JP3804398B2 - 内転型モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ACサーボモータなどの内転型モータで、特に集中巻線したコイルの結線にプリント基板を用いた口出し部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ACサーボモータは小型高精度化、高性能化が一般化し、ロボットやNC工作機械などの駆動源に多用されており、高速応答性が要求されるため内転型モータが一般的で、さらに回転軸の回転停止時に保持力が必要な場合には、電磁ブレーキをモータに内蔵し
ている。また、海外安全規格の取得や保護構造の堅牢化が要求されている。さらに様々な機器に使用されるため、口出し線の長さおよび、その口出し線の先に取り付けるコネクタなど、様々なユーザー要求に対応する必要があった。
【0003】
以下、従来の内転型(ACサーボ)モータについて図を参照して説明する。
【0004】
図9において、91は固定子鉄心の磁極部に巻線を施したコイルをプリント基板により結線した固定子、92は表面に永久磁石を配設したロータ、93、94はブラケットで、軸受を介してロータ92の回転軸を支承する。96はロータリエンコーダ部、97はモータ口出し線、98はリードフィクサ、99はモータ口出し線97を保護するチューブである。
【0005】
上記の固定子91は、図10に示すように積層した固定子鉄心91aの磁極部に集中巻線を施したコイル91bを、インシュレータ91cに圧入装着したピン端子91dに巻き付け半田付けにて係止した後、プリント基板91eの所定孔にピン端子91dを挿入して半田付けし、さらにコイル91bのU、V、W相に接続するモータ口出し線97a、97b、97cをプリント基板91eの同心円上に配設された各相のスルーホールに挿入して半田付けすることで得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、モータ口出し線が固定子に接続された状態で製造工程を流れるので、組立作業が煩雑で移動時にスペースを必要とする。特に1m以上のモータ口出し線の場合には、工程上で口出し線の被覆に傷や圧痕などを付ける恐れがあるため余分な工数がかかると共に、モータ完成品の一部に機械加工を施す場合に、口出し線が邪魔になるなど長さに制約があった。
【0007】
また、口出し線をプリント基板のスルーホールに挿入して半田付けする時に、半田ゴテを口出し線の挿入側から当てるため、半田付け作業が完了した後にプリント基板のコイルエンド側に形成された半田フィレットの状態や不要な半田ボールの有無を目視で検査する必要があり、余分な工数を必要としていた。
【0008】
さらに、複数の口出し線を保護チューブで覆いリードフィクサでブラケットに固定する構造のため、IP40までの保護構造が精一杯となり、水や粉塵の侵入に対しては限界があった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、口出し線の接続部の信頼性を向上させつつモータ組立作業を簡素化して工数を低減し、水や粉塵に対しても有効な保護構造をもつ内転型モータを小型で安価に提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、固定子鉄心の磁極部に集中巻線を施したコイルをプリント基板により結線する内転型モータにおいて、コイルを固定子鉄心と電気的に絶縁するインシュレータの片側に配設され前記コイルの巻始めと巻終わりを個別に係止するピン端子と、前記ピン端子を貫通させて配線パターンに半田接続する環状部、前記環状部の3相(U、V、W)コイルと接続した3相の銅箔接続端子(ランド)を設けた口出し部、前記環状部と口出し部とを一体で形成したプリント基板と、固定子鉄心を保持し前記プリント基板の口出し部をモータ外に引き出すための切欠部を設けたフレームと、前記口出し部のランドに半田接続する口出し線と、前記口出し部を包含し前記フレームに固定する合成樹脂製のリードフィクサと、前記フレームと前記リードフィクサの間に配置され前記口出し線を貫通して前記リードフィクサ内部を密封するリードパッキンとを備え、前記プリ
