JP3825551B2 - 銅化合物を用いた重合体の製造方法 - Google Patents

銅化合物を用いた重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は銅化合物を用いた重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式CH2 =CY1 E(式中、Y1 は、フェニル基又は置換フェニル基を示し、Eは水素原子又はアルキル基を示す)で表されるα−置換オレフィンを重合して得られるポリα−置換オレフィンは、従来より様々な方法で重合されている。工業的には、モノマーにラジカル発生剤を添加し、ラジカル重合を行うことで得られている。しかし、この方法によると得られるポリマーの分子量分布が広いものとなり、低分子量体が混在するために耐熱性が劣るものとなる。
【0003】
また、実験的には、アニオン重合、カチオン重合、グループトランスファー重合などで得ることもでき、最近では、一般式CH2 =CY2 H(式中、Y2 は、フェニル基または置換フェニル基を示す)で表されるα−置換オレフィンを重合して得られる、立体規則性の高いポリα−置換オレフィンの重合方法として、遷移金属錯体単独、あるいは、遷移金属錯体と有機アルミニウム化合物を重合触媒成分として用いた製造方法が提案され、注目されている〔例えば、石原伸英ら:高分子学会予稿集、35,240(1986)、又は特開平3−72504号公報〕。
【0004】
一般式CH2 =CY3 Z(式中、Y3 はシアノ基、Zは水素原子又はアルキル基をそれぞれ示す)で表されるα−置換オレフィンを重合して得られるポリα−置換オレフィンは、従来より様々な方法で重合されている。工業的には、モノマーにラジカル発生剤を添加し、ラジカル重合を行うことで得られている。
【0005】
また、分子量、分子量分布を制御可能な重合方法として、例えば、アニオン重合、配位重合、グループトランスファー重合等が実験室レベルで提案されている。具体的には、一般式CH2 =CHY3 (式中、Y3 はシアノ基を示す)で表される、立体規則性の高いポリα−置換オレフィンが、アルミニウム金属化合物と遷移金属化合物とを重合触媒として用いた製造方法(特開平1−79206号公報)や、分子量分布の狭い精密重合体が有機希土類金属錯体を触媒成分とした重合反応〔中村 晃ら:第43回高分子学会(5.26.1994)II−3−08〕により得られている。
【0006】
最近では、ラクトン重合体が生分解性プラスチックとして注目されている。
ラクトン類の重合については、分子量、分子量分布を制御可能な重合方法として、例えば、アニオン重合、配位重合、グループトランスファー重合等が実験室レベルで提案されている。具体的には、アルミニウムポルフィリン錯体を重合開始剤として重合する方法〔Macromolecules 14,166(1981)〕や、アルミニウムポルフィリン錯体と嵩高い置換基を有するルイス酸を重合開始剤として使用する方法(特開平4−323204号公報)等が挙げられる。
【0007】
ビニル系単量体は、従来より様々の方法で重合されている。工業的には、ビニル系単量体にラジカル発生剤を添加し、高温高圧下でラジカル重合する方法が殆どである。また、最近では、分子量、分子量分布を制御可能な重合方法として、例えば、アニオン重合、配位重合、グループトランスファー重合等が実験室レベルで提案されている。
【0008】
しかしながら、これらの触媒系に用いられる化合物は遷移金属錯体であり、一般的に酸素や水分に対して不安定で分解し易く、さらに多くの反応段階を経て合成されている。しかも、その不安定性から合成も困難なため低収率となり、結果として高価な触媒系となっている。
【0009】
一方、触媒系に用いられる遷移金属錯体の金属については、前期遷移金属である4族遷移元素であるチタン、ジルコニウム、ハフニウム等が一般的に用いられている。最近では、やや反応性は低下するものの、後期遷移金属である10族遷移元素であるニッケル、パラジウムなども錯体の中心金属として使用されている〔JACS 117,No23 6414(1995)等〕。
【0010】
また、銅を中心金属とする錯体は、安定性に優れ合成も容易であるという利点はあるが、その安定性のため活性が低く重合触媒としては検討されたことがなかった。ところが、最近、発明者らは銅錯体を極性の高いモノマーであるカルボジイミドの重合触媒として利用でき、リビング重合体を得ることができることを発表している〔Macromolecules 30,3159(1997)〕。しかしながら、反応性を必要とする比較的低極性のモノマーについて、銅錯体が重合触媒として適用された例はなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、合成が容易であり、かつ安定な銅化合物を重合触媒とする銅化合物を用いた重合体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、容易に合成でき、安定な銅化合物を重合触媒成分として用いることにより、上記問題点を解消できるに至った。
【0013】
