JP3838528B2 - 内燃機関の冷却制御装置および冷却制御方法 - Google Patents

内燃機関の冷却制御装置および冷却制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用エンジン等の内燃機関を冷却するための冷却制御装置および冷却制御方法に関し、特に内燃機関内に循環させる冷却媒体に対する温度制御の応答性を向上させると共に、その制御精度を改善することができる冷却制御装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に使用される内燃機関(以下エンジンと称する)においては、これを冷却するために一般にラジエータを用いる水冷式の冷却装置が使用されている。
この種の冷却装置においては、冷却水の温度を制御するためにサーモスタットが用いられており、冷却水が所定温度よりも低温の場合には、前記サーモスタットの作用により冷却水をバイパス通路へ流してラジエータを通さずに冷却水を循環させる構造とされている。
図19は、その構成を示したものであり、符号1はシリンダブロック1aおよびシリンダヘッド1bより構成されたエンジンであり、このエンジン1のシリンダブロック1aおよびシリンダヘッド1b内には矢印cで示した流体通路が形成されている。
また2は熱交換機、すなわちラジエータを示し、このラジエータ2には周知のとおり流体通路2cが形成されており、ラジエータ2の冷却水入口部2aおよび冷却水出口部2bは、前記エンジン1との間で冷却水を循環させる冷却水路3に接続されている。
【0003】
冷却水路3は、エンジン1の上部に設けられた冷却水の流出部1dからラジエータ2の上部に設けられた冷却水の流入部2aまで連通する流出側冷却水路3aと、ラジエータ2の下部に設けられた冷却水の流出部2bからエンジン1の下部に設けられた冷却水の流入部1eまで連通する流入側冷却水路3bと、両冷却水路3a,3bの途中部位を接続するバイパス水路3cより構成されている。
また、冷却水路3における流出側冷却水路3aとバイパス水路3cの分岐部には、サーモスタット4が配置されている。このサーモスタット4は、冷却水温の変化により膨張、収縮する熱膨張体(例えばワックス)を内蔵していて、冷却水温が高いとき(例えば80℃以上の場合)には、前記熱膨張体の膨張によって弁を開き、エンジン1の流出部1dから流出する冷却水を流出側冷却水路3aを通してラジエータ2に流入できるようにし、ラジエータ2で放熱されて低い温度となった冷却水が流出部2bから流出して流入側冷却水路3bを通り、エンジン1の流入部1eからエンジン1内に流れ込むように作用させるものである。
【0004】
また、冷却水温が低いときには熱膨張体の収縮によってサーモスタット4の弁は閉じられ、エンジン1の流出部1dから流出した冷却水はバイパス水路3cを通して、エンジン1の流入部1eからエンジン1内の冷却通路cに流れ込むようにされている。
なお、図19において符号5はエンジン1の流入部1e部分に配置されたウォーターポンプであり、エンジン1の図示しないクランクシャフトの回転により回転軸が回転されて冷却水を強制的に循環させるものである。また、符号6はラジエータ2に強制的に冷却風を取り入れるためのファンユニットであり、冷却ファン6aと、これを回転駆動するファンモータ6bより構成されている。
【0005】
前記したようなサーモスタットによる開弁および閉弁作用は冷却水の温度により決定されるものであり、しかもワックス等の熱膨張体による膨張、収縮作用によるものであるため、開弁時の温度および閉弁時の温度が一定ではない。すなわちワックス等の熱膨張体は冷却水の温度変化を受けてから弁が動作するまでにしばらくの時間を要するものであり、特に温度上昇時に比較して温度下降時の応答性が悪く、いわゆるヒステリシス特性を有している。このために、冷却水を所望の一定温度の範囲に調節することは困難であるという技術的課題を有している。
【0006】
そこで、ワックス等の熱膨張体による開弁および閉弁作用を利用せず、電気的に冷却水の流量を制御するようにしたものが提案されている。
これは、例えばステッピングモータによりバタフライ弁の回転角を制御するものである。これは図19におけるサーモスタット4が除かれ、サーモスタット4の代りにバタフライ弁を備えたバルブユニット7が図19に破線で示すように流出側冷却水路3aに配置される。
図20はそのバルブユニット7の一例を示したものであり、冷却水路3a内に円形平板状のバタフライ弁7aが支軸7bによって回転可能となるように支持されている。この支軸7bの一端にはウォームホイル7cが取り付けられており、モータ7dの回転駆動軸に嵌め込まれたウォーム7eが、前記ウォームホイル7cに噛み合うように構成されている。
【0007】
そして、前記モータ7dにはエンジン全体の運転状態を制御する制御ユニット(ECU)によって、その駆動軸を正転および逆転させる動作電流が供給される。従って、ECUの作用によりモータ7dに対して駆動軸を正転させる電流が供給されると、ウォーム7eとウォームホイル7cによる周知の減速作用によりバタフライ弁7aの支軸7bが一方向に回転され、これによりバタフライ弁7aの面方向が冷却水路3aの水路方向と同一方向に回転されて開弁状態とされる。
また、ECUの作用によりモータ7dに対して駆動軸を逆転させる電流が供給されると、バタフライ弁7aの支軸7bが他方向に回転され、これによりバタフライ弁7aの面方向が冷却水路3aの水路方向と直角方向に回転されて閉弁状態とされる。
前記ECUには、例えばエンジンの冷却水温に関する情報が供給されるようにされており、この情報を利用して前記モータを制御することにより冷却水の温度制御をなすように構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したようなバタフライ弁を用いた冷却制御装置においては、例えばサーミスタ等の温度検知素子(図示せず)がエンジン1の冷却水の水路の一部に配置され、この温度検知素子により検知された冷却水温に基づいて前記モータ7dを駆動するように構成されている。
従って、このような構成によると、前者のように熱膨張体を用いたサーモスタットを用いた場合のようなヒステリシス特性の影響をある程度少なくさせることができ得る。
