JP3810692B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電複写機、レーザープリンター等の電子写真プロセスを用いる画像形成装置、特に、トナー像を記録シート(紙等)へ定着するいわゆる定着行程を有する画像形成装置に関する。
さらに詳しくは、本発明は、光書き込みの解像度が1200dpi以上である電子写真方式を用いた画像形成装置に関するものである。また、本発明は、光書き込みが入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて行われる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスを用いる画像形成装置の感光体としては、いわゆる有機感光体が主流となっている。この有機感光体では、導電性基体上にいわゆる電荷発生層、電荷輸送層を積層した積層タイプが主流となっている。
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって膜削れが発生しやすく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズ等による地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化が促進される傾向が強いことで耐摩耗性の向上が望まれていた。また、トナーによる現像とクリーニングの繰り返し等に起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上が求められている。
【0003】
さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。従って、有機系の電子写真感光体においては、特に高画質化と高耐久化を両立させることが最重要課題として挙げられている。
【0004】
特開平8−286407号公報では、感光体の表面層中に粒径0.05〜1μmで体積固有抵抗が108Ω・cm以上の無機粒子を含有し、さらにこのような感光体に対して露光スポット径80μm以下で露光をおこなうことを特徴としている。このような組み合わせにより、繰り返し使用を行った場合においても感光体の膜厚減耗がないうえに、クリーニング不良の発生もなく安定した画像が得られるようになる。さらに、露光スポット径を小さくした場合に特有に発生し、感光体の表面が劣化した際に発生する画像ニジミ等の不良が発生しないとしている。
【0005】
特開平9−319164号公報では、コントラスト電位をVc[V]、初期帯電電位をVo[V]、レーザービーム径をS[μm]としたとき、これらが一定の条件、
Vc/Vo≦0.92・log(S)−0.018・L−0.29
を満たすことを特徴としている。このようにすることにより、電荷輸送層の膜厚が従来並みの厚さを有する場合であっても、潜像劣化を抑えて解像度を高くし、高密度で高精細な画像を再現することが可能であるとしている。
【0006】
特開平11−95462号公報では、感光体の電荷輸送層が、
R1m−M−(OR2)n (M=Si、Al、Ti、Zr)
で示される化合物の少なくとも1種類以上の反応生成物を含有することを特徴としている。このようにすることにより、繰り返し帯電、露光による連続画像形成に際して磨耗や傷等よる膜削れが少なく、優れた耐久性を有するため、感光層を薄膜化でき、この結果、優れた階調性再現性を有する高画像品位の出力が得られる電子写真感光体が可能になるとしている。
【0007】
特開平11−198453号公報では、入力信号で変調された光ビームを感光体上に照射するとともに走査することによって潜像を形成し、その形成された潜像を現像して画像を得る、膜厚30μm以下の光導電層を有する感光体を使用した電子写真画像形成装置において、記録される画像の解像度および階調性により前記感光体への光ビームの露光量を制御する手段、得られた潜像をトナーにより現像する手段、および前記光ビームのスポット径と感光体の光導電層の膜厚の関係が、
スポット径(μm)<
72.4−(1.34+0.0135×膜厚(μm))×膜厚(μm)
であるように露光する手段、を有することを特徴としている。このようにすることで、PWM方式において、400dpi、256階調を実現する、極めて優れた画像品質を得ることが可能であるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真方式を用いる画像形成装置では、現像電界が高い空間周波数まで追従するようにするためには、感光体膜厚を小さく(薄く)する必要があることが知られている(電子写真技術の基礎と応用:コロナ社p.150〜151)。しかしながら、従来技術(特開平11−95462号公報)においても指摘されているように、感光体膜厚を小さくした場合には、クリーニングによる磨耗や傷等に対する耐久性が悪化し、また、帯電工程、露光工程を繰り返し経た場合の劣化が加速されるという問題がある。従来の積層型有機感光体では、電荷輸送層のバインダー樹脂としてポリカーボネートが一般的に使用されているが、上記の問題点によって、電荷輸送層の膜厚は20〜30μm程度に設定されていることが一般的である。
【0009】
しかしながら、発明者らの行った実験によると、20〜30μm程度の電荷輸送層を有する感光体を使用した場合には、1200dpi以上の解像度になった場合には、孤立1ドットや1ドットライン等のような、いわゆる高い空間周波数の画像を再現することができなくなってしまうことが明らかになった。孤立1ドットや1ドットラインの再現が悪い画像形成装置では、いわゆるビットマップ画像等を複雑な画像処理工程を経ずにスルーで出力することができないことを意味する。
【0010】
解像度を600dpi、400dpi等に低下させることによって、孤立1ドットや1ドットラインを再現させることはできるようになるが、この場合には孤立1ドットや1ドットラインが大きくなるため、木目の粗い画像になってしまう。また、斜め線を含むような画像においては解像度の低下はいわゆるジャギーの悪化を伴うため、画質の低下を招く。また、文字画像についても種々のフォントが識別できるためには1200dpi以上の解像度が必要であるという問題があり、このような高解像度化と孤立1ドット、1ドットラインの再現を両立するという課題が存在することが明らかになった。
【0011】
また、発明者らの行った実験によれば、20〜30μm程度の電荷輸送層を有する感光体を使用した場合には、200lpi以上の線数によって中間調処理が施された画像データの書き込みを行い画像を出力した場合には、階調性が悪く、写真画像のような階調表現が必要な画像に対しては満足のいく画像が得られないという問題が発生した。(一方、中間調処理を200lpi未満にした場合には、階調性は確保されるものの、ディザのテクスチャが目視で知覚され、きめの細かい画像が得られないという問題がある。)さらに、階調性の悪い条件(この場合は200lpi以上の中間調処理を施した場合)では、いわゆるバンディングが発生しやすく、ノイズの多い画像しか得られないという問題を併せ持つことも明らかになった。
【0012】
一方感光体において、高画質化を達成する手段として上記に示すように感光体を薄膜化するという手段がある。しかしながら薄膜化するのみでは画質としての耐久性を維持することは困難である。
【0013】
すなわち、画質については摺擦による感光体表面の摩耗や傷の発生、高湿下における帯電時に発生し易い電気的な感光体表面の劣化等に対する耐久性が要求される。また、トナーによる現像とクリーニングの繰り返し等に起因した、感光体表面へのトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光体表面のクリーニング性の向上が求められている。
【0014】
これに対し、電荷輸送層中に種々の物質を添加することで感光体表面の物性を改善する試みとしてシリコーン系樹脂の添加が挙げられ、シリコーン系樹脂は表面エネルギーが小さい点で優れているが、他の樹脂に対して十分な相溶性を示さないため、添加系では凝集し易く光散乱を生じたり、ブリードして表面に偏析するために安定した特性を示さない等の問題があった。また、シリコーン系樹脂単独で用いた場合には硬度が不十分であり、感光層を侵さない溶剤系、例えばアルコールや水等を使用する場合には該シリコーン系樹脂の表面エネルギーは大きくなり易いためクリーニング性等に問題がある。
【0015】
その他、低表面エネルギーのポリマーであるポリテトラフルオロエチレンに代表されるフッ素系高分子は一般に溶媒に不溶であり、分散性も不良であることから、平滑な感光体表面を得ることが困難であり、屈折率も小さいことから光散乱が生じ易く、それによる潜像の劣化を生じる問題点があった。
【0016】
さらに近年、特に電子写真装置の小型化から感光体の小径化が進む傾向にあり、さらに高速化やフルカラー化、メンテナンスフリーの動きもあって感光体の耐摩耗性向上が必要不可欠なものになってきている。
【0017】
