JP3822665B2 - 疲労強度が優れた溶接継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、おもに船舶、海洋構造物、橋梁、建設機械などの溶接構造物に用いられる疲労強度が優れた溶接継手であり、さらに詳しくは、溶接継手の溶接熱影響部(以下、Heat Affected Zone:HAZと記す)において、疲労き裂の伝播速度を遅くすることが可能なフェライト組織の面積率を高くすることにより、疲労強度を向上させた溶接継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造物の大型化にともない、構造部材の重量低減が近年の重要な課題となっており、これを実現するために構造物に使用される鋼の高張力化が進んでいる。しかしながら、船舶、海洋構造物、橋梁、建設機械などでは使用期間中に繰り返し荷重を受けるために、このような構造物においては疲労破壊を防止するための配慮が必要である。疲労破壊が最も発生し易い部位は溶接継手部であることから、溶接継手の疲労強度を向上することが求められている。
【0003】
これまでに、溶接継手の疲労強度支配要因と疲労強度改善に関する膨大な研究がなされており、溶接継手の疲労強度改善は、グラインダー研削や溶接ビード最終層を加熱・再溶融により止端部形状を整形するなどの溶接止端部の形状改善によるもの、ショットピーニング処理などの溶接止端部圧縮応力生成によるものなど、溶接後の付加的な施工による改善がほとんどであった。(特開昭59−110490号公報、特開平1−301823号公報など)。また、溶接後熱処理による残留応力低減効果も従来からよく知られている。
【0004】
一方、上記のような特殊な施工や溶接後熱処理を用いず、溶接したままでも鋼材の成分によって、溶接部の疲労強度を改善する方法も提案されている。
特開平3−264645号公報では、Siにより清浄なポリゴナルフェライト形成を有利にし、Bにより鋼を強化し、焼入れ性を向上することにより、良好な伸びフランジ性、疲労特性、抵抗溶接性を得ることを目的として、C:0.01〜0.2%、Mn:0.6〜2.5%、Si:0.02〜1.5%、および、B:0.0005〜0.1%等からなる、伸びフランジ性等に優れた高強度鋼板が開示されている。
【0005】
特公平3−56301号公報では、B等の添加により、鋼中成分と鋼板中の未再結晶組織の割合に工夫を加えることにより、スポット溶接部の継手疲労強度の有利な改善を図ることを目的として、C:0.006%以下、Mn:0.5%以下、Al:0.05%以下、および、窒化物、硫化物は不算入としたTi及び/またはNbの1種または2種合計:0.001〜0.100%等からなる、スポット溶接性の良好な極低炭素鋼板が登録されている。
【0006】
特開平6−207245号公報では、鋼材表層へのNiの添加により、溶接止端部に圧縮の残留応力を発生せしめ、疲労き裂発生までの寿命を増大させることを目的として、鋼板の表裏面からそれぞれ0.2mm以上でかつ板厚の25%以下の領域におけるNiの添加量が3%以上であることからなる、疲労特性の優れた複層鋼板が開示されている。
【0007】
特開平6−228707号公報では、Ceqを低くしながらCuの微細析出を用いて、溶接止端部近傍の硬度分布を均一にすることにより塑性変形の集中を防ぎ、かつ低Ceq化によりHAZ硬化をなくすことにより、平均応力として作用する溶接止端部の残留応力を低減させることを目的として、C:0.001〜0.01%、Si:0.005〜0.05%、Cu:0.5〜2%で、Ceqが0.2以下であることからなる、溶接継手疲労特性の優れた構造用鋼及びその溶接方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これらのうち、特開昭59−110490号公報、および、特開平1−301823号公報は、溶接後に特殊な施工をする必要があり、溶接のままで疲労強度を改善することは出来ない。溶接後熱処理による方法も、工程が増加し溶接施工が煩雑となるため好ましくない。また、その効果も限られたものである。
