JP3816984B2 - 硫化オキシモリブデンジチオカーバメートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫化オキシモリブデンジチオカーバメート(以下、「MoDTC」と記載する)の製造方法並びにこれを含有する潤滑剤組成物に関し、詳しくは腐食性が少なく潤滑性に優れたMoDTCを効率よく高収率で製造する方法並びにこれを含有する潤滑剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の高性能化、高出力化に伴いエンジン油の使用条件は益々過酷になっている。特に最近では、環境問題から省燃費が重要な問題としてクローズアップされ、エンジン油も低粘度化あるいは摩擦調整剤の質・量的向上により燃費をより向上させる動きが高まっている。
【0003】
この様な状況下の中、MoDTCに対して優れた摩擦調整剤、耐摩耗剤としての働きが益々期待されている。
このMoDTCの製造方法としては特公昭45−24562号公報には、二級アミン、二硫化炭素、三酸化モリブデンから得る方法が示されている。
又、特開昭48−56202号公報には、
【化2】
(式中、Rはアルキル基を表す)の化合物を、上記特公昭45−24562号公報記載の方法の生成物と五硫化燐との反応で得ることが記載されている。
【0004】
しかしながら、上記の特公昭45−24562号公報記載の化合物では耐熱性に劣り、特開昭48−56202号公報記載の化合物は銅板への腐食作用があるため、その使用に制限を受けている。
【0005】
これを改善するために、特開昭52−19629及び特開昭52−106824号公報には三酸化モリブデン又はモリブデン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩と水硫化アルカリ又は硫化アルカリとをモル比1:0.05〜4の割合で含む水溶液又は水懸濁液中で、二硫化炭素と二級アミンとを反応させるMoDTCの製造方法が記載されている。
【0006】
又、特開平4−182494号公報には、三酸化モリブデン又はモリブデン酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩と水硫化アルカリ又は硫化アルカリを配合したpH8.5〜11の水溶液に二硫化炭素と二級アミンとを反応させるMoDTCの製造方法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭52−19629号公報及び特開昭52−106824号公報及び特開平4−182494号公報記載の化合物は潤滑性の面及び製造の収率等でいまだ改善の余地があった。
又、上記の方法では6価のモリブデン化合物を出発物質とし、最終的に一般式(1)の骨格を有するMoDTCを得んとしている。この点において、使用した6価のモリブデンがいかに一般式(1)の骨格のMoDTCが製造されるかが、製造方法を確立する上で重要であり、又、腐食性が少なくかつ潤滑性に優れたMoDTCを得るために必要となってくる。
【0008】
すなわち、本発明の目的は6価のモリブデン化合物を出発物質とし、腐食性が少なく潤滑性に優れた一般式(1)の骨格のMoDTCを効率よく製造できる工業的製造方法を提供することにある。
【0009】
又、本発明の他の目的は、効率よく、純粋に製造された潤滑剤を用いることにより摩耗特性に優れ効果的に優れた潤滑性を示しかつ腐食性の少ない潤滑剤組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、6価のモリブデン化合物を出発物質とし、腐食性が少なく潤滑性に優れた一般式(1)の骨格のMoDTCを製造する製造方法を鋭意検討した結果、効率よく製造する方法を確立し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
(A)(a)6価のモリブデンを有する化合物と、(b)水硫化アルカリ又は硫化アルカリとを反応させた水溶液又は水懸濁液;
(B)二硫化炭素;
(C)二級アミン;及び
(D)鉱酸
を反応させることにより得られる一般式(1)
【化2】
(式中、R1〜R4は、炭化水素基を表し、R1〜R4の合計炭素数R’が32より大で、72以下であり、X1〜X4は、各々硫黄原子又は酸素原子を表す)で表されるMoDTCの製造方法において、
任意の反応段階で(E)還元剤を添加・反応させ、且つ(D)の添加当量dが、(b)中のアルカリ1当量に対して式(2)
【数2】
で表される範囲を満たすことを特徴とする、一般式(1)で表されるMoDTCの製造方法である。
【0011】
又、本発明は、上記製造方法によって製造されたMoDTCよりなる潤滑剤である。
【0012】
なお、一般式(1)の構造は、便宜上のものであって、学術的には以下の一般式(3)の構造であることが明らかになっている。
【化4】
