JP3817710B2 - 易開封性複合フィルムおよび易開封性ポリエチレン製容器 - Google Patents

易開封性複合フィルムおよび易開封性ポリエチレン製容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性が良好で、剥離後の外観に優れた易開封性複合フィルムおよび易開封性ポリエチレン製容器に関する。更に詳しくはポリエチレン製容器の易開封性蓋材として好適に使用できる易開封性複合フィルムおよび該易開封性複合フィルムを蓋材として使用した易開封性ポリエチレン製容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年ヨーグルトなどの乳製品、納豆、即席麺などの容器として、デザインの多様化に伴う印刷の鮮明性への要求や廃棄時の環境問題に対応して紙容器が増えてきている。該紙容器は通常その内面がポリエチレン系樹脂で被覆されており、シーラントとしてホットメルト樹脂を使用した蓋材が熱シールされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のホットメルト樹脂をシーラントとした蓋材を使用した紙容器は、開封力が強すぎて開封しにくく、しばしば開封時に紙容器表面を被覆しているポリエチレンと蓋材のホットメルト樹脂の間で破壊が起こらずに、紙と表面を被覆しているポリエチレンの間で破壊が起こり、剥離外観が悪いものであり、ポリエチレンと蓋材のホットメルト樹脂の間で破壊が起こる場合でも、剥離面が糸引き状になり外観が悪いものであった。また、耐熱性が不十分であるため、即席麺の用途などでは、特に夏場の輸送中に蓋が開いてしまうことがあった。これらの問題を解決するものとして、本発明者らは既に特開平10−337829号公報や特開平11−58642号公報を提案しているが、ユーザーから、剥離外観や耐熱性の一層の向上を求められていることがわかった。
【0004】
すなわち、特開平10−337829号公報は低密度ポリエチレンにポリブテン−1を添加したものであり、開封時に低密度ポリエチレンとポリブテン−1を混合したシール層が凝集破壊され、この時に低密度ポリエチレンが伸びて糸引きになり、外観不良として指摘される場合があった。また、特開平11−58642号公報は、開封時の糸引き改善のため低密度ポリエチレンとポリブテン−1にエチレン−αオレフィン共重合ゴムを添加したものであるが、非晶性で熱による軟化が起きやすい樹脂であるエチレン−αオレフィン共重合ゴムを使用しため、耐熱性が不十分と指摘される場合があった。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、熱による軟化が起こりにくく、剥離外観、耐熱性が良好で、かつ開封性、密閉性に優れた易開封性複合フィルムおよび易開封性ポリエチレン製容器を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の易開封性複合フィルムは、シール層(A層)と基材層(B層)とが積層された複合フィルムであって、該A層は、メルトフローレートが2〜20g/10分の範囲の低密度ポリエチレンaが30〜75wt%と、メルトフローレートが50〜300g/10分の範囲の低密度ポリエチレンbが10〜40wt%と、ポリブデン−1が10〜40wt%とからなる層であり、該B層は、ポリエチレン系樹脂からなる層から構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の易開封性ポリエチレン製容器は、かかる易開封性複合フィルムのA層面をシーラント層として用いる蓋材と、ポリエチレン製器部とからなり、かつ、該蓋材のA層面がシールされて構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり剥離外観、耐熱性が良好で、かつ開封性、密閉性に優れた易開封性複合フィルムについて、鋭意検討し、シール層(A層)と基材層(B層)とが積層された複合フィルムの該A層として、特定な低密度ポリエチレンaと特定な低密度ポリエチレンbと、さらにポリブデン−1とからなる特定な樹脂組成物を用いてみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、シール層と基材層の厚みを特定の範囲とした積層された複合フィルムであって、基材層をポリエチレン系樹脂からなる層となし、シール層をフイルム化が可能な範囲の粘