたことを特徴とする請求項1記載の薄膜作製装置。
- アーク放電プラズマを用いる薄膜作成方法において、薄膜材料を付着させる基板を配した成膜チャンバ内でアーク放電によりプラズマを発生させると同時に、フィラメントからなる加熱手段は、その電位を正にバイアスし、プラズマ内に存在する電子が流れ込むことにより加熱され、同成膜チャンバ内のガスを加熱して熱活性化させることを特徴とする薄膜作製方法。
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JP26384597A JP3839930B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | 薄膜作製装置及び薄膜作製方法 |
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- 1997-09-29 JP JP26384597A patent/JP3839930B2/ja not_active Expired - Fee Related
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