JP3804938B2 - (メタ)アクリル酸(塩)系重合体及びその用途 - Google Patents

(メタ)アクリル酸(塩)系重合体及びその用途 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体及びその用途に関する。より詳しくは、(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を水性媒体中で重合してなり、凝集剤や調泥剤等の分野において好適に用いられる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、例えば、医薬用として湿布薬やパップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用されている。また、塗料用としては、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤として使用されている。製造プロセスにおいては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤と多用されている。土木・建築用としては掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤として使用されている。更に、その他一般工業用として吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤としても使用されている。このように(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は種々の分野で多岐にわたって使用されている。
【0003】
このような(メタ)アクリル酸(塩)系重合体について、特開2000−212222号公報には、30℃における固有粘度が特定の範囲内であり、かつ、イオン交換水に対する不溶解分が特定された部分中和(メタ)アクリル酸系重合体に関し、このような部分中和(メタ)アクリル酸系重合体が注型重合法により得られることが開示されている。また、特許第2555841号明細書には、中和度が50%以下の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体からなる粉末であって、水溶媒中で測定される酸価や(メチルアルコール溶媒中で測定される酸価)/(水溶媒中で測定される酸価)の比等が特定された(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末に関し、このような(メタ)アクリル酸(塩)系重合体が溶液重合法により得られることが開示されている。
【0004】
しかしながら、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、種々の分野で多岐にわたって使用され、優れた性能を発揮することが要求されることから、凝集剤や調泥剤等としての性能をより向上させることにより、多くの分野においてより好適に用いることができるものとする工夫の余地があった。これらの製造方法による技術では、重量平均分子量が充分に大きく、かつ分散度が小さいという特性をもつ重合体は得られていなかった。
上記の凝集剤や調泥剤としての性能は、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体が示す物性としては、例えば凝集力や増粘性という物性で表される。よって、これらの物性がさらに良好な(メタ)アクリル酸(塩)系重合体が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、凝集剤や調泥剤等としての性能が向上され、多く分野において好適に用いることができる工業的に有用な(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体に係る発明は、重合体の重量平均分子量(Mw)と分散度{重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)}とが凝集剤としての性能に関係することに着目し、重量平均分子量(Mw)が大きく且つ分散度(Mw/Mn)が小さいものとし、これらの(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の特性を特定することにより、上記した凝集力や増粘性等の物性が向上し、多く分野において好適に用いることができる工業的に有用なものとすることができ、特に凝集剤としての作用効果が優れたものとなることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到したものである。また、一般的に重量平均分子量(Mw)が大きく且つ分散度(Mw/Mn)が小さい(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を得るのは困難であり、通常では、重量平均分子量(Mw)が大きくなれば分散度(Mw/Mn)も大きくなる。すなわち従来の製法では工業的に本発明のような重量平均分子量(Mw)が充分に大きいにも係わらず、分散度(Mw/Mn)が小さい重合体を得ることは困難であったが、例えば、アクリル酸(塩)系単量体を60モル%以上含む単量体成分を光重合してなる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体においては、特に凝集剤としての性能が向上され、多く分野において好適に用いることができるように重量平均分子量(Mw)が充分に大きく且つ分散度(Mw/Mn)が充分に小さいものとなることも見いだし、本発明に到達したものである。なお、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー;Gel Permeation Chromatography)のスタンダード物質は、分散度(Mw/Mn)が通常5未満であるが、分画により製造していると思われ、GPCスタンダード物質を工業的規模で大量に製造することはできないことから、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、工業的に製造可能なものとして有用である。
