JP3828197B2 - 光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩の製造法 - Google Patents
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ジルチアゼム(Diltiazem)に代表される血管拡張作用を有する( +)−シス型1,5−ベンゾチアゼピン誘導体の有用な合成中間体である光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩の製造法に関する。
【0002】
【従来技術】
(+)−シス型の1,5−ベンゾチアゼピン誘導体であるジルチアゼム(4)の一般的な製造法としては、例えば下記の反応式:
【化6】
が知られている(薬学雑誌、1988年、716頁)。ここでは、 o−ニトロ チオフェノール(5)と、(−)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸メチルエステル(6)との付加反応を行い、得られたスレオ型中間体のニトロ基を還元後加水分解し、環化、N−アルキル化、アセチル化に付している。
化合物(4)のような、分子内に2つの不斉炭素を有する化合物は、理論上4種類の光学異性体が存在するが、化合物(4)の場合、(+)−シス体のみが強力な薬効を有することが明らかにされている。従って、所望の(+)−シス型1,5−ベンゾチアゼピン誘導体(4)を効率よく製造するために、光学活性体(6)を出発原料としている(前掲)。
【0003】
このように、光学活性化合物(6)の効率よい製造法の開発は、(+)−シス型1,5−ベンゾチアゼピン誘導体のより効率的な製造法につながることが期待される。既に化合物(6)の製造法としては、生化学反応を利用する酵素法と化学合成法が知られており、化学法合成ではさらに光学分割を経る方法と不斉合成法の2つの方法が報告されている。
光学分割を経て光学活性化合物(6)を得る方法としては、ラセミ体の3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸に光学活性アミンを作用させて光学分割した後(収率44%)、エステル化する方法が既知である(特開昭60−13775、特開昭60−13776)。また、ラセミ体の3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩に光学活性な有機アミン類の鉱酸塩を反応させることにより光学分割し(収率71%)、その後エステル化するか、ラセミ体の3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩に光学活性な有機アミンを加えた後、塩酸を滴下することにより光学分割し(収率80%)、その後エステル化する方法も既知である(特公平4−61867および特開平2−17168)。
【0004】
しかしながら、この光学分割を経る方法には以下のような問題点が存在する。すなわち、特開昭60−13775記載の方法では一般に不安定であることが知られている3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸を単離していることから収率が著しく低下しているので、工業化には不適当である。
また特公平4−61867記載の方法では、アミンの鉱酸塩を調製しなければならず、さらに分割の際に生じる無機塩を濾去した後に結晶化しなくてはならないなど操作が煩雑である。
一方、特開平2−17168記載の最後に塩酸を滴下する方法では、特に工業的手法として大量の反応を行う場合、強酸性条件での分解産物の生成を抑制するため、大量の希釈した酸を長時間かけて加える必要がありこれも工業化には不適である。
【0005】
他方、不斉合成を経る方法では、光学活性リチウムアミド化合物とアルキルリチウム存在下でのハロゲノ酢酸エステルとベンズアルデヒドとのカップリング反応を経る方法(特開平1−226881)、および2−ハロゲノ−3−オキソ−3−フェニルプロピオン酸誘導体の不斉還元を経る方法(特開平3−190865)が既知である。しかしこれらの不斉合成を経る方法では、収率および光学収率や、不斉源が無駄になるというコスト的な問題があり、工業化には不適当である。
【0006】
また酵素法では、エステラーゼを用いた方法(特開平4−228070)が既知である。しかし、この方法も特別な装置を使用しなくてはならないことや、後処理が困難である等の問題点が存在する。
このように従来法はいずれも、光学活性化合物(6)の工業生産には多くの問題を有している。
最も工業化に適した光学活性化合物(6)の製造法としては、一般式(3):
【化7】
(式中、M2はアルカリ金属を示し、*は上記と同意義)
で表される光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属をエステル化することによる、化学合成法であると考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、式(3)で示される(−)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩の効率的で安全な製造法を目的として鋭意研究を重ねた結果、式(1)で示されるアルカリ金属塩に光学活性な有機アミンを加えた後、二酸化炭素を通気することにより式(2)で示される化合物とし、さらに塩基で処理することにより式(3)で示されるアルカリ金属塩へと導くことで該目的が達成されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は式(1):