特開平3−264645号公報に示されている薄鋼板は、用途が主に自動車用ホイールやディスクの母材に関するものであって、本発明の対象とする造船、海洋構造物で用いられる鋼板とは用途、板厚、使用方法が全く異なるものであるため、ここでの知見をそのまま厚鋼板に適用することは出来ない。さらに、溶接継手に関する記載はないため、溶接継手の疲労強度に及ぼす影響については何ら検討されていない。また、母材に含有するとされるポリゴナル・フェライト組織がHAZに生成するかどうかは不明である。
【0009】
特公平3−56301号公報に示されている鋼板は、極低炭素鋼板のスポット溶接部に関するもので、スポット溶接部の硬度分布を制御しようとするものであるが、スポット溶接は抵抗溶接法の1種であり、鋼板の溶接部を電極で加圧して鋏み込み、大電流を短時間に流すことにより行われるが、本発明の対象とする溶接継手の溶接方法は板厚が厚い鋼板の溶接で使用される溶接方法が主体であり、溶接残留応力だけでなく、電極形状、溶接材料の有無、溶接条件などの溶接方法も異なり、薄板のスポット溶接と厚い鋼板の溶接では疲労強度の支配要因が異なるため、スポット溶接での知見をそのまま適応することは出来ない。
【0010】
特開平6−207245号公報に示されている鋼板は、構造用鋼であるため用途は同じであるが、Niを含有する複層鋼に限定したものであり、通常の単層鋼で、疲労強度を向上させることは出来ない。また、溶接継手の疲労強度が向上するかどうかは不明である。 特開平6−228707号公報に示されている発明では、溶接継手のHAZ組織に関する記載はなく、ミクロ組織と疲労強度の関係は不明であり、本発明とは異なる。また、鋼板のC添加量が0.01%以下、Si添加量が0.05%以下と非常に少なく、また、Cu添加が必須である点でも、本発明の請求範囲とは異なる。
【0011】
本発明は、溶接後に応力集中を低減するための付加的な溶接施工を実施することによる疲労強度改善ではなく、溶接継手のHAZにおいて、疲労き裂の伝播速度を遅くすることが可能なフェライト組織の面積率を高くすることにより、溶接したままで疲労強度が優れた溶接継手を提示することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の主要原理は以下のように総括できる。
(1)溶接継手のHAZにおいて、疲労き裂の伝播速度を遅くすることが可能なフェライト組織の面積率を規定することにより、溶接継手の疲労強度を向上させる。
(2)鋼板の化学成分および炭素当量を限定することにより、溶接継手のHAZにおけるフェライト組織の面積率を高くして、溶接継手の疲労強度を向上させる。
本発明は上記(1)の効果により、溶接継手の疲労強度を向上させるものであり、さらに(2)を組み合わせた場合に、高い疲労強度を達成させることが出来る。
【0013】
即ち、本発明の要旨とするところは、
(1)質量%でC:0.015〜0.15%、Si:0.06〜2.0%、Mn:0.2〜1.5%、P:0.05%以下、S:0.05%以下、Al:0.001〜0.08%、N:0.003〜0.015%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物元素よりなり、かつ炭素当量(Ceq)が、Ceq:0.275以下である鋼板を用いて作成した溶接継手であって、該溶接継手の溶接熱影響部におけるフェライト組織の面積率が、20〜100%で、残部がベイナイト組織、マルテンサイト組織、パーライト組織および残留オーステナイト組織の1種または2種以上からなることを特徴とする疲労強度が優れた溶接継手。ここで、炭素当量(Ceq)は、Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5+Nb/3とする。
【0014】
(2)前記鋼板が、さらに、質量%で、Cu:0.1〜2.0%、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.02〜1.0%、V:0.005〜0.10%、Nb:0.005〜0.08%の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の疲労強度が優れた溶接継手。
