JP3812042B2 - 電気自動車用空気調和装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばエンジン冷却水を有しない電気自動車の車室内を除湿する電気自動車用空気調和装置に関するもので、特に電気自動車の車室内を暖房気味除湿する電気自動車用空気調和装置に係わる。
【0002】
【先行の技術】
本出願人は、エンジン冷却水を有しない電気自動車や空冷式エンジン搭載車等の車両の車室内を空調する車両用空気調和装置として、例えば特願平8−158502号(出願日平成8年6月19日)に記載された電気自動車用空気調和装置を提案した。この電気自動車用空気調和装置は、車室内を除湿(特にフロント窓ガラスの曇りを除去)する必要のある時に、吸込口モードを外気導入モードおよび吹出口モードをデフロスタモードに固定し、冷凍サイクル中の冷媒経路を変更することにより、冷却用室内熱交換器を蒸発器として単独運転する除湿暖房モード、あるいは室外熱交換器を蒸発器として運転する外気暖房モードのいずれかの空調運転モードに切り替えて、フロント窓ガラスの曇りを除去するようにしている。
【0003】
ここで、除湿暖房モード時には、冷媒圧縮機の吐出口より吐出された冷媒は、加熱用室内熱交換器→減圧手段→冷却用室内熱交換器→冷媒圧縮機のように循環する(除湿サイクル)。また、外気暖房モード時には、冷媒圧縮機の吐出口より吐出された冷媒は、加熱用室内熱交換器→減圧手段→室外熱交換器→冷媒圧縮機のように循環する(暖房サイクル)。
【0004】
そして、上記の電気自動車用空気調和装置においては、車室内を除湿する必要のある時でも、冷却用室内熱交換器の着霜(フロスト)を防止するために、除湿暖房モードと外気暖房モードとの切替条件(選択条件)は外気温度のみである。すなわち、外気温度が切替温度(例えば8℃)以上の高温の時には、フロスト防止よりも除湿を優先するため、除湿暖房モードを選択して車室内を暖房気味除湿し、外気温度が切替温度(例えば8℃)よりも低温の時には、除湿よりもフロストを防止するため、外気暖房モードを選択して車室内を暖房している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の電気自動車用空気調和装置においては、外気温度に基づいて除湿暖房モードと外気暖房モードとを切り替えているので、仮にフロントガラスまたはサイドガラスが曇っているため、乗員がデフロスタスイッチを押して曇りの除去を行う場合でも、外気温度が0℃〜7℃程度の時には、除湿モードとして外気暖房モードが選択されるため、車室内に吹き出す空気の減湿がなされず、フロント窓ガラスやサイド窓ガラスの曇りを迅速に取り除けないという問題が生じてしまう。
【0006】
また、電気自動車用空気調和装置の場合には、電動式の冷媒圧縮機が使用されているため、この冷媒圧縮機の回転速度を、冷却用室内熱交換器の温度を着霜限界温度(例えば3℃)に保ちながら、車室内に吹き出す空気の吹出温度を目標吹出温度TAOになるようにTAO制御することにより、外気温度が3℃〜7℃程度であれば除湿暖房モードから外気暖房モードに切り替える必要なく、車室内の暖房気味除湿を継続できるものと考えられるが、そのような制御は行われていなかった。
【0007】
【発明の目的】
本発明の目的は、乗員が車室内の除湿を希望している時に、除湿暖房モードと外気暖房モードとの選択条件を最適化することにより、冷却用室内熱交換器の着霜を防止しながら、車室内の暖房気味除湿を継続することのできる電気自動車用空気調和装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、車室内の除湿が希望されると、吸込口モードが外気導入モードに切り替えられ、吹出口モードがデフロスタモードに切り替えられる。
そして、車室内の除湿が希望されている時に、冷却用室内熱交換器の温度が、冷却用室内熱交換器の着霜限界温度よりも高温の第1所定温度以上の場合には、冷却用室内熱交換器を蒸発器として単独運転する第1除湿暖房モード用循環回路に切り替えられる。それによって、冷媒圧縮機より吐出された冷媒が、冷媒熱媒体熱交換器、減圧手段、冷却用室内熱交換器を流れて冷媒圧縮機に吸入されることにより、車室内が暖房気味除湿される。
また、冷却用室内熱交換器の温度が、着霜限界温度よりも低温の第2所定温度以下の場合には、室外熱交換器を蒸発器として単独運転する外気暖房モード用循環回路に切り替えられる。それによって、冷媒圧縮機より吐出された冷媒が、冷媒熱媒体熱交換器、減圧手段、室外熱交換器を流れて冷媒圧縮機に吸入されることにより、車室内が外気暖房される。
さらに、冷却用室内熱交換器の温度が、第1所定温度と第2所定温度との間の温度の場合には、室外熱交換器と冷却用室内熱交換器とを並列または直列して蒸発器として運転する第2除湿暖房モード用循環回路に切り替えられる。それによって、冷媒圧縮機より吐出された冷媒が、冷媒熱媒体熱交換器、減圧手段、室外熱交換器または冷却用室内熱交換器を流れて冷媒圧縮機に吸入されることにより、車室内が暖房気味除湿される。
したがって、車室内の除湿が希望されている時に、冷却用室内熱交換器の温度が、冷却用室内熱交換器の着霜限界温度よりも低温の第2所定温度以下とならない限り、外気暖房モード用循環回路に切り替えられず、第1、第2除湿暖房モード用循環回路に維持される。それによって、冷媒圧縮機より吐出された冷媒が、冷媒熱媒体熱交換器、減圧手段、冷却用室内熱交換器を流れて冷媒圧縮機に吸入されることにより、外気温度に応じて除湿暖房モードと外気暖房モードとを選択するものと比較して、冷却用室内熱交換器が着霜する限界まで、車室内の暖房気味除湿、例えばフロント窓ガラスの曇りの除去を継続することができる。
【0009】
また、冷媒圧縮機の回転速度の変化によって、冷媒の流量を調節することにより、冷媒圧縮機より吐出される冷媒の吐出量の変更、つまり冷媒熱媒体熱交換器を循環する冷媒量、および第2室内熱交換器を循環する冷媒量を容易に調節することができる。したがって、冷媒圧縮機の回転速度を変更するだけで、冷媒熱媒体熱交換器の加熱能力や第2室内熱交換器の除湿能力を制御できる。また、燃焼式ヒータは、燃料を燃焼用空気と混合して燃焼し、その燃焼時に生成される燃焼ガスとの熱交換によって熱媒体を加熱する。この燃焼式ヒータは、外気温度が低い(例えば0℃以下の)時に、冷媒熱媒体熱交換器だけでは十分に温水を加熱できない時に補助加熱装置として使用される。
【0010】
さらに、冷却用室内熱交換器の温度が、第1所定温度と第2所定温度との間の温度の場合には、第2除湿暖房モード用循環回路に切り替えられる。それによって、冷媒圧縮機より吐出された冷媒は、冷媒熱媒体熱交換器、減圧手段、室外熱交換器または冷却用室内熱交換器を流れて冷媒圧縮機に吸入されることにより、車室内が暖房気味除湿される。この第2除湿暖房モード用循環回路では、冷却用室内熱交換器と室外熱交換器とを並列または直列して蒸発器として運転することになるので、冷却用室内熱交換器を蒸発器として単独運転する第1除湿暖房モード用循環回路を使用する場合と比べて、室外熱交換器で冷媒がダクト外の空気より吸熱する分だけヒートポンプ能力(暖房能力)が高くなる。このため、例えば冷却用室内熱交換器に吸い込まれる外気温度が低外気温であっても、冷却用室内熱交換器の温度を着霜限界温度に保ちながら目標吹出温度を作り出すこともできる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、室外熱交換器は、電気自動車が走行する際に生じる走行風を受け易い車室外に設置されている。このため、電気自動車が走行中であれば、室外熱交換器内を流れる冷媒は、室外熱交換器を蒸発器として運転する際には冷却用室内熱交換器内を流れる冷媒よりも吸熱量が大きく、室外熱交換器を凝縮器として運転する際には冷媒熱媒体熱交換器内を流れる冷媒よりも放熱量が大きくなる。
