JP3822036B2 - 媒体搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納場所(カセットやトレイ、入金口、或いは挿入口、など)に収納された媒体を一つずつ繰出して搬送するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
媒体を一つずつ繰出して搬送する媒体搬送装置は、現金自動支払機(CD)や現金自動預金・支払機(ATM)などの現金処理装置、伝票処理装置などの媒体処理装置に幅広く搭載されている。例えば現金自動預金・支払機(ATM)では、媒体搬送装置を搭載することにより、顧客が入金口に入金した紙幣を1枚ずつ繰出して真偽を確認し、真と確認した紙幣のみをスタッカに搬送してそこに収納するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した媒体搬送装置での媒体の繰出しは、通常、収納場所(カセットやトレイ、入金口、或いは挿入口、など)の端の位置に設けられた媒体繰出し用の繰出しローラを回転させ、それと接触している媒体に動力を伝達することで行われる。従来の媒体搬送装置は、単に収納場所に収納された媒体を対象にその繰出しを行うようになっていた。このため、媒体の繰出しローラと接触する側の端(以降、先端と呼ぶ。その反対側は後端と呼ぶ)が揃っていない場合、次に繰出すべき媒体の先端部分ではなく、その次に繰出すべき媒体の先端部分と繰出しローラが接触してしまい、次に繰出すべき媒体を繰出せなかったり(媒体を繰出す順序が変わったり)、或いは複数の媒体を同時に繰出すダブルフィードが発生するといった繰出し上の不具合が発生してしまうという問題点があった。
【0004】
紙幣などの大きさが異なる媒体では、その先端が揃っていないことが多いのが実情である。このため、その問題点は、大きさが異なる媒体を扱う媒体搬送装置で生じやすい傾向がある。
【0005】
その紙幣では、ダブルフィードが発生すると、読み取りが行えない紙幣が生じて入金額、或いは出金額を正確に把握できなくなる。このため、例えば入金であれば、ダブルフィードされた紙幣を顧客(入金者)に返却して、再度、入金を行わせるようになっている。しかし、そのように再度、入金を行わせると、入金処理にかかる時間が長くなるというだけでなく、顧客の負担も増大させるという結果を招く。このようなことから、大きさが異なる媒体を扱う媒体搬送装置では上記問題点は特に深刻なものとなっており、それを回避することが強く望まれていた。なお、本発明に係わる参考技術文献としては、特開平8−310672号公報がある。
【0006】
本発明は、媒体の繰出し上の不具合の発生を確実に回避できる技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の媒体搬送装置は、収納場所に収納された媒体を1つずつ繰出して搬送することを前提とし、ベルト状部材と、ベルト状部材を、自重によりたわむ状態に支持する少なくとも二つの支持部材と、二つの支持部材によって支持されたベルト状部材に動力源からの動力を伝達するための動力伝達手段と、挿入口から挿入された媒体を一括に取り込んで収納場所に収納する媒体取込手段と、収納場所に収納された媒体を1つずつ繰出す媒体繰出手段と、を具備し、ベルト状部材のなかで二つの支持部材間の自重によりたわんだ部分を、収納場所に収納された媒体のなかで最も上に位置する媒体と該媒体を繰出す方向上の先端部分を避けて接触させ、該ベルト状部材を介して動力を伝達することにより、該最も上に位置する媒体の端を所定位置に揃えた後、媒体繰出手段により繰出して搬送する、ようになっている。
【0008】
なお、上記の構成において、媒体取込手段は、二つの支持部材のうちの一方が取り付けられたシャフトに設けられているローラ、及び該ローラと対向するローラとで前記媒体を挟み込む形で取り込み前記収納場所に収納する、ことが望ましい。
【0011】