高耐摩耗性を実現しようとする試みはこれまで数多くなされており、それによって有機系電子写真感光体の飛躍的な耐摩耗性の向上が実現されてきた。しかし、それに伴い画像ボケ等の異常画像の発生が顕著に見られる問題が顕在化されてきたのが現状である。この画像ボケは、感光体の表面抵抗が低下し、電荷の横移動が生じることによって静電潜像がぼやけてしまうことによるものであり、この表面抵抗の低下は、感光体を帯電する際に発生するオゾンやNOxガス、及びそれらと大気中の水分とによって生成されるイオン種(以降、帯電生成物と称する)が感光体上に付着、堆積されることによって主に引き起こされていると考えられている。従来の感光体は、耐摩耗性が低かったことから帯電生成物が感光体表面に堆積しても摩耗によって除去されたことにより、画像ボケは特に大きな問題にはならなかった。しかし、感光体の耐摩耗性の向上に伴い、帯電生成物の除去が困難となり、画像ボケが高耐久化を妨げる大きな問題として挙げられている。この原因としては耐摩耗性の向上に伴い感光体表面に発生した傷が除去されにくくなり、傷部分に帯電生成物が堆積し除去されにくくなっているということが考えられている。このような感光体表面性の画質に対する影響は、高画質が要求されるに伴い大きくなり、特に本発明に示すような電子写真方式においては、摩耗の耐久性と画質の耐久性とを両立させることが大きな課題となっている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明では、感光体の最表面層中にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体を含有させることで、上述の問題が発生しない画像形成装置を提案する。また、さらに最表面層中にフィラーを含有させることで上述の問題に対し極めて大きな効果を有する画像形成装置を提案するものである。また、本発明での、書き込み系の構成(書き込み解像度、ビーム径)と、感光体の構成(最表面層処方)との組み合わせは、従来技術(特開平8−286407、特開平9−319164、特開平11−95462、特開平11−198453号公報)のいずれの方法とも異なり、独自のものである。
【0019】
そこで、本発明においては、以下の構成要件を満足することにより、高画質の維持及び高耐久性と高画質化の両立を可能とし、繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる画像形成装置を提供することによって本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]よりなる。
【0020】
[1]少なくとも、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段とを有し、光書き込みの解像度が1200dpi以上である電子写真方式を用いた画像形成装置において、
前記光書き込み手段がビーム径35μm以下のレーザービーム光であり、かつ、前記感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けてなり、該感光体の最表面層にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されて、かつ該電荷輸送層および最表面層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【0021】
[2]少なくとも、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段と、入力画像に対して中間調処理をおこなう画像処理手段とを有し、前記書き込み手段によって光書き込みが、入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて行われる電子写真方式を用いた画像形成装置において、
前記光書き込み手段がビーム径35μm以下のレーザービーム光であり、かつ、前記感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けてなり、該感光体の最表面層にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されて、かつ該電荷輸送層および最表面層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【0022】
[3]前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト複合ゴム系共重合体であることを特徴とする[1]又は[2]記載の画像形成装置。
【0023】
[4]前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体において、ポリオルガノシロキサン成分がその他の成分より多く含有されたものであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の画像形成装置。
【0024】
[5]前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体の平均一次粒径が、0.05μm〜5.0μmの範囲であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の画像形成装置。
【0025】
[6]前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が、バインダー樹脂とともに溶融混練された混練物として電子写真感光体の最表面層に含有されることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の画像形成装置。
【0026】
[7]前記感光体の最表面層が、フィラーを含有する保護層であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の画像形成装置。
【0027】
[8]前記保護層が少なくとも1種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする[7]記載の画像形成装置。
【0028】
本発明において、ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体を感光体の最表面層に含有することによって効果が得られる理由としては、屈折率が適正であり、最表面層に添加することによっても画質へ悪影響を及ぼすことがないこと、低μ成分であるオルガノシロキサン成分粒子外周部にシェル構造を有することによって、感光体の最表面層を形成するバインダー樹脂との相溶性が高くなり、それによって層内における分散性及び配向性を高めることが可能となったことにより、帯電生成物が感光体に付着しにくく、あるいは除去しやすくする効果を長期に亘って安定に維持することが可能となったことが考えられる。さらに、本発明におけるポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体は、内部にポリオルガノシロキサン樹脂部と例えばアクリル重合樹脂部が絡み合って存在しており、単独では相溶性の悪いポリオルガノシロキサン樹脂部の相溶性を例えばアクリル樹脂構造部により一層高めることが可能となり、その結果分散性及び配向性のより一層の向上が実現されたことと、それによってポリオルガノシロキサン樹脂部の組成比率を大幅に高めることが可能となったことが考えられる。
【0029】
また、ポリオルガノシロキサン成分を内部に含むコア/シェル構造を取っているため、最表面層に添加することで感光層に弾性を与え、表面に傷が付きにくくなることで、画質の劣化が抑制されること、また通常のこのような添加物は静電特性上に悪影響を及ぼすことが多いが、コアシェル構造を取っているためか理由は定かではないが、静電特性への影響が小さいことが挙げられる。
【0030】
以下、さらに詳細に本発明において用いられるコア/シェル構造を有するグラフト共重合体について述べる。
ここで使用されるコア/シェル構造を有するグラフト共重合体とは、コアの部分がポリオルガノシロキサン成分を含む弾力性のある材料から形成され、そのコアに化学的に結合したシェル部を有するグラフト共重合体が使用される。特にコアの部分が下記に示すゴム状重合体からなり、シェルの部分が下記に示すビニル系重合体からなるものが好ましく使用される。
【0031】
ここでいうゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエンランダム共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンブロック共重合ゴム、および上記ジエンゴムを水素添加又は部分水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、シリコンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体、アクリルゴムおよびアクリル−シリコン複合ゴム等が挙げられ、上記の各種ゴム成分は混合して用いても良いが、本発明においてはシリコンゴムあるいはアクリル−シリコン複合ゴム等のポリオルガノシロキサン成分を含む材料は必須であり、特にアクリル−シリコン複合ゴムが好ましい。
【0032】
前記ゴム状重合体を形成させるには乳化重合による方法が好ましい。また、前記ゴム状重合体は、架橋性単量体を用いて形成させることもできる。架橋性単量体としては、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレート又はアルカンポリオールポリメタクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル化合物を挙げることができる。
