JP3806458B2 - 熱媒体による低圧蒸気加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱媒体の蒸気によって被加熱物を加熱するものに関し、石油化学工業や合成繊維工業、あるいは、合成樹脂工業等の各種加熱工程に使用される熱媒体による蒸気加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱媒体による蒸気加熱装置の例としては、例えば図2に示すようなものが用いられていた。これは、熱媒体の蒸発器としての熱媒体用ボイラ―1で発生させた熱媒体蒸気を、熱交換器の一種である反応釜2に供給して反応釜2内の被加熱物を加熱し、加熱により凝縮した熱媒体蒸気の凝縮液をタンク3に流下させ、循環ポンプ4でボイラ―1へ回収するものである。
【0003】
熱媒体は様々な種類のものが市販され用いられているが、通常の水を沸騰させた水蒸気よりも、圧力が低くて温度が高いものが一般的であり、加熱装置を高耐圧力設計とすることなく、比較的高温で加熱することができるものであり、各種の加熱工程で多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の熱媒体による蒸気加熱装置を用いた場合、タンク内で熱媒体が空気と接触することによって酸化し変質する問題があった。また、気化した熱媒体が外部に漏れることにより、熱媒体の臭気が周辺に漂う問題があった。
【0005】
従って本発明の技術的課題は、不凝縮ガスによる熱交換性能の低下を生じることのない、熱媒体による低圧蒸気加熱装置を得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、熱交換器の一次側に熱媒体の蒸気供給管を接続し、熱交換器で凝縮した熱媒体を蒸発器等の回収先に回収するものにおいて、熱交換器の二次側にエゼクターとタンクと循環ポンプを有する真空ポンプを連設して、当該エゼクターと熱交換器を接続し、タンクを密閉状にすると共に、タンク内の液位の変化に伴うタンク内圧を吸収するサブタンクを上記タンクと接続して、当該サブタンクの内部に上下動可能にピストンを設け、当該ピストンの下部室内と上記タンク内とを窒素ガス等の不活性気体で充満させることにより、タンク内の液位が上昇すると、タンク上部の容積が変化し、当該変化に応じてサブタンク内のピストンが上昇することによって、タンク内圧力とピストン下部室の圧力をほぼ同等に保つものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
熱交換器の二次側にエゼクタ―とタンクと循環ポンプを有する真空ポンプを連設して、エゼクタ―と熱交換器を接続したことにより、エゼクタ―の吸引力によって熱交換器内を大気圧前後の低圧状態に維持することができ、低圧の熱媒体蒸気でもって被加熱物を加熱することができる。
【0008】
タンクにサブタンクを接続したことにより、タンクを密閉状としてもタンク内の液位の変化に伴う圧力変動をサブタンクで吸収することができる。従って、密閉タンク内の熱媒体は空気と接触することがないと共に、熱媒体の臭気が外部へ漏れ出ることもない。
【0009】
【実施例】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1参照)。
本実施例においては熱交換器として反応釜2を用いた例を示し、図2の従来技術と同一部材には同一符号を付す。
【0010】
蒸発器としての熱媒体用ボイラ―1を反応釜2のジャケット部6と接続すると共に、ジャケット部6の下部を真空ポンプ手段7と連設し、真空ポンプ手段7をタンク3と循環ポンプ4を介して熱媒体用ボイラ―1と接続して、熱媒体による低圧蒸気加熱装置を構成する。
【0011】
熱媒体用ボイラ―1と反応釜2を、圧力調整弁8と気液分離器9と圧力センサ―10を介した加熱用蒸気供給管11で接続する。圧力調整弁8は、圧力センサ―10で検出した加熱用蒸気供給管11内の蒸気圧力を所定値に調整するものであり、気液分離器9は加熱用蒸気供給管11内の熱媒体の蒸気と液体を分離し、分離した蒸気だけを反応釜2のジャケット部6へ供給し、液体をその下部に設けたスチ―ムトラップ12から排出するものである。気液分離器9としては、衝突式や遠心式やフィルタ―式等のものを用いることができる。
【0012】
反応釜2の外周に配置したジャケット部6の下部接続口13を、スチ―ムトラップ14とバイパスバルブ15を並行に設けた管路16で、真空ポンプ手段7のエゼクタ―20と接続する。また、気液分離器9のスチ―ムトラップ12の出口を、管路17を介してエゼクタ―20と接続する。
【0013】
真空ポンプ手段7は、エゼクタ―20とタンク21と循環ポンプ22、及び、接続管路23とで構成する。エゼクタ―20は、ノズル部25とディフュ―ザ部26で形成する。タンク21には、内部に溜った熱媒体27を冷却するための冷却管28を調節弁29を介して取り付けると共に、下部には熱媒体27の流体温度を検出するための温度センサ―30を取り付け、図示はしていないが温度センサ―30と調節弁29を温度コントロ―ラ―を介して接続して、熱媒体27の温度を所定値に維持できるようにする。
【0014】
