JP3808688B2 - 電子レンジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品の温度を非接触で検出する赤外線温度センサを備えた電子レンジに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来より電子レンジにおいては、マイクロ波発生装置たるマグネトロンにより加熱室内にマイクロ波を供給して食品を加熱し、このときに、食品の温度を赤外線温度センサにて非接触で検出するようにしている。
【0003】
この種電子レンジにおいて、御飯とかみそ汁などの食品を加熱する(あたためる)場合、例えば「あたため」スイッチを押すと、その電子レンジ側で一義的に調理仕上がり温度(加熱仕上がり温度)を自動的に設定した上で、マグネトロンを運転し、そして、赤外線温度センサで検出する温度がその設定調理設定温度を検出したときにこのマグネトロンの運転を停止するようにしている。
【0004】
ところで、上述の赤外線温度センサは、食品の表面温度を検出するのに好適するものであり、電子レンジにおいては普及度合いも大きい。この場合、上述のように、赤外線温度センサの検出温度が一義的な設定調理仕上がり温度となったときに加熱停止を行なうことは、食品全般的にはおおよそ良好なあたためが可能であるが、食品の種類個別にみた場合、若干の加熱不足や加熱過剰を来すこともあり、必ずにも最適なあたため具合に加熱できるとは限らないものであった。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、食品の種類を問わずに食品を最適な仕上がり状態に加熱することができる電子レンジを提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、食品が収容される加熱室と、
加熱室内にマイクロ波を供給して食品を加熱するマイクロ波発生装置と、
前記食品の温度を非接触で検出する赤外線温度センサと、
この赤外線温度センサによる検出温度から食品の初期温度上昇率を検出し、以後食品の温度上昇率を逐次検出し、この検出した温度上昇率が前記初期温度上昇率よりも所定レベル大きくなったときには、予め設定された調理仕上がり温度を低く変更し、この変更された調理仕上がり温度を加熱停止条件として設定し、この加熱停止条件を判断して該加熱停止条件に到達したときに前記マイクロ波発生装置の運転を停止する制御手段と
を備えて構成される。
【0007】
本願は、次の点に着目してなされたものである。すなわち、食品の温度を赤外線温度センサにて検出するものにおいて、その検出温度の上昇率をみると、ある程度精度の高い加熱停止条件を設定することができることが判った。
【0008】
しかして、請求項1の発明においては、制御手段が、赤外線温度センサによる検出温度から食品の初期温度上昇率を検出し、これ以降に検出した温度上昇率と比較することによって加熱停止条件を設定するから、食品の種類等に応じた精度の高い加熱停止条件を設定することができるようになり、そして、この加熱停止条件を判断して該加熱停止条件に到達したときに前記マイクロ波発生装置の運転を停止するから、食品の種類を問わずに、食品を過不足なく加熱できるようになる。
【0012】
特に、この請求項1の発明においては、ごはん類の食品の加熱に好適する。すなわち、ごはんをマイクロ波発生装置によってあたためる場合には、内部が先に温度上昇し表面部の温度上昇は遅れることが判った。そして、内部がかなり温度上昇すると表面部の温度上昇率が初期の温度上昇率よりもかなり大きくなる。従って、食品の温度上昇率が初期の温度上昇率より大きくなったときには、比較的早めに加熱を停止した方が良い。
【0013】
しかるに上記請求項1の発明においては、食品の初期温度上昇率を検出し、以後食品の温度上昇率を逐次検出し、この検出した温度上昇率が前記初期温度上昇率よりも所定レベル大きくなったときには、予め設定された調理仕上がり温度を低く変更し、この変更された調理仕上がり温度を加熱停止条件として設定するから、検出した温度上昇率が前記初期温度上昇率よりも所定レベル大きくなったことをもって、食品がごはんであることが判り、そして、加熱停止条件としての調理仕上がり温度を低く変更することで、加熱を早めに停止することができて、食品が過熱状態になることを防止できるようになる。
【0020】