ここで、ジチオカルバミン酸部分の、N−C−SS結合は4原子間で共役しており、全体として負の1価である。又、MoX4は全体として正の2価である。従って、MoDTCはジチオカルバミン酸とMoX4の塩であるといえる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のMoDTCの製造方法の原料である(A)は、(a)6価のモリブデンを有する化合物[以下、「(a)6価モリブデン化合物」と記載する]と(b)水硫化アルカリ又は硫化アルカリ[以下、「(b)水硫化アルカリ等」と記載する]を反応させた水溶液又は水懸濁液である[以下、「(A)水懸濁液等」と記載する]。
【0014】
(a)6価モリブデン化合物とは、有機化合物、無機化合物のいずれをも含むものである。なかでも、固体であり原料としての取り扱いが容易であるモリブデン酸の金属塩、モリブデン酸のアンモニウム塩及び三酸化モリブデン(無水モリブデン酸)等が好ましい。又、モリブデン酸の金属塩としてはアルカリ金属塩、例えばモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム等が好ましい。
【0015】
(b)水硫化アルカリ等の中で水硫化アルカリとしては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム等を用いることができる。水硫化アルカリはフレーク状、水溶液いずれであっても使用できるが、(a)6価モリブデン化合物が固体である場合には、固−固反応が困難であるので液体である水硫化アルカリ水溶液を用いるのが好ましい。
【0016】
(b)水硫化アルカリ等の中で硫化アルカリとは、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化アンモニウム等を用いることができる。又、これらの水溶液や、水酸化アルカリ水溶液中に硫化ガスを導入して得られる硫化アルカリ水溶液も同様に用いることができる。
【0017】
(a)6価モリブデン化合物と(b)水硫化アルカリ等を反応させて(A)水懸濁液等を得る反応は、(B)二硫化炭素、(C)二級アミン、(D)鉱酸との反応の前に少なくとも1部は反応させておく必要があり、好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上反応させておく必要がある。反応が全く行われていない場合は副生産物が多く生産され、最終生産物たるMoDTCの純度、収率に悪影響を及ぼす傾向が見られるために好ましくない。
【0018】
(a)6価モリブデン化合物と(b)水硫化アルカリ等との反応割合は、一般式(1)におけるX1〜X4で示される硫黄原子と酸素原子の組成を決定する要因となる。従って、反応割合を適宜調整することにより、MoDTCの使用目的、使用環境等に適応するようにX1〜X4の組成を制御することができる。(b)水硫化アルカリ等の使用量が多ければ、X1〜X4中の硫黄原子の割合が多くなり、逆に、(b)水硫化アルカリ等の使用量が少なければ、X1〜X4中の酸素原子の割合が多くなる。従って、(a)6価モリブデン化合物と(b)水硫化アルカリ等との反応割合は特に限定されないが、反応を効率的に進行させるために、(a)6価モリブデン化合物中のモリブデン原子1モルに対して好ましくは0.01〜4モル、より好ましくは1〜2モル、特に好ましくは1.2〜1.9モルであるのがよい。
【0019】
但し、一般式(1)中のX1〜X4の硫黄原子と酸素原子の割合において、酸素原子が多いと潤滑性が乏しく、硫黄原子が多いと腐食性が強くなるため、X1〜X4の硫黄原子と酸素原子の組成をSmOn(m+n=4である)とした場合、好ましくは1.0≦m≦3.5、より好ましくは1.7≦m≦3.5、特に好ましくは1.8≦m≦3.0であるように調整するのがよい。
【0020】
(a)6価モリブデン化合物と(b)水硫化アルカリ等との反応は、水の存在下で行う。この反応においては反応系に水が含有されていればよく、例えば両者の少なくとも一方を水溶液又は水懸濁液として用いるか、両者が共に固体の場合は反応前又は反応中に水を加えて水溶液又は水懸濁液とすればよい。この反応は通常、室温〜60℃、30〜60分程度の反応でほぼ完結させることができる。かかる反応にて(A)水懸濁液等が得られる。
【0021】
又、(A)水懸濁液等を得る工程において、(a)及び(b)の反応前、反応中、反応後のいずれか又はいずれにおいても、反応を阻害しない範囲の有機溶媒を加えて(A)水懸濁液等を得ることもできる。ここで使用できる有機溶媒とは、特に限定はされないが、脂肪族、脂環族、芳香族、複素環式化合物あるいはこれらの混合物であってよく、具体的には例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、リグロイン、石油エーテル等のアルカン類、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル等のアルキルエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ピリミジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンフォスホアミド等が用いることができる。なかでも、反応生成物の分散性及び溶媒の取扱いの問題から、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類が好ましい。
