JP3798843B2 - 旋盤用チャック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は旋盤用チャック装置に係り、詳しくは、切削中心がワークの主軸から偏芯した位置にあるワークについて、切削中心に対するチャッキング位置と、前記ワークの主軸に対するチャッキング位置の両位置でワークをチャッキングして切削を行うための旋盤用チャック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に示すような組み立て式クランクシャフトCのクランクアームAのクランクピン差し込み穴Pを旋盤で加工する場合、クランクピン差し込み穴Pの中心を回転中心として、偏芯量Lのジャーナル部Jを偏芯爪やチャック本体を偏芯させてチャッキングする。この時、クランクピン差し込み穴が回転中心から外れないようにするために、あらかじめアームAのピン差し込み穴Pの外側面Rの一方を基準面として、チャック本体の端面に基準ブロックを設け、アームAの外側面Rを押しつけるが、その押しつけ手段としては、外側面の反対側を手作業で、あるいはバネ力を利用した簡単な装置で行われているのが一般的である。例えば、実公昭60−3552号公報、実公昭63−10884号公報等ではチャックに押しつけ装置を内蔵させている。
【0003】
このような片側位置決めの方法にはセルフセンタリング機能がないので、前記アームAの幅寸法にバラツキがある場合には、その幅b中心にあるピン差し込み穴Pが切削中心からずれてしまうことになる。クランクシャフトCは鍛造で製作されるので特に仕上がり寸法のバラツキが大きく、このような鍛造品は上記のような方式の簡易チャックでは正確な、また強固なチャッキングを行うことができない。
【0004】
従って、このようなバラツキの大きい部分を正確に、かつ、強固にチャッキングするには、前記ジャーナル部Jに対するチャックのようにセルフセンタリング機能を有するチャックで行うことが好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、セルフセンタリング機能を有するチャックを加設するため既成の旋盤にドローバーや油圧シリンダをもう一組追加するのは構造が大がかりとなり、製作や配管も大変である。
【0006】
また、仮に二箇所のチャックのそれぞれに対してドローバー、シリンダを設けられたとしても、二箇所をチャッキングするには両者を同時に強固にチャッキングするのではなく、ある期間一方のチャックにセルフセンタリング機能を働かせるため他方のチャックを仮クランプ状態にしておく必要があり、チャックに仮クランプをさせるには、それに対応するシリンダをストローク途中で停止させておく必要がある。これは油圧調整が非常に困難であるといった問題もある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、例えば、上記した組み立て式クランクシャフトのように二箇所の位置で芯出しをしてチャッキングする必要のあるワークに対し、一組のドローバーおよび油圧シリンダにより、それぞれの位置でセルフセンタリング機能を有し、それぞれの位置で独立して仮クランプと本クランプが実現できるチャッキングができるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は、旋盤の主軸端面に固定されるハウジング3内に、前記旋盤のドローバーDに接続され、前記ハウジング3内を旋盤の回転中心軸上を摺動する摺動体5と、
その摺動体5に接続され、摺動体5の進退により、前記回転中心軸から偏芯した軸を中心に、その偏芯軸径方向および偏芯軸方向にチャック爪25が開閉する第1のチャック機構と、
前記摺動体5に接続され、摺動体5の進退により、前記主軸径方向にチャック爪46が開閉する第2のチャック機構と、
前記摺動体5の前記回転中心軸方向の第1の所定の位置から前方の第2の所定の位置まで摺動体5の移動に拘束されずに前記第1のチャック機構を閉じるように作用する第1のバネS1 と、
その第1のバネS1 よりバネ力が大きく、前記摺動体5が前記第1の所定の位置から前方でかつ前記第2の所定の位置より手前の第3の所定の位置に移動するまで摺動体5の移動に拘束されずに前記第2のチャック機構を閉じるように作用する第2のバネS2 とを有し、