請求項2の発明は、食品が収容される加熱室と、
加熱室内にマイクロ波を供給して食品を加熱するマイクロ波発生装置と、
前記食品の温度を非接触で検出する赤外線温度センサと、
この赤外線温度センサによる検出温度から食品の初期温度上昇率を検出し、これ以降に、食品の温度が予め設定された設定調理仕上がり温度に達した時に温度上昇率を検出し、この温度上昇率が、前記初期温度上昇率未満で且つ所定比率を超えているときには、加熱停止条件として、この後の調理延長時間を設定し、この加熱停止条件を判断して該加熱停止条件に到達したときに前記マイクロ波発生装置の運転を停止する制御手段と
を備えてなるところに特徴を有する。
【0021】
例えば食品としてラップフィルムによってラップされたまま加熱されるものもある。このような食品をマイクロ波加熱すると、食品が温度上昇して水蒸気がフィルム内面に水滴となって付着する。すると、この水滴が温度上昇し、この水滴温度が赤外線温度センサにて検出され、食品の温度が予め設定された設定調理仕上がり温度に達した時ににおいて、温度上昇率が初期温度上昇率未満で且つ所定比率を超えている特性を示し、そして、食品内部は、設定された設定調理仕上がり温度に至っていないことが判った。従って、ラップフィルムにてラップされた食品は設定された調理仕上がり温度に達してもさらに加熱した方が良いことも判った。
【0022】
しかるに、上記請求項2の発明においては、食品の温度が予め設定された設定調理仕上がり温度に達した時における温度上昇率が、初期温度上昇率未満で且つ所定比率を超えていることをもってラップされた食品であることを判別でき、そして、このときには、加熱停止条件として、この後の調理延長時間を設定するようになっているから、加熱不足をなくすことができるようになる。
【0023】
この場合、加熱停止条件である調理延長時間は、初期温度上昇率と設定調理仕上がり温度状態での温度上昇率が近いほど長くなるように設定すると良い(請求項3の発明)。このようにすると、さらに加熱不足をなくすことができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例につき図1ないし図10を参照しながら説明する。図2において、電子レンジの本体1は外箱2と内箱3とから構成され、内箱3の内部は加熱室4とされている。この加熱室4の底部には、モータ5により回転される回転網6が設けられており、この回転網6には回転皿7が着脱可能に配置されている。また加熱室4には、マイクロ波発生装置たるマグネトロン8からのマイクロ波が供給されるようになっている。さらに、内箱3の側板外側上部には、センサ口3aが形成されており、このセンサ口3aに対応する部位に、赤外線温度センサ9が配設されている。この赤外線温度センサ9は、図4に示すように、ケース9g内に複数例えば6個の赤外線温度検出素子9a〜9fを備えていると共に、このケース9gの開口部にレンズ9hを備えて構成されている。この赤外線温度検出素子9a〜9fは、図7に示すように、回転皿7の中心部から半径方向の領域を複数に区分して検出するものであり、赤外線温度検出素子9a〜9fの検出視野を符号S1〜S6で示している。
【0025】
また、本体1の前面には、加熱室4を開・閉する扉10が設けられていると共に、この扉10の横に操作パネル11が設けられている。この操作パネル11には、図5に示すように、あたためスイッチ12aや、スタートスイッチ12bあるいは取り消しスイッチ12cを含むスイッチ群12が設けられていると共に、表示部11aが設けられている。なお、図3においてモータ5部分には回転網6及び回転皿7の回転初期位置を検出するためのホトインタラプタ13が設けられている。
【0026】
次に図6において電気的構成を説明する。制御回路14は、制御手段たるものであり、マイクロコンピュータ、メモリ及びA/D変換器、駆動回路を含んで構成されている。マイクロコンピュータには、加熱運転を制御するためのプログラムを有しており、スイッチ入力回路15からの入力や前記赤外線温度センサ9の各素子9a〜9fからの信号が与えられるようになっている。上記スイッチ入力回路15は前記スイッチ群12のいずれかのスイッチがオンされたときに該当するスイッチ信号を出力するものである。
【0027】
