JP3835037B2 - カラー電子写真の画像処理方法及びその電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のドットからなる網点によってハーフトーン処理を行うカラー電子写真装置の画像処理方法及びその電子写真装置、更に、その画像処理を行うプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラープリンタやカラーコピー等の電子写真装置は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナーを利用してカラー画像の再生を行う。特に、カラープリンタのうちレーザビームを利用して感光体ドラム上に潜像を形成し、帯電したトナーにより現像し、現像されたトナーによる画像を転写紙に転写するページプリンタは、レーザビームの照射領域をドット内において種々変更することができ、単位面積当たりのドット数が少ない場合でも、より高解像度で且つより高い階調のカラー画像を再現することを可能にする。
【0003】
この様なカラー電子写真において、濃淡画像の階調再現の2値化手法として、ディザ法(Dither Method )が広く利用される。このディザ法によれば、入力信号である各色の階調データに対して、階調データと画像再生情報との対応を有するディザマトリクス或いは閾値マトリクス等と称される変換テーブルを参照し、それぞれのドットでの表示の有無(1,0)を決定する。そして、複数の隣接するドットでの表示の有無により網点を生成し、その網点の大きさにより濃淡画像の中間階調を再現する。
【0004】
このドットは、レーザビームが走査される主走査方向と転写紙が送られる副走査方向とに沿って配置され、各ドットの階調データの濃淡値が濃くなるに従い、表示されるドットが発生して網点の成長核が生成され、更に階調データの濃淡値が濃くなると、表示されるドットの数が増大して網点のサイズが次第に大きくなる。
【0005】
図1は、従来の産業用の印刷装置等で広く普及しているシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各スクリーン角の組み合わせを示す図である。図示される通り、従来の方法では、4色のスクリーン角について、イエローYが0°、シアンC(またはマゼンタM)が15°、ブラックKが45°、マゼンタM(またはシアンC)が75°に設定される。
【0006】
色ずれ防止の為に網点のスクリーン角をずらすと、いわゆるモアレ縞が生成されることが知られている。このモアレ縞の空間周波数を高くして目立たなくする為には、2色間で約30°スクリーン角がずれていることが最適であることが経験上確認されている。そして、イエローは、他の色に比較して比視感度が低く人間の目にとって目立ちにくいことから、イエロー以外のシアン、マゼンタ、ブラックのスクリーン角をそれぞれ30°づつずらすことが行われている。更に、最も目立ちやすいブラックについては、人間が認識しやすい縦横方向の0°、90°から最も遠い45°に設定され、残るシアンとマゼンタがそれぞれ15°、75°に設定される。そして、イエローは0°に設定される。人間が最も認識しやすい縦横方向にイエローのスクリーン角が形成されるが、イエローが最も目立ちにくいことから、さほどそのスクリーン角が目立つことはない。
【0007】
上記の通り、産業用の印刷装置では、マゼンタやシアンを15°または75°に設定し、それぞれの色のスクリーンをその角度に回転させてモアレ縞の発生を抑えている。また、それぞれのスクリーンをそのまま回転させるので、それぞれの網点ピッチは等しく保たれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
レーザービーム等を利用する電子写真装置において、画像再生データに基づいて実際の画像を現像するエンジンでは、現像可能なドットの配列は、常にレーザビームが走査される主走査方向と、紙送りがされる副走査方向に固定され、印刷装置の如くスクリーンを任意の角度に回転させることはできない。従って、電子写真装置においては、上記ディザ法のディザマトリクスの位置を適宜上下または左右にずらしたり変換テーブルのデータを変更したりすることにより、所望のスクリーン角を再現することが行われる。
【0009】
図2は、従来のスクリーン角の形成方法を示す図である。この例では、m×mのディザマトリクス40をずらして画像データに対応させることで、tanθ=b/aなるスクリーン角θを実現させている。図2の具体例では、ディザマトリクス40がX軸方向に4個ずれる間に、Y方向に1個ずれているので、tanθ=1/4になっている。破線で示したマトリクスは、正方マトリクスと称され、ディザマトリクス40が複数含まれる。
【0010】
しかしながら、上記した印刷業界で最も画質が良いとされるマゼンタやシアンのスクリーン角の15°や75°は、無理正接に対応する角度であり、上記した主及び副走査方向に配置された限られた数のドットを利用するかぎり、かかる無理正接の角度を再現することは不可能である。従って、従来の電子写真装置においては、15°や75°に近い有理正接の角度に各スクリーン角を設定することが行われていた。ここで、有理正接とはtanθ=a/b(ただしa,bは整数)であり、θ=15°、75°は有理正接にはならない。
