JP3836563B2 - 平版印刷用版材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷用版材として使用できる画像記録材料に関するものである。特にコンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザを操作することにより直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷用版材として使用可能な画像記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータのデジタルデータから直接製版するシステムとしては、(1)電子写真法によるもの、(2)青色又は緑色を発光するレーザを用い露光する光重合系によるもの、(3)銀塩を感光性樹脂上に積層したもの、(4)銀塩拡散転写法によるもの等が提案されている。
【0003】
しかしながら、(1)の電子写真法を用いるものは、帯電、露光、現像等画像形成のプロセスが煩雑であり、装置が複雑で大がかりなものになる。また、(2)の光重合系によるものでは、青色や緑色の光に対して高感度な版材を使用するため、明室での取扱いが難しくなる。(3)、(4)の方法では銀塩を使用するため現像等の処理が煩雑になる、処理廃液中に銀が含まれる等の欠点がある。
【0004】
一方、近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザは、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになっている。コンピュータ等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、これらのレーザは非常に有用である。しかし、実用上有用な多くの感光性記録材料は、感光波長が760nm以下の可視光域であるため、これらの赤外線レーザでは画像記録できない。このため、赤外線レーザで記録可能な材料が望まれている。
【0005】
このような赤外線レーザにて記録可能な画像記録材料として、US4,708,925号に記載されている、オニウム塩、フェノール樹脂及び分光増感剤より成る記録材料がある。この記録材料は、赤外線レーザだけではなく、分光増感材を変更することにより紫外線や可視光線であっても記録することができる。しかしながら、この画像記録材料は、オニウム塩とフェノール樹脂により発現する、現像液に対する溶解抑止効果を利用したポジ型である。一方、ネガ型の画像記録材料としては特開平7−20629号に記載されている、オニウム塩、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、及び赤外線吸収剤より成る記録材料がある。この画像記録材料は、赤外線レーザ露光、または紫外線露光のみではポジ型であり、露光後加熱処理を行うことによりネガ像が得られる。
このような画像記録材料を用いた印刷用版材は、印刷時汚れが起こりやすいという問題があった。この印刷時の汚れを解消する為に、種々の低分子化合物の添加剤について検討されているが、一般的に、低分子化合物を画像記録材料中に添加すれば感度が低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、感度を低下させずに、非画像部の耐汚れ性を改善させたネガ型画像記録材料からなる層を設けた平版印刷用版材を提供することである。また、本発明の目的は、特に赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能なネガ型画像記録材料からなる層を設けた平版印刷用版材を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ネガ型画像記録材料の添加剤成分に着目し、鋭意検討の結果、特定の構造式のフェノール化合物を添加剤として用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、アルミニウム支持体上に、下記(A)〜(E)を含有することを特徴とするネガ型画像記録材料からなる層を設けた平版印刷用版材である。
(A)光又は熱により酸を発生する酸発生剤、
(B)酸により架橋する架橋剤、
(C)アルカリ可溶性樹脂、
(D)赤外線吸収剤、
(E)下記構造式(I)で示される分子量が1200以下のフェノール化合物
【0008】
【化2】
Figure 0003836563
【0009】
上記式中、Lはアルキル、アリール、若しくはこれらの組み合わせからなるn価の連結基、又は単結合を表し、nは2〜7の整数を表す。
また、上記(A)光又は熱により酸を発生する酸発生剤が、ヨードニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用版材である。
さらに、上記(B)酸により架橋する架橋剤が、分子内にベンゼン環に結合する2個以上のヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有し、さらに分子量が1,200以下であるフェノール誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平版印刷用版材である。
【0010】
本発明のネガ型画像記録材料からなる層を設けた平版印刷用版材においては、赤外線を放射する固体レーザまたは半導体レーザを用いて記録することにより、(A)酸発生剤が分解して酸が発生し、この酸により(B)架橋剤の働きが促進され、(C)アルカリ可溶性樹脂と架橋反応が起こり硬化して、画像記録即ち記録材料の製版が行われる。
この反応系において、添加剤としての(E)上記構造式(I)で示される分子量が1200以下のフェノール化合物が存在することにより、平版印刷用版材の感度を低下させずに、非画像部の耐汚れ性を改善することができる。該フェノール化合物の存在が感度の低下を引き起こさずに、非画像部の耐汚れ性の改善に寄与する理由については明らかではないが、前記フェノール化合物が架橋剤と反応し得ることに起因するものではないかと推定される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を各構成に分けて詳細に説明する。
[(A)光または熱により酸を発生する酸発生剤]
本発明において酸発生剤とは、光または100℃以上の加熱により分解し酸を発生する化合物である。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。本発明において好適に用いられる酸発生剤としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。具体的には、US4,708,925や特開平7−20629号に記載されている酸発生剤を挙げることができる。特に、スルホン酸イオンを対イオンとするヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩が好ましい。ジアゾニウム塩としては、米国特許第3867147号明細書に記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2632703号明細書に記載のジアゾニウム化合物や特開平1−102456号および特開平1−102457号の各公報に記載されているジアゾ樹脂も好ましい。また、US5,135,838やUS5,200,544に記載されているベンジルスルホナート類も好ましい。さらに、特開平2−100054号公報、特開平2−100055号公報および特願平8−9444号公報に記載されている活性スルホン酸エステルやジスルホニル化合物類も好ましい。他にも、特開平7−271029号公報に記載されている、ハロアルキル置換されたS−トリアジン類も好ましい。
【0012】
これらの酸発生剤は、画像記録材料全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは0.5〜15重量%の割合で画像記録材料中に添加される。添加量が0.01重量%未満の場合は、画像が得られない。また添加量が50重量%を越える場合は、印刷時非画像部に汚れを発生する。
【0013】