請求項3に記載の発明によれば、冷媒圧縮機として、駆動モータにより回転駆動される電動式の冷媒圧縮機を利用することにより、例えばエンジン冷却水を有しない電気自動車や空冷式エンジン搭載車等の車両の車室内を除湿することができる。また、駆動モータを駆動電源としてのインバータによって通電制御することにより、冷媒圧縮機より吐出される冷媒の吐出量の変更、つまり冷媒熱媒体熱交換器を循環する冷媒量、および第2室内熱交換器を循環する冷媒量を容易に調節することができる。したがって、駆動モータの回転速度を変更するだけで、車室内に吹き出す空気の吹出温度を目標吹出温度に略一致させることもできる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、循環回路切替手段により第1除湿暖房モード用循環回路に切り替えられると、ダクト内に吸い込まれた空気(外気)は、第2室内熱交換器内に流入する冷媒の蒸発熱により冷却除湿された後に第1室内熱交換器内に流入する熱媒体により再加熱されて車室内を暖房気味除湿する。さらに、室外熱交換器を蒸発器として運転しないため、室外熱交換器の除霜を行うこともできる。
【0013】
また、循環回路切替手段により第2除湿暖房モード用循環回路に切り替えられると、ダクト内に吸い込まれた空気(外気)は、第2室内熱交換器内に流入する冷媒の蒸発熱により冷却除湿された後に第1室内熱交換器内に流入する熱媒体により再加熱されて車室内を暖房気味除湿する。
【0014】
また、循環回路切替手段により外気暖房モード用循環回路に切り替えられると、ダクト内に吸い込まれた空気(外気)は、第2室内熱交換器を通過する際に第2室内熱交換器の表面に付着した霜を解かして、第1室内熱交換器を通過する際に加熱されて車室内を外気暖房する。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、蒸発器温度検出手段で検出する第2室内熱交換器の温度を着霜限界温度に保ちながら、目標吹出温度決定手段で決定した目標吹出温度となるように、冷媒圧縮機の回転速度を目標熱媒体温度決定手段で決定した目標熱媒体温度に応じて制御することにより、除湿暖房モード循環回路により運転を継続しても、第2室内熱交換器の着霜を防ぐことができる。このため、車室内の暖房気味除湿を継続することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態の構成〕
図1ないし図7は本発明の第1実施形態を示したもので、図1は電気自動車用空気調和装置の全体構成を示した図で、図2は電気自動車用空気調和装置の制御系を示した図である。
【0017】
電気自動車用空気調和装置は、走行用モータMを搭載する電気自動車(車両)の車室内を空調するエアコンユニット(空調ユニット)1における各空調機器(アクチュエータ)を、エアコン制御装置(以下ECUと呼ぶ)10によって制御するように構成された車両用オートエアコンである。
【0018】
エアコンユニット1は、内部に電気自動車の車室内に空調空気を導く空気通路を形成する空調ダクト2、この空調ダクト2内において空気流を発生させる遠心式送風機、空調ダクト2内を流れる空気を加熱して車室内を暖房するためのブラインサイクル、および空調ダクト2内を流れる空気を冷却除湿して車室内を除湿するための冷凍サイクル等から構成されている。
【0019】
空調ダクト2は、電気自動車の車室内の前方側に配設されている。その空調ダクト2の最も上流側(風上側)は、内外気切替箱を構成する部分で、車室内空気(以下内気と言う)を取り入れる内気吸込口3、および車室外空気(以下外気と言う)を取り入れる外気吸込口4を有している。さらに、内気吸込口3および外気吸込口4の内側には、内外気切替ダンパ5が回転自在に支持されている。この内外気切替ダンパ5は、サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動されて、吸込口モードを内気循環モード、外気導入モード等に切り替える。なお、内外気切替ダンパ5は、内外気切替箱と共に内外気切替手段を構成する。
【0020】
また、空調ダクト2の下流側(風下側)は、吹出口切替箱を構成する部分で、電気自動車のフロント窓ガラスの内面に向かって主に温風を吹き出すデフロスタ(DEF)吹出口11、乗員の頭胸部に向かって主に冷風を吹き出すフェイス(FACE)吹出口12、および乗員の足元部に向かって主に温風を吹き出すフット(FOOT)吹出口13を有している。さらに、各吹出口の内側には、デフロスタ(DEF)ダンパ14、フェイス(FACE)ダンパ15およびフット(FOOT)ダンパ16が回転自在に支持されている。DEF、FACE、FOOTダンパ14〜16よりなる吹出口切替ドアは、サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動されて、吹出口モードをフェイス(FACE)モード、バイレベル(B/L)モード、フット(FOOT)モード、フットデフ(F/D)モードまたはデフロスタ(DEF)モードに切り替える。
【0021】
遠心式送風機は、空調ダクト2と一体的に構成されたスクロールケースに回転自在に収容された遠心式ファン17、およびこの遠心式ファン17を駆動するブロワモータ18を有し、ブロワ駆動回路(図示せず)を介して印加されるブロワモータ端子電圧(ブロワ電圧)に基づいて送風量(ブロワモータ18の回転速度)が制御される。
【0022】
ブラインサイクルは、温水式ヒータ6、ブライン冷媒熱交換器7、ウォータポンプ8、燃焼式ヒータ9、およびこれらを環状に接続する温水配管(ブライン配管)等から構成されている。なお、本実施形態では、ブラインサイクル内を循環する温水(熱媒体、ブライン)として不凍液(例えばエチレングリコール水溶液)やLLC(ロングライフクーラント)を使用している。
【0023】
温水式ヒータ6は、本発明の加熱用室内熱交換器、第1室内熱交換器に相当するもので、空調ダクト2内に設置され、内部を流れる温水との熱交換によって通過する空気を加熱する室内空気加熱器である。温水式ヒータ6の空気の入口部および出口部には、温水式ヒータ6を通過する空気量(温風量)と温水式ヒータ6を迂回する空気量(冷風量)とを調節して車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整する2個のエアミックス(A/M)ダンパ19が回転自在に支持されている。これらのA/Mダンパ19は、本発明の加熱量調節手段に相当するもので、ステッピングモータやサーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動される。
【0024】
ブライン冷媒熱交換器7は、本発明の冷媒熱媒体熱交換器に相当するもので、アルミニウム合金等の熱伝導性に優れる金属パイプよりなる二重管構造を成し、内周側に温水通路、外周側に冷媒通路が形成されている。このブライン冷媒熱交換器7は、車室外に設置され、温水通路内を流れる低温の温水(ブライン:熱媒体)と冷媒通路内を流れる高温高圧のガス冷媒とを熱交換させることにより、温水を加熱する温水加熱器として運転されると共に、冷凍サイクルの凝縮器として運転される。
【0025】
ウォータポンプ8は、本発明の熱媒体循環手段に相当するもので、通電を受けて起動することによりブラインサイクル内に温水の循環流を発生するウォータポンプである。燃焼式ヒータ9は、図示しない燃料ポンプから圧送された燃料を燃焼用空気と混合して燃焼し、その燃焼時に生成される燃焼ガスとの熱交換によって温水を加熱する。温水との熱交換を終えた燃焼ガスは、大気に排出される。但し、この燃焼式ヒータ9は、外気温度が低い(例えば0℃以下の)時に、ブライン冷媒熱交換器7だけでは十分に温水を加熱できない時に補助加熱装置として使用される。なお、燃焼式ヒータ9は、燃料ポンプから圧送される燃料供給量および燃焼用空気量を調節することにより、燃焼量(発熱量)の高い「Hi」、燃焼量の低い「Lo」の2段階に切り替えて使用することができる。
【0026】
冷凍サイクルは、ヒートポンプサイクルでもあり、冷媒圧縮機20、ブライン冷媒熱交換器7、後記する減圧手段、室外熱交換器23、エバポレータ24、アキュームレータ25、後記する循環回路切替手段、およびこれらを環状に接続する冷媒配管等から構成されて、各空調運転モードに基づいて冷媒の循環方向が変わる。なお、本実施形態の通常の空調運転モードとしては、車室内を冷房する冷房モード、ヒートポンプのみで車室内を暖房する(ヒートポンプ)暖房モード、燃焼式ヒータ9のみで車室内を暖房する燃焼暖房モード等が設定されている。また、本実施形態のDEF制御(除湿モード、DEFモード)の時の空調運転モードとしては、フロント窓ガラスの防曇を行う外気冷房モード、車室内を冷房気味除湿する除湿冷房モード、車室内を暖房気味除湿する第1、第2除湿暖房モード、フロント窓ガラスの防曇とエバポレータ24のフロスト防止を行う外気暖房モード、燃焼式ヒータ9のみで車室内を除湿暖房する燃焼暖房モード等が設定されている。