ント基板の環状部の異なる内層面に設けた2相の配線パターンは中性点用のランドを跨いで通過させて口出し部の各相ランドに接続することにより、前記口出し部の幅を抑制したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために本発明は、固定子鉄心の磁極部に集中巻線を施したコイルをプリント基板により結線する内転型モータにおいて、コイルを固定子鉄心と電気的に絶縁するインシュレータの片側に配設され前記コイルの巻始めと巻終わりを個別に係止するピン端子と、前記ピン端子を貫通させて配線パターンに半田接続する環状部、前記環状部の3相(U、V、W)コイルと接続した3相の銅箔接続端子(ランド)を設けた口出し部、前記環状部と口出し部とを一体で形成したプリント基板と、固定子鉄心を保持し前記プリント基板の口出し部をモータ外に引き出すための切欠部を設けたフレームと、前記口出し部のランドに半田接続する口出し線と、前記口出し部を包含し前記フレームに固定する合成樹脂製のリードフィクサと、前記フレームと前記リードフィクサの間に配置され前記口出し線を貫通して前記リードフィクサ内部を密封するリードパッキンとを備えた内転型モータであり、プリント基板の口出し部をモータフレーム外側に設けることで、口出し線を後工程において半田付けできる。また、口出し部を包含し口出し線を貫通させたリードパッキンをリードフィクサで挟み込むようにフレームに固定するので、プリント基板の口出し部を密封した保護構造にできる。
【0012】
また、プリント基板は各ピン端子に係止された各磁極部に集中巻線を施した巻終わりを中性点用ランドに接続すると、各相コイルの巻始めがそれぞれの相ランドに接続されてY型結線となる。また、プリント基板は多層配線基板で、集中巻線したコイルエンドに対向する前記プリント基板の環状部表層面にY型結線の中性点パターンを配設した内転型モータでは、各相コイルの巻終わりがY型結線の中性点となるように配線するので、隣合う異相コイル間の電位差を小さくでき、さらに、各相コイルの巻終わり(中性点)付近となるコイルエンドに対向するプリント基板表層面に中性点パターンを配設することで、コイルエンドと中性点パターン面間の電位差も小さくでき、したがって空隙距離を小さくできる。
【0013】
また、口出し部に設けた3相のランド内の2相のランドは、前記2相の配線パターンをプリント基板の内層面に配設してスルーホールメッキにより前記プリント基板表面に配設した内転型モータおよび、プリント基板の環状部の異なる内層面に設けた2相の配線パターンは中性点用のランドを跨いで通過させ口出し部の各相ランドに接続した内転型モータでは、各相の配線パターンを独立した層(表層または内層)に配設できるとともに、異なる2相の配線パターンを中性点用のランドを跨いで通過させるので各相ランド間の距離を小さくでき、口出し部の幅を小さくできる。
【0014】
また、モータ内に電磁ブレーキを備え、前記電磁ブレーキのブレーキ口出し線をプリント基板の口出し部に独立して設けたブレーキ用ランドに接続した内転型モータでは、口出し部の保護に加えて、モータ口出し線と電磁ブレーキのブレーキ口出し線を1つの口出し部から引き出すことができる。
【0015】
また、複数の口出し線を1本にまとめたキャブタイヤケーブルとした内転型モータでは、リードパッキンとキャブタイヤケーブルの密着性を向上させることができる。また、リードパッキンに対して口出し線の挿入作業が容易となる。
【0016】
さらに、プリント基板の口出し部を外力からサポートする突起部と、リードパッキンと嵌合する凸部をリードフィクサに設けた内転型モータでは、リードフィクサに設けた突起部が、薄くて機械的強度の小さいプリント基板の口出し部を外力から保護する。また、凸
部によりリードパッキンをリードフィクサ内に容易に収納装着できるのでリードフィクサをフレームに強固に固定し、密封することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図を参照しながら説明する。
【0018】
(実施例1)
実施例1について図1から図7を用いて説明する。
【0019】
図1において、1は固定子で、固定子鉄心の磁極部に集中巻線を施したコイルをプリント基板により結線している。2は表面に永久磁石を配設したロータ、3および4はブラケットで、軸受を介してロータ2を回転自在に支承する。5は固定子1の外周部を保持するフレーム、6はロータリエンコーダ部、7はモータの口出し線(3本の口出し線を1本にまとめたキャブタイヤケーブル)で、プリント基板により固定子1のU、V、W相のコイルにそれぞれ接続される。8は合成樹脂製のリードフィクサで、プリント基板の口出し部と口出し線7を保護してフレーム5に固定する。リードフィクサ8には、プリント基板の口出し部をサポートする突起部8aと、リードパッキン9と嵌合する凸部8bを内周部に備えている。リードパッキン9は口出し線7が貫通する孔部を備え、リードフィクサ8に収納される。
【0020】
固定子1は、図2に示すように積層した固定子鉄心1aの各磁極部に集中巻線を施したコイル1bの巻始めと巻終わりを、インシュレータ1cに圧入装着したピン端子1dに個別に巻き付け、半田付けにて係止した後、プリント基板1eの所定スルーホールにピン端子1dを挿入して半田付けにより接続して得られる。
