JP3804432B2 - 検査ユニットおよびそれを用いたコネクタ検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は検査ユニットおよびそれを用いたコネクタ検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工業製品においては、非常に公差の小さいワークが存在し、そのようなワークの寸法を精緻に測定することが要請される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これまでの突出量検出手段では、近年要請されている精度で寸法不良を検出することができなかった。
【0004】
例えば、ワークとしてのコネクタハウジングと嵌合部材(リテーナまたはカバー部材)との組み付け時における公差は、従来は0.6mm程度であったが、近年では、例えば0.300mmに設定することが必要になる。ところが、従来から開発されているコネクタ検査装置では、ワークとしてのコネクタハウジング自身の変形やがたつき等の影響により、そのような小さい寸法公差に対応した寸法不良を機械的に検出することは困難であった。
【0005】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、ワークの特定部位の寸法不良を確実に検出することのできる検査ユニットおよびそれを用いたコネクタ検査装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、ワークの特定部位の寸法不良を検出するための検査ユニットであって、
上記ワークに弾性的に当接する弾性当接部材と、
この弾性当接部材に設けられ、当該弾性当接部材が当接している当接位置から検査対象となる上記寸法不良を検出する検出部と
を有し、上記弾性当接部材は、
予め定位置に固定される外装スリーブと、
この外装スリーブの内周部に摺動自在に装着され、当該外装スリーブの内周面に形成された段部によってワークへの突出量が規制されるとともに、ワークを検査する検査状態にてワークに対し弾性的に進退可能に当接する内装スリーブと、
内装スリーブと上記外装スリーブとの間に介装されて、内装スリーブをワークへ付勢する付勢部材と
を含み、上記検出部は、内装スリーブに相対変位可能な状態で収容され、且つ内装スリーブが正規の位置でワークに当接しているときに正規の位置にあるワークとのみ当接する可動ピンを含むスイッチ部材である
ことを特徴とする検査ユニットである。
【0007】
この発明では、仕上り寸法にばらつきの大きいワーク(例えば自動車用グロメットや外装チューブ等)の特定部位の寸法が精緻に仕様に適合しているか否かを判別するに当たり、当該ワークに当接する弾性当接部材を設け、この弾性当接部材をワークの所定位置に弾性的に当接させているので、ワーク自身の仕上り寸法にばらつきが生じていたり、がたや変形を来している場合でも、弾性当接部材に設けられた検出部を不良検出の基準となる正規の位置に追従させることができる。そして、この正規の位置(弾性当接部材のワークとの当接位置)から検出部が当該ワークの特定部位の寸法不良を検出するので、可及的に精緻な不良検出を行うことが可能になる。また、検出部は、内装スリーブに相対変位可能な状態で収容され、且つ内装スリーブが正規の位置でワークに当接しているときに正規の位置にあるワークとのみ当接する可動ピンを含むスイッチ部材であるので、内装スリーブと検出部との相対的な位置関係によって、精緻な寸法検出のできる弾性当接部材および検査部を比較的簡素な構成で構成することができる。
【0009】
好ましい態様において、上記弾性当接部材および検出部は、コネクタのハウジングを検査するコネクタ検査装置の検査部に設けられているものである。この態様では、コネクタのハウジングを検査する際に、当該ハウジングの寸法上の不良検出を確実に行うことが可能になる。
【0010】
本発明の具体的な態様は、ハウジングに対し予め定められた挿入方向に沿って挿入されることにより、この挿入方向と直交する係止方向に係止する係止部が設けられた嵌合部材を有するコネクタを検査するためのコネクタ検査装置であって、
上記コネクタを保持するコネクタ受け部と、
このコネクタ受け部に対向するように設けられ、上記コネクタ受け部に保持されたコネクタの導通検査を行うための検査部と、
コネクタ受け部および検査部が相対的に離反する離反状態とコネクタ受け部および検査部が近接する検査状態との間で両者を相対的に近接/離反変位させるための手段と、
検査部に設けられ、上記検査状態において当該コネクタ受け部に保持されたコネクタに嵌合している嵌合部材の嵌合状態を検査するための検査ユニットと