本発明の媒体搬送装置に採用の媒体搬送機構では、ベルト状部材を自重によりたわませて媒体と搬送方向上の先端部分を避けて接触させ、そのベルト状部材に動力を伝達することにより、媒体に動力を伝達し搬送する。自重によりたわませた部分を媒体と接触させることで、その部分を介して媒体に伝達できる動力の大きさが制限される。その結果、媒体に過剰な動力が伝達するのを回避しつつ、その搬送が行えるようになる。
【0012】
本発明の媒体搬送装置では、上記媒体搬送機構を媒体の位置を揃えるのに利用する。それにより、適切な位置の適切な状態の媒体を対象に繰出しを行えるようになる結果、媒体を繰出す順序が変わる、ダブルフィードが発生するといった媒体の繰出し上の不具合の発生は確実に回避される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
図1は、本実施の形態による媒体搬送装置の主要部分(本発明に特に係わる部分)の側面断面図、図2は、その主要部分の上面断面図である。
【0014】
その媒体搬送装置は、勝ち馬投票券(以降、投票券と略記する)を購入するための投票用紙を処理する投票用紙処理装置に搭載されたものであり、本発明に特に係わる主要部分として、購入希望者が挿入口1から挿入した投票用紙を取り込み、取り込んだ投票用紙を1枚ずつ繰出す部分を抜粋して示してある。始めに、図1、及び図2を参照して、本発明に特に係わる主要部分の機構的構成について詳細に説明する。
【0015】
購入希望者は、投票用紙にマークなどを記入した後、それを媒体挿入方向DIRから挿入口1に挿入することで投票用紙処理装置に処理させるようになっている。周知のように、投票用紙には複数の種類があり、種類によってサイズが異なっている。しかし、ここでは、図1に示すように、長さの異なる投票用紙A、Bの2種類だけを図示してある。その「A」または「B」は、投票用紙の種類を特定する必要がない場合には付さないことにする。
【0016】
シャフト4、及び9は、回転可能に支持されている。シャフト4には取込ローラ2、及びプーリ3が取り付けられ、他方のシャフト9には、プーリ3、及びプーリ8が取り付けられている。取込ローラ2とプーリ8には、駆動伝達兼搬送ベルト(以降、搬送ベルトと略記する)が張った状態に取り付けられている。シャフト4、9にそれぞれ設けられたプーリ3には、図1に示すように、上側は張り、下側は自重によりたわんでいる状態でたわみベルト7が取り付けられている。プーリ3との間でたわみベルト7を挟むように設けられたたわみベルトテンションローラ(以降、テンションローラと略記する)5は、たわみベルト5がプーリ3からはずれるのを防止するためのものである。
【0017】
シャフト9には、図3に示す取込モータ(ステッピングモータ)24aからの動力が伝達されるようになっている。そのシャフト9に伝達された動力は、搬送ベルト6を介して取込モータ2に伝達される。それにより、シャフト4には、シャフト9、搬送ベルト6、及び取込ローラ2を介して取込モータ24aからの動力が伝達される。シャフト9、4を共に同じ方向で同じ回転速度で回転させることで、たわみベルト7は図1に示す状態を常に維持するようになっている。
【0018】
シャフト4は、シャフト9を中心に回転させるような形で、図1に示す状態から取込ローラ2がローラ10と接触(圧接)する状態に移動させることができるようになっている。それ以外には、返却ローラ11、繰出しサブローラ12、及び圧接板13が可動となっている。返却ローラ11は、図1に示す状態からシャフト9のプーリ8に接触する状態に移動させることができ、繰出しサブローラ12は、図1に示す状態から上方に移動させることができるようになっている。圧接板13は、図1に示す状態から、その挿入口1から最も離れた方の端(以降、先端と言う)を、繰出しローラ15に向けて回転させるように移動させることができるようになっている。その圧接板13にはスプリングなどの弾性部材が取り付けられている。それにより、先端を繰出しローラ15に向けて移動させた場合には、圧接板13は投票用紙の先端部分(挿入口1から最も離れている方の端の部分)を繰出しローラ15に圧接させるようになっている。