【0011】
ディザマトリクスのサイズを大きくすることで、できるだけ15°や75°に近い有理正接の角度を選択することも考えられる。ところが、上記エンジンでは、単位面積当たりの処理可能なドット数は、例えば600dpi(dpi:ドット・パー・インチ)と少ない。従って、ディザマトリクスサイズを大きくすることは、ライン線数の減少を招き解像度の低下を招く。また、ディザマトリクスのサイズを大きくすることは、それに対応して必要となるガンマテーブルの数が増大することを意味する。かかるガンマテーブルの数の増大は、変換テーブルを記録する記録媒体の容量の増大を招き、電子写真装置のコストを押し上げてしまう。
【0012】
更に、レーザービームの走査方向(主走査方向)と紙送りの走査方向(副走査方向)に固定的に並んだドットを利用して網点を形成する場合、異なるスクリーン角を持つスクリーン間でそれらの網点ピッチを等しくすることは困難である。従って、この点でも、電子写真装置では産業用印刷装置と同等の画質を提供することを困難にしている。
【0013】
そこで、本発明の目的は、複数のドットからなる網点を利用して画像を再生するカラー電子写真装置において、無理正接に対応するスクリーン角を実現できる画像処理方法、その電子写真装置、及び画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0014】
更に、本発明の目的は、複数のドットからなる網点を利用して画像を再生するカラー電子写真装置において、複数の色に対応するスクリーンにおける網点ピッチをそれぞれ等しくすることができる画像処理方法、その電子写真装置、及び画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0015】
更に、本発明の目的は、上記の目的をそれぞれ少ない変換テーブルによって実現することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数のドットからなる網点により階調を表現する画像処理において、ドット内に画像再生データに応じて所定の面積で所定の位置にある現像領域にトナーを付着させる画像再生エンジンを利用する。そして、単一のドットにより或いは隣接する複数のドットにより形成される網点の重心位置を、ドットの中心から任意の位置にずらすことで、所望のスクリーン角または所望の網点ピッチを実現する。その結果、無理正接のスクリーン角を実現することができるとともに、複数色のスクリーンでの網点ピッチをすべて等しくすることもできる。
【0017】
上記の発明では、たとえばドット領域内にレーザービームを一定方向に走査しながら照射する方式の場合は、画像再生データに従ってパルス幅変調(PWM)によりレーザの駆動パルス信号を適宜発生させることで、ドット毎のレーザービームの照射位置と照射面積とを任意の位置、面積に制御することができる。
【0018】
本発明では、電子写真装置内のコントローラ内やホスト側のドライバ内に設けられる階調データと画像再生情報との対応を有する変換テーブルの容量を小さくするために、インデックス方式の変換テーブルを利用する。かかる変換テーブルは、階調データと画像再生データとの対応を有する複数のガンマテーブルと、複数のドットを有するマトリクスに対応して、それぞれ参照すべきガンマテーブルを示す参照データを有するパターンマトリクスとを有する。そうすることにより、パターンマトリクス内の参照データを一部重複させて、パターンマトリクス内の複数のドットに重複して同一のガンマテーブルを参照させるようにすることができる。
【0019】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の色のトナーを利用し、複数のドットから形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真装置において、
前記各色の階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生情報との対応を有する変換テーブルを参照して、前記階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理部と、
前記画像再生データに対応する駆動信号を供給され、前記ドット内において前記画像再生データに対応する面積及び位置を有する現像領域に前記トナーを付着させる画像再生エンジンとを有し、
前記ハーフトーン処理部は、前記複数の色の少なくとも1つの色に対するスクリーン角を、実質的に無理正接の角度にする前記画像再生データを生成することを特徴とする。
【0020】
更に、上記の目的を達成するために、本発明は、複数の色のトナーを利用し、複数のドットから形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真装置において、
前記各色の階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生情報との対応を有する変換テーブルを参照して、前記階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理部と、