【化8】
(式中M1はアルカリ金属を示す。)
で示される化合物と光学活性なアミンの存在下、二酸化炭素を通気させ、一般式(2):
【化9】
(式中、A+は光学活性な有機アミンの共役酸を示し、*は上記と同意義)
で示される光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸塩とした後、これを塩基で処理することにより、一般式(3):
【化10】
(式中、M2はアルカリ金属を示し、*は上記と同意義)
で示される光学活性アルカリ金属塩を得ることを特徴とする製造法を提供するものである。
【0009】
本明細書中「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。「アルカリ金属」とは、リチウム、ナトリウム、カリウムを意味する。「アルコキシ」とは、アルキル部分が直鎖状または分枝状のC1〜C6アルキルオキシを意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n■プロポキシ、イソプロポキシ、n■ブトキシ、イソブトキシ、sec■ブトキシ、およびtert■ブトキシ等を挙げることができ る。
【0010】
本発明法の出発物質であるラセミ体のアルカリ金属塩(1)は既知であり、例えば特公平4−79346に記載の方法で製造することができる。該ラセミ体アルカリ金属塩の光学分割は、該アルカリ金属塩1重量部を、約0〜50℃、好ましくは室温にて、2〜14容量部、好ましくは7容量部の水に懸濁し、3分〜60分、好ましくは15分撹拌した後冷却し、約0〜25℃、好ましくは0〜5℃にて、1〜7容量部、好ましくは3.5容量部のテトラヒドロフラン、ジオキサ ン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、あるいは酢酸エチル、トルエン、アセトニトリル等の有機溶媒、好ましくは酢酸エチル溶媒を加え、さらに、光学活性有機アミン(約1.1当量)を加えた後 、約0〜25℃、好ましくは0〜5℃にて、二酸化炭素を通気し1〜3時間好ましくは、2時間反応させることにより行う。次いで、生じた結晶を濾取することにより、高純度の光学活性な塩(2)を得ることができる。
次いで、得られた塩(2)1当量を約−20〜30℃、好ましくは−5℃にて、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒に溶解し、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシ体、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属のヒドロキシ体を1〜5当量、好ましくは3当量加え、約−20〜50℃、好ましくは−5〜30℃にて、1〜3時間、好ましくは1.5時間反応させ、生じた結晶を濾取することにより高純度の光学活性なアルカリ金属塩(3)を得ることができる。
【0011】
このように本発明方法によれば、ラセミ体のアルカリ金属塩(1)を出発原料に用いて、効率よく光学活性なアルカリ金属塩(3)を得ることができる。
上記から明らかなように本発明法によれば、1工程で光学分割を行うことができ、さらに二酸化炭素を通気することから、反応系中の一時的なpHの上昇を防ぐことができ、常にpH7付近で反応が行われるという、工業的に顕著な利点を有する。
次いで、本発明方法で得られた光学活性なアルカリ金属塩(3)を例えば、特願平06−262242の記載に従い、ピバロイルクロライドを用いて酸無水物とした後、アルコールで処理することによりエステル化し、上記反応式において式(5)で表されるニトロチオフェノールと反応させ、最終的に閉環する事により、医薬品であるジルチアゼム(4)を得ることができる。
【0012】
以下の実施例により本発明法を具体的に説明する。
【実施例】
実施例1
(−)−(2R,3S)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アミン塩の合成。
(±)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸カリウム塩3.48g(0.015mole)を水15mlに懸濁し15分間室温にて撹拌した後、容器を氷水にて冷却し、0〜5℃で酢酸エチル45mlを加えた。さらに(−)−(S)−α−メチルベンジルアミン1.92g(0.0158mole,1.05当量)を加えた後、0〜5℃で二酸化炭素を通気した。2時間後(この間のpHを測定したとところ、滴下開始時間より2分後までのpHは9.64〜8.0、15分後のpHは7.23、30分後のpHは7.19、2時間後のpHは7.18となっており、ほぼ中性条件で反応が進行していることがわかった。)析出した結晶を濾取し光学活性なアミン塩1.93g(0.012mole)を得た(収率81%)。
