JP3823950B2 - 建築板の外壁施工構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,建築物の外壁材として施工する建築板であって,特に木目調の凹凸模様を形成した意匠表面に塗装を行って形成した建築板外壁施工構造に関する。
【0002】
【従来技術】
建築物の外壁として施工するために量産される建築板においては,単調な仕上り感を避けるために,建築板の意匠表面に形成する凹凸模様の形状の工夫,この意匠表面に行う塗装の仕方の工夫等がなされている。
そして,例えば,特許文献1においては,建築板の意匠表面に複数の凹溝を形成し,この複数の凹溝のうちの少なくとも1つの凹溝の傾斜側面は,残りの凹溝の傾斜側面とは異なる模様に形成している。そして,光が照射されたときの反射状態がすべての凹溝では等しくなく,見る方向によって意匠外観が異なる建築板を形成している。
【0003】
また,特許文献2においては,建築板の意匠表面に複数の単位波形による断面波形模様を形成し,単位波形の一方の側面を急斜面に他方の側面を緩斜面に形成している。そして,各単位波形における急斜面と緩斜面とを形成する方向を一定させず,急斜面及び緩斜面をランダムに形成することによって,立体的で面白味のある意匠外観を呈する建築板を形成している。
【0004】
【特許文献1】
特許第2957566号公報
【特許文献2】
特開2000−234430号公報
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記特許文献1の建築板においては,上記複数の凹溝は,建築板の一方向に沿って並ぶ帯状に形成されており,上記建築板は,単調な凹凸外観を呈している。また,上記複数の凹溝のうちの上記異なる模様を有する傾斜側面は,複数の凹溝の一部に形成していると共に,その形成方向が一定していない。そのため,特許文献1の建築板によっては,特殊な陰影効果を発揮し,木目調をリアルに再現した意匠外観を呈することはできない。
【0006】
また,上記特許文献2の建築板においても,複数の単位波形は,建築板の一方向に沿って並ぶ帯状に形成されており,上記建築板は,単調な凹凸外観を呈している。また,各単位波形における急斜面と緩斜面との形成方向が一定していない。そのため,特許文献2の建築板によっても,特殊な陰影効果を発揮し,木目調をリアルに再現した意匠外観を呈することはできない。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,微細な陰影効果も加わった縞状の陰影効果を発揮することができ,木目調をリアルに再現した意匠外観を呈することができる建築板外壁施工構造を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
参考発明は,木目調を呈するための複数の木目形成凸部を形成してなる原板の表面に,塗料層を設けてなる建築板において,
上記各木目形成凸部は,上記木目調の形成方向に直交する直交方向断面において,それぞれ上記建築板の一方端側に位置する一方側壁面よりも,他方端側に位置する他方側壁面が緩やかな緩傾斜状に形成されており,
上記一方側壁面は微細凹凸を有する粗面に形成されており,また,上記他方側壁面は略平滑な平滑面に形成されており,
上記木目形成凸部の頂点部から谷部までの高さは,1〜2.5mmであり,上記微細凹凸の深さは,0.3〜1mmであり,
上記各木目形成凸部は,上記建築板の長手方向に沿って形成されていることを特徴とする建築板にある
【0009】
上記木目調とは,樹木を挽いた断面において,この樹木の内部に形成された年輪による外観とほぼ同様の外観もしくはこれに近似した外観のことをいう。また,上記木目調の形成方向とは,この木目調が表現しようとする樹木の長手方向(樹木が伸びる方向)のことをいう。
【0010】
本発明の建築板においては,上記各木目形成凸部は,上記建築板の一方端側に位置する一方側壁面よりも,他方端側に位置する他方側壁面が緩やかな緩傾斜状に形成されている。そして,各木目形成凸部における一方側壁面は,上記建築板の一方端側を向く明確な方向性を有して形成されている。