を備え、
上記検査ユニットは、上記係止方向に沿ってコネクタ受け部に保持されたコネクタのハウジングと弾性的に当接する弾性当接部材と、
この弾性当接部材に設けられ、当該弾性当接部材がハウジングと当接している当接位置から嵌合部材の浮きを検出する検出部と
を有し、上記弾性当接部材は、
予め定位置に固定される外装スリーブと、
この外装スリーブの内周部に摺動自在に装着され、当該外装スリーブの内周面に形成された段部によってワークへの突出量が規制されるとともに、ワークを検査する検査状態にてワークに対し弾性的に進退可能に当接する内装スリーブと、
内装スリーブと上記外装スリーブとの間に介装されて、内装スリーブをワークへ付勢する付勢部材と
を含み、上記検出部は、内装スリーブに相対変位可能な状態で収容され、且つ内装スリーブが正規の位置でワークに当接しているときに正規の位置にあるワークとのみ当接する可動ピンを含むスイッチ部材である
ことを特徴とするコネクタ検査装置である。
【0011】
この発明では、所定の係止方向に係止する係止部が設けられた嵌合部材を有するコネクタを検査するに当たり、当該コネクタのハウジングと嵌合部材との嵌合不良を判別する検査ユニットが、上記係止方向に沿って弾性的にハウジングに当接する弾性当接部材を有しているので、この弾性当接部材が上記ハウジングに弾性的に当接することにより、上記係止方向におけるハウジング自身の変形や位置ずれに検出部を追従させることができる。そして、この弾性当接部材に設けられた検出部が、当該弾性当接部材のハウジングとの当接位置から嵌合部材の浮きを検出するので、上記浮きが微小なものであってもこれを確実に検出することが可能になる。
【0012】
嵌合部材は、端子をハウジングに止定するためのロック部材を備えたカバー部材であってもよく、ランス形式で止定されている端子をハウジングに二重係止するためのリテーナであってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について詳述する。
【0014】
図5および図6は本発明の実施の一形態に係るコネクタ検査装置10の斜視図であり、図5は離反状態、図6は検査状態をそれぞれ示している。また、図7は検査状態における図5のコネクタ検査装置10の一部欠載側面図である。
【0015】
これらの図を参照して、図示のコネクタ検査装置10は、図1に示すコネクタ1の導通検査とカバー部材5の嵌合状態を検査するものである。
【0016】
図1はワークとしてのコネクタの斜視図であり、図2は図1のコネクタの外観を示すものであって(A)は背面図、(B)は一部欠載側面図である。
【0017】
これらの図を参照して、この種のコネクタ1は、合成樹脂材料を用いて構成されるハウジング2と、このハウジング2に形成された端子収容室3に収容される端子4とを有している。端子4は、いわゆるハウジングランス方式により、ハウジング2に係止されている。このハウジングランス方式は、ハウジング2に一体的に形成した可撓性の係止アームを端子収容室3の内部空間に向けて突出させ、この係止アームを端子付電線Wの端子4の所定位置に係合させて、端子4の抜けを防止する技術である。端子4をハウジング2に挿入する過程では、係止アームは端子4に当接して弾性変形する。そして、端子4が完全に挿入されると、係止アームが元の形状に復元し、この係止アームが端子4に係合する。したがって、端子4をハウジング2に完全に挿入すれば、自動的に端子4の係止が達成される。
【0018】
しかし、係止アームはあまり大きく形成することができない。そこで、従来から端子4の挿入後に、端子4に係合するカバー部材5をハウジング2の所定位置(図示の例では端子収容室3に連設した背面側開口部分)から嵌め込み、ハウジングランス方式に加えて端子を二重に係止する二重係止構造を構成したコネクタが開発されてきた。さらに近年では、上述のようなランス方式に代えて、ハウジングと別部材で構成されたカバー部材にランスを設け、このカバー部材のランスでコネクタをハウジングに止定するカバーランス式コネクタも用いられるようになってきている。
【0019】
図2(A)(B)を参照して、図示の例におけるカバー部材5は、その端面形状がハウジング2の断面に対応するU字状の部材であり、その底部には、ハウジング2の底部に形成された凹部6に係止する突起7を有している。そして、図示の例では、このカバー部材5をハウジングの背面から端子挿入方向に沿う挿入方向Xに挿入することにより、上記カバー部材5の突起7が、この挿入方向Xと直交する係止方向Yに変位してハウジング2の凹部6に係止し、カバー部材5自身の抜け止めが図られる。これにより、カバー部材5に設けられた図略のランスが端子4をロックする。この際、カバー部材5の端面は、正規の位置に嵌合した状態でハウジング2の端面と面一になる。