【0033】
前述のアクリル−シリコン複合ゴムとは、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み合った構造を有している複合ゴムを意味する。更に詳細には、3員環以上の各種の環状オルガノシロキサン、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等と、架橋剤及び/又はグラフト交叉剤を用いて乳化重合によりポリオルガノシロキサンゴムのラテックスを調整し、次にアルキル(メタ)アクリレート単量体、架橋剤及びグラフト交叉剤とをポリオルガノシロキサンゴムのラテックスに含浸させてから重合させてなる複合ゴムである。ここで用いられるアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート及びヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられるが、特にn−ブチルアクリレートを用いることが好ましい。
【0034】
また、複合化に際しては、ポリオルガノシロキサンゴム成分が90重量%を超えると、この複合ゴムを用いたグラフト共重合体を樹脂に添加して得られる組成物の表面外観が悪化し、逆にポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が90重量%を超えると得られるグラフト共重合体の耐摩耗性、耐衝撃性向上効果が低下する。このため、本発明で用いる複合ゴムとしては複合を構成する2種のゴム成分はいずれも10〜90重量%(両ゴム成分の合計量100重量%)の範囲にあることが必要であり、20〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
【0035】
上記複合ゴムの平均粒子径は0.01〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.08〜0.6μmである。平均粒子径が0.01μm未満になると得られるグラフト共重合体のクリーニング性向上効果が低下し、1.0μmより大きくなるとグラフト共重合体のクリーニング性向上効果が低下すると共にグラフト共重合体を樹脂に添加して得られる組成物の表面外観が悪化する。
【0036】
なお、本アクリル−シリコン複合ゴムの製造に関しては、特公平8−30102号公報(三菱レイヨン株式会社)に詳細に記載されている。
【0037】
上記のようにして得られた各種ゴム状重合体に例えば1種又は2種以上のビニル系単量体を、ラジカル重合技術によって一段であるいは多段で重合させることにより、本発明に用いられるコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が得られる。また、製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。かかる各種ゴム状重合体にグラフト重合させるビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチル(o−,m−,p−)スチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用いられる。
【0038】
ゴム状重合体として前述のアクリル−シリコン複合ゴムを用い、1種又は2種以上のビニル系単量体を、ラジカル重合技術によって一段であるいは多段で重合させることにより得られる複合ゴム系コア/シェル共重合体を使用する場合に、より良好な相溶性、分散性、低表面エネルギー効果の持続性が得られ、好ましく使用できるものである。この複合ゴム系コア/シェル共重合体は、前記と同様の方法で製造されるがより詳細には特公平8−30102号公報(三菱レイヨン株式会社)に記載された方法で製造される。
【0039】
ゴム状重合体(コア層)とビニル系単量体(シェル層)の重量比は、このコア/シェルグラフト共重合体全体を100重量部として、コア層が30〜95重量部、シェル層が5〜70重量部であることが好ましく、コア層が40〜90重量部、シェル層が10〜60重量部であることがより好ましい。シェル層が5重量部未満では樹脂中でのコア/シェルグラフト共重合体の分散が十分でなく、また70重量部を越えると低表面エネルギー性の発現性が不十分となり好ましくない。
【0040】
また、本発明においてはゴム成分の成分比及びコア/シェル構造比に関わらず、請求項に示すとおり、ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体において、ポリオルガノシロキサン成分がその他の成分より多く含有されたものを用いることが好ましい。すなわちポリオルガノシロキサン成分は、低表面エネルギー性の発現に寄与しており、ポリオルガノシロキサン成分を他の成分より多くすることで低表面エネルギー性の発現さらに維持性が向上する。
【0041】
こうして得られるコア/シェルグラフト共重合体の好ましい平均一次粒子径は0.05〜5.0μmである。0.05μm未満では、クリーニング性の改良が不十分であり、5.0μmを越える粒子径であると成形表面外観を損なうと共に画像欠陥を引き起こす。
【0042】
また本発明に用いられるコア/シェルグラフト共重合体において、重合時に用いる乳化剤、凝集剤等不純物の残留は電気特性を問題とする像形成部材、とりわけ電子写真用感光体においてはその電気特性を損なう恐れがあるため、必要に応じて精製して用いることが好ましい。精製法としては酸、アルカリ水溶液、水およびアルコール等で攪拌洗浄処理する方法またソックスレー抽出等による固液抽出法が挙げられる。
【0043】
以下、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、少なくとも電荷輸送物質とポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有される電荷輸送層37とが積層された構成をとっている。
図2は、図1において導電性支持体31と電荷発生層35の間に中間層33を設けた構成となっている。
図3は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層37とが積層された構成をとっている。そしてさらに、その上に少なくともフィラーとポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体を含有する保護層39が形成された構成となっている。
【0044】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化錫、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板およびそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0045】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化錫、ITO等の金属酸化物粉体等があげられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分散して塗布することにより設けることができる。
【0046】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0047】
次に電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層であり、電荷発生物質やバインダー樹脂等を適当な溶剤に分散ないし溶解し、これを導電性支持体上あるいは下引き層上に塗布、乾燥することにより形成できる。
【0048】
電荷発生層35には、公知の電荷発生物質をすべて用いることが可能であり、その代表として、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等、公知の材料が挙げられ、これらは有用に用いることができる。また、これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合して用いることも可能である。
【0049】
電荷発生層35は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等を用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0050】
必要に応じて電荷発生層35に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0051】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0052】
電荷発生層35は、電荷発生物質、溶剤及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
【0053】
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0054】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑材等を添加することが可能であり有用である。
【0055】