そのため,上記建築板に光が照射されたときには,各木目形成凸部における各一方側壁面と各他方側壁面とに照射される光の反射の仕方が異なり,建築板の意匠表面に,明確な方向性を有する縞状の陰影効果を発揮させることができる。
【0011】
さらに,本発明の建築板においては,各木目形成凸部における各一方側壁面は,多数の微細凹凸を有する粗面に形成されており,各他方側壁面は,略平滑な平滑面に形成されている。そのため,各一方側壁面においては,照射された光が上記微細凹凸によって乱反射を行う一方,各他方側壁面においては,照射された光がほとんど乱反射を行わない。これにより,各一方側壁面には,例えば切削加工を行った木材の表面のような木材特有の微細な陰影効果を発揮させることができる。
それ故,本発明の建築板は,上記微細な陰影効果も加わった縞状の陰影効果を発揮することができ,木目調をリアルに再現した意匠外観を呈することができる。
【0012】
発明は,木目調を呈するための複数の木目形成凸部を形成してなる原板の表面に塗料層を設けてなる建築板を,建築物の構造躯体に取り付けてなる建築板の外壁施工構造において,
上記建築板における各木目形成凸部は,上記木目調の形成方向に直交する直交方向断面において,それぞれ上記建築板の一方端側に位置する一方側壁面よりも,他方端側に位置する他方側壁面が緩やかな緩傾斜状に形成されており,また,上記一方側壁面は微細凹凸を有する粗面に形成されており,上記他方側壁面は略平滑な平滑面に形成されており,
かつ,上記建築板は,上記各一方側壁面が上向きになるよう建築物の構造躯体に取り付けられていることを特徴とする建築板の外壁施工構造にある(請求項)。
【0013】
本発明の建築板の外壁施工構造は,上記微細な陰影効果も加わった縞状の陰影効果を発揮し,木目調をリアルに再現した意匠外観を呈する建築板を,外壁材として,建築物の構造躯体に取り付けてなる。そして,この建築板は,その各木目形成凸部における各一方側壁面が上向きになるよう取り付けている。
【0014】
そのため,上記上向きに配された各木目形成凸部における各一方側壁面には,太陽光による光が照射され易く,一方で,下向きに配された各木目形成凸部における各他方側壁面には,太陽光による光が照射され難い状態を形成することができる。これにより,各一方側壁面における微細凹凸が乱反射を行う状態が一層顕著になり,上記微細な陰影効果を一層顕著に発揮することができる。
それ故,本発明の建築板の外壁施工構造によれば,上記微細な陰影効果が顕著に加わった縞状の陰影効果を発揮することができ,木目調をリアルに再現した意匠外観を呈することができる建築物の外壁を形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における建築板外壁施工構造にかかる好ましい実施の形態につき説明する。
発明において,上記建築板としては,例えば量産を行う無機質建築板がある。また,無機質建築板としては,例えば窯業系建築板がある。
また,上記塗料層は,上記原板の表面に塗装した下塗り層と,この下塗り層の表面に塗装した上塗り層とにより形成することができる。また,上記塗料層の最表面には,耐候性,耐透水性等を向上させるためのクリアー層を形成することができる。
【0016】
発明において,上記建築板における塗料層は,単色の塗料からなることが好ましい(請求項)。
この場合には,上記塗料層の形成が容易であり,上記建築板の製造も容易である。そして,上記建築板における特殊な陰影効果は,塗料層によらず,上記各木目形成凸部における一方側壁面と他方側壁面との形状によって発揮することができる。
また,この場合には,上記建築板の外壁施工構造は,上記単色の塗料からなる塗料層が形成された建築板によって,上記特殊な陰影効果を発揮することができる。
【0017】
また,上記建築板における複数の木目形成凸部は,上記木目調における板目部分と柾目部分とを形成してなることが好ましい(請求項)。
この場合には,上記建築板は,上記微細な陰影効果も加わった縞状の陰影効果を発揮することができ,木目調を一層リアルに再現した意匠外観を呈することができる。