しかしながら、冷却水の温度が変化したことを温度検知素子が関知した後、これに基づいてECUによってバルブの角度を制御するものであり、いわゆる後追い制御であることにおいては、前者と同一である。
従って、後者のようなバタフライ弁を用いた冷却制御装置であっても、冷却水の温度が特定の温度Tcを中心として常に上下動するいわゆるハンチング現象の発生は免れず、このため、安定かつ精度の良い制御は困難となる。
【0009】
一般に自動車用のエンジンにおいては、オーバヒートに至らない程度の高温度の状態において駆動することで、燃費が向上し、また有害ガスの発生をある程度まで押さえることができる。
しかしながら前記したようなハンチングが発生する場合においては、エンジンがオーバヒートに至る最悪な状態を避けるために、前記冷却水温度Tcを低めに設定せざるを得ず、このために燃費を犠牲にせざるを得ないという技術的課題を有していた。
一方、前記したバタライ弁を回動させるためのアクチェータについては、前記したように例えばステッピングモータが備えられ、ECUからもたらされるパルス状の制御信号によって駆動され、バタライ弁を回動させるようになされる。
【0010】
この種のステッピングモータにおいては、周知のとおりその作用上において最大回転数(rpm/min)は直流モータに比較して相当に低い。従って前記したようなウォームギヤやその他の減速ギヤを用いて所定の回動トルクを得るように構成し、かつバタライ弁に適正な回動速度を与えるように設定しようとすると、必然的にモータ自身に高トルクを求めざるを得ず、このためにアクチェータ全体が大型化するという技術的課題を有している。
しかも、例えばモータの故障、或いは前記減速ギヤ部分に障害が発生した場合等においては、バタフライ弁の開閉動作が不可能となる。例えば、バタフライ弁が閉弁状態またはこれに近い中間角度の状態において前記した故障或いは障害が発生した場合には、エンジンの十分な冷却作用が成されず、運転者が認識しない間にエンジンをオーバヒートに至らせる等の技術的課題を有している。
【0011】
本発明は以上のような技術的課題を解決するために成されたものであり、特に冷却水の温度推移を予測した状態で温度管理をなし、前記したようなハンチングが発生することのない制御精度を改善した冷却制御装置および制御方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は流量制御弁の駆動装置部分等の障害発生により、機関をオーバヒートに至らせるなどの問題を未然に防ぎ、フェールセーフ機能を発揮することができる冷却制御装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するためになされた本発明にかかる内燃機関の冷却制御装置は、内燃機関内に形成された流体通路と熱交換機に形成された流体通路との間で冷却媒体の循環路を形成し、前記循環路中に冷却媒体を循環させることによって内燃機関において発生する熱を前記熱交換機によって放熱させるように構成した内燃機関の冷却制御装置であって、前記内燃機関と熱交換機間の循環路における冷却媒体の流量をその開弁度合いに応じて制御する流量制御手段と、少なくとも前記内燃機関に対する負荷情報と、前記冷却媒体の温度情報とを抽出する情報抽出手段と、前記負荷情報に対応する冷却媒体の目標設定温度を求めると共に、前記冷却媒体の温度情報と目標設定温度との温度偏差を求め、この温度偏差と温度偏差の変化速度との関係に基づいて前記流量制御手段のアクチェータに対する制御信号を生成する制御ユニットと具備され、前記制御ユニットは、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小の場合においてアクチェータの制御信号を生成する第1の制御信号生成モードと、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも大の場合においてアクチェータの制御信号を生成する第2の制御信号生成モードを実行するように構成されている点に特徴を有する。
【0013】
この場合、前記制御ユニットは、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小の場合においてアクチェータの制御信号を生成する第1の制御信号生成モードと、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも大の場合においてアクチェータの制御信号を生成する第2の制御信号生成モードを実行するように構成される。
そして、望ましくは第1の制御信号生成モードは、前記温度偏差に対応して流量制御手段による冷却媒体の流量を単位時間毎に連続的に微小変化させる積分制御要素を含み、また第2の制御信号生成モードは、前記温度偏差と温度偏差変化速度に対応して記述されたマップより読み出された冷却媒体の流量設定データに基づいて、アクチェータの制御信号を生成するように構成される。
また、前記内燃機関に対する負荷情報は、少なくとも内燃機関の回転数と、スロットルバルブの開度情報とにより生成される。
【0014】
さらに好ましい実施の形態においては、前記流量制御手段による冷却媒体の流量を示すセンサがさらに具備され、前記センサにより得られる情報が、前記制御ユニットにおける演算処理に利用するように構成される。
また好ましい実施の形態においては、前記流量制御手段は、筒状の冷却媒体通路中に配置され、冷却媒体の流通方向に対して、その平面方向の角度が可変されるバタフライ弁により構成され、また前記冷却媒体の流量を示すセンサは、バタフライ弁の回転角度に関する情報を生成する角度センサが用いられる。
【0015】
また好ましい実施の形態においては、前記アクチェータは、前記制御ユニットからの制御信号に基づいて回転駆動される直流モータと、前記直流モータの回転駆動力の伝達または解放を行うクラッチ機構と、前記クラッチ機構を介した直流モータの回転数を減速する減速機構より構成され、かつ流量制御手段には、流量制御手段を開弁方向に付勢するリターンスプリングが配置された構成とされる。
そして、前記クラッチ機構は、制御ユニットからの異常状態出力を受けて解放状態に成され、リターンスプリングにより前記流量制御手段を開弁状態に保持するように構成される。