電荷輸送物質は、正孔輸送物質と電子輸送物質とに分類される。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0056】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、又は2種以上混合して用いられる。
【0057】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0058】
また、電荷輸送層37には、バインダー樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ高耐久化に対しても有効である。本発明においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述のバインダー樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
【0059】
また、電荷輸送層の膜厚は最表面層と合わせ、解像度の点から、20μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)によって異なるが、5μm以上が好ましい。
【0060】
電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は単独でも、バインダー樹脂との併用も可能である。
【0061】
電荷輸送層37の塗工に用いられる溶剤としては前記電荷発生層35と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を良好に溶解するものが適している。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0062】
電荷輸送層37には必要に応じて、レベリング剤や可塑剤を添加することができる。併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量はバインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。また、併用できる可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量はバインダー樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0063】
塗布は電荷発生層35と同様に浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法等公知の方法を用いて行うことができる。
【0064】
上記電荷輸送層37の上に、最表面層として耐久性の向上を目的として少なくともフィラーを含有する保護層39を形成することが可能である。これらのフィラー材料としては、有機性フィラー及び無機性フィラーとがある。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、錫、アルミニウム、インジウム等の金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素等の無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラー硬度や光散乱性の点から無機材料、特に金属酸化物を用いることが耐摩耗性あるいは高画質化に対し有利である。さらに、金属酸化物の使用は塗膜品質に対しても有利である。塗膜品質は画像品質や耐摩耗性に大きく影響するため、良好な塗膜を得ることは高耐久化及び高画質化に対し有効となる。
【0065】
また、これらの金属酸化物の中でも、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーの方が好ましい。導電性フィラーを感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなる。特に、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以上であることが解像度の点から好ましく、このようなフィラーとしては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。一方、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以下の導電性フィラーもしくは比抵抗が比較的低いフィラーとしては、酸化錫、酸化亜鉛、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等が挙げられ、本発明においては画像ボケが発生しやすくなることから、好ましくない傾向にある。但し、フィラーが同じ材質であっても、フィラーの比抵抗は異なる場合があるため、フィラーの種類によって完全に分類されるものではなく、フィラーの比抵抗によって決めることが重要である。また、これらのフィラーを2種以上混合して用いることも可能であり、それによって表面の抵抗を制御することも可能である。
【0066】
さらに、画像ボケの抑制効果を高めるためには、等電点におけるpHが少なくとも5以上を示すフィラーを選択することが好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向がある。液中に分散しているフィラーはプラスあるいはマイナスに帯電しており、その帯電性はフィラー粒子の安定性や解像度にも影響を及ぼす場合がある。等電点におけるpHがより塩基性を示すフィラーは、その帯電性や抵抗の面から画像ボケの抑制に対して有効である。等電点におけるpHが5以上の金属酸化物としては、前述のフィラーの中でも酸化チタン、ジルコニア、アルミナ等が挙げられ、特に酸化チタン<ジルコニア<アルミナの順に塩基性が高くなることから、アルミナを用いることがより好ましい。さらに、光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から特に有効に使用することができる。
【0067】
フィラーの屈折率は1.0〜2.0が好ましい。フィラーの屈折率が1.0未満及び2.0より大きい場合は、保護層の透過率が低下し、従って書き込みドットの潜像での再現性が低下し画質が低下する。フィラーの屈折率は、例えば屈折率の値を少しずつ変化できる液体中に粒子を浸し、粒子界面が不明確になる液の屈折率から求めることができる。液体の屈折率はアッベの屈折率計等により求めることができる。
【0068】
さらに、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能である。フィラーが含有された感光体において、オゾンやNOxガスの曝露による画像ボケの発生は、それらがフィラー表面に吸着することによって引き起こされている場合が考えられる。表面処理剤によってフィラーの比抵抗や等電点におけるpHを変化させることが可能となり、表面処理剤によって画像ボケの抑制効果が大幅に高まる場合がある。フィラーの表面処理は、画像ボケの抑制効果だけでなく、フィラーの分散性を向上させる効果もあり、塗膜の透明性の向上、塗膜欠陥の抑制、さらには耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制に対しても有効である。
【0069】
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、前述のフィラーの比抵抗や等電点におけるpHを維持できる表面処理剤が好ましい。前述のフィラーの等電点におけるpHは、表面処理によって変化させることができる。すなわち、酸性処理剤で処理したフィラーは酸性側に、塩基性処理剤で処理したフィラーは塩基性側に等電点が移動するため、本発明の構成においては、表面処理剤についてもより塩基性を示す処理剤を用いることが、フィラーの分散性や画像ボケ抑制の点から好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等は特に有効に使用することができる。また、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理もフィラーの分散性及び画像ボケの点から好ましく用いられる。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を軽減できる場合がある。また、フィラーの等電点におけるpHが5以下の酸性を示しても、表面処理剤に上記の塩基性処理剤を使用することによって、本発明における効果を得ることも可能である。
【0070】
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径がこれよりも小さい場合には、フィラーの凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなるだけでなく、フィラーの比表面積の増加により画像ボケの影響が増加する場合がある。また、フィラーの平均一次粒径がこれよりも大きい場合には、フィラーの沈降性が促進されたり、画質劣化あるいは異常画像が発生したりする場合がある。
【0071】
これらのフィラーが含有されることによって引き起こされる残留電位上昇を抑制するためには、カルボン酸化合物の一種を添加させることによって実現される。なお、本発明におけるカルボン酸化合物は、不揮発分100%のものであっても、予め有機溶剤等に溶解されたものであってもよい。
【0072】