本発明の請求項1記載の発明(以下、第1発明という)である銅化合物を用いた重合体の製造方法は、極性値eの絶対値が1.5以下であるビニル系単量体を重合するに際して、触媒及び/又は重合開始剤として、一般式CuXn 、LCuXn 又はL(L')CuXn で表される銅化合物(式中、L及びL’は配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を示す。nは0〜2の整数である)を用いることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2記載の発明(以下、第2発明という)である銅化合物を用いた重合体の製造方法は、開環反応によって重合する化合物を重合するに際して、触媒及び/又は重合開始剤として、一般式CuXn 、LCuXn 又はL(L')CuXn (式中、L及びL’は配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を示す。nは0〜2の整数である)で表される銅化合物を用いることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項3記載の発明(以下、第3発明という)である銅化合物を用いた重合体の製造方法は、第1又は第2発明において、銅化合物とともに、アルミノキサン、一般式AlRm 3-m (式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Zは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリロキシ基又はシロキシ基を示す。mは0〜3の整数である)で表される有機アルミニウム化合物、硼素原子を有するルイス酸及び硼素原子を有するイオン性化合物からなる群より選択される1種以上の有機金属化合物を用いることを特徴とする。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるビニル系単量体としては、分子内に反応性の二重結合を有し、極性を示す値である極性値eの絶対値が1.5以下のものが挙げられる。
上記極性値eは、二重結合部の電子密度を表す値であり、二重結合に電子が流れ込んでいる場合は負の値を示し、置換基により電子が引張られている場合は正の値を示す(高分子化学の基礎;高分子学会編、東京化学同人)。
上記極性値eが1.5を超える場合は、ビニル系単量体の極性が高すぎるため、銅錯体触媒、特に有機金属化合物を助触媒として使用する系では触媒が失活してしまい、重合反応はうまく進行しなくなる。
【0017】
上記極性値eの絶対値が1.5以下であるビニル系単量体としては、例えば、オレフィン;α−置換オレフィン;(メタ)アクリル酸エステル;炭素−窒素2重結合、炭素−窒素3重結合を有するモノマー等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよく、共重合されてもよい。共重合の場合、ランダム共重合、ブロック共重合とも可能である。
【0018】
上記オレフィンは、分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有するものであり、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン;ブタジエン等のジエンが例示できる。
【0019】
上記α−置換オレフィンは、一般式CH2 =CY1 E(式中、Y1 は、フェニル基、置換フェニル基又はシアノ基を示し、Eは水素原子又はアルキル基を示す)で表されるものであり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−塩化スチレン、p−塩化スチレン、o−臭化スチレン、p−臭化スチレン、p−ニトロスチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0020】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、一般式CH2 =C (R1)COO−R2 〔式中、R1 は、水素原子又はメチル基であり(アクリル酸エステルの場合は水素原子、メタクリル酸エステルの場合はメチル基である)、R2 は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びハロゲン、アミン、エーテル等の官能基を含む炭化水素基の中から選ばれた1価の基である〕のものが有効に使用されうる。
【0021】
具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2,3−ジブロモプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
上記炭素−窒素2重結合、炭素−窒素3重結合を有するモノマーとしては、例えば、アルキルイソシアネート、アルキルイソシアニドが挙げられる。
【0023】
上記開環反応によって重合する化合物としては、環状エステル化合物、環状エポキシド化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、β−プロピオラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、α,α'-ジメチル−β−プロピオラクトン、α−ビニル−β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物、プロピレンオキサイドが例示される。これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0024】
本発明の製造方法において、上記ビニル系単量体又は開環反応によって重合する化合物から重合体を得るために、触媒として銅化合物が単独で用いられるか、銅化合物及び有機金属化合物が併用される。
【0025】
上記銅化合物は、一般式CuXn 、LCuXn 又はL(L')CuXn で表されるものである。
式中、L及びL’は配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を示し、好ましくは、塩素、臭素などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの第3級アミノ基である。nは0〜2の整数である。
【0026】