加えて、前記クラッチ機構は、内燃機関の駆動停止に伴う制御ユニットからの制御信号の供給停止を受けて解放状態に成され、前記リターンスプリングにより前記流量制御手段を開弁状態に保持するように構成される。
【0016】
また、前記した課題を解決するためになされた本発明にかかる内燃機関の冷却制御方法は、内燃機関内に形成された流体通路と熱交換機に形成された流体通路との間で冷却媒体の循環路を形成し、前記循環路中に流量制御手段を介して冷却媒体を循環させることによって内燃機関において発生する熱を前記熱交換機によって放熱させるように構成した内燃機関の冷却制御方法であって、少なくとも内燃機関に対する負荷情報と、前記冷却媒体の温度情報とを取り込むステップと、前記負荷情報に対応する冷却媒体の目標設定温度を求めるステップと、前記冷却媒体の温度情報と目標設定温度との温度偏差を求めるステップと、前記温度偏差と温度偏差の変化速度とを演算するステップと、温度偏差と温度偏差の変化速度との関係に基づいて流量制御手段のアクチェータを駆動する制御信号を生成するステップと、前記制御信号に基づいてアクチェータを駆動し、熱交換機に流入する冷却媒体の流量制御を実行するステップとからなり、アクチェータを駆動する制御信号を生成する前記ステップにおいては、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小であるか否かを判定するステップがさらに加えられ、温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小であると判断した場合においては、温度偏差に対応して流量制御手段による冷却媒体の流量を単位時間毎に連続的に微小変化させる積分制御要素を含む制御信号を生成するステップを実行し、また温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小ではないと判断した場合においては、前記温度偏差と温度偏差変化速度に対応して記述されたマップより読み出された冷却媒体の流量設定データに基づいて、制御信号を生成するステップを実行する点に特徴を有する。
【0018】
以上のような構成および制御方法によると、例えば内燃機関の回転数とスロットルバルブの角度情報から得られる負荷情報に基づいて冷却媒体としての冷却水の目標設定温度が定められる。また目標設定温度と冷却水の温度情報とにより所定時間単位で温度偏差が求められ、さらに温度偏差の変化速度も求められる。
そして、前記温度偏差と温度偏差の変化速度とをパラメータとして、制御信号が生成され、この制御信号は流量制御手段としての例えばバタフライ弁を駆動するアクチエータに対して供給される。
この場合、温度偏差と温度偏差の変化速度の大きさに応じて制御信号の生成モードが変更され、温度偏差と温度偏差の変化速度の大きさが所定よりも小の場合には、冷却水の流量を単位時間毎に連続的に微小変化させる積分制御要素を含むPI制御によりバタフライ弁の回転角度が制御される。
【0019】
また、温度偏差と温度偏差の変化速度の大きさが所定よりも大の場合には、温度偏差と温度偏差変化速度に対応して記述されたマップより読み出された冷却媒体の流量設定データに基づいて、バタフライ弁を迅速に駆動する即応制御がなされる。
これにより、冷却水の温度推移を予測した状態で温度管理がなされ、また前記したPI制御を併用することで、冷却水の大幅なハンチングの発生を防止した好ましい制御精度を得ることができる。
加えて、バタフライ弁を回転駆動するためのアクチェータにおいては、直流モータ、クラッチ機構、減速機構を具備し、前記した制御信号に基づいてバタフライ弁を駆動する。
【0020】
この場合、特に直流モータを用いることにより直流モータの特質である高速回転特性を利用することができ、小型の直流モータと前記減速機構との組み合わせにより充分なる回転トルクをもってバタフライ弁を駆動することができる。従ってアクチェータ全体を小型化させることが可能となる。
また、バタフライ弁を開弁状態に付勢するリターンスプリングを備え、アクチェータにクラッチ機構を具備させたことで、異常時におけるリターンスプリングによる開弁作用が円滑に成し得る。
さらに、直流モータと減速機構との間にクラッチ機構を介在させた構成により、クラッチ機構に印加される駆動力、すなわちトルクを極端に低下させることが可能であり、クラッチ機構のすべり、損耗が防止でき、従ってクラッチ機構の小型化を図ることができ、前記アクチェータの小型化に寄与することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる内燃機関の冷却制御装置について、図に示した実施の形態に基づいて説明する。
図1は自動車用エンジンの冷却制御装置に適用した全体構成を示したものである。なお図1において、図19に示した従来の装置と同一符号部分はそれぞれ相当部分を示しており、したがって個々の構成および作用の説明は適宜省略する。図1に示すように、内燃機関としてのエンジン1の上部に設けられた冷却水の流出部1dと、熱交換機としてのラジエータ2の上部に設けられた冷却水の流入部2aとの間に配置された流出側冷却水路3aには、流量制御ユニット11がフランジによって接続されている。
これにより、流量制御ユニット11を含んだ形で冷却媒体、すなわち冷却水の循環路12が形成されている。
【0022】
また、前記エンジン1における冷却水の流出部1dには、例えばサーミスタ等の温度検知素子13が配置されている。この温度検知素子13による検出値は、変換器14によって制御ユニット(ECU)15が認識可能なデータに変換され、エンジン全体の運転状態を制御する制御ユニット(ECU)15に供給されるように構成されている。
また、図1に示す実施の形態においては、エンジン1のスロットルバルブ16の開度を検出するスロットルポジションセンサ17からの開度情報も制御ユニット15に供給されるように構成されている。また、図示していないが前記制御ユニット15には、他にエンジンの回転数等の情報も供給されるように構成されている。
一方、制御ユニット15からはモータ制御回路18並びにクラッチ制御回路19に対して制御信号が供給されるように成されている。このモータ制御回路18並びにクラッチ制御回路19は、バッテリー20から供給される電流をそれぞれ制御し、流量制御ユニット11に具備された後述する直流モータ制御回路、並びにクラッチ制御回路に対して制御電流が供給されるように構成されている。