【0022】
次に、本発明のMoDTCの製造方法の原料である(B)二硫化炭素は、通常実験的、工業的に用いられているものが使用できる。
【0023】
また、本発明のMoDTCの製造方法の原料である(C)二級アミンの炭化水素基は、飽和、不飽和、鎖状、環状、直鎖、分岐鎖を問わず、又同一でも異なってもよい。すなわち、ここで選択する炭化水素基が、最終生産物であるMoDTCのR1〜R4となる。かかる炭化水素基は脂肪族、脂環族、芳香族のいずれであってもよい。例えばエチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル等のアルキル基、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、2−エチルヘキセニル、オレイル等のアルケニル基、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロペンチル等のシクロアルキル基、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、スチレン化フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル等のアリール基、ベンジル、フェネチル等のアラルキル基等が挙げられる。
【0024】
なかでも、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル等のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基が更に好ましく、炭素数8〜13の分枝鎖を有するアルキル基が最も好ましい。又、好ましい炭素数は生成物であるMoDTCの用途によって異なる。例えば、潤滑油添加剤として使用する場合は、溶解性の面で、炭素数8〜13の分枝鎖を有するアルキル基が好ましい。又、炭化水素基の異なる2種以上の二級アミンを用いてもよい。
【0025】
本発明方法により製造されるMoDTCは、用いる(C)二級アミンを選択することにより、使用目的、使用条件に適合した炭化水素基を有するMoDTCが製造できる。例えば、同一の炭化水素基を有する二級アミンを1種のみ用いれば、R1〜R4の全てが同一の炭化水素基を有するMoDTCが得られ、異なる炭化水素基を有する二級アミンを1種のみ用いれば、R1及びR3は同一であり、R2及びR4は同一であるが、R1及びR3と、R2及びR4とは同一でないMoDTCが主生成物として得られ、同一の炭化水素基を有する二級アミンを2種用いれば、R1及びR2は同一であり、R3及びR4は同一であるが、R1及びR2と、R3及びR4とは同一でないMoDTCが主生成物として得られる。R1〜R4のそれぞれにおいて炭素数の制限はないが、合計炭素数(R’)は32より大で、72以下である。好ましくは36以上でなければならない。合計炭素数(R’)が32以下であると、潤滑油基油に溶解する場合にMoDTCの油溶性が乏しくなるためである。
【0026】
本発明方法に用いられる(D)鉱酸は、一塩基酸、二塩基酸、三塩基酸あるいはそれらの部分中和物等のいずれであってよい。例えば、塩酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等が挙げられるが、反応効率及び純度の上から塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、更に不揮発性のものが取扱いが容易であるので、硫酸が特に好ましい。
【0027】
ここで、(D)鉱酸の添加当量dは、(b)中のアルカリ1当量に対して式(2)
【数3】
で表わされる範囲を満たすものでなければならない。(D)の添加当量dがこの範囲を上回ると副生成物が多くなり、この範囲を下回ると収率が低下する。
【0028】
又、一般式(1)の構造を有するMoDTCを高収率で得るために、(E)還元剤を用いる。
