JP3692220B2 - 平版印刷版用湿し水組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷版のオフセット印刷法に有用な湿し水組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷は水と油が本質的に混じり合わない性質を巧みに利用した印刷方式であり、印刷版面は水を受容し油性インキを反撥する領域と、水を反撥し油性インキを受容する領域から成り、前者が非画像領域であり、後者が画像領域である。不感脂化剤は、これを含む湿し水で非画像領域を湿潤することにより画像領域と非画像領域との界面化学的な差を拡大して、非画像領域のインキ反撥性と画像領域のインキ受容性とを増大させる作用を有している。
従来から一般的に知られている湿し水としては、重クロム酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、リン酸又はその塩、例えばアンモニウム塩、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のコロイド物質等を添加した水溶液がある。
しかしながら、これらの化合物だけを含む湿し水は、版の非画像部に均一に濡れ難い欠点があり、このため印刷物が時々汚れたり、また湿し水の供給量を調節するのに相当の熟練を要するなど問題となっていた。
【0003】
この欠点を改良するため、イソプロピルアルコールを約20〜25%加えた水溶液を湿し水として用いるダールグレン方式が提案されている。この方式によると、非画像部への濡れが良くなり、湿し水の量が少なくて済み、印刷インキと水との供給量のバランスの調整が容易であり、印刷インキ中への湿し水の乳化量が少なくなり、更にブランケットへの印刷インキの転移性が良くなる等、作業性の面及び得られた印刷物の精度の面において数々の利点がある。
しかしながら、このイソプロピルアルコールは蒸発し易いために、湿し水のイソプロピルアルコール濃度を一定に保つための特殊な装置が必要であり、価格の点において高価なものとなる。また、イソプロピルアルコールは特有の不快臭があることと共に、毒性の面でも問題があって作業環境上好ましくない。また、このイソプロピルアルコールを添加した湿し水を、通常の水棒を用いるオフセット印刷に適用しても、ローラー上及び版面上でイソプロピルアルコールが蒸発するため、その効果を発揮することができないなど問題となっていた。
【0004】
更に、近年産業公害に対する社会的関心が非常に高まり、廃水中のクロムイオンの排出規制が厳しくなり、またイソプロピルアルコールのような有機溶剤の使用が安全衛生面から規制される傾向にある。このため、これらを含有しない湿し水が望まれていた。
これらの目的を達成するために、例えば特公昭55−25075号公報、特公昭55−19757号公報、特公昭58−5797号公報には、種々の界面活性剤を含有する組成物が記載されているが、これらを湿し水として使用する場合、界面活性剤濃度をかなり高くしておく必要がある。また、実際の平版印刷においては、高速度で回転するインキロール、印刷版、湿し水供給ロールの下でインキ/水が激しく運動しているため、インキ皮膜上に水が付着したり、水の表面にインキが拡散する等が問題となっているが、上記に提案されている界面活性剤の組合せは、これらの問題点を完全に解消するには充分ではなかった。更に、これらの界面活性剤を含む湿し水はポンプ輸送や攪拌の際に発泡し易いという欠点もあった。
【0005】
他方、米国特許第3,877,372号には、エチレングリコールモノブチルエーテルと、へキシレングリコール及びエチレングリコールの少なくとも1種との混合物を含有する溶液が記載されている。米国特許第4,278,467号には、n−へキソキシジエチレングリコール、n−へキソキシエチレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコールアセテート、n−ブトキシジエチレングリコールアセテート、3−ブトキシ−2−プロパノールの少なくとも1種を含有する湿し水が記載されている。特開昭57−199693号公報には、2−エチル−1,3−へキサンジオールと、完全水溶性のプロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、へキシレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロパングリコール、1,5−ペンタンジオールの少なくとも1種を含有する湿し水が記載されている。これらの湿し水組成物はイソプロピルアルコールを含有しないため、安全衛生面で有利ではあるが、陽極酸化アルミニウム基板のPS版では印刷中の非画像部の濡れが完全とは言いがたく、特に高速印刷時に非画像部に汚れが生じたり、網点画像部の形状が正常ではなく、大きくなり、ムラ状となる、いわゆる網点画像部の絡みが発生してしまう問題があった。更に、2−エチル−1,3−へキサンジオールは水に対する溶解性が十分でなく、高濃度の濃縮湿し水組成物や湿し水用添加剤を得るのに不利であるなど問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、イソプロピルアルコール系に代替しうる、作業環境上安全で、かつ高速で回転する部材の条件下で十分に効果を発揮できる平版印刷版用湿し水組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するため、環境上安全でかつ比較的少量で動的表面張力を低下することのできる成分について研究を重ねた結果、下記一般式(III)で示される化合物を用いることで、上記目的が容易に解決できることを見い出し本発明に到達したものである。
即ち本発明は、下記一般式(I)又は(II)で示される少なくとも1種の化合物と、下記一般式(III)で示される化合物を含有することを特徴とする平版印刷版用湿し水組成物である。