【0023】
図2は、前記流量制御ユニット11の構成を模式的に示したものであり、その一部は断面状態で示されている。この流量制御ユニット11は、バタフライ弁並びにこれを駆動するアクチェータより構成されている。
まず、アクチェータには直流モータ31が具備されており、この直流モータ31の回転軸31aには、クラッチ機構32を構成する第1クラッチ盤32aが、回転軸31aの回転方向に結合され、かつ軸方向に摺動可能となるように取り付けられている。
図3は、図2におけるA−A′部分を矢印方向に視た状態を示したものである。すなわち、前記モータの回転軸31aは、その外形が図に示すように六角形に成されており、一方第1クラッチ盤32aの中央部には、前記モータの回転軸31aを包囲するように六角形の孔が形成されている。
この構成により、第1クラッチ盤32aは回転軸31aの回転方向に結合され、かつ軸方向に摺動可能となるように作用する。
【0024】
図2に戻り、前記第1クラッチ盤32aの周側面には環状の溝部32bが形成されており、この溝部32bには電磁プランジャ32cの作動子32dの先端部が遊嵌されるように構成されている。そして、プランジャ32cにはコイルスプリング32eが取り付けられており、このコイルスプリング32eの拡開作用によりプランジャ32cに通電しない通常状態においては、図2に示すように第1クラッチ盤32aをモータ31側に引き込むように成されている。
前記第1クラッチ盤32aに対向するように第2クラッチ盤32fが配置されており、この第2クラッチ盤32fは、減速機構33を構成する入力側回転軸33bに固着されている。
前記減速機構33はケース33aに取り付けられた各軸受けにより、前記入力側回転軸33bおよび中間回転軸33c、出力側回転軸33dが互いに平行状態に配置されている。
そして、入力側回転軸33bにはピニオン33eが固着され、中間回転軸33cに固着された平歯車33fに噛み合うように成され、また中間回転軸33cに固着されたピニオン33gは出力側回転軸33dに固着された平歯車33hに噛み合うように成されている。
【0025】
この構成により減速機構33は、その減速比が例えば1/50程度となるように構成されている。
また、前記減速機構33の出力側回転軸33dは、流量制御弁34の駆動軸に結合されている。流量制御弁34は、筒状の冷却媒体通路34a中に配置された平板状のバタフライ弁34bにより構成されている。このバタフライ弁34bは、冷却水の流通方向に対して、その平面方向の角度が駆動軸としての支軸34cの回転角により冷却水の流量が制御されるように成される。すなわち、冷却水の流通方向に対して、その平面方向の角度が0度付近で開弁状態となり、冷却水の流通方向に対して、その平面方向の角度が90度付近で閉弁状態となる。そして、その中間角度を適宜とることにより、冷却水の流量はリニアに制御される。
【0026】
前記支軸34cにおける減速機構33側には、カラー34dが支軸34cに対して固着されており、このカラー34dの周側面には、コイル状のリターンスプリング34eが捲装されている。このリターンスプリング34eの一端は、内部に冷却媒体通路34aを構成する筒状体の一部に係合されており、リターンスプリング34eの他端は、カラー34dの一部に取り付けられた突出体34fに係合されている。
この状態で前記リターンスプリング34eは、支軸34cに結合されたバタフライ弁34bを開弁状態となるように付勢している。
また前記支軸34cの減速機構33に対向する他端部には、角度センサ34gが結合されており、バタフライ弁34bの回転角度を認識することができる。
【0027】
以上のように構成された流量制御ユニット11において、前記直流モータ31は図1に示すモータ制御回路18より駆動電流を受けるように成され、またクラッチ機構32における電磁プランジャ32cは図1に示すクラッチ制御回路19より駆動電流を受けるように成され、また角度センサ34gによるバタフライ弁の回転角度に関するデータ出力は図1に示す制御ユニット15に供給されるように成されている。
従って図2に示す構成において、電磁プランジャ32cに通電されると、その作動子32dは第1クラッチ盤32aを、第2クラッチ盤32f側に移動させて結合状態とする。そして、直流モータ31に対して駆動電流が供給されると、モータ31の回転駆動力は減速機構により減速され、支軸34cを介してバタフライ弁34bを回転させる。また支軸34cの回転によって、前記角度センサ34gは回転角度に関するデータを制御ユニット15にフィードバックさせる。
【0028】
図4は前記モータ制御回路18の構成を示した結線図である。このモータ制御回路18は、電源(バッテリー20)の正極端子と負極端子(アース)間に直列接続された第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2、および同じく正極端子と負極端子間に直列接続された第3のスイッチング素子Q3と第4のスイッチング素子Q4によりブリッジ回路が構成されている。
これらの各スイッチング素子はNPN型のバイポーラ型トランジスタにより構成されている。従って第1トランジスタQ1および第3トランジスタQ3の各コレクタはバッテリー20の正極端子に接続され、また、第2トランジスタQ2および第4トランジスタQ4の各エミッタはアースに接続されている。
【0029】
そして、第1トランジスタQ1のエミッタと第2トランジスタQ3のコレクタとが接続され、第1接続中点18aを構成している。また第3トランジスタQ3のエミッタと第4トランジスタQ4のコレクタとが接続され、第2接続中点18bを構成している。
前記第1接続中点18aおよび第2接続中点18bとの間には直流モータ31の一対の駆動電流入力端子がそれぞれ接続されている。
また第1および第4トランジスタQ1,Q4の制御極端子、すなわちベースは互いに結合されて入力端子aを構成しており、第2および第3トランジスタQ2,Q3のベースは互いに結合されて入力端子bを構成している。
【0030】
図5は、図4における入力端子aおよび入力端子bに対して前記制御ユニット15から択一的に与えられるスイッチ制御信号を示したものである。
