しかしながら、搬送ベルト上にパージを行う方法では、パージ後に搬送ベルトを十分に清掃する必要がある。該搬送ベルトを一方向に払拭する清掃方法を用いた場合には、十分に汚れが取れないなどの問題が起こり得る。清掃が不十分なままで搬送ベルトを使用すると、用紙の裏写りなど、印字結果の印字品質を劣化させる場合がある。
特許文献1に開示されたシート搬送装置及び画像形成録装置では、予備吐出などのメンテナンス動作について開示されていない。
特許文献2に記載されたインクジェット記録装置では、記録ヘッドと等しい数の清掃手段を備えるために、記録ヘッドや清掃手段が大型化してしまうとともに、該清掃手段及び搬送手段の制御が複雑になってしまう。
特許文献3に記載された画像形成装置では、搬送ベルト上に大きな開口があり、用紙浮きを防止するために必要な吸着力が得られない。
特許文献4に記載されたプリンターは、搬送ベルト上にインク受容部材を保持するホルダーがあるために、プリンターヘッドを退避させる必要がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、被吐出媒体を保持するベルト上に吐出された液滴を確実に除去できる液滴吐出装置及び画像形成装置並びに予備吐出方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、液滴を吐出させる吐出孔が設けられた吐出ヘッドと、前記吐出ヘッド及び被吐出媒体のうち少なくとも一方を前記被吐出媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記吐出ヘッドと前記被吐出媒体を相対的に移動させる搬送手段と、を備えた液滴吐出装置であって、前記吐出ヘッドの吐出孔形成面と対向する吐出領域において前記被吐出媒体を保持するベルトの被記録媒体を保持する面には、予備吐出の際に前記吐出ヘッドから吐出される液滴を受け、該液滴を吸収する吸収部材を含むパージ領域が設けられ、前記被吐出媒体間と前記パージ領域との位置合わせを行う位置合わせ手段と、前記吐出ヘッドの吐出モードを切り換える吐出モード切換手段と、前記吐出ヘッドの吐出モードに応じて前記パージ領域に前記被吐出媒体を置くか否かを判定する判定部と、を備え、前記位置合わせ手段は、前記判定部の判定結果に応じて前記パージ領域の位置を合わせることを特徴としている。
即ち、液滴を吸収する吸収部材から成るパージ領域がベルト上に設けられ、該パージ領域が被吐出媒体(用紙)間に位置されるようパージ領域の位置(ベルトの位相)合わせが行われる。したがって、該パージ領域に予備吐出(パージ)をすることができる。連続吐出中でも被吐出媒体間にパージを行うことができ、生産性が向上に寄与する。
また、パージ領域は予備吐出時の液滴受けとなり、パージのために被吐出媒体の無駄な消費がない。更に、パージ領域は液滴を吸収する吸収部材で構成されるので、ベルトの他の部分の汚れを防止できる。
吐出ヘッドは、被吐出媒体搬送方向に略直交する方向の液滴吐出可能領域の全域にわたってインク吐出孔(ノズル開口)が配置されている吐出ヘッドでもよいし、短尺の吐出ヘッドを被吐出媒体搬送方向に略直交する方向に移動しながら液滴を吐出させる吐出ヘッドでもよい。
被吐出媒体には、被記録媒体、記録メディア(単にメディア)と呼ばれる媒体を含み、吐出ヘッドによってインク、薬液及び処理液等の液滴が吐出される媒体であり、紙類、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
搬送手段は、固定された吐出ヘッドに対して被吐出媒体を移動させてもよいし、被吐出媒体を固定させて吐出ヘッドを移動させてもよい。
予備吐出(パージ)には、吐出不良を防止するために定期的のダミー吐出(つば吐き)させる態様や、吐出不良が検出された際にダミー吐出を行う態様など、吐出孔のメンテナンスの目的で行われる吐出が含まれている。
被吐出媒体の少なくとも先端又は後端がパージ領域上に配置されないように、位置合わせ手段により位置合わせ(位相合わせ)を行う態様が好ましい。
吸収部材は、該吸収部材上に液滴が着弾すると該液滴が所定の時間で該部材内に浸透するものを含んでおり、単一の材質で構成されてもよいし、複数の材質で構成されてもよい。また、該吸収部材は伸縮しない材質であることが好ましい。更に、該吸収部材は繰り返し使用できる材質であることが好ましく、該吸収部材に吸収された液を回収でき、該吸収部材を再利用可能な材質であることが好ましい。該吸収部材には多孔質部材や不織布などを適用できる。
パージ領域は、無端ベルトに所定の間隔をおいて設けてもよい。
パージ領域とベルトとの段差ができるだけ防止されるように、パージ領域と搬送ベルトとを接合するとよい。
該ベルト(被吐出媒体)と吐出ヘッドの被吐出媒体に対向する面との間隔を一定に保つことは、吐出結果の品質を確保する上で重要であり、該ベルトの被吐出媒体保持面(搬送面)は平面性が保たれる態様が好ましい。
位置合わせ手段には、ベルト上のパージ領域を検出するパージ領域検出手段や、被吐出媒体の位置を検出する被吐出媒体検出手段、ベルトの速度を検出する速度検出手段などを含んでいてもよい。
請求項2に示すように、請求項1記載の発明において、前記ベルトは、その支持体が液滴を吸収する吸収部材から成ることを特徴としている。
即ち、ベルトの支持体が吸収部材から成るので、該ベルトの構造を簡略化することができる。例えば、パージ領域ではベルト支持体(芯材)をそのまま(むき出しで)使用し、パージ領域以外の領域ではベルト支持体表面に適切なコーティングを行ってもよいし、他の材質からなる部材を貼り合わせてもよい。
なお、ベルトは、所定の強度、伸縮性能(伸びない性質)を有する必要があり、該支持体を金属や樹脂などで補強されていてもよい。
また、請求項3に示すように、請求項1又は2記載の発明において、前記ベルトは複数の前記パージ領域を備え、複数の前記パージ領域は使用頻度の高い用紙サイズに合わせた間隔で配置されることを特徴としている。
