JP3831574B2 - セントラル換気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のフロアを有する建物に設けられるセントラル換気装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
図7は、従来のセントラル換気装置の概略模式図を示すものである。従来のセントラル換気装置100 は、一階の天井部分に、強制的に空気の流れを形成する大型の換気ユニット本体110 を一台設置して、建物の全てのフロアの室内の空気を換気するものであった。具体的には、一階の天井部分に位置して強制的に空気の流れを形成する1台の大型の換気ユニット本体110 が一階の天井部分、すなわち二階の床部分に形成されている。
そして、このセントラル換気装置100 は、建物の外部の新鮮な空気を室内に取り入れるために建物の外部から換気ユニット本体110 に連通する外部吸入配管120と、この外部吸入配管120から吸入された空気を換気ユニット本体110を介して建物の室内に供給する室内吸入配管130, 150, 140 とを備えている。そして、この室内吸入配管130, 140, 150 は、一階の室内に空気を供給するための一階用室内吸入配管130 と、二階の室内に空気を供給するための二階用室内吸入配管140 と、この二階用室内吸入配管140 及び一階用室内吸入配管130 を連結する縦連結配管150 とから形成されている。
【0003】
そして、このセントラル換気装置100 、室内の空気を換気ユニット本体110 に吸入するために一階の室内天井から換気ユニット本体110 に向かって通ずる室内排気配管160 と、この室内排気配管160 により室内から吸入された空気を室外に排出するために室外と換気ユニット本体110 との間に通ずる外部排気配管170 とを備えている。
【0004】
しかし、上記した従来のセントラル換気装置100 は、一階と二階との配管の間を連結するための縦方向に延びる縦連結配管150 を形成しなければならなかった。このため、建物の内部に縦連結配管150 を建物内部に通すための配管スペースを必要とし、居住空間がその分だけ狭くなるという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、複数のフロアを有する建物の各フロア毎に独立して換気ユニット本体を設置し、各換気ユニット本体により、当該建物の同一フロアの換気をするようにしたセントラル換気装置(特開平10−160226号公報等参照)が利用できる。
このようなセントラル換気装置によれば、一階と二階との配管の間を連結するための縦方向に延びる縦連結配管が不要となるので、建物の内部に縦連結配管を挿通させるための配管スペースを設ける必要がなくなり、配管スペースにより居住空間が狭くなるといった問題が生じない。
また、建物の外周縁近傍に吹き出し口が設けられ、建物の内側部分に吸入口が設けられているので、風量が少なくとも室内の隅々までくまなく換気ができるという効果も得ることができる。
さらに、物を収納するための室内収納部に吹き出し口を設けているので、吹き出し口が室内収納部の内部に隠蔽され、室内側から見えず、室内の床面、天井面および壁面に開口がなくなり、室内外観を良好なものにすることができるうえ、室内収納部を介して、室内に向かって新鮮な空気が供給されるため、室内収納部の換気も同時に行え、室内収納部の内部を適度な湿度に保つことができ、その収納物にカビが発生することが防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなセントラル換気装置では、平面視で、建物の外周縁近傍に吹き出し口を複数の設け、これらの吹き出し口から吹き出された空気を建物の内側部分に設けた一箇所の吸入口で吸うようにしたので、互いに隣接する部屋の一方から他方へ空気が流れる場合があり、この場合には、一方の部屋で臭気が発生すると、他方の部屋へ臭気が移動し、一時的ではあるが両方の部屋に臭気が感じられるという問題がある。
特に、室内収納部に吹き出し口を設けると、室内収納部内の空気が部屋側へ流出するので、室内収納部内に設置した防虫剤の臭気が部屋の内部で感じられるようになるという問題が発生する。
【0007】