前記画像再生データに対応する駆動信号を供給され、前記ドット内において前記画像再生データに対応する位置及び面積を有する現像領域に前記トナーを付着させる画像再生エンジンとを有し、
前記ハーフトーン処理部は、前記複数の色の前記網点中心間距離を、実質的に等しくする前記画像再生データを生成することを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記の電子写真装置における画像処理方法、及びその画像処理を行うプログラムを記録した記録媒体も提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
図3は、本発明における網点の例を示す図である。この例では、例えば600dpiのピッチで形成されるドットD1〜D6内に、黒い領域で示された現像領域を形成することで、一つの網点SPを生成する。かかる網点の形成を、画像再生データに対してパルス幅変調方式により変調された駆動パルスに従ってレーザダイオードを駆動して、それにより生成されるレーザービームの照射を利用する電子写真の場合で説明する。
【0024】
ドットD1では、ドット内右側の約1/4の領域にトナーが付着されるように、レーザービームが照射される。なお、レーザービームは、例えばドットの縦方向の直径を有し、図3中の横方向に走査しながら、所望の領域に照射される。従って、ドットD1の場合は、レーザを駆動する駆動パルスは、右側の約1/4の領域に対応するタイミングと幅になる。タイミングを制御することで現像位置を制御することができ、パルス幅を制御することで現像面積を制御することができる。
【0025】
ドットD2は、ドットD1に隣接し、ドット領域左側の約1/10の領域にレーザービームが照射される。それにより、隣接するドットD1の照射領域と結合して所定の幅の現像領域が実現される。更に、ドットD3では、ドット内全てにレーザービームが照射される。また、それに隣接するドットD4には、左側約2/3の領域にレーザービームが照射される。それにより、ドットD3とD4の照射領域は結合した太い現像領域になる。更に、同様にして、ドットD5には右側に約半分のレーザービーム照射が行われ、ドットD6には左側に約1/4の領域にレーザービームが照射される。
【0026】
以上、図3に示された網点SPの特徴は、ドットD1,D2により形成される現像領域は、ドットD5,D6により形成される現像領域よりも細く、それぞれ隣接するドットD1,D2、ドットD3,D4、及びドットD5,D6により形成される現像領域は、いずれも左側にずれていることである。その結果、ドットD1〜D6により形成される網点SPの重心位置(網点の中心)は、図中Xにより示される通り、ドットD3〜D6の中心位置よりも少し左上の位置になる。
【0027】
レーザービームをドラムに照射して帯電させ、そこにトナーを定着させる電子写真装置の画像再生エンジンでは、図3の如き領域にレーザービーム照射を行っても、レーザービームの形状やトナーの定着特性により、最終的に再生される網点SPは、図3中の黒い領域よりも丸みを帯びた形状になる。そして、それぞれのドットのレーザービーム照射位置と面積を適宜選択することで、ドットの配列にかかわらず任意の位置に網点の中心を形成することができる。
【0028】
以上の通り、レーザービームを利用してトナーを定着させる現像方式の場合、レーザ駆動用のパルス信号のタイミングとパルス幅を制御することで、ドット内の任意の位置に任意の面積の現像領域を生成することができる。かかる方法を利用することで、複数のドットの現像領域を利用して網点を形成することで、網点の位置をドットのピッチや配置にかかわらず任意の位置に制御することができる。本発明はかかる点を利用することで、発生する網点位置を任意の位置に制御し、無理正接のスクリーン角或いは任意の網点ピッチを再現する。
【0029】
図4は、かかる原理に基づき実現された網点の例であり、第1の実施の形態例において成長した網点の例を示す図である。図4には、12行×12列のドットD1,1〜D12,12によって形成される複数の網点が示される。そして、後述するとおり、ドットの階調データと画像再生情報との対応を有する変換テーブルは、12×12のマトリクス構成である。
【0030】
各網点は、6個の隣接するドットで形成される場合もあれば、4個の隣接するドットで形成される場合もあり、それぞれの網点の中心は、ドットのピッチや配置にかかわらず所望の位置に設定される。例えば、左下の原点ORに対して、水平方向をX軸、垂直方向をY軸とする座標であらわすと、網点SP1の座標は(8.2,2.0)、網点SP2の座標は(10.5,10.7)に設定される。そのために、網点SP1は4つの隣接するドットにより形成され、網点SP2は9つの隣接するドットにより形成される。
【0031】
この2つの網点SP1,SP2によるスクリーン角(網点を結ぶ線の角度)は、垂直方向の線との間に、14.81°になる。かかるスクリーン角は、無理正接の角度である15°に極めて近い角度であり、実質的に無理正接の角度といえる。更に、両網点間の距離は、9.0ドット長になっている。網点SP1,SP2の間には2つの網点が存在しているので、図4の網点ピッチ(網点間の直線距離)は、3.0ピッチになる。スクリーン角が0°のスクリーンにおいて、3.0ドット長の網点ピッチにすることは、容易であるので、図4の例は、スクリーン角0°のスクリーンと同じ網点ピッチを持つことができることが理解される。
