JP3808004B2 - 物品保護用カバーフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚れおよび破損防止用として書籍、楽譜等の被着物品の表面に貼付する物品保護用カバーフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、物品を汚れや破損から守るために、その表面に保護用カバーフィルムを貼付することは公知である。物品としては、書籍、楽譜、地図等がある。特に図書館に並べられた書籍は、その利用者が多く、汚れや破損を受け易いので、これを防止するため、合成樹脂フィルム製のカバーフィルムが貼付されている。カバーフィルムは、その片面に粘着剤が塗布され、粘着剤を介して書籍に貼付される。カバーフィルムと粘着剤とは、種々の合成樹脂をベースに作られており、それら合成樹脂の中には、ポリ塩化ビニル等の燃焼時に環境を汚染する有害ガスを発生するものも含まれている。
【0003】
ところが、近年環境保全の要請からこのようなカバーフィルムにおいても無公害の合成樹脂が採用されている。無公害の合成樹脂としては、ポリプロピレン(以下PPという)、ポリエチレン(以下PEという)等のオレフィン系合成樹脂が挙げられる。しかし、このPPは、鉱物油系有機溶剤等によって軟化ないし膨潤するという欠点がある。なお、膨潤とは、固体が液体を吸収し、その構造、組織を変化することなく容積を増大することをいう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図7、8は、物品保護用カバーフィルム101を貼付した書籍100の斜視図と、この書籍のII−II線の拡大端面図とである。
【0005】
このカバーフィルム101は、図8に示すように積層PPフィルム102と、その片面に塗布した粘着剤103とから形成されている。このカバーフィルム101では、これを貼付した書籍100が2〜3ケ月経時するとカバーフィルム101に図7に示すようなシワ104が生ずる。このシワ104の発生は、以下のように考えられている。
【0006】
図8に示すように、前述した粘着剤103中に含まれている鉱物油系有機溶剤等によってPPフィルムが軟化ないし膨潤し、かつ揮発した鉱物油系有機溶剤等が、積層PPフィルム102と粘着剤103との間に閉じ込められて局所的に膨張して空隙105を作る。この閉じ込められ鉱物油系有機溶剤等の気体は、経時に伴い書籍100の紙中を透過して書籍の耳部分から大気中に放出される。気体が放出されると、その空隙105がしぼんでシワ104を形成する。
【0007】
本発明の目的は、粘着剤中に含まれている鉱物油がポリオレフィン系合成樹脂フィルムに移行することを防ぎ、ポリオレフィン系合成樹脂フィルムにシワが発生しない物品保護用カバーフィルムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリオレフィン系合成樹脂製フィルムと、前記合成樹脂製フィルムの片面に塗布された粘着剤層とから構成され、前記粘着剤層を介して前記合成樹脂製フィルムを被着物品の表面に貼付して使用する物品保護用カバーフィルムを前提としている。かかる前提において本発明の物品保護用カバーフィルムの特徴は、前記粘着剤層が、アクリル系樹脂を主成分とし、前記粘着剤層に含まれて前記合成樹脂製フィルムを軟化ないし膨潤させる物質の該合成樹脂製フィルムへの移行を遮断するバリア層が、前記合成樹脂製フィルムと前記粘着剤層との間に形成され、前記物質が、メチルエチルケトンとシクロヘキサンとのうちの少なくとも一方を含む鉱物油であることにある。
【0009】
本発明の実施態様の一例は、前記ポリオレフィン系合成樹脂製フィルムが、2層のホモポリプロピレンフィルムと1層のランダムポリプロピレンフィルムとからなる3層の積層フィルムであり、前記ランダムポリプロピレンフィルムが、前記2層のホモポリプロピレンフィルムどうしの間に介在していることである。
【0010】
【0011】
本発明の実施態様の他の一例は、前記バリア層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とする被膜であることである。
【0012】
本発明の実施態様の他の一例は、前記バリア層が、二軸延伸したポリエチレンテレフタレート製のフィルムであることである。
【0013】