本発明の目的は、建物の一部分で発生した臭気が他の部位へ移動することが抑制されるようになるセントラル換気装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図面をも参照して説明すると、上下に複数のフロアを有する建物1において、当該建物1の各フロア毎に独立して設置された換気ユニット本体20により、当該建物1の同一フロアの換気をするようにしたセントラル換気装置10であって、平面視で、前記建物1の外周縁近傍に設けられた開口43と、平面視で、前記建物1の内側部分に配置され、同一フロアに設けられた各室内と隣接する通路 1G , 2I の天井裏に設けられた開口50とを備え、前記換気ユニット本体20と室外との間を連通する一対の配管30, 60、および、前記換気ユニット本体20と同一フロアに設けられた各室内とをそれぞれ連通する複数の配管40が設けられ、前記各室内に連通する配管40の各々は、前記外周縁近傍の開口43に接続され、前記換気ユニット本体20は、前記通路 1G , 2I の天井裏に設けられる前記内側部分の開口50の上方に設けられ、その内部に送風機が設けられ、かつ、その内部が前記内側部分の開口50を通じて室内側の空間と連通し、前記内側部分の開口50から吹き出した空気を前記外周縁近傍の開口43から吸い込むことにより、各室内の換気を行うようになっていることを特徴とする。
このような本発明によれば、建物1の内側部分に設けた吹き出し口50から新鮮な空気を吹き出すとともに、室内の空気を建物1の外周縁近傍に設けた複数の吸入口43で吸うようにしたので、例えば、吸入口43を各部屋にそれぞれ設置する、あるいは、互いに隣接する部屋の境界部分に吸入口43を設置する等により、一の部屋で発生した臭気は、他の部屋へ移動することなく、その吸入口43に吸入され、互いに隣接する部屋の一方から他方へ空気が流れることがなくなり、建物1の一部分で発生した臭気が他の部位へ移動することが抑制されるようになる。
【0009】
以上のようなセントラル換気装置10において、前記外周縁近傍の開口43は、物を収納するための室内収納部2C,2D,2Fの内部に設けることができる。
このようにすれば、室内の換気を行うのと同時に、室内収納部2C,2D,2F内の換気が行えるようになるため、室内収納部2C,2D,2Fの内部を適度な湿度に保つことができ、その収納物にカビが発生することが防止される。
そのうえ、室内収納部2C,2D,2F内を換気しても、吸入口である開口43が室内収納部2C,2D,2Fの内部に設けられているので、室内収納部2C,2D,2F内に設置した防虫剤の臭気が外部へ漏れ出すことがなく、防虫剤の臭気が室内で感じられることがない。
【0010】
さらに、前述のセントラル換気装置10において、前記一対の配管30,60の一方が建物1の外部の空気を取り入れるための外部吸入配管30とされ、他方が建物1の内部の空気を外部に排気するための外部排気配管60とされ、前記換気ユニット本体20には、外気と排気との全熱を交換する全熱交換器が内蔵されていることが好ましい。
このように外部吸入配管30および外部排気配管60を設ければ、吹き出し口である開口50の位置に応じて、換気ユニット本体20を、平面視で、建物1の内側部分に設けても、外部吸入配管30および外部排気配管60より、換気ユニット本体20と屋外空間とが連通され、その内部に設けられた全熱交換器による熱交換が可能となる。
このため、建物1が、断熱性能および気密性能に優れた高断熱・高気密住宅であり、1日24時間フルに換気運転を行う必要があっても、室内に取り入れる外気と、屋外へ排出する排気との全熱が交換され、屋外へ逃げる熱量が減り、空調エネルギーの損失が最低限に抑制される。
【0011】
また、前述のセントラル換気装置10において、前記換気ユニット本体20および前記配管30,40,60が天井裏に設けられていることが望ましい。
このようにすれば、換気ユニット本体20および配管30,40,60が天井裏に隠蔽され、室内側から見えず、セントラル換気装置10を設けても、室内側から視認できるものが何ら生じないので、室内外観を良好なものにすることができる。
【0012】
さらに、前記したように、前述のセントラル換気装置10において、前記換気ユニット本体20は、平面視で、前記建物の内側部分に設けられた通路1G,2Iの天井裏に設けられていることを特徴とする。
ここで、換気ユニット本体20の下方の開口50から吹き出される空気は、通路1G,2Iを通って各室へ流れるので、通路1G,2Iの天井裏に換気ユニット本体20を設ければ、建物1内の通路1G,2Iには、臭気の発生する要因が少ないので、キッチンや居室等に換気ユニット本体20を設ける場合に比べて、臭気が他の部位へ移動することがより一層抑制されるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1および図2には、本実施形態に係る建物である一戸建て住宅が示されている。住宅1は、断熱性能および気密性能に優れた二階建の高断熱・高気密住宅である。また、住宅1は、各階毎に設けられた換気ユニット本体20により、当該住宅の同一フロアの換気をするようにしたセントラル換気装置10を備えている。