【0027】
冷媒圧縮機20は、吸入したガス冷媒を圧縮する電動式の冷媒圧縮機(コンプレッサ)であって、ECU10の出力信号に基づいて冷媒圧縮機20の駆動モータ(図示せず)の回転速度を制御する回転速度制御手段としてのエアコン用インバータ30を備えている。そして、駆動モータは、エアコン用インバータ30によって車載電源Vから印加される電力が連続的あるいは段階的に可変制御される。したがって、冷媒圧縮機20は、印加電力の変化による駆動モータの回転速度の変化によって、冷媒吐出容量を変化させて冷凍サイクル内を循環する冷媒の流量を調節することによりブライン冷媒熱交換器7(温水式ヒータ6)の加熱能力やエバポレータ24の冷却能力(除湿能力)が制御される。
【0028】
本実施形態では、本発明の減圧手段に相当する部品として2個の第1、第2減圧手段21、22を備えている。第1減圧手段21は、暖房モード時および除湿モード(第1、第2除湿暖房モード、外気暖房モード)時にブライン冷媒熱交換器7より流入した冷媒を減圧するキャピラリチューブである。第2減圧手段22は、冷房モード時および除湿モード(除湿冷房モード、外気冷房モード)時に室外熱交換器23より流入した冷媒を減圧するキャピラリチューブである。
【0029】
室外熱交換器23は、車室外に設置されて、内部を流れる冷媒と電動ファン26により送風される外気とを熱交換する。なお、室外熱交換器23は、暖房モード時および除湿モード(第2除湿暖房モード、外気暖房モード)時には、第1減圧手段21で減圧された低温低圧の冷媒を外気との熱交換により蒸発気化させる蒸発器として運転され、冷房モードおよび除湿モード(除湿冷房モード、外気冷房モード)時には、ブライン冷媒熱交換器7より流入した冷媒を外気との熱交換により凝縮液化させる凝縮器として運転される。ここで、一般的に、室外熱交換器23は、電気自動車が走行する際に生じる走行風を受け易い車室外に設置されている。このため、電気自動車が走行中であれば、室外熱交換器23内を流れる冷媒は、室外熱交換器23を蒸発器として運転する際にはエバポレータ24内を流れる冷媒よりも吸熱量が大きく、室外熱交換器23を凝縮器として運転する際にはブライン冷媒熱交換器7内を流れる冷媒よりも放熱量が大きくなる。
【0030】
エバポレータ24は、本発明の冷却用室内熱交換器、第2室内熱交換器に相当するもので、空調ダクト2内において温水式ヒータ6よりも下流側(風下側)に設置され、冷房モードおよび除湿モード(第1除湿暖房モード、除湿冷房モード、外気冷房モード)時に第2減圧手段22および第1減圧手段21で減圧された低温低圧の冷媒を空調ダクト2内の空気との熱交換により蒸発気化させる蒸発器として運転される。これにより、エバポレータ24の内部を流れる冷媒がエバポレータ24を通過する空気から蒸発潜熱を奪って(吸熱して)蒸発することで、エバポレータ24を通過する空気が冷却除湿される。
アキュームレータ25は、内部に流入した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに気液分離して液冷媒を貯溜し、ガス冷媒のみを冷媒圧縮機20へ供給する気液分離器として運転される。
【0031】
循環回路切替手段は、冷凍サイクル中の冷媒の循環方向を冷房サイクル(図1において矢印Cの経路)、暖房サイクル(図1において矢印Hの経路)、除湿サイクル(図1において矢印Dの経路)および除湿暖房サイクル(図1において矢印H・Dの経路)等のいずれかのサイクルに切り替えるものである。ここで、除湿サイクルは、本発明の第1除湿暖房モード用循環回路に相当する。また、除湿暖房サイクルは、本発明の第2除湿暖房モード用循環回路に相当する。さらに、暖房サイクルは、本発明の外気暖房モード用循環回路に相当する。本実施形態では、循環回路切替手段として、通電(ON、オン)されると開弁し、通電が停止(OFF、オフ)されると閉弁する3個の電磁式開閉弁(以下電磁弁と略す)VC、VH、VDが使用されている。
【0032】
電磁弁VCは、第1減圧手段21を迂回し、ブライン冷媒熱交換器7と室外熱交換器23とを結ぶ冷房用冷媒流路に設置されている。そして、電磁弁VCは、冷房サイクル時に、冷媒圧縮機20より吐出された冷媒を、ブライン冷媒熱交換器7→室外熱交換器23→第2減圧手段22→エバポレータ24→アキュームレータ25→冷媒圧縮機20の順に流す第3冷媒流路を開く冷房用開閉手段である。電磁弁VHは、第2減圧手段22およびエバポレータ24を迂回し、室外熱交換器23とアキュームレータ25とを結ぶ暖房用冷媒流路に設置されている。そして、電磁弁VHは、暖房サイクル時および除湿暖房サイクル時に、冷媒圧縮機20より吐出された冷媒を、ブライン冷媒熱交換器7→第1減圧手段21→室外熱交換器23→アキュームレータ25→冷媒圧縮機20に順に流す第1冷媒流路を開く暖房用開閉手段である。電磁弁VDは、第2減圧手段22を迂回し、第1減圧手段21とエバポレータ24とを結ぶ除湿用冷媒流路に設置されている。そして、電磁弁VDは、除湿サイクル時および除湿暖房サイクル時に、冷媒圧縮機20より吐出された冷媒を、ブライン冷媒熱交換器7→第1減圧手段21→エバポレータ24→アキュームレータ25→冷媒圧縮機20に順に流す第2冷媒流路を開く除湿用開閉手段である。
【0033】
ECU10は、本発明の空調制御装置、目標吹出温度決定手段に相当するもので、中央演算処理装置(以下CPUと言う)31、ROM32、RAM33、A/D変換器34、インターフェイス35、36等を持ち、それ自体は周知のものである。また、ECU10は、走行用モータMの回転速度を制御する走行用インバータIにも接続するジャンクションボックスJを介して車載電源Vより電力が供給されて作動する。
【0034】
そして、ECU10は、内気温センサ41、外気温センサ42、日射センサ43、冷媒圧力センサ44、エバ後温度センサ45、水温センサ46、除霜センサ47、水温センサ48および操作パネル50より入力される入力信号と予めインプットされた制御プログラムに基づいて、各空調機器を制御する。すなわち、ECU10は、各センサの検出値(検出信号)および操作パネル50の操作値(操作信号)などの入力信号と予めインプットされた制御プログラムに基づいて、各冷凍機器(アクチュエータ)の運転状態を制御する。
【0035】
内気温センサ41は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、車室内の空気温度(内気温度)を検出する内気温度検出手段である。外気温センサ42は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、車室外の空気温度(外気温度)を検出する外気温度検出手段である。日射センサ43は、車室内への日射量を検出する日射量検出手段である。冷媒圧力センサ44は、冷媒圧縮機20の吐出圧力である冷凍サイクルの高圧圧力を検出する冷媒圧力検出手段である。
【0036】
エバ後温度センサ45は、本発明の蒸発器温度検出手段に相当するもので、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、エバポレータ24を通過した直後の空気温度を検出するエバ後温度検出手段である。水温センサ46は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、温水式ヒータ6の入口水温を検出する熱媒体温度検出手段である。除霜センサ47は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、暖房モード時および除湿暖房モード時に室外熱交換器23の入口部の冷媒温度を検出する。水温センサ48は、例えばサーミスタ等の感温素子よりなり、燃焼式ヒータ9の出口水温を検出する。
【0037】