これらの酸発生剤は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
[(B)酸により架橋する架橋剤]
本発明において用いられる架橋剤は、前記酸発生剤から発生した酸により架橋反応を起こす化合物である。本発明において好適に用いられる架橋剤は、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基またはビニルエーテル基を有する化合物である。好ましくはこれらの架橋性官能基が芳香環に直接結合した化合物である。具体的には、メチロールメラミン、レゾール樹脂、エポキシ化されたノボラック樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。さらに、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助著、大成社(株))に記載されている化合物も好ましい。特に、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は画像形成した際の画像部の強度が良好であり好ましい。このようなフェノール誘導体として、具体的には、レゾール樹脂を挙げることができる。
【0015】
しかしながら、これらの架橋剤は熱に対して不安定であり、画像記録材料を作製したあとの保存時の安定性があまりよくない。これに対し、分子内にベンゼン環に結合する2個以上のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有し、さらに分子量が1,200以下であるフェノール誘導体は、保存時の安定性も良好であり、本発明において最も好適に用いられる。アルコキシメチル基としては、炭素数6以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。さらに、2−メトキシエトキシメチル基および2−メトキシ−1−プロポキシメチル基のように、アルコキシ置換されたアルコキシメチル基も好ましい。
具体的には、特開平6−282067号公報、特開平7−64285号公報、およびEP632003A1等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0016】
本発明において好適に用いられる他の架橋剤としては、アルデヒドやケトン化合物を挙げることができる。好ましくは、分子内に2個以上のアルデヒドまたはケトンを有する化合物である。
【0017】
本発明において、架橋剤は全画像記録材料固形分中、5〜70重量%、好ましくは10〜65重量%の添加量で用いられる。架橋剤の添加量が5重量%未満であると画像記録した際の画像部の膜強度が悪化し、また、70重量%を越えると保存時の安定性の点で好ましくない。
【0018】
これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
[(C)アルカリ可溶性樹脂]
本発明において使用されるアルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
また、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリ−m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、p−ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体等のヒドロキシスチレン系ポリマーを用いる場合には重量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
【0020】
アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)、ポリ(2,4−ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)や、特願平8−211731号公報に記載のポリマー等が挙げられる。これらのアクリル系樹脂は重量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
【0021】
アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマーの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート、テトラエチレングリコール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
これらのアルカリ可溶性樹脂のうちヒドロキシスチレン系ポリマーおよびアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体は現像性の点で好ましい。
【0022】
本発明において、これらのアルカリ可溶性樹脂は全画像記録材料固形分中、10〜90重量%、好ましくは20〜85重量%、特に好ましくは30〜80重量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性の高分子化合物の添加量が10重量%未満であると記録層の耐久性が悪化し、また、90重量%を越えると感度、耐久性の両面で好ましくない。
また、これらのアルカリ可溶性樹脂は、1種類のみで使用しても良いし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0023】
[(D)赤外線吸収剤]
本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料または顔料であり、好ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
【0024】
染料としては、市販の染料、および、例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
【0025】
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号公報、特開昭59−84356号公報、特開昭59−202829号公報、特開昭60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号公報、特開昭58−181690号公報、特開昭58−194595号公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号公報、特開昭58−224793号公報、特開昭59−48187号公報、特開昭59−73996号公報、特開昭60−52940号公報、特開昭60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0026】
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩;特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩;特開昭58−181051号公報、同58−220143号公報、同59−41363号公報、同59−84248号公報、同59−84249号公報、同59−146063号公報、同59−146061号公報に記載されているピリリウム系化合物;特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素;米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等;特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
【0027】
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0028】