このセントラル換気装置10は、室内と室外との間を連通する筒状の配管と、この配管の内部における強制的な空気の流れを形成する換気ユニット本体20とを備えている。この換気ユニット本体20および配管は、住宅1の同一フロアの換気をするために住宅1の各フロア毎に独立して設けられている。
【0014】
セントラル換気装置10の配管としては、住宅1の外部の空気を室内に取り入れるために、住宅1の外部から換気ユニット本体20まで延び、屋外空間と換気ユニット本体20とを連通する外部吸入配管30と、同一フロアに設けられた各室内の空気を換気ユニット本体20まで搬送するための室内吸入配管40と、換気ユニット本体20から住宅1の外部まで延び、室内の空気を排気するための外部排気配管60とが設けられている。
また、換気ユニット本体20の下面には、室内へ空気を吹き出す吹き出し口50が設けられている。
【0015】
さらに詳述に説明すると、一階には、セントラル換気装置10のとして、一階用換気ユニット本体21と、それに関する一階用の配管とからなる一階用セントラル換気装置11が一階の天井裏に配置されている。
二階には、二階用換気ユニット本体22と、二階用の配管とからなる二階用セントラル換気装置12が二階の天井裏に配置されている。
そして、この一階用セントラル換気装置11と二階用セントラル換気装置12とは、縦方向の配管等により連結されておらず、一階及び二階の各フロア毎に独立して配置され、独立して運転可能に形成されている。
【0016】
一階用セントラル換気装置11は、一階用換気ユニット本体21と、一階用外部排気配管61と、一階用外部吸入配管31と、一階用室内吹き出し口51と、一階用室内吸入配管41とを備えている。
二階用セントラル換気装置12は、二階用換気ユニット本体22と、二階用外部排気配管62と、二階用外部吸入配管32と、二階用室内吹き出し口52と、二階用室内吸入配管42とを備えている。
【0017】
図3には、住宅1の一階部分が示されている。図3において、一階部分には、図中下方にリビング・ダイニングルーム1Aが設けられ、リビング・ダイニングルーム1Aの図中左側上方にキッチン1Bが設けられ、リビング・ダイニングルーム1Aの図中右側上方に玄関1Cが設けられている。そして、玄関1Cの図中上方には、洗面所1Dと、浴室1Eとが設けられいる。キッチン1Bと浴室1Eとの間には、トイレ1Fが設けられ、ことトイレ1Fからリビング・ダイニングルーム1Aへ向かって延びる通路としての廊下1Gが設けられている。廊下1Gおよびキッチン1Bの間に階段室1Hが設けられている。
【0018】
ここで、一階用セントラル換気装置11の換気ユニット本体21は、平面視で、住宅1の内側部分に設けられた廊下1Gの天井裏に設けられている。廊下1Gの天井は、換気ユニット本体21の下方となる位置に設けられた開口を有している。換気ユニット本体21は、天井に設けられた開口を通じて廊下1G(室内側)の空間と連通し、この開口が一階用室内吹き出し口51となっている。
一階用セントラル換気装置11には、三本の室内吸入配管41が設けられ、そのうちの二本が換気ユニット本体21からリビング・ダイニングルーム1Aまで延び、残りの一本が換気ユニット本体21からキッチン1Bまで延びている。リビング・ダイニングルーム1Aまで延びる室内吸入配管41は、平面視で、先端が住宅1の外周縁近傍の位置まで延びている。室内吸入配管41の先端部分には、室内吸入配管41へ空気を送るための開口である吸気グリル43が設けられている。
一階用セントラル換気装置11の外部排気配管61および外部吸入配管31は、洗面所1Dの天井裏を通って換気ユニット本体21から屋外まで達している。
なお、トイレ1Fおよび浴室1Eの各々には、その内部の空気を屋外へ排出する専用の排気送風機が設けられている。
【0019】
図4には、住宅1の二階部分が示されている。図4において、二階部分には、二つの副寝室2A,2Bが図中下方左右に並んで設けられている。副寝室2A,2Bの図中上方には、室内収納部としてのクローゼット2C,2Dがそれぞれ設けられている。クローゼット2Dの図中上方には、主寝室2Eが設けられている。この主寝室2Eの図中上方左側には、室内収納部としてのウォークイン・クローゼット2Fが設けられている。ウォークイン・クローゼット2Fの図中下方には、納戸2Gが設けられ、納戸2Gと副寝室2Aのクローゼット2Cとの間には、トイレ2Hが設けられ、納戸2Gと主寝室2Eとの間には、階段室2Iが設けられている。
【0020】