また、本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体で、当該重量平均分子量(Mw)と分散度(Mw/Mn)の関係を満たす限りは、上記の凝集力や増粘性で示される物性は向上する。また、当該重合体が保有する粘着性、保水性等の他の物性も改良されるので凝集剤や調泥剤に限らず本明細書で記載した各種用途に好ましく適応させることができるのである。
【0007】
すなわち本発明は、(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を重合して得られる重合体であって、重量平均分子量が60万以上で且つ分散度が5〜60である(メタ)アクリル酸(塩)系重合体である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)を主成分とする単量体を重合して得られる重合体である限り、(メタ)アクリル酸(塩)により形成される単量体単位以外の他の単量体単位を有していてもいなくてもよく、また、酸基を持つ酸型重合体でも酸基を持たない塩型重合体でもよい。なお、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体とは、(メタ)アクリル酸系重合体又は(メタ)アクリル酸塩系重合体を意味し、また、(メタ)アクリル酸(塩)とは、(メタ)アクリル酸及び/又は該(メタ)アクリル酸の中和物を意味する。本発明においては、塩型重合体を製造する場合、最初から酸部分を中和した原料を使用してもよく、また、必要に応じ酸型重合体を製造してから中和してもよい。
【0009】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、重量平均分子量が60万以上で且つ分散度が5〜60であるが、重量平均分子量が60万未満であれば、凝集力や増粘性が低下し、また分散度が60より大きくなると凝集力や増粘性が低下する傾向が見られ、安定的にこれらの物性を保有することができなくなる傾向にある。よって、凝集剤としての優れた性能を充分に発揮することができないこととなる。また、分散度が5未満であると、分散度が小さ過ぎて工業的規模で大量に製造しにくいものとなる。
【0010】
上記重量平均分子量としては、100万以上が好ましく、150万以上がより好ましく、200万以上が更に好ましい。また、1000万以下が好ましく、800万以下がより好ましい。分散度としては、10〜50が好ましく、20〜40がより好ましい。
このような本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の重量平均分子量と分散度との好ましい形態としては、重量平均分子量が100万以上で且つ分散度が10〜50である。より好ましくは、重量平均分子量が150万以上であり、分散度が20〜40である。
【0011】
上記分散度とは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)であり、数値が小さいほど、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の分子量分布が均一であることを意味する。なお、分散度における数平均分子量(Mn)としては、2万以上であることが好ましい。より好ましくは、4万以上であり、更に好ましくは、8万以上である。
【0012】
上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定方法は、測定条件を下記のように設定したGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー;Gel Permeation Chromatography)測定が好適である。
ポンプ:L7110(商品名、日立製作所社製)
キャリヤ液:燐酸水素2ナトリウム12水和物34.5g及び燐酸2水素ナトリウム2水和物46.2gに超純水を加えて全量を5000gにした水溶液
流速:0.5ml/min
カラム:水系GPCカラムGF−7MHQ 1本(商品名、昭和電工社製)
検出器:UV検出器 L−7400(商品名、日立製作所社製)波長214nm分子量計算ソフト:SIC480データステーション(商品名、SICシステムインスツルメンツ社製)
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学社製)
【0013】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体における好ましい形態としては、(メタ)アクリル酸(塩)を必須とする単量体成分を水性媒体中で熱重合してなる形態や、(メタ)アクリル酸(塩)を必須とする単量体成分を光重合してなる形態が好適である。また、より好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)を60モル%以上含む単量体成分を光重合してなる形態である。より好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)の単量体成分中の含有量としては、65モル%以上であり、更に好ましくは、70モル%以上であり、より好ましくは、80モル%以上である。このような(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、本発明の好ましい実施形態である。又、上記重合形態としては光重合が好ましい。
【0014】
上記(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル酸ナトリウムが好ましい。
【0015】