mp.128〜129℃;
[α]D 24−109.8゜(c=1.0,メタノール)
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):1.46(3H,d,J=4. 5Hz),3.16(1H,d,J=1.0Hz),3.70(1H,d,J=1.0Hz),3.74(3H,s),4.29(1H,q,J=4.5Hz),6.90(2H,d,J=6.0Hz),7.20(2H,d,J=6.0Hz),7.32〜7.41(3H,m),7.48(2H,d,J=5.0Hz)
実施例2
(−)−(2R,3S)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸カリウム塩の合成。
水酸化カリウム95.9g(1.71mole)をメタノール1.15Lに溶解して窒素雰囲気下撹拌し、容器を浴温−20℃にて冷却して、(−)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸塩159g(0.503mole)を加えた後、0〜−5℃で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し光学活性なカリウム塩113g(0.485mole)を得た(収率97%)。
mp.310℃以上;
[α]D 24−159゜(c=1.0,メタノール)
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):2.97(1H,s),3.6 0(1H,s),3.74(3H,s),6.88(2H,d,J=8.5Hz),7.16(2H,d,J=8.5Hz)
【0013】
【発明の効果】
本発明法は、収率よく高純度の光学活性な化合物(3)を製造することができ、ジルチアゼム等の医薬品の製造、開発に貢献しうる。
【産業上の利用分野】
本発明は、ジルチアゼム(Diltiazem)に代表される血管拡張作用を有する( +)−シス型1,5−ベンゾチアゼピン誘導体の有用な合成中間体である光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩の製造法に関する。
【0002】
【従来技術】
(+)−シス型の1,5−ベンゾチアゼピン誘導体であるジルチアゼム(4)の一般的な製造法としては、例えば下記の反応式:
【化6】
が知られている(薬学雑誌、1988年、716頁)。ここでは、 o−ニトロ チオフェノール(5)と、(−)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸メチルエステル(6)との付加反応を行い、得られたスレオ型中間体のニトロ基を還元後加水分解し、環化、N−アルキル化、アセチル化に付している。
化合物(4)のような、分子内に2つの不斉炭素を有する化合物は、理論上4種類の光学異性体が存在するが、化合物(4)の場合、(+)−シス体のみが強力な薬効を有することが明らかにされている。従って、所望の(+)−シス型1,5−ベンゾチアゼピン誘導体(4)を効率よく製造するために、光学活性体(6)を出発原料としている(前掲)。
【0003】
このように、光学活性化合物(6)の効率よい製造法の開発は、(+)−シス型1,5−ベンゾチアゼピン誘導体のより効率的な製造法につながることが期待される。既に化合物(6)の製造法としては、生化学反応を利用する酵素法と化学合成法が知られており、化学法合成ではさらに光学分割を経る方法と不斉合成法の2つの方法が報告されている。
光学分割を経て光学活性化合物(6)を得る方法としては、ラセミ体の3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸に光学活性アミンを作用させて光学分割した後(収率44%)、エステル化する方法が既知である(特開昭60−13775、特開昭60−13776)。また、ラセミ体の3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩に光学活性な有機アミン類の鉱酸塩を反応させることにより光学分割し(収率71%)、その後エステル化するか、ラセミ体の3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩に光学活性な有機アミンを加えた後、塩酸を滴下することにより光学分割し(収率80%)、その後エステル化する方法も既知である(特公平4−61867および特開平2−17168)。
【0004】
しかしながら、この光学分割を経る方法には以下のような問題点が存在する。すなわち、特開昭60−13775記載の方法では一般に不安定であることが知られている3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸を単離していることから収率が著しく低下しているので、工業化には不適当である。
また特公平4−61867記載の方法では、アミンの鉱酸塩を調製しなければならず、さらに分割の際に生じる無機塩を濾去した後に結晶化しなくてはならないなど操作が煩雑である。