即ち、被吐出媒体の間隔を小さくすることができ、生産性が向上する。また、被吐出媒体の搬送領域を大きくとることができるので、大サイズ被吐出媒体の搬送性能が向上する。
パージ領域の配置間隔は、最も使用頻度の高い被吐出媒体サイズに合わせてもよいし、最も使用頻度の高い被吐出媒体サイズと、2番目に使用頻度の高い被吐出媒体サイズの最小公倍数に合わせてもよい。また、パージ領域の配置間隔内に被吐出媒体を複数配置できるようにしてもよい。また、すべてのパージ領域配置間隔を同じにする必要はなく、複数の異なるパージ領域配置間隔を備えてもよい。
パージ領域と該パージ領域以外の領域と接合させる態様は、ベルトの被吐出媒体保持面にパージ領域部材をはめ込む態様を適用してもよい。
請求項4に示すように、請求項1、2又は3記載の発明において、前記パージ領域の前記吐出ヘッドの吐出孔形成面に対向する面と前記吐出ヘッドの吐出孔形成面とのクリアランスは、前記ベルトの被吐出媒体保持面と前記吐出ヘッドの前記吐出孔形成面とのクリアランス範囲内であることを特徴としている。
即ち、パージ領域の吐出ヘッドと対向する面と吐出ヘッドの吐出孔形成面とのクリアランスをベルトの被吐出媒体搬送領域における吐出ヘッドのクリアランス範囲内にすることで、該パージ領域と吐出ヘッドの吐出孔形成面との干渉を防止できる。
特に、吸収した液滴によってパージ領域が膨潤している場合には吐出ヘッドとの距離が小さくなることがあり、この場合にも吐出ヘッドの吐出孔形成面との距離を保つ必要がある。膨潤時のパージ領域の厚さや、パージ領域と吐出ヘッドとの距離を検出する検出手段を備えてもよい。
また、請求項5に示すように、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の発明において、前記パージ領域の清掃を行うパージ領域清掃手段を備えたことを特徴としている。
即ち、インク滴等を吸収したパージ領域は、パージ領域清掃手段により清掃されるように構成したので、パージ領域は交換等のメンテナンスが不要である。
清掃には、パージ領域から液滴を除去する吸液除去や、表面の汚れや付着物を拭き取る払拭除去などがある。吸液除去に用いられる吸液手段は、パージ領域に用いられている吸収部材より更に吸収性能がよい部材でもよいし、強制的に吸引を行うポンプ等でもよい。また、パージ領域を乾燥させてもよい。
また、請求項6に示すように、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の発明において、非吐出時にはメンテナンス部材に予備吐出を行うよう制御する吐出制御手段を備えることを特徴としている。
即ち、非吐出時にはメンテナンス部材にパージをするように制御されるので、パージ領域の部材やパージ領域清掃手段に用いられる部材の負荷を低減でき、これらの部材の長寿命化を図ることができる。
非吐出時には、吐出データが送られていない期間(休止期間)や電源オンから最初の吐出データによる印字が開始されるまでの期間及び、インクジェット記録装置などの画像形成(記録)装置においてある画像の印字が終了し、次に異なる画像を印字する場合のインターバル期間などを含んでいる。また、非吐出時には、吐出データに基づいて被吐出媒体上への吐出を行わない期間を含んでいてもよい。
メンテナンス部材には、キャップを用いてもよいし、他の部材を用いてもよい。
吐出制御手段による吐出制御には、吐出時においてパージ領域にパージを行う制御が含まれていてもよい。
前記位置合わせ手段が、前記パージ領域上に前記被吐出媒体を置かないよう前記パージ領域の位置を合わせる態様は好ましい。
即ち、パージ領域で被吐出媒体を搬送しないようにパージ領域の位置(ベルトの位相)が制御されるので、被吐出媒体を確実に吸着することができる。
また、前記目的を達成するために請求項7に係る発明は、インクを吐出させる吐出孔が設けられた記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を前記被記録媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対的に移動させる搬送手段と、を備えた画像形成装置であって、前記記録ヘッドの吐出孔形成面と対向する印字領域において前記被記録媒体を保持するベルトの被記録媒体を保持する面には、予備吐出の際に前記記録ヘッドから吐出されるインクを受け、該インクを吸収する吸収部材を含むパージ領域が設けられ、前記被記録媒体と前記パージ領域との位置合わせを行う位置合わせ手段を備え、前記パージ領域は、前記被記録媒体を保持する保持領域を囲み、縁なし印字時の余剰インク受け領域と兼用されることを特徴としている。
即ち、ベルト上に設けられ、液滴を吸収する吸収部材から成るパージ領域が、被記録媒体間に位置されるようパージ領域の位置(ベルトの位相)合わせが行われる。したがって、該パージ領域に予備吐出をすることができ、連続プリントでも被記録媒体間にパージが可能であり、生産性が向上に寄与する。また、パージ領域と縁なし印字(全画面印字)時の余剰インク受け領域と兼用(共通化)することで、搬送ベルトの構造を簡略化でき、縁なしプリント時のインクの裏周りがない。
また、パージ領域は液滴を吸収する吸収部材で構成されるので、ベルトの他の部分の汚れを防止できる。
記録ヘッドは、被記録媒体搬送方向に略直交する方向の印字可能領域の全域にわたってインク吐出孔(ノズル開口)が配置されているフルライン型の記録ヘッドでもよいし、短尺の吐出ヘッドを被記録媒体搬送方向に略直交する方向に移動しながらインク滴を吐出させるシャトルスキャン型記録ヘッドでもよい。
被記録媒体は、記録ヘッドによって印字を受ける媒体(被画像形成媒体)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。もちろん、被記録媒体に請求項1乃至7に記載された被吐出媒体を含んでいてもよい。