操作パネル50には、図3に示したように、温度設定スイッチ51、ブロワオフスイッチ52、オートスイッチ53、風量設定スイッチ54、モード設定スイッチ55、液晶表示器56、内気循環設定スイッチ57、フロントデフロスタスイッチ(以下DEFスイッチと言う)58、リヤデフォッガスイッチ59、エアコンスイッチ60、燃焼式ヒータ切替スイッチ61および燃焼式ヒータオフスイッチ62が配置されている。
【0038】
このうち、温度設定スイッチ51は、冷媒圧縮機20の回転速度の設定、またはA/Mダンパ19の開度設定を行って車室内へ吹き出す空気の吹出温度を設定する吹出温度設定手段である。モード設定スイッチ55は、DEF、FACE、FOOTダンパ14〜16を開閉制御することによって、吹出口モードを、フェイス(FACE)モード、バイレベル(B/L)モード、フット(FOOT)モードまたはフットデフ(F/D)モードのうちのいずれかに設定するように指令するスイッチである。
【0039】
内気循環設定スイッチ57は、内外気切替ダンパ5を開閉制御することによって吸込口モードを内気循環モードに設定するスイッチである。DEFスイッチ58は、本発明の除湿モード設定手段に相当するもので、吹出口モードをデフロスタ(DEF、除湿)モードに設定するように指令する吹出口モード切替指令手段である。なお、DEFスイッチ58の代わりに、除湿スイッチやフロント窓ガラスの曇りを検出する防曇センサ等の除湿モード設定手段を設けても良い。
【0040】
〔第1実施形態の作用〕
次に、本実施形態の電気自動車用空気調和装置の作動を図1ないし図7に基づいて説明する。先ず、本実施形態のECU10の制御処理を図1ないし図4に基づいて説明する。ここで、図4はECU10による主要な制御処理を示したフローチャートである。
【0041】
先ず、ECU10に車載電源Vから電力が供給されると、図4のルーチンが起動され、各イニシャライズおよび初期設定を行う(ステップS1)。
続いて、温度設定スイッチ51で設定された設定吹出温度Tsetを読み込む(吹出温度設定手段:ステップS2)。
続いて、操作パネル50からの各操作信号(例えば風量設定スイッチ54で設定される遠心式送風機の送風量信号、モード設定スイッチ55やDEFスイッチ58で設定される吹出口モード信号、内気循環設定スイッチ57で設定される内気循環モード信号)を読み込む(除湿モード設定手段:ステップS3)。
【0042】
続いて、内気温センサ41で検出した内気温度TR、外気温センサ42で検出した外気温度TAM、日射センサ43で検出した日射量TS、エバ後温度センサ45で検出したエバ後温度TE、水温センサ46で検出した温水温度TW等の各種センサから各センサ信号を読み込む(内気温度検出手段、外気温度検出手段、蒸発器温度検出手段:ステップS4)。
続いて、予めROM32に記憶された下記の数1の式に基づいて、電気自動車の車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する(目標吹出温度決定手段:ステップS5)。
【数1】
TAO=Kset×Tset−KR×TR−KAM×TAM−KS×TS+C
【0043】
なお、Tsetは温度設定スイッチ51で設定された設定吹出温度、TRは内気温センサ41で検出した内気温度、TAMは外気温センサ42で検出した外気温度、TSは日射センサ43で検出した日射量である。また、Kset、KR、KAMおよびKSはゲインで、Cは補正用の定数である。
【0044】
続いて、予めROM32に記憶された図示しない特性図(マップ)から、目標吹出温度(TAO)に対応するブロワ電圧(ブロワモータ18に印加する電圧)を決定する(ステップS6)。
続いて、予めROM32に記憶された図示しない特性図(マップ)から、目標吹出温度(TAO)に対応する吹出口モードを決定する(ステップS7)。なお、DEFスイッチ58が押された場合には、DEFダンパ14を図1の一点鎖線位置、FACEダンパ15を図1の一点鎖線位置およびFOOTダンパ16を図1の実線位置に設定して、空調風をフロント窓ガラスの内面に吹き出すDEFモードに設定される。また、モード設定スイッチ55を乗員が操作した場合には、その操作に対応した吹出口モードに決定される。
【0045】
ここで、吹出口モードの決定においては、目標吹出温度(TAO)または目標温水温度(TWO)が低い温度から高い温度にかけて、FACEモード、B/Lモード、FOOTモードおよびF/Dモードとなるように決定される。なお、FACEモードとは、DEFダンパ14を図1の実線位置、FACEダンパ15を図1の実線位置およびFOOTダンパ16を図1の一点鎖線位置に設定して、空調風を車室内の乗員の頭胸部に向けて吹き出す吹出口モードである。B/Lモードとは、DEFダンパ14を図1の実線位置、FACEダンパ15を図1の実線位置およびFOOTダンパ16を図1の一点鎖線位置に設定して、空調風を車室内の乗員の頭胸部および足元部に向けて吹き出す吹出口モードである。
【0046】
FOOTモードとは、DEFダンパ14を若干量開く位置、FACEダンパ15を図1の一点鎖線位置およびFOOTダンパ16を図1の一点鎖線位置に設定して、空調風の約8割を乗員の足元部に向けて吹き出し、空調風の約2割をフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出す吹出口モードである。F/Dモードとは、DEFダンパ14を図1の一点鎖線位置、FACEダンパ15を図1の一点鎖線位置およびFOOTダンパ16を図1の一点鎖線位置に設定して、空調風を乗員の足元部とフロント窓ガラスの内面に同量ずつ吹き出す吹出口モードである。
【0047】
続いて、予めROM32に記憶された図示しない特性図(マップ)から、目標吹出温度(TAO)に対応する吸込口モードを決定する(ステップS8)。ここで、吸込口モードの決定においては、内気循環設定スイッチ57が押された場合には吸込口モードが内気循環モードに設定される。なお、DEFスイッチ58が押された場合には、内気循環設定スイッチ57が押されていても外気導入モードに設定されるが、その後に内気循環設定スイッチ57が押された場合には吸込口モードが内気循環モードに設定される。
【0048】
なお、内気循環モードとは、内外気切替ダンパ5を図1の一点鎖線位置に設定して、内気吸込口3を開き、外気吸込口4を閉じて空調ダクト2内に100%内気を導入する吸込口モードである。また、外気導入モードとは、内外気切替ダンパ5を図1の実線位置に設定して、内気吸込口3を閉じ、外気吸込口4を開いて空調ダクト2内に100%外気を導入する吸込口モードである。また、内外気切替ダンパ5を中立位置に設定して、内気吸込口3および外気吸込口4の両方とも開いて空調ダクト2内に内気および外気を導入する内外気モードを設定しても良い。
【0049】
続いて、図5に示すサブルーチンがコールされ、図4のフローチャートのステップS5で算出された目標吹出温度TAOおよび外気温センサ42で検出した外気温度TAMに応じて、空調運転モードを決定する(ステップS9)。
続いて、図6に示すサブルーチンがコールされ、冷媒圧縮機20の目標回転速度を決定して、車室内に吹き出す空気の吹出温度制御を行う(回転速度制御手段:ステップS10)。
【0050】
続いて、各ステップS5〜ステップS8にて算出または決定した各制御状態が得られるように、内外気切替ダンパ5、ウォータポンプ8、燃焼式ヒータ9、DEF、FACE、FOOTダンパ14〜16、ブロワモータ18、エアコン用インバータ30、電動ファン26、電磁弁VC、VH、VDおよびA/Mダンパ19等の各アクチュエータに対して制御信号を出力する(ステップS11)。そして、ステップS12で、制御サイクル時間であるτ(例えば0.5秒間〜2.5秒間の経過を待ってステップS2の処理に戻る。
【0051】
〔第1実施形態の空調運転モード決定制御〕
次に、本実施形態のECU10による空調運転モード決定制御を図1ないし図5に基づいて説明する。ここで、図5はECU10による空調運転モード決定制御を示したサブルーチンである。
【0052】
先ず、DEFスイッチ58が押されたか否かを判断する(ステップS21)。この判断結果がNOの場合には、図4のフローチャートのステップS5で算出された目標吹出温度TAOと外気温センサ42で検出した外気温度TAMに応じた空調運転モードを選択する(ステップS22)。その後に、図5のサブルーチンを抜ける。
【0053】