ここで、二階用セントラル換気装置12の換気ユニット本体22は、平面視で、住宅1の内側部分に設けられた階段室2Iの天井裏に設けられている。階段室2Iの天井は、換気ユニット本体22の下方となる位置に設けられた開口を有している。換気ユニット本体22は、天井に設けられた開口を通じて階段室2I(室内側)の空間と連通し、この開口が二階用室内吹き出し口52となっている。
二階用セントラル換気装置12には、三本の室内吸入配管42が設けられ、一本が換気ユニット本体22から副寝室2Aのクローゼット2Cまで延び、他の一本が換気ユニット本体22から副寝室2Bのクローゼット2Dまで延び、残りの一本が換気ユニット本体21から主寝室2Eのウォークイン・クローゼット2Fまで延びている。これらの室内吸入配管42は、平面視で、先端が住宅1の外周縁近傍の位置まで延びている。室内吸入配管42の先端部分には、室内吸入配管42へ空気を送るための開口である吸気グリル43が設けられている。
二階用セントラル換気装置12の外部排気配管62および外部吸入配管32は、トイレ2Hの天井裏を通って換気ユニット本体22から屋外まで達している。
なお、トイレ2Hには、その内部の空気を屋外へ排出する専用の排気送風機が設けられている。
【0021】
換気ユニット本体20の内部には、図示しない2台の送風機および全熱交換器が設けられている。
送風機は、電動モーターと、この電動モーターにより回転する多数の羽根とからなり、回転する羽根により発生する強制的な空気の流れを利用して、配管の内部の空気を強制的に移動させるものである。
すなわち、外部吸入配管30の空気を室内吸入配管40に向かって、或いは室内吹き出し口50からの空気を外部排気配管60に向かって強制的に移動させることができるものである。具体的には、特に図示しないが、羽根車の回転に伴って気体の遠心力を利用し、気体を圧送するターボファンと、このターボファンからの吹き出し流路を形成するケーシングとを備えているものである。
なお、2台の送風機のうちの一方は、外気を室内に取り入れる外気取り入れ用の送風機であり、他方は、室内の空気を屋外に排出するための排気用の送風機である。
【0022】
全熱交換器は、換気ユニット本体20が吸気グリル43から吸い込んで外部排気配管60へ排出する室内の空気と、外部吸入配管30から吸入されて吹き出し口50へ供給する空気との間で、顕熱と潜熱を同時に交換するものである。
なお、顕熱とは、相変化や化学変化を伴わずに温度変化だけに消費される熱をいい、潜熱とは、主に空気中の水分が温度を変えずに相変化した際に消費される熱をいう。
また、全熱交換器としては、透湿性のあるストロー状の極細薄肉円筒管を多数束ねた全熱交換エレメントをケーシング等に移動不可能に固定した固定式のものが採用できる。
【0023】
吹き出し口50は、図5に示されるように、換気ユニット本体20のケーシングの下面に設けられた開口20A と、天井74に設けられた開口74A とを連続させたものである。これらの開口20A および開口74A の下方には、吹き出し口50から吹き出される空気が四方へ広がるように、開口20A および開口74A よりも一回り寸法が大きい平板状のカバー部材55が設けられている。このカバー部材55は、天井74の表面よりも、若干低い高さレベルに設けられている。これにより、カバー部材55および天井74の隙間から空気が水平方向へ吹き出すようになっている。
【0024】
吸気グリル43は、図6に示されるように、室内吸入配管40の室内側の先端が接続される円筒状の本体43A に設けられたものである。この本体43A は、上端面側が塞がれ、下端側が開口されて吸入口となっている。この吸入口は、図には示されていないが、四方からの空気が流入しやすいように、直径の異なる複数の環状整流羽根が同心位置に設けられたルーバー状の吸気グリル43となっている。
【0025】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、平面視で、住宅1の内側部分に設けた吹き出し口50から新鮮な空気を吹き出すとともに、室内の空気を住宅1の外周縁近傍に設けた複数の吸気グリル43で吸うようにし、居室であるリビング・ダイニングルーム1A、キッチン1B、副寝室2A,2B、および、主寝室2Eのそれぞれに吸気グリル43を設けたので、一の部屋で発生した臭気は、他の部屋へ移動することなく、その吸気グリル43に吸入されるようになり、互いに隣接する部屋の一方から他方へ空気が流れることがなく、住宅1の一部分で発生した臭気が他の部位へ移動することを抑制することができる。
【0026】