前記第2のチャック機構は、前記第3の所定の位置から前方では前記摺動体5が前進することにより開かれようとし、
前記第1のチャック機構は、前記摺動体5が第2の所定の位置から前方の第4の所定の位置に進むまでは摺動体5が前進することにより開かれようとし、前記摺動体5の後退時、前記第1の所定の位置に達して以降は、摺動体5の後退によって閉じられるようにしたのである。
【0009】
このように構成されるこの発明では、先ず、第1のチャック爪25と第2のチャック爪46を開放(アンチャック状態)するため、旋盤のドローバーDを前進させる。
【0010】
ドローバーDが摺動体5を押圧し、摺動体5が前記第4の所定の位置まで前進する途中、先ず、前記第3の所定の位置から前方では前記第2のバネS2 に抗して、摺動体5が前記第2のチャック機構に作用し、前記第2のチャック爪46が主軸径方向外向きに移動してアンチャック状態になる。
【0011】
他方、この第2のチャック爪46の開放動作に並行して、摺動体5が前記第2の所定の位置から第4の所定の位置まで前進する間は、前記第1のバネS1 に抗して摺動体5が前記第1のチャック機構に作用してチャック爪25が前進するとともに偏芯軸径方向外向きに移動してアンチャック状態になる。この状態でワークのクランクシャフトをセットする。次の、チャッキングではドローバーDを後退させる。
【0012】
ドローバーDが後退すると、先程とは逆に、摺動体5が(前記第4の所定の位置から)前記第2の所定の位置に達した時点から第1のチャック爪25がジャーナル部Jの外周面に当接し始め、この部分のセンタリングに入る。摺動体5がこの第2の所定の位置から後方の第1の所定の位置まで後退する間、前記第1のバネS1 は摺動体5の移動に拘束されないので、ジャーナル部Jは前記第1のバネS1 のバネ力だけでワークが手で回せる程度にチャッキングされることになる。
【0013】
他方、摺動体5が後退し始めると同時に第2のチャック爪46も主軸径方向内向きに移動し始めるが、前記第1のチャック爪25がジャーナル部Jの外周面に当接する前記第2の所定の位置に摺動体5が達した時には、第2のチャック爪46はまだアームA周面をチャックせず、摺動体5がさらに後退して前記第3の所定の位置に達する途中からアームA周面をチャックするようにしておくと、それまでの前記第1のチャック爪25によるジャーナル部Jのチャッキングではセルフセンタリング機能が働き、ジャーナル部Jの芯出しが可能となる。
【0014】
そして、摺動体5が前記第3の所定の位置に達すると、第2のチャック爪46を閉じようとする前記第2のバネS2 は摺動体5には拘束されず第2のチャック爪46は第2のバネS2 のバネ力だけで閉じようとする。このバネ力は前記第1のバネS1 のバネ力より大きく、ジャーナル部JがバネS1 のバネ力でチャックされていても、アームAの周面のチャッキングにはセルフセンタリング機能が働き、アームA部の幅中心が回転中心に一致するように作用する。
【0015】
さらに、ドローバーDが後退し、摺動体5が前記第1の所定の位置に達して以降は、ドローバーの力が第1のチャック爪25に直接作用して、ジャーナル部Jを本クランプすることができる。
【0016】
【実施の形態】
以下、図を参照してこの発明のチャック装置の実施の形態を説明するが、旋盤の軸方向に長さ、厚みを有するものについては、適宜、旋盤寄りに係る位置要素は”旋盤側”、これと反対側に係る位置要素は”前側”と付して説明する。また、チャッキングするワークは前述した図6の組み立て式クランクシャフトCを例にとり、そのクランクアームAのピン差し込み穴Pを切削するものとする。
【0017】
この実施形態のチャック装置は、図2及び図3に示すように、図示しない旋盤の端面から円盤状のアダプタープレート1、バックプレート2、円筒状のハウジング3およびバランスリング4がこの順に旋盤の主軸と軸芯を一にしてネジで固定されている。
【0018】