また、ステップS31の判断結果がYESの場合には、外気温センサ42で検出した外気温度TAMをエバポレータ24に吸い込まれる空気の吸込温度Tinとする(吸込温度検出手段:ステップS23)。ここで、DEF制御時には、吸込口モードは100%外気導入モードのため、吸込温度Tinとして外気温度TAMを使用する。
続いて、図4のステップS5で算出された目標吹出温度TAO、外気温度TAMおよび吸込温度Tinに応じた空調運転モードを選択する(ステップS24)。その後に、図5のサブルーチンを抜ける。
【0054】
ここで、操作パネル50のDEFスイッチ58が押された場合には、ECU10は下記の表1に示したDEF制御を行う。表1はDEF制御の各空調機器(アクチュエータ)の作動状態を示す。
【表1】
Figure 0003812042
【0055】
なお、DEF制御開始前に仮にマニュアルで内気循環設定スイッチ57が押されて内気循環モードが指令されていたとしても100%外気導入モードに固定してDEF制御を開始する。但し、DEF制御の外気冷房モード時はオートエアコンの場合に必ず100%外気導入モードに固定するが、マニュアルで内気循環設定スイッチ57が押されて内気循環モードが指令されたらこれを受け付ける。
【0056】
上記のDEF制御の空調運転モードの選択は後述したように成される。すなわち、下記の数2の式または数3の式に示された関係を満足する場合には、表1の▲1▼に示したように、ウォータポンプ8をOFFし、冷凍サイクルを冷房サイクルに切り替える外気冷房モードを選択する。なお、(TAM−15℃)が(3℃)よりも高温の場合には数2の式を採用し、(TAM−15℃)が(3℃)よりも低温の場合には数3の式を採用する。
【数2】
TAO≦TAM−15℃
【数3】
TAO≦3℃
【0057】
また、下記の数4の式に示された関係を満足する場合には、表1の▲2▼に示したように、ウォータポンプ8をONし、冷凍サイクルを冷房サイクルに切り替える除湿冷房モードを選択する。
【数4】
TAM−15℃<TAO≦Tin
【0058】
そして、下記の数5の式に示された関係を満足する場合には、表1の▲3▼に示したように、ウォータポンプ8をONし、冷凍サイクルを除湿サイクルに切り替える除湿暖房モードを選択する。
【数5】
TAO>Tin
【0059】
〔第1実施形態のDEF制御時の吹出温度制御〕
次に、本実施形態のECU10によるDEF制御時の吹出温度制御を図1ないし図6に基づいて説明する。ここで、図6はECU10によるDEF制御時の吹出温度制御(冷媒圧縮機の回転速度制御)を示したサブルーチンである。
【0060】
先ず、DEFスイッチ58が押されたか否かを判断する(ステップS31)。
この判断結果がNOの場合には、図6のサブルーチンを抜ける。
また、ステップS31の判断結果がYESの場合には、空調運転モードとして除湿暖房モードが選択されているか否かを判断する(ステップS32)。この判断結果がYESの場合には、温水式ヒータ6を通過する空気の風量V(m3 /h)から温度効率φを決定する(温度効率決定手段:ステップS33)。ここでは、遠心式送風機の運転状態によって求めた遠心式送風機の風量Vと温度効率φとの特性図(図示せず)に基づいて温度効率φを算出する。
【0061】
続いて、目標温水温度TWOを後述の方法で決定する(目標熱媒体温度決定手段:ステップS34)。すなわち、エバ後温度センサ45で検出したエバ後温度TE、図4のフローチャートのステップS5で決定した目標吹出温度TAO、およびステップS21で決定した温度効率φから目標温水温度TWOを下記の数6の式に基づいて算出する。
【数6】
TWO=(TAO−TE)/φ+TE
【0062】
続いて、目標温水温度TWOと水温センサ46で検出した温水式ヒータ6の入口水温(以下温水温度と言う)TWとの温度偏差に基づいて、冷媒圧縮機20の目標回転速度を決定する(目標回転速度決定手段:ステップS35)。その後に、図6のサブルーチンを抜ける。そして、図4のフローチャートのステップS11では、エバ後温度センサ45で検出したエバ後温度TEを凍結限界温度(着霜限界温度、例えば2℃)保ちながら、車室内に吹き出す実際の吹出温度TAが目標吹出温度TAOになるように、冷媒圧縮機20の回転速度が、目標温水温度TWOと温水温度TWとの温度偏差に応じて制御される(TWO制御)。
【0063】
ここで、図6のサブルーチンのステップS34で決定される目標温水温度TWOを、例えばDEF吹出口11よりフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出す空気の吹出温度と関連させておけば、温度設定スイッチ51等により乗員が希望する吹出温度を設定するのみで、フロント窓ガラスの内面へ吹き出す空気の吹出温度が乗員の希望に合った温度に到達する。
【0064】
また、ステップS32の判断結果がNOの場合には、空調運転モードとして除湿冷房モードが選択されているか否かを判断する(ステップS36)。この判断結果がYESの場合には、A/Mダンパ19の目標ダンパ開度(SW)が0(%)であるか否かを判断する(ステップS37)。この判断結果がNOの場合には、前述の方法で、温水式ヒータ6を通過する空気の風量V(m3 /h)から温度効率φを決定する(温度効率決定手段:ステップS38)。
【0065】
続いて、下記の数7の式に基づいて2個のA/Mダンパ19の目標ダンパ開度(SW)を算出する(ステップS39)。
【数7】
SW={(TAO−TE)/φ(TW−TE)}×100(%)
ここで、SWはMAXCOOL(全閉)を0(%)とし、MAXHOT(全開)を100(%)とする。
【0066】
続いて、エバ後温度センサ45で検出したエバ後温度TEが凍結限界温度(例えば2℃)付近に接近するように冷媒圧縮機20の目標回転速度を決定する(ステップS40)。その後に、図6のサブルーチンを抜ける。そして、図4のフローチャートのステップS11では、エバ後温度センサ45で検出したエバ後温度TEを凍結限界温度(例えば2℃)に保ちながら冷媒圧縮機20の回転速度が制御されると共に、車室内に吹き出す実際の吹出温度TAが目標吹出温度TAOになるように、A/Mダンパ19の目標ダンパ開度(SW)が、目標吹出温度TAOとエバ後温度TEと温水温度TWに応じて制御される(A/Mダンパ制御)。
【0067】
また、ステップS36の判断結果がNOの場合、ステップS37の判断結果がYESの場合には、空調運転モードとして外気冷房モードが選択されているので、エバ後温度センサ45で検出するエバ後温度TEが目標吹出温度TAOに一致(TE=TAO)するように、冷媒圧縮機20の目標回転速度を決定する(ステップS41)。その後に、図6のサブルーチンを抜ける。そして、図4のフローチャートのステップS11では、エバ後温度センサ45で検出するエバ後温度TEが目標吹出温度TAOに一致するように、冷媒圧縮機20の回転速度が、目標吹出温度TAOに応じて制御される(TE=TAO制御)。
【0068】
〔第1実施形態のDEF制御〕
次に、本実施形態のECU10によるDEF制御時の各アクチュエータの作動を図1ないし図7に基づいて説明する。
【0069】
(外気冷房モード)
乗員がDEFスイッチ58を押してフロント窓ガラスの曇りの除去を希望した時に、空調運転モードとして外気冷房モードが選択された場合には、ウォータポンプ8がOFFされ、冷媒圧縮機20がONされ、2個のA/Mダンパ19がMAXCOOLに固定され、電磁弁VCがONされ、電磁弁VH、VDがOFFされる。このとき、吸込口モードは外気導入モードに設定され、吹出口モードはDEFモードに設定される。
【0070】
したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、冷房サイクル(矢印C方向)を流れ、冷媒圧縮機20→ブライン冷媒熱交換器7(単に冷媒通路として使用)→電磁弁VC→室外熱交換器23→第2減圧手段22→エバポレータ24→アキュームレータ25→冷媒圧縮機20のように循環する。このとき、外気吸込口4から空調ダクト2内に吸い込まれた外気は、エバポレータ24を通過する際に冷却除湿されて低湿度の空気となって、温水式ヒータ6を迂回した後に、DEF吹出口11よりフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出される。これにより、フロント窓ガラスの防曇性能も十分得られると共に、電動式のウォータポンプ8の作動を止めることができるので省動力および省消費電力となり、電気自動車の走行距離も延びる。