上記単量体成分としては、(メタ)アクリル酸(塩)以外のその他の単量体を含有していてもよい。上記(メタ)アクリル酸(塩)以外のその他の単量体の単量体成分中の含有量としては、40モル%未満が好ましい。より好ましくは35モル%未満である。さらに好ましくは30モル%未満である。さらには20モル%未満が好ましい。
上記その他の単量体としては、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体;上記その他の単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物;(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製造における光重合方法としては、上述した単量体成分、光重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤等を含有する反応溶液に紫外線等の光を照射することで重合する方法が好適である。
【0017】
上記光重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ系光重合開始剤、
【0018】
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、
【0019】
オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、
【0020】
ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記光重合開始剤の使用量としては、単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の分子量や重合率を充分なものとすることができる。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.5g以下である。
【0022】
上記連鎖移動剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜硫酸水素(塩);亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、次亜燐酸系化合物が好ましい。より好ましくは、次亜燐酸ナトリウムである。
【0023】
上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。0.001g以上で0.1g以下が更に好ましく、0.005g以上で0.05g以下が特に好ましい。
【0024】
上記光重合方法では、反応液に紫外線等の光を照射することになるが、照射する光としては、近紫外線が好ましい。
上記近紫外線を照射する装置としては、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ等が好適である。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上であり、また、500nm以下であることが好適である。
【0025】
上記光重合方法としては、反応液が水溶液の形態である水溶液重合による方法が好ましい。水溶液重合においては、窒素ガスをバブリングする等の方法により、水溶液中に溶解している溶存酸素を予め除去した状態で重合を行うことが好ましい。また、重合操作方法としては、回分式でも連続式でもよいが、静置重合による方法が好ましい。
【0026】
上記光重合方法における重合条件としては、単量体成分の組成、光重合開始剤や連鎖移動剤の種類や使用量等に応じて適宜設定すればよいが、重合開始時における単量体成分の反応液中の濃度(単量体濃度)としては、20質量%以上であり、また、99質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは、25〜60質量%である。また、光の照射強度としては、1W/m以上が好ましく、また、100W/m以下が好ましい。より好ましくは、5W/m以上であり、また、50W/m以下である。更に好ましくは、10W/m以上であり、また、40W/m以下である。更に、重合温度としては、−5℃以上であり、また、150℃以下であることが好ましいが、重合を開始する温度としては、50℃以下であることが好ましい。より好ましくは、30℃以下であり、更に好ましくは、20℃以下である。重合開始温度が低い方が突沸等の異常反応に基づく危険がなくなると共に、高濃度での反応が容易となるため、生産性の面で有利である。また更に、重合時間としては、1分以上であり、また、90分以下であることが好ましいが、より好ましくは、60分以下であり、更に好ましくは、30分以下である。
【0027】
上記(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製造における熱重合方法としては、上述した単量体成分、熱重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤等を含有する反応溶液を加熱して重合を行うことになる。
上記熱重合方法における重合温度としては、50〜150℃が好ましいが、重合を開始する温度としては20℃以上であることが好ましい。20℃未満の低い温度の場合、重合が開始しない場合がある。好ましくは30℃以上である。また、重合時間としては、0.5〜10時間が好ましい。より好ましくは、1〜3時間である。更に、重合開始時における単量体成分の反応液中の濃度(単量体濃度)としては、上述した光重合方法における場合と同様である。