本発明の実施態様の他の一例は、前記被着物品が、書籍であることである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を図面に示す実施の形態に基づいてさらに詳細に説明する。この実施の形態は、本発明の物品保護用カバーフィルムを書籍保護用に適用したものである。
【0015】
図1、2は、第1実施の形態の物品保護用カバーフィルム1を貼付した書籍10の斜視図と、書籍10のI−I線の拡大端面図とであり、図3、4は、この物品保護用カバーフィルム1の生産工程の概念図と、物品保護用カバーフィルム1を貼付した書籍10の貼付手順の概念図とである。
【0016】
第1実施の形態の物品保護用カバーフィルムは、従来の合成樹脂フィルムおよび粘着剤層のみからなるカバーフィルムに対し、これらの合成樹脂フィルムと粘着剤層との間にバリア層が介在している。
【0017】
第1実施の形態の物品保護用カバーフィルム1は、図1に示すように、書籍10の表紙11に貼付される。このカバーフィルム1は、図2に示すように書籍10を汚れや破損から保護する積層フィルム2と、積層フィルム2の片面に塗布された粘着剤層3と、積層フィルム2と粘着剤層3との間に形成され、粘着剤層3中の鉱物油成分が積層フィルム2に移行することを遮断するバリア層4とから形成されている。フィルム2は、粘着剤を介して表紙11に貼付される。
【0018】
積層フィルム2は、第1ホモPPフィルム5と第2ホモPPフィルム6との2層と、ランダムPPフィルム7の1層とからなる3層の積層フィルム2であり、ランダムPPフィルム7は第1、第2ホモPPフィルム5,6どうしの間に介在している。この積層フィルム2は、厚さ60〜100μmのものが主として使用されるが、用途に応じてはこれを超えることも可能であり、種々の厚さをとり得る。書籍用としては厚さ70〜90μmのものが主として使用さているが、必ずしもこれに限られるわけではなく、要求性能に応じて変更可能である。なお、ランダムPPフィルムとは、プロピレンとエチレンとがランダムに共重合している共重合ポリマーから成形したフィルムであり、ホモPPフィルムと比較して柔軟性が高い。
【0019】
これらホモPPフィルム5,6とランダムPPフィルム7とは、ポリオレフィン系合成樹脂に分類される。このポリオレフィン系合成樹脂は、可撓性を有する合成樹脂で、燃焼時に環境を汚染する有害ガスを発生しない。ただし、このPPは、鉱物油によって軟化ないし膨潤するという性質を有している。
【0020】
この積層フィルム2は、Tダイ(図3参照)からそれぞれのフィルムを同時に押出して積層体としたものである。ランダムPPフィルム7をホモPPフィルム5,6の間に介在させているのは、この積層フィルム2に柔軟性を付与するためである。また、この積層フィルム2は、光の反射率を低下させるために、その第1ホモPPフィルム5面に細かなエンボスを施したいわゆる梨地仕上げとしている。この梨地表面は、書籍表紙の表示内容の視認性を妨げない程度の梨地仕上げとなっている。
【0021】
このカバーフィルム1の外表面をなす第1ホモPPフィルム5には、抗菌性を付与するために商品名ゼオミックで知られる結晶性アルミノケイ酸塩に銀および亜鉛を結合した抗菌剤が混入されている。また、必要に応じて紫外線吸収剤を混入して耐候性を増すこともできる。
【0022】
粘着剤層3は、アクリル系樹脂を主成分とする感圧性接着剤から形成されている。アクリル系樹脂とは、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステルの総称である。粘着剤層3は、これらアクリル系樹脂の単独または複数を架橋剤、粘着付与剤等の添加物とともに溶媒に溶解して製造したペースト状の混合物であり、これを塗布機(図3参照)により積層フィルム2に塗布して形成される。これらのアクリル系樹脂を溶解するための溶媒としては、アルカノール、メチルエチルケトン、エーテル、シクロヘキサン等の鉱物油の有機溶剤からなる混合物が用いられる。ところで、ポリオレフィン系合成樹脂は、これら鉱物油に侵蝕されてしまう性質があり、ポリオレフィン系合成樹脂の一種であるPPフィルムは、これら鉱物油系有機溶剤、特にエーテル、シクロヘキサンに対して軟化ないし膨潤する。この粘着剤層3の主成分であるアクリル系樹脂は、燃焼時に環境を汚染する有害ガスを発生しない。
【0023】