【0032】
上記と同様にして、図1で示した45°や15°のスクリーン角を実現することができるし、その場合の網点ピッチを上記と同様の3.0ドット長にすることもできる。
【0033】
図5は、第1の実施の形態例における変換テーブルを示す図である。変換テーブルは通常電子写真装置内のコントローラ内に設けられたハーフトーン処理部に格納される。図5(A)の画像データは、各ドットに対応する領域の各色の階調データを有する。この階調データは、RGBの色空間に対応する場合もあれば、YMCKの色空間に対応する場合もある。カラー電子写真装置では、YMCKのトナーを利用することが一般的であり、その場合は、画像データはYMCKそれぞれの階調データを有する。
【0034】
かかる画像データに対して図5(B)のパターンマトリクスと図5(C)のγテーブルを有する変換テーブルが対応付けられる。パターンマトリクスは、本実施の形態例では12×12の行列からなり、パターンマトリクスの参照番号i(i=1〜144)に対するγテーブルが、図5(C)のγテーブル内に格納される。例えば画像データのドットPに対するパターンマトリクスの参照番号は27とすると、そのドットPは、γテーブル内の参照番号27に対応するγテーブルにより、画像再生情報が決定される。すなわち、参照番号27に対応するγテーブルを参照して、入力レベルである画像データの階調データに対する出力値である画像再生情報が読み出される。
【0035】
レーザービームを利用したエンジンは、上記の変換テーブルにより決定された画像再生情報を、パルス幅変調方式により変調したレーザ駆動パルスを供給され、その駆動パルスに従ってレーザダイオードを駆動し、レーザービームを感光ドラムに照射する。それにより、ドット内の右側または左側における所望の面積領域だけにレーザービームが照射され、トナーが付着される。従って、γテーブルの出力である画像再生情報には、照射面積に対応するパルス幅データに加えて、ドットの右側か左側かのデータも含まれる。
【0036】
図6は、第1の実施の形態例におけるパターンマトリクスの例を示す図である。上記の通りこのパターンマトリクスは12行×12列のマトリクスであり、全部で1〜144の参照番号が行列内に重複することなく割り当てられる。
【0037】
図7は、第1の実施の形態例におけるγテーブルの概略例である。γテーブルは、階調データの入力レベルに対して、どの程度の面積でドットの右側または左側にレーザービームを照射すべきかの画像再生情報からなる出力を対応づけたテーブルである。図7の例では、参照番号jのγテーブルは、入力レベルが低い段階で高い出力レベルに変換する例であり、パターンマトリクス内で比較的低い階調レベルに対して成長するドットに対応する。参照番号mのγテーブルは、入力レベルにほぼ比例する出力レベルを有する例であり、パターンマトリクス内で比較的中間の階調レベルに対して成長するドットに対応する。そして、参照番号pのγテーブルは、入力レベルが低い段階では成長せず、入力レベルが比較的高い階調になって初めて成長するドットに対応する。
【0038】
第1の実施の形態例では、12行×12列のパターンマトリクスに144種類のγテーブルを対応付けている。従って、図7に示したγテーブルも、144種類のγ曲線を有する。
【0039】
ところで、無理正接のスクリーン角やスクリーン角が異なるスクリーンで網点ピッチを等しくするためには、パターンマトリクスを例えば1000×1000のように膨大な大きさにすれば理論的には実現可能である。しかし、カラーページプリンタなどのような電子写真装置では、そのような膨大な大きさのパターンマトリクスを利用することは、第1に、エンジンの解像度(dpi)に限界があり不可能に近く、また第2に、600dpi程度で実現しようとすると、網点ピッチが大きくなりすぎ(従ってライン線数が少なくなり)再生される画像の解像度が極端に低下してしまう。そこで、第1の実施の形態例では、ドット内の所望の位置及び面積を有する現像領域を画像再生情報により制御することで、小さいパターンマトリクスであっても成長する網点の位置をドットのピッチや配置に拘束されない任意の位置に制御して、無理正接のスクリーン角或いは等しい網点ピッチを実現する。
【0040】
しかしながら、図5〜7で示した通り、12行×12列のパターンマトリクスにしても依然として144通りのγテーブルを設ける必要がある。かかる多くのγテーブルを設けることは、大容量のメモリ領域を必要とする。
【0041】
第2の実施の形態例は、γテーブルの数を減らすために入力レベルに対して同等の出力が対応付けされている隣接γテーブルをまとめて、全体のγテーブルの数を減らす。
【0042】
図8は、第2の実施の形態例におけるインデックス方式の変換テーブルを示す図である。図5に示した変換テーブルのようにパターンマトリクスの各要素に1つずつ個別のγテーブルが与えられていたのと異なり、このインデックス方式では、パターンマトリクスの各要素にはγテーブルのインデックスが与えられ、インデックステーブルを参照することによりγテーブルが求められる。従って、パターンマトリクスの複数の要素が1つのγテーブルを用いることができ、γテーブルの数をパターンマトリクスと独立して小さく設定することができる。