【0019】
繰出しローラ15の近傍に設けられたセパレータ14は、圧接板13と繰出しローラ15の間に挟み込まれたような状態となっている投票用紙のなかで、その最も上に位置する投票用紙を除き、その下に位置する投票用紙の障害となることで、その最も上に位置する投票用紙だけを繰出せるようにするためのものである。それ以外には、センサとして、取込トリガーセンサP1や取込終了検知センサP2が設けられている。それらのセンサP1、及びP2は、発光素子、及び受光素子からなる透過型の光学センサである。
【0020】
図3は、本実施の形態による媒体(投票用紙)搬送装置を搭載した投票用紙処理装置の回路構成図である。
その投票用紙処理装置は、挿入口1に挿入された投票用紙を1枚ずつ繰出し、繰出した投票用紙に記入されたマークなどを読み取り、その読取結果を例えばLANによって接続されたホストコンピュータに送信するものである。図3に示すように、装置全体の制御を行う制御部21と、ホストコンピュータ22との間で通信を行うための通信制御部22と、投票用紙上に記入されたマークなどを読み取る読取部23と、取込モータ24aや搬送モータ24bを含む、各種モータ24を制御部21からの指示に従って駆動するモータ駆動部25と、上記センサP1、及びP2を含むセンサ群26を駆動してその検知結果をデータの形で制御部21に送るセンサ駆動部27と、ソレノイド群28を駆動するソレノイド駆動部29と、を備えて構成される。
【0021】
なお、上記シャフト4、返却ローラ11、繰出しサブローラ12、圧接板13は、ソレノイドを用いて可逆的に移動させられるようになっている。取込モータ24aからシャフト9への動力の伝達や、搬送モータ24bから繰出しローラ15への動力の伝達などにもソレノイドが用いられている。ソレノイド群28は、それらのソレノイドを含め、まとめて表したものである。
【0022】
以上の構成において、動作を説明する。
制御部21は、電源がオンされている間、センサ駆動部27にセンサ群26の駆動を行わせる。センサ駆動部27は、センサ群26を駆動し、それを構成するセンサ毎に、その検知結果を制御部21に送る。それにより、制御部21は、センサ駆動部27から送られたセンサの検知結果に応じて、以下のような処理を実行することで制御を行う。その制御のために実行する処理の内容について、図4、及び図5に示す各フローチャートを参照して詳細に説明する。
【0023】
図4は、一括取込処理のフローチャートである。図1に示す取込トリガーセンサP1が投票用紙を検知したことをセンサ駆動部27から通知された場合に、挿入口1に挿入された投票用紙を奥まで取り込んで収納するために制御部21が実行する処理である。始めに、図4を参照して、一括取込処理について詳細に説明する。
【0024】
なお、通常時には、シャフト4、返却ローラ11、及び繰出しサブローラ12は図1に示す状態にあり、圧接板13は、その先端が繰出しローラ15に接しているか、或いはその近傍に位置している状態にある。一括取込処理は、そのような状態となっているのを前提として実行される。
【0025】
先ず、ステップS1では、取込トリガーセンサP1が媒体を検出したか否か判定する。そのセンサP1を構成する発光素子と受光素子の間が遮光された場合、その旨を示すデータがセンサ駆動部27から制御部21に送られる結果、判定はYESとなってステップS2に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなり、再度、ステップS1を実行する。それにより、取込トリガーセンサP1が媒体を検出するのを待つ。
【0026】
ステップS2では、ソレノイド駆動部29に指示して、シャフト4移動用のソレノイド、及びシャフト9に取込モータ24aからの動力を伝達させるためのソレノイドを駆動させる。続くステップS3では、ソレノイド駆動部29に圧接板13移動用のソレノイドを駆動させる。その後はステップS4に移行して、モータ駆動部25に取込モータ24aを駆動(ON)させる。その取込モータ24aを駆動させた後は、ステップS5に移行する。