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1 は水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、R2 は水素原子又はメチル基を示し、mは1〜4の整数を示し、R3 は水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、n、o及びpはそれぞれ1〜40の整数を示し、R4 は炭素原子数2〜12のアルキル基を示す。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の湿し水組成物は、上記成分の組み合わせにより動的表面張力が低下し、特に連続給水方式の湿し水供給装置によるクロムローラ及びゴムローラーの濡れ性が良好なため均一の水膜として印刷版面の非画像部に供給することができる。また、界面活性剤系で問題となる発泡性も少く、更に印刷室の環境として溶剤臭がさわやかな臭気となり作業環境性が良化する。
【0011】
本発明で用いる一般式(III)で示される化合物の具体例としては、エチルピロリドン、ブチルピロリドン、ペンタピロリドン、ヘキサピロリドン、オクチルピロリドン、ラウリルピロリドンなどが挙げられる。この化合物は1種又は2種以上を用いてもよい。これらの化合物の中で、式中のR4が炭素原子数6以上のアルキル基であるものが好適に用いられる。一般式(III)で示される化合物の含有量は、湿し水組成物の全重量に対して0.05〜3.0重量%であり、好ましくは0.1〜1.0重量%である。
【0012】
本発明で使用する一般式(I)で示される化合物の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、トリエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、
【0013】
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル等が挙げられる。
これらの化合物の中で好ましくは、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が用いられる。
【0014】
また一般式(II)で示される化合物の具体例としては、総分子中のエチレンオキシドが占めるパーセンテージが40%以下でポリプロピレンオキシドの分子量が2500以下のものが、好適に使用される。これらの化合物の中で特に、0.2%水溶液で動的表面張力が55ダイン/cm以下の化合物がより好ましく用いられる。
本発明の湿し水組成物は上記一般式(I)又は(II)で示される少なくとも1種の化合物を含み、これらの化合物の含有量は湿し水組成物の全重量に対して0.05〜5重量%が適当であり、好ましくは0.1〜3重量%である。0.05重量%より少ないと湿し水組成物の濡れ性が劣り、5重量%を越えるとローラストリップ等の原因となりやすい。
【0015】
本発明においては上記化合物の他に動的表面張力の調節、可溶化、又は印刷インクの混入率(乳化率)を適度な範囲に抑える等のために、必要に応じて下記の化合物を添加することができる。
分子量200〜1000のポリプロピレングリコール及びそれらの化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、及びイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加物、アセチレンアルコール又はアセチレングリコールの酸化エチレン及び/又は酸化プロピレン付加物、トリメチロールプロパンの酸化プロピレン付加物、グリセリンの酸化プロピレン付加物、ソルビトールの酸化プロピレン付加物、3−メチル−3−メトキシブタノール、メトキシブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール等。
【0016】
これら化合物の中で動的表面張力補助剤として有効な化合物としては2−エチルヘキサンジオール、アセチレングリコール酸化エチレン付加物が特に有効である。可溶化剤としてはエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が好適に使用される。
インキ乳化制御剤としては2−エチル−1,3−ヘキサンジオールの酸化エチレン付加物、トリメチロールプロパンの酸化エチレン付加物等が好適に使用することができる。
これらの化合物は単独でも2種以上の化合物を併用してもよく、好適に使用できる範囲は0.01〜7重量%で、より好ましくは0.05〜5重量%である。
【0017】
本発明の湿し水組成物に用いられるpH緩衝剤としては、水溶性の有機酸及び/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合物は湿し水のpH調整あるいはpH緩衝、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に効果がある。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レブリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えばリン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。
【0018】
これらpH緩衝剤の本発明の湿し水組成物への添加量は0.001〜0.3重量%の範囲が好ましく、湿し水組成物のpH値が3〜7の範囲の酸性領域で用いることが好ましいが、アルカリ金属水酸化物、リン酸、アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含有したpH7〜11のアルカリ性領域で用いることもできる。
【0019】
本発明の湿し水組成物には、更に(a)水溶性高分子化合物、(b)界面活性剤、(c)キレート化合物、(d)防腐剤、(e)防錆剤、(f)着色剤、(g)香料、(h)消泡剤等の成分を必要に応じて添加することができる。
本発明に使用できる(a)水溶性高分子化合物としては例えばアラビアガム、澱粉誘導体(例えば、デキストリン、酵素分解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース)等の天然物及びその変性体、ポリエチレングリコール及びその共重合体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸及びその共重合体の合成物が挙げられる。
水溶性高分子の含有量は、湿し水組成物に対して0.0001〜0.1重量%が適しており、より好ましくは、0.0005〜0.05重量%である。
【0020】
本発明に使用できる(b)界面活性剤としては可溶化の補助濡れ性の補助剤として添加してもよい。
例えば、アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0021】