【0020】
図5および図6を参照して、かかるコネクタ1を検査するためのコネクタ検査装置10は、平面視略長方形に形成された樹脂製のベース11上に一対のレール12を長手方向に平行に一体形成し、レール12の一端側に、コネクタ1のハウジング2を保持して位置決めするコネクタ受け部13を固定しているとともに、他端側に、コネクタ受け部13に対し、相対変位可能に検査部14を配置している。
【0021】
上記コネクタ受け部13は、図1で示したコネクタ1のハウジング2を上下に挿抜可能な凹部13aを有しており、この凹部13a内にて検査対象となるコネクタ1のハウジング2を検査可能に保持できるように構成されている。図示の例において、ハウジング2は、ベース11の長手方向と直交する方向に配置され、検査部14に対して底面を臨ませた姿勢で保持されるように、上記凹部13aが形成されている。
【0022】
ところで、上記コネクタ1のハウジング2とカバー部材5とは、しばしば以下のような嵌合不良を来していることがある。
【0023】
図3は図1のコネクタ1における嵌合部材としてのカバー部材の嵌合不良の一般的な態様を示す断面部分拡大略図であり、(A)は正規の状態、(B)は嵌合不良を来した状態を例示したものである。
【0024】
図1〜図3に示すコネクタ1の場合、図3(B)に示すように、カバー部材5が嵌合不良を来している場合には、カバー部材5が正規の位置から突出寸法Aだけ後方に突出している。そこで、この突出量を何らかの方法で検出可能な突出量検出手段をコネクタ検査装置10に設けることが必要になる。
【0025】
図5の例において、凹部13aの開口部分は、ハウジング2の幅方向(図1に示す姿勢においてその上下方向)に挿抜するために必要十分な寸法と輪郭形状に設定されている。したがって、仮に図3(B)で示したような嵌合不良が生じている場合、突出寸法A(図3(B)参照)が小さければ凹部13aにハウジング2を装着する過程でカバー部材5を強制的に押し込むことができるとともに、突出寸法Aが大きければ、ハウジング2を凹部13aに装着できなくなることで、この嵌合不良の矯正または検出を行うことができるようになっている。
【0026】
さらに図5を参照して、凹部13aには、その保持位置にあるコネクタ1に接続された端子付電線Wとの干渉を避けるための切欠部13bが側部に形成されている。他方、ハウジング2には、導通検査用の上記挿通孔2aと嵌合状態を検査するための切欠部2bとが形成されており、コネクタ受け部13には、これら挿通孔2aおよび切欠部2bを検査部14に臨ませる切欠部13c、開口部13dがそれぞれ形成されている。
【0027】
検査部14は、検査対象となるハウジング2の極数に対応して、検出子としてのプローブピン15(図7に1本のみ図示)を備えている。そして、図6および図7に示す検査状態において、上記プローブピン15がコネクタ受け部13に保持されたハウジング2に近接し、コネクタ受け部13の切欠部13cおよびハウジング2の挿通孔2aを通して内部の端子4と接触するように構成されている。プローブピン15は、リード線15aを介してプラグ35に接続されており、このプラグ35を介して図示しない導通検査装置に接続されるようになっている。また、検査部14は、上記一対のレール12の間に配置されたガイドバー12aで上記ベース11の長手方向に案内されているとともに、このガイドバー12aの外周に配置されたコイルばね12bがコネクタ受け部13との間に介装されることにより、常時、トグルレバー16の方に付勢されている。
【0028】
このトグルレバー16は、レール12の他端側終端部分に設けられており、このトグルレバー16を、ベース11に延設された取り付け板部17を貫通するピン18回りに回動させることにより、検査部14を検査状態と離反状態とに変位させて、周知の装置と同様に導通検査を行なうことができるようになっている。
【0029】
以上のような構成において、上記検査部14には、コネクタ受け部13に保持されたコネクタ1のカバー部材5を検査する検査ユニット20が配置されている。この検査ユニット20は、コネクタ1のハウジング2とカバー部材5との間に生じた微妙な浮きを検出するためのものである。
【0030】
図4は図1のコネクタ1における嵌合部材としてのカバー部材の嵌合不良の別の態様を示す断面部分拡大略図であり、(A)は正規の状態、(B)は嵌合不良を来した状態を例示したものである。
【0031】