【0027】
ステップS2を実行した結果、挿入口1に挿入された媒体を取込ローラ2とローラ10とで挟み込んだ形となる。ステップS3を実行するのは、圧接板13を図1に示す状態とすることにより、圧接板13に沿って媒体を搬送する際の抵抗をより小さくするためである。そのような状態としてから取込モータ24aを駆動させることにより、挿入口1に挿入された媒体は強制的にその先端をセパレータ14に向けて搬送される(取り込まれる)ことになる。
【0028】
ステップS5では、取込終了検知センサP2が媒体を検出したか否か判定する。そのセンサP2を構成する発光素子と受光素子の間が遮光された場合、その旨を示すデータがセンサ駆動部27から制御部21に送られる結果、判定はYESとなってステップS6に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなり、再度、ステップS5を実行する。それにより、取込終了検知センサP2が媒体を検出するのを待つ。
【0029】
ステップS6では、ソレノイド駆動部29に指示して、シャフト4移動用のソレノイド、及びシャフト9に取込モータ24aからの動力を伝達させるためのソレノイドの駆動を終了させる。続くステップS7では、モータ駆動部25に指示して、取込モータ24aの駆動を終了(OFF)させる。その次に移行するステップS8では、ソレノイド駆動部29に指示して、圧接板13移動用のソレノイドの駆動を終了させる。そのようにして、シャフト4は図1に示す状態に戻し、圧接板13は媒体を繰出しローラ15に圧接する状態に戻した後、一連の処理を終了する。その図1は、ステップS6、或いはS7の処理の終了時点の状態を表している。
【0030】
このように、購入希望者が投票用紙を挿入口1に挿入すると、その投票用紙は、取込ローラ2とローラ10とで挟み込まれた後、取込モータ24aからの動力が取込ローラ2に伝達されることにより、セパレータ14に向けて、取込終了検知センサP2がそれを検知するまで強制的に搬送される。それにより、挿入口1に挿入された投票用紙(媒体)はその奥に一旦、収納するようになっている。
【0031】
なお、取込トリガーセンサP1は、シャフト4、及び9の間に、その長手方向に沿って複数、配置されている。それを複数、配置することで、挿入口1に挿入された媒体の幅の検出を合わせて行えるようになっている。それにより、特に図示していないが、センサP1によって検出した媒体の幅が投票用紙のそれと異なるか否か判定し、その判定がYES、即ち挿入口1から挿入された媒体の幅が投票用紙のそれと異なると判定した場合に、制御部21は、返却ローラ11移動用のソレノイドを駆動させてそれとプーリ8との間で媒体を挟み込んだ状態とさせた後、取込モータ24aを駆動させてその動力を返却ローラ11に伝達させることにより、挿入口1から装置外に排出するようになっている。
【0032】
図5は、繰出し搬送処理のフローチャートである。その搬送処理は、挿入口1の奥に収納された媒体(投票用紙)を1枚ずつ繰出して搬送してそれに記入されたマークなどを読み取り、その読取結果(購入を希望する投票券の内容)をホストコンピュータに送信するために実行される処理であり、図4に示す一括取込処理に続けて実行される。次に、図5を参照して、その搬送処理について詳細に説明する。
【0033】
購買希望者は、投票用紙の先端を揃えて挿入口1に挿入するとは限らない。投票用紙には様々なサイズがあり、サイズの異なる投票用紙を一緒に挿入口1に挿入する場合には、投票用紙の先端が揃っていない確率はそうでない場合と比較してより高くなる。即ち図1に示すような状態で投票用紙が取り込まれることが多くなる。繰出し搬送処理では、そのようなことへの対応を行いつつ、投票用紙の繰出しを行うようになっている。
【0034】
先ず、ステップS11では、シャフト9への動力伝達用のソレノイドをソレノイド駆動部29に駆動させることにより、シャフト9に取込モータ24aからの動力が伝達される状態にして、モータ駆動部25に取込モータ24aを所定時間、駆動(ON)させる。