【0071】
(除湿冷房モード)
乗員がDEFスイッチ58を押してフロント窓ガラスの曇りの除去を希望した時に、空調運転モードとして除湿冷房モードが選択された場合には、ウォータポンプ8および冷媒圧縮機20がONされ、目標吹出温度TAOやエバ後温度TE等に応じて2個のA/Mダンパ19がMAXHOT〜MAXCOOL間で可変され、電磁弁VCがONされ、電磁弁VH、VDがOFFされる。このときも、吸込口モードは外気導入モードに固定され、吹出口モードはDEFモードに固定される。
【0072】
したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、冷房サイクル(矢印C方向)を流れ、ブライン冷媒熱交換器7→電磁弁VC→室外熱交換器23→第2減圧手段22→エバポレータ24→アキュームレータ25→冷媒圧縮機20のように循環する。一方、ブライン冷媒熱交換器7で冷媒の凝縮熱によって加熱された温水は、同様に温水式ヒータ6に循環される。このとき、外気吸込口4から空調ダクト2内に吸い込まれた外気は、エバポレータ24を通過する際に冷却除湿されて低湿度の空気となる。そして、エバポレータ24を通過した空気は、A/Mダンパ19の開度に応じて温水式ヒータ6を通過し再加熱された後に、DEF吹出口11よりフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出される。これにより、フロント窓ガラスの曇りが除去される。
【0073】
ここで、除湿冷房モード時には室外熱交換器23が凝縮器として運転される。また、同様に、電気自動車が走行中であれば走行風も室外熱交換器23に吹き付けられるので、ブライン冷媒熱交換器7での冷媒の放熱量よりも室外熱交換器23での冷媒の放熱量が多くなり、ブライン冷媒熱交換器7での冷媒から温水に与えられる熱量が少なくなる。したがって、空調ダクト2内に吸い込まれた外気はエバポレータ24で冷却除湿された後に温水式ヒータ6を通過する際に再加熱される量が小さくなる。このため、除湿暖房モードの目標吹出温度TAOよりも低い温度が算出される、除湿冷房モード時の目標吹出温度TAOを作り易くなり、車室内が冷房気味除湿される。
【0074】
(除湿暖房モード)
乗員がDEFスイッチ58を押してフロント窓ガラスの曇りの除去を希望した時に、空調運転モードとして除湿暖房モードが選択された場合には、ウォータポンプ8および冷媒圧縮機20がONされ、2個のA/Mダンパ19がMAXHOTに固定され、電磁弁VCがOFFされ、電磁弁VH、VDがエバ後温度TEに応じてON−OFF制御される。このとき、吸込口モードは外気導入モードに固定され、吹出口モードはDEFモードに固定される。
【0075】
1)第1除湿暖房モード
エバ後温度TEが凍結限界温度(例えば2℃)よりも高温の第1所定温度(例えば2.5℃)以上の場合には、図7の特性図に示したように、電磁弁VHがOFFされ、電磁弁VDがONされることによって、エバポレータ24を蒸発器として単独運転する第1除湿暖房モードに設定される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、除湿サイクル(矢印D方向)を流れ、ブライン冷媒熱交換器7→第1減圧手段21→電磁弁VD→エバポレータ24→アキュームレータ25→冷媒圧縮機20のように循環する。一方、ブライン冷媒熱交換器7を通過する際に冷媒の凝縮熱によって加熱された温水は、エバポレータ24の風下側に配置された温水式ヒータ6に循環される。
【0076】
このとき、外気吸込口4から空調ダクト2内に吸い込まれた外気は、エバポレータ24を通過する際に冷却除湿されて低湿度の空気となる。そして、エバポレータ24を通過した全ての空気は、温水式ヒータ6を通過する際に再加熱された後に、DEF吹出口11よりフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出される。これによりフロント窓ガラスの曇りが除去されると共に、車室内が暖房気味除湿される。さらに、室外熱交換器23を蒸発器として運転しないため、室外熱交換器23の除霜を行うこともできる。
【0077】
2)第2除湿暖房モード
エバ後温度TEが第1所定温度と第2所定温度との間の温度(例えば1.5℃〜2.5℃)の場合には、図7の特性図に示したように、電磁弁VH、VDが共にONされることによって、室外熱交換器23とエバポレータ24とを並列して蒸発器として運転する第2除湿暖房モードに設定される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、除湿暖房サイクル(図1において矢印H・Dの経路)を冷媒が流れ、ブライン冷媒熱交換器7→第1減圧手段21を通過した後に、室外熱交換器23→電磁弁VHを通るものと、電磁弁VD→エバポレータ24を通るものとに分かれる。一方、ブライン冷媒熱交換器7で冷媒の凝縮熱によって加熱された温水は温水式ヒータ6に循環される。
【0078】
このとき、外気吸込口4から空調ダクト2内に吸い込まれた外気は、エバポレータ24を通過する際に冷却除湿されて低湿度の空気となる。そして、エバポレータ24を通過した全ての空気は、温水式ヒータ6を通過する際に再加熱された後に、DEF吹出口11よりフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出される。これにより、フロント窓ガラスの曇りが除去されると共に、車室内が暖房気味除湿される。
【0079】
ここで、上述したように、第2除湿暖房モードでは、室外熱交換器23がエバポレータ24と並列して蒸発器として運転される。また、電気自動車が走行中であれば走行風も室外熱交換器23に吹き付けられるので、エバポレータ24よりも室外熱交換器23の吸熱量が多くなることにより、空調ダクト2内に吸い込まれた外気からのエバポレータ24内を通過する冷媒の吸熱量は少なくなる。さらに、ブライン冷媒熱交換器7での冷媒から温水に与えられる熱量は、エバポレータ24を蒸発器として単独運転する第1除湿暖房モードと比較して、室外熱交換器23を蒸発器として運転することによる吸熱量の増加分だけ上昇する。これにより、車室内の暖房能力が向上するので目標吹出温度TAOを作り易くなる。
【0080】
3)外気暖房モード
エバ後温度TEが凍結限界温度(例えば2℃)よりも低温の第2所定温度(例えば1.5℃)以下の場合には、電磁弁VHがONされ、電磁弁VDがOFFされることによって、室外熱交換器23を蒸発器として単独運転する外気暖房モードに設定される。したがって、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒は、暖房サイクル(矢印H方向)を流れ、ブライン冷媒熱交換器7→第1減圧手段21→室外熱交換器23→電磁弁VH→アキュームレータ25→冷媒圧縮機20のように循環する。一方、ブライン冷媒熱交換器7で冷媒の凝縮熱によって加熱された温水が温水式ヒータ6に循環する。
【0081】
そして、外気吸込口4から空調ダクト2内に吸い込まれた外気は、エバポレータ24を通過する際にエバポレータ24の表面に付着した霜を解かして、温水式ヒータ6を通過する際に加熱された後に、DEF吹出口11よりフロント窓ガラスの内面に向けて吹き出される。これにより、フロント窓ガラスの曇りが除去されると共に、外気温度TAM(吸込温度Tin)が低温でもエバポレータ24の着霜(フロスト)を抑えられ、且つ車室内を外気暖房できる。ここで、外気温度TAM(吸込温度Tin)が例えば0℃以下に低下した場合には、冷媒圧縮機20をOFFして燃焼式ヒータ9をHi−Lo運転制御する。
【0082】
〔第1実施形態の効果〕
以上のように、本実施形態では、フロント窓ガラスの曇りを除去するために、乗員が除湿暖房モードを希望した時に、除湿暖房モードによるDEF制御の初期の段階で外気温度TAMが8℃以上の場合には、エバ後温度TEは8℃以上となり、第1除湿暖房モードが選択される。このとき、エアコンユニット1では、エバ後温度TEを凍結限界温度(例えば2℃)に保ちながら、目標吹出温度TAOとなるように冷媒圧縮機20の回転速度を目標温水温度TWOに応じて制御することにより、エバ後温度TEが2℃まで低下する。これにより、エバ後温度TEが2.5℃以下に低下した場合には、第2除湿暖房モードが選択される。