これらのカルボン酸化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、分子構造中にカルボキシル基を含む化合物であればすべて使用することができる。例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。それに対し、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、又はアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて含まれ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、フィラーの分散性を向上させる効果が高いことから、より有効に用いられる。これらのカルボン酸化合物の中でも複数のカルボン酸残基を有するポリカルボン酸化合物は酸価が高く、またフィラーへの吸着性が向上する傾向にあり、残留電位の低減及びフィラーの分散性向上に対し、特に有効かつ有用である。
【0073】
残留電位の低減は、これらのカルボン酸化合物が酸価を有することと、フィラーへの吸着性にあると考えられる。フィラーの添加による残留電位の上昇は、フィラー表面の極性基が電荷トラップサイトになることによって起こると考えられ、このフィラーの極性基にこれらのカルボキシル基が吸着しやすく、それによって残留電位の低減効果が高まるものと考えられる。また、これらのカルボン酸化合物は、フィラーとバインダー樹脂との双方に親和性を持たせて濡れ性を高め、かつ立体障害あるいは電気的反発を与えることによりフィラー間の相互作用を減少させ安定性を高めることによりフィラーの分散性が向上する効果を有する。
【0074】
また、これらのカルボン酸化合物は、ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体に対しても分散性の向上に対して効果が見られる。従来の滑剤は、これらのカルボン酸化合物と混合させても特に有効性は見いだせないが、本発明によるコア/シェル構造を有するグラフト共重合体は、分子構造中にアクリル構造を含有していることにより、これらのカルボン酸化合物と親和性が維持され、分散性の向上が実現される。また、同時に塗膜品質の向上が実現され、画質の安定化に対して有効である。
【0075】
感光体の最表面層が保護層の場合に、保護層に含有されるバインダー樹脂は、電荷輸送層37で挙げたバインダー樹脂を用いることが可能である。用いる溶剤についても電荷輸送層37で挙げた溶剤を用いることが可能であり、2種以上の溶剤を混合して用いることも可能であり有用である。
【0076】
また、保護層にはさらに電荷輸送物質を含有させることも可能である。保護層に電荷輸送物質を含有させることによって残留電位の低減や感度劣化の抑制が可能となる。電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を用いることも可能である。保護層に用いられる電荷輸送物質及び高分子電荷輸送物質は、電荷輸送層37に記載された物質すべて、あるいは類似の材料を使用することが可能である。
【0077】
保護層の形成には、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができるが、スプレー塗工法が最も好ましい。それによって膜厚制御もしやすく、ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体やフィラーの分散性を良好に維持することが可能となり、さらに塗膜品質についても優位性がある。また、保護層の必要膜厚を一度で塗工して保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工して保護層を形成する方法が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。そうすることによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対しより一層の効果が得られる場合がある。加えて、塗膜品質の向上や塗膜欠陥の発生を抑制する効果も有する。保護層の膜厚は、0.5μm〜10μmが好ましく、2μm〜6μmがより好ましい。
【0078】
前述の電荷輸送層が感光体の最表面を形成する場合(図1及び図2)には、電荷輸送層にはさらにポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されてなる。また、前述の電荷輸送層上に最表面層として新たに保護層を設ける場合(図3)には、保護層にさらにポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されてなる。
【0079】
感光体の最表面層に含有される本発明のポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体の具体例としては、三菱レイヨン(株)のメタブレンSグレードという商品名で市販されているものが挙げられ、好ましく用いることができる。
【0080】
これらのポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体を必要に応じてバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶剤を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等により分散することによって塗工液を得ることができる。あるいは、バンバリーミキサー、ロールミル、2軸押出し機等の公知の装置を用い機械的に混合しペレット状に賦形する方法を挙げることもできる。押し出し賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成型可能であり、成型には通常の射出成型機が用いられる。ペレット状に賦形されたポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体とバインダー樹脂は、更に上記の溶液分散法へ適用できる。特に、コア/シェル構造を有するグラフト共重合体とバインダー樹脂とを溶融混練の工程を経た後感光体の最表面層に含有されることにより、コア/シェル構造を有するグラフト共重合体の分散性が著しく向上し、脱凝集化が大幅に促進されることにより、感光体の表面平滑性の向上や塗膜欠陥の防止効果を高め、また摩擦係数及び表面エネルギーの低減効果の安定性が大幅に向上することから、高画質化並びに高耐久化に対して非常に有効である。
【0081】
ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体の含有量は、全固形分に対して1重量%〜40重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜20重量%である。含有量がこれよりも少ない場合には、感光体表面の改質効果の持続性が低下し、画像ボケの影響が増大する傾向にあり、含有量がこれよりも多い場合には塗膜欠陥の発生や表面平滑性の低下、耐摩耗性の低下あるいは残留電位の上昇を引き起こし、高画質化並びに高耐久化に対し悪影響を与える恐れがある。
【0082】
感光体の最表面層が電荷輸送層もしくは保護層の場合には、ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が保護層もしくは電荷輸送層全体に均一に含有されるが、場合によっては保護層もしくは電荷輸送層の表面側にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体の濃度が高くなるような濃度傾斜を与えることも可能である。このように、感光体の表面側にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体の濃度を高くなるように濃度傾斜を与えることは、解像度や膜の接着性等において有効となる場合がある。
【0083】
本発明に用いる感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0084】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶剤及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0085】
本発明の感光体において、下引き層と感光層との間あるいは感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0086】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層ないし各層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。
【0087】
【発明の実施の形態】
本発明は静電複写機、レーザープリンター等の電子写真プロセスを用いる画像形成装置に関するものである。以下で本発明の電子写真プロセスを用いる画像形成装置の概略を説明する。図4は本発明の画像形成装置の一例の概略図である。感光体ドラム1は導体(導電性支持体)の表面に感光層を塗布することによって形成され、図4中の矢印方向に回転する。光書き込み手段はビーム径35μm以下のレーザービーム光であり、感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けてなり、該感光体の最表面層にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されて、かつ該電荷輸送層および最表面層を合わせた膜厚が20μm以下である。画像形成装置では次のような手順で画像の形成を行う。