【0043】
一般に、有理正接スクリーンの場合は、図2で示した通り、縦横に所定量離れたところで完全に同じパターンが現れる。従って、有限のサイズの正方マトリクスで誤差なく指定することができる。しかも、正方マトリクス内に完全に同じパターンが現れる。その意味から有理正接スクリーンに対しては上記のインデックス法による変換テーブルはメリットがある。
【0044】
ところが、無理正接スクリーンでは、厳密には同じパターンを持つドットは現れない。そこで、第2の実施の形態例では、144個のγマトリクスを、第1にドット内で右側の位置に現像領域(レーザ照射領域)を持つものと、左側の位置に現像領域を持つものとに分類し、第2に、それぞれ分類された複数のγテーブルのうち、入力レベルに対して同等の出力が対応付けされている隣接γテーブルをまとめる。そして、そのようにしてまとめられた隣接γテーブルに、同じインデックスが与えられる。
【0045】
図9は、第2の実施の形態例におけるパターンマトリクスの例を示す図である。図9のパターンマトリクスは、図8におけるパターンマトリクス(B)とインデックステーブル(C)とを一つのパターンマトリクスにして表している。図6に示した第1の実施の形態例のパターンマトリクスが、12行×12列の全ての要素に異なるγテーブルが割り当てられているのに対して、図9の例では、12行×12列の144個の要素内に36種類のγテーブルが割り当てられている。図9の144個の要素内の番号はγテーブルのインデックスを示す。従って、一部重複してγテーブルが割り当てられることが理解される。例えば、パターンマトリクスのD1,1、D1,4、D2,7、D3,10、D7,12、D10,11には、同じ1番のγテーブルが割り当てられる。
【0046】
このように、ドット領域の左右の位置が同じで、入力に対する出力値が非常に近いγテーブルをまとめることで、全体のγテーブルの数を減らすことができる。即ち、図7に示したγテーブルのうち、隣接するγテーブルが一つにまとめられる。
【0047】
図10は、第2の実施の形態例において成長した網点の例を示す図である。この例においても、各ドット内の現像領域は、左右の位置とそれぞれの面積とがドット毎に異なる。その結果、成長した網点SP1の中心座標は(8.2、2.0)となり、網点SP2の座標は(10.5、10.7)になり、図4と同様の網点位置を得ることができた。この時のスクリーン角θは約15゜、網点ピッチは3.0になるのも、図4と同様である。
【0048】
図4と図10を比較すると明らかな通り、図4におけるドットD1,1、D1,4、D2,7、D3,10、D7,12、D10,11は、ドットの右側領域が現像されているか或いはほとんど現像されていないものであるのに対して、図10におけるそれらのドットは、全て同じγテーブルが割り当てられた結果、全て右側領域に同じ面積だけ現像されている。
【0049】
[電子写真システム]
図11は、電子写真システムの構成図である。この例では、ホストコンピュータ50において、RGBそれぞれの階調データ(各8ビットで合計24ビット)からなる画像データ56が生成され、ページプリンタなどの電子写真装置60に与えられる。ページプリンタなどの電子写真装置60は、供給された画像データ56をもとにカラー画像を再現する。電子写真装置60内には、画像処理を行ってエンジンにレーザの駆動データ69を供給するコントローラ62と、その駆動データ69に従って画像の再生を行うエンジン70とを有する。
【0050】
ホストコンピュータ50において、ワードプロセッサや図形ツールなどのアプリケーションプログラム52により、文字データ、図形データ及びビットマップデータ等が生成される。これらのアプリケーションプログラム52により生成されたそれぞれのデータは、ホストコンピュータ50内にインストールされている電子写真装置用のドライバ54により、ラスタライズされ、画素またはドット毎のRGB各色の階調データからなる画像データ56に変換される。
【0051】
電子写真装置60内にも、図示しないマイクロプロセッサが内蔵され、そのマイクロプロセッサとインストールされている制御プログラムにより、色変換部64、ハーフトーン処理部66及びパルス幅変調部68等を含むコントローラ62が構成される。また、エンジン70は、例えばレーザドライバ72が、駆動データ69に基づいて、画像描画用のレーザダイオード74を駆動する。エンジン70には、感光ドラムや転写ベルト等とその駆動部が含まれるが、図11では省略されている。
【0052】
コントローラ62内の色変換部64は、供給された各ドット毎のRGBの階調データ56を、RGBと補色関係にあるCMYKの階調データ10に変換する。CMYKの階調データ10は各色8ビットずつの階調データであり、最大で256階調を有する。尚、色変換部64は、ドット毎のRGB階調データ56から、CMYK各色のプレーンのドット毎の階調データ10に変換する。従って、ハーフトーン処理部66は、各色のプレーン毎に、ドットに対応した階調データ10を供給される。
