JP3835949B2 - 熱伝導樹脂組成物構造体及びその製造方法、並びに、それを用いた熱伝導基板の製造方法 - Google Patents

熱伝導樹脂組成物構造体及びその製造方法、並びに、それを用いた熱伝導基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種の半導体装置や電子部品が搭載される回路基板に係り、特には、パワーエレクトロニクス分野で好適な高放熱性を有する熱伝導基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化や小型化の要求に伴っては半導体装置や電子部品を搭載する回路基板の高密度化や高機能化が要請されており、回路基板の放熱性をも考慮した設計が重要となってきている。そして、従来のガラス−エポキシ樹脂からなる回路基板よりも放熱性に優れた回路基板としては金属ベース基板、つまり、銅やアルミニウムなどの金属板をベースとし、この金属板の一面上または両面上に絶縁層を介したうえで回路パターンを形成してなる金属ベース基板が知られている。また、より一層の高放熱性が要求される場合には、アルミナや窒化アルミニウムなどからなるセラミック基板に銅板を直接的に接合したものも使用されているが、このようなセラミック基板にはコストが高いという不都合がある。そこで、比較的小電力の用途にあっては金属ベース基板を使用するのが一般的となるが、金属ベース基板では熱伝導を良好とする必要上から絶縁層を薄くしておかねばならないため、金属板との間でノイズの影響を受け易くなったり、絶縁耐圧が低下したりするというような不都合が生じる。
【0003】
ところで、最近になっては、熱伝導性を有する無機質フィラーを熱硬化性樹脂に含有させた熱伝導樹脂組成物と、電極や回路として機能するリードフレームとを一体化してなる熱伝導基板が提案されており、このような熱伝導基板の一例としては特開平10−173097号で開示されたものがある。すなわち、この熱伝導基板は、無機質フィラーと熱硬化性樹脂とを少なくとも含有している熱伝導樹脂組成物のスラリーを造膜することによって熱伝導シート状物51を作製し、図7(a)で示すように、乾燥した熱伝導シート状物51をリードフレーム52と対面させながら重ねあわせた後、加熱加圧するのに伴って熱伝導シート状物51を硬化させながらリードフレーム52と一体化された熱伝導樹脂硬化物53とすることにより、図7(b)で示すような構造として製造されたものである。なお、リードフレーム52と一体化された熱伝導樹脂硬化物53には、放熱用の金属板54が被着されていることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7で示した手順に従って熱伝導基板を製造する際は、次のような不都合が生じることになっていた。すなわち、まず、熱伝導樹脂組成物のスラリーを造膜したに過ぎない熱伝導シート状物51、つまり、熱伝導樹脂組成物構造体としての熱伝導シート状物51は含有している熱硬化性樹脂が未硬化状態のままであり、その機械的強度が低いために取り扱いが難しくて破損し易いことになる。また、乾燥させられた熱伝導シート状物51は脆くなるため、シートの割れや欠け、破損などが発生し易くなるばかりか、乾燥済みの熱伝導シート状物51とリードフレーム52とを正確に位置あわせすることが困難となってしまう。
【0005】
本発明はこれらの不都合に鑑みて創案されたものであり、破損し難くて取り扱いが容易となる熱伝導樹脂組成物構造体とその製造方法、及び、この熱伝導樹脂組成物構造体を用いて構成される熱伝導基板とその製造方法とを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための熱伝導樹脂組成構造体は、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物が、前記金属板の一方側の主表面に被着して一体化されていることを特徴としており、この構造であれば、熱伝導樹脂組成構造体が金属板でもって補強されているので、シート状などとして加工された場合であっても、割れや欠け、破損などが起こり難くなる結果として取り扱いが容易になるという利点が確保される。
【0007】
本発明に係る熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法は、金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物を加工して熱伝導シートを作製する工程と、熱伝導シートを前記金属板の主表面に圧着する工程とを含んでいることを特徴としており、上記した熱伝動樹脂組成物構造体を容易に製造し得るという利点が確保される。
【0009】
本発明に係る熱伝導基板の製造方法は、上述した本発明の製造方法により熱伝導樹脂組成物構造体を作製する工程と、前記熱伝導樹脂組成物構造体の熱伝導樹脂組成物が配置された側の面にリードフレームを配置する工程と、前記熱伝導樹脂組成物を加熱加圧しながら前記リードフレームをその外側表面が前記伝導樹脂組成物の他方側の表面と面一状態になるまで埋め込む工程とを含んでいることを特徴としており、十分なる放熱性を確保しながらも安価な熱伝導基板を容易に製造し得るという利点が確保される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に係る熱伝導樹脂組成物構造体は、金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物が、前記金属板の一方側の主表面に被着して一体化されていることを特徴とする。そして、この構造であれば、熱硬化性樹脂が未硬化状態であるにも拘わらず、熱伝導樹脂組成物が金属板でもって補強されているので、シート状などとして加工された場合であっても、割れや欠け、破損などが起こり難くなる結果、取り扱いが容易となる。その結果、輸送時や保存時におけるハンドリング性が大幅に向上することとなり、熱伝導樹脂組成物構造体の取り扱いに要する手間を削減することが可能となる。