(3)前記鋼板が、さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.010%、REM:0.0050〜0.050%の1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の疲労強度が優れた溶接継手にある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下の(1)〜(2)に、本発明の技術的思想と限定理由について詳細に述べる。
(1)まず、溶接継手のHAZにおけるミクロ組織を限定した理由を述べる。
本発明者らは溶接継手の疲労強度向上に対するHAZの重要性を検討した。
一般に、溶接構造物の疲労破壊は構造的な応力集中を有する溶接継手部で発生する場合が多い。溶接欠陥や鋼板のキズ等のない正常な溶接継手部では、局所的な応力集中を有する母材と溶接金属の境界部にあたるHAZから疲労き裂が発生し、HAZ内を伝播した後、母材へ伝播して、最終的に構造物の機能を損なう破壊へ至る場合が多い。
【0016】
そこで、HAZにおける疲労き裂の発生伝播寿命が全破断寿命に占める割合を調査した。試験には構造物で多く使用される溶接継手である、T型隅肉溶接継手、十字隅肉溶接継手、廻し隅肉溶接継手の3つの継手を用いた。母材と溶接金属の境界部から母材側に5〜10mm(継手の種類による)離れた位置に歪ゲージを貼って、繰り返し負荷中の歪の値を測定した場合、試験開始時よりも歪の値が5%低下した時の繰り返し数は、疲労き裂の先端がHAZを通過して、母材に達する繰り返し数とほぼ一致するため、この繰り返し数をHAZにおける疲労き裂の発生伝播寿命とした。溶接継手疲労試験の結果、最終的に破断に至るまでの全寿命に対するHAZにおける疲労き裂の発生伝播寿命の割合は、T型隅肉溶接継手では約70%、十字隅肉溶接継手では約80%、角廻し隅肉溶接継手では約40%であった。
【0017】
したがって、全疲労寿命に対する疲労き裂の発生寿命はかなりの割合を占めることが上記の試験で明らかになる一方、一旦き裂が伝播を開始するとその抑制は非常に困難であることから、溶接継手の疲労強度を向上させるためにはHAZにおける疲労き裂の発生を困難にするか、あるいは疲労き裂が発生してもHAZにおける疲労き裂の伝播を極力遅くさせることが有効な手段と考えられる。
【0018】
次に、本発明者らはHAZのミクロ組織と疲労強度に関する検討を行い、以下に示す重要な知見を得た。
一般に、船舶、海洋構造物、橋梁、建設機械分野で使用されている鋼板のHAZ組織は、引張強度が400〜580MPa級の場合ではベイナイト組織、引張強度が580MPaを越える場合はベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織が主体となる。鋼板の成分や熱処理によってはこれらのミクロ組織に加えて、パーライト組織や残留オーステナイトが含まれる場合もある。HAZ組織は母材組織の影響はあまり受けず、むしろ鋼板の成分と溶接時の冷却速度で決まるため、一般に使用されている400MPa級の溶接構造用軟鋼(例えば0.14%C−0.2%Si−0.9%Mn)でさえも、50kJ/cm以下の通常の溶接条件では、焼き入れ性の指標である炭素当量が高いため、HAZがフェライト組織主体となることはほとんどない。
【0019】
本発明者らは、溶接継手の疲労強度を検討するにあたって、それぞれのミクロ組織のHAZにおける疲労き裂伝播速度を調査する必要があると考えた。応力集中係数や残留応力などの力学的な要因の影響を受けず、同一の力学条件でミクロ組織の影響を調査するため、小型再現HAZ試験片により、き裂伝播試験を実施した。溶接再現熱サイクル条件は最高加熱温度を1400℃、800℃〜500℃の冷却時間を1秒〜161秒とし、化学成分と冷却速度の違いによりフェライト組織、ベイナイト組織、マルテンサイト組織を再現した。試験は6mm長の鋭い切欠をつけた20×10×100mmの3点曲げき裂伝播試験片を用いて、応力比は0.1、き裂開口変位をクリップ・ゲージを用いて測定し、き裂長さをコンプライアンス法により算出した。
【0020】
き裂伝播試験の結果、HAZがフェライト組織の場合の疲労き裂の伝播寿命は、HAZがベイナイト組織やマルテンサイト組織の場合よりも2倍以上向上した。応力拡大係数範囲とき裂伝播速度を観察すると、き裂長さが既に長く応力拡大係数範囲が高い場合はミクロ組織の違いによる差は見られなかったが、まだき裂長さが短く応力拡大係数範囲が低い場合にはミクロ組織による差が現れ、HAZにおけるフェライト組織の面積率が高い場合に顕著にき裂伝播速度が低下した。
