JP3832730B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両などに搭載されるエンジンの弁開閉タイミングを制御する弁開閉時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの駆動条件に応じてエンジンの弁開閉タイミングを制御する弁開閉時期制御装置(特開平11−311107等)が提供されている。このものは、エンジンのクランクシャフトと一体回転する第1回転部材と、第1回転部材との間に流体圧室を形成するように第1回転部材に相対回転可能に嵌合されエンジンのカムシャフトと一体回転する第2回転部材と、第1回転部材または第2回転部材に設けられ流体圧室を遅角室および進角室に仕切るベーンと、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロックする相対回転制御機構と、ロック解除状態において遅角室または進角室に対して油の供給または排出を実行することにより、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間で移動させる第1経路を有する油圧回路とを具備する。相対回転制御機構はロック部をロック方向に付勢するバネをもつ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術によれば、エンジンの駆動条件に応じて、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間で調整できるため、エンジンの弁開閉タイミングを制御することができる。更に相対回転位相が最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にあるとき、エンジンの始動性が高くなるように設定されており、相対回転位相を中間位相にロックすることができるため、エンジンの始動性を高めることができる。
【0004】
しかしながら相対回転位相を中間位相にロック状態に保持しておきたいときであっても、エンジン回転数が高くなると遠心力が増加するため、遠心力がバネのスプリング力に打ち勝ち、ロック部が遠心方向に移動しロックが解除されてしまうおそれがある。この結果、相対回転位相(ベーン)をロック状態に保持しておきたいにもかかわらず、相対回転位相のロックが解除され、相対回転位相(ベーン)が無用な往復移動を繰り返すことがある。
【0005】
前述したように遠心力でロック解除されるときには、ロック部に作用する遠心力がバネのスプリング力に打ち勝つ必要がある。しかしバネは大量生産を前提とする工業製品であり、ロック用のバネのそれぞれについてスプリング力の過剰高精度化を図るには限界がある。このためロック部に作用する遠心力がスプリング力に打ち勝つタイミングを極めて高精度に設定するには限界がある。故に遠心力のみに頼ってロック解除する場合には、精密なロック解除制御には限界がある。
【0006】
殊に、遅角室及び進角室の油が排出されている制御が行われているとき、相対回転位相のロックが遠心力で解除されると、遅角室及び進角室の油が移動抵抗とならないため、相対回転位相(ベーン)の往復移動が頻繁に繰り返され易い。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みされたものであり、相対回転位相をロック状態に保持しておきたいときにおいて、遠心力でロック部が解除されてしまうことを防止でき、更にロック部をロック方向に付勢するバネのスプリング力の過剰高精度化を抑えつつ精密なロック解除制御を行なうのに貢献できる弁開閉時期制御装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る弁開閉時期制御装置は、エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、
前記第1回転部材との間に流体圧室を形成するように前記第1回転部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一体回転する第2回転部材と、
前記第1回転部材または前記第2回転部材に設けられ、前記流体圧室を遅角室および進角室に仕切るベーンと、
前記遅角室および/または前記進角室に対して油の供給または排出を実行することにより、前記第1回転部材および前記第2回転部材の前記相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間で移動させる第1経路と、前記第1回転部材および前記第2回転部材の前記相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロックするロック部と、前記ロック部をロック方向に移動させるバネと、前記バネに抗して前記ロック部をロック解除方向に作動させるロック油通路とを有する相対回転制御機構とを具備し、
エンジン回転数が増加すると前記バネに抗して前記ロック部に作用する遠心力で前記ロック部がロック解除される弁開閉時期制御装置において、
エンジンの回転数を直接または間接的に検出するエンジン回転数検出手段と、
ロック解除させる遠心力が発生するときのエンジン回転数よりも低いエンジン回転数に関する敷居値を採択する敷居値採択手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が前記敷居値を越えるときにロック解除させる制御手段とを具備することを特徴とするとするものである。
【0009】
本発明に係る弁開閉時期制御装置によれば、エンジン回転数検出手段で検出される現在のエンジン回転数が敷居値を越えるとき、制御手段により相対回転位相のロックが解除される。例えば、ロック油通路に対して油の供給を実行する。従って、相対回転位相を中間位相にロック状態に保持しておきたいときにおいて、エンジン回転数が高くなったとしても、エンジン回転数が敷居値を越えない限り、意図に反してロック解除されることが抑えられる。なお現在のエンジン回転数が敷居値を越えないときにおいて、他のロック解除要請がないとき、相対回転位相のロックが維持される。
【0010】
【発明の実施の形態】
・エンジン回転数検出手段は、エンジンの回転数を直接または間接的に検出する。間接的に検出するとは、エンジンの回転数そのものを検出するのではなく、エンジン回転数に関連する情報に基づいてエンジン回転数を検出することである。
【0011】
・制御手段は、エンジン回転数検出手段で検出されるエンジン回転数が敷居値を越えロック解除されている状態において、ロック解除状態で、相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に、遅角室及び進角室の油圧で保持する指令を出力する形態を採用できる。この場合、遅角室及び進角室の油圧を、カムフリクションに対抗する油圧差となるように与えることが好ましい。またトーションスプリング等によりカムフリクションと同等の付勢力がある場合には、遅角室及び進角室の油圧は同じ程度とすれば良い。この結果、相対回転位相が最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロック解除状態で油圧で保持されるため、次の制御のとき、相対回転位相を遅角方向または進角方向に迅速に移動させることができる。このように既にロック解除された状態で相対回転位相は中間位相に保持されているため、エンジン回転数に依存することなく、相対回転位相を中間位相に安定的に保持することができる。
【0012】
・ロック油通路は油が供給されると、ロック部をロック解除方向に作動させる。この場合、エンジン始動時または車両走行時等において、相対回転位相が中間位相でロックされているとき、制御手段は、遅角室及び進角室の油をドレインすると共にロック油通路の油をドレインする指令を出力する形態を採用できる。この場合、遅角室、進角室、ロック油通路の油がドレインされるため、相対回転位相のロック状態が油の供給なしで可能となり、給油手段である油ポンプの負荷を軽減できる。ドレインとは油を排出することを意味する。またロック油通路がドレインされているため、ロック部を作動させるロック油通路の油圧が遅角室や進角室等の圧力変動の影響を受けることを極力避けることができ、ロック部の誤作動を避けるにも有利である。
【0013】
・一般的な弁開閉時期制御装置によれば、エンジン回転数が高くなると、ロック部に作用する遠心力が増大するため、バネ(付勢手段)のスプリング力に遠心力が打ち勝ち、ロック部が自動的にロック解除される。敷居値採択手段は、ロック解除させる遠心力が発生するときのエンジン回転数よりも低いエンジン回転数に関する敷居値を採択する。この場合、敷居値をメモリに格納しておき、メモリから敷居値を読み込んで採択しても良い。また、車両走行に関する情報を読み込み、これに基づいて演算で敷居値を演算し、採択しても良い。また、外部機器から敷居値を読み込んで採択しても良い。
【0014】
敷居値として、アイドル状態(殊にファーストアイドル状態)のエンジン回転数を越え、且つ、ロック部が遠心力よりロック解除されるエンジン回転数未満に設定することができる。但し、アイドル状態のエンジン回転数はファーストアイドル状態のエンジン回転数に限られるものではなく、通常のアイドル状態のエンジン回転数とすることもできる。
【0015】
・相対回転位相が中間位相でロックされているとき、制御手段は、遅角室及び進角室のうちのいずれか一方に油を供給すると共に、遅角室及び進角室のうちの他方をドレインさせ、ロック解除方向への抵抗となる摩擦抵抗力をロック部に発生させる指令を出力する形態を採用できる。この場合、遅角室及び進角室の一方の油圧がベーンに作用するため、ベーンを回転させる方向に回転付勢力がベーンに作用する。この結果、相対回転位相をロックしている状態のロック部と相手壁面とが相対的に押圧して両者間の摩擦が増大するため、摩擦抵抗力として作用する。このようにロック部に摩擦抵抗力が作用している結果、ロック部の解除に対する抵抗が増加するため、ロック部は遠心方向に外れにくくなる。このような摩擦抵抗力がロック部に作用しているとき、ロック部がロック解除されるときのエンジン回転数は、ロック部に摩擦抵抗力が作用しないときにロツク部がロック解除される前記エンジン回転数の値よりも上昇するため、敷居値もエンジン回転数の高回転数領域に設定することができる利点が得られる。
【0016】
・また上記したように遅角室または進角室のうちのいずれか一方に油が供給されているため、ロック部に摩擦抵抗力が作用しているとき、敷居値として、アイドル状態(殊にファーストアイドル状態)のエンジン回転数を越え、且つ、ロック部に摩擦抵抗力が作用している状態においてロック部をロック解除させるエンジン回転数未満に設定することができる。上記のようにロック部に摩擦抵抗力が働くときには、ロック部はロック解除方向に移動しにくくなる。この場合、遠心力でロック部がロック解除されるときのエンジン回転数が高回転数領域に移行するため、上記した敷居値も高回転数領域に移行させることができ、高回転数領域においても相対回転位相をロックさせることが可能となる。
【0017】
エンジンの温度により油の粘性は変化するため、敷居値はエンジンの温度状態に応じて補正することが好ましい。即ちエンジンの温度が低くなるにつれて、油の粘性が高くなるため、敷居値を大きく設定する。これに対してエンジンの温度が高くなるにつれて、敷居値を小さく設定する。エンジンの温度状態のパラメータとしては、油の温度、エンジンの冷却水温度の少なくとも一つを採用できる。
【0018】
・遅角室および/または進角室の油圧の変動の影響を抑えるように、第1経路に独立して設けられロック油通路に繋がりロック油通路に対して油の供給および/または排出を実行する第2経路を有する形態を採用できる。この場合、ロック油通路は、遅角室、進角室の油圧の変動の影響を受けにくくなるため、ロック部を良好に作動させるのに有利となる。
【0019】