また,この場合には,上記建築板の外壁施工構造においても,上記微細な陰影効果も加わった縞状の陰影効果を発揮することができ,木目調を一層リアルに再現した意匠外観を呈することができる建築物の外壁を形成することができる。
【0018】
【実施例】
以下に,図面を用いて本発明の建築板外壁施工構造にかかる実施例につき説明する。
(実施例1)
本例の建築板1は,図1〜図3に示すごとく,木目調203を呈するための複数の木目形成凸部21を形成してなる原板2の表面に,塗料層3を設けてなる。
上記各木目形成凸部21は,上記木目調203の形成方向(長手方向)Lに直交する直交方向Wの断面において,それぞれ上記建築板1の一方端側D1に位置する一方側壁面211よりも,他方端側D2に位置する他方側壁面212が緩やかな緩傾斜状に形成されている。
【0019】
また,上記各木目形成凸部21における各一方側壁面211は,多数の微細凹凸23を有する粗面に形成されており,各他方側壁面212は,略平滑な平滑面に形成されている。また,上記木目形成凸部21同士の間には,谷部22が形成されている。
以下に,これを詳説する。
【0020】
図1〜図3に示すごとく,本例の建築板1は,量産可能な窯業系建築板1でありながら,木材を挽いたときの切断面の外観に近似した木目調203の凹凸外観を有するものである。
図1,図2は,上記建築板1を,上記木目調203の形成方向(長手方向)Lに直交する直交方向Wにおいて切断して観察した断面説明図である。また,図3は,建築板1の意匠表面101を観察した平面図である。
【0021】
上記各木目形成凸部21は,上記建築板1が表現しようとする木材(樹木)における年輪の晩材部を表現するものであり,上記各谷部22は,上記年輪の早材部を表現するものである。上記早材部とは,1年間に形成される1年輪において,春から初夏にかけて樹木の成長が早い時期にできる部分をいい,上記晩材部とは,初夏以後,樹木の生長が緩やかな時期にできる部分をいう。
【0022】
そして,本例の各木目形成凸部21は,上記年輪の外観を呈する木材(樹木)において,晩材部の硬さが早材部の硬さよりも硬いことに対応して,原板2の表面に突出形成したものである。
また,上記各木目形成凸部21における一方側壁面211を形成した側である建築板1の一方端側D1は,上記複数の木目形成凸部21により表現しようとする木目調203のモデルになった樹木40の中心O,すなわち樹木の髄Oのある側としている(図4参照)。
【0023】
また,図1,図2に示すごとく,上記各木目形成凸部21における一方側壁面211及び他方側壁面212は,いずれも傾斜状に形成されており,一方側壁面211の傾斜角度は他方側壁面212の傾斜角度よりも急に形成されている。すなわち,一方側壁面211は急な急傾斜状に形成されており,他方側壁面212は一方側壁面211よりも緩やかな緩傾斜状に形成されている。
そして,上記傾斜角度の違いに応じて,上記建築板1の直交方向Wの断面における上記他方側壁面212の幅は,上記一方側壁面211の幅よりも広くなっている。
【0024】
また,上記各木目形成凸部21は,上記直交方向Wの断面において,それぞれ上記建築板1の一方端側D1に位置する急傾斜状の一方側壁面211と,他方端側D2に位置する緩傾斜状の他方側壁面212とが合わさった山形形状に形成されている。そして,直交方向Wの断面において,各木目形成凸部21の頂点部210は,緩やかな円弧状に形成されている。
【0025】
また,各木目形成凸部21においては,上記一方端側D1を向くいずれの一方側壁面211も急傾斜状に形成されており,上記他方端側D2を向くいずれの一方側壁面212も緩傾斜状に形成されている。そして,一方側壁面211と他方側壁面212とが対になって木目形成凸部21を形成しており,建築板1の意匠表面101は,急傾斜状の一方側壁面211と緩傾斜状の他方側壁面212とが交互に配された波状表面を形成している。
【0026】