一方、特開平2−17168記載の最後に塩酸を滴下する方法では、特に工業的手法として大量の反応を行う場合、強酸性条件での分解産物の生成を抑制するため、大量の希釈した酸を長時間かけて加える必要がありこれも工業化には不適である。
【0005】
他方、不斉合成を経る方法では、光学活性リチウムアミド化合物とアルキルリチウム存在下でのハロゲノ酢酸エステルとベンズアルデヒドとのカップリング反応を経る方法(特開平1−226881)、および2−ハロゲノ−3−オキソ−3−フェニルプロピオン酸誘導体の不斉還元を経る方法(特開平3−190865)が既知である。しかしこれらの不斉合成を経る方法では、収率および光学収率や、不斉源が無駄になるというコスト的な問題があり、工業化には不適当である。
【0006】
また酵素法では、エステラーゼを用いた方法(特開平4−228070)が既知である。しかし、この方法も特別な装置を使用しなくてはならないことや、後処理が困難である等の問題点が存在する。
このように従来法はいずれも、光学活性化合物(6)の工業生産には多くの問題を有している。
最も工業化に適した光学活性化合物(6)の製造法としては、一般式(3):
【化7】
(式中、M2はアルカリ金属を示し、*は上記と同意義)
で表される光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属をエステル化することによる、化学合成法であると考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、式(3)で示される(−)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩の効率的で安全な製造法を目的として鋭意研究を重ねた結果、式(1)で示されるアルカリ金属塩に光学活性な有機アミンを加えた後、二酸化炭素を通気することにより式(2)で示される化合物とし、さらに塩基で処理することにより式(3)で示されるアルカリ金属塩へと導くことで該目的が達成されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は式(1):
【化8】
(式中M1はアルカリ金属を示す。)
で示される化合物と光学活性なアミンの存在下、二酸化炭素を通気させ、一般式(2):
【化9】
(式中、A+は光学活性な有機アミンの共役酸を示し、*は上記と同意義)
で示される光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸塩とした後、これを塩基で処理することにより、一般式(3):
【化10】
(式中、M2はアルカリ金属を示し、*は上記と同意義)
で示される光学活性アルカリ金属塩を得ることを特徴とする製造法を提供するものである。
【0009】
本明細書中「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。「アルカリ金属」とは、リチウム、ナトリウム、カリウムを意味する。「アルコキシ」とは、アルキル部分が直鎖状または分枝状のC1〜C6アルキルオキシを意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n■プロポキシ、イソプロポキシ、n■ブトキシ、イソブトキシ、sec■ブトキシ、およびtert■ブトキシ等を挙げることができ る。
【0010】
本発明法の出発物質であるラセミ体のアルカリ金属塩(1)は既知であり、例えば特公平4−79346に記載の方法で製造することができる。該ラセミ体アルカリ金属塩の光学分割は、該アルカリ金属塩1重量部を、約0〜50℃、好ましくは室温にて、2〜14容量部、好ましくは7容量部の水に懸濁し、3分〜60分、好ましくは15分撹拌した後冷却し、約0〜25℃、好ましくは0〜5℃にて、1〜7容量部、好ましくは3.5容量部のテトラヒドロフラン、ジオキサ ン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、あるいは酢酸エチル、トルエン、アセトニトリル等の有機溶媒、好ましくは酢酸エチル溶媒を加え、さらに、光学活性有機アミン(約1.1当量)を加えた後 、約0〜25℃、好ましくは0〜5℃にて、二酸化炭素を通気し1〜3時間好ましくは、2時間反応させることにより行う。次いで、生じた結晶を濾取することにより、高純度の光学活性な塩(2)を得ることができる。
次いで、得られた塩(2)1当量を約−20〜30℃、好ましくは−5℃にて、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒に溶解し、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシ体、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属のヒドロキシ体を1〜5当量、好ましくは3当量加え、約−20〜50℃、好ましくは−5〜30℃にて、1〜3時間、好ましくは1.5時間反応させ、生じた結晶を濾取することにより高純度の光学活性なアルカリ金属塩(3)を得ることができる。
【0011】
このように本発明方法によれば、ラセミ体のアルカリ金属塩(1)を出発原料に用いて、効率よく光学活性なアルカリ金属塩(3)を得ることができる。