【0028】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、様々な用途に好適に適用することができるものであり、医薬用としては湿布薬やパップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材の用途に、塗料用としてはカーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤の用途に、製造プロセスにおいてはアルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤の用途に、土木・建築用としては掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤の用途に、その他一般工業用として吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤の用途に好適に用いられるものである。
これらの中でも、凝集剤や調泥剤として用いられることが好適であるが、より好ましくは、凝集剤として用いられることである。本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を凝集剤として用いることで、凝集力が高く、かつ迅速に凝集させることができる凝集剤となる。このように本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を主成分とする凝集剤もまた、本発明の1つである。
【0029】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を凝集剤として用いる場合、例えば、経時的な炭酸カルシウム沈降界面高さの測定試験において、沈降界面高さが下がるのに要する時間を早くすることが可能となる。このような測定試験における評価方法としては、(1)上部に活栓が付いた容量100mlのメスシリンダーに、炭酸カルシウム1g及びイオン交換水99gを添加し、(2)メスシリンダーを上下反転することにより内容物を充分に攪拌混合し、(3)次いで、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の0.2%水溶液1gを添加し、メスシリングーを静かに3回上下反転した後、静置し、(4)静置して直ちに、経時的に炭酸カルシウム沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間を測定することにより評価することができる。本発明においては、上記(4)の経時的に炭酸カルシウム沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間を15秒以下とすることが可能である。より好ましくは、10秒以下であり、更に好ましくは、8秒以下である。このような作用効果を有する(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」意味するものとする。
【0031】
実施例1
容量2000mlのステンレス製容器にアクリル酸525g、イオン交換水935gを入れた。このアクリル酸水溶液を窒素バブリングすることにより溶存酸素を除去した。次いで、この水溶液を20℃に温度調整した後、光重合開始剤であるV−50(和光純薬工業社製、アゾ系光重合開始剤、化学名:2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸塩)の0.364%水溶液20g及び連鎖移動剤である次亜燐酸ナトリウムの0.474%水溶液20gを添加し均一混合した。
反応液中の単量体(アクリル酸)濃度は35質量%であった。V−50の添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。次亜燐酸ナトリウムの添加量は単量体1モルに対して0.013gであった。
【0032】
実施例で用いた重合容器は、上部と下部により構成されるものであり、これを図1に概念図により示した。(a)は重合容器の上部1の平面図、(b)は重合容器の上部1の側面図、(c)は重合容器の下部2の平面図、(d)は重合容器の下部2の側面図である。この重合容器はステンレス(SUS304)製であって、重合容器の上部1の内面はテフロン(R)加工が施されている。また、重合容器の下部2には、ジャケットに冷却水等を導入するためのソケット3及び排出するためのソケット4を有し、冷却水等が下側のソケット3より入り、上側のソケット4より排出されるような構造となっている。実施例においては、上部1を下部2にかぶせるようにして合わせ、パッキンを装着し、ボルト・ナットで8ヶ所固定して使用した。
【0033】
このような重合容器の下部2のソケット3から20℃の冷水を導入し、ソケット4から排出すると共に、重合容器の上部1をサランラップで覆って反応液が導入される空間部分を窒素置換した。次いで反応液を重合容器の上部1に導入した後、波長範囲300〜450nmの近紫外線をブラックライト水銀ランプ(東芝社製、形名H400BL−L)を用いて強度17W/mで照射した。照射開始後、直ちに重合が開始した。18分間照射を続けて重合を完結した。このようにして得られたゲル状重合体をハサミで細かく裁断した後、80℃で減圧乾燥した。次に卓上粉砕機で粉砕しポリアクリル酸からなる重合体(1)を得た。重合体(1)の重量平均分子量(Mw)は186万であり、数平均分子量(Mn)は6.3万であった。また、分散度(Mw/Mn)は29.5であった。
なお、実施例及び比較例における重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、上述した条件によりGPC法で測定した。
【0034】
実施例2
容量2000mlのステンレス製容器にアクリル酸240g、37%アクリル酸ナトリウム水溶液918g及びイオン交換水282gを入れ、アクリル酸部分中和塩水溶液を得た。このアクリル酸部分中和塩水溶液を窒素バブリングすることにより溶存酸素を除去した。次いでこの水溶液を20℃に温度調整した後、光重合開始剤であるダロキュア1173(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、化学名;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)の0.36%アクリル酸溶液20g及び連鎖移動剤である0.36%次亜燐酸ナトリウム水溶液20gを添加し均一混合して反応液を得た。