本発明の製造方法に用いられる(E)還元剤は、他の物質に電子を与える性質を有する化合物であって、6価のモリブデンを一般式(1)の骨格を有するモリブデンに還元できる物質ならば特に限定されない。又、1種を用いても2種以上を併用してもよい。例えば、ヨウ化水素、硫化水素、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化物、一酸化炭素、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイド)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の低級酸素酸の塩、硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化アンモニウム等の硫黄化合物、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛等の電気的陽性の大きい金属のアマルガム、鉄(II)、スズ(II)、チタン(III)、クロム(II)等の低原子価状態にある金属の塩類、ヒドラジン、ボラン、ジボランや、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、糖類、ギ酸、シュン酸、アスコルビン酸、過酸化水素等が挙げられる。なかでも、水素化物、低級酸素酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、硫黄化合物、還元糖、アルデヒド類、還元性酸等が好ましく、更には取り扱いが容易であり、入手が容易である低級酸素酸のアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩が好ましい。本発明の製造方法において、(E)還元剤を用いて製造することは、高収率、高純度で最終生成物である一般式(1)で表されるMoDTCを得る上で好ましい。
【0029】
この場合、(E)還元剤の量は、(A)水懸濁液等中のモリブデン原子1モルに対して0.01〜4モル加えるのが好ましく、特に0.05〜2モル加えるのが好ましい。かかる範囲外であっても製造できないわけではないが、添加量が非常に少なくては一般式(1)の骨格を有するモリブデン化合物を効率よく得ることができず、又、大量に添加しすぎても反応後の精製工程が煩雑になり、副生成物が増える。
【0030】
本発明方法において、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の反応順序は問わないが、収率の向上、副生成物を産出しないためには(B)二硫化炭素、(C)二級アミンを同時に加える反応が好ましい。すなわち、(A)水懸濁液等に(B)二硫化炭素及び(C)二級アミンを同時に加えたのち(D)鉱酸を加えるか、(A)水懸濁液等に(D)鉱酸を加えた後、(B)二硫化炭素及び(C)二級アミンを同時に加える。(E)還元剤を加える場合は、(a)6価モリブデン化合物と(b)水硫化アルカリ等から(A)水懸濁液等を得る反応の反応中あるいは反応後に加えるのが好ましい。
本発明の方法において、(B)二硫化炭素及び(C)二級アミンの使用量は、反応効率、製品の純度を向上させ、且つ副生成物量を減らすため、(A)水懸濁液等中のモリブデン原子1モルに対して、(B)二硫化炭素及び(C)二級アミンそれぞれ好ましくは0.9〜2モル、更に好ましくは1〜1.5モルである。
【0031】
本発明の製造方法において、反応温度は室温付近でも可能であるが、好ましくは40〜140℃、更に好ましくは60〜110℃である。反応温度が高すぎると、副生成物が増加する傾向があり、低すぎると、製品収量が減少する傾向がある。
【0032】
なお、本発明の製造方法により得られるMoDTCは粒状あるいは粘度の高い液体である。
【0033】
又、必要に応じ、未反応原料や副生成物を除去するため、最終生成物を水又は有機溶媒で洗浄する工程を設けてもよい。又、本発明の製造方法により得られたMoDTCが粉体又は固体である場合には、有機溶媒にてスラリー化する工程を設ければ、MoDTCが精製されるとともに、グリース用添加剤として好ましい粒径のMoDTCが得られる。有機溶媒は、前述した有機溶媒が使用できる。
【0034】
本発明の製造方法で得られたMoDTCは、従来の製造方法で得られたMoDTCに比べて、潤滑剤添加剤として特に優れた一般式(1)の骨格のモリブデンを有するMoDTCを工業的に効率よく製造することができる。又、不純物が少ないために腐食の原因とならず、かつ潤滑油基油あるいは基グリースに添加された場合に優れた潤滑性を発揮することができる。又、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)の使用量を最適化することにより、更に優れたMoDTCを得ることができる。
【0035】
本発明の製造方法で得られたMoDTCは、潤滑剤として優秀かつ有用なものであり、特に、摩擦低減能力、酸化防止能力に優れるものである。本発明の製造方法で得られたMoDTCは、潤滑油基油又は基グリースに適当量、好ましくは0.01〜5重量%添加して使用される。
【0036】
用いられる基油は、通常用いられている潤滑油基油ならば特に制限を受けるものではないが、例えば天然の原油から分離、蒸留、精製されたパラフィン系、ナフテン系、あるいはこれらを水素化処理、溶剤精製した鉱油、HVI油、又化学的に合成された合成油、例えばポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、リン酸エステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン等である。