この制御信号はPWMによるパルス波形に成されており、図に示す如く、モータ回転方向に応じ一定時間駆動するよう構成している。なお、閉弁時においては入力端子aのみに対して大きなパルス幅(W1)の制御信号が、また開弁時においては入力端子bのみに対して小さなパルス幅(W2)の制御信号が与えられる。
すなわち前記バタフライ弁34bを開弁させようとする時は、リターンスプリング34eのリターン方向のトルクを利用して小なるパルス幅にて、有効駆動させるようにされている。
【0031】
ここで、前記バタフライ弁34bを閉弁させようとする場合には、図4に示す端子aに対して図5に閉弁時(a)として示したパルス幅のスイッチ制御信号が供給される。従ってトランジスタQ1およびQ4は図5(a)に示すパルス幅に応じたスイッチ制御信号によりオン制御が成され、モータ31を一方向に回転駆動させる。
また、前記バタフライ弁34bを開弁させようとする場合には、図4に示す端子bに対して図5に開弁時(b)として示したパルス幅のスイッチ制御信号が供給される。従ってトランジスタQ2およびQ3は図5(b)に示すパルス幅の制御信号によりオン制御が成され、モータ31を逆方向に回転駆動させる。
【0032】
また図6は図1に示したECU15の基本構成を示したものである。このECU15には、各センサから供給される信号をECUが認識可能なデジタル信号等に変換する信号処理部15aと、この信号処理部15aにより処理された入力データと、メモリ15cにテーブル形式で格納された後述する各種のデータと比較する比較部15bと、この比較部15bによる比較結果を演算処理して制御信号を出力する信号処理部15dより構成されている。
【0033】
以下に、図1乃至図6に示した自動車エンジンの冷却制御装置の作用について、図7以降に示す主に前記ECU15が実行する制御フローに従って説明する。まず図7に示すフローにおいて、自動車エンジンが始動されると、ECU15よりクラッチ制御回路19に対して制御信号が供給され、従って図2に示す電磁プランジャ32cに対して駆動電流が供給され、クラッチ機構32は伝達状態となる。
これと共に、ECU15はモータ制御回路18に対して、開弁状態にある流量制御弁すなわちバタフライ弁34bを閉弁させる制御信号を送出する。(ステップS1)
これにより図4に示すモータ制御回路18における端子aには、図5に閉弁時として示したパルス幅(W1)の制御信号が加えられる。従って直流モータ31が回転駆動され、減速機構33を介してバタフライ弁34bは一旦閉弁される。
【0034】
そして、ステップS2においてECU15は温度検知素子13からの情報を受ける変換器14より、エンジン始動時の冷却水温(Tws)を読み出す。続いてステップS3において、ECU15はエンジン回転数(N)、スロットル開度(θT )、冷却水温(Tw)を取り込む。
次にステップS4において、前記冷却水温(Tw)と始動時の冷却水温(Tws)との関係を判断する。すなわちTw>Twsの条件がNoであると判定すると、ステップS5に移り、モータ制御回路18に対して、制御信号を送り、角度センサ34gによる検出角度がほぼ90度となるような値に弁の角度を設定する。これによりバタフライ弁34bは閉弁状態を維持する。(ステップS6)
【0035】
そして、ステップS7においてエンジンが停止されたか否かが判定され、エンジン停止ではない(No)と判定すれば、再びステップS3に戻るルーチンを繰り返す。ステップS7においてエンジン停止である(Yes)と判定すると、ステップS8に移り、ECU15はクラッチ制御回路19に対する制御信号の供給を停止し、従って電磁プランジャ32cの動作が停止される。
この結果、クラッチ機構32は解放され、バタフライ弁34bはリターンスプリング34eの作用により開弁状態とされる。
また前記ステップS4において、Tw>Twsの条件がYesであると判定すると、ステップS9に移り、エンジンの負荷情報としてのエンジン回転数(N)−スロットル開度(θT )に対応する目標設定水温(Ts)を、図11に示すテーブル▲1▼より検索する。
【0036】
図11に示すテーブル▲1▼は、エンジン回転数(N)とスロットル開度(θT )との間で目標設定水温(Ts)がマトリックス状に記述されている。なお図においては紙面においての説明の便宜上、エンジン回転数(N)とスロットル開度(θT )との関係が相当に粗く表されているが、具体的にはより細かい状態で記述される。また、多少粗い状態であっても中間値においては、いわゆる中間補間を成すことで、実用上利用可能な目標設定水温(Ts)を求めることもできる。これは、以下に示す各テーブルにおいても同様である。
【0037】
続いてステップS10において、冷却水温(Tw)と、図11に示すテーブル▲1▼より検索された目標設定水温(Ts)より、温度偏差(ΔT=Tw−Ts)を演算する。そして、ステップS11において、エンジン回転数(N)とスロットル開度(θT )に対応する基準制御弁角度(θso)を、図12に示すテーブル▲2▼より検索する。
続いて、ステップS12において前回の水温(Two)と今回の水温(Tw)より、温度偏差速度(Tv)を演算する。すなわち、図7のステップS12に示すようにTv=ΔT/Δt=(Two−Tw)/secの演算処理を実行する。前記ステップS10およびステップS12によって得られた前記温度偏差(ΔT)および温度偏差速度(Tv)の2つのデータは、ステップS13において、それぞれ所定の温度偏差値(ΔTA )並びに所定の温度偏差速度値(Tv)と比較演算される。すなわち図7に示すようにΔT≦ΔTA ,Tv≦TvA の比較演算がなされる。
【0038】
前記所定の温度偏差値(ΔTA )並びに所定の温度偏差速度値(Tv)は、後述するテーブル▲3▼において、それぞれ太線にて囲まれた比較的偏差成分の低い値に設定されており、ステップS13においてその所定の値以下ではない(No)と判断すると、図8に示すステップS21に移行する。
図8に示すステップS21乃至ステップS25は、流量制御弁による冷却水の流量制御を比較的速やかに実行する速応制御のルーチンである。
ステップS21においては、ステップS10において求めた温度偏差(ΔT)、ステップS12において求めた温度偏差速度(Tv)に対応した制御弁設定角度(θs)を、図13に示すテーブル▲3▼より検索する。