なお、本明細書において「印字」という用語は、文字の形成のみならず、文字を含む広い意味での画像を形成する概念を表すものとする。
また、請求項8に示すように、請求項7記載の発明において、前記ベルトは、その支持体が液滴を吸収する吸収部材から成ることを特徴としている。
また、請求項9に示すように、請求項7又は8記載の発明において、前記ベルトは複数の前記パージ領域を備え、複数の前記パージ領域は使用頻度の高い被記録媒体のサイズに合わせた間隔で配置されることを特徴としている。また、請求項10に示すように、請求項7、8又は9記載の発明において、前記パージ領域の前記吐出ヘッドの吐出孔形成面に対向する面と前記吐出ヘッドの吐出孔形成面とのクリアランスは、前記ベルトの被吐出媒体保持面と前記吐出ヘッドの前記吐出孔形成面とのクリアランス範囲内であることを特徴としている。
また、請求項11に示すように、請求項7乃至10のうち何れか1項に記載の発明において、前記パージ領域の清掃を行うパージ領域清掃手段を備えたことを特徴としている。また、請求項12に示すように、請求項7乃至11のうち何れか1項に記載の発明において、非吐出時にはメンテナンス部材に予備吐出を行うよう制御する吐出制御手段を備えることを特徴としている。また、請求項13に示すように、請求項7乃至12のうち何れか1項に記載の発明において、前記記録ヘッドの吐出モードを切り換える吐出モード切換手段と、前記記録ヘッドの吐出モードに応じて前記パージ領域に前記被記録媒体を置くか否かを判定する判定部を備え、前記位置合わせ手段は、前記判定部の判定結果に応じて前記パージ領域の位置を合わせることを特徴としている。
また、本発明は前記目的を達成する方法発明を提供する。即ち、請求項14に係る発明は、液滴を吐出させる吐出孔が設けられた吐出ヘッドと、前記被吐出媒体及び前記吐出ヘッドのうち少なくとも一方を前記被吐出媒体の幅方向と略直交する方向に搬送し、前記被吐出媒体と前記吐出ヘッドとを相対的に移動させる搬送手段と、を備えた液滴吐出装置における予備吐出方法であって、前記吐出ヘッドと前記被吐出媒体とを相対的に移動させる移動工程と、前記吐出ヘッドの吐出孔形成面と対向する吐出領域において前記被吐出媒体を保持するベルトに備えられたパージ領域を検出するパージ領域検出工程と、前記パージ領域検出工程により該パージ領域が検出されると、該パージ領域に 予備吐出を行う予備吐出工程と、前記吐出ヘッドから吐出される液滴を前記パージ領域が有する吸収部材に吸収させる吸収工程と、前記吐出ヘッドの吐出モードを切り換える吐出モード切換工程と、前記吐出ヘッドの吐出モードに応じて前記パージ領域に前記被吐出媒体を置くか否かを判定する判定工程と、前記判定工程の判定結果に応じて前記パージ領域の位置を合わせる位置合わせ工程と、を含むことを特徴としている。
パージ領域検出工程では、センサ等により被吐出媒体を検出する被吐出媒体検出工程を設け、パージ領域が検出され、かつ、被吐出媒体が検出されていない場合に予備吐出を行うように制御してもよい。
また、予備吐出工程により汚れたパージ領域を清掃する清掃工程を備える態様が好ましい。
本発明によれば、被吐出媒体を保持するベルト上に液滴を吸収することができる吸収部材から成るパージ領域を設け、吐出ヘッドの吐出モードに応じて被吐出媒体間に該パージ領域がくるか或いは該パージ領域に被吐出媒体を置くか、被吐出媒体とパージ領域との位置(ベルトの位相)合わせが行われる。したがって、生産性が向上し、パージ用の被吐出媒体が無駄にならない。
また、ベルトの支持体を該吸収部材で構成すると該支持体をパージ領域として利用でき、ベルトの構造を簡略化できる。
パージ領域の間隔を使用頻度の高い被吐出媒体サイズに合わせることで、生産性の向上が見込まれ、被吐出媒体の搬送性能を向上させることができる。
液滴を吸収した膨潤時にも該パージ領域と吐出ヘッドとの間に所定のクリアランスが設けられていることが好ましい。
更に、パージ領域を清掃するパージ領域清掃手段を備える態様が好ましい。
非記録時にはキャップなどのメンテナンス部材にパージするように制御すると、パージ領域の部材や、パージ領域清掃部材の消耗を抑えることができる。
被記録媒体上にインクを吐出させる記録ヘッドを備えた画像形成装置において、印字領域で被記録媒体保持するベルトに吸収部材からなるパージ領域を備えると、連続プリント時にも被記録媒体間にパージができる。更に、パージ領域と縁なし印字時の余剰インク受け領域とを共用することで、搬送ベルト内を効率よく使用することができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色ごとに設けられた複数の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印字済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。本実施形態では、エアーによる吸着搬送を例示したが、静電気等による吸着搬送も可能である。
また、ベルト33の記録紙16保持面側には、パージを行う際のインク受け領域であるパージ領域(図1には不図示、図6中符号100として図示)と、記録紙16を吸着保持可能な吸着領域(図1には不図示、図6中符号105として図示)と、備えている。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図1中不図示、図5中符号88として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。なお、ベルト33の詳細は後述する。
