JP3799202B2 - ポリプロピレン含有繊維及び繊維シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリプロピレン含有繊維及びこのポリプロピレン含有繊維を含む繊維シートに関する。より具体的には、電池用セパレータ(繊維シート)を構成する繊維として好適に使用することのできるポリプロピレン含有繊維、及び電池用セパレータとして好適に使用することのできる、ポリプロピレン含有繊維を含む繊維シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン繊維は比重が小さくしかも耐薬品性に優れているため、軽量化や耐薬品性を必要とする用途に好適に使用することができる。しかしながら、従来のポリプロピレン繊維の引張り強さは高々6.7cN/dtex程度であったため、強度を必要とする用途に適用するには困難な場合があった。
そのため、特開平5−9805号公報には、「Q値(Q:重量平均分子量/数平均分子量の比)が5未満、沸騰n−ヘプタン不溶分(HI;重量%)が97<HI<100、アイソタクチックペンタッド分率(IPF;モル%)が94<IPF<100である高結晶性ポリプロピレンの延伸糸であって、破断強度が8g/デニール(=7.1cN/dtex)を超える強度を有するポリプロピレン繊維。」が提案されている。このポリプロピレン繊維は確かに強度の優れるものであったが、実施例に記載されているように、実際に紡糸できるポリプロピレン繊維は繊度が2.2dtex(=2デニール)以上の太いものしか得ることができなかった。このようにポリプロピレン繊維が太いと、例えばこのポリプロピレン繊維を使用して不織布を製造した場合、少量で均一に分散させることが困難であるため、強度的にムラのある不織布しか製造できない、という問題が発生する場合があった。また、このポリプロピレン繊維を含む不織布を電池用セパレータとして使用した場合、ポリプロピレン繊維が太いため電解液の保持性が悪くなる、という問題を発生する場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、強度的に優れしかも細いポリプロピレン含有繊維を提供すること、及びこのポリプロピレン含有繊維を含む繊維シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリプロピレン含有繊維は、Q値(Q:重量平均分子量を数平均分子量で除した値)が5未満で、アイソタクチックペンタッド分率が93%以上のポリプロピレン中に、メルトインデックスが100〜1,500のポリプロピレンが1〜10mass%(全体の質量に対して)の割合で混在したポリプロピレン成分を備えており、引張り強さが7.1cN/dtex(センチニュートン/デシテックス)以上、かつ繊度が2.2dtex(デシテックス)未満のものである。本発明の発明者らは鋭意研究の結果、従来と同様にQ値が5未満で、アイソタクチックペンタッド分率が93%以上の高強度化可能なポリプロピレンに、メルトインデックスが100〜1,500のポリプロピレンを1〜10mass%(全体の質量に対して)の割合で混在させ、紡糸し、延伸することによって、優れた強度の発現性を維持又は向上させると同時に、紡糸性及び延伸性を改良することによって、より細いポリプロピレン含有繊維を得ることができることを見い出したのである。アイソタクチックペンタッド分率が93%以上のポリプロピレンは、延伸による結晶配向を助長できる立体規則性に優れるものであるが、このようなポリプロピレンに対して、立体規則性を損なう可能性のあるメルトインデックスが100〜1,500のポリプロピレンを混在させることによって、強度の発現性を維持又は向上させると同時に、より細いポリプロピレン含有繊維を得ることができたのは驚くべきことである。本発明のポリプロピレン含有繊維は前述のポリプロピレン成分のみを備えたものであることもできるし、前述のポリプロピレン成分とポリオレフィン系樹脂成分とを備えたものであることもできる。
【0005】
本発明の繊維シートは前述のようなポリプロピレン含有繊維を含んでいるため、少量で均一に分散した強度的にムラのない繊維シートである。また、この繊維シートを電池用セパレータとして用いた場合には、電解液の保持性に優れ、しかも電極群製造時に繊維シートが破断したり、極板のバリが繊維シートを貫通することがない。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のポリプロピレン含有繊維は強度的に優れるように、Q値(Q:重量平均分子量を数平均分子量で除した値)が5未満で、アイソタクチックペンタッド分率が93%以上のポリプロピレン(以下、「高強度化可能ポリプロピレン」という)を含んでいる。