【0088】
(1)帯電手段2では、感光体の表面を所望の電位に帯電する。
(2)光書き込み手段3では、感光体を露光して、所望の画像に対応する静電潜像を感光体上に形成する。
(3)現像手段4では、光書き込み手段3によってつくられた静電潜像を、トナーによって現像し感光体上にトナー像を形成する。
(4)転写手段5は、感光体上のトナー像を不図示の搬送手段によって搬送される紙等の記録シート6上に転写する。
(5)クリーニング手段7は、転写手段5で記録シート6上に転写されず感光体上に残ったトナーを清掃する。
(6)転写手段5によって、トナー像を転写された記録シート6は定着手段8へ搬送される。定着手段8では、トナーは加熱され、記録シート6上に定着される。
感光体ドラムは図4中の矢印方向に回転するため、上記の(1)〜(6)の工程を繰り返すことによって記録シート上に所望の画像が形成されていく。
【0089】
電子写真プロセスでの帯電装置としては、コロナ放電を利用して感光体の帯電を行うコロナ帯電装置が従来から使用されている。図5は、コロナ帯電装置の一例の概略図である。ワイヤは材質:タングステン、線径60[μm]である。ワイヤは図5のような位置(ケース中央)に感光体ドラムの軸方向に張設され、高電圧(−7[kV]程度)が印加されている。前記のワイヤは帯電ケースで覆われている。ケースの材質は、酸化されにくいステンレス鋼である。また、前記ワイヤと感光体との間には、グリッドが張設されており、−0.6[kV]程度の電圧が印加される。グリッドはステンレス鋼板(板厚:0.1[mm])をメッシュ状に切り取ったものである。
【0090】
図5のコロナ帯電装置では、感光体の帯電は次のように行われる。張設されたワイヤの近傍では、強電界が形成され空気の絶縁破壊が起こり、イオンが発生する。このイオンの一部は、ワイヤと感光体との間の電界によって移動し、感光体表面が帯電される。感光体の帯電は、表面電位がグリッドに印加した電位にほぼ等しくなるまで続くため、感光体の表面電位は、グリッドに印加する電位によって制御することが可能である。
【0091】
ワイヤを使用したコロナ帯電装置以外のコロナ帯電装置としては、鋸歯状電極を放電電極として使用しているものがある(特開平8−20210、特開平6−301286号公報)。図6はこの鋸歯状電極を用いたコロナ帯電装置の一例の概略図である。鋸歯状電極は図7のような形状であって、材質は板厚0.1[mm]のステンレス鋼板、頂点のピッチは3[mm]である。この鋸歯状電極は図6のように、支持部材に固定され、電源によって高電圧(−5[kV])が印加される。鋸歯状電極を使用したコロナ帯電装置でも、ワイヤを使用したコロナ帯電装置と同様に、材質がステンレス鋼の帯電ケースで覆われており、鋸歯状電極と感光体との間にはグリッドが配置されている。鋸歯状電極を使用したコロナ帯電装置での感光体の帯電も、ワイヤを使用した場合と同じであり、鋸歯状電極の頂点付近でコロナ放電がおこる。このほかのコロナ帯電装置としては、放電電極が針状(ピン状)の電極であるものが考案されている。
【0092】
鋸歯状電極を使用したコロナ帯電装置では、ワイヤを使用した場合にくらべて、小型、低オゾン発生の利点をもつ。鋸歯状電極では、コロナ放電が方向性(帯電ケース側へ向かうイオンの流れが、グリッド側(感光体側)へ向かうイオンの流れにくらべて小さくなる)をもって起こるため、帯電装置の幅(帯電ケースの感光体側の開口幅)を小さくすることができる。このことは、画像形成装置全体の小型化に対して重要である。また、コロナ放電が方向性を持つため、感光体の帯電の効率が上がり、コロナ帯電装置に流れる電流を小さくすることができ、この結果、オゾンの発生量が少なくなる。
【0093】
画像形成装置の帯電装置としては、これらのコロナ帯電装置ほかに、いわゆる接触帯電装置がある。この接触帯電装置は、コロナ帯電装置で問題であった、
1.発生するオゾンが多い
2.印加電圧が大きい(5〜7[kV])
等を改善することができる。このため、低速、中速の電子写真方式の画像形成装置での帯電装置として広く用いられている。
【0094】
接触帯電装置は、被帯電体である感光体(以下、単に感光体と略す)に、帯電部材を接触させ、この帯電部材に電圧を印加することによって感光体の帯電を行う。図8は、接触帯電装置の一例であり、その断面図を表している。帯電部材2はローラ形状で直径5〜20[mm]、長さ約300[mm]であり、弾性層2aを導体2bの上に形成してある。感光体ドラムは直径30〜80[mm]、長さ約300[mm]であり、感光層1aを導体1b上に形成してある。帯電部材は回転する感光体ドラムに対して接触し、従動回転する。帯電部材の弾性層は、抵抗率が107〜109[Ω・cm]の材料から構成される。また、帯電部材の表面(弾性層の表面)には、膜厚が10〜20[μmm]程度の表面保護層が形成されている場合もある。帯電部材には、電源9によって電圧を印加し、感光体の帯電を行う。印加電圧は、直流で−1.5〜−2.0[kV]である。このような構成により、接触帯電装置では感光体を−500〜−800[V]に均一に帯電することができる。
【0095】
本発明の画像形成装置の帯電手段としては、上記のいずれの帯電装置も用いることができる。
【0096】
電子写真プロセスを用いる画像形成装置での光書き込み手段は、いわゆるLD(レーザーダイオード)を出力画像に対応させて光変調を行う。このLDから発光されたレーザー光は、いわゆるコリメートレンズ、アパーチャー、シリンドリカルレンズ、ポリゴンミラー、f−θレンズを介して、感光体上に結像するようになっている。ポリゴンミラーは、回転する多面鏡であり、この回転によってレーザー光が感光体上を走査するようになっている。このため、感光体を露光して、所望の画像に対応する静電潜像を感光体上に形成することができる。
【0097】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
【0098】
実施例1
実施例1の画像形成装置を、図4を用いて説明する。
(1)感光体ドラム1は導体(アルミニウム等)の表面に、下記記載の感光体が形成され、図4中の矢印方向に回転する。感光体ドラムの直径は60mmであり、周速は230mm/secである。
【0099】
(2)帯電手段2は、いわゆる接触ローラ帯電装置であり、芯金上にいわゆる中抵抗の導電性をもつ弾性層(厚み3mm)が形成された構成の帯電ローラに、電源によって直流電圧(−1.21kV)を印加し、感光体を均一(−550V)に帯電する。
【0100】
(3)光書き込み手段3は、帯電手段2で均一に帯電された感光体の表面に、目的の画像に対応した光を照射することによって、静電潜像を形成する。光書き込み手段3の光源はレーザーダイオードであり、ポリゴンミラーによって、感光体上をレーザービームで照射しながら走査していく。いわゆるビーム径は主走査方向35μm、副走査方向35μmである。(下記で詳しく説明する。)
【0101】
(4)現像手段4は、いわゆる2成分現像装置であり、トナー(体積平均粒径6.8μm)とキャリア(粒径50μm)をトナー濃度5.0%に混合した現像剤が現像容器内には収納されている。現像装置では、この現像剤を現像スリーブによって、感光体−現像スリーブ対向部へと搬送する。感光体−現像スリーブ間の距離(いわゆる現像ギャップ)は0.3mmである。現像スリーブには電源により直流電圧(−400V)が印加されているため、感光体上の静電潜像の対応してトナーが感光体上に付着する(いわゆる反転現像)。また、現像スリーブの周速は460mm/secである。(いわゆる周速比は2.0である。)
【0102】
(5)転写手段5は、現像手段4で現像されたトナー像を不図示の給紙手段から搬送された記録シート6上に転写する。実施例1の転写手段5は転写ベルトと電源とからなり、電源から転写ベルトに電圧を印加する。印加する電圧は定電流制御とし、30μAである。
【0103】
(6)クリーニング手段7は弾性体から形成されるブレードによって構成され、感光体上の残留トナー像(いわゆる転写残トナー)のクリーニングを行う。
【0104】
(7)転写手段5によっての記録シート6(紙等)上に転写されたトナー像は、定着手段8に搬送され、定着手段8で加熱加圧することによって、トナー像が記録紙シート6上に定着され、画像形成装置機外へと排出され、出力画像となる。
実施例1においても、上述の(1)〜(7)の工程を繰り返すことによって、所望の画像を記録シート上に形成することが可能になる。
【0105】
