JP3837265B2 - 水晶発振器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面実装用の水晶発振器を産業上の技術分野とし、特に両面側に凹部を有してシーム溶接によって水晶片を封止する水晶発振器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
（発明の背景）水晶発振器は周波数及び時間の基準源として、通信機器を含む各種の電子機器に広く使用されている。近年では、小型化が促進するとともに信頼性が高く経済的に有利な水晶発振器が望まれている。
【０００３】
（従来技術の一例）第４図は一従来例を説明する水晶発振器の断面図である。
水晶発振器は積層型のセラミック容器１に水晶片２と回路素子３とを収容してなる。セラミック容器１は底壁の両面側に側壁を形成し、両面側に凹部を形成する。一方の側壁上面にはシーム溶接用の金属リング４が鑞接される。水晶片２は両主面に励振電極を有し、一端部両側に引出電極を延出する。回路素子３は発振回路を構成する増幅器等を集積化してなるＩＣチップ３ａと、集積化が困難なバイバスコンデンサ等の大容量のコンデンサ３ｂとからなる。
【０００４】
このようなものでは、先ず、水晶片２の一端部両側を一方の凹部底面に導電性接着剤５によって固着して保持する。そして、金属カバー６をシーム溶接によって金属リング４に接合して封止する。次に、水晶振動子（水晶片２）の特性を検査し、不良品を排除する。最後に、水晶振動子として良品のみのセラミック容器１の他方の凹部底面にＩＣチップ３ａをバンプ（未図示）を用いたフェースダウンボンディングによって、コンデンサ３ｂを導電性接着剤（未図示）によって固着する。そして、保護材８としての樹脂材を充填する。
【０００５】
これらのことから、高価なＩＣチップ３ａを実装する前に水晶振動子の良否を判定できるので、経済的に有利となる。また、シーム溶接とするので、樹脂やガラス封止に比較して、気密度を良好にする。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
（従来技術の問題点）しかしながら、上記構成の水晶発振器では、シーム溶接に起因して次ぎの問題があった。すなわち、シーム溶接は図示しない一対のローラを金属カバー６及び金属リング４に当接して進行しながら溶接する。したがって、金属カバー６は溶着時に熱膨張し、封止後に冷却して収縮する（前第４図の矢印Ａ）。そして、他方の凹部は反対に広がる方向に伸張する（同矢印Ｂ）。このことから、膨張収縮によって特に他方の凹部の角部Ｐに応力が集中する。そして、第５図の底面図に示したように、角部から外側に向って欠けやひびが生じ、不良を発生させる問題があった。
【０００７】
（発明の目的）本発明は、欠けやひびを防止した溶接による水晶発振器を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミック容器１における一方の凹部の角部の両辺に接する曲率半径Ｒ1より、他方の凹部の角部の曲率半径Ｒ2を大きくしたことを基本的な解決手段とする。
【０００９】
【作用】
本発明では、他方の凹部の角部の曲率半径Ｒ2を大きくしたので、シーム溶接時の応力を分散する。以下、本発明の一実施例を説明する。
【００１０】
第１図は本発明の一実施例を説明する水晶発振器の底面図である。なお、前従来例図と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
水晶発振器は前述同様にセラミック容器１の一方の凹部に水晶片２を保持してシーム溶接によってカバーを封止し、他方の凹部にＩＣチップ３ａとコンデンサ３ｂの回路素子３を収容してなる（前第４図参照）。そして、他方の凹部における各角部の両辺に接する曲率半径（第２図参照）Ｒ2を従来のＲ1（0.25ｍｍ）より大きくして0.3ｍｍとする。そして、一方の凹部の角部の曲率半径は従来のとおり0.25ｍｍとする。
【００１１】
すなわち、他方の凹部の曲率半径Ｒ2を一方の凹部の曲率半径Ｒ1よりも大きくする。このようなものでは、セラミック容器１の各角部を鈍角とするので、応力が分散し、シーム溶接後における欠けやひびの発生を防止できた。
【００１２】
【他の事項】
上記実施例ではセラミック容器１の他方の凹部は矩形状としたが、例えば回路パターンや小型化に対応して対向辺に溝７を設けてコンデンサ３ｂを収容する場合でも同様に溝７の角部の曲率半径を大きくすればよい（第３図）。また、シーム溶接として説明したが、例えばビーム溶接の場合であっても同様に熱によって金属カバーは膨張収縮するので適用でき、要は熱を発する溶接であれば適用できる。
【００１３】
なお、ＩＣチップ３ａはフェースダウンボンディングとしたが、ワイヤボンディング等でもよい。また、水晶片は一端保持としたが、両端保持でもよく、これらは任意に変更できる。
【００１４】
【発明の効果】
本発明は、セラミック容器における一方の凹部の角部の両辺に接する曲率半径Ｒ1より、他方の凹部の角部の曲率半径Ｒ2を大きくしたので、欠けやひびを防止したシーム溶接による水晶発振器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例を説明する水晶発振器の底面図である。
【図２】本発明の一実施例としての曲率半径を示す図である。
【図３】本発明の他の実施例を説明する底面図である。
【図４】従来例を説明する水晶発振器の断面図である。
【図５】従来例を説明する水晶発振器の底面図である。
【符号の説明】
１ 容器本体、２ 水晶片、３ 回路素子、４ 金属リング、５ 導電性接着剤、６ 金属カバー、７ 溝、８ 樹脂材．

Claims (1)

1. 底壁と該底壁の両面側に矩形状の凹部を形成する枠壁とからなるセラミック容器とを備え、前記一方の主面側の凹部には水晶片を保持して溶接によって金属カバーを封止し、前記他方の主面側の凹部には回路素子を収容してなる水晶発振器において、前記セラミック容器における前記一方の主面側の凹部及び前記他方の凹部は前記枠壁の内側の２つの面の間に構成されて互いに異なる曲率半径の角部を有し、前記一方の主面側における凹部の角部の曲率半径をＲ１とし、前記他方の主面側における凹部の曲率半径をＲ２としたとき、前記曲率半径Ｒ１と前記曲率半径Ｒ２とはＲ１＜Ｒ２であることを特徴とする水晶発振器。

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