このQ値が5未満であると、延伸倍率を高くすることができるため高度に結晶配向させることができ、結果として強度的に優れるポリプロピレン含有繊維とすることができる。より好ましいQ値は4以下である。
なお、「重量平均分子量」及び「数平均分子量」は、溶媒に1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、温度180℃でGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、ポリスチレン換算分子量として測定した値をいう。
この高強度化可能ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率が93%以上であると立体規則性に優れているため、延伸によって結晶配向が助長され、結果として強度的に優れるポリプロピレン含有繊維とすることができる。より好ましいアイソタクチックペンタッド分率は95%以上である。
このアイソタクチックペンタッド分率は、5gの高強度化可能ポリプロピレンを500mlの沸騰キシレン中に全溶解させ、これらを5リットルのメタノール中に投入して析出させたものを回収して乾燥した後、沸騰n−ヘプタンで6時間、ソックスレー抽出した抽出残部について「マクロモレキュラーズ」(Macromolecules,6925(1973)及び8687(1975))に準じて測定した値をいう。
このようなQ値及びアイソタクチックペンタッド分率を満足する高強度化可能ポリプロピレンは市販されているため容易に入手することができる。
【0007】
本発明のポリプロピレン含有繊維は、前述のような高強度化可能ポリプロピレンに対して、メルトインデックスが100〜1,500のポリプロピレン(以下、「混在ポリプロピレン」という)が1〜10mass%(全体の質量に対して)の割合で混在したものである。このような混在ポリプロピレンが混在していることによって、強度の発現性を維持又は向上させると同時に、紡糸性及び延伸性を改良することができ、結果として、強度的に優れる細いポリプロピレン含有繊維とすることができる。
この混在ポリプロピレンのメルトインデックスが100未満であると、延伸による強度向上効果が低くて強度が低下しやすい傾向があり、メルトインデックスが1,500を越えると、強度が低下しすぎる傾向があるためで、より好ましくは150〜1300であり、更に好ましくは200〜1000である。
なお、メルトインデックスはJIS K 7210に規定されている方法に準じて測定した値をいう。
また、この混在ポリプロピレンの混在量は混在後のポリプロピレン成分全体の質量に対して1〜10mass%である必要がある。この混在量が1mass%未満では紡糸性及び延伸性の改良が不十分で、細いポリプロピレン含有繊維とすることが困難であり、混在量が10mass%を越えると、前述の高強度化可能ポリプロピレンの立体規則性が阻害されるためか、強度的に低いポリプロピレン含有繊維しか得ることしかできないためで、より好ましい混在量は2〜8mass%である。
なお、メルトインデックスが前記範囲内にあり、総混在量が前記範囲内にある限り、混在ポリプロピレンは1種類である必要はなく、2種類以上の混在ポリプロピレンが混在していても良い。
【0008】
本発明のポリプロピレン含有繊維は前述のような高強度化可能ポリプロピレン中に混在ポリプロピレンが混在したポリプロピレン成分を備えたものであるが、本発明のポリプロピレン含有繊維はポリプロピレン成分のみから構成されていても良いし、ポリプロピレン成分以外にポリオレフィン系樹脂成分を含んでいても良い。
このポリオレフィン系樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、エチレン系共重合体(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体など)、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、エチレンとプロピレンとブテン−1などのα−オレフィン共重合体などを使用できる。
このようにポリオレフィン系樹脂成分も備えている場合、繊維断面形状は、例えば、芯鞘型(偏芯型を含む)、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型などであることができる。