度の低密度ポリエチレンに、シール強度をコントロールするためのポリブデン−1を加え、更に極端に粘度の低い結晶性の低密度ポリエチレンを上記特定の割合で混合することにより、開封時に凝集破壊するシール層の低密度ポリエチレンが延びずに切れやすくしたため糸引きの発生が無く、複合フィルムに使用する全ての樹脂を結晶性樹脂で構成したことにより、熱による軟化が起こりにくくなり、剥離外観が良好で、かつ耐熱性の良好な易開封性複合フィルムを工業的に容易な方法で提供した点、および該複合フィルムを、ポリエチレン製容器の蓋材に採用した剥離外観が良好で、かつ耐熱性の良好な易開封性ポリエチレン製容器を提供し得た点に特徴を有するものである。
【0010】
まず、本発明の易開封性複合フィルムのシール層であるA層は、メルトフローレートが2〜20g/10分の範囲の低密度ポリエチレンaが30〜75w%と、メルトフローレートが50〜300g/10分の範囲の低密度ポリエチレンbが10〜40wt%、ポリブデン−1が10〜40wt%からなることが必要である。
【0011】
シール層(A層)に用いる低密度ポリエチレンaは高圧法低密度ポリエチレンまたはシングルサイト触媒を使用した直鎖状低密度ポリエチレンまたは両者の混合物であり、また該低密度ポリエチレンは、そのメルトフローレートが2〜20g/10分の範囲にあることが必要である。2g/10分未満では溶融時の流動性が悪くポリエチレン製容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋めることができず、20g/10分を越えると安定製膜が困難になる。
【0012】
ここで、シングルサイト触媒を使用した直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンモノマーを主成分として、これにブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などを共重合したものである。
【0013】
なお、低密度ポリエチレンには本発明の目的を損なわない範囲で、若干の他の成分が共重合されていてもかまわない。
【0014】
該低密度ポリエチレンaのA層への配合比率は30wt%〜75wt%であることが必要である。該ポリエチレンの比率が30wt%を下まわると、紙容器とのシール強度が低く、密封性を満足することができなくなり、75%wtを越えるとシール強度が強くなりすぎ、開封性を満足することができない。
【0015】
該低密度ポリエチレンaの融点は80℃〜115℃が好ましく、特に90〜110℃が好ましい。融点が80℃未満では、フィルムがブロッキングを起こして取扱が困難になる場合があり、該フィルムを蓋材としたポリエチレン製容器を夏季の自動車の中のように高温になる場所に放置した場合には、蓋がはがれる危険性があるなど流通上の問題が発生する場合もある。一方、融点が115℃を超えると、シール時にポリエチレン製容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋めることができず、密封性不良になる場合がある。また、本発明のポリエチレン製容器としては、容器の表面がポリエチレン系樹脂で被覆されてなる紙容器を含むものであるが、かかる容器においては、該低密度ポリエチレンaの融点が115℃を超えると、高温でシールされることとなり、その場合、容器の紙に含まれる水分が発泡し、外観上の不良が生じるという問題が発生する。
【0016】
シール層(A層)に用いる低密度ポリエチレンbのメルトフローレートは50〜300g/10分、好ましくは150〜250g/10分の範囲であることが必要である。該ポリエチレンのメルトフローレートが50g/10分以下であると、開封時の糸引きの改善効果が低く、300g/10分を越えると安定製膜が困難になる。
【0017】
該低密度ポリエチレンbの配合比率は10wt%〜40wt%の範囲であることが必要である。該ポリエチレンの比率が10w%を下まわると開封時の糸引きの改善効果が低く、30wt%を越えると安定して製膜するのが困難になる。
【0018】
A層に用いる他の成分であるポリブデン−1は、ブテン−1の重合体およびブテン−1を主成分にして、これにエチレンまたはプロピレンを共重合したポリマーであり、配合比率は10wt%〜40wt%の範囲であることが必要である。配合比率が10wt%を下まわるとシール強度が強くなりすぎ、開封性を満足することができない。40wt%を越えるとシール強度が低く、密封性を満足することができなくない。