【0035】
この反応液中には、単量体としてアクリル酸とアクリル酸ナトリウムが含まれ、全単量体中の塩型単量体(アクリル酸ナトリウム)の割合、つまり中和度は50モル%であった。また、この反応液中の単量体(アクリル酸とアクリル酸ナトリウム)濃度は40質量%であった。ダロキュア1173の添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。次亜燐酸ナトリウムの添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。
【0036】
以下、実施例1で用いたのと同じ重合容器を用い、また実施例1と同様に処理してポリアクリル酸部分中和塩からなる重合体(2)を得た。重合体(2)の重量平均分子量(Mw)は253万であり、数平均分子量(Mn)は4.4万であった。また、分散度(Mw/Mn)は57.5であった。
【0037】
実施例3
容量2000mlのステンレス製容器に37%アクリル酸ナトリウム水溶液1460gを入れた。このアクリル酸ナトリウム水溶液を窒素バブリングすることにより溶存酸素を除去した。次いでこの水溶液を20℃に温度調整した後、光重合開始剤であるV−50(和光純薬工業社製、アゾ系光重合開始剤、化学名:2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸塩)の0.289%水溶液20g及び連鎖移動剤である次亜燐酸ナトリウムの0.862%水溶液20gを添加し均一混合した。
【0038】
反応液中の単量体(アクリル酸ナトリウム)濃度は36質量%であった。V−50の添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。次亜燐酸ナトリウムの添加量は単量体1モルに対して0.03gであった。
【0039】
以下、実施例1で用いたのと同じ重合容器を用い、また実施例1と同様に処理してポリアクリル酸完全中和塩からなる重合体(3)を得た。重合体(3)の重量平均分子量(Mw)は64万であり、数平均分子量(Mn)は11.2万であった。また、分散度(Mw/Mn)は5.7であった。
【0040】
実施例4
実施例3において用いた次亜燐酸ナトリウムの0.862%水溶液20gの代わりに、次亜燐酸ナトリウムの0.287%水溶液20gを用いた他は実施例3と同様に処理してポリアクリル酸完全中和塩からなる重合体(4)を得た。
次亜燐酸ナトリウムの添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。
重合体(4)の重量平均分子量(Mw)は191万であり、数平均分子量(Mn)は5.8万であった。また、分散度(Mw/Mn)は32.9であった。
【0041】
実施例5
容量2000mlのステンレス製容器に、37%アクリル酸ナトリウム水溶液1261.8g、40%アクリルアミド水溶液220.3g及びイオン交換水7.9gを入れた。該溶液を窒素バブリングすることにより溶存酸素を除去した。次いでこの水溶液を20℃に温度調節した後、光重合開始剤であるV−50の1.24%水溶液5g、連鎖移動剤である1.24%次亜燐酸ナトリウム水溶液5gを添加して均一混合して反応液を得た。
この反応液中には、単量体としてアクリル酸ナトリウムとアクリルアミドが含まれ、中和度は100モル%であった。
また、この反応液中の単量体(アクリル酸ナトリウムとアクリルアミド)濃度は37質量%であった。V−50の添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。次亜燐酸ナトリウムの添加量は単量体1モルに対して0.01gであった。
以下、実施例1で用いたのと同じ重合容器を用い、また実施例1と同様に処理してアクリル酸ナトリウム/アクリルアミド=8/2モル比共重合体(5)を得た。共重合体(5)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を実施例1と同様に測定した結果、重量平均分子量(Mw)は322万であり、数平均分子量(Mn)は6.5万であった。また、分散度(Mw/Mn)は49.5であった。
【0042】
実施例6
容量500mlビーカーに、実施例1で得られたポリアクリル酸からなる重合体(1)を純分として0.765gを採り、イオン交換水450gを添加しジャーテスターで攪拌して溶解させた。次いで、希水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。次に、イオン交換水を添加して全量を500gにした。このようにして、ポリアクリル酸(1)の完全中和物からなるポリアクリル酸ナトリウム(I)の0.2%水溶液500gを得た。
【0043】
上部に活栓が付いた容量100mlのメスシリンダーに、炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、商品名:タマパールTP121)1g及びイオン交換水99gを添加した。メスシリンダーを上下反転することにより内容物を充分に攪拌混合した。次いで、上記ポリアクリル酸ナトリウム(I)の0.2%水溶液1gを添加し、メスシリングーを静かに3回上下反転した後、静置した。静置して直ちに、経時的に炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は8秒であった。上澄み液は清澄であった。
【0044】
実施例7
容量500mlのビーカーに、実施例2で得られたポリアクリル酸部分中和塩からなる重合体(2)を純分として0.883gを採り、イオン交換水450gを添加しジャーテスターで攪拌して溶解させた。次いで、希水酸化ナトリウム水溶液を添加してPHを10に調整した。次に、イオン交換水を添加して全量を500gにした。このようにして、ポリアクリル酸部分中和塩(2)の完全中和物からなるポリアクリル酸ナトリウム(II)の0.2%水溶液500gを得た。