そして、制御回路14は上記プログラムに従って、モータ5及びマグネトロン8を駆動制御するようになっており、この制御回路14は温度分布検出手段としても機能するようになっている。この温度分布検出手段としての機能について述べる。すなわち、モータ5は一定回転速度で回転し得る構成となっており、制御回路14では、モータ5が1回転する時間を記憶しており、また、1/16回転する時間も記憶している。そして、図7に示すように、回転皿7が1/16回転するごとに、すなわち1/16回転角度位置に達するごとに(各回転角度位置に符号D1〜D16を付している)、赤外線温度センサ9の各素子9a〜9fからの検出温度を読み込んで、1回転分の検出温度データを記憶する。このとき食品がある程度加熱されると、食品と回転皿7とに温度差が出るから、食品の大きさを判定できると共に、この食品における温度分布を検出することができる。
【0028】
さらに、制御回路14は、この食品における温度上昇変化率を検出する手段としても機能する。この温度上昇変化率は、食品の特定部位(これは特定の検出素子と特定回転角度位置で定まる)の1回転ごとの温度を読み込んで温度上昇率を検出する。この場合、食品の温度分布から最も温度が高い部分がわかるから、この部分の温度上昇率を検出するようにしている。
【0029】
さて、上記制御回路14の制御機能を作用と共に説明する。あたためスイッチ12aがオン操作されると、図1に示すフローチャートが実行される。ステップQ1においては、初期設定をする。この場合、とりあえず一義的に調理仕上がり温度Ts(例えば75℃)を設定すると共に、パラメーターF1、F2を「0」とする。そして、ステップQ2では、モータ5及びマグネトロン8の運転を開始し(通電駆動し)、さらに、赤外線温度センサ9の各素子9a〜9fから検出温度の読込みを開始する。
【0030】
ステップQ3では、前述した食品の温度分布検出を開始する。これにより、食品における最低温度Tmaxとその該当部位、及び最低温度Tminとその該当部位が検出される。またこのとき、平均温度Taveも算出している。そして、ステップQ4では、上記最高温度Tmaxが第1の基準温度である例えば40℃に達したときに該最高温度Tmaxの該当部位の初期温度上昇率A(0)を検出する。この場合、回転皿7の1回転で最高温度Tmaxが1つ検出されるものであり、この最高温度Tmaxを3回検出し、この3回の検出データの近傍をとおる直線を求め、その傾きから初期温度上昇率A(0)を求める。
【0031】
次のステップQ5では、上記初期温度上昇率A(0)から、最長限度時間ST3を加熱停止条件として設定する。すなわち、初期温度上昇率A(0)から、運転開始から調理仕上がり温度Tsに到達するまでの時間ST3(0)を予測する(図8参照)。つまり、制御回路14のメモリには、初期温度上昇率A(0)と、調理仕上がり温度Tsと、この温度TSに到達する時間ST3(0)との関係を予測データとして予め記憶しており、この予測データに基づいて、時間ST3(0)を予測し、この時間ST3(0)を1.5倍する。もって、予測された時間ST3(0)を超えるように、最長限度時間ST3を設定する。
【0032】
ST3=ST3(0)×1.5
なお、この「1.5倍」は、一般的な食品がすべて確実にあたためられることを補償する値であるが、特にこの値に限定されるものではない。そして、この時間ST3について時間カウントを開始する。
【0033】
次にステップQ6においては、食品の最低温度Tminが設定調理仕上がり温度Tsより低く設定された第1の下限補償温度Tk1(例えば50℃)以上であるか否かを判断し、ステップQ7においては、食品の平均温度Taveが設定調理仕上がり温度Tsより低く設定された第2の下限補償温度Tk2(例えば57℃)以上であるか否かを判断する。つまり、食品の最低温度Tmin、平均温度Taveがそれぞれ第1の下限補償温度Tk1、第2の下限補償温度Tk2以上となったことを条件に以降の制御へすすむものである。
【0034】
ステップQ8では、最長限度時間ST3に達したか否かを判断し、達していなければ、ステップQ9に移行して、食品の最高温度Tmaxが調理仕上がり温度Tsより低く設定された所定温度T3(例えば65℃)に達したか否かを判断し、達していれば、ステップQ10に移行して、パラメーターF2が「1」であるか否かを判断し、この場合「0」であるので、ステップQ11に移行する。このステップQ11では、食品の最高温度Tmaxの温度上昇率A(n)を逐次検出し、今回の温度上昇率A(n)が前回の温度上昇率A(n−1)の「3/4」以下に減少している時には、ステップQ12に移行して、その時の食品の温度(最高温度Tmax)と温度上昇率A(n)とにより加熱停止条件として加熱終了時間ST2を設定すると共に、パラメーターF2を「1」とし、そしてこの加熱終了時間ST2について時間カウントを開始する。