【0035】
たわみベルト7のプーリ3間で自重によりたわんだ部分は、図1に示すように、挿入口1の奥に取り込まれた投票用紙のなかで最も上に位置する投票用紙と接触している。その状態でシャフト9に取込モータ24aからの動力を伝達させ、シャフト9を図1に向かって左回転させると、たわみベルト7の投票用紙と接触している部分は繰出しローラ15に向かって移動することになる。このとき、最も上に位置する投票用紙には、たわみベルト7による駆動力の他に、その下に位置する投票用紙との摩擦力が加わる。その摩擦力より駆動力のほうが大きくなければ投票用紙を移動させることはできない。駆動力は、投票用紙とたわみベルト7間の摩擦係数、その投票用紙にかかるたわみベルト7の重さ、それらの間の接触面積などによって変化し、他方の摩擦力は、投票用紙間の摩擦係数、下の投票用紙が支えている重さ、それらの間の接触面積などによって変化する。このことから、主に、投票用紙との摩擦係数、及びその投票用紙に加える重さを考慮して、たわみベルト7を選択(材質の種類や幅の広さ、表面の形状、など)している。それにより、駆動力が摩擦力よりも大きくなるようにしている。
【0036】
取込モータ24aを駆動(ON)する所定時間は、投票用紙間の長さの違い(差)を考慮しつつ、ある程度の余裕を持たせて設定してある。このため、多くの場合、先端がセパレータ14に当接しても、たわみベルト7により投票用紙に駆動力を加えるようになっている。
【0037】
先端がセパレータ14に当接すると、そのセパレータ14が障害となって先端はそれ以上、移動できなくなる。このとき、たわみベルト7から加える駆動力が大きすぎると、投票用紙自体を変形させてしまう可能性がある。その変形はジャムなどの原因となる恐れがある。このことから、本実施の形態では、投票用紙に加える駆動力が必要以上、大きくならないようにすることも考慮して(投票用紙の先端がセパレータ14と当接した状態ではたわみベルト7は投票用紙上をすべってその投票用紙を変形させないように)、たわみベルト7の選択を行っている。それにより、投票用紙の先端をセパレータ14に当接させた状態に確実に揃えられるようにしている。
【0038】
実際上、たわみベルト7の重量はそれほど重いものではないことから、投票用紙(媒体)に過剰な駆動力を加えることは容易に回避することができる。そのため、たわんだ部分を接触させての搬送では、投票用紙を変形させることなく、その先端がセパレータ14と当接する位置にまで搬送させることが容易に行えるようになっている。投票用紙を変形させないことから、それへの駆動力を解除した際に、その弾性力によって位置がずれるようなことは回避される。それにより、高精度に投票用紙を所望の位置(ここではセパレータ14に当接する位置)に搬送できるようになっている。
【0039】
上記ステップS11を実行することにより投票用紙の先端をセパレータ14に当接させる予備搬送を行った後は、ステップS12に移行して、モータ駆動部25に搬送モータ24bを駆動(ON)させる。続くステップS13では、ソレノイド駆動部29に繰出しローラ15駆動用のソレノイドを駆動させて、繰出しローラ15に搬送モータ24bからの動力を伝達させる。その後は、ステップS14に移行する。
【0040】
特に図示していないが、繰出しローラ15の近傍には、その繰出しローラ15が繰出した投票用紙を検知するための光学センサが配置されている。ステップS14では、センサ駆動部27からその光学センサが投票用紙を検知した旨を示すデータが送られてくるのを待つ。その光学センサが投票用紙を検知すると、ステップS15に移行する。
【0041】
ステップS15では、ソレノイド駆動部29に繰出しローラ15駆動用のソレノイドの駆動を終了させる。続くステップS16では、読取部23の近傍に配置された光学センサが投票用紙を検知するのを待つ。その光学センサが投票用紙を検知することで、その旨を示すデータをセンサ駆動部27から受け取ると、ステップS17に移行して、読取部23に、搬送されている投票用紙の読み取りを指示する。ステップS18には、その指示を行った後に移行する。