非イオン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用いられる。
更に、シリコン誘導体又はフッ素誘導体等の界面活性剤も挙げられる。これらの界面活性剤の含有量は発泡の点を考慮すると、1.0重量%以下、好ましくは0.001〜0.5重量%が適当である。また、2種以上併用することもできる。
【0022】
本発明には、(c)キレート化合物を添加してもよい。
通常濃縮湿し水組成物は水道水、井戸水等を加えて希釈して使用される。この際希釈する水道水や井戸水に含まれているカルシウムイオン等が印刷に悪影響を与え、印刷物を汚れ易くする原因となることもある。このような場合、キレート化合物を添加して、上記欠点を解消することができる。好ましいキレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることが出来る。上記のキレート剤のナトリウム塩あるいはカリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。これらのキレート剤は湿し水組成物中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。湿し水組成物中に添加する量としては0.0001〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.1重量%が適当である。
【0023】
本発明に使用できる(d)防腐剤としてはフェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジンの誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン又はグアニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾールの誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロプロパノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン、2,4−ジオール等が挙げられる。好ましい添加量は細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、湿し水組成物に対し、0.001〜1.0重量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
【0024】
本発明に使用できる(e)防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。
本発明に使用できる(f)着色剤としては、食品用色素等が好ましく使用できる。例えば、黄色色素としてはCINo. 19140、15985、赤色色素としてはCINo. 16185、45430、16255、45380、45100、紫色色素としてはCINo. 42640、青色色素としてはCINo. 42090、73015、緑色色素としてはCINo. 42095、等が挙げられる。
【0025】
本発明に使用できる(g)香料は微量混入することにより印刷環境性を高めるのに好適に使用できる。例えばキンモクセイ臭、レモン臭、バニリン臭、等が臭気をマスキングして更に使い易い湿し水とすることができる。
本発明に使用できる(h)消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ましく、その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用することができる。
前記本発明の湿し水組成物は通常商業ベースとするときは濃縮化し商品化するのが一般的である。濃縮液を使用するときは、水道水、井戸水等で30〜500倍に希釈して用いる方が経済的で好ましい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版用湿し水組成物は、環境衛生上安全で、動的表面張力が低く、高速度で回転する部材の条件下でも良好な印刷適性及び液の経時安定性を発揮し、安定に優れた印刷物を得ることができる。
【0027】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、%は特に指定のない限り重量%を示す。
【実施例1〜3及び比較例1〜3】
表1の組成に従って、各種湿し水組成物を調製した。単位はグラムであり、水を加えて1000mlとした。
【0028】
【表1】
【0029】
【化3】
【0030】
各調液した実施例1〜3、比較例1〜3の湿し水組成物を2%の濃度に希釈し、この2%希釈液でpHを5.0±0.3に調整した。これらの希釈液で、三菱印刷機のダイヤ給水装置を用いて東洋インキ(株)のハイプラスMZシアンインキと使用プレートとして富士写真フイルム(株)製のVPSを標準条件で製版したものを用いて印刷テストを実施した。その時の評価結果を表2に示す。なお、以下に評価内容を記載する。
【0031】
(a) メータリングロール汚れ:水あげ用メータリングロールに対するインキの付着汚れの程度を調べた。
良い A
やや劣る B
劣る C
(b) ブリード性:5000および10000枚印刷したところで印刷機の運転を休止し、画像部のインキが非画像部に滲みでている程度を調べた。
滲みがほとんどない A
滲みがややある B
滲みが多い C
【0032】
(c) 乳化性:10000枚印刷したとき、インキ練ロール上のインキの乳化状態を調べた。
良い A
やや悪い B
悪い C
(d) 連続安定性:真水を湿し水として用いて、10000枚印刷し、汚れを生じない湿し水の量(最少水あげ量)を求め、各種の湿し水をこの最少水あげ量で用いて印刷を行い、印刷物の汚れが発生するまでの印刷枚数により判定した。
10000枚以上 A
10000〜3000枚 B
3000枚未満 C
(e) リブマーク適性(雨ふり状スジの出やすさ):印刷機スピード10000万rphと5000rphに於けるベタ部と平網部の状態を観察した。
良い A
やや劣る B
劣る C
【0033】
【表2】
【0034】
本発明の湿し水は(a)〜(e)の項目いずれについても優れており、良好な印刷物が得られ又湿し水適性も優れていることがわかった。
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