バリア層4は、積層フィルム2の粘着剤層3を設ける側の面に塗布することにより粘着剤層3中の鉱物油成分が積層フィルム2に移行することを遮断する。このバリア層4は、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とする被膜であり、この被膜にはさらに粘着剤層3が塗布される。バリア層4のエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂は、高い気体遮断性、耐油性および透明性を有する。このため、粘着剤層3中から揮発する鉱物油系有機溶剤の気体は、このバリア層4で確実に遮断されて積層フィルム2の第2ホモPPフィルム6への移行がない。バリア層4の主成分であるエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂は、炭素、酸素、水素の各原子のみからなるので、燃焼時に環境を汚染する有害ガスを発生しない。
【0024】
物品保護用カバーフィルム1の製造方法を図3に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0025】
カバーフィルム1の製造方法は、図3に示すように積層フィルム2を製造する第1工程、積層フィルム2にバリア層4を形成する第2工程、バリア層4を形成した積層フィルム2にさらに粘着剤層3を形成する第3工程からなる。
【0026】
第1工程においては、それぞれの押出し機(図示せず)で混練された各樹脂は、上段の第1ホモPPフィルムダイと中段のランダムPPフィルムダイと下段の第2ホモPPフィルムダイとが3段に重なったTダイから、それぞれのフィルム5,6,7となって押出される。この押出された各フィルム5,6,7は軟化状態にある間に直ちに重ね合わされて熱溶着されて3層からなる積層フィルム2となる。この積層フィルム2は、エンボスロール(図示せず)により第1PPフィルム5面にエンボス加工が施されて梨地フィルムとされた後、搬送中に冷却されて第2工程に送られる。なお、このエンボス加工は用途によっては実施しない。
【0027】
第2工程では、積層フィルム2にコロナ処理が施される。コロナ処理は、接着性を改善するためにフィルムの接着面を活性化させる処理である。この処理で活性化された積層フィルム2は、その第2ホモPPフィルム6面にバリア剤が塗布されてバリア層4が形成される。バリア層4が十分に乾燥された後、積層フィルム2は第3工程に送られる。
【0028】
第3工程では、積層フィルム2のバリア層4面に粘着剤が塗布されて粘着剤層3が形成される。粘着剤層3が形成され積層フィルム2は、適度に乾燥された後、粘着剤層3面に離型紙8を介在させてロールに巻き取られる。このようにしてカバーフィルム1が製造される。
【0029】
ロールに巻き取られたカバーフィルム1は、このカバーフィルム1を被覆する対象物品に応じて適宜の寸法に切断されて使用される。
【0030】
このカバーフィルム1を書籍10に貼付する手順を図4で説明すると、以下の通りである。
【0031】
図4(1)に示すように書籍10をカバーフィルム1上に置き、書籍10の上下左右とも所定幅を折り返し分9として余分にとってカバーフィルム1をカットする。ついで、図4(2)に示すようにカバーフィルム1に貼付されている離型紙8を一部剥がし、所定幅Aの折り返し分9を残して書籍10の一部に貼る。ついで、図4(3)に示すようにカバーフィルム1を前記一部貼った箇所から定規で空気を押出すように貼って行く。書籍10の背部12は指で空気が入らないように貼り、裏面も定規で同様に貼って行く。ついで、図4(4)に示すようにカバーフィルム1の折り返し分9の角および背部12分を斜めにカットする。ついで、図4(5)に示すように折り返し分9を表紙11の内側に貼る。ついで、図4(6)に示すように背部12に余っているカバーフィルム1を背部12の縁に沿ってカットする。このようにして、カバーフィルム1で覆われた書籍10が完成する。
【0032】
図2に示す書籍10に貼付されたカバーフィルム1では、その粘着剤層3中から鉱物油系有機溶剤が揮発する。この揮発した有機溶剤の気体は、その一部は直接表紙11および書籍10の各ページ13,13…を通過して書籍10の耳部14(図1参照)から大気中に放出されるが、残部はバリア層4に向かって移動する。この移動する残部の気体は、バリア層4に達するとバリア層4で確実に遮断され、第2ホモPPフィルム6に達することはない。
【0033】