ポリプロピレン含有繊維がポリプロピレン成分とポリオレフィン系樹脂成分とを備えている場合、その質量比率は特に限定するものではないが、ポリプロピレン成分の強度を活かすため、(ポリプロピレン成分):(ポリオレフィン系樹脂成分)=40:60〜90:10であるのが好ましく、(ポリプロピレン成分):(ポリオレフィン系樹脂成分)=45:55〜80:20であるのがより好ましい。
【0009】
本発明のポリプロピレン含有繊維はポリオレフィン系樹脂成分を含んでいるかいないかにかかわらず、引張り強さが7.1cN/dtex以上、かつ繊度が2.2dtex未満の、強く細い繊維であるのが好ましい。より好ましくは引張り強さが7.1cN/dtex以上、かつ繊度が1.7dtex以下である。
この「引張り強さ」はJIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)に規定された方法により測定した値を意味する。
また、「繊度」はJIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)の見掛繊度(参考法(振動法))に規定された方法により測定した値を意味する。
【0010】
本発明のポリプロピレン含有繊維はポリオレフィン系樹脂成分を含んでいるかいないかにかかわらず、その繊維断面形状は円形であっても、非円形(例えば、楕円状、長円状、T状、Y状、+状、中空状、多角形状など)であっても良い。
また、ポリプロピレン含有繊維はフィラメントであっても良いし、1〜160mm長程度に切断されたステープルであっても良い。
なお、ポリプロピレン含有繊維のポリプロピレン成分中に、或いはポリオレフィン系樹脂成分も含む場合にはポリプロピレン成分及び/又はポリオレフィン系樹脂成分中に、例えば、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、吸湿剤、艶消し剤、顔料、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、着色剤、染色剤、導電剤、耐熱剤、親水化剤、脱臭剤、或いは抗菌剤などの機能性物質を混合し、各種機能を付加しても良い。
【0011】
このような本発明のポリプロピレン含有繊維は常法の溶融紡糸装置を利用することにより紡糸することができる。例えば、紡糸温度を230〜280℃程度に設定して紡糸することができる。
このように紡糸した未延伸糸は130〜160℃程度の温度で3〜12倍延伸して、ポリプロピレン含有繊維を製造することができる。なお、このポリプロピレン含有繊維を乾式不織布の原料として、又は紡績糸として使用する場合には、機械的に又は熱的に5〜50個/インチ程度の巻縮を付与するのが好ましい。
【0012】
本発明のポリプロピレン含有繊維は強度的に優れしかも細いものであるため、強度を必要とする用途、例えば、セメント補強用繊維などとして使用することができる。
【0013】
本発明の繊維シートは前述のようなポリプロピレン含有繊維を含んでいるため、少量でも均一に分散した強度的にムラのないものである。また、本発明の繊維シートを電池用セパレータとして使用した場合には、電池を製造する際に、極板のバリが繊維シートを突き抜けたり、繊維シートが切断されにくいため、短絡を生じにくいものである。
この繊維シートとしては、例えば、織物、編物、不織布、或いはこれらの複合体などがある。なお、この繊維シートを電池用セパレータとして使用する場合には、電解液の保持性に優れるように、不織布を含んでいるのが好ましい。
本発明のポリプロピレン含有繊維の繊維シート中における質量比率は、繊維シートの強度向上に寄与できるように、10mass%以上含まれているのが好ましく、20mass%以上含まれているのがより好ましく、30mass%以上含まれているのが更に好ましい。
このポリプロピレン含有繊維以外の繊維としては通常の繊維を使用することができ、例えば、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維、絹、羊毛、綿、麻などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリメチルペンテン繊維、芳香族ポリアミド繊維、又は2種類以上の樹脂成分からなり、巻縮発現性、熱接着性、或いは分割性を有する複合繊維などの合成繊維を使用できる。
【0014】
本発明の繊維シートを電池用セパレータ用途に使用する場合には、繊維径が6μm以下(より好ましくは5μm以下、更に好ましくは4μm以下)の極細繊維を含んでいるのが好ましい。このような極細繊維を含んでいることによって、電解液の保持性を向上させることができたり、デンドライト防止性を向上させることができる。
なお、極細繊維の断面形状が非円形である場合には、断面積が同じ円の直径をその極細繊維の繊維径とみなす。