以上は相対回転位相のロックに関する制御であるが、本発明に係る弁開閉時期制御装置によれば、以下述べるようにエンジン停止に関する制御も行うことができる。
【0020】
・相対回転制御機構は油圧回路を有する形態を採用できる。油圧回路は、スプールの移動に伴い主ドレイン操作を実行する油圧制御弁を有する形態を採用できる。主ドレイン操作は、遅角室及び進角室の双方または一方をドレインすると共に、ロック油通路をドレインする操作である。油圧制御弁は、相対回転位相を中間位相に保持する中間位相保持制御位置、相対回転位相を進角方向に移動させる進角制御位置、主ドレイン操作を実行する主ドレイン制御位置をスプールの移動に伴って切り替える構造である形態を採用できる。この場合、エンジン停止信号に基づいて主ドレイン操作を実行するためスプールがドレイン制御位置に向けて移動するとき、進角制御位置を通る。このようにスプールがドレイン制御位置に向けて移動するとき進角制御位置を通る場合、相対回転位相が進角方向に動くノイズが発生する。このため、上記したようにエンジン停止信号に基づいてスプールが進角制御位置を通ってドレイン制御位置に向けて移動し主ドレイン操作が実行されるときには、制御手段は、相対回転位相の目標値を中間位相から(中間位相−α)に変更する。−αは、相対回転位相(ベーン)が遅角方向に向かう設定値を意味する。これにより進角方向へのノイズと−αとが相殺されまたは実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑えられる。これによりエンジン停止信号が出力されると、相対回転位相はロック位置である中間位相に迅速に移動できる。
【0021】
・また前記した油圧制御弁と別のタイプの油圧制御弁として、相対回転位相を中間位相に保持する中間位相保持位置、相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角制御位置、主ドレイン操作を実行する主ドレイン制御位置を有し、油圧制御弁のスプールの移動に伴って中間位相保持位置、遅角制御位置、主ドレイン制御位置に切り替える構造を有するものを採用できる。この別のタイプの油圧制御弁によれば、この場合、エンジン停止信号に基づいて主ドレイン操作を実行するためスプールがドレイン制御位置に向けて移動するとき、遅角制御位置を通る。このようにスプールがドレイン制御位置に向けて移動するとき遅角制御位置を通るときには、相対回転位相が遅角方向に動くノイズが発生する。このため、上記したようにエンジン停止信号に基づいてスプールが遅角制御位置を通ってドレイン制御位置に向けて移動し主ドレイン操作が実行されるときには、制御手段は、相対回転位相の目標値を中間位相から(中間位相+α)に変更する。+αは相対回転位相(ベーン)が進角方向に向かう設定値を意味し、実験的または設計的に選択できる。これにより遅角方向へのノイズと+αとが相殺されまたは実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑えられる。これによりエンジン停止信号が出力されると、相対回転位相はロック位置である中間位相に迅速に移動できる。
【0022】
・エンジン停止信号により前記主ドレイン操作が実行されるとき、ロック油通路に油が残留していると、ロック部の応答が遅れるおそれがある。このため制御手段は、前記進角制御位置において、相対回転位相を進角方向に移動させると共にロック油通路の油の排出を実行する指令を出力する形態を採用できる。これによりロック油通路の油の排出性を高めることができ、ロック部の応答遅れが抑えられ、相対回転位相を短時間にロックさせるのに有利である。
【0023】
・エンジン停止信号により主ドレイン操作が実行されるとき、ロック油通路に油が残留していると、ロック部の応答が遅れるおそれがある。このため油圧制御弁の種類によっては、制御手段は、前記遅角制御位置において、相対回転位相を遅角方向に移動させると共にロック油通路の油の排出を実行する指令を出力する形態を採用できる。これによりロック油通路の油の排出性を高めることができ、ロック部の応答遅れが抑えられ、相対回転位相を短時間にロックさせるのに有利である。
【0024】
・ロック位置である中間位相から相対回転位相が離れていると、相対回転位相が中間位相まで移動する距離が大きい。エンジン温度が低いときには油の粘性が高く、ロック油通路からの油の排出応答性に影響を与える。エンジン回転数が高いときには、油ポンプの回転数も高く、エンジン油圧が確保されるため、油圧制御弁のポートの開口または制御時間は少なくて済む。また自動変速機の場合には、エンジン停止信号が出力された場合、シフトレンジのNレンジよりもDレンジはエンジン負荷を有するため、エンジン回数数は速く低下する。このため制御手段は、エンジン停止信号が出力されたときの情報、即ち、相対回転位相(つまりベーンの位相)、エンジン温度状態、エンジン回転数、シフトレンジのうちの少なくとも一つの情報に基づいて、油圧制御弁のスプールの動きに関する制御量を補正する形態を採用できる。この情報は、イグニッションスイッチ等によりエンジン停止信号が出力された瞬間時における情報とすることができる。これによりエンジン停止信号によりエンジン回転数が低下するときであっても、情報の検出性が確保される。油圧制御弁のスプールの動きに関する制御値としては、スプールを移動させるソレノイドに給電する給電量(デューティ比など)、制御時間である給電時間の少なくとも一つを例示できる。
【0025】
・制御手段は、エンジン停止信号の発生時刻から主ドレイン操作の終了時刻までの間に、ロック油通路の油の排出性を促進させる排出促進制御を実行する指令を出する形態を採用できる。これによりロック油通路の油の排出性を高めることができ、エンジン油温が低いときであっても、ロック部の応答遅れが抑えられ、相対回転位相をロック部により迅速にロックさせるのに有利である。
【0026】
・制御手段は、主ドレイン操作を実行するとき、ロック油通路の油の排出促進制御を実行する指令を出力する形態を採用できる。あるいは、油圧制御弁の種類によっては、制御手段は、主ドレイン操作を実行する前に、ロック油通路の油の排出促進制御を実行する指令を出力する形態を採用できる。これによりロック油通路の油の排出性を高めることができ、ロック部の応答遅れが抑えられ、エンジン油温が低いときであっても、相対回転位相を迅速にロックさせるのに有利である。排出促進制御として、油圧制御弁のうちのロック油通路に繋がるポートの開口量及び/または開口時間を増加させてロック油通路からの油の排出性を高める手段を採用できる。また排出促進制御として、油圧制御弁のうちのロック油通路に繋がるポートの開口時間を長くする入れ込み時間を設定することにより、ロック油通路の油の排出性を高める手段を採用できる。入れ込み時間は、進角制御位置において相対回転位相を進角方向に移動させると共にロック油通路の油の排出を実行する前に設定することができる。あるいは、入れ込み時間は、遅角制御位置において相対回転位相を遅角方向に移動させると共にロック油通路の油の排出を実行する前に設定することができる。これによりロック油通路からの油の排出性を高めることができ、ロックの応答遅れを抑えることができる。
【0027】
・ベーンは流体圧室を遅角室および進角室に仕切るものである。ベーンは、第1回転部材または第2回転部材に取り付けることにしても良いし、一体的に成形しても良い。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を具体化した実施例を図面に基づいて説明する。本実施例は、車両等に搭載されるエンジンの吸気側の弁開閉時期制御装置に適用した場合である。まず弁開閉時期制御装置の全体構成について説明する。図1はエンジンの弁を開放させるカムを有するカムシャフト3のシャフト長方向に沿った弁開閉時期制御装置の断面図を示す。図2はカムシャフト3のシャフト直角方向に沿った弁開閉時期制御装置の断面図を示す。図2〜図5は図面の複雑化回避のためハッチング線を略している。
【0029】
本実施例に係る弁開閉時期制御装置は、図1に示すように、エンジンに組み付けられエンジンの弁開閉用の第1回転部材として機能するロータ1と、ロータ1に相対回転可能に嵌合する第2回転部材2とを備えている。ロータ1は、エンジンのシリンダブロックに回転可能に保持されたカムシャフト3の先端部に固定ボルト30により固定されており、カムシャフト3と一体回転する。図2に示すように、ロータ1は、カムシャフト3のシャフト長方向に沿ったシャフト遅角通路に連通する遅角通路10と、カムシャフト3のシャフト長方向に沿ったシャフト進角通路に連通する進角通路11とを有する。
【0030】
図1に示すように、第2回転部材2は、ロータ1を同軸的に包囲するハウジング20と、ハウジング20のボルト挿通孔20pに挿通された取付ボルト21によりハウジング20の片面側に取り付けられた第1プレート22と、取付ボルト21によりハウジング20の他の片面側に取り付けられた第2プレート23とを有する。第2プレート23はタイミングスプロケット23aをもつ。タイミングスプロケット23aとエンジンのクランクシャフトのギヤとの間には、タイミングチェーンまたはタイミングベルト等の伝達部材24が架設されている。エンジンのクランクシャフトが駆動すると、タイミングチェーンまたはタイミングベルト等の伝達部材24を経て、タイミングスプロケット23a、第2プレート23、ハウジング20、ロータ1が回転し、ひいてはロータ1と一体のカムシャフト3が回転し、カムシャフト3のカムがエンジンの弁を押し上げて開閉させる。
【0031】
図2に示すように、第2回転部材2の主要素であるハウジング20には、径内方向に突出するシューとして機能する厚肉の突部4が複数個設けられている。相対回転方向において突部4は、互いに背向する位相に端面44s、44rを有する。隣設する突部4間には、相対回転方向(矢印S1、S2方向)に沿って並設された複数個の流体圧室40が形成されている。複数個の流体圧室40はロータ1とハウジング20とで形成されている。
【0032】
ロータ1の外周部には、各流体圧室40に対面するようにベーン溝41が所定の間隔を隔てて放射状に複数個形成されている。各ベーン溝41には、仕切部材として機能するベーン5が放射方向に沿って各それぞれ摺動可能に挿入されている。ベーン5の数は流体圧室40と同数である。ベーン5の位相の位置は、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相の位置を示す。ベーン5の移動方向はロータ1の移動方向である。図2に示すように、べーン5は、各流体圧室40をハウジング20およびロータ1の相対回転方向(矢印S1、S2方向)において遅角室42と進角室43とに仕切る。最遅角位相は、遅角室42の容積が最も増加する位相である。最進角位相は進角室43の位相が最も増加する位相である。流体圧室40の進角室43はロータ1の進角通路11に連通する。流体圧室40の遅角室42はロータ1の遅角通路10に連通する。
【0033】
図2に示すように、ロータ1の外周部にはロック油通路66が所定距離形成されている。ロータ1の外周部のロック油通路66の端には遅角方向ストッパ14が形成されている。遅角方向ストッパ14は、ハウジング20に対してロータ1が遅角方向(矢印S1方向)へそれ以上移動することを阻止し、相対回転位相が遅角方向(矢印S1方向)へそれ以上移動することを阻止する。遅角方向は弁の開閉時期が遅れる方向を意味する。進角方向は弁の開閉時期が進む方向を意味する。ロータ1の外周部のロック油通路66の一端には進角方向ストッパ16が形成されている。進角方向ストッパ16は、ハウジング20に対してロータ1が進角方向(矢印S2方向)へそれ以上移動することを阻止し、相対回転位相が進角方向(矢印S2方向)へそれ以上移動することを阻止する。
【0034】