【0011】
本発明の請求項2に係る熱伝導樹脂組成物構造体は請求項1に記載したものであり、前記金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面には保護フィルムが配設されていることを特徴とする。この構成であれば、熱伝導樹脂組成物の表面が損傷することを未然に防止し得ることとなる。
【0012】
本発明の請求項3に係る熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法は、金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物を加工して熱伝導シートを作製する工程と、熱伝導シートを前記金属板の主表面に圧着する工程とを含んでいることを特徴とする。この製造方法によれば、上記した熱伝導樹脂組成物構造体を製造することが容易となり、熱伝導樹脂組成物構造体が簡単に得られることとなる。
【0013】
本発明の請求項4に係る熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法は、金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物を加工してペースト状混合物を作製する工程と、ペースト状混合物を前記金属板の主表面に印刷する工程とを含んでいることを特徴とする。このような製造方法であれば、熱伝導シートを作製する必要がないため、工程の簡略化を図ることが可能となる。なお、金属板に印刷されたペースト状混合物を引き続いて熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低温の状態下で熱処理するようにすれば、熱伝導樹脂組成物のタック性をなくすことが可能となる。
【0014】
本発明の請求項5に係る熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法は、金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物を加工して粘土状混練物を作製する工程と、粘土状混練物を前記金属板の主表面に載置して加熱加圧する工程とを含んでいることを特徴とする。この製造方法を採用した際には、熱伝導樹脂組成物構造体を容易に製造し得ることとなり、粘土状混練物を高粘度としておくことによって熱伝導樹脂組成物が取り扱い易くなる。
【0016】
本発明の請求項に係る熱伝導基板の製造方法は、上述した請求項1の熱伝導樹脂組成物構造体を作製する工程と、前記熱伝導樹脂組成物構造体の熱伝導樹脂組成物が配置された側の面にリードフレームを配置する工程と、前記熱伝導樹脂組成物を加熱加圧しながら前記リードフレームをその外側表面が前記伝導樹脂組成物の他方側の表面と面一状態になるまで埋め込む工程とを含んでいることを特徴とする。そして、この製造方法を採用した際には、上記した熱伝導基板を容易に製造し得ることとなる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施の形態に係る熱伝導樹脂組成物構造体を示す断面図、図2〜図4のそれぞれは熱伝導樹脂組成物構造体を製造する際に採用される第1から第3の製造方法を示す工程断面図であり、図5は実施の形態に係る熱伝導基板を示す断面図、図6は熱伝導基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0018】
(熱伝導樹脂組成物構造体の構造)
本実施の形態に係る熱伝導樹脂組成物構造体は放熱性に優れた熱伝導基板を製造する際に用いられるものであり、図1で示すように、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる混合物である熱伝導樹脂組成物11が、放熱用としても機能する金属板12の一方側の主表面に被着して一体化されたものとなっている。すなわち、この熱伝導樹脂組成物構造体は、無機質フィラーと、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物とを所定の配合比で混合してなる熱伝導樹脂組成物11が、金属板12の主表面に被着されたものであることを特徴としている。なお、図1では金属板12の主表面全体にわたって熱伝導樹脂組成物11が被着されているが、このような構造に限られることはなく、主表面の一部にのみ熱伝導樹脂組成物11が被着されて一体化された構造であってもよい。
【0019】