このような極細繊維は、例えば、メルトブロー法や分割可能な分割繊維を分割することによって得ることができる。この分割繊維は水流などの流体流、ニードル或いはカレンダーなどの物理的作用により分割可能であるのが好ましく、これらの中でも、流体流で分割可能であるのが好ましい。この分割繊維の断面形状としては、例えば、オレンジ状、多重バイメタル状などがある。
この極細繊維を構成する樹脂成分は耐電解液性に優れるように、ポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましく、より具体的には、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、エチレン系共重合体(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体など)、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、エチレンとプロピレンとブテン−1などのα−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体、ポリブテン、ブテン系共重合体など1種類以上から構成されているのが好ましい。この極細繊維は樹脂組成の点において1種類である必要はなく、2種類以上混在していても良い。
また、本発明のポリプロピレン含有繊維がポリオレフィン系樹脂成分も備えており、分割可能である場合(例えば、繊維断面形状がオレンジ状、多重バイメタル状の場合)には、本発明のポリオレフィン含有繊維に由来する極細繊維を含んでいても良い。
このような極細繊維は電解液の保持性に優れるように、またデンドライト防止性に優れるように、繊維シート中、5mass%以上含まれているのが好ましい。
【0015】
更に、本発明の繊維シートを電池用セパレータとして使用する場合には、融着繊維を含んでいるのが好ましい。融着繊維を含んでいることによって、引張強さや剛軟度を向上させることができる。この融着繊維は融着繊維以外の繊維(例えば、極細繊維やポリプロピレン含有繊維)を溶融させないように、融着繊維以外の繊維を構成するいずれの樹脂成分の融点よりも低い融点を有する樹脂成分(以下、「低融点成分」という)を、少なくとも繊維表面に有するのが好ましい。融着繊維を構成する低融点成分の融点は融着繊維以外の繊維を構成する最も融点の低い樹脂成分の融点よりも、10℃以上低いのが好ましく、15℃以上低いのがより好ましい。
なお、「融点」は示差熱量計を用い、昇温温度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。
この融着繊維も耐電解液性に優れるように、前述の極細繊維を構成する樹脂成分と同様の樹脂成分1種類以上から構成されているのが好ましい。
なお、融着繊維は単一成分から構成されていても良いし、2種類以上の樹脂成分から構成されていても良いが、2種類以上の樹脂成分から構成されていると、繊維シートの引張強さをより向上させることができるため好適である。
この2種類以上の樹脂成分からなる融着繊維の断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型のものを使用でき、芯鞘型であると均一に融着できるため好適である。
この融着繊維は樹脂組成の点において1種類である必要はなく、2種類以上混在していても良い。また、本発明のポリプロピレン含有繊維がポリオレフィン系樹脂成分も備えており、このポリオレフィン系樹脂成分が低融点成分として作用できる場合には、本発明のポリオレフィン含有繊維を融着繊維として使用することもできる。更に、前述の極細繊維が融着繊維として作用できる場合には、極細繊維を融着繊維として使用しても良い。
このような融着繊維は引張強さや剛軟度が向上するように、繊維シート中、10mass%以上含まれているのが好ましい。
【0016】
本発明の繊維シートは常法により製造することができる。例えば、本発明のポリプロピレン含有繊維を含む不織布は次のようにして製造することができる。
まず、前述のようなポリプロピレン含有繊維を含む繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブの形成方法としては、例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法などの乾式法や、湿式法などがある。なお、繊維ウエブの形成方法によって繊維長が異なり、前者の乾式法により形成する場合(スパンボンド法、メルトブロー法を除く)には、20〜160mm長程度の繊維を使用し、後者の湿式法により形成する場合には、1〜30mm長程度の繊維を使用する。また、これら繊維ウエブを形成した後、製法の異なる繊維ウエブを積層したり、繊維配合の異なる繊維ウエブを積層するなど、種類の異なる繊維ウエブを積層しても良い。