【0019】
該ポリブテン−1の融点は70℃〜125℃で、メルトフローレートは1〜30g/10minが好ましい。融点70℃未満ではフィルムがブロッキングを起こして取扱いが困難になる場合があり、一方融点が125℃を越えると高温でシールすることが必要となり容器の紙に含まれる水分が発泡し外観上の不良が生じる場合がある。また、メルトフローレートが1g/10min未満ではポリエチレンとの混合が難しくなり、30g/10minを越えると安定して製膜することが困難になる場合がある。
【0020】
B層はポリエチレン系樹脂からなることが必要である。その理由は、容器にヒートシールする際にA層と共に溶融して紙容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋める役割と基材層としてA層と十分な接着力を有し(A層の凝集破壊力より接着力が大きいことが必要)、製膜時や加工工程での取扱いに耐える役割を付与するためである。
【0021】
ここで、ポリエチレン系樹脂とは高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンとこれらの変性体およびこれらの混合物から選ばれる樹脂であり、B層を構成する主成分のポリエチレン系樹脂の融点はA層に使用する低密度ポリエチレンの融点以上のものを選ぶのが好ましい。B層を構成する主成分のポリエチレン系樹脂融点がA層に使用する低密度ポリエチレンの融点より低い場合には、紙容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋められない場合がある。B層樹脂として特に好適な例として、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合組成物がある。この場合にはフィルムに適度な剛性があり、取扱い性も優れたものとなる。
【0022】
なお、B層には本発明の目的を損なわない範囲で、フィルム加工に適した滑り性やラミネート適性を確保するため、特定の添加剤、具体的にはエルカ酸アミドやベヘニン酸アミドなどの有機滑剤、分子量500以上の酸化防止剤、およびシリカ、ゼオライト、炭酸カルシウムやポリメチルメタクリレート架橋粒子などの有機粒子を選択して使用してもよい。また、B層ポリマーには本発明の効果を阻害しない範囲であれば、必要に応じて本発明フィルムを生産する際に生じる耳やスリット屑などを混合使用することができる。
【0023】
A層の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であるのがよい。厚みが3μm未満の場合には、シール時に紙容器のフランジ部の重ね合わせ部分の段差を埋めることができにくくなり、密封性不良になる可能性がある。また、複合フィルムに占めるA層の厚み比率は、10〜50%であることが好ましく、20〜40%が特に好ましい。A層の厚み比率が10%未満の場合には、シール圧力が強すぎると部分的に基材層が、ポリエチレン製容器のポリエチレンと接着し、開封性が不良になる場合があり、一方、厚み比率が50%を越えると、非相溶成分からなるシール層は溶融時の流動安定性が基材層より悪いので製膜安定性が悪くなる。
【0024】
複合フィルムの厚さは、ポリエチレン製容器の重ね合わせ部分の段差の大きさに応じて決めればよいが、25〜100μmの範囲が好ましい。25μm未満では、段差が埋まらない場合があり、100μmを越えると、コストも高くなり、経済性に劣る。
【0025】
本発明の複合フィルムは、A層、B層の2層からなる複合フィルムであるが、必要に応じ基材層であるB層側に第3、第4の層を積層し、3層以上の積層フィルムとしてもよい。
【0026】
本発明の易開封性複合フィルムの製造方法は特に限定されないが、2台の押出機を用いて、それぞれA、B層のポリマーを溶融して押出し、ピノールやフィードブロック法などのパイプ複合、共押出多層ダイ法などの方法で溶融状態で積層する方法が効率的である。このようにして、成型されたフィルムは必要に応じラミネート加工時の接着性を向上させるため表面処理を施すことができる。この表面処理の方法はコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などが採用される。
【0027】
次に本発明を図面により説明する。
【0028】