また、書籍10の表紙11に印字された活字および絵などからも印刷インキに起因する鉱物油系有機溶剤が揮発しており、この揮発した気体の一部も粘着剤層3を通過してバリア層4に達する。しかし、この気体もバリア層4で確実に遮断される。
【0034】
このようにして、前記ポリオレフィン系合成樹脂製である第2ホモPPフィルム6は、これを侵蝕する物質である鉱物油系有機溶剤の移行がバリア層4によって遮断される結果、積層フィルム2が鉱物油系有機溶剤に侵蝕されて軟化ないし膨潤することがなくなり、カバーフィルム1にシワが発生することがない。
【0035】
次に、本発明の第2実施の形態について説明する。
【0036】
図5は、書籍20に貼付した物品保護用カバーフィルム1の第2実施の形態の端面の拡大図である。
【0037】
第2実施の形態は、図5に示すように、表紙11に合成樹脂コートした表紙カバー21を装丁してある書籍20にカバーフィルム1を貼付したものである。その他の構成は、第1実施の形態と同様であるので相違部分のみを説明し、その他の説明は省略する。
【0038】
この合成樹脂コートした表紙カバー21は、その合成樹脂コート層がきわめて薄くかつ気体遮断性の被膜とはなっていないので、前記実施の形態と比較して表紙11の印刷インキに起因する有機溶剤の積層フィルム2への移行および粘着剤層3の有機溶剤の書籍20への移行は、それぞれ少なくなるとはいえ、それらは皆無ではなく依然として生ずる。また、積層フィルム2への印刷インキの有機溶剤の移行は減る一方、粘着剤層3の有機溶剤の移行は増えるので、これらは相殺され、これらのトータルの有機溶剤の積層フィルム2への移行は、第1の実施の形態の場合と変わらない。いずれにしてもこれらの有機溶剤の積層フィルム2への移行は、バリア層4で確実に遮断されるので、第1実施の形態と同様に積層フィルム2が鉱物油系有機溶剤に侵蝕されて軟化ないし膨潤することがなくなり、カバーフィルム1にシワが発生するという現象が回避される。
【0039】
次に、本発明の第3実施の形態について説明する。
【0040】
この第3実施の形態のカバーフィルム1は、図2に示す第1実施の形態のカバーフィルム1に対して、バリア層4の材質が異なっている。このように第3実施の形態のカバーフィルム1は、バリア層4の材質相違を除いては、その構成が第1実施の形態と同じであるので、図2を用いてその構成を説明する。
【0041】
この第3実施の形態のバリア層4は、二軸延伸したポリエチレンテレフタレート(以降PETと称する)製の極薄いフィルムからなっている。このため、このバリア層4は、塗布により形成した第1実施の形態のバリア層4とは異なり、このPETフィルムを積層フィルム2に接着剤でラミネートすることにより形成される。このPETフィルムは、二軸延伸により結晶化が進んでおり、非結晶のものに比べて透明性は若干低下しているが耐熱性が向上している。ただし、このPETフィルムは、極薄い厚さなので、バリア層4として用いても本の表紙の視認性を低下させることはないとともに、PETフィルムが材質的に積層フィルム2より高い硬さを有しているにもかかわらず実用上カバーフィルム1の硬さにはほとんど影響しない。また、このPETフィルムは、気体透過性が極めて低いとともに耐油性および耐候性に優れている。さらに、燃焼時に発熱量が低い(燃焼カロリー5500Kcal/kg)とともに有毒ガスを発生しない。なお、このPETフィルムは、厚さが5.0〜20.0μm範囲のものを用いることができる。厚さが5.0μm未満のPETフィルムは、このフィルム自体の製造および積層フィルム2へのラミネートが容易でなくコストアップを招き、実用性がない。厚さが20.0μmを越えるとPETフィルムの硬さの影響がカバーフィルム1に現れるので好ましくない。ただし、例えば窓ガラス貼付用など、カバーフィルム1を折り曲げることのない用途においては、厚さが20.0μmを越えても支障はない。
【0042】
このバリア層4をPETフィルムで構成するカバーフィルム1は、積層フィルム2に公知の二液硬化型の接着剤でPETフィルムをラミネートしてバリア層4を形成した後、バリア層4面に粘着剤が塗布されて粘着剤層3が形成される。このPETフィルムのラミネートは、ホットメルト接着剤で行なうこともできる。このようにPETフィルムのラミネートは、二液硬化型の接着剤あるいはホットメルト接着剤のような溶剤の揮発がほとんど伴わない接着剤を用いて行なわれる。これはPETフィルムが気体透過性をほとんど有していないため、溶剤を含む接着剤を用いると、このラミネートの際に、積層フィルム2とPETフィルムとの界面に溶剤の気泡が溜まってしまうからである。