なお、電池用セパレータに使用する繊維シートを製造する場合には、繊維の分散性に優れる湿式法により形成した繊維ウエブを含んでいるのが好ましい。なお、乾式法により形成した繊維ウエブと湿式法により形成した繊維ウエブとを積層した積層繊維ウエブは強度と均一分散性の両方を兼ね備えた好適なものである。
次いで、ニードルや流体流(特に水流)により絡合したり、繊維ウエブ中に含まれている融着繊維を部分的又は全面的に融着したり、バインダーにより部分的又は全面的に接着したり、或いはこれらを併用して不織布を製造することができる。
この不織布を電池用セパレータとして使用する場合には、強度的に優れるように、また物理的作用により分割可能な分割繊維を繊維ウエブ中に含んでいる場合には分割繊維を分割できるように、流体流を作用させるのが好ましい。また、前述のような融着繊維を含んでいる場合には、融着繊維を融着させるのが好ましい。
このようにして製造できる本発明の不織布の面密度は10〜150g/m2程度であるのが適当である。例えば、電池用セパレータとして使用する場合には、20〜100g/m2であるのが好ましく、30〜80g/m2であるのがより好ましい。
【0017】
本発明の繊維シートは前述のようなポリプロピレン含有繊維を含んでいるため、強度的に優れしかも強度ムラのないものである。そのため、強度を必要とする用途、例えば、電池用セパレータ、濾過布などの各種用途に使用することができる。特に本発明の繊維シートを電池用セパレータとして使用すると、極板群形成時に繊維シートを極板のバリが突き抜けたり、極板のエッジによって繊維シートが引き裂かれることがないため、高収率で電池を製造することができる。
なお、各種用途に適合するように、染色加工、バフィング処理、バインダーによる顔料着色加工、揉み加工、エレクトレット加工、親水化処理などの後加工を実施することができる。
例えば、電池用セパレータとして使用する場合には、電解液の保持性に優れるように、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理などの親水化処理を実施するのが好ましい。
【0018】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
常法の溶融紡糸装置により、Q値が3、アイソタクチックペンタッド分率が95%の高強度化可能ポリプロピレン97mass%と、メルトインデックスが680の混在ポリプロピレン3mass%とを混合したペレットを、紡糸温度260℃、吐出量を1ホールあたり0.125g/minで溶融紡糸を実施した。紡出された糸を冷却しながら引き取り、繊度6.7dtexの未延伸ポリプロピレン繊維を得た。この溶融紡糸時においては紡糸性に優れていた。
次いで、この未延伸ポリプロピレン繊維を集束し、延伸温度120℃で4.1倍延伸して、延伸ポリプロピレン繊維を得た。次いで、切断して、繊度1.8dtex、繊維長10mmの延伸ポリプロピレン繊維(引張り強さ:7.3cN/dtex、断面形状:円形)を得た。
【0020】
(実施例2)
Q値が3、アイソタクチックペンタッド分率が95%の高強度化可能ポリプロピレン95mass%と、メルトインデックスが680の混在ポリプロピレン5mass%とを混合したペレットを使用したこと、及び延伸倍率を4.4倍としたこと以外は実施例1と同じ操作を繰り返して、繊度1.67dtex、繊維長10mmの延伸ポリプロピレン繊維(引張り強さ:7.6cN/dtex、断面形状:円形)を得た。なお、溶融紡糸時においては紡糸性に優れていた。
【0021】
(実施例3)
Q値が3、アイソタクチックペンタッド分率が95%の高強度化可能ポリプロピレン92mass%と、メルトインデックスが680の混在ポリプロピレン8mass%とを混合したペレットを使用したこと、及び延伸倍率を4.7倍としたこと以外は実施例1と同じ操作を繰り返して、繊度1.58dtex、繊維長10mmの延伸ポリプロピレン繊維(引張り強さ:7.4cN/dtex、断面形状:円形)を得た。なお、溶融紡糸時においては紡糸性に優れていた。
【0022】
(実施例4)
Q値が3、アイソタクチックペンタッド分率が95%の高強度化可能ポリプロピレン95mass%と、メルトインデックスが1200の混在ポリプロピレン5mass%とを混合したペレットを使用したこと、及び延伸倍率を5.1倍としたこと以外は実施例1と同じ操作を繰り返して、繊度1.5dtex、繊維長10mmの延伸ポリプロピレン繊維(引張り強さ:7.7cN/dtex、断面形状:円形)を得た。なお、溶融紡糸時においては紡糸性に優れていた。