図1は、本発明の易開封性複合フィルムの断面図であり、片面がA層1で、裏面がB層である。この易開封性複合フィルムを打ち抜いて、蓋材とするものである。本発明でいうポリエチレン製容器とは、ポリエチレン系樹脂のみで形成された容器は、もちろん、ポリエチレン系樹脂と紙との積層品、特に表面がポリエチレン系樹脂で被覆されてなる紙容器が含まれるものである。すなわち、上述の易開封性複合フィルムのA層面をシーラント層として用いる蓋材5と、ポリエチレン製器部6とからなり、かつ、該蓋材5のA層面がシールされて構成されているものである。つまり、該容器の下部の器部分が、ポリエチレン系樹脂製であるか、または、少なくとも片面にポリエチレン系樹脂層を有する紙で構成されているものである。本発明の上述の易開封性複合フィルムのA層は、ポリエチレン系樹脂に対して、前記効果、つまり優れた易開封性、優れた剥離後の外観の美しさを有するものである。
【0029】
本発明のポリエチレン製容器を、ポリエチレン系樹脂を片面にラミネートした紙容器に代表させて説明する。容器の器部6は、図2に示すように、その内表面がポリエチレン系樹脂4で被覆されてなる紙4′で構成されており、該容器のフランジ部分3(蓋材5とシールする部分)に紙の重ね合わせ部分の段差(図示せず)がある構造を有するものである。
【0030】
かかるポリエチレン系樹脂4は、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンとこれらの変性体およびこれらの混合物から選ばれた樹脂を使用することができるが、特に高圧法低密度ポリエチレンが好ましく使用される。かかるポリエチレン系樹脂4の紙4′への被覆方法は、押出しラミネート法、ドライラミネート法、コーティング法など特に限定されないが、好ましくは生産性の良好な押出しラミネート法が採用される。
【0031】
ここで使用する蓋材5は、図1の易開封性複合フィルムのB層2側に、たとえばアルミ箔、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、紙などの補強基材2′を、必要に応じて単独あるいは組み合わせて積層したものが使用されるが、かかるB層2側に積層する補強基材2′については特に限定はない。
【0032】
該紙容器に、本発明の易開封性複合フィルムで形成された蓋材5を常法によりフランジ部3で熱シールすることにより易開封性紙容器が製造される。その断面を図2に示す。この図の器部6は、内側表面にポリエチレン系樹脂4を積層してなる紙材4′で構成され、蓋材5は、片面がA層1で、これにB層2側表面に、補強基材である延伸ポリエチレンフィルム2′が積層されてなる易開封性複合フィルムで構成されている。この蓋材5のA層1と、器部6のポリエチレン系樹脂層4とを、フランジ部3で熱シールして容器が構成されているものである。
【0033】
次に、本発明の易開封性複合フィルムの製造法の一例を説明する。2台の押出し機を用いて、1台の押出し機から低密度ポリエチレンaが50wt%と低密度ポリエチレンbが30wt%とポリブデン−1が20wt%の混合樹脂を温度180〜250℃で溶融して押出し(A層)、もう1台の押出し機から低密度ポリエチレン50wt%と高密度ポリエチレン50wt%の混合樹脂を温度180〜250℃で溶融して押出し(B層)、パイプ複合や共押出し多層ダイで積層し、A層の厚みが5μm以上となるようにしてダイよりフィルム状に押出し25〜60℃の冷却ロールでキャスト冷却固化し複合フィルムとする。続いて、必要に応じB層の表面にコロナ放電処理を施し、巻き取り、さらに所定の幅、長さにスリットして、本発明の易開封性複合フィルムを得ることができる。
【0034】
かかる易開封性複合フィルムは、容器の表面がポリエチレン系樹脂4で被覆されてなる紙容器の蓋材5のシーラントフィルム(A層1)として特に好適に用いられるとともに、ポリエチレン製容器用の易開封性シーラントフィルムとして、さらには該易開封性複合フィルムをシーラントフィルムとした製袋品(A層とA層を袋の内面としてシールする製品)にも好適に使用することができる。
【0035】
本発明の易開封性ポエチレン製容器は、ヨーグルトなどの乳製品、納豆、即席麺などの容器として好適に使用することができる。
【0036】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
実施例における特性の測定方法並びに効果の評価方法は、次のとおりである。
【0038】
(1) 結晶融点(Tm)