図2に示すようにハウジング20の突部4には、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相を最も進角側に回転する最遅角位相と、最も遅角側に回転する位相との中間となる中間位相にメカニカルに保持するロック機構として機能するロック部6およびロック部6Bが取り付けられている。ロック機構は相対回転制御機構の要素である。ロック部6(遅角用ロック部)は、ロータ1が遅角方向へ移動することを阻止する。ロック部6B(進角用ロック部)は、ロータ1が進角方向へ移動することを阻止する。遅角用のロック部6は、プレート形状またはピン形状のロック体60と、ロック体60をロック方向である径内方向に付勢する付勢力をもつバネ61とを有する。バネ61はコイルバネとされているが、これに限らず、トーションコイルバネ、板バネ、皿バネ等の公知のバネを採用できる。進角用のロック部6Bは、遅角用のロック部6と同様に、プレート形状またはピン形状のロック体60と、ロック体60をロック方向である径内方向に付勢する付勢力をもつバネ61とを有する。なおロック体60の形状はプレート形状またはピン形状に限定されない。
【0035】
図2に示すように、ロック油通路66の油圧が解除されているとき、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相が所定の中間位相になると、バネ61のスプリング力により遅角用のロック部6のロック体60はロック方向である径内方向に自動的に移動し、ロック油通路66にロック体60の先端部が係止すると共に、バネ61の付勢力により進角用のロック部6Bのロック体60がロック方向である径内方向に自動的に移動し、ロック油通路66に進角用のロック部6Bのロック体60の先端部が係止することにより、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相をロックすることができる。即ちベーン5の位相をロックすることができる。進角用のロック部6Bについても同様である。なおハウジング20およびロータ1の相対回転位相は、ベーン5の位相に相当する。
【0036】
このようにハウジング20およびロータ1の相対回転位相がロックされると、ハウジング20およびロータ1は一体回転可能となる。本実施例においては上記のようにハウジング20およびロータ1の相対回転位相が最遅角位相と最進角位相との中間の中間位相となるとき、つまり、ベーン5の位相が流体圧室40において最遅角位相と最進角位相との中間の中間位相となるとき、エンジンの円滑な始動性が得られるように、エンジンの弁の開閉タイミング時期が設定されている。
【0037】
エンジンの駆動条件に応じてハウジング20およびロータ1の相対回転位相を変化させる場合には、遅角用のロック部6および進角用のロック部6Bを解除する。この場合には、リリース路73を介してロック油通路66に油を供給し、ロック油通路66の油圧により遅角用のロック部6のロック体60の先端部の加圧面を加圧し、ロック体60を径外方向に移動させてロック解除する。このようにロック部6、6Bがロック解除されているとき、ハウジング20およびロータ1の相対回転は可能となり、エンジンの駆動条件に応じてクランクシャフトの回転位相に対するカムシャフト3の回転位相を遅角方向(矢印S1方向)または進角方向(矢印S2方向)に必要に応じて調整して、エンジンの出力特性を調整することができる。
【0038】
図2は通常始動時における弁開閉時期制御装置を示す。通常始動時には、遅角室42および進角室43はドレインされ油は排出されており、ロック油通路66もドレインされ油は排出されており、ロック部6,6Bが径内方向に移動してロックされている。このため相対回転が防止されており、始動性が良好になるように設定されている中間位相でエンジンを始動させることができる。
【0039】
図3は進角制御時の弁開閉時期制御装置を示す。進角制御時には、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相は進角方向に移動しており、つまりベーン5は進角方向(矢印S2方向)に移動している。このような進角制御時にはロック油通路66に油が供給されてロック部6,6Bによるロックが解除されていると共に、進角室43に油は供給されているが、遅角室42はドレインされて遅角室42の油は排出されている。
【0040】
図4は中間位相保持制御時の弁開閉時期制御装置を示す。中間位相保持制御時には、遅角室42および進角室43の油は供給された状態で外部に排出できないように油圧制御弁76が制御されている。このような中間位相保持制御時にはロック油通路66にも油は供給されており、ロック部6,6Bは径外方向に移動してロック解除されている。
【0041】
図5は遅角制御時の弁開閉時期制御装置を示す。遅角制御時にはハウジング20およびロータ1の相対回転位相は遅角方向に移動しており、つまりベーン5は遅角方向(矢印S1方向)に移動している。このような遅角制御時にはロック油通路66に油が供給されてロック部6,6Bによるロックが解除されていると共に、遅角室42に油は供給されているが、進角室43はドレインされて進角室43の油は排出されている。
【0042】
相対回転制御機構は上記したロック機構と油圧回路7を有する。油圧回路7について説明を加える。図2に示すように油圧回路7は、エンジンの駆動力で回転される油を供給する油ポンプ70と、排出路75cを介して排出された油を溜める油溜部としてのオイルパン75と、ソレノイド87への給電量(デューティ比)によりスプールのストローク量を変化させる油圧制御弁76と、遅角室42に遅角通路10を介して繋がる遅角路71または進角室43に進角通路11を介して繋がる進角路72に対して油の供給または排出を実行する第1経路77と、ロック油通路66にリリース路73を介して繋がりロック油通路66に対して油の供給または排出を実行する第2経路78とを有する。第2経路78は油圧制御弁76と油ポンプ70との間にオリフィス780をもつ。オリフィス780は油圧制御弁76の内部に設けられていても良い。
【0043】
図2から理解できるように、第1経路77は、遅角室42に繋がる経路部分と、進角室43に繋がる経路部分とをもつ。第1経路77のうち遅角室42に繋がる経路部分は、油圧制御弁76のポートと油ポンプ70とをつなぐ給油通路77mと、遅角路71と、ロータ1内の遅角通路10とを有する。
【0044】
図2に示すように、第1経路77のうち進角室43に繋がる経路部分は、油圧制御弁76のポートと油ポンプ70とをつなぐ給油通路77mと、進角路72と、進角通路11とを有する。第2経路78は、油圧制御弁76の別のポートと油ポンプ70を繋ぐ給油通路78mと、リリース路73とを有する。第2経路78は、第2経路78への油の供給によりリリース路73を介してロック油通路66に油を供給し、これによりロック部6,6Bを径外方向つまりロック解除方向に作動させ得るものである。
【0045】
第2経路78は第1経路77に対して独立して設けられている。本実施例においては、図2に示すように、第1経路77の給油通路77mと第2経路78の給油通路78mとは、油ポンプ70と油圧制御弁76との間において、互いに並走している。更に、第2経路78のうちのロック油通路66に向かうリリース路73は、第1経路77のうちの遅角室42に向かう遅角路71、進角室43に向かう進角路72に対して、油ポンプ70とロータ1(ハウジング20)との間において非連通であり、互いに並走している。また油圧制御弁76の流路のうち、ロック油通路6に油を供給する側の流路は、遅角路71及び進角室43に向かう側の流路に対して並走している。従って、万一、遅角室42及び進角室43の油圧が変動したとしても、その変動圧がロック油通路66に直接作用することが抑えられている。
【0046】
図6(A)は本実施例で用いる油圧制御弁76の作動状況の代表例を模式的に示す。図6(A)に示すように、横軸は油圧制御弁76のソレノイド87への給電量(スプールのストローク)を示す。給電量が0のときには、進角室43はドレイン、遅角室42はドレイン、ロック油通路66はドレインとされており、これにより進角室43、遅角室42の両方をドレインさせ、且つ、ロック油通路66をドレインさせる主ドレイン操作を実行できる。進角室43については、油圧制御弁76のソレノイド87への給電量が増加してスプール85が移動するにつれて、進角室43のドレイン、進角室43の閉じ、進角室43への油供給、進角室43の閉じ、進角室43のドレインに設定されている。遅角室42については、油圧制御弁76のソレノイド87への給電量が増加するにつれて、遅角室42のドレイン、遅角室42の閉じ、遅角室42への油供給に設定されている。ロック油通路66については、油圧制御弁76のソレノイド87への給電量が増加するにつれて、ロック油通路66のドレイン、ロック油通路66の閉じ、ロック油通路66への油供給に設定されている。
【0047】
換言すると、油圧回路7は、スプール85の移動に伴い主ドレイン操作を実行する油圧制御弁76を有する形態を採用できる。図6(A)に示す油圧制御弁76は、前記相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角制御位置W4、相対回転位相を中間位相に保持する中間位相保持制御位置W3、前記相対回転位相を進角方向に移動させる進角制御位置W2、主ドレイン操作を実行する主ドレイン制御位置W1を有しており、これらの位置W1〜位置W4をスプール85の移動に伴って切り替える構造である。なお、図6(A)に示す油圧制御弁76の作動状況は代表例であり、油圧制御弁76に要請される制御に応じて適宜変更できる。図6(B)に示す作動状況としても良い。
【0048】
図7〜図10は油圧制御弁76の構造の代表例を示す。図7〜図10は油圧制御弁76のスプール85のストロークと作動との関係を示す。図7に示すように、油圧制御弁76は、オイルパン75に繋がる吐出口80および可動室81をもつボディ82と、吐出口80に連通する中空室84をもちボディ82の可動室81に移動可能に設けられた可動体であるスプール85と、スプール85を可動室81に沿って移動させる駆動源としてのソレノイド87とを有する。ソレノイド87への給電量が増加するにつれて、スプール85は一方向つまり矢印R1方向に移動する。ソレノイド87への給電量が減少するにつれて、スプール85は他方向つまり矢印R2方向に移動する。ボディ82は第1ポート101、第2ポート102、第3ポート103、第4ポート104、第5ポート105、第6ポート106をもつ。第4ポート104にはオイルポンプ70から第1経路77の給油通路77mを介して油が供給される。第2ポート102にはオイルポンプ70から第2経路78の給油通路78mを介して油が供給される。スプール85は、その外周部に、第1ランド201、第2ランド202と、第3ランド203、第4ランド204、第5ランド205と、第6ランド206、第7ランド207をもつ。スプール85は、第1孔301、第2孔302、第3孔303をもつ。スプール85は、その外周部に、リング状の第1溝401、第2溝402、第3溝403、第4溝404、第5溝405、第6溝406をもつ。
【0049】
図7はオイルポンプ70が駆動していない不使用時の油圧制御弁76(スプール85のストロークP1)を示す。図7に示すように、ロック油通路66は、第1ポート101→第1溝401→第1孔301→中空室84→吐出口80→排出路75cに連通しており、ロック油通路66の油はこの通路によりオイルパン75に排出されている。遅角室42は、第3ポート103→第3溝403→第2孔302→中空室84→吐出口80→排出路75cに連通しており、遅角室42の油はこの通路によりオイルパン75に排出されている。進角室43は、第6ポート106→第6溝406→第3孔303→中空室84→吐出口80→排出路75cに連通しており、進角室43の油はこの通路でオイルパン75に排出されている。図7では、油ポンプ70に繋がる第2ポート102および第4ポート104の双方は閉鎖されている。
【0050】