【0042】
ステップS18では、読取部23から投票用紙のイメージ(画像)データを受け取り、そのイメージデータを解析して、読み取りに異常がないか否か判定する。投票用紙上に記入すべきマークが記入されていなかったり、イメージを読み取った媒体が投票用紙ではなかったような場合、判定はNOとなってステップS20に移行し、搬送先を返却口に決定して、搬送路の切換用のソレノイドをソレノイド駆動部29に駆動させて搬送先を返却口に切り換えた後、ステップS21に移行する。そうでない場合には、判定はYESとなってステップS19に移行し、搬送先をスタッカに決定して、そのスタッカに向けて投票用紙を搬送させるとともに、読取部23による読取結果(購入を希望する投票券の内容)を通信制御部22からホストコンピュータに送信させた後、ステップS21に移行する。
【0043】
上記返却口、及びスタッカの近傍には、それぞれ、投票用紙を検知するための光学センサが配置されている。ステップS21では、センサ駆動部27から送られてくるデータを基に、ステップS19、或いはS20で決定した搬送先に投票用紙を搬送したか否か判定する。返却口、或いはスタッカの近傍に配置された光学センサが投票用紙を検知した場合、判定はYESとなり、ステップS22に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなり、再度、ステップS21を実行する。それにより、ステップS19、或いはS20で決定した搬送先に対応する光学センサが投票用紙を検知するのを待つ。なお、直前にステップS19を実行、即ち搬送先を返却口と決定していたのであれば、ステップS22には、ソレノイド駆動部29に、搬送路の切換用のソレノイドの駆動終了を指示した後に移行する。
【0044】
ステップS22では、他の媒体が有るか否か判定する。センサ駆動部27から取込トリガーセンサP1が媒体(投票用紙)を検知している旨を示すデータが送られてきている場合、判定はYESとなってステップS23に移行し、ステップS11と同様に、モータ駆動部25に取込モータ24aを所定時間、駆動(ON)させて次に繰出すべき投票用紙の先端をセパレータ14に当接させた後、上記ステップS13に戻る。そうでない場合には、判定はNOとなり、ステップS24でモータ駆動部25に搬送モータ24bの駆動を終了させた後、一連の処理を終了する。
【0045】
上記繰出し搬送処理を実行することにより、取り込んだ投票用紙は、1枚ずつ、その先端をセパレータ14に当接させる形で揃えてから繰出すようになっている。それにより、繰出しローラ15は確実に次に繰出すべき投票用紙と接触してそれを繰出すことができることから、繰出す順序が変わる、複数の投票用紙と接触してダブルフィードが発生する、といった繰出し上の不具合は確実に回避されることになる。
【0046】
なお、本実施の形態では、たわみベルト7を1本だけ設けているが、それを複数本、設けても良い。たわみベルト7を用いての予備搬送については、投票用紙の先端(搬送方向上の先頭となる端)をセパレータ14に向けて搬送することで、搬送方向上にだけ行っているが、それを搬送方向の交差方向上で行うようにしても良い。当然のことながら、搬送方向上、及び搬送方向の交差方向上の予備搬送を共に行うようにしても良い。そのような予備搬送は、無条件で行うのではなく、必要に応じて行うようにしても良い。
【0047】
たわみベルト7は、本実施の形態では投票用紙の繰出し時にはその駆動を行わないようになっているが、その繰出し時にもその駆動を行うようにしても良い。そのベルト7を駆動するために、取込モータ24aからの動力をシャフト4、及び9にそれぞれ伝達させているが、シャフト4にのみ、その動力を伝達させるようにしても良い。そのようにした場合には、シャフト4を回転させる向きに応じてたわみを発生させる部分を変更できるようになる。図1に示すように下側の部分にたわみを発生させるだけでなく、その逆の上側にたわみを発生させることができるようになる。このため、返却(挿入された媒体を外に排出する)時には、たわみを上側に発生(退避)させることで、投票用紙を排出する際にたわみベルト7が抵抗となるのを回避させることができる。