【0021】
さらに、図1にHAZのフェライト組織面積率が2%のHAZベイナイト鋼と88%のHAZフェライト鋼における、き裂開口変位と荷重の変化を詳細に観察した結果を示す。フェライト組織の割合が高くなると顕著なき裂閉口が観察された。このき裂閉口というのは、最大荷重時に疲労き裂の先端が降伏点を越えて塑性変形し、最少荷重になる前に疲労き裂の先端が閉じてしまう現象である。フェライト組織は他の組織と比べて、転位強化の割合が少なく非常に軟質で塑性変形が容易であるために、き裂閉口が起こりやすいと考えられる。このき裂閉口が起こると、疲労き裂の先端が閉じている時は疲労き裂の伝播は起こらず、疲労き裂の伝播に有効な応力範囲は減少するために、HAZがフェライト組織の場合にHAZにおける伝播寿命が向上したものと考えられる。
【0022】
以上の技術的思想に基づき、本発明は溶接継手のHAZにおいて、疲労き裂の伝播速度を遅くすることが可能なフェライト組織の面積率を高くすることにより、溶接継手の疲労強度を向上させるものである。
ただし、ベイナイト組織の粒界に20%未満の面積率で生成する粒界フェライトは、フェライト組織が含まれているとはいっても疲労き裂が粒界フェライトから容易に発生するため、伝播を遅くさせても疲労強度は向上しない。また、HAZのフェライト組織の面積率が20%未満では、疲労き裂の閉口が起こっても非常に小さいため、疲労強度の向上は期待できない。
【0023】
従って、溶接継手の疲労強度を向上させるためには、HAZにおけるフェライト組織の面積率を少なくとも20%以上にする必要がある。また、HAZにおいて、フェライト組織の面積率が20%以上であれば、ベイナイト、マルテンサイト、パーライト、および残留オーステナイト組織を含有しても問題はない。さらに、安定して疲労強度を向上させるためには、HAZのフェライト組織の面積率を60%以上にすることが望ましく、その上限値は100%となる。
ここで、ミクロ組織の面積率は溶接金属、HAZ、母材が含まれるように溶接継手を切断・研磨した面を光学顕微鏡で観察して、溶接金属からHAZ側に約50μmの位置からHAZと母材の境界線までの領域に占める各ミクロ組織の割合をポイント・カウンティング法により測定した値を用いることとする。
【0024】
(2)次に、溶接継手に使用する鋼板の化学成分および炭素当量を限定した理由を述べる。
まず、鋼板の基本的な化学成分として限定した各元素について述べる。
Cは、母材強度を上昇させる元素であり、母材強度上昇のためには多量に添加することが望ましい。しかしながら、0.15%超のCの添加は、焼き入れ性が高くなりすぎて、HAZにおけるフェライト組織が得られなくなるとともに、溶接性や溶接部の靱性を低下させる。従って、Cの上限を0.15%とした。また、Cが0.015%未満では構造用鋼としての母材強度の確保が困難になるため、Cの下限値を0.015%とした。
【0025】
Siは、溶製時の脱酸に必要な元素であり、適量添加するとマトリックスを固溶強化する。Siが0.06%未満では、溶製時の脱酸効果が減少するため、下限値を0.06%とした。また、Siはフェライト生成元素であり、炭素当量の式に含まれていないため、0.6%以上添加すると同じ炭素当量のままでHAZにおけるフェライト組織の面積率を増加させる効果を有する。一方、Siを2.0%超添加すると、焼き入れ性が高くなるだけでなく、靱性も低下する。従って、上限値を2.0%とした。
【0026】
Mnは、靱性をあまり低下させることなく母材強度を上昇させる元素である。Mnが0.2%未満では十分な母材強度が得られず、S脆化が起こりやすくなるため、下限値を0.2%とした。また、1.5%超のMnを含有すると、焼き入れ性が高くなりすぎて、HAZにおけるフェライト組織が得られなくなるとともに、溶接部の組織溶接部の靱性が低下し、溶接性、延性も劣化するため、上限値を1.5%とした。
【0027】
Pは、少ないほど好ましく、0.05%超添加すると母材の粒界に偏析して粒界脆化するためにHAZの靱性が低下する。よって上限値を0.05%とした。