図8は進角制御時の油圧制御弁76(スプール85のストロークP2)を示す。図8に示すように、オイルポンプ70の油は、第2経路78の給油通路78m→第2ポート102→第2溝402→第1ポート101を介してロック油通路66に供給され、ロック解除を実行する。遅角室42の油は、遅角路71→第3ポート103→第3溝403→第2孔302→中空室84→吐出口80を介してオイルパン75に排出される。第1経路77から進角室43に向かう油は、第1経路77の給油通路77m→第4ポート104→第4溝404および第5溝405→第5ポート105、進角路72を介して供給され、進角室43には油が供給される。
【0051】
図9は中間位相保持制御時の油圧制御弁76(スプール85のストロークP3)を示す。図9に示すように、オイルポンプ70の油は、第2経路78の給油通路78m→第2ポート102→第2溝402→第1ポート101を介してロック油通路66に供給される。これによりロック油通路66の油圧によりロック解除されている。遅角室42に繋がる第3ポート103と、進角室43に繋がる第5ポート105,第6ポート106とは閉鎖されているため、遅角室42および進角室43に対する油の供給および排出は停止されている。
゛図10は遅角制御時の油圧制御弁76(スプール85のストロークP4)を示す。図10に示すように、オイルポンプ70の油は、第2経路78の給油通路78m→第2ポート102→第2溝402→第1ポート101を介してロック油通路66に供給される。これによりロック油通路66の油圧によりロック解除されている。図10に示すように第1経路77の給油通路77mの油は、第4ポート104→第4溝404→第3ポート103→遅角路71を介して遅角室42に供給される。進角室43の油は、進角路72→第5ポート105→第3孔303→中空室84→吐出口80→排出路75cを介してオイルパン75にドレイン排出される。ここでスプール85のストロークについてはP1<P2<P3<P4に設定されている。
【0052】
なお油圧制御弁76の内部構造は図7〜図10に限定されるものではなく、油圧制御弁76に要請される制御形態に応じて適宜変更できる。
【0053】
本実施例では、図26に示すように、油圧制御弁76のソレノイド87に導線を経て給電する制御手段として機能するECU9が設けられている。ECU9はプログラムを格納したメモリ90(RAM、ROM)、CPU91、入力処理回路92、出力処理回路93を内蔵する。メモリ90は、ロック解除させる遠心力が発生するときのエンジン回転数(N1またはN2)よりも低い敷居値回転数Nc1及びNc2を格納しており、敷居値記憶手段として機能できる。CPU91は、敷居値回転数をメモリ90から読み込んで採択する敷居値採択手段として機能できる。
【0054】
ECU9には、クランクシャフトのカム角を検知するカム角センサ90a、クランクシャフトの位相を検知するクランクシャフト位相を検知するクランク角センサ90b、車速を検知する車速センサ90c、エンジンの冷却水の水温センサ90d、エンジンの油の油温センサ90e、エンジンの回転数を検出する回転数センサ(エンジン回転数検出手段)90f、スロットル開度センサ90g、IGキースイッチ90k等の各種センサの検出信号が入力される。カム角センサ90aで求めたカム角と、クランク角センサ90bで求めたクランク角とにより、ハウジング20およびロータ1の実際の相対回転位相を知ることができる。従って、カム角センサ90aとクランク角センサ90bとは、ハウジング20およびロータ1の実際の相対回転位相(=ベーン5の実位相)を検出するVVTセンサとして機能できる。
【0055】
(エンジン回転数の敷居値の採択)
図27は敷居値回転数の採択形態を示す。図27の横軸はエンジン回転数を示し、図27の縦軸はエンジン回転数の増加に伴い増加する遠心力と、バネ61のスプリング力とを示す。図27の特性線X1に示すように、バネ61のスプリング力はエンジン回転数が変動しても基本的には一定である。図27の特性線X2に示すように、ロック部6,6Bに作用する遠心力はエンジン回転数の増加につれて増加する。ロック部6,6Bに作用する遠心力がバネ61のスプリング力を越えると、遠心力がスプリング力に打ち勝ち、ロック部6,6Bが遠心方向に移動してロック解除される。このようにロック部6,6Bが遠心力でロック解除されるときのエンジン回転数をN1として示す。図27の領域KAは、エンジン回転数が高く、ロック部6,6Bに作用する遠心力がバネ61のスプリング力を越えてこれに打ち勝つため、ロック部6,6Bが遠心方向に移動してロック解除される領域を示す。ファーストアイドル状態におけるエンジン回転数をNaとして示す。ファーストアイドル(Fast Idle)状態は、アイドル状態においてエンジン回転数を高め、運転性または暖機性の向上を図る状態を意味する。
【0056】
前記した敷居値として機能する敷居値回転数Nc1は、回転数Naと回転数N1との間に設定されており、つまり、回転数Naを越え且つ回転数N1未満の間に設定されている。敷居値回転数Nc1はメモリ90の所定のエリアに格納されている。低回転数領域でロック解除したいときには敷居値回転数Nc1を回転数Na側に設定する。高回転数領域でロック解除したいときには敷居値回転数Nc1を回転数N1側に設定する。
【0057】
ところで、相対回転位相をロック部6,6Bでロックしている状態のとき、遅角室42または進角室43のいずれか一方に油が供給されていると共に、他方はドレインされている制御を実行することができる。この場合、遅角室42または進角室43のいずれか一方の油圧がベーン5に作用するため、図30に模式的に示すように、ベーン5を回転させる方向に回転付勢力PAが作用する。この結果、相対回転位相をロックしている状態のロック部6と相手壁面との間にも摩擦抵抗力PBが作用する。ロック部6Bについても同様である。このようにロック部6,6Bに作用する摩擦抵抗力PBは、ロック部6,6Bをロック解除方向へ作動するときの抵抗として働く。摩擦抵抗力PBが増加するほど、ロック保持力Pは増加するため、エンジン回転数が高回転となり遠心力が大きくなってもロック部6,6Bは遠心方向に外れにくくなる。ロック部6,6Bをロック状態に保持するロック保持力Pは、基本的には、ロック方向に付勢するバネ61のスプリング力と、摩擦抵抗力PBに起因する抵抗との和である。このようにロック保持力Pがロック部6,6Bに作用する場合、遠心力でロック部6,6Bがロック解除されるときのエンジン回転数は高くなる。このようにロック保持力Pが作用するときにおいて、ロック部6,6Bをロック解除できるエンジン回転数をN2とする。一般的にはN2はN1よりも高いため、ロック保持力Pがロック部6,6Bに作用するときには高回転数領域においてもロック状態を維持することが可能となる。
【0058】
図28は上記したロック保持力Pが作用するときにおける敷居値回転数の採択形態を示す。図28の横軸はエンジン回転数を示し、図28の縦軸はエンジン回転数の増加に伴い増加する遠心力の変化と、ロック保持力Pの変化とを示す。バネ61のスプリング力はエンジン回転数が変動しても基本的には一定である。図28の特性線X2に示すように、ロック部6,6Bに作用する遠心力は、エンジン回転数の増加につれて増加する。図28の特性線X3に示すように、ロック保持力Pはエンジン回転数が増加するつれて次第に増加する。エンジン回転数が増加するにつれて油圧が増加し、摩擦抵抗力PBが増加するためである。但し、エンジン回転数がX4を越えたあたりから、油圧回路7における図略のリリーフバルブのリリーフ作用が働くため、遅角室42,進角室43に供給される油圧はほぼ飽和し、ロック保持力Pの上昇は小さくなる。
【0059】
図28の領域KBは、ロック部6,6Bに作用する遠心力がロック保持力Pを越えるため、ロック部6,6Bが遠心方向に移動して遠心力でロック解除される領域を示す。このようにロック保持力Pがロック部6,6Bに作用する状態において遠心力でロック解除されるときのエンジン回転数をN2として示す。ファーストアイドル状態におけるエンジン回転数をNaとして示す。前記した敷居値として機能する敷居値回転数Nc2は回転数Naと回転数N2との間に設定されており、つまり、回転数Naを越え且つ回転数N2未満の間に設定されている。敷居値回転数Nc2はメモリ90のエリアに格納されている。低回転領域でロック解除したいときには、敷居値回転数Nc2を回転数Na側に設定する。高回転領域でロック解除したいときには、敷居値回転数Nc2を回転数N2側に設定する。
【0060】
なお本実施例によれば、ECU9が実行する制御形態に応じて、敷居値回転数Nc2と敷居値回転数Nc1との双方を用い、敷居値回転数Nc2と敷居値回転数Nc1との双方に応じて相対回転位相のロック解除を行うこともできる。
【0061】
エンジン温度により油の粘性は変化するため、敷居値回転数Nc(Nc1及びNc2)はエンジンの温度状態に応じて補正されている。即ち、図29はエンジンの冷却水の水温と敷居値回転数Nc(Nc1及びNc2)との関係を示す。エンジンの冷却水の水温が低くなるにつれて、油の粘性が高くなるため、摩擦抵抗力PBが増加するため、敷居値回転数Nc(Nc1及びNc2)を大きく設定する。これに対してエンジンの冷却水の水温が高くなるにつれて、敷居値回転数Nc(Nc1及びNc2)を小さく設定する。冷却水に代えて、油の温度にしても良い。なおエンジン温度に応じて、敷居値回転数Ncを演算式で補正しても良い。
【0062】
(ロックに関する制御形態)
本実施例に係るECU9が行うロック制御形態について説明する。ロック制御形態Aはロック解除判定処理についてである。図30を参照して説明する。エンジン始動の際には、相対回転位相はロック状態に保持されている。走行に伴い次第にエンジン回転数が高くなる。図30に示すように、実行すべき制御形態に応じて敷居値回転数Nc(Nc1またはNc2)をメモリ90から読み込み、採択する(ステップS102,敷居値採択手段)。更に現在のエンジンの回転数が回転数センサ90fにより検出されているため、現在の回転数Nrを読み込む(ステップS104,エンジン回転数読み込み手段)。そして現在の回転数Nrと敷居値回転数Nc(Nc1またはNc2)とを比較する(ステップS106,比較手段)。
【0063】
エンジンの現在の回転数Nr(Nc1またはNc2)が敷居値回転数Ncを越えていれば、ステップS108に進み、中間位相保持制御(図4参照)の実行を要求する要求フラグをオンにする。更にロック解除制御を実行し(ステップS110)、メインルーチンにリターンする。このロック解除制御は、油圧制御弁76によりロック油通路66に油を送給し、ロック部6,6Bを遠心方向に移動させてロック解除を行う操作を含む。
【0064】
ステップS106において現在の回転数Nrが敷居値回転数Nc(Nc1またはNc2)を越えていなければ、ステップS120に進み、エンジン冷却水の温度がB℃以上であるか否か判定する。エンジン冷却水の温度がB℃以上で水温が高ければ、エンジン始動後C秒以下か否か判定する(ステップS122)。エンジン始動後C秒を経過していれば、エンジン冷却水の温度も高く、エンジン油圧も安定しているため、ロック解除制御を実行する(ステップS110)。エンジン始動後C秒経過していなければ、エンジン油圧も十分に安定していないため、相対回転位相のロック状態を維持させるロック状態制御を実行する(ステップS124)。ロック状態制御では、相対回転位相(ベーン5)を中間位相に合わせると共にロック油通路66の油をドレインさせ、バネ61のバネ力でロック部6,6Bのロック体60を径内方向つまりロック方向に移動させ、相対回転位相のロックを行う。ステップS120での判定の結果、エンジン冷却水の温度がB℃未満で水温が低ければ、エンジンが充分に暖まっておらず、ロック解除を行うには充分ではないため、ステップS124に進み、相対回転位相のロック状態を維持するロック状態制御を実行する。
【0065】