【0021】
ここで、プリント基板1eについて、詳細に説明する。図3から図6は、プリント基板1eの各層に設けた配線パターンの一例(3相、4コイル並列)を示しており、プリント基板1eの1層目(図3)と4層目(図6)を表層面に、2層目(図4)と3層目(図5)を内層面に配設して各層の所定孔部をスルーホールメッキで接続して4層配線基板を構成している。そして、1層目から3層目パターンまでがV、W、U相の配線パターンで、各相コイルの巻始めに接続され、4層目パターンを各相コイルのすべての巻終わりと接続してY型結線の中性点パターン(パターンは透視した図で本来は点線)としており、4コイル並列、3相Y型結線を可能としている。
【0022】
また、プリント基板1eは、3相コイルを結線するドーナツ型の環状部11と口出し線を取り付ける口出し部12を一体で構成しており、この口出し部12に3相の口出し線を取り付ける各相ランド(U、V、W相ランド)を設けている。口出し部12はフレーム端部の切欠部からモータ外周(フレーム)に突出するように寸法設定している。このため切欠部の円周方向の幅寸法は、プリント基板の環状部11に配設した3相分のピン端子間の距離以上に必要となり、モータ外周部に設ける保護構造(突起部)が大きくなる。
【0023】
この口出し部12の幅寸法を抑制するために、環状部11のV相パターンを口出し部12まで引き出してV相用口出し線のV相ランドを表層面に配設(図3)、残りのU相、W相については、内層面を用いてV相のピン端子とその両脇にある中性点用のピン端子間の空きスペースを利用して口出し部まで引き出しU相ランド、W相ランドを配設(図4、図5)、3相ともスルーホール孔をスルーホールメッキして表層面の各ランドと接続している。その結果、安全規格を遵守した相間距離と相パターン幅を確保しながら、プリント基板の口出し部の幅寸法を抑 制することができる。
【0024】
さらに、表層面に配置した中性点パターン面をコイルエンドに対向させて取り付ける。
つまりコイルエンド(巻終わり付近)と巻終わりの中性点とが対向するように取り付ければ電位差を小さくでき、プリント基板とコイルエンドとの空隙を小さくできる。
【0025】
次にモータの組立工程について説明する。まず、固定子1のプリント基板1eの口出し部12にフレーム5の端部に設けた切欠部に合わせて、フレーム5を固定子鉄心の外周部に焼きばめして固定する。次にロータ2の反出力軸側の回転軸をブラケット3に固定した軸受を貫通させ、フレーム5に取り付けた固定子1内に挿入する。次に、ロータ2の出力軸側の回転軸に軸受を取り付け、さらにブラケット4を装着し、通しボルトにてブラケット3、フレーム5、ブラケット4を一体に固定してモータ本体が完成する。
【0026】
そして、エンコーダを精度よく取り付けるため、ブラケット3のエンコーダ取付面を回転軸基準にして切削加工した後、ロータリエンコーダ部6をモータ本体のエンコーダ取付面に組み付ける。
【0027】
最後に、リードパッキン9を貫通させた口出し線7を、プリント基板の口出し部12の所定ランドに半田付けにて接続した後、リードフィクサ8をフレーム5の外周部にビスで固定することで、口出し部と口出し線を密封した保護構造のモータが完成する。
【0028】
このとき、口出し線7をキャブタイヤケーブルとしたので、リードパッキン9の孔部を容易に貫通することができる。
【0029】
また、口出し線7が引っ張られてもリードフィクサ8に設けた突起部8aで、薄くて機械的強度の足りないプリント基板の口出し部12を外力から保護、凸部
8bはリードパッキン9に嵌合してリードフィクサ8内に位置決めして収納できる。これにより、保持強度と密封度を向上させることができる。
【0030】
このように、最終工程まで口出し線がない状態で製造工程を流せるため、取り扱いが容易で、製造工程途中における口出し線の被覆に対する傷や圧痕などの発生を防止できる。
【0031】
なお、プリント基板の配線パターンを3相、4コイルの固定子で説明したが、4コイルに限定するものではなく、また、中性点パターンを一方の表層面に配置してコイルエンドに対向させればよく、プリント基板の表層面や内層面における配線パターン(U、V、W相)の順番を限定するものではない。
【0032】
(実施例2)
次に、電磁ブレーキをモータに内蔵した実施例2について説明する。実施例1と同一機能の要素部品には同じ番号を付与し、相違点を中心に説明する。
【0033】