本例の建築板1の意匠表面101は,図5に示すような早材部412よりも硬さの硬い晩材部411が傾斜突出してなる木材4の表面401を転写して,形成したものである。そのため,建築板の意匠表面101においては,急傾斜状の一方側壁面211→緩傾斜状の他方側壁面212→急傾斜状の一方側壁面211→緩傾斜状の他方側壁面212・・・というように急傾斜面と緩傾斜面とが必ず交互に形成されている。
【0027】
また,上記多数の微細凹凸23は,上記急傾斜状の一方側壁面211に形成されているだけでなく,若干は上記緩傾斜状の他方側壁面212にも引き続いて形成されている。そして,この微細凹凸23の深さは,例えば0.3〜1mmとすることができる。なお,この深さが0.3mm未満であると,切削加工を行った木材の表面のような木材特有の微細な陰影効果を発揮できないおそれがあり,1mmを越えると,微細凹凸23が欠損してしまうおそれがある。
また,上記他方側壁面212における略平滑な平滑面は,完全な平滑面ではなく,上記原板2を構成する原料中に含まれる成分による極微細な凹凸(ざらつき感)を有している。
【0028】
また,図2に示すごとく,上記木目形成凸部21が上記谷部22から突出する突出高さH1,すなわち木目形成凸部21の頂点部210から谷部22までの高さH1は,例えば,1〜2.5mmとすることができる。本例では,この突出高さH1は,約2mmとした。なお,この高さH1が1mm未満であると,建築板1の意匠表面101に縞状の陰影効果を発揮できなくなるおそれがあり,2.5mmを越えると,木目形成凸部21が欠損してしまうおそれがある。
【0029】
また,上記各木目形成凸部21が上記建築板1の裏面102から突出する意匠表面突出高さH2,すなわち建築板1の裏面102から各木目形成凸部21の頂点部210までの高さ(建築板1の厚み)H2は,木目形成凸部21全体でほぼ同一の高さ(厚み)となっている。なお,建築板1の厚みH2は,適宜選択することができる。
【0030】
図4は,樹木40をこれが伸びる長手方向Lに沿って挽いたときに,その切断断面に現れる外観を示す図である。そして,上記建築板1の意匠表面101において表現する木目調203は,同図に示すごとく,樹木40の中心(髄)Oからずれた位置X1で挽いたときに現れる板目部分204と柾目部分205とが混在する外観であって,板目部分204の途中から柾目部分205にかけての切断断面の片側部分の外観を表現するものである。
これ以外にも,上記木目調203は,樹木40の中心(髄)Oの位置X0又はその近傍の位置X0を通って挽いたときに現れる柾目部分205のみの外観であって,柾目部分205の切断断面の片側部分の外観を表現することもできる。
【0031】
こうして,図1.図3に示すごとく,上記複数の木目形成凸部21は,上記木目調203における板目部分204と柾目部分205とを形成している。
そして,図3に示すごとく,上記柾目部分205における各木目形成凸部21は,上記木目調203の形成方向Lに向けて,波状に曲がった長尺状に形成されている。また,柾目部分205における互いに隣接する木目形成凸部21は,上記木目調203の形成方向Lに向けて,互いに平行に近い状態で形成されている。また,上記板目部分204における木目形成凸部21は,上記木目調203の形成方向Lに向けて,波状に曲がった帯状に形成されている。
【0032】
また,上記板目部分204における木目形成凸部21同士の間の間隔は,上記柾目部分205における木目形成凸部21同士の間の間隔よりも広くなっている。本例では,上記柾目部分205における木目形成凸部21同士の間の間隔は,1〜15mmとなっており,上記板目部分204における木目形成凸部21同士の間の間隔は,15mm以上となっている。
【0033】
また,図1,図3に示すごとく,上記建築板1の意匠表面101には,上記木目形成凸部21による木目調203を形成した木目調形成領域25と,この木目調形成領域25よりも陥没した目地溝26とが形成されている。また,本例の目地溝26は,縦目地溝として上記建築板1の長手方向Lに沿って形成した。なお,上記目地溝26は,上記縦目地溝と,これに直交する直交方向Wに沿って形成した横目地溝とにより構成してもよい。
【0034】