【0035】
この後、ステップQ10に戻り、このときパラメーターF2が「1」であるから、このステップQ10の「YES」に従って、ステップQ13に移行して上記加熱終了時間ST2に達したか否かを判断し、達していなければステップQ14に移行する。
【0036】
上記ステップQ9、ステップQ11及びステップQ12の趣旨は次にある。すなわち、食品として、例えば皿に収容されたスープとかシチューのようなものの場合、マイクロ波加熱されると、皿内の食品が温度上昇につれて、水蒸気の発生量も多くなる。そして、ある温度(予め設定された調理仕上がり温度Tsより低い所定温度T3)となった後においては、赤外線温度センサ9は冷えた水蒸気の温度を検出するようになることが判った。さらに、上記所定温度T3を超えてからの検出温度の温度上昇率A(n)を繰り返しみたとき、今回の温度上昇率A(n)が前回の温度上昇率A(n−1)よりもかなり減少することが判った。さらに、この時点以後の加熱終了時間ST2つまり加熱停止条件は、この時点での温度と温度上昇率とに応じて設定することが好ましいことが判った。
【0037】
そこで、このステップQ9、ステップQ11及びステップQ12により、食品が水蒸気発生の多い例えばスープ類であることを判別し、そして、このスープ類に最適な加熱停止条件として加熱終了時間ST2を設定するものである。なお、加熱終了時間ST2は、ステップQ11が「YES」と判断されたときの食品温度が低いほど、及び温度上昇率が低いほど調理終了時間ST2を長くすると良い。
【0038】
なお、上記ステップQ11での判断が「NO」であるときには、ステップQ14に移行して、食品の最高温度Tmaxが調理仕上がり温度Ts(75℃)に達したか否かを判断する。達すれば、ステップQ15に移行して、この時点での温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)以上であるか、または温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)に対して所定比率(この場合0.6倍)以下に低下しているか、のいずれかであるか否かを判断する。そのいずれかであるときには、ステップQ16に移行してマグネトロン8の運転を停止する。つまり、ステップQ15での「調理仕上がり温度Tsでの温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)以上である」ことは加熱停止条件たるものであり、また、同じくステップQ15での「調理仕上がり温度Tsでの温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)に対して所定比率以下に低下している」ことも加熱停止条件たるものである。
【0039】
また、上記ステップQ15で「NO」と判断されたとき、すなわち、温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)未満であって初期温度上昇率A(0)に対して所定比率を超えるときには、ステップQ17に移行し、加熱停止条件として、調理延長時間ST1を設定し、また、パラメーターF1を「1」に設定し、さらに時間カウントを開始する。そして、ステップQ18に移行し、パラメーターF1が「1」であるか否かを判断し、「1」であれば、つまり調理延長時間ST1が設定されていれば、ステップQ18に移行し、この調理延長時間ST1に達したか否かを判断する。達していなければ、ステップQ8に戻り、達していれば、ステップQ16に移行してマグネトロン8の運転を停止する。上記調理延長時間ST1は、ステップQ2の運転開始から現時点までの時間STjを1.3倍して設定している。
【0040】
つまり、ST1=STj×1.3
そして、この場合、調理延長時間ST1は、初期温度上昇率A(0)と設定調理仕上がり温度Ts状態での温度上昇率A(n)が近いほど長くなるように設定すると良い。このようにすると、さらに加熱不足をなくすことができるようになる。