また、副寝室2A,2Bおよび主寝室2Eの換気を行う吸気グリル43を、収納空間であるクローゼット2C,2D,2Fの内部にそれぞれ設けたので、副寝室2A,2Bおよび主寝室2Eの換気を行うのと同時に、クローゼット2C,2D,2Fの換気が行えるようになり、クローゼット2C,2D,2Fの内部を適度な湿度に保つことができ、その収納物にカビが発生することを防止できる。
そのうえ、クローゼット2C,2D,2Fを換気しても、吸気グリル43をクローゼット2C,2D,2Fの内部に設けたので、クローゼット2C,2D,2F内に設置した防虫剤の臭気が外部へ漏れ出すことがなく、防虫剤が室内で臭わないようにできる。
【0027】
さらに、換気ユニット本体20に外部吸入配管30および外部排気配管60を接続したので、吹き出し口50の位置に応じて、換気ユニット本体20を、平面視で、住宅1の内側部分に設けても、外部吸入配管30および外部排気配管60より、換気ユニット本体20と屋外空間とが連通され、その内部に設けられた全熱交換器による熱交換が可能となり、全熱交換器の性能を充分引き出すことができる。
このため、住宅1が、断熱性能および気密性能に優れた高断熱・高気密住宅であり、1日24時間フルに換気運転を行う必要があっても、室内に取り入れる外気と、屋外へ排出する排気との全熱が交換され、屋外へ逃げる熱量が減り、空調エネルギーの損失を最低限に抑制できる。
【0028】
また、換気ユニット本体20および配管30,40,60を天井裏に設けたので、換気ユニット本体20および配管30,40,60が天井裏に隠蔽され、室内側から見えず、セントラル換気装置10を設けても、室内側から視認できるものが何ら生じないので、室内外観を良好なものにすることができる。
【0029】
さらに、平面視で、住宅1の内側部分に設けられた通路である廊下1Gおよび階段室2Iの天井裏にそれぞれ換気ユニット本体20を設けたので、換気ユニット本体20の下方の吹き出し口50から吹き出される空気は、廊下1Gおよび階段室2Iを通って、四方の各室へ流れるようになる。
ここで、廊下1Gおよび階段室2Iには、臭気の発生する要因が少ないので、キッチンや居室等の天井裏に換気ユニット本体20を設ける場合に比べて、臭気が他の部位へ移動することをより一層抑制することがきでる。
【0030】
なお、本発明は、前述の一実施形態に限定されるものではなく、次に示すような変形などをも含むものである。
例えば、建物としては、二階建てのものに限らず、三階層以上のフロア数を有するものでもよく、また、住宅に限らず、事務所用に建築された一般的な建物でもよい。
【0031】
また、換気ユニット本体としては、全熱交換器が内蔵されたものに限らず、全熱交換器が省略化されたものでもよく、さらに、2台の送風機が設けられたものに限らず、1台の送風機が設けられたものや、3台以上の送風機が設けられたものでもよく、換気ユニット本体の具体的な構成は、実施にあたり適宜選択することができる。
そして、寝室の換気を行うための吸入口の位置は、クローゼットの内部に限らず、寝室の天井面、壁面および床面の何れでもよい。
また、換気ユニット本体の位置は、廊下や階段室等の通路に限らず、洗面所や居室でもよいが、通路に換気ユニット本体を設ければ、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、建物の内側部分に設けた吹き出し口から新鮮な空気を吹き出すとともに、室内の空気を建物の外周縁近傍に設けた複数の吸入口で吸うようにしたので、例えば、吸入口を各部屋にそれぞれ設置する、あるいは、互いに隣接する部屋の境界部分に吸入口を設置する等により、一の部屋で発生した臭気は、他の部屋へ移動することなく、その吸入口に吸入され、互いに隣接する部屋の一方から他方へ空気が流れることがなくなり、建物の一部分で発生した臭気が他の部位へ移動することを抑制することができる。
【0033】
請求項2に記載の発明によれば、室内の換気を行うのと同時に、室内収納部内の換気が行えるようになるため、室内収納部の内部を適度な湿度に保つことができ、その収納物にカビが発生することを防止できる。
そのうえ、室内収納部内を換気しても、吸入口である開口が室内収納部の内部に設けられているので、室内収納部内に設置した防虫剤の臭気が外部へ漏れ出すことを防止でき、防虫剤の臭気が室内で感じられることがない。
【0034】
請求項3に記載の発明によれば、吹き出し口である開口の位置に応じて、換気ユニット本体を、平面視で、建物の内側部分に設けても、外部吸入配管および外部排気配管より、換気ユニット本体と屋外空間とが連通され、その内部に設けられた全熱交換器による熱交換が可能となる。