【0048】
本実施の形態は、媒体として投票用紙を搬送対象とする媒体搬送装置に本発明を適用したものであるが、本発明が適用できる媒体搬送装置は投票用紙を扱うものに限定されるものではない。紙幣や伝票、金券などの種類に係わらず、媒体を1つずつ繰出して搬送する装置に本発明は幅広く適用できるものである。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の媒体搬送装置に採用の媒体搬送機構は、ベルト状部材を自重によりたわませて媒体と接触させ、そのベルト状部材に動力を伝達することにより、媒体に動力を伝達し搬送する。自重によりたわませた部分を媒体と接触させることで、その部分を介して媒体に伝達できる動力の大きさが制限される。このため、媒体に過剰な動力が伝達するのを回避しつつ、その搬送を行うことができる。媒体に過剰な動力が伝達するのを回避することによって、その媒体が変形して弾性力が生じるのが回避される。このことから、弾性力によって位置がずれてしまうようなことも回避され、所望の位置に媒体を高精度に搬送することができる。
【0050】
本発明の媒体搬送装置は、上記媒体搬送機構を媒体の位置を揃えるのに利用する。それにより、適切な位置の適切な状態の媒体を対象に繰出しを行えるようになる結果、媒体を繰出す順序が変わる、ダブルフィードが発生するといった媒体の繰出し上の不具合の発生を確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による媒体搬送装置の主要部分の側面断面図である。
【図2】本実施の形態による媒体搬送装置の主要部分の上面断面図である。
【図3】本実施の形態による媒体搬送装置を搭載した投票用紙処理装置の回路構成図である。
【図4】一括取込処理のフローチャートである。
【図5】繰出し搬送処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 挿入口
2 取込ローラ
3、8 プーリ
4、9 シャフト
5 たわみベルトテンションローラ
6 駆動伝達兼搬送ベルト
7 たわみベルト
13 圧接板
14 セパレータ
15 繰出しローラ
21 制御部
24 各種モータ
24a 取込モータ
24b 搬送モータ
25 モータ駆動部
26 センサ群
27 センサ駆動部
28 ソレノイド群
29 ソレノイド駆動部
A、B 投票用紙(媒体)
Claims (2)
- 収納場所に収納された媒体を1つずつ繰出して搬送する装置であって、
ベルト状部材と、
前記ベルト状部材を、自重によりたわむ状態に支持する少なくとも二つの支持部材と、
前記二つの支持部材によって支持された前記ベルト状部材に動力源からの動力を伝達するための動力伝達手段と、
挿入口から挿入された媒体を一括に取り込んで前記収納場所に収納する媒体取込手段と、
前記収納場所に収納された媒体を1つずつ繰出す媒体繰出手段と、を具備し、
前記ベルト状部材のなかで前記二つの支持部材間の自重によりたわんだ部分を、前記収納場所に収納された媒体のなかで最も上に位置する媒体と該媒体を繰出す方向上の先端部分を避けて接触させ、該ベルト状部材を介して動力を伝達することにより、該最も上に位置する媒体の端を所定位置に揃えた後、前記媒体繰出手段により繰出して搬送する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。 - 前記媒体取込手段は、前記二つの支持部材のうちの一方が取り付けられたシャフトに設けられているローラ、及び該ローラと対向するローラとで前記媒体を挟み込む形で取り込み前記収納場所に収納する、
ことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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