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0029】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0030】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0031】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0032】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
【0033】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0034】
これらの染料または顔料は、画像記録材料全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは1.0〜10重量%の割合で画像記録材料中に添加することができる。顔料または染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。
【0035】
これらの染料または顔料は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
【0036】
なお、一般に可視光増感剤の場合、その作用機構は、「増感剤」(徳丸克己・大河原信編、講談社(株))等に記載されている通り、エネルギー移動や電子移動等によるものであるとされている。しかしながら、赤外線吸収剤(増感剤)の場合は、その作用機構について十分明確となっているわけではない。例えば、赤外線吸収剤が赤外線を吸収した後、熱を発し酸発生剤を熱的に分解しているとも言われている。
【0037】
[(E)フェノール化合物]
本発明に用いられるフェノール化合物は下記構造式(I)で示される分子量が1200以下のものである。
構造式(I)
【0038】
【化3】
Figure 0003836563
【0039】
上記式中、Lはアルキル、アリール、若しくはこれらの組み合わせからなるn価の連結基、又は単結合を表し、nは2〜7の整数を表す。
【0040】
上記式中の水酸基は、Lの結合部分に対しオルト位、メタ位およびパラ位のいずれの位置に結合していても構わないが、パラ位に結合していることが好ましい。
上記式中のnが1であると、感度の低下を起こしやすく、nが7を超えると現像後の非画像部の汚れを生じやすい。
該フェノール化合物の分子量が1200を超えると、実質的に樹脂となってしまい、本発明の現像性を向上させる効果は失われる。
【0041】
連結基となり得るアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12の直鎖または分岐の、2〜7価のアルキル基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブタントリイル基、ペンタンテトライル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘキサンテトライル基等が挙げられる。
連結基となり得るアリール基としては、好ましくは炭素数6〜14の2〜7価のアリール基であり、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基、ナフタレンテトライル基、アントラセントリイル基、アントラセンテトライル基等が挙げられる。
連結基となり得るアルキルおよびアリールの組み合わせからなる基とは、多価のアルキル基と多価のアリール基とが単数又は複数連結する場合、アルキル骨格の側鎖にアリール基を有する場合、多価のアリール基がアルキル基により置換されている場合を包含する概念であり、炭素数としては好ましくは7〜18であり、芳香環の数としては好ましくは、1〜3である。
また、Lは、構造式(I)の他の構成単位同士を直接連結する、いわゆる単結合であってもよい。なお、この場合は上記式中のnは2となる。
【0042】
本発明で用いられる上記フェノール化合物は、画像記録材料全固形分に対し好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは2〜10重量%の割合で画像記録材料中に添加する。添加量が0.5重量%未満であると本発明の効果が得られにくく、また25重量%を越えると、得られた画像部の耐久性が低下する為好ましくない。
【0043】
本発明に用いられるフェノール化合物の好ましい具体例としては、下記に示すものが挙げられる。
【0044】
【化4】
Figure 0003836563
【0045】
【化5】
Figure 0003836563
【0046】
【化6】
Figure 0003836563
【0047】
[その他の成分]
本発明では、さらに必要に応じて上記(A)〜(E)の各成分以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。
【0048】
これらの染料は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
【0049】
また、本発明における画像記録材料中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、或いは特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0050】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0051】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0052】
上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の画像記録材料中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0053】
さらに、本発明における画像記録材料中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0054】
[支持体]
本発明における画像記録材料では、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は単独または混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷用版材についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2 が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録膜の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0055】
本発明における画像記録材料には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全画像記録材料固形分中0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0056】
[支持体]
本発明における画像記録材料を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)がラミネート若しくは蒸着された、紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0057】
好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムまたはアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板、およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにアルミニウムがラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は総量で10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0058】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための、例えば、界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