【0083】
また、除湿暖房モードによるDEF制御の初期の段階で外気温度TAMが5℃〜8℃の場合には、エバ後温度TEを2℃に保ちながら、目標吹出温度TAOとなるように冷媒圧縮機20の回転速度を目標温水温度TWOに応じて制御しようとしても、エバポレータ24での冷媒の吸熱量が少ないため、温水式ヒータ6で十分なリヒート量をとることができず、目標吹出温度TAOが得られない。このため、エバ後温度TEが2℃よりも低下しようとするが、エバ後温度TEが2.5℃以下に低下した場合には、第2除湿暖房モードが選択されることによって、室外熱交換器23で冷媒が吸熱することができるので、エバ後温度TEを2℃に保ちながら、目標吹出温度TAOを作ることができる。
【0084】
そして、エバポレータ24に吸い込まれる外気温度TAMが2℃〜5℃の場合には、一旦エバポレータ24で冷却除湿してから温水式ヒータ6でリヒート(再加熱)して目標吹出温度TAOを得ることが困難であるため、この場合には、エバ後温度TEが2℃よりも低下してエバポレータ24がフロストする可能性がある。そこで、本実施形態では、エバ後温度TEが1.5℃以下に低下した場合には、第2除湿暖房モードから外気暖房モードに切り替えて、低湿度の外気導入による除湿を行うようにすることにより、エバポレータ24のフロストを防止している。
【0085】
したがって、エバ後温度TEを凍結限界温度に保ちながら、目標吹出温度TAOとなるように冷媒圧縮機20の回転速度を目標温水温度TWOに応じて制御することにより、外気温度TAMに応じて除湿暖房モードと外気暖房モードとを選択するものと比較して、エバポレータ24が着霜する限界まで、第1除湿暖房モードまたは第2除湿暖房モードが継続され、外気暖房モードに切り替わらないので、フロント窓ガラスの曇りの除去を継続することができる。すなわち、エバポレータ24の着霜(凍結)を抑えながらも連続的に除湿を行うことができる。
【0086】
そして、DEF吹出口11より吹き出される空気の吹出温度は、設定吹出温度Tset、内気温度TR、外気温度TAMおよび日射量TS等を考慮した数1の式で求められる目標吹出温度TAOとなるように、冷媒圧縮機20の回転速度を目標温水温度TWOに応じて制御(TWO制御)しているので、エンジン搭載車用オートエアコンの空調制御方法を、この電気自動車用空気調和装置に適用することができる。
【0087】
さらに、冷媒圧縮機20として電動式の冷媒圧縮機を利用し、冷媒圧縮機20を駆動電源としてのエアコン用インバータ30によって通電制御することにより、冷媒圧縮機20より吐出される冷媒の吐出量の変更、つまり温水式ヒータ6でのリヒート量、およびエバポレータ24での冷却量を容易に調節することができる。したがって、冷媒圧縮機20の回転速度を変更するだけで、車室内に吹き出す空気の吹出温度を目標吹出温度TAOに略一致させることができる。
【0088】
〔第1比較例の構成〕
図8は本発明の第実施形態に対する第1比較例を示したもので、電気自動車用空気調和装置の全体構成を示した図である。
【0089】
本実施形態に対する第1比較例の冷凍サイクルは、回転速度がインバータ制御される冷媒圧縮機20、この冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒が流入するコンデンサ71、このコンデンサ71より流出冷媒を減圧する第1、第2減圧手段21、22よりなる減圧手段、空調ダクト2外に設置された室外熱交換器23、空調ダクト2内に設置されたエバポレータ24、気液分離するアキュームレータ25、冷凍サイクル中の冷媒の流れ方向を切り替える電磁弁VC、VH、VDよりなる循環回路切替手段、およびこれらを環状に接続する冷媒配管等から構成されている。
【0090】
コンデンサ71は、空調ダクト2内においてエバポレータ24よりも下流側に設置され、内部を流れる冷媒の凝縮熱によって通過する空気を加熱する凝縮器である。コンデンサ71には、コンデンサ71を通過する空気量(温風量)とコンデンサ71を迂回する空気量(冷風量)とを調節して車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整する空気量調節手段としての2個のエアミックス(A/M)ダンパ72が回転自在に支持されている。これらのA/Mダンパ72は、ステッピングモータやサーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)により駆動される。
【0091】
ここで、本実施形態に対する第1比較例では、DEF制御時に、冷凍サイクルを除湿冷房サイクルにて運転する除湿冷房モードと、冷凍サイクルを除湿サイクル、除湿暖房サイクルまたは暖房サイクルにて運転する除湿暖房モードとが選択される。なお、冷房サイクルとして、冷媒圧縮機20の吐出口より吐出された冷媒をコンデンサ71を迂回させて電磁弁VCを経て室外熱交換器23に直接流入させることのできる冷媒流路を設ければ、第1実施形態の除湿モード時の外気冷房モードと同じ作用効果を得ることができる。そして、本実施形態に対する第1比較例でも、DEFスイッチ58が押されて車室内の除湿(特にフロント窓ガラスの曇りの除去)を希望している場合に、エバ後温度TEに応じて除湿暖房モードと外気暖房モードとを選択するようにしている。
【0092】
〔他の実施形態〕
実施形態では、除湿モード設定手段としてのDEFスイッチ58を押してDEF制御(除湿モード制御)を実行する際にのみ本発明の制御方法を利用したが、除湿モード設定手段としてモード設定スイッチ55を押して吹出口モードとしてFOOTモードまたはF/Dモードを選択した際に本発明の制御方法を利用しても良い。
【0093】
本実施形態では、目標吹出温度決定手段として、設定吹出温度Tset、内気温度TR、外気温度TAMおよび日射量TSに基づいて目標吹出温度TAOを算出するようにしているが、目標吹出温度決定手段として、設定吹出温度Tset、内気温度TR、外気温度TAMおよび外気湿度に基づいて目標吹出温度TAOを算出するようにしても良い。また、エバポレータ24に吸い込む空気の吸込温度を目標吹出温度TAOに考慮しても良い。
【0094】
本実施形態では、蒸発器温度検出手段としてエバポレータ24を通過した直後の空気温度を検出するエバ後温度センサ45を用いたが、蒸発器温度検出手段としてエバポレータ(第2室内熱交換器)24の表面温度(フィン温度)や蒸発温度を検出する温度センサを用いても良い。
本実施形態では、凍結限界温度(着霜限界温度)を2℃に設定し、第1所定温度を2.5℃に設定し、第2所定温度を1.5℃に設定したが、着霜限界温度を2℃〜4℃のいずれかの温度に設定して第1所定温度と第2所定温度とを着霜限界温度に合わせて0.5℃〜1.5℃の範囲で変更しても良い。
【0095】
本実施形態では、温水温度TWとして水温センサ46で検出する温水式ヒータ6の入口水温を用いたが、温水温度TWとして水温センサ48で検出する燃焼式ヒータ9の出口水温を用いても良い。なお、ブラインサイクルのいずれの箇所の水温を温水温度TWとして読み込んでも良い。
本実施形態では、除湿冷房モード時に、A/Mダンパ19の開度を調節して車室内に吹き出す空気の吹出温度を調整するエアミックス温度コントロール方式を利用したが、除湿冷房モード時に、温水式ヒータ6に流入する温水量を調節して車室内に吹き出す空気の吹出温度を調整するリヒート式温度コントロールを利用しても良い。
【0096】
そして、第2除湿暖房モード時に、冷媒圧縮機20→ブライン冷媒熱交換器7またはコンデンサ71→第1減圧手段21→室外熱交換器23→エバポレータ24→冷媒圧縮機20のように冷媒が循環する除湿暖房サイクルが形成できるように冷凍サイクルを変更しても良い。すなわち、第2除湿暖房モード時に、室外熱交換器23とエバポレータ24とを直列に蒸発器として運転する除湿暖房サイクルが形成できるように冷凍サイクルを変更しても良い。
【0097】