【0039】
図13に示すテーブル▲3▼は、前記テーブル▲1▼▲2▼と同様に温度偏差(ΔT)と温度偏差速度(Tv)との間で制御弁設定角度(θs)がマトリックス状に記述されている。そして、テーブル▲3▼において太線で囲まれた温度偏差(ΔT)の値が小さい範囲(ΔT4 )並びに温度偏差速度(Tv)の値が小さい範囲(Tv4 )が前記した所定の温度偏差値(ΔTA )並びに所定の温度偏差速度値(Tv)として設定されている。
ステップS22においては、総合制御弁角度(θ)の演算がなされる。これは、ステップS11において検索された基準制御弁角度(θso)と、ステップS21において検索された制御弁設定角度(θs)との間で、θ=θso±θsの演算がなされる。
【0040】
そして、ステップS23において、モータの回転方向を選定する演算、すなわちΔθ=θv−θの演算がなされる。なおこの演算に使用されるθvは、図2に示した制御弁角度を検出する角度センサ34gより得られるものである。そしてこの演算の結果における正または負の値に応じてモータの回転方向が決定される。
続いてステップS24に移り、DCモータ、すなわち図2に示した直流モータ31の駆動が実行される。この場合、前記Δθの値に応じてΔθが大の場合には、それに応じた大なるデューティパルスが発生され、Δθが小の場合には、それに応じた小なるデューティパルスが発生され、PWM信号によりDCモータが駆動される。
これによりステップS25において、流量制御弁であるバタフライ弁34bが回動され、以上のルーチンを経た後、再び図7におけるステップS7に戻る。
【0041】
一方、図7のステップS13における比較演算の結果、温度偏差(ΔT)および温度偏差速度(Tv)が所定の範囲以下(Yes)であると判断すると、図9におけるステップS31に移行する。
図9に示すステップS31乃至ステップS40は、流量制御弁による冷却水の流量制御を単位時間毎に連続的に微小変化させる積分制御要素を含むPI制御を実行するルーチンである。
ステップS31においては、図14に示す温度偏差(ΔT)に対応した比例分開度値(θsp)のテーブル▲4▼より比例分開度値(θsp)を検索する。
続いてステップS32において温度偏差(ΔT)に対応した図15に示す積分開度値(θsi)のテーブル▲5▼より積分開度値(θsi)を検索する。
そしてステップS33に移り、ステップS12で求めた温度偏差速度(Tv)の値が“0”であるか否かが判断される。ここで温度偏差速度Tvの値が“0”であると判断されると、後述するステップS37に移行する。また温度偏差速度Tvの値が“0”ではないと判断されると、ステップS34に移る。
【0042】
ステップS34においては、ステップS10で求めた温度偏差ΔTの値が判断される。このステップS34においてΔT>0であると判断されるとステップS35に、またΔT<0であると判断されるとステップS36に、さらにΔT=0であると判断されるとステップS37に移行する。
前記ステップS35においては、制御弁開度演算として制御弁開度を減少させるべき値θが演算される。ここではステップS11において検索された基準制御弁開度θsoと、ステップS31において検索された比例分開度値θspと、ステップS32において検索された積分開度値θsiより、θ=θso−(θsp+θsi)の演算がなされる。
また、ステップS36においては、制御弁開度演算として制御弁開度を増大させるべき値θが演算される。ここでは、θ=θso+(θsp+θsi)の演算がなされる。
さらにステップS37の場合においては、前回の制御弁角度θをそのまま持ち込む作用がなされる。
【0043】
そしてステップS38に移り、前記ステップS35乃至ステップS37においてそれぞれ求められた制御弁角度(θ)と、制御弁角度センサ34gより得られる制御弁開度(θv)とによりΔθ=θv−θの演算がなされる。これは前記したステップS23と同様の演算であり、この結果においてモータの回転方向が決定される。
そして、ステップS39およびステップS40を実行することにより流量制御弁の開度が制御される。このステップS39およびステップS40の作用は、前記したステップS24およびステップS25と同一であり、その説明は省略する。
以上のルーチンを経て図7におけるステップS7に戻り、エンジンが停止されるまで、以上のルーチンが巡回される。
【0044】
以上の作用によりエンジンに対する負荷情報より冷却水の温度推移を予測した状態で冷却水の温度管理がなされる。そして状況に応じて流量制御弁は、第1の制御信号生成モードと第2の制御信号生成モードによって得られた制御信号によって開閉制御がなされ、この結果制御弁の応答性が改善され冷却水の制御精度を遥かに高めることが可能となる。
【0045】
ところで、前記した図7乃至図9に示したフローは、流量制御弁の応答性の向上を図るため、温度偏差ΔT、温度変化速度Tvに対応して設定した制御弁開度θsを読み出し、制御弁の開度を制御するようにしている。この手法をより簡易に実施するために図10に示すフローを利用することもできる。
図10は、図7におけるステップS13と、図8に示すステップS21乃至ステップS25の各ステップを入れ替えて利用することができるものである。
すなわち、図10におけるステップS51は、図7におけるステップS13と同一である。このステップS51において、Noと判断された場合には、ステップS52においては、エンジンの負荷情報としてのエンジン回転数(N)−スロットル開度(θT )に対応する制御弁角度θs′を、図16に示すテーブル▲6▼より検索する。
そして、ステップS53において、モータの回転方向を選定する演算、すなわち前記ステップS23の場合と同様にΔθ=θv−θs′の演算がなされる。この演算の結果における正または負の値に応じてモータの回転方向が決定される。
【0046】
続くステップS54およびS55の作用は、前記したステップS24およびステップS25と同一であり、その説明は省略する。
そして、ステップS56に移り、角度センサ34gより得らる流量制御弁開度θvとステップS52で求めた制御弁設定角度θs′とが等しいか否か(θs′=θv?)が判定され、等しくない(No)と判断された場合には、図7に示すステップS7に戻る。また、等しい(Yes)と判断された場合には、図9におけるステップS31に移行し、PI制御が実行される。