ところで、この際における無機質フィラーの配合比が上記した範囲よりも少なければ、熱伝導樹脂組成物構造体を用いて製造された熱伝導基板の放熱性が小さくなる一方、上記した範囲よりも多ければ、熱伝導樹脂組成物11の金属板12に対する接着性が低下し、熱伝導基板の成型が不良となるため、無機質フィラーの配合比は上記した範囲内となるように予め調整されている。また、熱硬化性樹脂の主成分は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂のうちから選択された少なくとも1種であることが好ましいが、これらの樹脂を用いることが好ましいのは、これらの樹脂それぞれが耐熱性や機械的強度、電気絶縁性に優れているためである。
【0020】
さらに、金属板12の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物11の他方側の表面には保護フィルム13を配設しておくことが好ましく、このような保護フィルム13としては、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリフェニレン・サルファイド(PPS)、ポリエステルなどのような素材、つまり、十分な機械的強度及び耐熱性を有しながら工業的な加工が可能な素材を使用して作製されたものが好適である。なお、保護フィルム13の表面には離型処理が施されていることが好ましく、離型処理剤としてはシリコーンなどが使用される。
【0021】
(熱伝導樹脂組成物構造体の第1の製造方法)
本実施の形態に係る熱伝導樹脂組成物構造体を製造する際に採用される第1の製造方法を、図2に従いながら説明する。まず、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる混合物としての熱伝導樹脂組成物11を用意し、熱伝導樹脂組成物11をシート状とする加工によって、図2(a)で示すように、離型フィルム13上に造膜された熱伝導樹脂組成物11からなる熱伝導シートを作製する。引き続き、図2(b)で示すように、一方側の表面に離型フィルム13が配設された熱伝導シート11の他方側の表面、つまり、離型フィルム13が配設されていない表面を金属板12の一方側の主表面に対面させながら重ねあわせたうえ、熱伝導シート11を金属板12の主表面へと圧着する。すると、熱伝導シート11は金属板12に被着して一体化されることになり、離型フィルム13を引き剥がすと、図1で示した熱伝導樹脂組成物構造体が製造されたことになる。なお、離型フィルム13が配設されたままであっても差し支えないことは勿論である。
【0022】
なお、採用される造膜方法が特定の方法に限定されることはなく、造膜に際しては、ドクターブレード法やコーター法、押し出し法などが採用される。また、熱伝導樹脂組成物11に溶剤、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、イソプロパノールなどの溶剤を混合し、その粘度を調整したうえで造膜することも可能であり、この場合には熱伝導樹脂組成物11中の熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で溶剤を乾燥させながらシート化することを実行してもよく、このような際には造膜が容易なドクターブレード法を採用することが好ましい。さらに、熱圧着の方法が特に限られることもないから、熱プレスやラミネーターなどを使用することも可能であり、この際における温度や圧力などの条件は熱伝導樹脂組成物11の接着性に基づいて決定されることとなる。
【0023】
(熱伝導樹脂組成物構造体の第2の製造方法)
図3は熱伝導樹脂組成物構造体を製造する際における第2の製造方法を示しており、この製造方法は以下のような手順からなっている。まず、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物11を加工し、ペースト状混合物となった熱伝導樹脂組成物11を作製する。そして、図3(a)で示すように、構造体を製造するためのマスク21を用意したうえ、このマスク21の開口部分22の底面位置に対して金属板12を配置する。さらに、図3(b)で示すように、熱伝導樹脂組成物11からなるペースト状混合物をマスク21の開口部分22内に充填し、その底面位置に配置された金属板12の一方側の主表面に対してペースト状混合物を印刷した後、マスク21を取り外すと、図1で示した熱伝導樹脂組成物構造体が製造される。
【0024】
ところで、熱伝導樹脂組成物11をペースト状に加工する方法が特定の方法に限られないことは勿論であるが、この際にあっては、印刷が容易となるよう熱伝導樹脂組成物11の粘度を予め調整しておくことが好ましい。そして、粘度調整に際しては、熱伝導樹脂組成物11に溶剤を混合するのが一般的な方法であり、溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、イソプロピルアルコールなどが用いられる。また、上記した工程に引き続いては、金属板12と一体化された熱伝導樹脂組成物11を、これが未硬化状態のまま含有している熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低温の条件下で熱処理することが望ましく、このような工程を付加した場合には、粘度調整のための溶剤を除去し得るばかりか、熱伝導樹脂組成物11のタック性がなくなる結果として熱伝導樹脂組成物構造体の取り扱い性が向上するという利点が確保される。さらには、熱伝導樹脂組成物11中のボイドを減らすため、このような熱処理を真空中で実行してもよい。
【0025】