上記配位子L及びL’は特に限定されないが、配位子の構造中に存在するN,S,O,P原子の不対電子による配位や、シクロペンタジエニル基による配位が例示できる。具体的には、アミン、2級アルキルアミン、3級アルキルアミンによる配位;アミジナト配位などのN配位;アルコキシ、アリールオキシによる配位などのO配位等を挙げることができる。
【0027】
上記N配位化合物としては、例えば、ビピリジン、置換ビピリジン、ビスオキサゾリン、置換ビスオキサゾリン、N,N’−ジメチルアミジナト、N,N’−ジエチルアミジナト、N,N’−ジイソプロピルアミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルアミジナト、N,N’−トリフルオロメチルアミジナト、N,N’−ジフェニルアミジナト、N,N’−ジ置換フェニルアミジナト、N,N’−ジトリメチルシリルアミジナト、N,N’−ジメチルベンズアミジナト、N,N’−ジエチルベンズアミジナト、N,N’−ジイソプロピルベンズアミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルベンズアミジナト、N,N’−トリフルオロメチルベンズアミジナト、N,N’−ジフェニルベンズアミジナト、N,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト、N,N’−ジ置換フェニルベンズアミジナト配位化合物等である。
【0028】
上記O配位化合物としては、例えば、8−キノリノール2分子配位化合物が挙げられる。
【0029】
上記銅化合物は、一分子中に2個以上の銅原子を含む、一般式CuXn 、LCuXn 又はL(L')CuXn の二量体、三量体又は複核錯体であってもよい。
これらの錯体は、固体状態で二量体、三量体又は複核錯体であっても、反応時の溶液中やモノマー中では単量体として存在していることが多く、この単量体の状態が、一般式CuXn 、LCuXn 又はL(L')CuXn に相当するものであれば、本発明で用いることができる。
【0030】
上記銅化合物は、安価なハロゲン化銅、例えば、塩化銅から簡便に合成することができる。また、上記N配位化合物、銅(II)アミジナト錯体の合成を例として挙げると、例えば、塩化銅(II)無水物に当量のアミジン化合物を加え、乾燥有機溶媒中、常温で数時間撹拌することにより合成することができる。
【0031】
合成された銅化合物は、多くの場合、酸素、水分に対して比較的安定であり、特に2価の銅錯体、例えば、N,N’−ジメチルベンズアミジナト銅(II)錯体は、対応するチタン錯体が、1%程度の酸素濃度雰囲気で分解するのに対し、100%乾燥酸素下でも安定に存在する。従って、取り扱いは、例えば、チタン、ジルコニウム化合物等の遷移金属化合物に比して極めて容易である。
【0032】
上記銅化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、炭化水素又はハロゲン化炭化水素等で希釈して用いてもよい。
【0033】
また、上記銅化合物は、粒子状担体に担持させてもよい。
粒子状担体としては、例えば、SiO2 、Al2 3 、MgO、CaO、TiO2 、ZnO、MgCl2 などの無機担体;ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。
【0034】
銅化合物と併用される有機金属化合物としては、アルミノキサン、一般式AlRm 3-m (式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Zは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリロキシ基又はシロキシ基を示す。mは0〜3の整数である)で表される有機アルミニウム化合物、硼素原子を有するルイス酸及び硼素原子を有するイオン性化合物からなる群より選択される1種以上である。
【0035】
上記有機金属化合物のうち、アルミノキサンは、一般式R1(Al (R1)−O)p AlR1 2 、又は下記一般式(1)で表される化合物である。
式中、R1 は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、pは2以上の整数を示す。
【0036】
【化1】
Figure 0003825551
【0037】
上記アルミノキサンとしては、R1 がメチル基であるメチルアルミノキサンであって、pが5以上のものが好ましく、さらに好ましくはpが10以上のものである。アルミノキサンは、通常トルエン溶液として市販されている。
その製造方法については、トリアルキルアルミニウムと水との直接的な反応や金属塩の水和物との反応が知られている。
【0038】
上記一般式AlRm 3-m で表される有機アルミニウム化合物としては、種々のものが例示でき、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジオクチルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムモノクロライド;メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、イソプロピルアルミニウムセスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロライド、オクチルアルミニウムセスキクロライド等のアルキルアルミニウムセスキクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、オクチルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;メトキシジエチルアルミニウム、ジイソプロポキシメチルアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム等のアルコキシ基含有アルミニウム化合物などが挙げられる。
【0039】