【0037】
又、グリースとして用いられる場合は、基グリースとしては特に制限を受けるものではないが、例えば鉱油及び/又は合成油を使用した金属石鹸グリース、金属石鹸複合グリース、ウレア系グリース、有機処理粘土を使用したグリース(例えばベントングリース)等が挙げられる。
【0038】
更に、本発明の製造方法によって得られたMoDTCを潤滑油基油又は基グリースに添加した潤滑剤組成物には、公知の潤滑剤添加剤の添加を拒むものではなく、例えばジンクジチオホスフェート、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、清浄剤、分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、消泡剤、他のモリブデン系添加剤を適宜加えることができる。又、グリースとして使用する場合は二硫化モリブデン、グラファイト、4フッ化エチレン等の固体潤滑剤とも併用することができる。なかでも、ジンクジチオホスフェートは酸化防止能、摩擦低減能とも優れており、本発明の製造方法によって得られたMoDTCと好ましく併用できる。
【0039】
本発明の方法によって得られたMoDTCと、潤滑基油または基グリースを含有してなる潤滑剤組成物は、自動車を含む車両用エンジン、2サイクルエンジン、航空機用エンジン、船舶用エンジン、機関車用エンジン(これらのエンジンはガソリン、ディーゼル、ガス、タービンを問わない)等を含む内燃機関用潤滑油、自動トランスミッション液体、トランクアクスル潤滑剤、ギヤ潤滑剤、金属加工用潤滑剤等として使用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。
実施例1
攪拌機、温度計、窒素管及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、三酸化モリブデン144g(1.00モル)を水250ml及びメタノール500mlに懸濁させ攪拌した。これに硫化ソーダ九水塩346g(1.44モル)を加えて溶解させた後、無水亜硫酸ソーダ63g(0.50モル)を添加した。次いで、ジ−2―エチルヘキシルアミン127g(0.53モル)、ジ−トリデシルアミン200g(0.53モル)及び二硫化炭素80g(1.05モル)を常温で加えて2時間反応させた後、35%希硫酸342g(1.22モル)で中和し、80℃で5時間還流させた。これを冷却して水層を除去した後、温水で洗浄し、脱水、ろ過して茶褐色粘稠液体520gを得た。収率は98%であった。元素含量は、Mo=15.7%、S=19.2%であった。又、本例における希硫酸の添加当量dの値は0.85であった。なお、本例において、R1及びR2は2−エチルヘキシル基であり、R3及びR4はトリデシル基であり、R’は42であり、mは2.7であった。
【0041】
実施例2
硫化ソーダ九水塩346gに代えて40%水硫化ソーダ水溶液202g(1.44モル)を用い、ジ−2―エチルヘキシルアミン127g及びジ−トリデシルアミン200gに代えてジ−トリデシルアミン400g(1.06モル)を用い、35%希硫酸を152g(0.54モル)用いた以外は実施例1と同様に反応させ、黄褐色ペースト状物質529gを得た。収率は88%、元素含量は、Mo=14.0%、S=14.0%であった。又、本例における希硫酸の添加当量dの値は0.75であった。なお、本例において、R1〜R4はトリデシル基であり、R’は52であり、mは2.7であった。
【0042】
実施例3
ジ−2―エチルヘキシルアミン127g及びジ−トリデシルアミン200gに代えてジ−トリデシルアミン400g(1.06モル)を用いた以外は実施例1と同様に反応させ、黄褐色ペースト状物質530gを得た。収率は88%、元素含量は、Mo=13.9%、S=13.8%であった。又、本例における希硫酸の添加当量dの値は0.85であった。なお、本例において、R1〜R4はトリデシル基であり、R’は52であり、mは2.7であった。
【0043】
実施例4
ジ−トリデシルアミン400gに代えて純度90%のジ−ステアリルアミン548g(1.05モル)を用いた以外は実施例2と同様に反応させ、茶色粉末状物質1,305gを得た。収率は88%、元素含量は、Mo=12.5%、S=12.6%であった。又、本例における希硫酸の添加当量dの値は0.75であった。なお、本例において、R1〜R4はステアリル基であり、R’は72であり、mは2.7であった。
【0044】
実施例5
ジ−トリデシルアミン400gに代えて純度90%のジ−ステアリルアミン548g(1.05モル)を用いた以外は実施例1と同様に反応させ、茶色粉末状物質1,289gを得た。収率は87%、元素含量は、Mo=12.5%、S=12.6%であった。又、本例における希硫酸の添加当量dの値は0.85であった。なお、本例において、R1〜R4はステアリル基であり、R’は72であり、mは2.7であった。