全画面(縁なし)プリント等を印字するとベルト33上の余剰インク受け領域(図1には不図示、図11に符号140として図示)にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。詳細な構造例は後述するが、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、図2に示したように、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出孔(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の送り方向(以下、紙搬送方向という。)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K,12C,12M,12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる印字部12によれば、副走査方向について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
本実施形態では、ベルト33に吸着された記録紙16が移動する態様を例示したが、固定された記録紙16上を印字ヘッドが移動してもよいし、印字ヘッド12K,12C,12M,12Y及び記録紙16の両方が移動してもよい。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは不図示の管路を介して各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。また、印字検出部24には、打滴されたドットに光を照射させる光源(不図示)を備えている。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排紙部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り替える不図示の選別手段が設けられている。
また、図1には示さないが、本画像の排紙部26Aには、オーダ別に画像を集積するソーターが設けられる。
本インクジェット記録装置10は、吸着ベルト搬送部22の前段に備えられ、記録紙16の有無を検出する記録紙検出部47を有している。記録紙検出部47は、発光部及び受光部から構成され、該発光部から出て該受光部へ入る光が記録紙16によって遮断されると、記録紙16は記録紙検出部47の検出領域内に位置すると判断される。
なお、発光部から出され記録紙16によって反射された光を受光部にて受け取る反射型センサを用いてもよい。もちろん、記録紙検出部47は印字検出部24と同一構成を有していてもよい。
給紙部18から給紙された記録紙16は、搬送ローラ48を介して記録紙検出部47の検出領域へ搬送され、記録紙検出部47の検出領域を通過すると、ベルト吸着搬送部22の直前に設定された所定の待機位置49で停止する。図1に示す搬送ローラ48は搬送方向上流側或いは下流側の何れか一方のローラが駆動ローラとして機能し、他方のローラが従動ローラとして機能する。
このようにして、記録紙16は吸着ベルト搬送部22による搬送が行われる前に位置合わせが行われる。
また、図1には図示しないが、記録紙16が搬送される領域では、記録紙16があるか否かを検出するセンサなどの用紙検出手段が適宜備えられている。例えば、印字領域に記録紙16があるか否かを検出する用紙センサ、用紙搬送路上でのスキュー(記録紙16に搬送方向曲がり)を検出するスキューセンサや、各処理部の直前で記録紙16を検出するセンサ等がある。用紙検出手段の他に、ベルト33のパージ領域を検出するパージ領域検出部(図1には不図示、図5、図6中符号102として図示)や、熱処理を行う処理部における温度センサなど様々なセンサ(検出手段)が設けられている。
次に、印字ヘッド50の構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して印字ヘッド50と記載する。
印字ヘッド50には複数のインク吐出孔(ノズル開口)51が設けられている。記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるインク吐出孔の配置間隔(ノズルピッチ)を高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図3に示したように、インク滴が吐出するノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。なお、図3は、インク室ユニット53の立体的構成を示す断面図である。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。
圧力室52の天面を構成している加圧板56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
なお、本発明の実施に際してインク吐出孔51の配置構造は上述した態様に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
図4はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
インク供給タンク60はインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図4に示したように、インク供給タンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図4には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパ効果及びリフィルを改善する機能を有する。