【0041】
上記ステップQ14〜ステップQ19を設けた趣旨は次にある。すなわち、食品が調理仕上がり温度Taに達すると、一応の仕上がりが期待できるが、食品がごはん類の場合には、既に内部がかなり温度上昇していることがあるから、速やかに加熱停止した方が良いことがある。そして、この場合、温度上昇率A(n)が図10の特性線W1で示すように初期温度上昇率A(0)以上となる現象を示し、この現象をもって食品がごはん類であることを判定可能である。
【0042】
しかるに、ステップQ14、ステップQ15では、食品の温度が予め設定された調理仕上がり温度Tsに達した時に温度上昇率A(n)を検出し、この温度上昇率温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)以上であることを加熱停止条件として設定するようになっているから、食品がごはん類であることを判別可能で、そして、直ちに加熱を停止することができる。
【0043】
さらには、食品がお椀に収容されたみそ汁などの汁物の場合には、マイクロ波加熱されると、内部よりも表面部分が早く温度上昇する傾向にあり、これに伴い、初期温度上昇率A(0)が大きく、食品の温度が予め設定された調理仕上がり温度Tsに達した時においては温度上昇率A(n)が低くなるものである(図10の特性線W2参照)。そしてこの汁物の場合には、設定された調理仕上がり温度Tsに達したときには加熱を停止した方が良いものである。
【0044】
しかるに前述したステップQ14、ステップQ15においては、食品の温度が予め設定された調理仕上がり温度Tsに達した時においてこのときの温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)に対して所定比率以下に低下していることをもって、食品が汁物であることを判別することができ、そして、直ちに加熱を停止できるものである。
【0045】
さらに、食品としてラップフィルムによってラップされたまま加熱されるものもある。このような食品をマグネトロン8にて加熱すると、食品が温度上昇して水蒸気がフィルム内面に水滴となって付着する。すると、この水滴が温度上昇し、この水滴温度が赤外線温度センサ9にて検出され、食品の温度が予め設定された設定調理仕上がり温度Tsに達した時において、そのときの温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)未満で且つ所定比率を超えている特性を示し(図10の特性線W3参照)、そして、食品内部は、実際には、設定された設定調理仕上がり温度Tsに至っていないものである。従って、ラップフィルムにてラップされた食品は設定された調理仕上がり温度Tsに達してもさらに加熱した方が良い。
【0046】
しかるに、前記ステップQ14〜ステップQ19では、食品の温度が予め設定された設定調理仕上がり温度Tsに達した時における温度上昇率A(n)が、初期温度上昇率A(0)未満で且つ所定比率を超えていることをもってラップされた食品であることを判別でき、そして、このときには、加熱停止条件として、この後の調理延長時間ST1を設定するようになっているから、ラップされた食品であっても加熱不足をなくすことができるようになる。この場合、調理延長時間ST1は、初期温度上昇率A(0)と設定調理仕上がり温度Ts状態での温度上昇率A(n)が近いほど長くなるように設定すると良い。このようにすると、さらに加熱不足をなくすことができる。
【0047】
なお、温度上昇率A(0)、A(n)を検出するのに、食品が示す最高温度Tmaxを用いるのは、食品の温度上昇率が顕著に現れること、及び最高温度が蒸気に敏感に影響されることを考慮している。
【0048】
上述した本実施例によれば、赤外線温度センサ9による検出温度の温度上昇率A(0)やA(n)を検出し、これに基づいて加熱停止条件を設定するから、食品の種類等に応じた精度の高い加熱停止条件を設定することができ、そして、この加熱停止条件を判断して該加熱停止条件に到達したときにマグネトロン8の運転を停止するから、食品を過不足なく加熱できる。
【0049】
また、本実施例によれば、赤外線温度センサ9として回転皿7の中心部から半径方向の領域を複数に区分して検出する複数の赤外線温度検出素子9a〜9fを有する構成とし、回転皿7を1回転する間の異なる回転角度位置で各赤外線温度検出素子9a〜9fから検出温度を読み込んで食品の温度分布を検出するようにしたから、食品における最低温度Tminや、最高温度Tmaxを知ることができ、食品をさらに良好に過不足なく加熱できる。