(熱伝導樹脂組成物構造体の第3の製造方法)
さらに、図4は熱伝導樹脂組成物構造体を製造する第3の方法を示しており、この製造方法においては以下のような手順が採用されている。まず、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物11を加工し、図4(a)で示すような粘土状混練物を作製する。そして、図4(b)で示すように、開口部分31の底面位置に離型フィルム13が配置された金型32を用意し、熱伝導樹脂組成物11からなる粘土状混練物を金型32の開口部分31内に載置し、さらに、粘土状混練物上に金属板12の主表面を載置したうえ、開口部分31内にはポンチ33を配置することが行われる。そこで、このポンチ33でもって粘土状混練物を加熱加圧すれば、図4(c)で示すように、熱伝導樹脂組成物11からなる粘土状混練物が金属板12の一方側の主表面に被着して一体化されることになり、金型32及びポンチ33を取り外した後、離型フィルム13を引き剥がすと、図1で示した熱伝導樹脂組成物構造体が製造されていることになる。なお、離型フィルム13が配設されたままであってもよい。
【0026】
ところで、以上説明した本実施の形態に係る熱伝導樹脂組成物構造体にあっては、次のような素材や構成を採用することが望ましい。まず、ここでの無機質フィラーは、Al23、MgO、BN、Si34、AlN、SiO2 及びSiCから選択された少なくとも1種の粉末を主成分として含有したものであり、無機質フィラーの粒径は0.1〜100μmの範囲にあることが好ましい。すなわち、これらの無機質フィラーであれば、優れた熱伝導性を確保しながら高い放熱性を有する回路基板を作製し得るからである。特に、無機質フィラーがAl23やSiO2 である場合には樹脂組成物との混合が容易となり、また、AlNを用いた場合にはより一層良好な放熱性が確保可能となる。
【0027】
そして、樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂から選択された少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含有しており、室温下では固形状のエポキシ樹脂及び液体状のエポキシ樹脂と硬化剤、硬化促進剤とを少なくとも含んでいることが好ましく、液体状とされたエポキシ樹脂の主成分はビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から選択された1種以上であり、かつ、硬化剤は樹脂組成物の粘度を低くする酸無水物であることが好ましい。このような樹脂組成物であれば、印刷性に優れたペースト状の熱伝導樹脂組成物を作製することが可能であり、造膜したうえでエポキシ樹脂の硬化温度よりも低い温度条件下で熱処理を施すと、タック性がなくて可撓性に優れた熱伝導シートを作製し得ることになる。なお、これらの樹脂組成物は溶剤によって容易に溶かされるため、その粘度調整が容易であるばかりか、これらの樹脂組成物であれば、粘土状に加工して混練物を作製することが容易となる。
【0028】
また、樹脂組成物が、臭素化された多官能エポキシ樹脂を主成分として含有しており、硬化剤としてのビスフェノールA型ノボラック樹脂と、硬化促進剤としてのイミダゾールとを含有していることが好ましく、このような樹脂組成物であれば、耐熱性のみならず、優れた難熱性が得られることになる。さらに、樹脂組成物に対しては、カップリング剤、分散剤、着色剤及び離型剤のうちから選択された少なくとも1種が添加されていることが好ましい。すなわち、エポキシシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などのようなカップリング剤は無機質フィラー及び金属板と熱硬化性樹脂との接着強度を向上させ、かつ、熱伝導基板の絶縁耐圧を向上させることになり、リン酸エステルなどの分散剤は熱伝導樹脂組成物の分散性を向上させて均質化させると共に、カーボンなどの着色剤は熱伝導樹脂組成物を着色して熱輻射性を向上させるからである。
【0029】
さらに、熱伝導樹脂組成物が一方側の主表面に被着される金属板12は厚さが0.3〜5mmのアルミニウム板であることが好ましく、また、その少なくとも熱伝導樹脂組成物11が被着される主表面は粗化されていることが好ましい。すなわち、アルミニウムは放熱性が良好で軽量、かつ、安価だからであり、金属板12が上記したよりも薄い場合には強度が弱くなる一方、上記したよりも厚い場合には熱伝導基板の重量や体積、コストの増加を招くからである。また、金属板12の主表面が粗化されている場合には、熱伝導樹脂組成物11との接着強度が向上し、熱伝導基板の信頼性が向上するという利点が確保されるためである。なお、粗化の方法が限定されることはなく、ブラスト処理やエッチング処理などの方法を採用し得るが、粗化が容易であり、かつ、大きな表面粗さが得られるブラスト法を採用することが好ましいと考えられる。
【0030】
(熱伝導基板の構造及びその製造方法)