サブタンクにより内圧を制御する態様には、大気開放されたサブタンクと印字ヘッド50内のインク室ユニット53とのインク水位の差により圧力室ユニット53内の内圧を制御する態様や、密閉されたサブタンクに接続されたポンプによりサブタンク及びインク室52の内圧を制御する態様などがあり、何れの態様を適用してもよい。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル51近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面の清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出(ダミー吐出、つば吐き)が行われる。
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
図5はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データや各種設定情報(印字品質、印字枚数、記録紙サイズ等)を受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。なお、図5にはモータドライバ76及びモータ88のみ示したが、システムコントローラ72は複数のモータドライバ及びモータ(例えば、吸着ベルト搬送部22の駆動ローラを駆動するモータ、該モータを制御するモータドライバ)を制御している。
また、ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データや画質設定等のパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図5において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
本インクジェット記録装置10では、印字モード設定部90(吐出モード切換手段)によって高速モード(ドラフトモード)及び高画質モード(推奨モード)を設定する(高速モードと高画質モードとを切り換える)ことができる。印字モード設定部90は設定された印字モードを示す信号をプリント制御部80に送出し、プリント制御部80では、設定された印字モードに従いヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50の吐出制御が行われる。
印字モード設定部90には、スイッチ部材を適用してもよいし、キーボードやタッチパネル式表示装置など、マンマシンインターフェイスを介してソフトウエア上から設定するように構成してもよい。もちろん、印字モード情報をホストコンピュータ86から印字データに付随して送られるように構成してもよい。
また、インクジェット記録装置10には、用紙搬送路上などに配置され、記録紙16の有無を検出するセンサなど、様々なセンサ(検出器)が各部に設けられている。これらのセンサから送られる検出信号は、センサの出力に応じたインターフェース回路を介して、システムコントローラ72等の制御部に送られ、該検出信号に応じた処理や制御が実行される。
図5には、上述したセンサのうち、図1に示す記録紙検出部47と、パージ領域検出部102を示す。記録紙検出部47及びパージ領域検出部102から得られた検出信号はシステムコントローラ72に送られ、該検出信号に基づいて吸着ベルト搬送部22の搬送制御(位相合わせ)や吐出制御(パージ制御)が行われる。
〔予備吐出(パージ)制御〕
インクジェット記録装置10は、図4を用いて説明したように、各ノズルのインク吐出孔付近に形成される増粘インクを除去する等の目的で定期的にパージを実行する。パージでは、図4に示したキャップ64に増粘インクを吐出させてもよいし、ベルト33に設けられたパージ領域100に増粘インクを吐出させてもよい。以下に、インクジェット記録装置10におけるパージ制御について説明する。
図6は、図1に示したベルト33の詳細を示した図である。ベルト33には、ベルト33の全幅にわたり、記録紙の搬送方向には少なくとも1ライン分の打滴に必要な長さを有する、パージ時のインク滴受け領域であるパージ領域100、記録紙16を吸着保持可能な吸着領域105が設けられている。図6には、パージ領域100及び吸着領域105がベルト33と同じ幅を持つ態様を例示したが、パージ領域100の幅及び吸着領域105の幅はベルト33の幅より小さくてもよい。
パージ領域100の間隔(即ち、吸着領域105の搬送方向に沿った長さ)は、記録紙16のサイズに合わせて決められている。例えば、記録紙16の最大サイズに合わせて決められてもよいし、最も使用頻度の高い記録紙16のサイズに合わせて決められてもよい。また、最も使用頻度の高いサイズと2番目に使用頻度の高いサイズとの最小公倍数に決められてもよいし、他の態様でもよい。更に、この領域には、記録紙16を1枚置くようにしてもよいし、複数枚置くようにしてもよい。
パージ領域100は、不織布などの液滴吸収性がよい吸収部材(図7の符号110)により構成されている。パージ領域100に用いられる吸収部材は、ベルト33の搬送性能(搬送精度、搬送速度等)を確保するために伸縮しない材質を用いる必要がある。所定の強度及び伸縮性能を確保するために、パージ領域100全体や縁部分等を補強してもよい。
なお、ベルト33のパージ領域100以外の領域はポリイミドや金属、樹脂などの部材が用いられる。また、吸着領域105において記録紙16を吸着保持する態様は、吸着領域に多数の吸引口を備えてポンプ等によってエアー吸着する態様でもよいし、静電気によって記録紙16を吸着してもよい。
また、ベルト33の位相を検出するためのパージ領域検出センサを含むパージ領域検出部102が備えられており、パージ領域検出部102によりパージ領域100が検出されると、検出信号が図5に示したシステムコントローラ72に送られる。
パージ領域検出部102は、ベルト33により反射される光の強度の違いによりパージ領域100と他の領域とを識別してもよいし、他の方式のセンサを用いてもよい。パージ領域100は、パージ領域検出部102により検出し易くするために、他の部分との反射率の差が大きくなるように構成してもよいし、同系色で表面粗さを変えてもよい。