【0047】
なお、以上説明した図7乃至図9に示すフロー、および図10に示すフローにおいては、いずれも流量制御弁としてのバタフライ弁34bの角度を、角度センサ34gから流量制御弁開度θvとして供給を受けるようにしているが、この流量制御弁開度θvを利用せずに、同様の制御を実行することができる。
すなわち角度センサを使用する場合には、基本的には流量制御弁開度θvを制御偏差信号として目標設定水温Tsに制御し、また角度センサを使用しない場合には、直接温度偏差信号ΔTに基づいて直流モータをPIデューティパルス駆動して制御することができる。
従って、制御弁角度センサを使用しない状態においては、図13に示すテーブル▲3▼を直流モータ駆動PIデューティー値テーブルに置き換えて制御することで同様の結果を得ることができる。
【0048】
図17は、これに用いられる温度偏差信号ΔTに対応した比例分デューティテーブルの例を示したものであり、また図18は、これに用いられる温度偏差信号ΔTに対応した積分デューティテーブルの例を示している。
これらの対応テーブルを参照して図4に示すブリッジ型の直流モータ駆動回路に加えるPWM信号のデューティ比を時間制御することで、同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
また、制御ユニット15においては、温度検知素子13によって得られる実際の冷却水温度Twと、目標設定水温Tsとを比較し、その差であるΔTがある一定時間経過後に、所定よりも大きくなった場合、すなわち所定温度範囲からはずれた場合には、異常状態出力を発生させることができる。
この異常状態出力の発生により、クラッチ制御回路19がクラッチ機構32を解放させるように制御することで、リターンスプリング34eの作用によりバタフライ弁34bを開弁状態とすることができる。従って冷却水の循環が促進され、エンジンがオーバヒートに至る事態となるのを避けることができる。
また以上は、本発明の冷却制御装置を自動車用エンジンに適用した実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこのような特定なものに限られることなく、その他の内燃機関に適用することで、同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明にかかる内燃機関の冷却制御装置および冷却制御方法によると、少なくとも内燃機関に対する負荷情報に基づいて冷却媒体の目標設定温度を求め、この目標設定温度と実際の冷却媒体の温度とにより温度偏差と温度偏差の変化速度を求めるようにしたので、それらの数値に基づいて最適な制御態様を選択することができる。
そして、第1の制御信号生成モードとしてPI制御を実行し、第2の制御信号生成モードとして速応制御を実行することが可能であり、冷却水の温度推移を予測した状態で精度の高い温度管理を成すことが可能となる。
従って、冷却水温度のハンチングの発生を防止することが可能となり、燃費並びに有害な排気ガスの低減を図ることが可能となる。
【0051】
また、流量制御手段を制御するアクチェータを、直流モータ、クラッチ機構、減速機構とにより構成したことで、充分な流量制御手段の駆動トルクを得つつ全体を小型化させることが可能となり、例えば自動車用エンジンに採用した場合において、その占有体積を減少させることが可能となる。
しかも、流量制御手段を開弁方向に付勢するリターンスプリングを併用することで、障害発生により機関をオーバヒートに至らせるなどの問題を未然に防ぎ、フェールセーフ機能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷却制御装置を自動車用エンジンに適用した実施の形態を示した構成図である。
【図2】図1に示す装置に用いられる流量制御ユニットを一部断面状態で示した構成図である。
【図3】図2におけるA−A′部分の拡大断面図である。
【図4】図1に示す装置に用いられるモータ駆動回路を示す結線図である。
【図5】図4に示すモータ駆動回路に与えられる制御信号の例を示した波形図である。
【図6】図1に示すエンジン制御ユニット(ECU)の構成を示したブロック図である。
【図7】ECUにおいてなされる作用を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示すフローチャートに続く、主に速応制御の作用を説明するためのフローチャートである。
【図9】図7に示すフローチャートに続く、主にPI制御の作用を説明するためのフローチャートである。
【図10】図8に示すフローチャートに入れ替えて使用し得る例を示したフローチャートである。
【図11】図7に示す処理ルーチンにおいて使用されるデータテーブルの例を示した構成図である。
【図12】図7に示す処理ルーチンにおいて使用される他のデータテーブルの例を示した構成図である。
【図13】図8に示す処理ルーチンにおいて使用されるデータテーブルの例を示した構成図である。
【図14】図9に示す処理ルーチンにおいて使用されるデータテーブルの例を示した構成図である。
【図15】図9に示す処理ルーチンにおいて使用される他のデータテーブルの例を示した構成図である。
【図16】図10に示す処理ルーチンにおいて使用されるデータテーブルの例を示した構成図である。
【図17】本発明に係る冷却制御装置の他の実施の形態に使用されるデータテーブルの例を示した構成図である。
【図18】同じく他のデータテーブルの例を示した構成図である。
【図19】従来の自動車用エンジンの冷却装置の一例を示した構成図である。
【図20】従来のバタフライ弁による流量制御装置の例を一部断面状態で示した構成図である。
【符号の説明】
1 内燃機関(エンジン)
2 熱交換機(ラジエータ)
2c 流体通路
3 冷却水路
5 ウォータポンプ
6 ファンユニット
11 流量制御ユニット
12 冷却媒体循環路
13 温度検知素子
15 制御ユニット(ECU)
16 スロットルバルブ
17 スロットルポジションセンサ
18 モータ制御回路
19 クラッチ制御回路
20 バッテリー
31 モータ(直流モータ)
32 クラッチ機構
32a 第1クラッチ盤