図8は実施例1の書き込みユニットである。実施例1では、波長780nmの4つのLD(レーザーダイオード)をもつ4ch(4チャンネル)タイプのLDアレイ11を搭載している。LDからのレーザー光は、いわゆるコリメートレンズ12、NDフィルタ13、アパーチャー14、シリンドリカルレンズ15を介して、ポリゴンミラー16へと照射される。実施例1ではポリゴンミラー16は、6面タイプであり、2716.5rpmの回転数で回転している。ポリゴンミラー16で反射されたレーザー光は、折り返しミラー18、19、f−θレンズ17、20を介して、感光体上で結像するようになっている。実施例1では、レーザービームの感光上でのいわゆるビーム径は、35μm(主走査方向)×35μm(副走査方向)になるように調整されている。実施例1ではf−θレンズ17、20はプラスチックを成形加工したプラスチックレンズであり、いわゆるAC面によってレンズ形状の設計がなされており、この結果、35μm(主走査方向)×35μm(副走査方向)というきわめて細いビーム径を実現している。また、レーザー光はポリゴンミラー16が回転することによって、感光体上を走査する。実施例1では、解像度1200dpiの画像形成装置であり、1pixcelの大きさは、21.3μm×21.3μmである。実施例1では、1pixcelあたりを16.9nsecの時間で移動しながら、感光体にレーザービームを照射していく。このとき、いわゆる画素クロックは59.2MHzであり、59.2MHzの周波数でLDを光変調することを意味している。
【0106】
また、実施例1では、上述のようにレーザー光がポリゴンミラー16の回転によって、感光体上を走査するが、非画像領域にレーザー光が位置するときには、図8に図示された同期検知板22に、レーザー光が入射するようになっている。この同期検知板22は、レーザービームの入射によって基準信号が発生するような機構を有し、この基準信号に基づいて、画像書き出し位置のタイミング、いわゆる画素クロックを形成するクロック信号のリセットを行うようになっている。これにより、感光体上の所定の位置に、光変調をなされたレーザー光を入射することができるようになっている。
【0107】
また、実施例1は、1pixcelあたり4階調の階調表現が可能な、いわゆる4値書きこみを行うことができるように、LDのパルス幅を4段階で変化させてこのような多値書きこみを行っている。
【0108】
以下に実施例1で使用した感光体を示す。部はすべて重量部である。
<感光体仕様>
φ60mmのアルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、膜厚4.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0109】
<下引き層塗工液>
・二酸化チタン粉末 400部
・メラミン樹脂 65部
・アルキッド樹脂 120部
・2−ブタノン 400部
【0110】
<電荷発生層用塗工液>
・Y型オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
・ポリビニルブチラール(エスレックBM−2、積水化学製) 1.0部
・テトラヒドロフラン 50部
【0111】
【化1】
【0112】
上記で得られた感光体を用いて、先に示した実験機と同様なリコー製MF3570によりランニング評価を、及び先に示した実験機(リコー製MF4570を1200dpi2bit書き込みに改造したもの)を使用し画質評価を行った。評価の手順としては、最初に実験機により画像を出力し画質評価を行い、次にリコー製MF3570にて明部電位(VD=−600Vに設定)の測定及び1to2(1回のコピーで2枚出力)にてトータル2万枚の印刷を行った後の明部電位測定、再度実験機により画像を出力し画質評価を行った。なおビーム径は35μm、書き込み密度は1200dpi、中間調処理としては、いわゆる線数を200lpiの水準で出力した画像について画質評価を行った。また初期及び6万枚印刷後での感光体の膜厚差より摩耗量の評価に付いても行った。ビーム径はPHOTON社製ビームスキャン、感光体膜厚はフィッシャースコープ社製膜厚計でそれぞれ測定したものである。
【0113】
(画質評価方法)
画質評価は、画質の重要項目である階調性を測定するという方法で行った。階調性の評価は、線数を変えて中間調処理をほどこしたパッチ(17段)を出力し、このパッチの明度(L*)を測定する。中間調処理としては、いわゆる線数を200lpiの水準で画像を出力した。また、明度(L*)の測定には、分光濃度測色計(X−Rite社製938)を使用した。階調性の数値化は、入力(データ上の面積率)に対する、17段のパッチを測色してもとめた明度値の直線性から、いわゆるR^2(一次式近似での自己相関係数の2乗)を計算するという方法でおこなった。R^2の値は、上述の入力データと明度(L*)との関係が直線的ならば1.0に近い値(図10)になり、直線からずれるにしたがって小さな値(図11)になる。また、発明者らは自然画像等の高い階調性が要求される画像の主観的評価を行うことによって、R^2の値が0.98以上であることを優れた階調性の条件とした。また、R^2の値は、いわゆる低線数画像のほうが大きくなる傾向がある。しかしながら、線数が200lpi以下の場合には、いわゆるディザのテクスチャが認識できるようになってしまい、自然画像等においては不自然な印象をあたえる結果、画質劣化の要因となってしまう。このことから、発明者らは、中間調処理の線数を200lpi以上で階調性R^2の値0.98以上であれば高画質であると判断した。
【0114】
また、記録密度は文字・線画の画質に関係し、特にジャギー特性に効く。ジャギーが目立たなくなるのは、900dpi以上必要であり、高画質を達成するためには1200dpi以上が必要である。
【0115】
実施例2
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
【化2】
【0116】
実施例3
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
【化3】
【0117】
実施例4
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
【化4】
【0118】
実施例5
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
上記SX−005とビスフェノールZポリカーボネートを200〜250゜C、5分の条件で溶融混練し、さらにペレット化し樹脂とした。これと下記に示す電荷輸送物質をテトラヒドロフラン中に溶解し、電荷輸送層塗工液を作製した。
【化5】
【0119】
比較例1
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
【化6】
【0120】
比較例2
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
【化7】
【0121】
比較例3
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
【化8】
【0122】
比較例4
実施例1において、感光体の電荷輸送層用塗工液を下記の電荷輸送層塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
【化9】
【0123】
以上のようにして得られた実施例1〜5、比較例1〜4の画像形成装置につき実施例1に記載の方法にて評価した。評価結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
実施例6〜12、比較例5〜10
実施例1において、感光体の電荷輸送層膜厚、露光時の書き込みドット系、書き込み密度を表2のように変えたほかは実施例1と同様にして画像出力・画質評価を行った。なお、中間調処理としていわゆる線数を200lpi、240lpiの2水準で画像を出力した。画質評価結果を表3に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
実施例13
実施例1において、感光体仕様を下記のように変更した以外は、全て実施例1と同様にして画像形成装置を得た。
<感光体仕様>
φ60mmのアルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、膜厚4.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、15μmの電荷輸送層を形成した。
<下引き層塗工液>
・二酸化チタン粉末 400部
・メラミン樹脂 65部
・アルキッド樹脂 120部
・2−ブタノン 400部
【0129】
<電荷発生層用塗工液>
・Y型オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
・ポリビニルブチラール(エスレックBM−2、積水化学製) 1.0部
・テトラヒドロフラン 50部
【0130】
【化10】
【0131】
上記電荷輸送層上にさらに下記組成の保護層塗工液を用いて、スプレー塗工によって塗工し、全膜厚が5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。
【化11】
【0132】
実施例14
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化12】
【0133】
実施例15
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化13】
【0134】
実施例16
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化14】
【0135】
実施例17