【0045】
ポリアクリル酸ナトリウム(I)の代わりに、ポリアクリル酸ナトリウム(II)を用いた他は実施例6と同様にして炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は7秒であった。上澄み液は清澄であった。
【0046】
実施例8
ポリアクリル酸ナトリウム(I)の代わりに、実施例3で得られたポリアクリル酸ナトリウム(3)の0.2%水溶液を用いた他は実施例6と同様にして炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は14秒であった。上澄み液は清澄であった。
【0047】
実施例9
ポリアクリル酸ナトリウム(I)の代わりに、実施例4で得られたポリアクリル酸ナトリウム(4)の0.2%水溶液を用いた他は実施例6と同様にして炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は9秒であった。上澄み液は清澄であった。
【0048】
実施例10
ポリアクリル酸ナトリウム(I)の代わりに、実施例5で得られたアクリル酸ナトリウム/アクリルアミド=8/2モル比共重合体(5)の0.2%水溶液を用いた他は実施例6と同様にして炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は9秒であった。
【0049】
比較例1
特開2000−212222号公報における実施例1に相当する重合体をこの比較例1で示す。
撹拌装置等を備えた容量1Lのビーカーに、イオン交換水310部と、水酸化ナトリウム48%水溶液328部とを仕込んだ。一方、該ビーカの上方に設置した滴下ロートに、アクリル酸80%水溶液を所定量仕込んだ。次いで、ビーカー内の水溶液を撹拌しながら20℃に調節した後、該アクリル酸水溶液を徐々に滴下して中和を開始した。滴下期間中は、ビーカー内の中和液の温度を20℃〜30℃に維持した。ビーカー内の中和液のpHが10.0となった時点で、アクリル酸水溶液の滴下を終了した。該アクリル酸水溶液の滴下量は、約355部であった。
滴下終了後、ビーカーにイオン交換水を加えて、全量を1000部とした。これにより、アクリル酸ナトリウム37%水溶液を得た。この水溶液に、活性炭(武田薬品工業社製;商品名「白鷺M」)0.98部を添加した後、20分間撹拌した。その後、0.45μのメンブランフィルターを用いて濾過することによって活性炭を除去して、(メタ)アクリル酸塩(A)37%水溶液を調製した。
【0050】
次に、窒素ガス導入管及び撹拌装置等を備えた容量2Lの4ツ口フラスコに、アクリル酸80%水溶液221.2部、及び、上記(メタ)アクリル酸塩(A)37%水溶液624.4部からなる単量体成分と、イオン交換水339.4部とを仕込んだ。このときの中和度は50モル%であった。
次いで、フラスコ内の水溶液を撹拌しながら、窒素ガスを30分間バブリングすることにより、該水溶液中に溶解している溶存酸素を除去した。その後、この水溶液に、重合開始剤としての2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.197%水溶液5部及び2,2′−アゾビス−〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩0.786%水溶液5部と、連鎖移動剤としての次亜リン酸ナトリウム1水和物0.983%水溶液5部とを添加して、反応液を調製した。このときの単量体成分1モルに対する、2,2′−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の使用量は、0.002gであり、2,2′−アゾビス−〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩の使用量は、0.008gであり、次亜リン酸ナトリウム1水和物の使用量は、0.010gであった。また、重合開始時における上記単量体成分の反応液中の濃度は、34%であった。
【0051】
図2は、比較例1で用いた重合容器5を示す概念図であり、(a)は重合容器5の平面図、(b)は重合容器5の断面図である。この重合容器5は、偏平なセパラブルフラスコであり、ステンレス(SUS304)製であり、内面がフッ素樹脂コーティング(膜厚約300μm)されている容器部6及び蓋体部7、フッ素樹脂製であり、ドーナツ状に形成されているパッキング8等からなる。上記蓋体部7は、反応液を仕込むための注入口7aと測低抗体(白金線)を差し込むための温度挿入口7bとを有している。
上記重合容器5は、重合容器5内が反応液で満たされた状態となるように、反応液の仕込み量に応じてパッキング8の厚み9を変更することにより、その容量を適宜変更することができるようになっている。
【0052】
このような重合容器5に上記の反応液を入れた後、この重合容器5を、水温が28℃に予め調節された恒温水槽に浸漬した。反応液の温度が直ちに上昇して重合が開始され、90分後に該温度は51.5℃(一次ピーク温度)に達した。その後、恒温水槽の水温を45℃に昇温させ、同温度で重合をさらに進行させたところ、25分後に該温度は56.5℃(二次ピーク温度)に達した。続いて、恒温水槽の水温を75℃に昇温させ、同温度に達した時点からさらに60分間、重合を進行させることにより、該重合を完結させた。終了後、恒温水槽の水温を常温に下げて重合容器5の反応生成物を冷却し、重合容器5を解枠して該反応生成物を取り出した。これにより、ゲル状の反応生成物である重合物を得た。
【0053】
得られた重合物をハサミを用いて薄く切断した後、70℃で8時間、減圧乾燥させた。得られた乾燥物を、卓上型粉砕機(協立理工社製;商品名「サンプルミルSK−M型」)で粉砕した後、分級することによって60メッシュ通過品を得た。
これにより、部分中和ポリアクリル酸ナトリウム(中和度50モル%)である比較重合体(1)を製造した。