本発明の実施の形態に係る熱伝導基板の構造を図5の断面図に基づき、また、その製造方法を図6の断面工程図に基づいて説明する。本実施の形態に係る熱伝導基板は、図1で示した熱伝導樹脂組成物構造体を用いて製造されることになっており、図5で示すように、この際における熱伝導基板は、放熱用として機能する金属板12の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物11の他方側の表面に対してリードフレーム15の外側表面が面一状態として埋め込まれており、リードフレーム15が埋め込まれた熱伝導樹脂組成物11中の熱硬化性樹脂は熱硬化されたものとなっている。すなわち、この熱伝導基板は、熱伝導樹脂硬化物となった熱伝導樹脂組成物11の一方側の表面に金属板12が被着されており、この金属板12と対向する熱伝導樹脂組成物11の他方側の表面にはリードフレーム15が面一状態で埋め込まれた構造を有している。
【0031】
なお、ここでのリードフレーム15は導電率が高い金属から作製されたものでありさえすればよいが、例えば、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、あるいは、これらを主成分とする合金などから作製された0.1〜1mmの厚みを有するものであることが好ましく、リードフレーム15の表面には、耐食性や耐酸化性を向上させ、熱伝導樹脂組成物11との接着を良好とするため、ニッケル、すず、はんだ、金などから選択される少なくとも1種の金属からなるめっき処理が施されていることが好ましい。また、リードフレーム15の主表面、少なくとも熱伝導樹脂組成物11と接着される主表面は粗化されていることが好ましく、リードフレーム15の主表面が粗化されている場合には、接着強度が向上し、信頼性が向上するという利点が確保される。
【0032】
次に、熱伝導基板の製造方法を、図6に従って説明する。まず、上記した第1〜第3いずれかの製造方法を採用することによって熱伝導樹脂組成物構造体、つまり、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物11が、金属板12の一方側の主表面に被着して一体化された構造の熱伝導樹脂組成物構造体を製造する。そして、図6(a)で示すように、基板を製造するための金型41を用意し、この金型41の開口部分42の底面位置にリードフレーム15を配置した後、用意しておいた熱伝導樹脂組成物構造体を金型41の開口部分42内に載置し、かつ、この熱伝導樹脂組成物構造体が具備している金属板12と対面するようにして金型41の開口部分42内にポンチ43を配置する。
【0033】
引き続き、図6(b)で示すように、ポンチ43を利用して熱伝導樹脂組成物構造体を加熱加圧しながらリードフレーム15の外側表面が熱伝導樹脂組成物11の他方側の表面と面一状態になるまで埋め込むことを行う。すると、加熱された熱伝導樹脂組成物11は、これが未硬化状態のままで含有していた熱硬化性樹脂が硬化される結果、熱伝導樹脂硬化物となる。そこで、金型41及びポンチ43を取り外すと、図5で示したようなリジットな熱伝導基板、つまり、金属板12の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂硬化物の他方側の表面にはリードフレーム15の外側表面が面一状態で埋め込まれてなる構造の熱伝導基板が製造されていることとなる。
【0034】
なお、加熱加圧時の温度は熱硬化性樹脂の硬化温度によって適宜決定されることになるが、140〜260℃として設定されるのが一般的である。すなわち、加熱加圧時の温度が低過ぎると樹脂硬化が不充分になり、また、高過ぎると樹脂の分解が始まるからである。さらに、熱伝導基板における基板厚みは、これに対して搭載される電子部品や半導体部品の外形や必要となる放熱性を考慮したうえで設定されることになるが、一般的には、金属板12とリードフレーム15との離間間隔が少なくとも0.4mm以上確保されていることが好ましいといえる。
【0035】
【実施例】
以下、引き続き、実施の形態に係る熱伝導樹脂組成物構造体及び熱伝導基板、これらの製造方法に関する具体的な実施例を説明する。
【0036】
(実施例1)
手順1…熱伝導樹脂組成物を作製するため、無機質フィラーと熱硬化性樹脂組成物とを混合し、スラリー状として加工することを実行してみたところ、次のような組成を有する熱伝導樹脂組成物が得られた。
【0037】
▲1▼無機質フィラー:Al23(AS−40、昭和電工(株)製、平均粒径12μm)89重量%
▲2▼熱硬化性樹脂:臭素化された多官能エポキシ樹脂(NVR−1010、日本レック(株)製、硬化剤含む)10重量%
▲3▼その他の添加物:硬化促進剤(イミダゾール、日本レック(株)製)0.05重量部、カーボンブラック(東洋カーボン(株)製)0.4重量部、カップリング剤(プレンアクト KR−46B、味の素(株)製)0.55重量部
手順2…得られた熱伝導樹脂組成物に溶剤としてのMEKを加えた後、混練機(松尾産業(株)製)で混合した。なお、MEKの添加によって混合物の粘度が低下し、スラリー状として加工することが可能になるのであるが、後の乾燥工程で飛散してしまうため、手順1では記載を省略している。
【0038】
手順3…ドクターブレード法を採用したうえ、表面に離型処理が施されたPET製の離型フィルム上に対し、スラリー状の熱伝導樹脂組成物を塗布することを実行して造膜した。その後、95℃の温度下で乾燥することによって溶剤を飛散させながら、図2(a)で示したと同様の熱伝導シート、すなわち、離型フィルム上に造膜された熱伝導樹脂組成物からなる熱伝導シートを作製した。
【0039】