前述したように遠心力でロック解除されるときには、ロック部6,6Bに作用する遠心力がスプリング力に打ち勝つ必要がある。ロック部6,6Bをロック方向に付勢するバネ61は大量生産を前提とする工業製品であり、スプリング力の過剰高精度化には限界がある。このためロック部6,6Bに作用する遠心力がバネ61のスプリング力に打ち勝つタイミングを高精度に設定するには限界がある。故に遠心力のみに頼り、遠心力がバネ61のスプリング力に打ち勝つときロック解除する場合には、精密なロック解除制御には限界がある。この点本実施例によれば、エンジンの現在の回転数Nrが敷居値回転数Nc(Nc1,Nc2)を越えていれば、ロック解除制御を実行するため、バネ61のスプリング力の過剰高精度化を回避するのに有利である。
【0066】
ロック制御形態Bによれば、ステップS110に示すロック解除制御は、ロック部6,6Bを遠心方向に移動させてロック解除を行う第1操作の他に、第2操作を含む。第2操作によれば、ECU9は、検出された実際のエンジン回転数Nrが敷居値回転数Ncを越えてロック解除されたとき、ロック解除状態のままで、相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に、遅角室42及び進角室43の油圧で保持する指令を出力する。この場合、遅角室42及び進角室43に油を満たした状態で、遅角室42及び進角室43に連通するポートを閉鎖する。この場合、遅角室42及び進角室43の油圧を、カムフリクションに対抗する油圧差となるように与えることが好ましい。またトーションスプリング等によりカムフリクションと同等の付勢力がある場合には、遅角室及び進角室の油圧は同じ程度とすれば良い。この結果、相対回転位相が最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロック解除状態で油圧で保持されるため、次の制御のとき、相対回転位相を遅角方向または進角方向に迅速に移動させることができる利点が得られる。更に、既に相対回転位相のロック状態が解除されているため、エンジン回転数に依存することなく、相対回転位相を中間位相に安定的に保持することができる利点が得られる。
【0067】
ロック制御形態Cによれば、ステップS110に示すロック解除制御は、ロック部6,6Bを遠心方向に移動させてロック解除を行う操作の直前に、次の予備操作を行う。即ち、ECU9は、ロック解除する直前に、遅角室42及び進角室43の油圧でロック状態のまま相対回転位相(ベーン5)を中間位相に保持する指令を出力する。具体的には、遅角室42及び進角室43に油を満たした状態で、油圧制御弁76のうち遅角室42及び進角室43に連通するポートを閉鎖する。この場合、遅角室42及び進角室43の油圧を同じ程度にする。この結果、ロック解除するときカム変動トルクの影響があったとしても、ベーン5のがたつきが効果的に抑えられる。ひいては相対回転位相(ベーン5)をロック解除状態において中間位相に高い位置精度で保持するのに有利となる。
【0068】
またロック制御形態Dによれば、ロック部6,6Bがロック方向に移動して相対回転位相が中間位相でロックされているとき、ECU9は、遅角室42及び進角室43をドレインすると共にロック油通路66をドレインする指令を出力する。この場合、遅角室42、進角室43、ロック油通路66の三者がドレインされるため、相対回転位相のロック状態が油の供給なしで可能となり、給油手段である油ポンプ70の負荷を軽減できる。またロック油通路66もドレインされているため、ロック部6,6Bを作動させるロック油通路66の油圧が遅角室42や進角室43等の圧力変動を受けることを極力避けることができ、ロック部6,6Bの誤作動を避けるにも有利である。
【0069】
以上は相対回転位相のロックに関する制御であるが、本実施例によれば、エンジンを停止させるときに以下のような制御を行うことができる。
【0070】
(エンジンを停止させるときの制御形態)
エンジンを停止させる場合について説明を加える。一般的にはアイドリング状態において運転者がイグニッション(IG)キースイッチ90k(エンジン停止指令手段)を操作してエンジンを停止させる。この場合、エンジン停止信号がECU9に入力される。アイドリング状態では、本実施例によれば、相対回転位相は遅角制御状態に維持されつつ、遅角室42および進角室43への油の供給および排出は停止されている。エンジン停止信号に基づいて、ECU9は油圧制御弁76を制御して遅角室42および進角室43の油をドレインさせて排出させると共に、ロック油通路66の油を排出させる。この結果、エンジンが停止するとき、カム変動トルクによりベーン5が所定の距離で往復移動するため、つまりハウジング20およびロータ1の相対回転位相が往復移動する。このため、相対回転位相がロック位相である中間位相の到達したとき、ロック部6,6Bがロック方向に自動的に移動してロックされる。この結果、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相は中間位相にロックされる。このため次回に始動させるとき、エンジンの始動性が良好となるように設定されている中間位相で始動させることができる。この場合、遅角室42および進角室43の油をドレインさせているため、遅角室42および進角室43は空または空に近い状態とされており、ベーン5の移動を迅速に行ない得、ロックまでの時間を短縮できる。
【0071】
本実施例によれば、エンジンを停止させるときには、ECU9は以下述べる制御形態を実行できる。図11はエンジンを停止させるとき、ECU9が実行する制御形態1のタイミングチャートを示す。図11に示すように、アイドリング状態において運転者により運転席のIGキースイッチ90k(IG/SW)が操作されると、エンジン停止信号AがECU9に入力される。するとエンジン回転数は特性線Bに示すように次第に低下すると共に、油ポンプ70の回転数が低下するため、エンジン油圧が次第に低減する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号Cを油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号Cは、遅角室42及び進角室43の両方をドレインすると共にロック油通路66をドレインする主ドレイン操作を実行する信号である。即ち、ソレノイド87への給電量を0とし、油圧制御弁76を主ドレイン制御位置W1(図6参照)とする信号である。これにより遅角室42、進角室43、ロック油通路66の三者をドレインする方向にスプール85は移動する。この結果、前述したように、遅角室42及び進角室43の両方をドレインさせ、且つ、ロック油通路66をドレインさせる。すると、遅角室42および進角室43が空または空に近い状態となり、エンジンが停止するときのカム変動トルクにより相対回転位相(ベーン5)が所定の距離で迅速に往復移動することができるため、この結果、相対回転位相が中間位相になったときロック部6,6Bがロック方向に自動的に移動して迅速にロックされる。なお、図11の特性線Dの波形D1はベーン5がカム変動トルクにより所定距離往復移動することを意味する。
【0072】
図12は、相対回転位相(ベーン5)が遅角側にある場合にエンジンを停止させるとき、ECU9が実行する制御形態2のタイミングチャートを示す。ベーン5の位相は前述したようにVVTセンサで検出できる。図12に示すように、アイドリング状態において運転者によりIGキースイッチ90kが操作されると、エンジン停止信号A2がECU9に入力される。するとエンジン回転数は特性線B2に示すように次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号C2を油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C2は、遅角室42、進角室43、ロック油通路66をドレインする主ドレイン操作を実行する信号である。具体的には、制御信号C2は、相対回転位相を進角方向に移動させる進角制御を実行する制御信号C21と、その後に遅角室42及び進角室43を両ドレインさせると共にロック油通路66をドレインさせる主ドレイン操作を実行する制御信号C22とを含む。これによりスプール85はまず信号C21に基づいて進角制御を行ない、遅角位相側の相対回転位相(ベーン5の位相)を進角方向に移動させる。このように主ドレイン操作の前に、遅角位相側の相対回転位相(ベーン5)が進角方向に移動すれば、ロック位置である中間位相にそれだけ近づくことができるため、ロックに要する時間を短縮化させ得る。次に信号C22に基づいて、遅角室42、進角室43、ロック油通路66をドレインする。このように遅角室42、進角室43、ロック油通路66の油をドレインさせて排出させれば、遅角室42および進角室43が空または空に近い状態となり、エンジンが停止するときのカム変動トルクにより相対回転位相(ベーン5)が所定の距離で迅速に往復移動できるため、つまりハウジング20およびロータ1の相対回転が容易に生じるため、相対回転位相(ベーン5の位相)が中間位相のときロック部6,6Bがロック方向に移動して迅速にロックされる。
【0073】
更に図12に示す制御について説明を加える。図6から理解できるように、相対回転位相(ベーン5)が遅角位相W6(アイドリング状態)にあるときエンジン停止信号が出力された場合、ソレノイド87に給電する給電量を0とすると、進角制御位置W2を通過した後に主ドレイン位置W1に到達する。このようにエンジン停止信号に基づいて主ドレイン操作を実行するためスプール85がドレイン制御位置W1に向けて移動するとき、進角制御位置W2を途中で通るときには、相対回転位相(ベーン5)が進角方向に動いてしまうノイズが発生する。このため、エンジン停止信号に基づいて相対回転位相(ベーン5)を中間位相に移動させてロックする際、ECU9は、ロックする場合の相対回転位相の目標値を中間位相から(中間位相−α1)に変更する。−α1は、相対回転位相(ベーン5の位相)が遅角方向に向かう設定値を意味し、実験的また設計的に選択できる。これにより進角方向へのノイズと−α1とが相殺されまたは実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑えられる。この結果、エンジン停止の際に、相対回転位相(ベーン5の位相)がロック位置である中間位相に迅速に到達することができ、ロック部6,6Bによるロックを迅速に実行することができる。換言すれば、カム変動トルクに基づいてベーン5が往復移動する回数を低減させ得る。図12において特性線D2の波形D21は、ベーン5の往復移動回数が少ないことを示す。
【0074】
図13は、相対回転位相(ベーン5)が進角側にある場合にエンジンを停止させるとき、ECU9が実行する制御形態3のタイミングチャートを示す。図13に示すように、運転者によりIGキースイッチ90kが操作されると、エンジン停止信号A3がECU9に入力される。するとエンジン回転数は特性線B3に示すように次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号C3を油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C3は、相対回転位相(ベーン5)を遅角方向に移動させる遅角制御を実行する制御信号C31と、遅角室42及び進角室43を両ドレインすると共にロック油通路66をドレインする主ドレイン操作を実行する制御信号C32を含む。このように遅角室42、進角室43、ロック油通路66の油を排出させれば、エンジンが停止するときカム変動トルクにより、相対回転位相(ベーン5)が所定の距離で往復移動するため、相対回転位相がロック位置である中間位相に至ったとき、ロック部6,6Bがロック方向に自動的に移動してロックされる。図13において特性線D3の波形D31は、ベーン5の往復移動回数が少ないことを示す。なお、図13に示す制御形態においては、進角位相にある相対回転位相(ベーン5)を、主ドレイン操作の前に、遅角方向へ向けて移動させるため、相対回転位相(ベーン5)はロック位置である中間位相に迅速に迅速に近づくことができ、ロックに要する時間を短縮できる。
【0075】