上記有機金属化合物のうち、硼素原子を有するルイス酸としては、一般式BR2 3 で表される化合物が挙げられる。ここで、R2 は、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有してもよいフェニル基;フッ素原子を示す。具体的には、トリフルオロ硼素、トリフェニル硼素、トリス(4−フルオロフェニル)硼素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)硼素、トリス(4−フルオロメチルフェニル)硼素、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリス(p−トリル)硼素、トリス(o−トリル)硼素、トリス(3,5−ジメチルフェニル)硼素などが例示できる。この中では、トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素が好ましい。
【0040】
また、上記有機金属化合物のうち、硼素原子を有するイオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩が例示される。
具体的には、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)硼素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)硼素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)硼素、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)硼素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)硼素などのトリアルキル置換アンモニウム塩;N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)硼素などのN,N−ジアルキルアニリニウム塩;ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラペンタフルオロフェニル硼素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)硼素などのジアルキルアンモニウム塩;トリフェニルホスフォニウムテトラ(フェニル)硼素、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)硼素などのトリアリールホスフォニウム塩等が挙げられる。さらに、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート等も例示できる。
【0041】
また、以下のようなアニオンの塩も、硼素原子を有するイオン性化合物として例示できる〔なお、以下に列挙するイオン性化合物において、対イオンは、一般例としてトリ(n−ブチル)アンモニウムを示しているがこれに限定されない〕。上記アニオンの塩としては、例えば、ビス〔トリ( n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレートなど、さらに、例えば、ボラン及びカルボラン錯化合物;カルボランアニオンの塩;カルボラン及びカルボランの塩などが例示できる。
【0042】
さらに、以下のような金属カルボランの塩及び金属ボランアニオンも、硼素原子を有するイオン性化合物として例示できる〔なお、以下に列挙するイオン性化合物において、対イオンは一般例としてトリ(n−ブチル)アンモニウムを示しているがこれに限定されない〕。
上記金属カルボランの塩及び金属ボランアニオンとしては、例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルテート(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)フェレート(鉄酸塩)(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルテート(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケレート(III) 、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)キュプレート(銅酸塩)(III) などが例示できる。
【0043】
また、本発明における触媒系には、必要に応じて、安息香酸エチル等の電子供与性化合物が添加されてもよい。これらの化合物を加えると、著しく重合活性が向上することがある。
【0044】
本発明の製造方法における重合のメカニズムの詳細については明らかでないが、銅化合物が触媒及び/又は重合開始剤として働き、銅化合物単独、又は、銅化合物及び有機金属化合物、ならびに、ビニル系単量体もしくは開環反応によって重合する化合物(以下、モノマーという)の相互作用により、モノマーの配位、挿入反応が加速されるものと考えられる。
【0045】
上記銅化合物単独、又は、銅化合物及び有機金属化合物の反応系への添加時期については、モノマー導入前、導入と同時又は導入後のいずれであってもよいが、導入前が最も好ましい。重合方法、条件等には、特に制限はなく、連続重合であってもよく、非連続重合であってもよい。
【0046】
上記重合体を得るための重合は不活性気体雰囲気下にて行なうことが好ましい。不活性気体としては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が用いられる。
【0047】
重合に使用される溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等が使用されるが、無溶媒でも重合可能である。
【0048】