なお、図6にはパージ領域検出部102を1つ設ける態様を示したが、パージ領域検出部102を複数設けてもよい。また、本例では、パージ領域検出部102を印字ヘッド50からインクの吐出を受ける側と反対側に備える態様を示したが、パージ領域検出部102を図6に破線で示す符号102’の位置に備えてもよい。
システムコントローラ72では、プリント実行時のパージにおいてパージ領域100を検出した検出信号を受け取ると、パージ領域100に各吐出孔からインクや処理液等を吐出させる。パージ領域100の吸収部材に吸収されたインク等は、図1に示したベルト清掃部36により除去される。ベルト清掃部36は、該吸収部材より更に吸収性の高いクリーニングロールを用いて、該吸収部材と該クリーニングロールとの浸透圧の違いより吸液除去する態様を適用してもよいし、ポンプを用いて吸引除去を行う態様を用いてもよい。
また、吸着チャンバ34の吸引力によって吸引除去する態様でもよい。
更に、清掃液により清掃を行う態様を適用してもよい。本実施形態では、ベルト33の清掃手段とパージ領域100の清掃手段とを兼用する態様を例示したが、これらを別々に備えてもよい。
図7は、パージ領域100に用いられる吸収部材110の断面を示した図である。吸収部材110は接着剤112によってベルト33に接合される。また、吸収部材110の強度を保つために、ステンレス等の金属メッシュ材114が吸収部材110の下部に備えられている。また、吸収部材110(例えば不織布)の保水力にフィルタの保水力がプラスされ保持できるインクの量が増加する。
吸収部材110の清掃は図1に示したベルト清掃部36(例えば、ポンプ等の吸引手段)を利用できる。
吸収部材110にスポンジを用い、該スポンジの気孔径を連続的に変化させてパージされたインクを内部に素早く吸収するようにしてもよい。このように構成するとインクが素早く吸収部材110に吸収されるので、吸収部材110上に記録紙16が置かれたとしても裏移りしない。
一般に、スポンジは、インクのパージ量に比べてインクの保水量が大きいため、ベルト33によって屈曲されてもインクが漏れ出すことがない。
図8及び図9は、パージ領域100における搬送ベルト支持体(芯体)と吸収部材104との接合例を示している。図8は、印字ヘッド50側からベルト33の記録紙16保持面側を見た図であり、図9は、その立体的構成を示す断面図(図8中9−9線に沿う断面図)である。
単にベルト33の支持体上にパージ領域100として機能する吸収部材104を貼り付けると、パージ領域100とベルト33との間に段差ができる。したがって、パージ領域100では、印字ヘッド50との間に所定のクリアランスを確保することができなくなるために、パージ領域100には記録紙16を置かないようにベルト33の位相を制御する必要があり、好ましくない。更に、吸収部材104が吸収したインクにより膨潤されると、パージ領域100と印字ヘッド50との間は所定のクリアランスが確保できなくなるので、パージ領域100と印字ヘッド50との距離は、パージ領域100の膨潤時を考慮して決められる。
一方、図8及び図9に示した、ベルト33に吸収部材104をはめ込んで接合するはめ込み式接合では、ベルト33とパージ領域100との間の段差を極力小さくすることができるので、印字モード(印字画質)によってはパージ領域100に記録紙16を配置することができる。但し、パージ領域100には、記録紙16の先端部又は後端部がかからないように制御することが好ましい。ベルト33とパージ領域100との段差の一例を挙げると、10数μm程度になり得るものもある。
例えば、写真画質(高画質)モードのときは、吸着ベルト搬送部22の制御を行なう搬送制御手段(システムコントローラ72)は、パージ領域100及びベルト33とパージ領域100との継ぎ目には記録紙16を載せないように制御し、高速(ドラフト)モードのときには、ベルト33とパージ領域100との継ぎ目に無関係に記録紙16を載せることができるように制御する。
即ち、図5に示すシステムコントローラ72は、印字モード(吐出モード)に応じて、パージ領域100上に記録紙16を置くか否かを判定する判定部として機能する。なお、システムコントローラ72に代わりプリント制御部80を該判定部に適用してもよいし、システムコントローラ72とプリント制御部80とを1つのプロセッサで兼用する態様では、該判定部にこのプロセッサを適用してもよい。
なお、図8及び図9は、あくまでもベルト33と吸収部材104との接合の一例としてはめ込み式接合を示したもので、ベルト33と吸収部材104とを接合する態様はこれに限定されず、パージ領域100が印字ヘッド50との所定のクリアランスが確保されるとともに、少なくとも印字領域において、パージ領域100を含んだベルト33の平面性が確保されればよい。
図8に示すように、ベルト33及び吸収部材104の接合部分を、互いに嵌合可能な凹凸形状とすると接合強度を強くすることができて好ましい。
図10は、ベルト33の支持体120に吸収部材を用いた態様を示している。パージ領域100以外の領域122には、記録紙16を搬送するために適したコート処理が施されている。ベルト33に要求される強度や伸縮性能を確保するために、支持体120は金属や樹脂などを用いて補強されていてもよい。また、他の部材と積層構造にしてもよい。
次に、本発明に係るインクジェット記録装置10におけるパージ制御について説明する。上述したように、インクジェット記録装置10では、ベルト33のパージ領域100及びキャップ64をインク受けとしてパージを実行することができる。