手順4…厚さ1mmのアルミニウム板を用意し、サンドブラスト(研磨粉:Al23、モランダムA−40(商品名)、昭和電工(株)製)によってアルミニウム板の表面を粗化した。その後、図2(b)で示した通り、熱伝導シートと金属板とを70℃の温度下でプレスすることによって圧着し、図1で示したと同様の熱伝導樹脂組成物構造体を完成させた。なお、この熱伝導樹脂組成物構造体の表面には保護フィルムが配設されたままとなっており、熱伝導樹脂組成物の層厚は0.8mmである。
【0040】
手順5…同様の手順で製造された熱伝導シートそのものと熱伝導樹脂組成物構造体とのそれぞれを約1mの高さ位置からコンクリート製の床に落下させてみたところ、アルミニウム板と一体化されて熱伝導樹脂組成物構造体を構成している熱伝導シートには割れや欠けが発生せず、また、アルミニウム板と熱伝導シートとが剥離することも起こらなかったが、単体である熱伝導シートには割れや欠けが発生した。
【0041】
手順6…厚さ0.5mmの銅板(神戸製鋼(株)製)を公知の方法でエッチングし、かつ、ニッケルめっき処理を施したリードフレームを用意した後、その一方側の表面を上記と同様の方法で粗化することを実行した。
【0042】
手順7…図6(a)で示すように、粗化された表面が開口部分と対面するようにしながらリードフレームを金型内に配置した後、離型フィルムが剥離された熱伝導樹脂組成物構造体をその熱伝導シートとリードフレームとが対面するようにしながら金型の開口部分内に載置した。なお、この際、熱伝導シートとアルミニウム板とが一体化された熱伝導樹脂組成物構造体をリードフレームに対して位置あわせしながら載置するのは、単体の熱伝導シートをリードフレームと位置あわせするのに比べて容易な作業であることが確認された。
【0043】
手順8…熱伝導シートと一体化されて熱伝導樹脂組成物構造体を構成するアルミニウム板の上側にポンチを配置し、図6(b)で示すように、ポンチを利用することによって熱伝導樹脂組成物構造体を170℃及び5Paの温度及び圧力で15分間にわたって加熱加圧した。すると、熱伝導樹脂組成物がリードフレームの表面まで流動し、かつ、未硬化状態であった熱硬化樹脂が硬化することとなる結果、リードフレームの外側表面が熱伝導樹脂組成物の他方側の表面と面一状態になるまで埋め込まれた熱伝導基板が製造される。
【0044】
手順9…その後、金型及びポンチを取り外すと、図5で示した熱伝導基板、つまり、厚みが2mmのリジッドな熱伝導基板が完成したことになる。さらに、この熱伝導基板に対しては、はんだレジスト処理やフレームカット、端子処理などの工程を経たうえで部品実装が行われるが、これらの工程は公知の技術を利用して行われることになり、本発明には関与しないため、説明を省略する。
【0045】
手順10…熱伝導基板に対して半導体などの部品実装を行った後、実装された部品に約20Wの電力を印加したうえで熱伝導基板の上下面の温度差から熱伝導性を評価してみたところ、0.7℃/Wの熱抵抗値であることが確認された。すなわち、この数値は、同様な絶縁厚みを有する金属ベース基板に比べて約2倍の性能であることを示している。また、最高温度が260℃で10秒間のリフロー試験によって信頼性を評価してみたところ、熱伝導樹脂組成物とリードフレーム及び金属板との界面では肉眼及び超音波探査映像装置での観察によっても異常は認められず、強固な密着状態が確保できていることが確認された。
【0046】
(実施例2)
手順1…熱伝導樹脂組成物を作製するため、無機質フィラーと熱硬化性樹脂組成物とを混合し、ペースト状として加工したところ、次のような組成を有する熱伝導樹脂組成物が得られた。
【0047】
▲1▼無機質フィラー:Al23(AL−33、住友化学(株)製、平均粒径12μm)90重量%
▲2▼熱硬化性樹脂:エポキシ樹脂(WE−2025(商品名)、日本ペルノックス(株)製、酸無水物硬化剤含む)9.5重量%
▲3▼その他の添加物:カーボンブラック(東洋カーボン(株)製)0.3重量%、分散剤(「プライサーフ、A208F」(商品名)、第一工業製薬(株)製)0.2重量%
手順2…得られた熱伝導樹脂組成物を3本ロールでもって充分に混練することにより、ペースト状として加工した。そして、ペースト状となった熱伝導樹脂組成物の粘度は約100Pa・s(25℃)であった。
【0048】
手順3…厚さ0.5mmのアルミニウム板を用意すると共に、アルミニウム板の印刷部分に相当する個所が開口されたSUS製のマスクを用意し、図3(a)で示すように、マスクの開口部分の底面位置にアルミニウム板を配置したうえで印刷ステージ(図示せず)上に載置した。その後、予めペースト状とされた熱伝導樹脂組成物をアルミニウム板上に載置したうえ、SUS製のスキージによって熱伝導樹脂組成物をマスクに押し当てて印刷し、図3(b)に示すように、熱伝導樹脂組成物をマスクの開口部品内に充填した。引き続き、マスクを取り外したうえ、真空中で熱処理を施することによって熱伝導樹脂組成物中のボイドを除去すると共に、未硬化状態であった熱硬化性樹脂を半硬化状態にする。すると、タック性がなくなり、図1で示したような熱伝導樹脂組成物構造体が完成したことになる。なお、この際における熱伝導樹脂組成物の層厚は0.8mmである。
【0049】