重合温度は、用いた溶媒の融点から沸点までの温度範囲が好ましく、また加圧下においては、常圧での沸点以上の幅広い温度範囲において重合可能である。
例えば、室温においても、分子量分布の狭い重合体を与えることができる。
具体的な重合温度は、通常、−20℃〜200℃が好ましく、より好ましくは0℃〜120℃である。また、具体的な重合圧力は、通常、大気圧〜100kg/cm2 が好ましく、より好ましくは大気圧〜50kg/cm2 である。
【0049】
触媒として銅化合物を単独で使用する場合、その使用量は、重合容積1リットル当たり、銅原子に換算して、通常、約0.00005〜0.5ミリモルが好ましく、より好ましくは約0.0001〜0.05ミリモルである。
【0050】
触媒として銅化合物及び有機金属化合物を併用する場合、銅化合物の使用量は銅化合物単独で使用する場合と同量が好ましく、有機金属化合物の使用量は、銅化合物の銅原子1モルに対して、アルミニウム化合物の場合、アルミニウム原子が通常、約1〜10,000モルが好ましく、より好ましくは10〜5,000モルである。また、硼素原子を有するルイス酸もしくはイオン性化合物の場合には、上記銅化合物の銅原子1モルに対して、硼素原子が通常、1〜500モルが好ましく、より好ましくは1〜100モルである。
【0051】
得られる重合体の分子量は、重合温度などの条件を変更することや、公知の手段、例えば水素の使用により調節が可能である。
【0052】
上記のような重合触媒を用いて、他の遷移金属錯体系触媒を用いたときと同様に、組成分布に優れる重合体を得ることができる。具体的にゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリマーの解析において、本発明の製造方法によって得られた重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めると、1.5〜3.5と狭く、精密に制御された重合が行われていることが確認できる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
(1)銅化合物の合成
以下において、特に記述するもの以外は、乾燥蒸留した試薬を用いた。
N,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅( II )化合物の合成
▲1▼N,N,N’−トリス(トリメチルシリル)ベンズアミジンの合成
充分アルゴン置換した250mlシュレンクフラスコにテトラヒドロフラン40mlを加え、−78℃に冷却した。このフラスコに、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン10mlを加え、市販の1.6M n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液30.5mlを20分かけて滴下した。30分攪拌後、ベンゾニトリル4.9mlを10分かけて滴下した。
次いで、系の温度を常温に戻した後10時間攪拌し、減圧により溶媒を留去した後、フラスコ内に残った固体にトルエン50mlを加え、トリメチルシリルクロライド12.2mlを滴下した。さらに、フラスコに冷却管を取り付け、加熱還流を10時間行った後濾過を行い、濾液から溶媒を減圧にて留去し、目的物を得た。目的物は、減圧蒸留により精製し、白色結晶のN,N,N’−トリス(トリメチルシリル)ベンズアミジン11gを得た。
【0055】
▲2▼N,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(II)化合物の合成
充分アルゴン置換した50mlシュレンクフラスコに、上記▲1▼で調製したN,N,N’−トリス(トリメチルシリル)ベンズアミジン1.3gと無水塩化銅0.28gを加え、無水アセトニトリル(和光純薬工業社製)15mlを加え、均一溶液とした。15時間経過後濾過した濾液から、溶媒を減圧蒸留にて留去し、目的物を得た。目的物は、テトラヒドロフラン/n−ヘキサン混合溶媒中で再結晶させ、緑色結晶の銅錯体〔下記(2)式で表される化合物。(2)式中、TMSはトリメチルシリル基を表す〕0.65gを得た。同定は、IRおよび元素分析により行った。
【0056】
【化2】
Figure 0003825551
【0057】
(2)ポリエチレンの合成
300mlの耐圧ガラス容器をアルゴン置換した後、トルエン100mlを加え、上記(1)で調製したN,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(II)化合物12mg、メチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液5mlを加えた。次いで、エチレンガスを容器内に導入し、系内を1.1kg/cm2 Gに保ちながら、20℃で24時間重合を行った後、反応溶液にメタノール150mlを加えて反応を停止させ、沈殿した重合物を回収して、ポリエチレン1.5gを得た。
【0058】
得られたポリエチレンについてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び示差走査熱量計(DSC)によりポリマーの解析を行った。
GPCの溶媒には、o−ジクロロベンゼンを用いた。重量平均分子量は820,000、数平均分子量は405,000で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは2であった。また、DSCによる融解曲線のピークである融解温度は138℃であり、60℃以下には融解ピークは観測できなかった。
【0059】
(実施例2)
メチルアルミノキサン10%トルエン溶液5mlの代わりに、トリイソブチルアルミニウム(アルドリッチ社製)1Mトルエン溶液10mlを使用した以外は、実施例1と同じ条件にて、重合を行いポリエチレン2gを得た。