【0053】
ハーフトーン処理部66は、ドット毎の階調データ10に対して、予め作成された階調データと画像再生情報との対応を有する変換テーブルを参照して、各ドットに対する画像再生データ30を生成する。このハーフトーン処理部66は、例えば多値ディザ法を利用して、ハーフトーンを表現する画像再生データ30を生成する。例えば、図5,6,7や図8,9に示したパターンマトリクスとγテーブルからなる変換テーブルを使用することで、各ドット毎に左右の領域と面積とを示す画像再生データ30を生成することができる。
【0054】
即ち、好ましい実施の形態例では、ハーフトーン処理部66は、多値ディザ法を利用することで、例えばカラープリンタ等の600dpi程度の少ないドット密度において、網点ピッチが小さく従ってライン線数が多く解像度が高く、且つドット位置にかかわらず任意の位置に網点の中心を設定することができる。それにより、無理正接スクリーンを実現でき、スクリーン角が異なる複数色のスクリーンの網点ピッチをほぼ等しくすることもできる。
【0055】
図12は、電子写真システムの別の構成図である。このシステム構成例は、図11に示したシステム構成例の変形例である。図12のシステムでは、ホストコンピュータ50にインストールされているドライバ80が、ラスタライズ機能54、色変換機能64及びハーフトーン処理機能66とを有する。これらの各機能54,64,66は、図11に示した同じ引用番号の機能と同じである。そして、ハーフトーン処理機能により生成された各色毎の画像再生データ(パルス幅データ)30が、ページプリンタなどの電子写真装置60内に設けられたコントローラ62のパルス幅変調部68に供給され、所望の駆動データ69に変換され、エンジン70に与えられる。
【0056】
図12のシステム例では、ホストコンピュータ側にインストールされるドライバ80により、色変換処理とハーフトーン処理とが行われる。図11の例では、色変換処理とハーフトーン処理とは、電子写真装置内のコントローラで行っていたが、図12の例ではホストコンピュータ50側で行う。電子写真装置60の低価格化が要求される場合は、コントローラ62の能力を下げて価格を抑えることが要求される。その場合は、ホストコンピュータにインストールされるドライバプログラムにより、図11のコントローラが行っていた機能の一部である色変換処理とハーフトーン処理とを代わりに実現することが有効である。ドライバ80にてハーフトーン処理が実現される場合、上記したハーフトーン処理手順をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体が、ホストコンピュータ50内に内蔵される。
【0057】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、限られたドット密度しか再現できない電子写真装置において、網点ピッチを小さくして解像度を高く保って、実質的に無理正接のスクリーン角を実現することができる。また、限られたドット密度において、スクリーン角が異なる色のスクリーンの網点ピッチを全てほぼ等しくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の産業用の印刷装置等で広く普及しているシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各スクリーン角の組み合わせを示す図である。
【図2】従来のスクリーン角の形成方法を示す図である。
【図3】本発明における網点の例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態例において成長した網点の例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態例における変換テーブルを示す図である。
【図6】第1の実施の形態例におけるパターンマトリクスの例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態例におけるγテーブルを示す図である。
【図8】第2の実施の形態例におけるインデックス方式の変換テーブルを示す図である。
【図9】第2の実施の形態例におけるパターンマトリクスの例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態例において成長した網点の例を示す図である。
【図11】電子写真システムの構成図である。
【図12】電子写真システムの別の構成図である。
【符号の説明】
10 階調データ
30 画像再生データ
60 電子写真装置
62 コントローラ
66 ハーフトーン処理部
68 パルス幅変調部
Claims (11)
- 複数の色のトナーを利用し、所定のピッチで配列された複数のドット内にトナー付着領域を形成し、隣接する複数のドット内の前記トナー付着領域から形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真装置において、
前記各色の前記ドットに対応する階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記供給された階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理部と、