図6から理解できるように、ベーン5が進角位相W8にあるときエンジン停止信号が出力され、ソレノイド87に給電する給電量を0とすると、スプール85は、進角制御位置W2の期間を少しを通過した後に主ドレイン位置W1に到達する。このようにスプール85がドレイン制御位置W1に向けて移動するとき、進角制御位置W2を少し通る場合には、相対回転位相(ベーン5)が進角方向に動いてしまうノイズが発生する。このため、エンジン停止信号に基づいて相対回転位相を中間位相(エンジン始動性良好位置)に移動させてロックする際、ECU9は、相対回転位相の目標値を中間位相から(中間位相−α2)に変更する指令を油圧制御弁76に出力する。この結果、進角方向へのノイズと−α2とが相殺されまたは実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑えられる。この結果、エンジンを停止させる際に、相対回転位相(ベーン5)がロック位置である中間位相に迅速に到達することができ、ロック部6,6Bによるロックを速やかに実行することができる。換言すれば、カム変動トルクに基づいて相対回転位相(ベーン5)が往復移動する回数を低減させ得る。なお、−α2は相対回転位相(ベーン5)が遅角方向に向かう設定値を意味する。なおα2は前記したα1よりも小さく設定されている。
【0076】
図14は、ベーン5が遅角側にあるときエンジンを停止させる制御形態4のタイミングチャートを示す。図14に示すように、アイドリング状態において運転者によりIGキースイッチ90kが操作されると、エンジン停止信号A4がECU9に入力される。するとエンジン回転数は特性線B4に示すように次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低減する。エンジン停止後には油ポンプの回転数も低下するため、エンジン油圧は低下するので、ロック部6,6Bのロック作動の遅れは好ましいものではない。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号C4を油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C4は排出促進制御を実行するものであり、進角制御およびロック油通路66の排出の双方を実行する制御信号C41と、遅角室42及び進角室43を両ドレインすると共にロック油通路66をドレインする主ドレイン操作を実行する制御信号C42とを含む。制御信号C41は、進角制御の他にロック油通路66の油排出も併せて実行するため、図14の比較例における排出特性EX(制御信号C41が進角制御のみ実行する場合)に比較して、図14の特性線E4に示すようにロック油通路66の油を迅速に排出することができ、ロック油圧を迅速に低減させ得、ロック部6,6Bのロック方向への作動を迅速に実行することができ、エンジン停止の際に、相対回転位相を中間位相に迅速にロックさせるのに有利である。エンジン停止信号により主ドレイン操作が実行されるとき、ロック油通路66に油が残留していると、ロック部6,6Bのロック方向への作動が遅れるおそれがあるが、上記したように排出促進制御を行えば、対処できる。
【0077】
図15は、ベーン5が遅角側にあるときエンジンを停止させる制御形態5のタイミングチャートを示す。図15に示すように、アイドリング状態において運転者によりIGキースイッチ90kが操作されと、エンジン停止信号A5がECU9に入力される。するとエンジン回転数は特性線B5に示すように次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号C5を油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C5は排出促進制御を実行するものであり、遅角室42、進角室43、ロック油通路66を瞬間的にドレインする制御信号C51と、進角制御およびロック油通路66の排出を実行する制御信号C52と、遅角室42及び進角室43をドレインすると共にロック油通路66をドレインする主ドレイン操作を実行する制御信号C53を含む。制御信号C51,C53の制御量(ソレノイド87への給電量)は同一である。制御信号C51の入れ込み時間はTで示され、瞬間時間である。このようにすれば、エンジン停止信号が出力されたとき、図15の特性線E5に示すように、ロック油通路66の油を迅速に排出することができ、ロック部6,6Bのロック方向への作動の遅れが抑えられ、相対回転位相を迅速にロックさせるのに有利である。
【0078】
エンジン温度、冷却水温度が低いときには、油の粘性が高く、ロック油通路66からの油の迅速排出性が制約され、ロック部6,6Bのロック方向への作動が遅れるおそれがある。そこで図16に示す制御形態6によれば、エンジン油の油温に応じて、油圧制御弁76に対する制御量の一つである入れ込み時間Tを補正する。即ち、エンジン油の油温が高いほど入れ込み時間Tを少な目とする。エンジン油の油温が低いほど入れ込み時間Tを長めとする。これにより油の粘性の変動に対して対処できる。エンジン油の油温に代えて、エンジンの冷却水温度としても良い。
【0079】
前記したように油の排出性は油の温度に影響される。エンジン温度が低いときには、油の粘性が高く、ロック油通路66からの油の排出性が制約されるおそれがある。そこで図17に示す制御形態7によれば、エンジン温度に応じて、スプール85の制御量(給電量、制御時間等)を可変としている。即ち図17の特性線F1に示すように、エンジンの油温(またはエンジンの冷却水の水温)が敷居値温度よりも低くなるにつれて、油圧制御弁76に対する制御量を増加させてポートの開口を確保する補正を実行する。またエンジンの油温(またはエンジンの冷却水の水温)油温が敷居値温度よりも高くなるにつれて、油圧制御弁76に対する制御量を増加させている。油温が高いと油の粘性が高く、油漏れを考慮したものである。
【0080】
ロック位置である中間位相よりも相対回転位相の位置(ベーン5の位置)が遠く離れているときには、相対回転位相の位置(ベーン5)をロック位置である中間位相まで移動させる距離が増加する。そこで、図18に示す制御形態8によれば、相対回転位相(ベーン5)の目標値を(中間位相−α)に設定しつつ、相対回転位相の位置(ベーン5の位置)が中間位相よりも遅角方向において遠くなるにつれて、特性線F2に基づいて、遠くなる距離に応じてスプール85の制御時間(油圧制御弁76のポートを開放させる時間)を長くさせる。また相対回転位相の位置(ベーン5の位置)が中間位相よりも進角方向において遠くなるにつれて、特性線F3に基づいて、遠くなる距離に応じてスプール85の制御時間(油圧制御弁76のポートを開放させる時間)を長くさせる。
【0081】
図19はクランク角に対するエンジンのカム変動トルクの変化を示す。V1はカム変動トルクの平均値を示す。カム変動トルクの平均値V1は遅角方向への付勢力をもつ。本実施例に係る弁開閉時期制御装置では、ベーン5を進角方向に常時付勢するトーションコイルバネで形成されたベーン付勢バネ27(図1参照)がロータ1とハウジング20との間に設けられている。内燃期間の運転中においてはカムシャフトのカムが内燃期間の弁を押し上げて開くため、ベーン5を常に遅角方向に付勢する力が作用している。このためベーン5を常に進角方向に付勢するベーン付勢バネ27が設けられており、作動応答性が確保されている。
【0082】
このため制御形態8によれば、ベーン付勢バネ27の付勢力は、遅角方向に付勢するカム変動トルクの平均値V1と対応するように設定されている。即ち、ベーン付勢バネ27の付勢力の平均値は、遅角方向に付勢するカム変動トルクの平均値V1の大きさと同じか、あるいは、ほぼ同じ程度に設定されている。換言すれば、ベーン付勢バネ27の付勢力の平均値は、遅角方向に付勢するカム平均トルク値V1の大きさに対してプラスマイナス20%以内、殊にプラスマイナス10%以内に設定されている。
【0083】
以上説明したように本実施例によれば、ロック油通路66に繋がる第2経路78は第1経路77に対して独立しているため、ロック部6,6Bを作動させるとき、カム変動トルクに起因する遅角室42および進角室43の油の圧力の変動の影響をできるだけ抑えることができる利点が得られ、ロック部6,6Bを良好に作動させ得る。
【0084】
本実施例によれば、エンジン停止信号に基づいて相対回転位相を中間位相にロックする際に、遅角室42および進角室43の双方の油を排出すると共にロック油通路66の油を排出する主ドレイン操作を油圧回路7に実行させる。このようにエンジン停止に基づいてエンジンを停止させるときに主ドレイン操作を実行するため、遅角室42や進角室43の双方の油の排出性を高め得る。このため、エンジン停止信号が出力されたとき、遅角室42および進角室43が迅速に空または空に近い状態となる。故に、エンジン停止信号に起因して油圧が低下する場合であっても、ハウジング20およびロータ1の相対回転位相(ベーン5)の往復移動を迅速に実行することができ、相対回転位相(ベーン5の位相)をカム変動トルクにより中間位相に迅速に到達させてロックさせ易い利点が得られる。更にエンジン停止信号が出力されたとき、ロック油通路66をドレインさせて油の排出性を高めるため、ロック部6,6Bを迅速に作動させることができる。
【0085】
上記したように本実施例によれば、エンジン停止信号に基づいてエンジンが停止されたため、エンジン油圧が低下するときであっても、ハウジング20及びロータ1の相対回転位相を中間位相に良好にロックさせることができ、エンジンの始動性を確保できる。
【0086】
なお本実施例によれば、運転者によるIGキースイッチ90の操作によりエンジンを停止させるのではなく、エンジンストールで停止した場合には、相対回転位相が中間位相にロックされていないおそれがある。この場合、エンジンを再始動させる際、カム変動トルクによりハウジング20及びロータ1の相対回転位相が生じて時点で、相対回転位相が中間位相に移動してロックされるため、エンジン始動性は確保される。
【0087】
(他の実施例)
第2実施例及び第3実施例について以下説明する。第2実施例及び第3実施例においても、前述したように、エンジン回転数検出手段で検出される現在のエンジン回転数が敷居値Ncを越えるとき、ロック油通路66に対して油の供給を実行することによりロック解除させる制御が実行される。第2実施例は第1実施例と基本的には同様の構成である。第2実施例は第1実施例と基本的には同様の作用効果を奏する。図20(A)は第2実施例で用いる油圧回路7の油圧制御弁76の作動状況を模式的に示す。図20(A)に示すように、横軸は油圧制御弁76のソレノイド87への給電量、つまりスプール85のストロークを示す。給電量が0のときには、進角室43はドレイン、遅角室42はドレイン、ロック油通路66はドレインとされており、このため進角室43、遅角室42およびロック油通路66の三者のドレインを実行する主ドレイン操作を実行できる。図20については、遅角室42については、油圧制御弁76のソレノイド87への給電量が増加してスプール85が移動するにつれて、遅角室42のドレイン、遅角室42の閉じ、遅角室42への油供給、遅角室42の閉じ、遅角室42のドレインに設定されている。進角室43については、油圧制御弁76のソレノイド87への給電量が増加するにつれて、進角室43のドレイン、進角室43の閉じ、進角室43への油供給に設定されている。ロック油通路66については、油圧制御弁76のソレノイド87への給電量が増加するにつれて、ロック油通路66のドレイン、ロック油通路66の閉じ、ロック油通路66への油供給に設定されている。換言すると、油圧制御弁76は、スプール85の移動に伴い主ドレイン操作を実行する油圧制御弁76を有する形態を採用できる。
【0088】
即ち、図20(A)に示す油圧制御弁76は、相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角制御位置W4、相対回転位相を中間位相に保持する中間位相保持制御位置W3、相対回転位相を進角方向に移動させる進角制御位置W2、主ドレイン操作を実行する主ドレイン制御位置W1を有しており、これらの位置W1〜位置W4をスプール85の移動に伴って切り替える構造である。