得られたポリエチレンにつき、実施例1と同様の評価を行ったところ、重量平均分子量は715,000、数平均分子量は388,000で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.8であった。
また、DSCによる融解曲線のピークである融解温度は137℃であり、実施例1と同様に60℃以下には融解ピークは観測できなかった。
【0060】
(実施例3)
100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン20mlを加え、実施例1の(1)で調製したN,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(II)化合物10mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液5mlを加えた後、スチレンモノマー1gをフラスコ内に導入し、20℃で72時間重合を行った。次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、クロロホルムに溶解させた反応物を、過剰のn−ヘキサンに加え、沈殿した重合物を回収して、ポリスチレン0.39gを得た。
【0061】
得られたポリスチレンの解析は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)及び核磁気共鳴装置(NMR)により行った。GPCの溶媒には、テトラヒドロフランを用いた。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は45,000、数平均分子量は29,000で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.55であった。核磁気共鳴装置(NMR)による、立体規則性の解析では、アイソタクチックの立体規則性を示した。
【0062】
(実施例4)
メチルアルミノキサン10%トルエン溶液5mlの代わりに、トリイソブチルアルミニウム(アルドリッチ社製)1Mトルエン溶液5mlを使用した以外は、実施例3と同じ条件にて、重合を行いポリスチレン0.35gを得た。
得られたポリスチレンにつき、実施例1と同様のGPC評価を行ったところ、重量平均分子量は52,000、数平均分子量は35,000で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.49であった。
【0063】
(実施例5)
100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン20mlを加え、実施例の(1)で調製したN,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(II)化合物10mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液5mlを加えた後、アクリロニトリル1.3gをフラスコ内に導入し、20℃で24時間重合を行った。次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、ジメチルホルムアミドに溶解させた反応物を、過剰のイソプロパノールに加えて沈殿した重合物を回収して、ポリアクリロニトリル0.89gを得た。
【0064】
得られたポリアクリロニトリルにつき、実施例1と同様のGPC評価を行った。GPCの溶媒には、ジメチルホルムアミドを用い、正確なピークを得るために0.1Mの臭化リチウム溶液とした。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は155,000、数平均分子量は102,000で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.52であった。
【0065】
(実施例6)
メチルアルミノキサン10%トルエン溶液5mlの代わりに、トリイソブチルアルミニウム(アルドリッチ社製)1Mトルエン溶液5mlを使用したこと以外は、実施例5と同じ条件にて、重合を行いポリスチレン0.76gを得た。
得られたポリスチレンにつき、実施例1と同様のGPC評価を行ったところ、重量平均分子量は112,000、数平均分子量は81,000で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.38であった。
【0066】
(実施例7)
100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン10mlを加え、実施例1の(1)で調製したN,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(II)化合物30mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液2mlを加えた後、ε−カプロラクトン1.2gをフラスコ内に導入し、30℃で24時間重合を行った。次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、ジメチルホルムアミドに溶解させた反応物を過剰のイソプロパノールに加え、沈殿した重合物を回収して、ポリ(ε−カプロラクトン)1.11gを得た。
【0067】
得られたポリ(ε−カプロラクトン)につき、実施例1と同様のGPC評価を行った。GPCの溶媒には、クロロホルムを用いた。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は32,600、数平均分子量は25,200で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.29であった。
【0068】