走査型指差熱量計(略称:DSC)を用いて、3mgの試料をセットし、昇温速度10℃/分にて室温より測定し、結晶の融解に伴う吸熱カーブを測定しそのピーク温度(℃)をもって結晶融点とする。このとき、融解ピークが複数個観測される場合には最大ピーク温度をTmとする。
【0039】
(2) メルトフローレート(MFR)
JISK−7210 試料条件は(190℃、2.16Kgf)に準じて測定した値である。
【0040】
(3) ヒートシール強度、開封性
厚さ250μmの紙の片側に80μmの低密度ポリエチレンを積層した総厚み330μmの紙基材のポリエチレン面側と厚さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートしたテスト複合フィルムのA層面側を重ね合わせ、平板ヒートシーラーのシールバーの下板(紙基材側)を80℃とし、上板(テスト複合フィルム側)を150℃としてヒートシールして、測定用サンプルを作成する。次いで、インストロンを用いて、剥離強度を測定しヒートシール強度とした。
【0041】
なお、ヒートシール強度が強すぎて、紙と被覆したポリエチレンの間で破壊が生じたものはシール不良(×)と判定した。一方5N/15mm未満のものも、蓋材として必要なシール強度に達しないのでシール不良(×)と判定した。
【0042】
開封性はヒートシール強度が、10〜19N/15mmのものを良好(○) とし、それ以外のものを不良(×)とした。
【0043】
(4) 密封性の評価(紙容器の重ね合わせ部分の段差の埋まり具合の評価)前記(3)項の総厚み330μmの紙基材を重ね合わせた段差部分に、厚 さ12μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートしたテ スト複合フィルムのA層面側を重ね合わせ、(3)項と同じ条件でヒートシ ールして、測定用サンプルを作成する。次いで、シールした段差部分に、染 料エオシンYのエタノール飽和液を一滴落とし、液が段差部分を通過したも のを密封性不良(×)、段差部分に全く浸透せず通過しなかったものを密封 性良好(○)と判定した。
【0044】
(5)耐熱性の評価
紙容器に熱シールしたものを、80℃のオーブンに入れ、内圧の上昇で蓋が開いたものを(×)、開かなかったものを(○)と判定した。
【0045】
(6)剥離外観の評価
紙容器に熱シールしたものを剥離したときに、糸引きが目視で全く見えないものを(◎)、剥離中に小さな糸引きが見えるが跡が残らないものを(○) 、1mm程度の糸引きが残るものを(△)、1mmより長い糸引きが残るも のを(×)と判定した。
実施例1、2、3
2台の押出し機を用いて、1台の押出機からMFR7.0、密度0.918、融点106℃の低密度ポリエチレン(LDPE)aとMFR200、密度0.919、融点106℃の低密度ポリエチレン(LDPE)bおよびMFR20,融点123℃のポリブテン−1(PB−1)を表−1に示す比率で混合して温度220℃で溶融して押し出し(A層)、他の1台の押出機からMFR7.0、密度0.920、融点109℃の低密度ポリエチレン(LDPE)50wt%とMFR8.0、密度0,960、融点132℃の高密度ポリエチレン50wt%を混合し温度240℃で溶融して押し出し(B層)、共押出ダイで積層してフイルム状に押し出し、35℃の冷却ロールで冷却固化し、A層の厚みが10μm、B層の厚みが30μmの総厚み40μm複合フイルムを得た。
【0046】
得られた複合フイルムは表−1に示すように、剥離外観が良好で、耐熱性に優れ、かつ適切なシール強度を有し、開封性、密封性が良好なものであった。
比較例1、2
シール層の低密度ポリエチレン(LDPE)bの混合比率を表1に示すように、本発明の範囲外とすることを除いて、実施例1と全く同じ条件で複合フイルムを得た。
【0047】
比較例1は、低密度ポリエチレン(LDPE)bが少なすぎるため、開封時に小さな糸引きが発生し、剥離外観は使用可能なレベルではあるが、低密度ポリエチレン(LDPE)bを添加していない比較例2は、顕著な糸引きが発生し、外観不良であった。
実施例4、5
実施例4、5は、シール層のポリブテン−1を、表1に示す比率で混合した以外は、実施例1と全く同じ条件で複合フイルムを得た。
【0048】
得られた複合フイルムは、表1に示すように、剥離外観が良好で、耐熱性に優れ、かつ適切なシール強度を有し、開封性、密封性が良好であった。
比較例3、4