【0050】
さらにまた、本実施例によれば、食品温度分布の最低温度Tminが設定調理仕上がり温度Tsより低く設定された下限補償温度Tk1以上であることを条件に、加熱停止条件を判断するようにしたから、食品の一部が加熱不足となるまま加熱停止となるようなことがない。
【0051】
また本実施例によれば、食品の平均温度Taveが予め設定された調理仕上がり温度Tsより低く設定された下限補償温Tk2以上であることを条件に、加熱停止条件を判断するようにしたから、これによっても、食品の加熱不足をなくすことができる。
【0052】
さらに、食品の温度が予め設定された調理仕上がり温度Tsに達した時に温度上昇率A(n)を検出し、この温度上昇率A(n)が前記初期温度上昇率A(0)以上であることを加熱停止条件として設定したから、食品がごはん類であることを判別することができると共に、しかも直ちにマグネトロン8の運転を停止されることとなり、食品であるごはん類が過熱状態になることを防止できる。
【0053】
また、食品の温度が予め設定された調理仕上がり温度Tsに達した時に温度上昇率A(n)を検出し、この温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)に対して所定比率以下に低下していることを加熱停止条件として設定するようにしたから、食品が汁物類であることを判別することができると共に、直ちにマグネトロン8の運転が停止されることとなり、汁物類の食品が過熱状態になることを防止できる。
【0054】
さらに、食品の温度が予め設定された設定調理仕上がり温度Tsに達した時に温度上昇率A(n)を検出し、この温度上昇率A(n)が、初期温度上昇率A(0)未満で且つ所定比率を超えていることをもって、食品がラップフィルムにてラップされた食品であることを判別することができ、そして、加熱停止条件として、この後の調理延長時間ST1を設定するようにしたから、加熱不足をなくすことができる。
【0055】
また、本実施例によれば、食品の温度が予め設定された調理仕上がり温度Tsより低い所定温度(65℃)状態以後、温度上昇率A(n)を逐次検出し、今回の温度上昇率A(n)が前回の温度上昇率A(n−1)よりも減少することをもって、食品が皿に収容されたスープとかシチューのようなものであることを判別でき、そして、その時の温度と温度上昇率A(n)とにより加熱停止条件として加熱終了時間ST2を設定するようにしたから、この種の食品を過不足なく加熱できる。
【0056】
さらにまた、本実施例によれば、食品の初期温度上昇率A(0)を検出し、これに基づいて調理仕上がりまでの時間ST3(0)を予測し、この予測時間ST3(0)を超える時間、すなわち最長限度時間ST3を加熱停止条件として設定するようにしたから、この加熱停止条件とは別の加熱停止条件が満足されることがなくても(何らかの原因で加熱停止がなされなくても)、この最長限度時間ST3にて必ず加熱を停止することができて、食品の過熱防止を保証できる。
【0057】
次に図11は、本発明の第2の実施例を示しており、この実施例では、次の点が第1の実施例と異なる。すなわち、ステップR1ないしステップR7は第1の実施例におけるステップQ1ないしステップQ7と同じである。ステップR8においては、現時点での温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)よりも所定レベルAx大きくなったか否かを判断し、大きくなっていれば、ステップR9に移行して調理仕上がり温度TsをTx低くなるように変更する。この後、ステップR10に移行して、食品の最高温度Tmaxが調理仕上がり温度Ts(これはステップR1で設定された温度もしくはステップR9で変更された温度)に達したか否かを判断し、達すればステップR11に移行してマグネトロン8の運転を停止する。
【0058】