(実施例8)
50mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン10mlを加え、実施例1の(1)で調製したN,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト銅(II)化合物18.0mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液0.5mlを加えた後、プロピレンオキサイド1.66gをフラスコ内に導入し、0℃で24時間重合を行った。次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、減圧下で溶媒を留去した反応物を、過剰のn−ヘキサンに加え、沈殿した重合物を回収して、プロピレンオキサイド開環重合物1.42gを得た。
【0069】
得られたプロピレンオキサイド開環重合物につき、実施例1と同様のGPC評価を行った。GPCの溶媒には、テトラヒドロフランを用いた。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は249,000、数平均分子量は140,900で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.77であった。
【0070】
(実施例9)
100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン20mlを加え、市販の銅(II)アセチルアセトナト化合物10mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液2mlを加えた後、メタクリル酸メチル1.3gをフラスコ内に導入し、30℃で24時間重合を行った。
次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、クロロホルムに溶解させた反応物を、過剰のメタノールに加え、沈殿した重合物を回収して、ポリメタクリル酸メチル0.86gを得た。
【0071】
得られたポリメタクリル酸メチルにつき、実施例1と同様のGPC評価を行った。GPCの溶媒には、テトラヒドロフランを用いた。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は35,000、数平均分子量は28,500で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.23であった。
【0072】
(実施例10)
(1)銅化合物の合成
8−キノリノール2分子銅( II )錯体の合成
市販の酢酸銅2.63gを酢酸/酢酸ナトリウム緩衝溶液(酢酸0.1M、酢酸ナトリウム0.1M水溶液を等量混合したもの)300mlに溶解させた。
この溶液に市販の8−キノリノール4gを加え、1時間常温にて撹拌した後、黄緑色の沈殿を生成させた。得られた黄緑色の沈殿を濾過し、蒸留水にて洗浄した後真空乾燥し、(3)式で表される緑橙色の化合物〔8−キノリノール2分子銅(II)〕4.4gを得た。
【0073】
【化3】
Figure 0003825551
【0074】
(2)ポリアクリル酸n−ブチルの合成
100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン20mlを加え、上記(1)で調製した8−キノリノール2分子銅(II)25mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液2mlを加えた後、アクリル酸n−ブチル2.3gをフラスコ内に導入し、0℃で24時間重合を行った。次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、クロロホルムに溶解させた反応物を、過剰のメタノールに加え、沈殿した重合物を回収して、ポリアクリル酸n−ブチル2gを得た。
【0075】
得られたポリアクリル酸n−ブチルにつき、実施例1と同様のGPC評価を行った。GPCの溶媒には、テトラヒドロフランを用いた。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は80,100、数平均分子量は57,000で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.41であった。
【0076】
(実施例11)
100mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン7mlを加え、実施例10の(1)で調製した8−キノリノール2分子銅(II)12mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液2mlを加えた後、メタクリル酸メチル1.3gをフラスコ内に導入し、30℃で24時間重合を行った。次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、クロロホルムに溶解させた反応物を、過剰のメタノールに加え、沈殿した重合物を回収して、ポリメタクリル酸メチル0.75gを得た。
【0077】
得られたポリメタクリル酸メチルにつき、実施例1と同様のGPC評価を行った。GPCの溶媒には、テトラヒドロフランを用いた。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は19,800、数平均分子量は15,200で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.30であった。
【0078】
(実施例12)