【0045】
比較例1
希硫酸の量を212g(0.76モル)用いた以外は実施例2と同様に反応させ、黄褐色粘稠液体557gを得た。収率は107%。元素含量は、Mo=18.2%、S=20.7%であった。又、本例における希硫酸の添加当量dの値は1.06であった。本例の生成物についてシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析したところ、多数のスポットが検出され副生成物が大量に含まれていることが確認された。なお、本例におけるR’は52であった。
【0046】
比較例2
希硫酸の量を51g(0.18モル)用いた以外は実施例2と同様に反応させ、黄褐色粘稠液体318gを得た。収率は60%。元素含量は、Mo=15.5%、S=19.0%であった。又、本例における希硫酸の添加当量dの値は0.25であった。なお、本例におけるR’は52であった。
【0047】
使用例1
実施例1、3及び5の化合物及び比較例1及び2の化合物について、下記の試験を実施した。結果はまとめて表1に示す。
▲1▼銅板腐食試験
それぞれ得られた生成物0.275重量部を100N精製パラフィン鉱物油99.7重量部に加熱溶解したのち、銅板腐食試験(JIS K−2513)に供した。試験条件は100℃で3時間であった。尚、本試験の評価値は、数字が小さいほど腐食性が少ないことを示す。
【0048】
▲2▼耐荷重試験
それぞれ得られた生成物0.5重量部を100N精製パラフィン鉱物油100重量部に加熱溶解したのち、高速四球型摩擦試験機にて、焼き付き荷重を測定した。測定条件は回転数1500回転/分、試験時間1分、試験温度は室温であった。
【0049】
▲3▼潤滑性試験
それぞれ得られた生成物0.5重量部を100N精製パラフィン鉱物油100重量部に加熱溶解したのち、SRV往復動摩擦試験機にて摩擦係数を測定した。試験条件は荷重200ニュートン、振動数50ヘルツ、振幅1mm、温度80℃、試験時間15分であり、上部試験片(振動子)にφ15×L22mm円柱、下部試験片(固定子)にφ24×L6.85mm円盤の線接触で行った。
又、それぞれの試料に2−エチルヘキサノールを用いて合成したジンクジアルキルジチオホスフェート(ZDTP)1重量部を添加したのち、SRV往復動摩擦試験機にて同様に摩擦係数を測定した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1の記載から判る通り、本発明の製造方法によって製造されたMoDTCは、比較例のそれと比べて銅板腐食性が小さく、又、潤滑油に添加した場合には焼き付き過重に差はないものの摩擦係数が低く、より潤滑特性に優れるものである。
【0052】
【発明の効果】
本発明の効果は、特定の範囲の量の鉱酸を使用することにより一般式(1)のMoDTCを効率よく製造する新規の製造方法を提供したことである。
又、本発明の他の効果は、腐食性が少なく潤滑性に優れた潤滑剤組成物を提供したことである。
Claims (8)
- (A)(a)6価のモリブデンを有する化合物と、(b)水硫化アルカリ又は硫化アルカリとを反応させた水溶液又は水懸濁液;
(B)二硫化炭素;
(C)二級アミン;及び
(D)鉱酸
を反応させることにより得られる一般式(1)
任意の反応段階で(E)還元剤を添加・反応させ、且つ(D)の添加当量dが、(b)中のアルカリ1当量に対して式(2)
- (b)水硫化アルカリ又は硫化アルカリを、(a)6価のモリブデンを有する化合物中のモリブデン原子1モルに対して0.01〜4モル反応させる、請求項1記載の製造方法。
- (E)還元剤の添加量が、(a)6価のモリブデンを有する化合物中に含まれるモリブデン原子1モルに対して、0.01〜4モルである、請求項1又は2記載の製造方法。
- (E)還元剤を、(a)6価のモリブデンを有する化合物と(b)水硫化アルカリ又は硫化アルカリの反応中及び/又は反応後に加える、請求項1ないし3のいずれか1項記載の製造方法。
- 一般式(1)で表される硫化オキシモリブデンジチオカーバメートにおいて、X1〜X4で示される硫黄原子と酸素原子の組成をSmOn(式中m+n=4)とした場合、mが1.0≦m≦3.5の範囲内にある、請求項1ないし4のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載の製造方法により製造された硫化オキシモリブデンジチオカーバメートよりなることを特徴とする潤滑剤。
- 潤滑油基油又は基グリースに、請求項6記載の潤滑剤を含んでなることを特徴とする潤滑剤組成物。
- 請求項7記載の潤滑剤組成物に更にジンクジチオホスフェートを含んでなることを特徴とする潤滑剤組成物。
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