タンク21の上部に接続管路31を介してサブタンク36を配置する。サブタンク36は、内部に上下動可能に円板状のピストン37を設けてピストン下部室38をタンク21内と連通する。ピストン下部室38内とタンク21内は窒素ガス等の不活性気体を充満させる。サブタンク36の上部は開口39により大気と連通させる。サブタンク36の下部には窒素ガス補給管40をバルブ41を介して接続する。
【0015】
真空ポンプ手段7は、循環ポンプ22でタンク21内の熱媒体27をエゼクタ―20中に循環させて、エゼクタ―20のノズル部25で吸引力を発生し、反応釜2のジャケット部6から熱媒体を吸引すると共に、ジャケット部6内を所定の圧力状態に維持するものである。
【0016】
真空ポンプ手段7の接続管路23の一部を分岐して管路32を接続し、循環熱媒体の一部が管路33からタンク3へ供給されるようにすると共に、更に管路35を接続して循環熱媒体の一部を加熱用蒸気供給管11中で気液分離器9の一次側に注入する。管路35により、圧力調整弁8で圧力調整された熱媒体蒸気が過熱蒸気となった場合でも、循環熱媒体の一部を注入して気液分離部9で熱交換させることにより、飽和温度蒸気とすることができるものである。
【0017】
次に作用を説明する。
熱媒体用ボイラ―1で発生した熱媒体蒸気は、圧力調整弁8を経て圧力調整されて反応釜2のジャケット部6に供給される。ジャケット部6内は、真空ポンプ手段7のエゼクタ―20の吸引力により予め所定の低圧状態となっており、ジャケット部6に供給された熱媒体蒸気は、所定の圧力すなわち蒸気温度となって反応釜2内の被加熱物を加熱する。加熱して熱を奪われた熱媒体蒸気は凝縮して液体となり、スチ―ムトラップ14を経てエゼクタ―20に吸引され、タンク21に至る。
【0018】
タンク21内の熱媒体27は、冷却管28で所定温度まで冷却されて循環ポンプ22でエゼクタ―20へ供給され、再度ジャケット部6内の熱媒体を吸引する。エゼクタ―20で生じる吸引力は、エゼクタ―20内を通過する流体の温度によって決まるために、タンク21内の熱媒体27の液温を適宜調節することにより、エゼクタ―20の吸引力すなわち減圧度合を制御することができる。エゼクタ―20の吸引力を制御することにより、ジャケット部6内の圧力状態を制御することができ、大気圧以下の負圧状態から、大気圧以上の正圧状態までジャケット部6内の圧力を制御することができる。
【0019】
タンク21内の熱媒体27の液位が上昇すると、タンク21上部の容積が変化し、その変化に応じてサブタンク36内のピストン37が上昇することによって、タンク21内の圧力とピストン下部室38の圧力をほぼ同等に保つ。ピストン下部室38とタンク21の上部には窒素ガス等の不活性気体を充満していることにより、熱媒体27が空気と接触することはない。
【0020】
熱媒体として例えば商品名でダウサムなるものを用いた場合、蒸気圧力を絶対圧で0.3キロとするとその蒸気温度は約210度Cとなり、1.1キロとすると約260度Cとすることができ、蒸気圧力を制御することによって、蒸気温度を制御することができるのである。
【0021】
本実施例においては、熱交換器として反応釜2を用いた例を示したが、その他の熱交換器、例えば合成繊維や合成樹脂、あるいは、食料品や医療品等の熱交換器としても用いることができるものである。
【0022】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、サブタンクを設けてタンクを密閉状としたことにより、熱媒体が空気と接触することを無くして熱媒体の酸化による変質を防止することができると共に、外部に熱媒体の臭気が漂うことも防止できる、熱媒体による低圧蒸気加熱装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱媒体による低圧蒸気加熱装置の実施例を示す構成図である。
【図2】従来の熱媒体による蒸気加熱装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 熱媒体用ボイラ―
2 反応釜
6 ジャケット部
7 真空ポンプ手段
20 エゼクタ―
21 タンク
22 循環ポンプ
31 接続管路
36 サブタンク
37 ピストン
38 ピストン下部室
Claims (1)
- 熱交換器の一次側に熱媒体の蒸気供給管を接続し、熱交換器で凝縮した熱媒体を蒸発器等の回収先に回収するものにおいて、熱交換器の二次側にエゼクターとタンクと循環ポンプを有する真空ポンプを連設して、当該エゼクターと熱交換器を接続し、タンクを密閉状にすると共に、タンク内の液位の変化に伴うタンク内圧を吸収するサブタンクを上記タンクと接続して、当該サブタンクの内部に上下動可能にピストンを設け、当該ピストンの下部室内と上記タンク内とを窒素ガス等の不活性気体で充満させることにより、タンク内の液位が上昇すると、タンク上部の容積が変化し、当該変化に応じてサブタンク内のピストンが上昇することによって、タンク内圧力とピストン下部室の圧力をほぼ同等に保つことを特徴とする熱媒体による低圧蒸気加熱装置。
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JP32219595A JP3806458B2 (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | 熱媒体による低圧蒸気加熱装置 |
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