【0089】
図20(A)から理解できるように、相対回転位相(ベーン5)が進角位相W9にある場合、エンジン停止信号が出力され、ソレノイド87に給電する給電量を0とするとき、遅角制御位置W4を通過した後に主ドレイン位置W1に到達する。このようにエンジン停止信号に基づいて主ドレイン操作を実行するためスプール85がドレイン制御位置W1に向けて移動するとき、遅角制御位置W4を途中で通る場合には、相対回転位相(ベーン5)が遅角方向に動いてしまうノイズが発生する。このため、エンジン停止信号に基づいて相対回転位相を中間位相に移動させてロックさせる際、ECU9は、相対回転位相の目標値を(中間位相+α)とする。+αは、相対回転位相(ベーン5)が進角方向に向かう設定値を意味し、実験的または設計的に選択できる。これにより進角方向へのノイズと+αとが相殺されまたは実質的に相殺され、前記したノイズの影響が抑えられる。この結果、エンジンを停止させる際に、エンジン油圧が大きく低下する前に、ロック位置である中間位相に相対回転位相(ベーン5)が迅速に到達することができ、ロック部6,6Bをロック方向に移動させる作動を迅速に実行することができる。
なお図20(B)に示す作動状況としても良い。
【0090】
上記した油圧制御弁76は、ロック油通路66をドレインを実行するとき、遅角室42および進角室43の双方をドレインさせ得る両ドレインタイプのものである。しかし両ドレインタイプの油圧制御弁76に限定されるものではなく、第3実施例のように、ロック油通路66のドレインを実行するとき、遅角室42および進角室43のうちのいずれか一方のみをドレインさせ得る片ドレインタイプのものでも良い。
【0091】
第3実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、第3実施例は図1〜図5を準用することができる。第3実施例は第1実施例と基本的には同様の作用効果を奏する。図21は第3実施例の形態1で用いる油圧回路7の油圧制御弁76Dの作動状況を模式的に示す。油圧制御弁76Dは、ロック油通路66のドレインを実行するとき、遅角室42および進角室43のうちのいずれか一方のみをドレインさせ得る片ドレインタイプである。図21に示すように、横軸は油圧制御弁76Dのソレノイド87への給電量、つまりスプール85のストロークを示す。給電量が0のときには、進角室43の進角油圧はドレイン、遅角室42の遅角油圧は供給、ロック油通路66のロック油圧はドレインとされており、主ドレイン操作を実行できる。進角室43については、油圧制御弁76Dのソレノイド87への給電量が増加してスプール85が移動するにつれて、進角室43のドレイン、進角室43の閉じ、進角室43への油供給に設定されている。遅角室42については、油圧制御弁76Dのソレノイド87への給電量が増加するにつれて、遅角室42への油供給、遅角室42の閉じ、遅角室42のドレインに設定されている。ロック油通路66については、油圧制御弁76Dのソレノイド87への給電量が増加するにつれて、ロック油通路66のドレイン、ロック油通路66の閉じ、ロック油通路66への油供給、ロック油通路66の閉じ、ロック油通路66のドレインに設定されている。
【0092】
図22は第3実施例の形態2で用いる油圧回路7の油圧制御弁76Eの作動状況を模式的に示す。油圧制御弁76Eは、ロック油通路66のドレインを実行するとき、遅角室42をドレインさせ得る片ドレインタイプである。図21に示すように、横軸は油圧制御弁76Eのソレノイド87への給電量、つまりスプール85のストロークを示す。給電量が0のときには、進角室43の進角油圧はドレイン、遅角室42の遅角油圧は供給、ロック油通路66のロック油圧は供給とされている。進角室43については、油圧制御弁76Eのソレノイド87への給電量が増加してスプール85が移動するにつれて、進角室43のドレイン、進角室43の閉じ、進角室43への油供給に設定されている。遅角室42については、油圧制御弁76Eのソレノイド87への給電量が増加するにつれて、遅角室42への油供給、遅角室42の閉じ、遅角室42のドレインに設定されている。ロック油通路66については、油圧制御弁76Eのソレノイド87への給電量が増加するにつれて、ロック油通路66への油供給、ロック油通路66の閉じ、ロック油通路66のドレインに設定されている。
【0093】
図23は第3実施例の形態3で用いる油圧回路7の油圧制御弁76Fの作動状況を模式的に示す。油圧制御弁76Fは、ロック油通路66のドレインを実行するとき、進角室43をドレインさせ得る片ドレインタイプである。図21に示すように、横軸は油圧制御弁76Fのソレノイド87への給電量、つまりスプール85のストロークを示す。給電量が0のときには、進角室43の進角油圧はドレイン、遅角室42の遅角油圧は供給、ロック油通路66のロック油圧はドレインとされている。進角室43については、油圧制御弁76Fのソレノイド87への給電量が増加してスプール85が移動するにつれて、進角室43のドレイン、進角室43の閉じ、進角室43への油供給に設定されている。遅角室42については、油圧制御弁76Fのソレノイド87への給電量が増加するにつれて、遅角室42への油供給、遅角室42の閉じ、遅角室42のドレインに設定されている。ロック油通路66については、油圧制御弁76Fのソレノイド87への給電量が増加するにつれて、ロック油通路66のドレイン、ロック油通路66の閉じ、ロック油通路66への油供給に設定されている。
【0094】
図24は、油圧制御弁76Dを用いたときのタイミングチャートを示す。図24は、相対回転位相(ベーン5)が遅角側にあり、アイドリング状態のとき、エンジンを停止させる制御形態のタイミングチャートを示す。図24に示すように、アイドリング状態において運転者によりIGキースイッチ90kが操作されると、エンジン停止信号A7がECU9に入力される。するとエンジン回転数は特性線B7に示すように次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号C7を油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C7は、遅角側にある相対回転位相(ベーン5)を進角方向に移動させる進角制御(進角油圧供給、遅角油圧ドレイン、ロック油供給)と、ロック油通路66の排出との双方を実行するものであり、図21の油圧制御弁76において電流を大とする指令信号である。
【0095】
図25は、油圧制御弁76Dを用いたときのタイミングチャートを示す。図25は、アイドリング状態ではなく、相対回転位相(ベーン5)が中間位相の近傍にあるとき、エンジンを停止させる制御形態のタイミングチャートを示す。図25に示すように、アイドリング状態において運転者によりIGキースイッチ90kが操作されると、エンジン停止信号A8がECU9に入力される。するとエンジン回転数は特性線B8に示すように次第に低下すると共に、エンジン油圧も次第に低減する。この場合、ECU9はスプール85の制御値を含む制御信号C8を油圧制御弁76のソレノイド87に出力する。制御信号C8は、相対回転位相(ベーン5)を進角方向に移動させる進角制御(進角室43に油供給、遅角室42のドレイン、ロック油供給)を実行する信号C81と、その後に遅角制御(進角室43にドレイン、遅角室42に油供給)およびロック油通路66のドレイン排出の双方を実行する信号C82とを含む。
【0096】
ところで上記した弁開閉時期制御装置によれば、相対回転位相(ベーン5)が中間位相に対して一定距離以内にあり、かなり接近しているときには、ロック油通路66の油が排出されてロックが行われる前に、ロック位置である中間位相をベーン5が通過してしまうおそれがある。そこで、相対回転位相(ベーン5)を遅角方向に移動させて中間位相から一旦離す。その後に、逆方向である進角方向に移動させる第1制御をおこなうことができる。あるいは、図25に示すように、相対回転位相(ベーン5)を進角方向に移動させて相対回転位相(ベーン5)を中間位相から一旦離し、その後に、逆方向である遅角方向に相対回転位相(ベーン5)を移動させる第2制御を実行することができる。このように相対回転位相(ベーン5)を、ロック位置である中間位相から一旦離している間に、ロック油通路66から油を排出する時間を確保することができ、ロック油の排出性を高めることができ、ロック部6,6Bの作動を迅速に実行することができる。
【0097】
また上記したように相対回転位相(ベーン5)を一旦進角方向に移動させて中間位相から一旦離した後に、遅角方向に移動させる制御が行われる場合には、べーン5を確実に遅角方向に移動させ得ることが好ましい。しかしエンジン停止に伴い油圧が次第に低下する。このため進角方向にベーン5を常に付勢するベーン付勢バネ27の付勢力を、カム変動トルクの平均値よりも小さく設定することができる。故に油圧が低下しているときであっても、相対回転位相(ベーン5)を遅角方向に移動させることができる利点が得られる。
【0098】
ところで第1実施例〜第3実施例においては、カム変動トルクの大きさは油の粘性に影響される。使用が想定される油のうち、最も粘性が大きい油を用いた場合のカム変動トルクの平均値をFTとする。FTよりも大きい付勢力を有するべーン付勢バネ27を用いることができる。これによりベーン5を迅速に進角方向に付勢させることができ、べーン付勢バネ27の本来の機能を奏することができる。この場合、ベーン5を迅速に進角方向に付勢させることができるものの、これに基づくノイズを相殺することが好ましい。このためエンジン停止信号が出力され相対回転位相を中間位相に移動させる際には、ECU9は、相対回転位相の目標値を(中間位相−α3)に変更する。−α3は相対回転位相(ベーン5)の位相が遅角方向に向かう設定値を意味し、実験的または設計的に選択できる。これによりべーン付勢バネ27に起因する進角方向へのノイズと−α3とが相殺されまたは実質的に相殺される。この結果、ロック位置である中間位相に相対回転位相(ベーン5)が迅速に到達することができ、ロック部6,6Bによるロックを迅速に実行することができる。
【0099】
上記した各実施例では1個の油圧制御弁が設けられているが、これに限らず、遅角路71に対して油の給排を行う油圧制御弁と、進角路72に対して油の給排を行う油圧制御弁とを設けることができる。その他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【0100】
上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、
第1回転部材との間に流体圧室を形成するように第1回転部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一体回転する第2回転部材と、
第1回転部材および/または第2回転部材に設けられ、流体圧室を遅角室および進角室に仕切るベーンと、
遅角室および/または進角室に対して油の供給または排出を実行することにより、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間で移動させる第1経路と、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロックするロック部と、ロック部をロック方向に移動させるバネと、バネに抗してロック部をロック解除方向に作動させるロック油通路とを有する相対回転制御機構とを具備し、エンジン回転数が増加するとバネに抗してロック部に作用する遠心力でロック部がロック解除される弁開閉時期制御装置において、ロック油通路に対して油の供給を実行することによりロック解除させる制御手段とを具備することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