比較例3、4は、シール層のポリブテン−1の濃度を表1のように変更する以外は、実施例1と同じ条件で複合フイルムを得た。
【0049】
比較例3は、ポリブテン−1が少なすぎるため、シール強度が強すぎて、開封時に紙容器と表面を被覆しているポリエチレンとの間で剥離し、外観が不良であった。比較例4は、ポリブテン−1が多すぎて、シール強度が低くいために、密封性が悪く、80℃のオーブン中の耐熱性試験で、内圧の上昇に耐えられずシール抜けが発生した。
比較例5
比較例5は、シール層の低密度ポリエチレン(LDPE)bの代わりにエチレンピロピレンラバー(EPR)を剥離外観改良剤として添加し以外は、実施例1と同じ条件で複合フイルムを得た。
【0050】
比較例5のフイルムは、剥離外観と、室温での密封性は良好であったが、耐熱性が悪いため、80℃のオーブン中で、内圧の上昇に耐えられずシール抜けが発生した。
実施例6、7
実施例6は、B層を実施例1で示したMFR7.0、密度0.920、融点109℃の低密度ポリエチレン(LDPE)100%とした以外は、実施例1と同じ条件で複合フイルムを得た。
【0051】
実施例7は、B層を実施例1で示したMFR8.0、密度0.960、融点132℃の高密度ポリエチレン(HDPE)100%とした以外は、実施例1と同じ条件で複合フイルムを得た。
【0052】
実施例6、7いづれも、表1に示すように剥離外観が良好で、耐熱性に優れ、かつ適正なシール強度を有し、開封性、密封性が良好なものであった。
実施例8
実施例8は、A層の厚みを5μmとし、b層の厚みを35μmとする以外は、実施例2と同じ条件で複合フイルムを得た。この複合フイルムは表1に示すように剥離外観、耐熱性が良好で、かつ適正なシール強度を有し、開封性、密封性が良好なものであった。
実施例9
実施例9は、A層の厚みを3μmとし、B層の厚みを37μmとする以外は、実施例2と同じ条件で複合フィルムを得た。この複合フィルムは、若干シール強度にバラツキがあるものの、剥離外観、耐熱性が良好で、開封性、密封性も良好であった。
【0053】
【表1】
Figure 0003817710
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、剥離外観、耐熱性に優れ開封性が良好で密閉性の問題のない易開封性ポリエチレン製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の易開封性複合フィルムの一例を示す断面図である。
【図2】 本発明にかかる易開封性ポリエチレン製容器の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:A層(シール層)
2:B層(基材層)
2′:補強基材
3:フランジ部分
4:ポリエチレン系樹脂(器部基材)
4′:紙材
5:蓋材
6:器部

Claims (5)

  1. シール層(A層)と基材層(B層)とが積層された複合フィルムであって、該A層は、メルトフローレートが2〜20g/10分の範囲の低密度ポリエチレンaが30〜75wt%と、メルトフローレートが50〜300g/10分の範囲の低密度ポリエチレンbが10〜40wt%と、ポリブデン−1が10〜40wt%とからなる層であり、該B層は、ポリエチレン系樹脂からなる層から構成されていることを特徴とする易開封性複合フィルム。
  2. 該A層の厚みが3μm以上であることを特徴とする請求項1記載の易開封性複合フィルム。
  3. 該A層の厚みが、5μm以上である請求項1または2記載の易開封性複合フィルム。
  4. 該低密度ポリエチレンbが、メルトフローレートが150〜250g/10分の範囲のものである請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性複合フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の易開封性複合フィルムのA層面をシーラント層として用いる蓋材と、ポリエチレン製器部とからなり、かつ、該蓋材のA層面がシールされて構成されていることを特徴とする易開封性ポリエチレン製容器。
JP2000129343A 2000-04-28 2000-04-28 易開封性複合フィルムおよび易開封性ポリエチレン製容器 Expired - Lifetime JP3817710B2 (ja)

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