手順4…その後、アルミニウム板と熱伝導樹脂組成物とが一体化されてなる熱伝導樹脂組成物構造体を約1mの高さ位置からコンクリート製の床に落下させてみたところ、アルミニウム板と一体化されて熱伝導樹脂組成物構造体を構成している熱伝導樹脂組成物に割れや欠けが発生することは起こらなかった。また、熱伝導樹脂組成物構造体を10Hzの周波数で1時間にわたって振動させたが、アルミニウム板と熱伝導樹脂組成物との間には剥離が発生しなかった。従って、これらの結果によれば、熱伝導樹脂組成物の安定性が良好となっており、熱伝導樹脂組成物とアルミニウム板との接着性も良好であることが分かる。
【0050】
手順5…厚さ0.5mmの銅板(神戸製鋼(株)製)を公知の方法でエッチングし、かつ、ニッケルめっき処理を施したうえに錫めっき処理を施したリードフレームを用意した後、その一方側の表面に対してサンドブラストによる粗化処理を施した。
【0051】
手順6…図6(a)で示すように、粗化された表面が開口部分と対面するようにしながらリードフレームを金型内に配置した後、離型フィルムが剥離された熱伝導樹脂組成物構造体をその熱伝導樹脂組成物とリードフレームとが対面するようにしながら金型の開口部分内に載置した。
【0052】
手順7…熱伝導樹脂組成物構造体を構成するアルミニウム板の上側にポンチを配置し、図6(b)で示すように、ポンチを利用することによって熱伝導樹脂組成物構造体を150℃及び5Paの温度及び圧力で30分間にわたって加熱加圧した後、金型及びポンチを取り外すと、厚みが1.5mmのリジッドな熱伝導基板が完成した。
【0053】
手順8…熱伝導基板に対して半導体などの部品実装を行った後、実装された部品に約20Wの電力を印加したうえで熱伝導基板の上下面の温度差から熱伝導性を評価してみたところ、同様な絶縁厚みを有する金属ベース基板に比べて約2倍の性能である0.7℃/Wの熱抵抗値が得られることが確認された。また、最高温度が260℃で10秒間のリフロー試験を実行することによって信頼性を評価してみたところ、熱伝導樹脂組成物とリードフレーム及び金属板との界面では肉眼及び超音波探査映像装置での観察によっても異常は認められず、強固な密着状態が確保できていることが確認された。
【0054】
(実施例3)
手順1…熱伝導樹脂組成物を作製するため、無機質フィラーと熱硬化性樹脂組成物とを混練し、粘土状として加工することを実行してみたところ、次のような組成を有する熱伝導樹脂組成物が得られた。
【0055】
▲1▼無機質フィラー:AlN(SCAN70、ダウケミカル社製)38重量%、Al23(AS−40、昭和電工(株)製)55重量%
▲2▼熱硬化性樹脂:エポキシ樹脂(XNR5002、長瀬チバ(株)製)6.5重量%
▲3▼その他の添加物:シラン系カップリング剤(A−187、日本ユニカー(株)製)0.3重量%、カーボンブラック(東洋カーボン(株)製)0.2重量%手順2…熱伝導樹脂組成物に溶剤としてのMEKを添加して粘度を低下させた後、プレネタリーミキサーで混練し、さらに、3本ロールでもって混練した後、真空乾燥させてMEKを飛散させながら、図4(a)で示すような粘土状の熱伝導樹脂組成物を作製した。
【0056】
手順3…厚さ1.5mmのアルミニウム板を用意し、その両側の表面に対してサンドブラストによる粗化処理を施した。その後、図4(b)で示したように、開口部分の底面位置にPPS製の離型フィルムが配置された金型を用意し、熱伝導樹脂組成物からなる粘土状混練物を秤量して金型の開口部分内に載置し、さらに、粘土状混練物上にアルミニウム板を載置した。
【0057】
手順4…引き続き、金型の開口部分内にポンチを配置したうえ、図4(c)で示すように、ポンチを利用しながら真空中で粘土状混練物を80℃及び10Paの温度及び圧力で加熱加圧した。すると、熱伝導樹脂組成物が流動して稠密な層状になると同時に、熱伝導樹脂組成物とアルミニウムとが接着することになり、さらには、熱硬化性樹脂が半硬化状態になるためにタック性が減少した。そして、金型及びポンチを取り外すと、図1で示した熱伝導樹脂組成物構造体が完成したことになる。なお、この際における熱伝導樹脂組成物の層厚は1.1mmである。
【0058】
手順5…このようにして製造された熱伝導樹脂組成物構造体を約1mの高さ位置からコンクリート製の床に落下させてみたところ、熱伝導樹脂組成物には割れや欠けが発生しなかった。また、熱伝導樹脂組成物構造体を10Hzの周波数で1時間にわたって振動させたが、アルミニウム板と熱伝導樹脂組成物との間には剥離が発生しなかった。従って、これらの結果によれば、熱伝導樹脂組成物の安定性が良好であり、熱伝導樹脂組成物とアルミニウム板との接着性も良好であることが確認されたことになる。
【0059】
手順6…厚さ0.8mmの銅板(神戸製鋼(株)製)を公知の方法でエッチングし、かつ、ニッケルめっき処理を施したリードフレームを用意した後、その一方側の表面に対してサンドブラストによる粗化処理を施した。
【0060】
手順7…図6(a)で示すように、粗化された表面が開口部分と対面するようにしながらリードフレームを金型内に配置した後、離型フィルムが剥離された熱伝導樹脂組成物構造体をその熱伝導樹脂組成物とリードフレームとが対面するようにしながら金型の開口部分内に載置した。
【0061】
手順8…熱伝導樹脂組成物構造体を構成するアルミニウム板の上側にポンチを配置し、図6(b)で示すように、ポンチを利用することによって熱伝導樹脂組成物構造体を170℃及び8Paの温度及び圧力で60分間にわたって加熱加圧した後、金型及びポンチを取り外すと、厚みが3.0mmの熱伝導基板が完成した。
【0062】