図4(A)(B)に示すように、コネクタ1の嵌合不良は、カバー部材5が正規の位置まで挿入されているにも拘らず、その挿入方向Xと直交する係止方向Yにおいて浮きが生じている場合もある。
【0032】
そこで、本実施形態では、ハウジング2の底部に形成された切欠部2bを通してピン状の検査部材をカバー部材5に対向させ、カバー部材5に浮きが生じている場合には、コネクタ受け部と検査部とが近接している検査状態においても、検査部材がカバー部材5と当接できなくなるようにして、機械的にカバー部材5の嵌合良否を判別するようにしている。尤も、周知のスイッチピンを用いて、上記浮きを検出しようとしても、ハウジング2自身の変形やがた、或いは、仕上り寸法のばらつき等により、検出可能な寸法精度はせいぜい0.6mm程度であった。この点、本実施形態においては、以下の構成を採用することにより、0.300mm程度の寸法精度で不良検出を行うことが可能になっている。
【0033】
図8は図5のコネクタ検査装置10に係る検査ユニット20の断面図である。
【0034】
同図を参照して、検査ユニット20は、導電性材料で構成されて検査部14に固定される外装スリーブ21と、この外装スリーブ21内に摺動可能に配置された内装スリーブ22と、内装スリーブ22内に配置された検出部としてのスイッチピン23とを同心に有している。なお以下の説明では、検査部14がコネクタ受け部13に臨む方向を仮に前方とする。
【0035】
上記外装スリーブ21は、検査部14に固着される構造体であり、その外周後端部には、図示しない導通検査装置の嵌合検査回路Sに接続されるリード線24がはんだ付けされた導電リング25が圧入されている。外装スリーブ21の前端面には、フランジ部21aが形成されている。また、外装スリーブ21の内周面は、内装スリーブ22の突出位置を規定する段部21bが形成されている。この段部21bは、後部側が大径になっており、この段部21bの背面で内装スリーブ22の後端を受けるように構成されている。
【0036】
内装スリーブ22は、絶縁スリーブ26と、導電スリーブ27とを同心に一体化させたユニット品である。絶縁スリーブ26は、上記外装スリーブ21の段部21bに対して当接可能な状態で当該外装スリーブ21の後端側部分に摺動自在に配置される大径部26aと、この大径部26aと同心に形成された小径部26bとを一体に有している。また、上記導電スリーブ27は、上記絶縁スリーブ26の小径部26bが後端内周部に圧入される筒部27aと、この筒部27aの前端部に形成されたフランジ部27bとを一体に有している。このフランジ部27bと上記外装スリーブ21のフランジ部21aとの間には、当該導電スリーブ27の外周に配置されたコイルばね28が設けられており、このコイルばね28によって、内装スリーブ22は全体的に前方に付勢され、上記段部21bで規定される位置まで突出している。これにより内装スリーブ22は、後述する嵌合状態の検査において、コネクタ1のハウジング2と弾性的に当接し、次に説明するスイッチピン23がカバー部材5と当接する位置を調整することができるようになっている(図9参照)。
【0037】
上記スイッチピン23は、内装スリーブ22の絶縁スリーブ26の内周に圧入された固定ピン30と、上記導電スリーブ27内にて軸方向に摺動可能に配置された可動ピン31と、可動ピン31を前方に付勢するコイルばね32とによってスイッチ部材を構成している。
【0038】
固定ピン30は、前端部が上記絶縁スリーブ26の小径部26bの端面と面一になった状態で絶縁スリーブ26と一体化されている導電性部材である。固定ピン30の後端部は幾分絶縁スリーブ26よりも後方に突出しており、この後端部には、上記嵌合検査回路Sに接続されるリード線33がはんだ付けされている。
【0039】
上記可動ピン31は、導電スリーブ27の内周面に摺接する大径部31aと、この大径部31aの後端側に同心に突設された接続部31bと、大径部31aの前端側に同心に突設された小径の当接部31cとを一体に有する導電性部材であり、固定ピン30との間でいわゆるA接点を構成するものである。
【0040】
上記大径部31aは、可動ピン31全体を導電スリーブ27内で支持するものであるとともに、可動ピン31を電気的に導電スリーブ27に接続するものである。この大径部31aは、上記コイルばね32によって前方に付勢されることにより、導電スリーブ27の内端壁に当接している。上記接続部31bは、固定ピン30との接点を構成する部位であり、図示の例では大径部31aが導電スリーブ27の内端壁に当接している状態で、上記固定ピン30に対し、ギャップGを隔てて固定ピン30に対向している。そして、このギャップGが可動ピン31の変位ストロークとなっている。
【0041】