【0059】
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸若しくは硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
【0060】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0061】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には、電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
【0062】
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0063】
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明で使用可能な親水化処理としては、米国特許第2,714,066号明細書、同第3,181,461号明細書、第3,280,734号明細書および第3,902,734号明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるかまたは電解処理される。他に、特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム、米国特許第3,276,868号明細書、同第4,153,461号明細書、同第4,689,272号明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
【0064】
[その他]
本発明の画像記録材料を塗布する前に、必要に応じて支持体上に下塗層を設けることができる。
【0065】
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸等の有機リン酸;置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類;およびトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれ、またこれらを2種以上混合して用いてもよい。また、前述したジアゾニウム化合物を下塗りすることも好ましい。下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2 が適当である。
【0066】
以上のようにして、本発明の画像記録材料を用いた平版印刷用版材を作製することができる。この平版印刷用版材は、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。本発明の画像記録材料を用いた平板印刷用版材においては、レーザ照射後すぐに現像処理を行ってもよいが、レーザ照射工程と現像工程の間に加熱処理を行ってもよい。加熱処理をする場合その条件は、60℃〜150℃の範囲内で5秒〜5分間行うことが好ましい。加熱方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、パネルヒーターやセラミックヒーターによる加熱、およびランプによる方法等が挙げられる。具体的には、特願平8−94197号公報に記載の方法が挙げられる。この加熱処理により、レーザ照射時、記録に必要なレーザエネルギーを減少させることができる。
【0067】
本発明の画像記録材料を用いた平版印刷用版材を作製する際に、画像様に加熱処理が行われると、その熱により酸発生剤が酸を発生し、その酸によって架橋剤による架橋反応が開始され、さらに、熱により架橋反応が促進される。一方、画像様に光照射が行われた場合には、光によって酸発生剤が酸を発生し、その酸によって架橋剤による架橋反応が開始されるが、ここで加熱を行うことにより架橋反応が一層促進されることになる。ここでの加熱は前記の加熱処理単独に比較して加熱の程度は穏やかなものであっても相当な促進効果を発現する。従って、この製版工程においては、光照射と加熱処理の併用或いは加熱処理のみが施されることが好ましい。
【0068】
必要に応じて加熱処理を行った後、本発明の画像記録材料は、好ましくは、水またはアルカリ性水溶液にて現像される。
アルカリ性水溶液を用いる場合、本発明の画像記録材料用の現像液および補充液としては従来より知られているアルカリ性水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム;第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム;水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
【0069】
これらのアルカリ剤は単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液の一例は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2 とアルカリ金属酸化物M2 Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0070】
さらに、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の平版印刷用版材を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
【0071】
現像液および補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しくはその誘導体、またはポリプロピレングリコール若しくはその誘導体等の添加も好ましい。
【0072】
さらに、現像液および補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜硫酸水素酸のナトリウム塩およびカリウム塩等の無機塩系還元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
【0073】
このような界面活性剤、有機溶剤および還元剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭51−77401号公報に記載されているベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤および水からなる現像液組成物;特開昭53−44202号公報に記載されているベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、および水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成物;特開昭55−155355号公報に記載されている水に対する溶解度が常温において10重量%以下である有機溶剤、アルカリ剤、および水を含有する現像液組成物等が挙げられ、これらは本発明においても好適に使用される。
【0074】
以上記述した現像液および補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷用版材として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0075】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0076】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
【0077】
平版印刷版をバーニング処理する場合には、バーニング処理前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
【0078】
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でスキージまたはスキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2 (乾燥重量)が適当である。
【0079】