パージを行うタイミングは、ノズル稼働時間や打滴数、電源オンからの時間などに基づいて決められ、同一画像を複数印字する際の画像間や異なる印字データ間(プリントジョブ間)のインターバル期間に合わせて所定のタイミングで定期的にパージが実行される。インクジェット記録装置10では、プリント時に画像間において行われるパージでは、パージ領域100をインク受けとして用い、非プリント時のパージでは、キャップ64をインク受けとして用いる。このように制御すると、パージ領域100やベルト清掃部36の消耗を抑えることができ、寿命を延ばすことが可能になる。
即ち、システムコントローラ72からパージ実行指令が与えられ、パージ領域検出部102によってパージ領域100が検出されると、該当ノズル又は全ノズルのパージが実行される。但し、印字領域の記録紙16の有無を検出する記録紙検出手段(不図示)により、印字領域内に記録紙16が検出された場合には、パージを実行しないように制御してもよいし、印字領域内に記録紙16が検出された場合には、キャップ64を用いて
パージを実行するように制御してもよい。
なお、パージ時にパージ領域100を用いるか、或いはキャップ64を用いるかは、生産性や他の制御を考慮して任意に制御できる態様が好ましい。
パージ領域100を用いてパージを行う場合には、記録紙16にはカット紙を用いることが好ましい。ロール紙を用いる場合には、カッター28を用いて、パージ実行前にロール紙はカットされる。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10では、画像間に実行されるパージでは、ベルト33上に設けられたパージ領域100へインク滴を吐出させるように構成したので、プリントサイクルを落とすことなく、回復動作を行うことができる。なお、パージ領域100にインクを吐出させる際には、パージ領域検出部102を用いてパージ領域100を検出するとともに、記録紙16との位相合わせが行われる。
また、画像間だけでなく、異なる印字データ間のインターバル期間においてパージを実行する際にも、パージ領域100を利用してパージを実行することができる。
一方、電源オン時やノズルクリーニング時等に実行されるパージでは、キャップ64へインク滴を吐出するように制御する。即ち、キャップ64を用いたパージが可能であれば極力パージ領域100を用いたパージを行わないように制御されるので、パージ領域100やベルト清掃部36の寿命を延ばし得る。
ベルト33とパージ領域100とを接合する際には、段差が生じないように接合する態様が好ましい。また、パージ領域100の吸収部材(例えば符号104)がインクを吸収して膨潤した場合にも、印字ヘッド50とパージ領域100との距離が所定のクリアランスを確保されるように構成される。
なお、本実施形態では、記録紙16の幅(搬送方向と略直交する方向)に対応したベルト33を用いる態様を例示したが、ベルト33は記録紙16の幅方向について分割されていてもよいし、複数のベルトから構成されていてもよい。
次に、図11を用いてパージ領域100の変形例を説明する。図11中図6と同一又は類似する部分は同一の符号を付し、その説明は省略する。
図11では、全面画像(縁なし)印字時の余剰インク受け領域140と図6に示したパージ領域100とを共通化した態様を示している。
余剰インク受け領域140は、記録紙16がベルト33上に保持される用紙保持領域142を囲むように形成されている。また、余剰インク受け領域140は、図6に示したパージ領域100と同様に吸液性能を有する吸収部材により構成されている。
図11に示した変形例では、記録紙16の先端部及び後端部は余剰インク受け領域140上に乗ることになるので、記録紙16の先端部及び後端部を吸着させることができない。したがって、記録紙16を置く際には、記録紙16の先端部及び後端部のカールを取る処理を行ったり、記録紙16にカールしない用紙を用いたりする必要がある。
上述した変形例では、記録紙16は周囲を余剰インク受け領域140で囲まれるので、全面画像印字時にもインクの裏周りを防止することができる。用紙保持領域142は記録紙16と同一の大きさでもよいし、記録紙16よりも小さくしてもよい。但し、用紙保持領域142を記録紙16よりも小さくする場合には、記録紙16を確実に保持できるように構成する必要がある。
また、図6に示したパージ領域100において、ベルト33内部に設けられたポンプ等の吸引手段によって、吸収部材110上の余剰インクを吸い取るように構成された変形例も考えられる。
図12には、本インクジェット記録装置10に適用される予備吐出制御及び印字制御の流れを示すフローチャートである。
印字制御が開始されると(ステップS10)、印字モードが高画質モードであるか或いは高速モードであるかを判断し(ステップS11)、高画質モードの場合(YES判定)、記録紙16が吸着ベルト搬送部22の手前に供給され(ステップS12)、図1に示す記録紙検出部47がオン(即ち、記録紙16を検出)後、記録紙16は規定量1だけ送られて図1に示す待機位置49で停止する(図12のステップS14)。
なお、規定量1は記録紙検出部47の検出位置から待機位置49までの距離(記録紙16の移動量)である。
ロール紙を用いる態様では、記録紙16が規定量1だけ移動する間に所定のサイズにカットされる(ステップS16)。カット紙を用いる態様ではステップS16は省略される。
また、吸着ベルト搬送部22では、図5、図6に示すパージ領域検出部102によってパージ領域100の検出が行われ(図12のステップS18)、パージ領域100が検出されるとパージ領域100(ベルト33)が規定量2だけ移動したか否かが判断される(ステップS20)。
ステップS20において、パージ領域100の移動量が規定量2に満たない場合には(NO判定)、吸着ベルト搬送部22(ベルト33、パージ領域100)の移動が継続され、パージ領域100の移動量が規定量2になると(YES判定)、図1に示す待機位置49で待機している記録紙16の先端部とパージ領域100を含まない吸着領域105の搬送方向先端部との位置が互いに合った状態で吸着ベルト搬送部22が停止した後に、吸着ベルト搬送部22による記録紙16の搬送が開始される(ステップS22)。