上記当接部31cは、後述する嵌合状態の検査において、コネクタ1のカバー部材5と当接する部材である(図9参照)。この当接部31cの導電スリーブ27からの突出長さLは、検査対象となるコネクタ1のハウジング2の底面からカバー部材5の底面までの長さL1(図4(A)参照)に対応して、正規の位置にあるカバー部材5の底面と当接した場合にのみ幾分後方に変位し、上記接続部31bが固定ピン30と接続されるように精緻に設定されている。
【0042】
上記スイッチピン23の固定ピン30は、リード線33によって上記嵌合検査回路Sに接続されているとともに、可動ピン31は、導電スリーブ27、外装スリーブ21、導電リング25、リード線24を経て上記嵌合検査回路Sと接続されている。そして、嵌合検査回路Sは、両ピン30、31が接触しているか否かによって、カバー部材5の浮き状態を検出することができるようになっている。上記リード線24、33は、図5に示すプラグ35に接続され、このプラグ35を介して上記嵌合検査回路Sと接続される。
【0043】
次に上述した実施形態の作用について説明する。
【0044】
以上の構成では、図5で示すように、トグルレバー16を倒してコネクタ受け部13と検査部14とを相対的に離反させておく。この状態で検査対象となるコネクタ1をコネクタ受け部13の凹部13a内に正規の姿勢で装着する。この装着過程では、凹部13aの開口部分における寸法設定により、図3(B)で示したような嵌合不良の矯正または検出を行うことが可能になる。
【0045】
次いで、トグルレバー16を起こしてコネクタ受け部13と検査部14とが検査状態になるように検査部14をコネクタ受け部13に近接させる。この検査状態では、コネクタ受け部13に保持されているコネクタ1の端子4に対応するプローブピン15と当接し、周知の通り導通検査が行われる。これと同時に、図示の実施形態では、検査ユニット20によって、コネクタ1のカバー部材5の浮きが検査される。
【0046】
図9および図10は図5の実施形態における嵌合検査状態を示す断面部分拡大略図である。
【0047】
まず、図9を参照して、正規のコネクタ1が検査されている状態では、上記検査部14が検査状態に変位することにより、検査ユニット20の内装スリーブ22を構成する導電スリーブ27が当該コネクタ1のハウジング2と弾性的に当接する。他方、図示の当接位置から突出するスイッチピン23の可動ピン31は、図8で説明した寸法設定により、正規の位置に嵌合しているカバー部材5の底面に当接部31cが当接することにより後方に退避し、固定ピン30と電気的に接続される。これにより、両ピン30、31が構成している接点が閉じて電気的に導通し、これを嵌合検査回路Sが検出してコネクタ1を良品と判別することが可能になる。ここで、上記内装スリーブ22がハウジング2と当接する当接位置を予め内装スリーブ22が後方に退避する位置に設定して置くことにより、ハウジング2自身の変形やコネクタ受け部13内でのがたつきが生じていても、これらの寸法変動要因を内装スリーブ22によって吸収し、精緻にスイッチピン23を位置決めすることが可能になる。
【0048】
次に図10を参照して、コネクタ1のカバー部材5が図4(B)で示した嵌合不良を来している場合、内装スリーブ22は、正規の場合と同様にハウジング2の底面に当接するが、ハウジング2の底面からカバー部材5の底面までの距離は正規の寸法よりも大きくなっているので、仮にその寸法差(図10に示す浮き寸法N)が0.300mm程度の微小なものであっても、内装スリーブ22から突出する当接部31cは、カバー部材5の底面に届かなくなり、各ピン30、31で構成される接点は開いたままの状態になっている。これにより、嵌合検査回路S(図8参照)は、カバー部材5の嵌合不良を検出することができる。
【0049】
以上説明したように本実施形態によれば、検査ユニット20を設けることによって、カバー部材5の係止方向の浮きをも確実に検出することができるので、コネクタ検査装置10の検査性能が高まり、信頼性が向上する。
【0050】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。特に、本発明の検査ユニットは、コネクタのみならず、他の種々のワークを検査することが可能である。
【0051】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、変形や位置ずれがワークに生じていたとしても、当該ワークの特定部位の寸法不良を確実に検出することができるという顕著な効果を奏する。したがって本発明によれば、検査性能が高まり、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で検査可能なコネクタの斜視図である。