前記画像再生データに対応する駆動信号を供給され、前記ドット内において前記画像再生データに対応する現像領域にビームを照射し前記トナーを付着させて前記トナー付着領域を形成する画像再生エンジンとを有し、
前記画像再生データは、前記ドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置及び照射面積に対応する位置及び面積のデータを含み、前記現像領域が当該画像再生データの位置及び面積のデータに対応するドット内の位置及び面積を有し、
前記ハーフトーン処理部は、前記網点の中心位置を前記隣接する複数のドットの中心位置からずらすような前記面積及び位置のデータをもつ画像再生データであって、前記複数の色の少なくとも1つの色に対するスクリーン角を、実質的に無理正接の角度にする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真装置。 - 複数の色のトナーを利用し、所定のピッチで配列された複数のドット内にトナー付着領域を形成し、隣接する複数のドット内の前記トナー付着領域から形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真装置において、
前記各色の前記ドットに対応する階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記供給された階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理部と、
前記画像再生データに対応する駆動信号を供給され、前記ドット内において前記画像再生データに対応する現像領域にビームを照射し前記トナーを付着させて前記トナー付着領域を形成する画像再生エンジンとを有し、
前記画像再生データは、前記ドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置及び照射面積に対応する位置及び面積のデータを含み、前記現像領域が当該画像再生データの位置及び面積のデータに対応するドット内の位置及び面積を有し、
前記ハーフトーン処理部は、前記網点の中心位置を前記隣接する複数のドットの中心位置からずらすような前記面積及び位置のデータをもつ画像再生データであって、前記複数の色の前記網点中心間距離を、実質的に等しくする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真装置。 - 請求項1乃至2のいずれかにおいて、
前記変換テーブルは、
前記階調データと前記画像再生データとの対応を有する複数のガンマテーブルと、
前記複数のドットを有するマトリクスに対応して、それぞれ参照すべき前記ガンマテーブルを示す参照データを有するパターンマトリクスとを有することを特徴とするカラー電子写真装置。 - 請求項3において、
前記パターンマトリクス内の前記参照データは一部重複し、前記パターンマトリクス内の複数のドットに重複して同一のガンマテーブルが参照されることを特徴とするカラー電子写真装置。 - 請求項1において、
前記ハーフトーン処理部は、前記スクリーン角を実質的に無理正接の角度にすると共に、前記複数の色の前記網点中心間距離を、実質的に等しくする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真装置。 - 複数の色のトナーを利用し、所定のピッチで配列された複数のドット内にトナー付着領域を形成し、隣接する複数のドット内の前記トナー付着領域から形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真の画像処理方法において、
前記各色の前記ドットに対応する階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記供給された階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理工程と、
前記画像再生データに対応する駆動信号を供給され、前記ドット内において前記画像再生データに対応する現像領域にビームを照射し前記トナーを付着させて前記トナー付着領域を形成する画像再生工程とを有し、
前記画像再生データは、前記ドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置及び照射面積に対応する位置及び面積のデータを含み、前記現像領域が当該画像再生データの位置及び面積のデータに対応するドット内の位置及び面積を有し、
前記ハーフトーン処理工程は、前記網点の中心位置を前記隣接する複数のドットの中心位置からずらすような前記面積及び位置のデータをもつ画像再生データであって、前記複数の色の少なくとも1つの色に対するスクリーン角を、実質的に無理正接の角度にする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真の画像処理方法。 - 請求項6において、