【0043】
このカバーフィルム1を製造するその他の工程は、第1実施の形態と同じであるので、その説明は省略する。
【0044】
このバリア層4がPETフィルムで構成されたカバーフィルム1は、PETフィルムの気体透過性が極めて低いとともに耐油性および耐候性が優れているので、第1実施の形態のそれと同様に粘着剤層3中からのおよび印刷インキからの鉱物油系有機溶剤をバリア層4で確実に遮断し、該溶剤が第2ホモPPフィルム6に達することはない。また、このPETフィルムのバリア層4自体も、鉱物油系有機溶剤で膨潤することはない。この結果、本に貼付したカバーフィルム1にシワが発生することがない。さらに、このPETフィルムは紫外線を遮断するので、本の表紙を退色させることはない。したがって、耐候性を向上するために別途紫外線吸収材をカバーフィルム1に添加する必要がない。
【0045】
次に、本発明の第4実施の形態について説明する。
この第4実施の形態のカバーフィルム1は、図2に示す第1実施の形態のカバーフィルム1に対して、バリア層が異なっている。
【0046】
第4実施の形態のバリア層40は、図6に示すように、前述の第1実施の形態のバリア層を形成するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とする被膜からなる第1バリア層4aと、第3実施の形態のバリア層を形成するPETフィルムからなる第2バリア層4bとの二層から形成されている。その他の構成は第1実施の形態と同様である。
【0047】
第1バリア層4aは、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とするバリア剤が極薄く塗布されて形成されている。この第1バリア層4aが十分に乾燥された後、PETフィルムからなる第2バリア層4bを二液硬化型の接着剤あるいはホットメルト接着剤を用いて接着する。このバリア層4は、第3実施の形態のバリア層4に比べて第1バリア層4a分だけわずかに厚くなるが、PETフィルムからなる第2バリア層4bにピンホールがあっても、粘着剤層3からの溶剤を確実に遮蔽する。
【0048】
本発明は、これらの第1〜第4実施の形態に限られるわけではなく特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて種々の対応が可能である。以下にその対応を列挙する。
【0049】
ポリオレフィン系合成樹脂製フィルムとしては、積層フィルムのほか単層フィルムを用いることもできる。また、積層フィルムでも、前記積層フィルム2の構成に限らず、2層および4層以上のものでもよい。各層の材質は、ポリオレフィン系合成樹脂であれば特に制限はない。例えば、前記積層フィルムとしては、2層のホモPPフィルムと、これらの間に介在する1層の低密度PEフィルムからなる3層の積層フィルムとすることもできる。その他のポリオレフィン系合成樹脂としては、超低密度PE、中密度PE、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
【0050】
粘着剤は、前記アクリル系樹脂を主成分とする感圧性接着剤に限らず、鉱物油系有機溶剤を含有するとともに燃焼時に環境を汚染する有害ガスを発生しない種々の合成樹脂およびエラストマーを使用することができる。
【0051】
バリア層は、前記エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とする塗布被膜に限らず、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とするフィルムを前記積層フィルム2の粘着剤層側の面である第2ホモPPフィルム6に積層したものでも良い。すなわち、この場合カバーフィルム1は、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とするフィルムを、図3の第1工程で第2ホモPPフィルム6を押出すTダイの下にさらにエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂のフィルムを押出すために設けたTダイから押出し、これら4層のフィルムを一体化した積層フィルムを製造し、この積層フィルムのエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム面に粘着剤を塗布して形成される。この場合は、バリア層が塗布により形成されるのではないので、コロナ処理およびバリア層の乾燥処理が不要となり製造工程が簡易に成るとともにコストを低減することができる。