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化15】
【0136】
実施例18
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化16】
【0137】
実施例19
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化17】
【0138】
比較例11
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化18】
【0139】
比較例12
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化19】
【0140】
比較例13
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化20】
【0141】
比較例14
実施例13において、感光体の保護層用塗工液を下記の保護層用塗工液に変更した以外は、すべて実施例13と同様にして画像形成装置を得た。
【化21】
【0142】
以上のようにして得られた実施例13〜19、比較例11〜14の画像形成装置につき実施例1と同様にして画質評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0143】
【表4】
【0144】
実施例20〜25、比較例15〜19
実施例14において、感光体の電荷輸送層膜厚、露光時の書き込みドット系、書き込み密度を表5のように変えたほかは実施例14と同様にして画像出力・画質評価を行った。なお、中間調処理としていわゆる線数を200lpi、240lpiの2水準で画像を出力した。画質評価結果を表6に示す。
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
表1、表4は、表面層中にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体を含有させた場合の、階調性(上述のR^2)を測定した結果である。この結果からからわかるように、本発明に示す化合物を含有させたことにより、電荷輸送層及び最表面層を合わせた膜厚を20μm以下とすることで、階調性の優れた画像を形成できることはもちろんのこと、耐摩耗性も向上しかつ階調性の劣化も極めて少ない画像を得ることが出来、画質の安定性も向上することが確認された。
【0148】
また、表3、表6は、ビーム径、OPC膜厚、書き込み密度の組み合わせにおける、階調性(上述のR^2)を測定した結果である。この結果からからわかるように、階調性の優れた画像を形成にするためには、ビーム径、OPC膜厚、書き込み密度・線数の特定の組み合わせで用いる必要があることがわかる。
【0149】
【発明の効果】
光書き込みの解像度が1200dpi以上である電子写真方式を用いた画像形成装置、及び/又は光書き込みが、入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて行われる電子写真方式を用いた画像形成装置において、光書き込み手段がビーム径35μm以下のレーザービーム光であり、かつ、感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けてなり、該感光体の最表面層にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されて、かつ該電荷輸送層および最表面層を合わせた膜厚が20μm以下である場合、階調性R^2の値が0.98以上を確保することができ、また耐摩耗性も良好かつ画質の劣化が少なく、安定な高画質な画像が得られることが明らかになった。
【0150】
さらに感光体の最表面層にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されて、さらに表面層がフィラー、分散剤及び電荷輸送物質、バインダー樹脂を含有した保護層であることを特徴とする感光体を用いた場合、残留電位の上昇が少ないとともに、画像ムラの発生や階調性の低下等の画質劣化を抑制し、スジ状の傷が発生することなく異常画像が発生を抑制することが可能となり、高耐久化と高画質化の両立を実現する画像形成装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる感光体の一例の断面図である。
【図2】本発明に用いる感光体の他の例の断面図である。
【図3】本発明に用いる感光体の他の例の断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置の一例の概略断面図である。
【図5】本発明の画像形成装置に用いられるワイヤを使用したコロナ帯電装置の一例の概略断面図である。
【図6】本発明の画像形成装置に用いられる鋸歯状電極を使用したコロナ帯電装置一例の概略断面図である。
【図7】図6の鋸歯状電極の概略断面図である。
【図8】本発明の画像形成装置に用いられる接触帯電装置の一例の概略断面図である。
【図9】実施例1で用いた光学ユニットの概略断面図である。
【図10】階調性がよい場合の入力データと明度(L*)の関係を示すグラフである。
【図11】階調性が悪い場合の入力データと明度(L*)の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
1a 感光層
1b 導体
2 帯電手段(帯電部材)
2a 弾性層
2b 導体
3 光書き込み手段
4 現像手段
5 転写手段
6 記録シート
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 電源
11 4chLD(レーザーダイオード)
12 コリメートレンズ
13 NDフィルタ
14 アパーチャ-
15 シリンドリカルレンズ
16 ポリゴンミラー
17 f−θレンズ1
18 折り返しミラー1
19 折り返しミラー2
20 f−θレンズ2
21 感光体面
22 同期検知板
31 導電性支持体
33 中間層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
Claims (8)
- 少なくとも、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段とを有し、光書き込みの解像度が1200dpi以上である電子写真方式を用いた画像形成装置において、
前記光書き込み手段がビーム径35μm以下のレーザービーム光であり、かつ、前記感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けてなり、該感光体の最表面層にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されて、かつ該電荷輸送層および最表面層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 少なくとも、感光体と、帯電手段と、感光体に対して光書き込みを行い静電潜像を形成する光書き込み手段と、入力画像に対して中間調処理をおこなう画像処理手段とを有し、前記書き込み手段によって光書き込みが、入力画像に対して200lpi以上の線数によって中間調処理を施された画像データに基づいて行われる電子写真方式を用いた画像形成装置において、
前記光書き込み手段がビーム径35μm以下のレーザービーム光であり、かつ、前記感光体が、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層及び電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けてなり、該感光体の最表面層にポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が含有されて、かつ該電荷輸送層および最表面層を合わせた膜厚が20μm以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト複合ゴム系共重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
- 前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体において、ポリオルガノシロキサン成分がその他の成分より多く含有されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体の平均一次粒径が、0.05μm〜5.0μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記ポリオルガノシロキサン成分を含むコア/シェル構造を有するグラフト共重合体が、バインダー樹脂とともに溶融混練された混練物として電子写真感光体の最表面層に含有されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記感光体の最表面層が、フィラーを含有する保護層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記保護層が少なくとも1種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
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