50mlのシュレンクフラスコをアルゴン置換した後トルエン34mlを加え、実施例10の(1)で調製した8−キノリノール2分子銅(II)10.8mg及びメチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)10%トルエン溶液0.5mlを加えた後、アクリル酸n−ブチル3.9gをフラスコ内に導入し、0℃で48時間重合を行った。次いで、反応溶液にメタノール30mlを加えて反応を停止させ、触媒残渣を除いた後、クロロホルムに溶解させた反応物を、過剰のメタノールに加え、沈殿した重合物を回収して、ポリアクリル酸n−ブチル2.8gを得た。
【0079】
得られたポリアクリル酸n−ブチルにつき、実施例1と同様のGPC評価を行った。GPCの溶媒には、テトラヒドロフランを用いた。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は170,500、数平均分子量は101,500で、分子量分布を示す、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnは1.68であった。
【0080】
【発明の効果】
本発明の銅化合物を用いた重合体の製造方法は、上述の構成であり、重合触媒として、安定性に優れると共に取り扱いが容易であり、かつ安価な銅系触媒を使用するので、分子量分布の狭い重合体を容易かつ安価に提供する。

Claims (3)

  1. エチレン、1−ブテン、1−へキセン、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル又はメタクリル酸フェニルを重合するに際して、触媒及び/又は重合開始剤として、一般式LCuX又はL(L’)CuXで表される銅化合物(式中、L及びL’は、N,N’−ジメチルアミジナト、N,N’−ジエチルアミジナト、N,N’−ジイソプロピルアミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルアミジナト、N,N’−トリフルオロメチルアミジナト、N,N’−ジフェニルアミジナト、N,N’−ジ置換フェニルアミジナト、N,N’−ジトリメチルシリルアミジナト、N,N’−ジメチルベンズアミジナト、N,N’−ジエチルベンズアミジナト、N,N’−ジイソプロピルベンズアミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルベンズアミジナト、N,N’−トリフルオロメチルベンズアミジナト、N,N’−ジフェニルベンズアミジナト、N,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト、N,N’−ジ置換フェニルベンズアミジナト配位化合物から選択されるN配位配位子、又は、8−キノリノール又はアセチルアセトナトからなるO配位配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を示す。nは0〜2の整数である)を、助触媒としてアルミノキサン、トリアルキルアルミニウム、アルケニルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムモノクロライド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、及びアルキルアルミニウムジクロライドからなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする銅化合物を用いた重合体の製造方法。
  2. β−プロピオラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、α,α’−ジメチル−β−プロピオラクトン、α−ビニル−β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン又はプロピレンオキサイドを重合するに際して、触媒及び/又は重合開始剤として一般式LCuX又はL(L’)CuXで表される銅化合物(式中、L及びL’は、N,N’−ジメチルアミジナト、N,N’−ジエチルアミジナト、N,N’−ジイソプロピルアミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルアミジナト、N,N’−トリフルオロメチルアミジナト、N,N’−ジフェニルアミジナト、N,N’−ジ置換フェニルアミジナト、N,N’−ジトリメチルシリルアミジナト、N,N’−ジメチルベンズアミジナト、N,N’−ジエチルベンズアミジナト、N,N’−ジイソプロピルベンズアミジナト、N,N’−ジ−t−ブチルベンズアミジナト、N,N’−トリフルオロメチルベンズアミジナト、N,N’−ジフェニルベンズアミジナト、N,N’−ジトリメチルシリルベンズアミジナト、N,N’−ジ置換フェニルベンズアミジナト配位化合物から選択されるN配位配位子、又は、8−キノリノール又はアセチルアセトナトからなるO配位配位子を示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオキシ基、アリロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基又はアリル基を示す。nは0〜2の整数である)を、助触媒としてアルミノキサン、トリアルキルアルミニウム、アルケニルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムモノクロライド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、及びアルキルアルミニウムジクロライドからなる群より選択される少なくとも1種を用いることを特徴とする銅化合物を用いた重合体の製造方法。
  3. 開環反応によって重合する化合物がラクトンであることを特徴とする請求項2記載の銅化合物を用いた重合体の製造方法。
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