この第2の実施例は次の点に特徴がある。すなわち、ごはん類の食品の加熱に好適する。すなわち、ごはん類をマグネトロン8によってあたためる場合には、既述したように、内部が先に温度上昇し表面部の温度上昇は遅れるものである。そして、内部がかなり温度上昇する状態となると表面部での温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)よりもかなり大きくなっている。従って、食品の温度上昇率A(n)が初期温度上昇率A(0)より所定レベル大きくなったときには、比較的早めに加熱を停止した方が良い。
【0059】
しかるにこの第2の実施例によれば、食品の初期温度上昇率A(0)を検出し、以後食品の温度上昇率A(n)を逐次検出し、この検出した温度上昇率A(n)が前記初期温度上昇率A(0)よりも所定レベル大きくなったときには、予め設定された調理仕上がり温度Tsを低く変更し、この変更された調理仕上がり温度Tsを加熱停止条件として設定するから、検出した温度上昇率A(n)が前記初期温度上昇率A(0)よりも所定レベル大きくなったことをもって、食品がごはんであることが判り、そして、加熱停止条件としての調理仕上がり温度Tsを低く変更することで、加熱を早めに停止することができて、食品が過熱状態になることを防止できるようになる。
【0060】
なお、上記実施例にでは、赤外線温度センサとして回転皿の半径領域を複数に区分して検出する複数の赤外線温度検出素子を有する構成のものを例示したが、これは、複数の赤外線温度検出素子が回転皿の直径領域を複数に区分して検出する構成であっても良く、この場合、温度分布検出手段としては、回転皿1を1/2回転するうちに所定の回転角度位置ごとに食品の温度分布を検出するようにすると良い。
【0061】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、食品の種類を問わずに、食品を過不足なく加熱できるといった優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す制御内容のフローチャート
【図2】 電子レンジの斜視図
【図3】 電子レンジの縦断正面図
【図4】 赤外線温度センサの縦断側面図
【図5】 操作パネル部分の斜視図
【図6】 電気的構成のブロック図
【図7】 各赤外線検出素子の検出視野と温度分布検出の様子を説明するための回転皿部分の平面図
【図8】 食品温度変化の一例を示す図
【図9】 同別の例を示す図
【図10】 異なる種類の食品の温度変化を示す図
【図11】 本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
4は加熱室、7は回転皿、8はマグネトロン(マイクロ波発生装置)、9は赤外線温度センサ、9a〜9fは赤外線温度検出素子、14は制御回路(制御手段、温度分布検出手段)を示す。
Claims (3)
- 食品が収容される加熱室と、
加熱室内にマイクロ波を供給して食品を加熱するマイクロ波発生装置と、
前記食品の温度を非接触で検出する赤外線温度センサと、
この赤外線温度センサによる検出温度から食品の初期温度上昇率を検出し、以後食品の温度上昇率を逐次検出し、この検出した温度上昇率が前記初期温度上昇率よりも所定レベル大きくなったときには、予め設定された調理仕上がり温度を低く変更し、この変更された調理仕上がり温度を加熱停止条件として設定し、この加熱停止条件を判断して該加熱停止条件に到達したときに前記マイクロ波発生装置の運転を停止する制御手段と
を備えてなる電子レンジ。 - 食品が収容される加熱室と、
加熱室内にマイクロ波を供給して食品を加熱するマイクロ波発生装置と、
前記食品の温度を非接触で検出する赤外線温度センサと、
この赤外線温度センサによる検出温度から食品の初期温度上昇率を検出し、これ以降に、食品の温度が予め設定された設定調理仕上がり温度に達した時に温度上昇率を検出し、この温度上昇率が、前記初期温度上昇率未満で且つ所定比率を超えているときには、加熱停止条件として、この後の調理延長時間を設定し、この加熱停止条件を判断して該加熱停止条件に到達したときに前記マイクロ波発生装置の運転を停止する制御手段と
を備えてなる電子レンジ。 - 加熱停止条件である調理延長時間は、初期温度上昇率と設定調理仕上がり温度状態での温度上昇率が近いほど長くなるように設定されるようになっていることを特徴とする請求項2記載の電子レンジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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