前記ハーフトーン処理工程は、前記スクリーン角を実質的に無理正接の角度にすると共に、前記複数の色の前記網点中心間距離を、実質的に等しくする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真の画像処理方法。 - 複数の色のトナーを利用し、所定のピッチで配列された複数のドット内にトナー付着領域を形成し、隣接する複数のドット内の前記トナー付着領域から形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真の画像処理方法において、
前記各色の前記ドットに対応する階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記供給された階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理工程と、
前記画像再生データに対応する駆動信号を供給され、前記ドット内において前記画像再生データに対応する現像領域にビームを照射し前記トナーを付着させて前記トナー付着領域を形成する画像再生工程とを有し、
前記画像再生データは、前記ドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置及び照射面積に対応する位置及び面積のデータを含み、前記現像領域が当該画像再生データの位置及び面積のデータに対応するドット内の位置及び面積を有し、
前記ハーフトーン処理工程は、前記網点の中心位置を前記隣接する複数のドットの中心位置からずらすような前記面積及び位置のデータをもつ画像再生データであって、前記複数の色の前記網点中心間距離を、実質的に等しくする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真の画像処理方法。 - 複数の色のトナーを利用し、所定のピッチで配列された複数のドット内の現像領域にビームを照射し前記トナーを付着させてトナー付着領域を形成し、隣接する複数のドット内の前記トナー付着領域から形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真の画像処理手順を、コンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録した記録媒体において、
前記画像処理手順は、前記各色の前記ドットに対応する階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記供給された階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理手順を有し、
前記画像再生データは、前記ドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置及び照射面積に対応する位置及び面積のデータを含み、前記現像領域が当該画像再生データの位置及び面積のデータに対応するドット内の位置及び面積を有し、
前記ハーフトーン処理手順は、前記網点の中心位置を前記隣接する複数のドットの中心位置からずらすような前記面積及び位置のデータをもつ画像再生データであって、前記複数の色の少なくとも1つの色に対するスクリーン角を、実質的に無理正接の角度にする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真の画像処理プログラムを記録した記録媒体。 - 請求項9において、
前記ハーフトーン処理手順は、前記スクリーン角を実質的に無理正接の角度にすると共に、前記複数の色の前記網点中心間距離を、実質的に等しくする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真の画像処理プログラムを記録した記録媒体。 - 複数の色のトナーを利用し、所定のピッチで配列された複数のドット内の現像領域にビームを照射し前記トナーを付着させてトナー付着領域を形成し、隣接する複数のドット内の前記トナー付着領域から形成される網点により前記各色の階調を表現して画像を再生するカラー電子写真の画像処理手順を、コンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録した記録媒体において、
前記画像処理手順は、前記各色の前記ドットに対応する階調データを供給され、前記ドットに対応して作成され前記階調データと画像再生データとの対応を有する変換テーブルを参照して、前記供給された階調データに基づき前記ドットに対する画像再生データを前記各色毎に生成するハーフトーン処理手順を有し、
前記画像再生データは、前記ドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置及び照射面積に対応する位置及び面積のデータを含み、前記現像領域が当該画像再生データの位置及び面積のデータに対応するドット内の位置及び面積を有し、
前記ハーフトーン処理手順は、前記網点の中心位置を前記隣接する複数のドットの中心位置からずらすような前記面積及び位置のデータをもつ画像再生データであって、前記複数の色の前記網点中心間距離を、実質的に等しくする前記画像再生データを生成することを特徴とするカラー電子写真の画像処理プログラムを記録した記録媒体。
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