このため、建物が、断熱性能および気密性能に優れた高断熱・高気密住宅であり、1日24時間フルに換気運転を行う必要があっても、室内に取り入れる外気と、屋外へ排出する排気との全熱が交換され、屋外へ逃げる熱量が減り、空調エネルギーの損失を最低限に抑制できる。
【0035】
請求項4に記載の発明によれば、換気ユニット本体および配管が天井裏に隠蔽され、室内側から見えず、セントラル換気装置を設けても、室内側から視認できるものが何ら生じないので、室内外観を良好なものにすることができる。
【0036】
請求項5に記載の発明によれば、換気ユニット本体の下方の開口から吹き出される空気は、通路を通って各室へ流れるので、通路の天井裏に換気ユニット本体を設ければ、建物内の通路には、臭気の発生する要因が少ないので、キッチンや居室等に換気ユニット本体を設ける場合に比べて、臭気が他の部位へ移動することをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すものであって、セントラル換気装置を示す概略模式図である。
【図2】本発明の実施の形態を示すものであって、セントラル換気装置を配置した建物を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態を示すものであって、セントラル換気装置の一階の配管の配置を示す概略平面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示すものであって、セントラル換気装置の二階の配管の配置を示す概略平面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示すものであって、換気ユニット本体を天井に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示すものであって、吸気グリルを天井に取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図7】従来のセントラル換気装置を示す概略模式図である。
【符号の説明】
1 建物としての住宅
1G 通路としての廊下
2C,2D 室内収納部としてのクローゼット
2F 室内収納部としてのウォークイン・クローゼット
2I 通路としての階段室
10 セントラル換気装置
20 換気ユニット本体
30 外部吸入配管
40 室内吸入配管
43 外周縁近傍に設けられた開口としての吸気グリル
50 内側部分に設けられた開口としての吹き出し口
60 外部排気配管
Claims (4)
- 上下に複数のフロアを有する建物において、当該建物の各フロア毎に独立して設置された換気ユニット本体により、当該建物の同一フロアの換気をするようにしたセントラル換気装置であって、
平面視で、前記建物の外周縁近傍に設けられた開口と、平面視で、前記建物の内側部分に配置され、同一フロアに設けられた各室内と隣接する通路の天井裏に設けられた開口とを備え、
前記換気ユニット本体と室外との間を連通する一対の配管、および、前記換気ユニット本体と同一フロアに設けられた各室内とをそれぞれ連通する複数の配管が設けられ、前記各室内に連通する配管の各々は、前記外周縁近傍の開口に接続され、
前記換気ユニット本体は、前記通路の天井裏に設けられる前記建物の内側部分の開口の上方に設けられ、その内部に送風機が設けられ、かつ、その内部が前記内側部分の開口を通じて室内側の空間と連通し、
前記内側部分の開口から吹き出した空気を前記外周縁近傍の開口から吸い込むことにより、各室内の換気を行うようになっていることを特徴とするセントラル換気装置。 - 請求項1に記載のセントラル換気装置において、前記外周縁近傍の開口は、物を収納するための室内収納部の内部に設けられていることを特徴とするセントラル換気装置。
- 請求項1または請求項2に記載のセントラル換気装置において、前記一対の配管の一方が建物の外部の空気を取り入れるための外部吸入配管とされ、他方が建物の内部の空気を外部に排気するための外部排気配管とされ、前記換気ユニット本体には、外気と排気との全熱を交換する全熱交換器が内蔵されていることを特徴するセントラル換気装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセントラル換気装置において、前記換気ユニット本体および前記配管が天井裏に設けられていることを特徴するセントラル換気装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000137492A JP3831574B2 (ja) | 2000-05-10 | 2000-05-10 | セントラル換気装置 |
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