【図2】 図1のコネクタの外観を示すものであって(A)は背面図、(B)は一部欠載側面図である。
【図3】 図1のコネクタにおける嵌合部材としてのカバー部材の嵌合不良の一般的な態様を示す断面部分拡大略図であり、(A)は正規の状態、(B)は嵌合不良を来した状態を例示したものである。
【図4】 図1のコネクタ1における嵌合部材としてのカバー部材の嵌合不良の別の態様を示す断面部分拡大略図であり、(A)は正規の状態、(B)は嵌合不良を来した状態を例示したものである。
【図5】 本発明の実施の一形態に係るコネクタ検査装置の離反状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の一形態に係るコネクタ検査装置の検査状態を示す斜視図である。
【図7】 図5のコネクタ検査装置の一部欠載側面図である。
【図8】 図5のコネクタ検査装置に係る検査ユニットの断面図である。
【図9】 図5の実施形態における嵌合検査状態を示す断面部分拡大略図である。
【図10】 図5の実施形態における嵌合検査状態を示す断面部分拡大略図である。
【符号の説明】
1 コネクタ(ワークの一例)
2 ハウジング
5 カバー部材(嵌合部材の例)
7 突起(係止部材)
10 コネクタ検査装置
13 コネクタ受け部
13a 凹部
14 検査部
20 検査ユニット
21 外装スリーブ
22 内装スリーブ(弾性当接部材の要素)
23 スイッチピン(検出部/スイッチ部材の要素)
28 コイルばね(弾性当接部材の要素)
30 固定ピン(スイッチ部材の要素)
31 可動ピン(スイッチ部材の要素)
32 コイルばね(スイッチ部材の要素)
L1 特定部位の寸法
S 嵌合検査回路
X 挿入方向
Y 係止方向
Claims (2)
- ワークの特定部位の寸法不良を検出するための検査ユニットであって、
上記ワークに弾性的に当接する弾性当接部材と、
この弾性当接部材に設けられ、当該弾性当接部材が当接している当接位置から検査対象となる上記寸法不良を検出する検出部と
を有し、上記弾性当接部材は、
予め定位置に固定される外装スリーブと、
この外装スリーブの内周部に摺動自在に装着され、当該外装スリーブの内周面に形成された段部によってワークへの突出量が規制されるとともに、ワークを検査する検査状態にてワークに対し弾性的に進退可能に当接する内装スリーブと、
内装スリーブと上記外装スリーブとの間に介装されて、内装スリーブをワークへ付勢する付勢部材と
を含み、上記検出部は、内装スリーブに相対変位可能な状態で収容され、且つ内装スリーブが正規の位置でワークに当接しているときに正規の位置にあるワークとのみ当接する可動ピンを含むスイッチ部材である
ことを特徴とする検査ユニット。 - ハウジングに対し予め定められた挿入方向に沿って挿入されることにより、この挿入方向と直交する係止方向に係止する係止部が設けられた嵌合部材を有するコネクタを検査するためのコネクタ検査装置であって、
上記コネクタを保持するコネクタ受け部と、
このコネクタ受け部に対向するように設けられ、上記コネクタ受け部に保持されたコネクタの導通検査を行うための検査部と、
コネクタ受け部および検査部が相対的に離反する離反状態とコネクタ受け部および検査部が近接する検査状態との間で両者を相対的に近接/離反変位させるための手段と、
検査部に設けられ、上記検査状態において当該コネクタ受け部に保持されたコネクタに嵌合している嵌合部材の嵌合状態を検査するための検査ユニットと
を備え、
上記検査ユニットは、上記係止方向に沿ってコネクタ受け部に保持されたコネクタのハウジングと弾性的に当接する弾性当接部材と、
この弾性当接部材に設けられ、当該弾性当接部材がハウジングと当接している当接位置から嵌合部材の浮きを検出する検出部と
を有し、上記弾性当接部材は、
予め定位置に固定される外装スリーブと、
この外装スリーブの内周部に摺動自在に装着され、当該外装スリーブの内周面に形成された段部によってワークへの突出量が規制されるとともに、ワークを検査する検査状態にてワークに対し弾性的に進退可能に当接する内装スリーブと、
内装スリーブと上記外装スリーブとの間に介装されて、内装スリーブをワークへ付勢する付勢部材と
を含み、上記検出部は、内装スリーブに相対変位可能な状態で収容され、且つ内装スリーブが正規の位置でワークに当接しているときに正規の位置にあるワークとのみ当接する可動ピンを含むスイッチ部材である
ことを特徴とするコネクタ検査装置。
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