また,本例においては,上記木目調形成領域25毎に,上記木目調203の板目部分204と木目調203の柾目部分205とを形成した。すなわち,各木目調形成領域25における上記建築板1の一方端側D1に近い部分には,上記複数の木目形成凸部21により上記板目部分204を形成し,残りの部分には,上記複数の木目形成凸部21により上記柾目部分205を形成した。
すなわち,各木目調形成領域25においても,上記直交方向Wの断面において,建築板1の一方端側D1に位置する各一方側壁面211は急傾斜状に形成し,他方端側D2に位置する各他方側壁面212は緩傾斜状に形成し,かつ微細凹凸23は各一方側壁面211に形成した。
【0035】
また,図2に示すごとく,本例の建築板1における塗料層3は,シーラー塗装による下塗り層31と,この下塗り層31の表面に形成した単色の塗料からなる上塗り層32とを有してなる。そして,上記建築板1は,上記複数の木目形成凸部21を形成した原板2の表面に,上記下塗り層31を形成し,この下塗り層31の表面に上記上塗り層32を形成してなる。
そして,本例の建築板1は,上記上塗り層32の色外観によらず,上記各木目形成凸部21における各一方側壁面211と各他方側壁面212との形状によって,特殊な陰影効果を発揮することができるものである。
【0036】
次に,上記建築板1を製造する方法につき説明する。
上記建築板1を製造するに当たっては,まず,これを型成形(フォーミング)するための成形型を製作する。
すなわち,板目部分と柾目部分との木目調の年輪の外観を呈する木材を準備し,この木材の表面を所定の圧力を加えた状態で切削する。このとき,木材の各年輪における晩材部は,硬いためにあまり削り取られず,一方で,早材部は,晩材部よりも軟らかいために多く削り取られる。
【0037】
そして,晩材部が山形状に突出し,この晩材部における上記木材の中心(髄)O側(図4参照)に位置する側壁面は急傾斜状に形成され,反対側に位置する側壁面は緩傾斜状に形成される。その後,上記晩材部が突出した木材の表面をさらに所定の圧力で切削することにより,晩材部の急傾斜状の側壁面に微細な凹凸を形成される。
こうして,上記切削加工を行った木材のモデルを製作し,このモデルの切削表面を転写して成形型を製作することができる。
【0038】
そして,以下の型成形及び塗装を行って原板2の表面に塗料層3を設けてなる建築板1を量産することができる。
すなわち,上記原板2を成形するに当たっては,上記成形型内に,セメント質原料(セメント,ケイ酸原料等)に木質原料(木繊維,木チップ等),添加剤及び水等を混合してなる混合原料を散布する。そして,上記成形型により原板2としてのセメント系原板2を成形し,これを上記成形型から取り出す。そして,このセメント系原板2の表面には,成形型の成形面により,上記粗面に形成された一方側壁面211と上記平滑面に形成された他方側壁面212とを有する複数の木目形成凸部21が形成される。
【0039】
次いで,上記セメント系原板2の表面に,シーラー塗装を行って下塗り層31を形成し,この下塗り層31の表面に単色の塗料を塗装して上塗り層32を形成する。その後,上塗り層32の表面に,耐候性,耐透水性等を向上させるためのクリアー塗料を塗装してクリアー層を形成し,上記建築板1を製造することができる。
【0040】
上記のようにして製造した建築板1においては,上記各木目形成凸部21は,上記建築板1の一方端側D1に位置する各一方側壁面211が急傾斜状に形成されており,他方端側D2に位置する各他方側壁面212が緩傾斜状に形成されている。そして,各木目形成凸部21における各一方側壁面211は,上記建築板1の一方端側D1を向く明確な方向性を有して形成されている。
そのため,上記建築板1に光が照射されたときには,各木目形成凸部21における各一方側壁面211と各他方側壁面212とに照射される光の反射の仕方が異なり,建築板1の意匠表面101に,明確な方向性を有する縞状の陰影効果を発揮させることができる。
【0041】