(付記項2)付記項1において、前記制御手段は、ロック解除されている状態において、相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に、遅角室及び進角室の油圧で保持する指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御装置。この場合、ロック解除されている状態において、ベーンのがたつきが抑えられ、ひいては相対回転位相をロック解除状態において中間位相に保持するのに有利となる。このため、次の制御のとき、相対回転位相を遅角方向または進角方向に迅速に移動させることができる利点が得られる。
【0101】
(付記項3)付記項1において、前記制御手段は、ロック解除する直前において、相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に、遅角室及び進角室の油圧で保持する指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御装置。この場合、ロック解除する直前において、相対回転位相を中間位相に遅角室及び進角室の油圧で保持する指令が出力されているため、ベーンのがたつきが抑えられ、ひいては相対回転位相をロック解除状態において中間位相に保持するのに有利となる。このため、次の制御のとき、相対回転位相を遅角方向または進角方向に迅速に移動させることができる利点が得られる。
【0102】
(付記項4)付記項1において、前記相対回転位相が中間位相でロックされているとき、前記制御手段は、遅角室及び進角室をドレインすると共にロック油通路をドレインする指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
【0103】
(付記項5)請求項1〜請求項4のいずれか一項において、前記遅角室および/または前記進角室の油圧の変動の影響を抑えるように前記第1経路に独立して設けられ前記ロック油通路に繋がり前記ロック油通路に対して油の供給および/または排出を実行する第2経路を具備することを特徴とする弁開閉時期制御装置。(付記項6)エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、
第1回転部材との間に流体圧室を形成するように第1回転部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一体回転する第2回転部材と、
第1回転部材および/または第2回転部材に設けられ、流体圧室を遅角室および進角室に仕切るベーンと、
遅角室および/または進角室に対して油の供給または排出を実行することにより、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間で移動させる第1経路と、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロックするロック部を有する相対回転制御機構とを具備し、
エンジン回転数が増加すると前記ロック部に作用する遠心力でロック部がロック解除される弁開閉時期制御装置において、
エンジンの回転数を直接または間接的に検出するエンジン回転数検出手段と、
ロック解除させる遠心力が発生するときのエンジン回転数よりも低いエンジン回転数に関する敷居値を採択する敷居値採択手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が前記敷居値を越えるときにロック解除させる制御手段とを具備することを特徴とする弁開閉時期制御装置。後述の発明の効果が得られる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る弁開閉時期制御装置によれば、エンジン回転数検出手段で検出される実際のエンジン回転数が敷居値を越えるとき、相対回転位相のロック状態が解除される。従って、相対回転位相を中間位相にロック状態に保持したいときにおいて、意図に反して遠心力でロック部が解除されてしまうことを防止できる。
【0105】
更に実際のエンジン回転数が敷居値を越えるとき相対回転位相のロックが解除されるため、ロック部をロック方向に付勢するバネのスプリング力に公差があるときであっても、遠心力のみに頼って相対回転位相のロック解除を行う場合に比較して、精密なロック解除制御を行うのに有利である。
【0106】
更に、次の特定の条件を満足する場合には、以下の効果も期待できる。
(1)ロック油通路に繋がる第2経路が第1経路に対して独立している場合には、ロック部を作動させるとき、カム変動トルクに起因する遅角室および進角室の油の圧力の変動の影響を抑えることができる利点が得られる。更にロック油通路に繋がる第2経路が独立して設けられている場合には、ロック油通路の油の供給性、排出性を高めることができ、ロック部を迅速に作動させることができる。故に、エンジン停止信号に基づいてエンジンが停止されたため、エンジン油圧が低下するときであっても、相対回転位相を中間位相に迅速にロックさせることができ、エンジンの始動性を向上させ得る。
(2)エンジン停止信号に基づいて、遅角室および進角室のうちの一方または双方の油を排出すると共にロック油通路の油を排出する主ドレイン操作を油圧回路に実行させ、実行に伴い前記相対回転位相を中間位相にロックさせる場合には、エンジン停止停止に基づいてエンジンを停止させるとき、遅角室および進角室の一方または双方の油の排出性を高めることができ、遅角室および進角室の一方または双方が迅速に空または空に近い状態となる。よって、エンジン停止に伴い油圧が低下する場合であっても、第1回転部材および第2回転部材の相対回転位相(つまり、ベーンの往復移動)の移動を迅速に実行することができ、ひいては相対回転位相(ベーン)を中間位相に迅速に到達させてロックさせ易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】弁開閉時期制御装置の全体構成図である。
【図2】図1のIIーII線に沿った断面を示し、通常始動時における弁開閉時期制御装置の断面図である。
【図3】進角制御時における弁開閉時期制御装置の断面図である。
【図4】中間位相保持制御時における弁開閉時期制御装置の断面図である。
【図5】遅角制御時における弁開閉時期制御装置の断面図である。
【図6】油圧制御弁のスプールのストロークと作動との関係の代表例を示す工程図である。
【図7】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図である。
【図8】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図である。
【図9】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図である。
【図10】代表的な油圧制御弁の作動を説明する断面図である。
【図11】制御形態1を示すタイミングチャートである。
【図12】制御形態2を示すタイミングチャートである。
【図13】制御形態3を示すタイミングチャートである。
【図14】制御形態4を示すタイミングチャートである。
【図15】制御形態5を示すタイミングチャートである。
【図16】制御形態6を示すグラフである。
【図17】制御形態7を示すグラフである。
【図18】制御形態8を示すグラフである。
【図19】カム変動トルクの変化を示すグラフである。
【図20】油圧制御弁のスプールのストロークと作動との関係を示す工程図である。
【図21】別の部の油圧制御弁の作動を説明する工程図である。
【図22】他の別の油圧制御弁の作動を説明する工程図である。
【図23】別の制御形態を示すタイミングチャートである。
【図24】別の制御形態を示すタイミングチャートである。
【図25】別の制御形態を示すタイミングチャートである。
【図26】ECUのブロック図である。
【図27】敷居値回転数の採択形態を示すグラフである。
【図28】摩擦抵抗を含むロック保持力がロック部に作用するときにおける敷居値回転数の採択形態を示すグラフである。
【図29】敷居値回転数とエンジンの温度状態(冷却水の水温)との関係を示すグラフである。
【図30】ロック解除判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
図中、1はロータ(第1回転部材)、2は第2回転部材、20はハウジング、3はカムシャフト、40は流体圧室、42は遅角室、43は進角室、5はベーン、6,6Bはロック部(相対回転制御機構)、61はバネ、7は油圧回路(相対回転制御機構)、70はオイルポンプ、76は油圧制御弁、77は第1経路(相対回転制御機構)、9はECU(制御手段)、90fは回転数センサ(エンジン回転数検出手段)を示す。
Claims (5)
- エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの一方と一体回転する第1回転部材と、
前記第1回転部材との間に流体圧室を形成するように前記第1回転部材に相対回転可能に嵌合され、エンジンのクランクシャフトまたはカムシャフトのうちの他方と一体回転する第2回転部材と、
前記第1回転部材または前記第2回転部材に設けられ、前記流体圧室を遅角室および進角室に仕切るベーンと、
前記遅角室および/または前記進角室に対して油の供給または排出を実行することにより、前記第1回転部材および前記第2回転部材の前記相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間で移動させる第1経路と、前記第1回転部材および前記第2回転部材の前記相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相にロックするロック部と、前記ロック部をロック方向に移動させるバネと、前記バネに抗して前記ロック部をロック解除方向に作動させるロック油通路とを有する相対回転制御機構とを具備し、
エンジン回転数が増加すると前記バネに抗して前記ロック部に作用する遠心力で前記ロック部がロック解除される弁開閉時期制御装置において、
エンジンの回転数を直接または間接的に検出するエンジン回転数検出手段と、
ロック解除させる遠心力が発生するときのエンジン回転数よりも低いエンジン回転数に関する敷居値を採択する敷居値採択手段と、
前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が前記敷居値を越えるときにロック解除させる制御手段とを具備することを特徴とする弁開閉時期制御装置。 - 請求項1において、前記制御手段は、前記エンジン回転数検出手段で検出されたエンジン回転数が前記敷居値を越えロック解除されている状態のとき、ロック解除状態のままで、前記相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相に、前記遅角室及び前記進角室の油圧で保持する指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
- 請求項1または請求項2において、前記相対回転位相が中間位相で前記ロック部によりロックされているとき、前記制御手段は、前記遅角室及び前記進角室をドレインすると共に前記ロック油通路をドレインする指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
- 請求項1または請求項2において、前記相対回転位相が中間位相で前記ロック部によりロックされているとき、前記制御手段は、前記遅角室及び前記進角室のうちのいずれか一方に油を供給すると共に、前記遅角室及び前記進角室のうちの他方をドレインさせ、ロック解除方向への抵抗となる摩擦抵抗力をロック部に発生させる指令を出力することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
- 請求項1〜請求項4のいずれか一項において、前記敷居値は、アイドル状態のエンジン回転数を越え、且つ、ロック部が遠心力よりロック解除されるエンジン回転数未満に設定されていることを特徴とする弁開閉時期制御装置。
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