図7、図8において、実施例1と異なるのは、モータ内部に電磁ブレーキ15を配設した点で、電磁ブレーキ15のブレーキコイルなどの固定部はブラケット3側に、電磁ブレーキ15のブレーキハブなどの回転部はロータ2の回転軸に取り付けている。そして、プリント基板の口出し部12に、電磁ブレーキ15のブレーキリード線16とブレーキ口出し線を別々に半田付けするためのブレーキ用ランド17、18を3相ランドの横に個別に備えている。このため、口出し部12の幅が実施例1に比べてブレーキ用ランド17、18を設けた分だけ広くなり、フレーム5の切欠部5aも実施例1より広く設定する必要がある。また、リードフィクサ8とリードパッキン9も口出し線および口出し部の寸法変更に合わせて寸法変更する必要がある。
【0034】
なお、電磁ブレーキを内蔵した場合、モータ口出し線とブレーキ口出し線を一緒にしたキャブタイヤケーブルを口出し線としてもよい。
【0035】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、プリント基板の口出し部をモータフレーム外側に配設したので、口出し線の取付作業を最終工程にでき、作業性と信頼性を向上できる。さらに、口出し部および口出し線を貫通したリードパッキンをリードフィクサで包含するようにフレームに固定するので、水や粉塵に対して有効な密封された保護構造が得られる。
【0036】
また、プリント基板の口出し部の幅を小さくでき、モータ外周部の突起部を小さくできる。
【0037】
また、請求項2記載の発明によれば、モータ口出し線とブレーキ口出し線を1つの口出し部から引き出すことができるので、小型で水や粉塵に対して有効な密封された保護構造が得られる。
【0038】
さらに、請求項3記載の発明によれば、リードフィクサに設けた突起部および凹部により口出し部と口出し線の保持強度と密封度を向上させることができる。
【0039】
したがって、口出し線接続部の信頼性を向上させることができ、モータ組立作業を簡素化して工数を低減し、水や粉塵に対しても有効な保護構造をもつ内転型モータを小型で安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における内転型モータの断面図
【図2】 本発明の実施例1における固定子の断面図
【図3】 本発明の実施例1のプリント基板における1層目パターンを示す図(V相の配線図)
【図4】 本発明の実施例1のプリント基板における2層目パターンを示す図(W相の配線図)
【図5】 本発明の実施例1のプリント基板における3層目パターンを示す図(U相の配線図)
【図6】 本発明の実施例1のプリント基板における4層目パターンを示す図(中性点の配線図)
【図7】 本発明の実施例2における電磁ブレーキ内蔵モータの断面図
【図8】 本発明の実施例2における固定子の平面図
【図9】 従来の内転型モータの断面図
【図10】 従来の内転型モータにおける固定子の平面図
【符号の説明】
1a 固定子鉄心
1b コイル
1c インシュレータ
1d ピン端子
1e プリント基板
5 フレーム
5a 切欠部
7 口出し線
8 リードフィクサ
8a 突起部
8b 凸部
9 リードパッキン
11 環状部
12 口出し部
15 電磁ブレーキ
16 ブレーキリード線
17、18 ブレーキ用ランド
U、V、W 相ランド
Claims (3)
- 固定子鉄心の磁極部に集中巻線を施したコイルをプリント基板により結線する内転型モータにおいて、コイルを固定子鉄心と電気的に絶縁するインシュレータの片側に配設され前記コイルの巻始めと巻終わりを個別に係止するピン端子と、前記ピン端子を貫通させて配線パターンに半田接続する環状部、前記環状部の3相(U、V、W)コイルと接続した3相の銅箔接続端子(ランド)を設けた口出し部、前記環状部と口出し部とを一体で形成したプリント基板と、固定子鉄心を保持し前記プリント基板の口出し部をモータ外に引き出すための切欠部を設けたフレームと、前記口出し部のランドに半田接続する口出し線と、前記口出し部を包含し前記フレームに固定する合成樹脂製のリードフィクサと、前記フレームと前記リードフィクサの間に配置され前記口出し線を貫通して前記リードフィクサ内部を密封するリードパッキンとを備え、前記プリント基板の環状部の異なる内層面に設けた2相の配線パターンは中性点用のランドを跨いで通過させて口出し部の各相ランドに接続することにより、前記口出し部の幅を抑制したことを特徴とする内転型モータ。
- モータ内に電磁ブレーキを備え、前記電磁ブレーキのブレーキ口出し線をプリント基板の口出し部に独立して設けたブレーキ用ランドに接続した請求項1に記載の内転型モータ。
- プリント基板の口出し部を外力からサポートする突起部と、リードパッキンと嵌合する凸部をリードフィクサに設けた請求項1に記載の内転型モータ。
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