整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度および時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0080】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来より行われている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
【0081】
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0082】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜4
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、よく水で洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い水洗後、さらに2%HNO3 に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。次にこの板を7%H2 SO4 を電解液として電流密度15A/dm2 で3g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。次にこのアルミニウム板に下記の組成の下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2 であった。
【0083】
下塗り液の組成
・β−アラニン 0.1 g
・フェニルスルホン酸 0.05g
・メタノール 40 g
・純水 60 g
【0084】
次に、下記の組成の溶液[p]において、本発明に用いられるフェノール化合物(E)の種類を下記表1に示す如く変えて、4種類の溶液[p−1]〜[p−4]を調製した。この溶液をそれぞれ、上記の下塗り済みのアルミニウム板に塗布し、100℃で1分間乾燥してネガ型平版印刷用版材[P−1]〜[P−4]を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は各々1.8g/m2 であった。
【0085】
Figure 0003836563
【0086】
【表1】
Figure 0003836563
【0087】
【化7】
Figure 0003836563
【0088】
【化8】
Figure 0003836563
【0089】
得られたネガ型平版印刷用版材[P−1]〜[P−4]を、波長830nmの赤外線を発する半導体レーザで像様露光した。露光後、110℃のホットプレート上に接触させて15秒間加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製現像液DP−4(1:12の比率で水で希釈)およびリンス液FR−3(1:7の比率で水で希釈)を仕込んだ自動現像機を通して、高希釈の現像液を用いた条件で処理した。この際、画像を形成するのに要した露光量を記録した。次いで富士写真フイルム(株)製ガムGU−7(1:1)で版面を処理し、ハイデルKOR−D機で印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。結果を表2に示す。いずれも非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0090】
(比較例1)
実施例1〜4で用いた溶液[p]において、本発明に用いるフェノール化合物(E)を添加しなかったこと以外は実施例1〜4と同様にしてネガ型平版印刷用版材[Q−1]を作製した。乾燥後の塗膜の被覆量は1.5g/m2 であった。得られた平版印刷用版材[Q−1]を、実施例1〜4と同様に画像形成、現像および印刷し、画像形成に要した露光量及び印刷物の非画像部の汚れを観察した。結果を表2に示す。比較例〔Q−1〕では、非画像部に汚れを生じていた。
【0091】
【表2】
Figure 0003836563
【0092】
実施例1〜4および比較例1より、本発明のネガ型画像記録材料を用いた平版印刷用版材は、本発明に用いるフェノール化合物(E)の添加により感度低下を起こすことなく、現像性の向上をもたらしていることがわかる。
【0093】
(実施例5〜7)
下記溶液〔r〕において、本発明に用いられるフェノール化合物(E)の種類を下記表3に示す如く変えて、3種類の溶液〔r−1〕〜〔r−3〕を調製した。この溶液をそれぞれ、実施例1〜4で用いた下塗り済みのアルミニウム板に塗布し、100℃で2分間乾燥してネガ型平版印刷用版材〔R−1〕〜〔R−3〕を得た。乾燥後の被覆量は各々1.8g/m2 であった。
【0094】
Figure 0003836563
【0095】
【表3】
Figure 0003836563
【0096】
得られたネガ型平版印刷用版材[R−1]〜[R−3]を、波長830nmの赤外線を発する半導体レーザで像様露光した。露光後、110℃のホットプレート上に接触させて15秒間加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製現像液DP−4(1:12の比率で水で希釈)およびリンス液FR−3(1:7の比率で水で希釈)を仕込んだ自動現像機を通して、高希釈の現像液を用いた条件で処理した。この際、画像を形成するのに要した露光量を記録した。次いで富士写真フイルム(株)製ガムGU−7(1:1)で版面を処理し、ハイデルKOR−D機で印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。結果を表4に示す。いずれも非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0097】
[比較例2]
実施例5〜7にて使用した溶液〔r〕において、本発明のフェノール化合物(E)を添加しなかった以外は実施例5〜7と同様にしてネガ型平版印刷用版材〔S−1〕を作製した。乾燥後の被覆量は1.8g/m2 であった。得られた平版印刷用版材〔S−1〕を、実施例5〜7と同様に画像形成、現像および印刷し、画像形成に要した露光量及び印刷物の非画像部の汚れを観察した。結果を表4に示す。比較例〔S−1〕では、非画像部に汚れを生じていた。
【0098】
【表4】
Figure 0003836563
【0099】
実施例5〜7及び比較例2より、本発明のネガ型画像記録材料を用いた平版印刷用版材は、本発明に用いるフェノール化合物(E)の添加により大きな感度低下を引き起こすことなく、現像性が向上していることがわかる。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能であり、感度を低下させずに、非画像部の耐汚れ性を改善させたネガ型画像記録材料からなる層を設けた平版印刷用版材を提供できる。

Claims (3)

  1. アルミニウム支持体上に、下記(A)〜(E)を含有することを特徴とするネガ型画像記録材料からなる層を設けた平版印刷用版材
    (A)光又は熱により酸を発生する酸発生剤、
    (B)酸により架橋する架橋剤、
    (C)アルカリ可溶性樹脂、
    (D)赤外線吸収剤、
    (E)下記構造式(I)で示される分子量が1200以下のフェノール化合物
    Figure 0003836563
    上記式中、Lはアルキル、アリール、若しくはこれらの組み合わせからなるn価の連結基、又は単結合を表し、nは2〜7の整数を表す。
  2. 上記(A)光又は熱により酸を発生する酸発生剤が、ヨードニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用版材。
  3. 上記(B)酸により架橋する架橋剤が、分子内にベンゼン環に結合する2個以上のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有し、さらに分子量が1,200以下であるフェノール誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平版印刷用版材
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