手順9…熱伝導基板に対して半導体などの部品実装を行った後、実装された部品に約20Wの電力を印加したうえで熱伝導基板の上下面の温度差から熱伝導性を評価してみたところ、1.0℃/Wの熱抵抗値が得られていることが確認された。すなわち、この数値は、同様な絶縁厚みを有する金属ベース基板に比べて約2倍の性能であることを示している。また、最高温度が260℃で10秒間のリフロー試験によって信頼性を評価してみたところ、熱伝導樹脂組成物とリードフレーム及び金属板との界面では肉眼及び超音波探査映像装置での観察によっても異常は認められず、強固な密着状態が確保できていることが確認された。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る熱伝導樹脂組成物構造体であれば、熱伝導樹脂組成物が金属板でもって補強されているので、熱伝導樹脂組成物の割れや欠け、破損などが起こり難くなり、取り扱いが容易になるという効果が得られる。そのため、位置あわせを正確に行い得ることとなり、ひいては加熱加圧による成型性を向上することができる。また、本発明に係る熱伝導基板であれば、十分な放熱性を確保しながらも安価な回路基板が得られる。
【0064】
さらに、本発明に係る製造方法を採用した際には、上記したような熱伝導樹脂組成物構造体または熱伝導基板を容易に製造し得るという効果が得られる。すなわち、本発明に係る熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法によれば、熱伝導樹脂組成物をシート状に加工して使用する場合は勿論のこと、熱伝導樹脂組成物がさらに高粘度になってシート化が困難な場合であっても、熱伝導樹脂組成物構造体を比較的容易に製造できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る熱伝導樹脂組成物構造体を示す断面図である。
【図2】熱伝導樹脂組成物構造体の第1の製造方法を示す工程断面図である。
【図3】熱伝導樹脂組成物構造体の第2の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】熱伝導樹脂組成物構造体の第3の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】実施の形態に係る熱伝導基板を示す断面図である。
【図6】熱伝導基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】従来の形態に係る熱伝導基板の製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
11 熱伝導樹脂組成物
12 金属板
13 保護フィルム
15 リードフレーム
21 マスク
22 開口部分
31 開口部分
32 金型
33 ポンチ
41 金型
42 開口部分
43 ポンチ
51 熱伝導シート状物
52 リードフレーム
53 熱伝導樹脂硬化物
54 金属板

Claims (6)

  1. 金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物が、前記金属板の一方側の主表面に被着して一体化されていることを特徴とする熱伝導樹脂組成物構造体。
  2. 請求項1に記載した熱伝導樹脂組成物構造体であって、
    前記金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面には保護フィルムが配設されていることを特徴とする熱伝導樹脂組成物構造体。
  3. 金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物を加工して熱伝導シートを作製する工程と、熱伝導シートを前記金属板の主表面に圧着する工程とを含んでいることを特徴とする熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法。
  4. 金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物を加工してペースト状混合物を作製する工程と、ペースト状混合物を前記金属板の主表面に印刷する工程とを含んでいることを特徴とする熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法。
  5. 金属板の主表面に一方側の表面が被着された熱伝導樹脂組成物の他方側の表面にはリードフレームの外側表面が面一状態で埋め込まれている熱伝導基板を作製するための、無機質フィラー70〜95重量%と、少なくとも未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有した樹脂組成物5〜30重量%とからなる熱伝導樹脂組成物を加工して粘土状混練物を作製する工程と、粘土状混練物を前記金属板の主表面に載置して加熱加圧する工程とを含んでいることを特徴とする熱伝導樹脂組成物構造体の製造方法。
  6. 請求項1記載の熱伝導樹脂組成物構造体を作製する工程と、前記熱伝導樹脂組成物構造体の熱伝導樹脂組成物が配置された側の面にリードフレームを配置する工程と、前記熱伝導樹脂組成物を加熱加圧しながら前記リードフレームをその外側表面が前記伝導樹脂組成物の他方側の表面と面一状態になるまで埋め込む工程とを含んでいることを特徴とする熱伝導基板の製造方法。
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