上記から明らかなように本発明法によれば、1工程で光学分割を行うことができ、さらに二酸化炭素を通気することから、反応系中の一時的なpHの上昇を防ぐことができ、常にpH7付近で反応が行われるという、工業的に顕著な利点を有する。
次いで、本発明方法で得られた光学活性なアルカリ金属塩(3)を例えば、特願平06−262242の記載に従い、ピバロイルクロライドを用いて酸無水物とした後、アルコールで処理することによりエステル化し、上記反応式において式(5)で表されるニトロチオフェノールと反応させ、最終的に閉環する事により、医薬品であるジルチアゼム(4)を得ることができる。
【0012】
以下の実施例により本発明法を具体的に説明する。
【実施例】
実施例1
(−)−(2R,3S)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アミン塩の合成。
(±)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸カリウム塩3.48g(0.015mole)を水15mlに懸濁し15分間室温にて撹拌した後、容器を氷水にて冷却し、0〜5℃で酢酸エチル45mlを加えた。さらに(−)−(S)−α−メチルベンジルアミン1.92g(0.0158mole,1.05当量)を加えた後、0〜5℃で二酸化炭素を通気した。2時間後(この間のpHを測定したとところ、滴下開始時間より2分後までのpHは9.64〜8.0、15分後のpHは7.23、30分後のpHは7.19、2時間後のpHは7.18となっており、ほぼ中性条件で反応が進行していることがわかった。)析出した結晶を濾取し光学活性なアミン塩1.93g(0.012mole)を得た(収率81%)。
mp.128〜129℃;
[α]D 24−109.8゜(c=1.0,メタノール)
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):1.46(3H,d,J=4. 5Hz),3.16(1H,d,J=1.0Hz),3.70(1H,d,J=1.0Hz),3.74(3H,s),4.29(1H,q,J=4.5Hz),6.90(2H,d,J=6.0Hz),7.20(2H,d,J=6.0Hz),7.32〜7.41(3H,m),7.48(2H,d,J=5.0Hz)
実施例2
(−)−(2R,3S)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸カリウム塩の合成。
水酸化カリウム95.9g(1.71mole)をメタノール1.15Lに溶解して窒素雰囲気下撹拌し、容器を浴温−20℃にて冷却して、(−)−3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸塩159g(0.503mole)を加えた後、0〜−5℃で1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し光学活性なカリウム塩113g(0.485mole)を得た(収率97%)。
mp.310℃以上;
[α]D 24−159゜(c=1.0,メタノール)
1H−NMR(DMSO−d6)δ(ppm):2.97(1H,s),3.6 0(1H,s),3.74(3H,s),6.88(2H,d,J=8.5Hz),7.16(2H,d,J=8.5Hz)
【0013】
【発明の効果】
本発明法は、収率よく高純度の光学活性な化合物(3)を製造することができ、ジルチアゼム等の医薬品の製造、開発に貢献しうる。
Claims (7)
- 該光学活性な有機アミンが光学活性なα−メチルベンジルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、ノルエフェドリン、またはエフェドリンである請求項1記載の製造法。
- 該光学活性な有機アミンが(−)−(S)−α−メチルベンジルアミンまたは(+)−(R)−α−メチルベンジルアミンである請求項1記載の製造法。
- 塩基がアルカリ金属のアルコキシ体またはヒドロキシ体である請求項1記載の製造法。
- 該光学活性な有機アミンが光学活性なα−メチルベンジルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、ノルエフェドリン、またはエフェドリンである請求項5記載の製造法。
- 該光学活性な有機アミンが(−)−(S)−α−メチルベンジルアミンまたは(+)−(R)−α−メチルベンジルアミンである請求項5記載の製造法。
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JP09918796A JP3828197B2 (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | 光学活性3−(p−メトキシフェニル)グリシッド酸アルカリ金属塩の製造法 |
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JPH09255673A JPH09255673A (ja) | 1997-09-30 |
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