【0052】
なお、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムのバリア層が粘着剤の塗布面となってさえすれば、この積層フィルムの積層数および積層順序は問わない。
【0053】
また、このバリア層は、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂と同等の性質を有し、鉱物油系有機溶剤を確実に遮断するとともに燃焼時に環境を汚染する有害ガスを発生しない合成樹脂ならば種々のものが使用できる。
【0054】
カバーフィルム1は、書籍以外の種々の物品の保護用として利用することができる。例えば、楽譜、地図、大切なカード、レストランのメニューおよびポスターなどの保護に使用する事もできる。さらに、このカバーフィルム1は、窓ガラス保護用としても使用することができ、窓ガラスに貼付することにより窓ガラスの強度を高めるとともに窓ガラスの破損時にガラスが破片となって飛び散ることを防止することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明は、バリア層がカバーフィルムの粘着剤層中に含まれている鉱物油のポリオレフィン系合成樹脂フィルムへの移行を遮断するので、被着物品に接着するカバーフィルムにしわを発生させずに被着物品を汚れや破損から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施の形態の物品保護用カバーフィルムを貼付した書籍の斜視図。
【図2】 図1のI−I線の拡大端面図。
【図3】 物品保護用カバーフィルムの生産工程の概念図。
【図4】 物品保護用カバーフィルムを貼付した書籍の貼付手順の概念図。
【図5】 第2実施の形態の物品保護用カバーフィルムの拡大端面図。
【図6】 第4実施の形態の物品保護用カバーフィルムの拡大端面図。
【図7】 従来の物品保護用カバーフィルムを貼付した書籍の斜視図
【図8】 図7のII−II線の拡大端面図。
【符号の説明】
1 カバーフィルム
2 積層フィルム(合成樹脂製フィルム)
3 粘着剤層
4,40 バリア層
5 第1ホモポリプロピレンフィルム
6 第2ホモポリプロピレンフィルム
7 ランダムポリプロピレンフィルム
10,20 書籍(被着物品)
Claims (5)
- ポリオレフィン系合成樹脂製フィルムと、前記合成樹脂製フィルムの片面に塗布された粘着剤層とから構成され、前記粘着剤層を介して前記合成樹脂製フィルムを被着物品の表面に貼付して使用する物品保護用カバーフィルムにおいて、
前記粘着剤層が、アクリル系樹脂を主成分とし、前記粘着剤層に含まれて前記合成樹脂製フィルムを軟化ないし膨潤させる物質の該合成樹脂製フィルムへの移行を遮断するバリア層が、前記合成樹脂製フィルムと前記粘着剤層との間に形成され、前記物質が、メチルエチルケトンとシクロヘキサンとのうちの少なくとも一方を含む鉱物油であることを特徴とする前記カバーフィルム。 - 前記ポリオレフィン系合成樹脂製フィルムが、2層のホモポリプロピレンフィルムと1層のランダムポリプロピレンフィルムとからなる3層の積層フィルムであり、前記ランダムポリプロピレンフィルムが、前記2層のホモポリプロピレンフィルムどうしの間に介在している請求項1に記載のカバーフィルム。
- 前記バリア層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を主成分とする被膜からなる請求項1または請求項2に記載のカバーフィルム。
- 前記バリア層が、二軸延伸したポリエチレンテレフタレート製のフィルムからなる請求項1または請求項2に記載のカバーフィルム。
- 前記被着物品が、書籍である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のカバーフィルム。
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