さらに,上記建築板1においては,各木目形成凸部21における各一方側壁面211は,多数の微細凹凸23を有する粗面に形成されており,各他方側壁面212は,略平滑な平滑面に形成されている。そのため,各一方側壁面211においては,照射された光が上記微細凹凸23によって乱反射を行う一方,各他方側壁面212においては,照射された光がほとんど乱反射を行わない。これにより,各一方側壁面211には,例えば切削加工を行った木材の表面のような木材特有の微細な陰影効果を発揮させることができ,建築板1の意匠表面101における艶が目立たなくすることができる。
【0042】
また,上記各一方側壁面211は,上記多数の微細凹凸23を形成した粗面により,木材の表面をプレーナにより切削加工したときに生ずる逆目彫りの毛羽立ったような質感を表現することができる。また,上記各一方側壁面211における多数の微細凹凸23が乱反射を行うため,建築板1の意匠表面101に生ずる艶を少なくすることができる。
【0043】
そのため,上記各一方側壁面211に多数の微細凹凸23を設けた形状により,艶消し効果を発揮することができ,上記上塗り層32を構成する塗料に含有させる艶消し材の量を少なくすることができる。
それ故,上記建築板1は,上記微細な陰影効果も加わった縞状の陰影効果を発揮することができる。また,上記建築板1は,木材が風化したときに得られるような意匠外観を呈することができ,木目調203をリアルに再現することができる。
【0044】
また,上記建築板1の表面に表現される色外観は,上記単色の塗料からなる上塗り層32により表現されている。そのため,上記建築板1の表面に表現される色外観は単色であるにも拘らず,上記複数の木目形成凸部21により,上記特殊な陰影効果を発揮することができる。
また,上記建築板1は,上記上塗り層32は単色の塗料から形成しているため,多色の塗料の塗り分けや,掻取り等は行っていない。
そのため,上記上塗り層32の形成が容易であり,上記建築板1の製造も容易である。そのため,上記優れた作用効果を有する建築板1を効率よく量産することができる。
【0045】
また,後述する実施例2に示すように,本例の建築板1は,上記一方端側D1を上向きに,すなわち各木目形成凸部21の各一方側壁面211を上向きにして,建築物の外壁を形成することを想定している。
そして,図6に示すごとく,太陽光Yによる照射が急傾斜状の各他方側壁面212にだけでなく緩傾斜状の各一方側壁面211にも及んだ状態を,建築板1の下方から観察者Gが観察したときに,各他方側壁面212においては,光Y2が反射して表面の艶が見え易くなる一方,各一方側壁面211においては,光Y1が乱反射して表面の艶がほとんど見えなくなる。
【0046】
このように,上記建築板1においては,意匠表面101における艶の生じ方が一方側壁面211と他方側壁面212とで大きく異なっている。そのため,上記建築板1は単色塗装を行ったものであるにも拘らず,多色塗装により複数の色彩を表現したかのような外観を呈することができる。そして,上記単色塗装を行った建築板1は,年輪の外観を呈する木材表面における濃淡を表現したかのような外観を呈することができる。
【0047】
(実施例2)
本例においては,図7に示すごとく,上記実施例1に示した建築板1を,建築物の外壁材として建築物の構造躯体6に取り付けて,建築板1の外壁施工構造を形成した。そして,本例の建築板1の外壁施工構造は,上記各木目形成凸部21の各一方側壁面211が上向きになるよう,複数の建築板1を取り付けてなる。
また,複数の建築板1は,その長手方向Lを横向きにした状態で,上方向に向けて隣接配置して,構造躯体6に取り付けられている。そして,各建築板1は,上記急傾斜状で上記微細凹凸23を有する粗面からなる各一方側壁面211が向けられた一方端105を上向きに,上記緩傾斜状で上記平滑面からなる各他方側壁面212が向けられた他方端106を下向きにして取り付けられている。
【0048】
上記建築板1の一方端105には,下実部11が形成されており,他方端106には,上実部12及び内実部13が形成されている。また,本例では,建築板1の一方端105及び他方端106は,上記長手方向Lに平行な一対の長尺端部としている。