Sは、低いほど好ましく、0.05%超含有するとA系介在物が顕著となり、母材と溶接部の靱性を害し、板厚方向の延性も低下させる。従って、上限値を0.05%とした。
【0028】
次に、本発明においては、上記の元素に加えて次のような元素を鋼板に含んでもよく、以下に成分限定した各元素について述べる。
Alは、脱酸元素として用いられ、0.001%以上の添加で脱酸作用が期待できる。好ましくは0.003%以上添加すると良い。一方、0.08%超添加すると、Al酸化物やAl窒化物が多量に生成して、溶接部の靱性を劣化させる。従って、下限値を0.001%、上限値を0.08%とした。
【0029】
Nは、母材の靱性を劣化させる元素であるため、靱性を要求される低炭素鋼などの製造においては特に0.002%程度まで低減している。それ以外の鋼材についても靱性確保の観点から通常不純物として、0.003%程度含有されている。しかしながら、Alを0.001%〜0.08%の範囲で添加すれば、例えNが0.003%以上含有されていても、Alと結合して窒化物となって、これがHAZ組織の粗大化を抑制し、結晶粒が微細化することにより焼入れ性が低下して、HAZ組織におけるフェライト組織の生成を促進させて疲労強度を改善できることから、その下限値を0.003%とした。
【0030】
一方、N含有量が0.015%以下であれば、Alによって窒化物として固定できて靱性を劣化させない上、フェライト組織の確保による疲労強度の向上を達成することができる。従って、その上限値を0.015%とした。ただし、通常Alは脱酸元素として消費されるので、N含有量が多いときは、Al窒化物にするためのAl量を確保しなければならない。通常の溶接構造用鋼板では、Al:0.03〜0.06%、N:0.004〜0.006%を含有する場合が多いことから、Al/N比を5.0〜15.0の範囲とすることが好ましい。
【0031】
Cuは、母材強度を向上させる効果があり、さらに炭化物は生成しないが固溶強化により疲労強度を向上させる。0.1%以上添加しないとその効果はなく、2.0%超添加すると、スラブの凝固割れの原因になるため、下限値を0.1%、上限値を2.0%とした。
Niは、母材強度を上げるだけでなく、靱性を大幅に向上させる。その効果が得られる添加量として、下限値を0.1%とした。また、2.0%超添加してもその効果は飽和するため、上限値を2.0%とした。
【0032】
Crは、母材強度ならびに靱性を向上させる効果があり、炭化物や窒化物を生成してHAZ組織を強化する効果があり、疲労強度も向上させる。これらの効果を得るには、0.05%の添加が必要である。また、1.0%超添加してもその効果は飽和し、逆に溶接性が損なわれる。そのため、下限値を0.05%、上限値を1.0%とした。
【0033】
Moは、母材強度を向上させるだけでなく靱性も向上させる効果があり、炭化物や窒化物を生成する点で、Crと同様の作用をする。その効果が現れる添加量として下限値を0.02%とし、その効果が飽和する添加量として、上限値を1.0%とした。
Vは、炭化物を形成して母材の強度向上と細粒化に効果がある。V量が0.005%未満では、この効果が顕著でないので、下限値を0.005%とした。逆に、0.10%超添加すると、HAZの焼き入れ性が高くなりすぎて、フェライト組織の面積率が減少するため、上限値を0.10%とした。
【0034】
Nbは、母材強度上昇に効果を有する元素であり、さらに、鋼板製造時にTMCPプロセスが適用される場合には圧延中の再結晶を抑制するために0.005%以上添加する必要がある。しかしながら、Nbを多量に含有すると溶接部の靱性を低下させる。従って、Nbの上限値を0.08%とした。
Caは、疲労き裂の発生源となる硫化物を固定し、延性を向上させる効果がある。添加量が0.0005%以下ではその効果が期待できず、また、0.010%超では靱性を低下させる。よって、下限値を0.0005%、上限値を0.010%とした。
【0035】
REMは、疲労き裂の発生源となる硫化物を固定し、延性を向上させる点で、Caと同様の効果がある。また、HAZではREM(O,S)が粒内変態の生成核となり、フェライト組織の生成を促進する効果もある。粒子径が0.1〜3.0μm、粒子数が10〜100個/mm2 のREM(O,S)を微細分散させることが好ましい。REMは希土類元素であればいずれの元素も同様の効果を有すると考えられるが、これらの中でも特に、LaとCeがそれらの代表として挙げられる。REM添加による効果が発揮されるには、合計で0.0050%以上添加することが必要であり、0.050%以上添加してもその効果は飽和し、経済的でもなくなる。よって、下限値を0.0050%、上限値を0.050%とした。
