JP3799504B2 - 平版印刷版用修正液 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、平版印刷版の修正液に関するものであり、さらにくわしくは平版印刷版の不要な画像部（印刷インキを受容する領域）を消去するために使用される修正液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
平版印刷版たとえば写真製版により製造される平版印刷版では、必然的に生ずる不必要な画像や、削除訂正が必要な画像部が生じることがあり、修正が必要となる。かかる修正液として、特公平５−７３０１７号公報においてリン酸、酢酸、ケイフッ化水素酸などの酸と有機溶剤からなる平版修正液が提案されているが、消去性能に問題があり工業的に十分とは言えなかった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記にかんがみて、平版印刷版の修正の迅速性、消去性において、格段に優れた平版印刷版用修正液を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明の平版印刷版用修正液は、上記課題を下記構成により解決するものである。
【０００５】
フッ素化合物が、有機溶剤に希釈されてなる平版印刷版用修正液において、フッ素化合物が、トリフルオロ酢酸であることを特徴とする。
【０００６】
【手段の詳細な説明】
以下、本発明の各手段
（構成）について詳細に説明する。
【０００７】
Ａ・本願発明の、平版印刷版用修正液は、フッ素化合物が、有機溶剤に希釈されてなるものにおいて、フッ素化合物が、トリフルオロ酢酸であることを特徴的要件とする。
【０００８】
(1) 本発明のトリフルオロ酢酸を用いる平版印刷版用修正液は、平版印刷板の修正の迅速性・消去性において、格段に優れていることを、本発明者らが発見したものである。
【０００９】
このトリフルオロ酢酸の濃度は、通常０．１〜２０wt％、望ましくは０．５〜１０wt％、さらに望ましくは、０．８〜５wt％とする。過少では、修正の迅速性に問題が発生し易く、過多では、有機溶媒中への均一溶解が困難となる。
【００１０】
(2) 本発明で使用する有機溶剤は、上記トリフルオロ酢酸を溶解可能なものなら、とくに限定されないが、有機溶剤が、エーテル結合またはアミド結合を有する有機溶剤を必須成分として含むものが、インク溶解性が良好で望ましい。なお、エーテル結合及びアミド結合をそれぞれ有する有機溶剤を併用することがさらに望ましい。ここで、エーテル結合またはアミド結合を有する有機溶剤の含有量は、通常５０wt％以上、望ましくは７０wt％とする。
【００１１】
なお、これらのエーテル結合、アミド結合を有する有機溶剤に、浸透性を向上するため、高級アルコール、アルキルフェノールの酸化エチレン付加物などの界面活性剤を添加することもできる。また溶解性向上のため、水、エタノールなどを添加することも可能である。
【００１２】
下記に本発明で使用する特定有機溶剤について、説明をする。
【００１３】
(1) エーテル結合またはアミド結合を有する有機溶剤とは、
−Ｒ−Ｏ−Ｒ’−（エーテル結合）
−Ｒ−ＣＯＮＨ−Ｒ’（アミド結合）
（ここでＲ，Ｒ’は二価の基）
で表される結合を有する有機溶剤ことである。
【００１４】
アミド結合を有する有機溶剤としては、Ｎ−メチルピロリドン、Ｎ−エチルピロリドン、Ｎ−プロピルピロリドン、Ｎ−ブチルピロリドン等を挙げることができる。
【００１５】
エーテル結合を有する有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、１，３−ジオキサン、１，４−ジオキサンなどの環状エーテル、炭素数１〜４のアルコールに対するエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物およびこれらの酢酸塩等を挙げることができる。
【００１６】
Ｂ．上記修正液は、平版印刷版に汚れが発生したとき、従来と同様の方法により使用する。具体的には、本発明の修正液をフェルトにしみ込ませ、事務用に一般に使用されるペンの形態で使用する。不溶な画像部を前記ペンでなぞらえることにより、不溶な画像部を消去するのである。
【００１７】
なお、不溶な画像部は、原稿フィルムの汚れ、キズ等により平版印刷版に露光過不足が起きて生じるものである。
【００１８】
【発明の作用・効果】
本発明の平版印刷版用修正液は、フッ素化合物が、水と相溶性の有機溶剤に希釈されてなるものにおいて、フッ素化合物がトリフルオロ酢酸である構成により、下記のような作用・効果を奏する。
【００１９】
平版印刷版は、アルミニウム板上に形成された酸化アルミニウム層から形成され、さらに画像部には、架橋結合を有する有機重合体層を形成している。本発明の修正液を画像部に塗布すると、修正液中に存在するエーテル結合ないしアミド結合を有する有機溶剤により、有機重合体層が膨潤すると同時に一部除去される。また、本発明の修正液中に含まれるフッ素化合物（トリフルオロ酢酸）により、表面の酸化アルミニウム層が除去される結果、膨潤した有機重合体も同時に除去されると解される。
【００２０】
本発明のトリフルオロ酢酸を用いる平版印刷版用修正液は、従来の修正液に比し、修正の迅速性・消去性において、格段に優れており、その工業的意義は大きい。
【００２１】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために、行った実施例について説明する。以下の説明で、「部」は「重量部」を意味する。
【００２２】
＜実施例＞
Ｎ−メチルピロリドン ２０部、プロピレングリコールモノメチールエーテル ５０部、１，３−ジオキサン／水：８／２溶液２９部、トリフルオロ酢酸 １部を混合溶解して修正液を作成した。あらかじめ、画像を形成したＡｌ系平版印刷版の画像部に前記修正液を塗布し、５秒後拭き取った。
【００２３】
不感脂化液として、株式会社 日研化学研究所製「ＰＰクリーンＨ」、湿し水として同社製 「アストロＮｏ．１エッチ液」、インキとして大日本インキ株式会社製「Ｆ Ｇｒｏｓｓ ８５墨」を用い印刷したところ修正剤を塗布したところは印刷されず、修正液による画像部の消去が円滑に行われていることが確認された。
【００２４】
＜比較例＞
Ｎ−メチルピロリドン ４０部、プロピレングリコールモノメチールエーテル ３０部、テトロヒドロフラン／水：８／２溶液２８部、リン酸 ２部を混合溶解して修正液を作成した。上記実施例と同様に画像部を除去せんとしたが、２０秒経過後も、画像部の消去性は不十分であった。

Claims (1)

1. フッ素化合物が、水と相溶性の有機溶剤に希釈されてなる平版印刷版用修正液において、
   前記フッ素化合物が、トリフルオロ酢酸であることを特徴とする平版印刷版用修正液。