ここで、規定量2はパージ領域100と記録紙16とがパージ領域上で干渉しないようにパージ領域100を移動させる(位相を制御する)移動量である。
このようにして、記録紙16がパージ領域100上及びパージ領域100の接合部分上に配置されないように記録紙16の位置合わせ及び吸着ベルト搬送部22の位相合わせが実行される(位相が制御される)。
記録紙16の搬送が開始されると、記録紙16(ベルト33)が規定量3だけ移動したか否かが判断され(ステップS24)、記録紙16の移動量が規定量3に満たない場合には(NO判定)、記録紙16の移動が継続され、記録紙16の移動量が規定量3になると(YES判定)、印字ヘッド50(印字ヘッド12K)からインクの吐出が開始され、記録紙16上には所望の画像が印字される(ステップS26)。
印字実行中には印刷枚数がカウントされ(ステップS28)、印刷枚数が所定の枚数(設定枚数)になると(YES判定)、印字が終了すると共に、当該印字制御は終了する(ステップS30)。
一方、印刷枚数が設定枚数に満たない場合には(NO判定)、各ノズルの使用状況がノズルチェック設定値であるか否かが判断される(ステップS32)。
本例では、ノズルチェック設定値には各ノズルの非稼動時間が適用される。即ち、使用されるインク、印字ヘッド50内及びその周辺の温度などに基づいて各ノズルの限界非稼働時間が決められる。なお、該限界非稼働時間は予めデータベース化されて所定の記録部(例えば、図5に示す画像メモリ74など)に記録しておき、インク種類や印字ヘッド50の温度に応じて該データベースから読み出すように構成してもよい。
ステップS32では、各ノズルの非稼働時間がこの限界非稼動時間を超えるか否かを判断し、各ノズルの非稼動時間が限界稼働時間を超えない場合(NO判定)、ステップS22に進み、一方、各ノズルの非稼動時間が限界稼働時間を超えた場合には(YES判定)、ステップS34に進む。
ステップS34では、パージ領域100の検出が行われ、パージ領域検出部102によってパージ領域100が検出された後に、パージ領域100が規定量4だけ移動したか否かが判断される(ステップS36)。パージ領域100の移動量が規定量4に満たない場合には(NO判定)パージ領域100の移動が継続され、パージ領域100の移動量が規定量4に達すると(YES判定)、パージが実行され(ステップS38)、本制御の処理はステップS20に進む。
ここで、規定量4はパージ領域検出部102の検出領域から印字ヘッド12Kの印字領域までの距離を示す。
また、印字モードが高速モードの場合(ステップS11においてNO判定)、ステップS12からステップS38までの制御(処理)のうち、ステップS20におけるパージ領域の移動量検出以外の処理はステップS12からステップS38までの処理に準じて、ステップS40からステップS66までの処理が行われる。
即ち、印字モードが高速印字モードの場合には、吸着ベルト搬送部22の位相合わせを行わずに(吸着ベルト搬送部22の位相に関わらず)、記録紙16を吸着ベルト搬送部22上に配置するように制御される。
具体的には、ステップS18及びステップS20の処理に相当するパージ領域100の検出及び吸着ベルト搬送部22の位相合わせが行われずに、ステップS42において記録紙16の先端が吸着ベルト搬送部22の入り口手前に設定にされた待機位置49に停止した後にステップS50に進み、吸着ベルト搬送部22上に記録紙16を配置し、記録紙16の搬送が開始される。なお、ロール紙を用いる場合にはステップS42において記録紙16が待機位置49に停止後、所定の大きさにカットされ(ステップS44)、ステップS50に進む。
上述した規定量1〜規定量4に対応する搬送ローラ48、吸着ベルト搬送部22等の移動量は、搬送ローラ48及び吸着ベルト搬送部22を駆動するモータに与えられる指令信号(駆動信号)から算出することができる。また、ベルト33にその移動量(移動速度)に応じた信号(例えば、パルス信号)を出力するリニアエンコーダなどの位置(位相)検出器を備え、該検出器から得られる信号から該規定量1〜規定量4に対応する搬送ローラ48、吸着ベルト搬送部22等の移動量を算出してもよい。ベルト33にリニアエンコーダを備える代わりにベルト33の搬送モータにエンコーダを備えてもよい。
規定量1〜規定量4は、ベルト33やパージ領域100、記録紙16の移動量(移動距離)として決められてもよいし、これらの移動時間として決められてもよい。
また、規定量1〜規定量4と対応する搬送ローラ48、ベルト33、パージ領域100、記録紙16実際の移動量(移動時間)は、図5に示すシステムコントローラ72において算出される。また、規定量1〜規定量4をシステムパラメータとして記録するシステムパラメータ記録部をシステムコントローラ72に付随して備える態様が好ましい。
本実施形態では、フルライン型の印字ヘッドを備えたインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シャトルスキャン型インクジェット記録装置にも適用可能である。
また、本実施形態では、インク滴の吐出に圧電素子を用いたピエゾ方式を例示したが、本発明は、インク室内にエネルギー発生体を備え、このエネルギー発生体によりインク室内のインクを加熱し発生したバブルによりインクを吐出させるサーマル型インクジェット記録装置にも適用可能である。
本発明の適用範囲はインクジェット記録装置に限定されず、吐出孔(ノズル)から水、薬液、処理液等の液類を吐出させる液吐出装置に適用可能である。
10…インクジェット記録装置、33…ベルト、36…ベルト清掃部、72…システムコントローラ、100…パージ領域、102…パージ領域検出部、110…吸収部材、120…搬送ベルト支持体、140…余剰インク受け領域