【0036】
さらに、溶接継手に使用する鋼板の炭素当量を限定した理由を述べる。
溶接時の冷却速度が同じ場合、HAZ組織と鋼板の成分の関係はIIWで提案されている炭素当量の式を用いることにより表すことができる。IIWの炭素当量(Ceq)の式は、Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5+Nb/3で与えられる。従来の鋼材のように、炭素当量が0.275を超える場合には、HAZ組織はベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織となるため、フェライト組織を得ることは困難である。よって、HAZのフェライト組織の面積率を高くするためには、まず炭素当量を0.275以下にする必要がある。
【0037】
また、HAZのフェライト組織の面積率を高くして、より高い疲労強度を得るためには、炭素当量が0.25以下にすることが好ましい。一方、炭素当量が0.10未満では、十分な母材強度が得られないため、0.10以上が好ましい。 以上の技術的思想に基づき、本発明は溶接継手のHAZにおけるフェライト組織の面積率を高くすることにより、溶接継手の疲労強度を向上させるものである。ここで、溶接継手で用いられる鋼板としては、接合されるいずれの鋼板にも上記で規定した鋼板を用いることが望ましいが、溶接継手の形状や応力負荷条件等から、疲労損傷が問題となる部位が予め明らかな場合には、疲労損傷を受ける側だけに、上記で規定した鋼板を適用してもよい。
【0038】
さらに、本発明はT字隅肉溶接継手のような、圧縮の溶接残留応力によりき裂開閉口挙動が起こりやすい溶接継手で特に有効であるが、十字隅肉溶接継手、廻し隅肉溶接継手、突き合せ溶接継手等の溶接継手でも、き裂閉口が起こる場合には疲労強度を向上させることができる。
一方、本発明は不活性ガスを用いたアーク溶接(MIG)や、混合ガスを用いたアーク溶接(MAG)、タングステン・アーク溶接(TIG)のようなガスシールドアーク溶接をした場合に特に有効であるが、被覆アーク溶接(SMAW)や、サブマージアーク溶接(SAW)のような溶接方法、さらに、溶接入熱においても、通常実施される1〜5kJ/mm程度の大入熱溶接を用いた溶接継手でも、き裂閉口が起こる場合には疲労強度を向上させることができる。
【0039】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について述べる。
溶接継手のHAZにおけるフェライト組織の面積率と疲労強度の関係を調査することを目的に疲労試験を実施した。50キロ真空溶解炉を用いて、合計19鋼種を溶製した。炭素当量が低く、母材の強度不足が懸念されるため、制御圧延と制御冷却により、溶製したスラブの圧延を実施した。すなわち、1100℃で60分間加熱した後、仕上げ板厚の3倍の板厚まで粗圧延を行い、Ar3 点以上未再結晶温度以下まで温度待ちした後に、板厚6〜30mmに仕上げ圧延を行い、圧延終了後ただちに500℃まで制御冷却した後、室温まで空冷した。さらに、引張試験片を採取し、母材の降伏応力、引張強度、全伸びを測定した。
【0040】
表1に製造した鋼の化学成分、炭素当量、および機械的性質を示す。
これらの鋼を用いて、T字隅肉、十字隅肉、廻し隅肉の計3種類の溶接継手を作成した。溶接に用いるリブ板は母材と同じ鋼板を用い、溶接は各1パスで行った。溶接方法はCO2 ガスを用いたMAG溶接とし、溶接材料は被覆アーク溶接棒、ソリッドワイヤ、フラックス入りワイヤのいずれも用いることが出来るが、ここでは50キロ鋼用フラックス入りワイヤを用いた。溶接後に、溶接部のミクロ組織観察試験片を切り出し、ポイント・カウンティング法によりHAZのフェライト組織と面積率を求めた。
疲労試験は大気中、室温とし、T字隅肉溶接継手の場合は3点曲げで応力比が0.1、十字隅肉および廻し隅肉溶接継手の場合は軸力で応力比が0で試験を実施した。
【0041】