なお,下実部11とは,建築板1の裏面102側の部分を,建築板1の端部(一方端105)からその面方向に向けて突出させてなる部分をいう。また,上実部12とは,建築板1の意匠表面101側の部分を,建築板1の端部(他方端106)からその面方向に向けて突出させてなる部分をいう。また,内実部13とは,上実部12の裏面102側に位置する係止部をいう。
【0049】
また,互いに上下に隣接配置された下側の建築板1Aと上側の建築板1Bとは,下側の建築板1Aの下実部11が上側の建築板1Bの内実部13内に配置され,下側の建築板1Aの下実部11の表面を上側の建築板1Bの上実部12で覆って,建築物の構造躯体6に取り付けられている。なお,これらの建築板1の取付は,取付金具61を用いて行うことができる。
【0050】
本例の建築板1の外壁施工構造は,上記実施例1に示した優れた作用効果を有する複数の建築板1を,外壁材として建築物の構造躯体6に取り付けてなる。そして,各建築板1は,その各木目形成凸部21における各一方側壁面211が上向きになるよう取り付けられている。そのため,上記上向きに配された各木目形成凸部21における各一方側壁面211には,太陽光Yによる光が照射され易く,一方で,下向きに配された各木目形成凸部21における各他方側壁面212には,太陽光Yによる光が照射され難い状態を形成することができる。これにより,各一方側壁面211における微細凹凸23が乱反射を行う状態が一層顕著になり,上記微細な陰影効果を一層顕著に発揮することができる。
【0051】
それ故,本例の建築板1の外壁施工構造によれば,上記微細な陰影効果が顕著に加わった縞状の陰影効果を発揮することができ,木目調203をリアルに再現した意匠外観を呈することができる建築物の外壁を形成することができる。
本例においても,その他は上記実施例1と同様であり,上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,建築板を示す断面説明図。
【図2】実施例1における,建築板を示す断面拡大説明図。
【図3】実施例1における,建築板を示す平面図。
【図4】実施例1における,樹木を挽いたときの切断断面の状態を示す説明図。
【図5】実施例1における,早材部よりも硬さの硬い晩材部が傾斜突出してなる木材の表面を示す説明図。
【図6】実施例1における,建築板の意匠表面における光の反射状態を示す説明図。
【図7】実施例2における,建築板の外壁施工構造を示す断面説明図。
【符号の説明】
1...建築板,
101...意匠表面,
102...裏面,
2...セメント系原板,
203...木目調,
204...板目部分,
205...柾目部分,
21...木目形成凸部,
211...一方側壁面,
212...他方側壁面,
22...谷部,
23...微細凹凸,
3...塗料層,
6...構造躯体,
D1...一方端側,
D2...他方端側,
L...木目調の形成方向(長手方向),
W...直交方向,

Claims (3)

  1. 木目調を呈するための複数の木目形成凸部を形成してなる原板の表面に塗料層を設けてなる建築板を,建築物の構造躯体に取り付けてなる建築板の外壁施工構造において,
    上記建築板における各木目形成凸部は,上記木目調の形成方向に直交する直交方向断面において,それぞれ上記建築板の一方端側に位置する一方側壁面よりも,他方端側に位置する他方側壁面が緩やかな緩傾斜状に形成されており,また,上記一方側壁面は微細凹凸を有する粗面に形成されており,上記他方側壁面は略平滑な平滑面に形成されており,
    かつ,上記建築板は,上記各一方側壁面が上向きになるよう建築物の構造躯体に取り付けられていることを特徴とする建築板の外壁施工構造。
  2. 請求項1において,上記建築板における塗料層は,単色の塗料からなることを特徴とする建築板の外壁施工構造。
  3. 請求項1又は2において,上記建築板における複数の木目形成凸部は,上記木目調における板目部分と柾目部分とを形成してなることを特徴とする建築板の外壁施工構造。
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