【0023】
(比較例1)
Q値が3、アイソタクチックペンタッド分率が95%の高強度化可能ポリプロピレンのペレットを100%使用したこと、及び延伸倍率を3.9倍としたこと以外は実施例1と同じ操作を繰り返して、繊度2.2dtex、繊維長10mmの延伸ポリプロピレン繊維(引張り強さ:6.1cN/dtex、断面形状:円形)を得た。なお、溶融紡糸時においては単糸切れが起こり、紡糸性の劣るものであった。
【0024】
(比較例2)
Q値が3、アイソタクチックペンタッド分率が95%の高強度化可能ポリプロピレン88mass%と、メルトインデックスが680の混在ポリプロピレン12mass%とを混合したペレットを使用したこと、及び延伸倍率を5倍としたこと以外は実施例1と同じ操作を繰り返して、繊度1.5dtex、繊維長10mmの延伸ポリプロピレン繊維(引張り強さ:6.9cN/dtex、断面形状:円形)を得た。なお、溶融紡糸時においては紡糸性に優れていた。
【0025】
(比較例3)
Q値が3、アイソタクチックペンタッド分率が95%の高強度化可能ポリプロピレン95mass%と、メルトインデックスが65の混在ポリプロピレン5mass%とを混合したペレットを使用したこと、及び延伸倍率を4倍としたこと以外は実施例1と同じ操作を繰り返して、繊度1.87dtex、繊維長10mmの延伸ポリプロピレン繊維(引張り強さ:6.4cN/dtex、断面形状:円形)を得た。なお、溶融紡糸時においては単糸切れが起こり、紡糸性の劣るものであった。
【0026】
以上の実施例及び比較例から次のことがわかった。
(1)実施例1〜4及び比較例1〜2より、混在ポリプロピレンの混在量が1〜10mass%程度である場合に、強度的に優れかつ細いポリプロピレン含有繊維を得ることができる。
(2)実施例2、4及び比較例3より、混在ポリプロピレンのメルトインデックスが100〜1,500程度である場合に、強度的に優れかつ細いポリプロピレン含有繊維を得ることができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン含有繊維は強度的に優れかつ細い繊維である。そのため、本発明のポリプロピレン含有繊維を含む繊維シートは少量でも均一に分散した強度ムラのないものである。また、この繊維シートを電池用セパレータとして用いた場合には、電解液の保持性に優れ、しかも電極群製造時に繊維シートが破断したり、極板のバリが繊維シートを貫通することがない。

Claims (5)

  1. Q値(Q:重量平均分子量を数平均分子量で除した値)が5未満で、アイソタクチックペンタッド分率が93%以上のポリプロピレン中に、メルトインデックスが100〜1,500のポリプロピレンが1〜10mass%(全体の質量に対して)の割合で混在したポリプロピレン成分を備えており、引張り強さが7.1cN/dtex(センチニュートン/デシテックス)以上、かつ繊度が2.2dtex(デシテックス)未満であることを特徴とするポリプロピレン含有繊維。
  2. Q値(Q:重量平均分子量を数平均分子量で除した値)が5未満で、アイソタクチックペンタッド分率が93%以上のポリプロピレン中に、メルトインデックスが100〜1,500のポリプロピレンが1〜10mass%(全体の質量に対して)の割合で混在したポリプロピレン成分のみからなり、引張り強さが7.1cN/dtex(センチニュートン/デシテックス)以上、かつ繊度が2.2dtex(デシテックス)未満であることを特徴とするポリプロピレン含有繊維。
  3. Q値(Q:重量平均分子量を数平均分子量で除した値)が5未満で、アイソタクチックペンタッド分率が93%以上のポリプロピレン中に、メルトインデックスが100〜1,500のポリプロピレンが1〜10mass%(全体の質量に対して)の割合で混在したポリプロピレン成分と、ポリオレフィン系樹脂成分とを備えており、引張り強さが7.1cN/dtex(センチニュートン/デシテックス)以上、かつ繊度が2.2dtex(デシテックス)未満であることを特徴とする、ポリプロピレン含有繊維。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリプロピレン含有繊維を含んでいることを特徴とする繊維シート。
  5. 電池用セパレータとして用いることを特徴とする、請求項4に記載の繊維シート。
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