【表1】
【0042】
表2に、使用した鋼板記号、板厚、HAZにおけるフェライト組織の面積率、ベイナイト・マルテンサイト・パーライト・残留オーステナイト組織の合計の面積率、溶接継手の形状、疲労強度を示す。
継手1は、HAZのフェライト組織面積率が20%以上の発明例である。継手2〜4は、HAZのフェライト組織面積率が20%以上で、炭素当量は0.275以下の発明例である。炭素当量が低くなると、フェライト組織面積率が増加し、溶接継手の疲労強度も向上する。しかし、継手15、16は、HAZのフェライト組織面積率が低く、炭素当量も請求範囲よりも多い比較例で、発明例1〜4よりも溶接継手の疲労強度は低い。
【0043】
継手5〜14は基本成分以外に、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Ca、REMを1種または2種以上添加した発明例で、いずれも高い疲労強度を維持しており、継手5〜10は母材強度が向上している。一方、継手17、18はこれらの元素を添加したものの、HAZのフェライト組織面積率が低く、炭素当量が請求範囲よりも多い比較例で、やはり溶接継手の疲労強度は向上しない。
十字隅肉溶接を行った継手19〜21、廻し隅肉溶接を行った継手22〜24でも、HAZのフェライト面積率が高い場合は溶接継手の疲労強度が向上する。 従って、本発明の条件を満たす溶接継手(表中に本発明例と表示)は、HAZのフェライト組織面積率が20%以上であり、いずれの溶接継手でも溶接したままで優れた疲労強度を達成していることがわかる。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、船舶、海洋構造物、橋梁、建設機械等に用いられる溶接継手のHAZに関して、疲労き裂の伝播速度を遅くすることが可能なフェライト組織の面積率を高くし、あるいは、これを実現するために、鋼板の化学成分および炭素当量を限定することにより、溶接継手の疲労強度を向上させることが可能であり、本発明の溶接継手を用いれば溶接構造物の疲労破壊に対する信頼性を著しく向上させることが可能となった。このような効果を有する本発明の溶接継手の意義は、極めて著しいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】HAZベイナイト鋼(A)とHAZフェライト鋼(B)におけるき裂開口変位と荷重の変化を示す図である。
【図2】溶接継手のHAZのフェライト組織面積率とT字継手の200万回疲労強度の関係を示す図である。
Claims (3)
- 質量%で
C :0.015〜0.15%、
Si:0.06〜2.0%、
Mn:0.2〜1.5%、
P :0.05%以下、
S :0.05%以下、
Al:0.001〜0.08%、
N:0.003〜0.015%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物元素よりなり、かつ炭素当量(Ceq)が、Ceq:0.275以下である鋼板を用いて作成した溶接継手であって、該溶接継手の溶接熱影響部におけるフェライト組織の面積率が、20〜100%で、残部がベイナイト組織、マルテンサイト組織、パーライト組織および残留オーステナイト組織の1種または2種以上からなることを特徴とする疲労強度が優れた溶接継手。
ここで、炭素当量(Ceq)は、Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5+Nb/3とする。 - 前記鋼板が、さらに、質量%で、
Cu:0.1〜2.0%、
Ni:0.1〜2.0%、
Cr:0.05〜1.0%、
Mo:0.02〜1.0%、
V :0.005〜0.10%、
Nb:0.005〜0.08%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の疲労強度が優れた溶接継手。 - 前記鋼板が、さらに、質量%で、
Ca:0.0005〜0.010%、
REM:0.0050〜0.050%
の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の疲労強度が優れた溶接継手。
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