そして、図1に示したブラインサイクルに、ラジエータ等の放熱装置、電動器具の排熱を回収する排気回収器や電気ヒータ等の補助加熱装置、流路切替弁等の付属装置を追加しても良い。さらに、減圧手段として、温度自動膨張弁、電動式の膨張弁、オリフィス等の減圧手段を用いても良いが、安価で、故障のないキャピラリチューブやオリフィス等の固定絞りを用いることが望ましい。そして、気液分離器として、レシーバ(受液器)を使用しても良い。このレシーバの接続箇所は、ブライン冷媒熱交換器7と第1減圧手段21との間に接続するか、あるいは室外熱交換器23と第2減圧手段22との間に接続する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気自動車用空気調和装置の全体構成を示した模式図である(第1実施形態)。
【図2】電気自動車用空気調和装置の制御系を示したブロック図である(第1実施形態)。
【図3】操作パネルを示した正面図である(第1実施形態)。
【図4】ECUによる主要な制御処理を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図5】空調運転モード決定制御を示したサブルーチンである(第1実施形態)。
【図6】DEF制御時の吹出温度制御を示したサブルーチンである(第1実施形態)。
【図7】除湿暖房モードと外気暖房モードとの選択条件を示した特性図である(第1実施形態)。
【図8】 電気自動車用空気調和装置の全体構成を示した模式図である(第1比較例)。
【符号の説明】
1 エアコンユニット
2 空調ダクト
6 温水式ヒータ(加熱用室内熱交換器、第1室内熱交換器)
7 ブライン冷媒熱交換器(冷媒熱媒体熱交換器)
8 ウォータポンプ(熱媒体循環手段)
燃焼式ヒータ
10 ECU(空調制御装置、目標吹出温度決定手段、目標熱媒体温度決定手段)
20 冷媒圧縮機
21 第1減圧手段
22 第2減圧手段
23 室外熱交換器
24 エバポレータ(冷却用室内熱交換器、第2室内熱交換器)
30 エアコン用インバータ(回転速度制御手段)
41 内気温センサ(内気温度検出手段)
42 外気温センサ(外気温度検出手段)
45 エバ後温度センサ(蒸発器温度検出手段)
50 操作パネル
51 温度設定スイッチ(吹出温度設定手段)
58 DEFスイッチ(除湿モード設定手段)
VC 電磁弁(循環回路切替手段)
VH 電磁弁(循環回路切替手段)
VD 電磁弁(循環回路切替手段)

Claims (5)

  1. (a)電気自動車の車室内へ向かって空気を送るためのダクトと、
    (b)このダクト内において車室内へ送風する送風機と、
    (c)吸入した冷媒を圧縮する冷媒圧縮機、前記冷媒圧縮機より吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させて冷媒を凝縮させる凝縮器として運転される冷媒熱媒体熱交換器、この冷媒熱媒体熱交換器より流入した冷媒を減圧する減圧手段、この減圧手段で減圧された冷媒を外気との熱交換により蒸発させる蒸発器として運転される室外熱交換器、前記減圧手段より流入した冷媒を蒸発させる蒸発器として運転される冷却用室内熱交換器を有する冷凍サイクルと、
    (d)前記冷媒熱媒体熱交換器、前記冷媒熱媒体熱交換器より流入する熱媒体により前記ダクト内の空気を加熱する加熱用室内熱交換器、および前記冷媒熱媒体熱交換器と前記加熱用室内熱交換器との間で熱媒体を循環させる熱媒体循環手段を有するブラインサイクルと、
    (e)車室内の除湿を希望する除湿モード設定手段と、
    (f)この除湿モード設定手段により車室内の除湿が希望されている時に、吸込口モードを外気導入モードに切り替える吸込口切替手段と、
    (g)前記除湿モード設定手段により車室内の除湿が希望されている時に、吹出口モードをデフロスタモードに切り替える吹出口切替ドアと、
    )前記冷却用室内熱交換器の温度を検出する蒸発器温度検出手段と、
    )前記冷媒圧縮機より吐出される冷媒の吐出量を変化させて前記冷凍サイクル内を循環する冷媒の流量を調節することにより前記加熱用室内熱交換器の加熱能力や前記冷却用室内熱交換器の除湿能力を制御する空調制御装置と
    を備えた電気自動車用空気調和装置において、
    前記冷凍サイクルは、
    前記冷媒圧縮機より吐出された冷媒を、前記冷媒熱媒体熱交換器、前記減圧手段、前記冷却用室内熱交換器の順に流して前記冷媒圧縮機に戻し、前記冷却用室内熱交換器を蒸発器として単独運転する第1除湿暖房モード用循環回路と、
    前記冷媒圧縮機より吐出された冷媒を、前記冷媒熱媒体熱交換器、前記減圧手段、前記室外熱交換器または前記冷却用室内熱交換器の順に流して前記冷媒圧縮機に戻し、前記室外熱交換器と前記冷却用室内熱交換器とを並列または直列して蒸発器として運転する第2除湿暖房モード用循環回路と、
    前記冷媒圧縮機より吐出された冷媒を、前記冷媒熱媒体熱交換器、前記減圧手段、前記室外熱交換器の順に流して前記冷媒圧縮機に戻す外気暖房モード用循環回路と、
    少なくとも前記第1除湿暖房モード用循環回路、前記第2除湿暖房モード用循環回路または前記外気暖房モード用循環回路のいずれかの循環回路に切り替える循環回路切替手段とを備え、
    前記ブラインサイクルは、前記冷媒熱媒体熱交換器だけでは十分に熱媒体を加熱できない時に前記ブラインサイクル内を循環する熱媒体を加熱する燃焼式ヒータを備え、
    前記空調制御装置は、前記除湿モード設定手段により車室内の除湿が希望されている時に、
    前記蒸発器温度検出手段で検出した前記冷却用室内熱交換器の温度が、前記冷却用室内熱交換器の着霜限界温度よりも高温の第1所定温度以上の場合は、前記第1除湿暖房モード用循環回路に切り替えるように前記循環回路切替手段を制御し、
    前記蒸発器温度検出手段で検出した前記冷却用室内熱交換器の温度が前記着霜限界温度よりも低温の第2所定温度以下の場合は、前記外気暖房モード用循環回路に切り替えるように前記循環回路切替手段を制御し、
    前記蒸発器温度検出手段で検出した前記冷却用室内熱交換器の温度が前記第1所定温度と前記第2所定温度との間の温度の場合は、前記第2除湿暖房モード用循環回路に切り替えるように前記循環回路切替手段を制御することを特徴とする電気自動車用空気調和装置。
  2. 請求項1に記載の電気自動車用空気調和装置において、
    前記冷媒熱媒体熱交換器は、車室外に設置され、
    前記室外熱交換器は、前記電気自動車が走行する際に生じる走行風を受け易い車室外に設置されていることを特徴とする電気自動車用空気調和装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電気自動車用空気調和装置において、
    前記冷媒圧縮機は、駆動モータにより回転駆動される電動式の冷媒圧縮機であって、前記駆動モータの回転速度を制御する回転速度制御手段としてのインバータを備えていることを特徴とする車両用空気調和装置。
  4. 請求項3に記載の電気自動車用空気調和装置において、
    前記冷媒熱媒体熱交換器は、前記ダクト外に配設されたブライン冷媒熱交換器であって、
    前記加熱用室内熱交換器は、前記ダクト内に配設された第1室内熱交換器であって、
    前記冷却用室内熱交換器は、前記ダクト内において前記第1室内熱交換器よりも空気の流れ方向の上流側に配設され第2室内熱交換器であることを特徴とする車両用空気調和装置。
  5. 請求項に記載の電気自動車用空気調和装置において、
    前記空調制御装置は、車室内に吹き出す空気の吹出温度を所望の吹出温度に設定する吹出温度設定手段、およびこの吹出温度設定手段で設定された設定吹出温度に基づいて車室内に吹き出す空気の目標吹出温度を決定する目標吹出温度決定手段、前記目標吹出温度決定手段で決定した目標吹出温度に基づいて目標熱媒体温度を決定する目標熱媒体温度決定手段を有し、
    前記蒸発器温度検出手段で検出する前記第2室内熱交換器の温度を前記着霜限界温度に保ちながら、前記目標吹出温度決定手段で決定した目標吹出温度となるように前記冷媒圧縮機の回転速度を前記目標熱媒体温度決定手段で決定した目標熱媒体温度に応じて制御することを特徴とする電気自動車用空気調和装置。
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