比較重合体(1)の重量平均分子量(Mw)は193万であり、数平均分子量(Mn)は0.72万であった。また、分散度(Mw/Mn)は268であった。
【0054】
比較例2
特許第255841号明細書における重合体製造例8(A8)に相当する重合体をこの比較例2で示す。
温度計、窒素導入管、撹拌機及び還流冷却機を備えた容量5リットルの四つ口フラスコに水1620gを仕込み、100℃まで昇温した。次に0.8質量%の過硫酸ナトリウム水溶液40gと40質量%のアクリル酸水溶液1840gを60分かけて常圧下、沸点温度で連続的に滴下し、重合反応を行った。次いで更に0.8質量%過硫酸ナトリウム水溶液150gを15分かけて常圧下、沸点温度で連続的に滴下し、滴下終了後沸点温度で更に30分間撹拌して重合反応を完了し、固形分20%のポリアクリル酸含水溶液である比較重合体(2)を得た。
比較重合体(2)の重量平均分子量(Mw)は92万であり、数平均分子量(Mn)は1.3万であった。また、分散度(Mw/Mn)は70.8であった。
【0055】
比較例3
容量500mlのビーカーに、比較例1で得られたポリアクリル酸部分中和塩からなる比較重合体(1)を純分として0.883gを採り、イオン交換水450gを添加しジャーテスターで攪拌して溶解させた。次いで、希水酸化ナトリウム水溶液を添加してPHを10に調整した。次に、イオン交換水を添加して全量を500gにした。このようにして、比較重合体(1)の完全中和物からなる比較ポリアクリル酸ナトリウム(I)の0.2%水溶液500gを得た。
ポリアクリル酸ナトリウム(I)の代わりに、比較ポリアクリル酸ナトリウム(I)を用いた他は実施例6と同様にして炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は18秒であった。上澄み液は少し白濁していた。
【0056】
比較例4
容量500mlのビーカーに、比較例2で得られたポリアクリル酸からなる比較重合体(2)を純分として0.765gを採り、イオン交換水450gを添加しジャーテスターで攪拌して溶解させた。次いで、希水酸化ナトリウム水溶液を添加してPHを10に調整した。次に、イオン交換水を添加して全量を500gにした。このようにして、比較重合体(2)の完全中和物からなる比較ポリアクリル酸ナトリウム(II)の0.2%水溶液500gを得た。
ポリアクリル酸ナトリウム(I)の代わりに、上記比較ポリアクリル酸ナトリウム(II)を用いた他は実施例6と同様にして炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は44秒であった。上澄み液はかなり白濁していた。
【0057】
比較例5
凝集剤としてポリアクリル酸ナトリウムを全く使用しなかった他は実施例6と同様にして炭酸カルシウム沈降界面高さを測定した。1時間経過しても液の白濁が著しくて、沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要した時間は計測不能であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、上述のような構成であるので、特に凝集剤としての性能が向上され、湿布薬やパップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤や粘着性向上剤、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤、掘削土処理剤や浚渫土処理剤や調泥剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤等の多く分野において好適に用いることができる工業的に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の実施例で用いられた重合容器を示す概念図であって、(a)は重合容器の上部1の平面図、(b)は重合容器の上部1の側面図、(c)は重合容器の下部2の平面図、(d)は重合容器の下部2の側面図である。
【図2】比較例1において用いられた重合容器5を示す概念図であって、(a)は重合容器5の平面図、(b)は重合容器5の断面図である。
【符号の説明】
1 重合容器の上部
2 重合容器の下部
3、4 ソケット
5 重合容器
6 容器部
7 蓋体部
7a 注入口
7b 温度計挿入口
8 パッキング
9 パッキング8の厚み

Claims (4)

  1. (メタ)アクリル酸(塩)を60モル%以上含む単量体成分を重合してなる重合体であって、重量平均分子量が100万以上で且つ分散度が10〜60であることを特徴とする(メタ)アクリル酸(塩)系重合体。
  2. 前記(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、
    容量100mlのメスシリンダーに、炭酸カルシウム1g及びイオン交換水99gを添加し、次いで、(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の0.2%水溶液1gを添加したときに、
    経時的に炭酸カルシウム沈降界面高さが下から15mLとなるまでに要する時間が10秒以下であることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体。
  3. 請求項1又は2記載の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製造方法であって、(メタ)アクリル酸(塩)を必須とする単量体成分を光重合することを特徴とする(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製造方法。
  4. 請求項1又は2記載の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を主成分とすることを特徴とする凝集剤。
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