32c 電磁プランジャ
32f 第2クラッチ盤
33 減速機構
34 流量制御弁
34a 冷却媒体通路
34b バタフライ弁
34c 支軸
34e リターンスプリング
34g 角度センサ

Claims (9)

  1. 内燃機関内に形成された流体通路と熱交換機に形成された流体通路との間で冷却媒体の循環路を形成し、前記循環路中に冷却媒体を循環させることによって内燃機関において発生する熱を前記熱交換機によって放熱させるように構成した内燃機関の冷却制御装置であって、
    前記内燃機関と熱交換機間の循環路における冷却媒体の流量をその開弁度合いに応じて制御する流量制御手段と、
    少なくとも前記内燃機関に対する負荷情報と、前記冷却媒体の温度情報とを抽出する情報抽出手段と、
    前記負荷情報に対応する冷却媒体の目標設定温度を求めると共に、前記冷却媒体の温度情報と目標設定温度との温度偏差を求め、この温度偏差と温度偏差の変化速度との関係に基づいて前記流量制御手段のアクチェータに対する制御信号を生成する制御ユニットと、具備され、
    前記制御ユニットは、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小の場合においてアクチェータの制御信号を生成する第1の制御信号生成モードと、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも大の場合においてアクチェータの制御信号を生成する第2の制御信号生成モードを実行するように構成されていることを特徴とする内燃機関の冷却制御装置。
  2. 前記第1の制御信号生成モードは、前記温度偏差に対応して流量制御手段による冷却媒体の流量を単位時間毎に連続的に微小変化させる積分制御要素を含み、また前記第2の制御信号生成モードは、前記温度偏差および温度偏差変化速度に対応して記述されたマップより読み出された冷却媒体の流量設定データに基づいて、アクチェータの制御信号を生成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の冷却制御装置。
  3. 前記負荷情報は、少なくとも内燃機関の回転数と、スロットルバルブの開度情報とにより生成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の冷却制御装置。
  4. 前記流量制御手段による冷却媒体の流量を示すセンサがさらに具備され、前記センサにより得られる情報が、前記制御ユニットにおける演算処理に利用するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の内燃機関の冷却制御装置。
  5. 前記流量制御手段は、筒状の冷却媒体通路中に配置され、冷却媒体の流通方向に対して、その平面方向の角度が可変されるバタフライ弁により構成され、また前記冷却媒体の流量を示すセンサは、バタフライ弁の回転角度に関する情報を生成する角度センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の内燃機関の冷却制御装置。
  6. 前記アクチェータは、前記制御ユニットからの制御信号に基づいて回転駆動される直流モータと、前記直流モータの回転駆動力の伝達または解放を行うクラッチ機構と、前記クラッチ機構を介した直流モータの回転数を減速する減速機構より構成され、かつ流量制御手段には、流量制御手段を開弁方向に付勢するリターンスプリングが配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の内燃機関の冷却制御装置。
  7. 前記クラッチ機構は、制御ユニットからの異常状態出力を受けて解放状態に成され、前記リターンスプリングにより前記流量制御手段を開弁状態に保持するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の冷却制御装置。
  8. 前記クラッチ機構は、内燃機関の駆動停止に伴う制御ユニットからの制御信号の供給停止を受けて解放状態に成され、前記リターンスプリングにより前記流量制御手段を開弁状態に保持するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の冷却制御装置。
  9. 内燃機関内に形成された流体通路と熱交換機に形成された流体通路との間で冷却媒体の循環路を形成し、前記循環路中に流量制御手段を介して冷却媒体を循環させることによって内燃機関において発生する熱を前記熱交換機によって放熱させるように構成した内燃機関の冷却制御方法であって、
    少なくとも内燃機関に対する負荷情報と、前記冷却媒体の温度情報とを取り込むステップと、
    前記負荷情報に対応する冷却媒体の目標設定温度を求めるステップと、
    前記冷却媒体の温度情報と目標設定温度との温度偏差を求めるステップと、
    前記温度偏差と温度偏差の変化速度とを演算するステップと、
    温度偏差と温度偏差の変化速度との関係に基づいて流量制御手段のアクチェータを駆動する制御信号を生成するステップと、
    前記制御信号に基づいてアクチェータを駆動し、熱交換機に流入する冷却媒体の流量制御を実行するステップと、
    からなり、
    アクチェータを駆動する制御信号を生成する前記ステップにおいては、前記温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小であるか否かを判定するステップがさらに加えられ、温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小であると判断した場合においては、温度偏差に対応して流量制御手段による冷却媒体の流量を単位時間毎に連続的に微小変化させる積分制御要素を含む制御信号を生成するステップを実行し、また温度偏差と温度偏差の変化速度が所定よりも小ではないと判断した場合においては、前記温度偏差と温度偏差変化速度に対応して記述されたマップより読み出された冷却媒体の流量設定データに基づいて、制御信号を生成するステップを実行することを特徴とする内燃機関の冷却制御方法。
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