前記ハウジング3には旋盤の主軸と同芯軸上にガイド穴3aが貫通しており、このガイド穴3aに段付き中空円筒のドローバージョイント5が摺動自在に嵌入されている。ドローバージョイント5の旋盤側端部外周面はフランジ付き中空円筒のサポートドローバー6の内周面に嵌入しており、サポートドローバー6の円筒外周面は前記バックプレート2に設けられたガイド穴7に摺動自在に嵌入されている。そして、ドローバージョイント5はその軸と同芯に内装されたドローバーボルト8により、サポートドローバー6を介してドローバーDに接続され、ドローバーDは図示しない旋盤側の油圧シリンダに接続されている。また、ドローバージョイント5の前側最大径部端面には一直径方向に沿って所定の深さの逆T字溝9が設けられており、このT字溝9にはそれに嵌合するTナット10が摺動可能に挿嵌されている。
【0019】
前記バランスリング4には、図2に示すように、旋盤の主軸中心から偏芯した位置に旋盤の軸に平行に円筒状のサブハウジング11及び円盤状のサブプレート12が同芯軸上に挿入されハウジング3前側端面にネジ止めされている。
【0020】
サブプレート12の旋盤側端面とハウジング3前側端面には、クランクシャフトのピン差し込み穴中心とジャーナル軸を含む面内の直径に沿ってそれぞれ突条13とガイド溝14が設けられており、両者13、14が係合し、サブプレート12がハウジング3に対してスライド可能になっている。サブプレート12の外周面の一部(図2の上方)は前記突条13の配設方向に垂直な平面15になっており、その平面15と、その平面の前記サブハウジング11周面側への延長面16に亘って、ジャーナル部Jのチャッキング中心の偏芯量を調整するための、角柱の調整ブロック17が当接している。この調整ブロック17に板状のスペーサ18および調整ブロックホルダ19がこの順に主軸径方向外向きに積層されており、調整ブロックホルダ19はその旋盤側側面がハウジング3の前側端面にネジ止めされているとともに、図の上側面から主軸径方向下向きにキャップスクリュー20が挿入されており、このキャップスクリュー20は前記スペーサ18および調整ブロック17を貫通して前記サブプレート12外周平面部のネジ穴に螺合している。
【0021】
このような調整ブロック17、スペーサ18、調整ブロックホルダ19、キャップスクリュー20および前記サブプレート12のスライド機構の構成の下、バランスリング4を外した状態で、前記スペーサ18を交換あるいは厚み調整して、サブプレート12およびサブハウジング11の主軸径方向の位置を前記ハウジング3のガイド溝14に沿って微調整できるようになっている。
【0022】
サブハウジング11は、図1および図2に示すように、その前側端面の三等分方位に、後述するチャッキングピン24摺動用のガイドブロック21が突設されている。チャッキングピン24が摺動するためのガイド面22がガイドブロック21端面から所定の傾斜角でサブハウジング11の軸に向かう方向に設けられている。このガイド面22は、サブハウジング11前側端面と交差する位置からはサブハウジング11内に入ってガイド穴23を成している。
【0023】
前記チャッキングピン24は前記ガイド面22およびガイド穴23に摺動可能な丸棒形状を成し、その一端がジョウピース固定用に切り欠かれており、この切り欠き部にジョウピース25が嵌め込まれネジ止めされている。チャッキングピン24の他端には係合溝26が設けられており、この係合溝26に、後述するアクチュエータ28に設けられた突条30が係合する。
【0024】
また、サブハウジング11とサブプレート12の両者に亘って、同芯軸上にガイド穴27が設けられており、このガイド穴27に前記アクチュエータ28が摺動可能に嵌入されている。アクチュエータ28は中空円筒形状を成し、その旋盤側端面からはアクチュエータ28内部に同芯軸上に設けられたキャップスクリュー29のネジ部が突出しており、そのネジ部が前記ドローバージョイント5のT字溝9に挿嵌されたTナット10に螺合し、アクチュエータ28がドローバージョイント5に接続されている。アクチュエータ28の外周面には軸方向の途中、旋盤側に傾斜する突条30が三等分方位に設けられており、各突条30は前記各チャッキングピン24の係合溝26に係合し、ドローバーDが進退すると、ドローバーボルト8、ドローバージョイント5、Tナット10、キャップスクリュー29、アクチュエータ28を介してチャッキングピン24が前記ガイド面22およびガイド穴23に沿って摺動し、その先端に取り付けられたジョウピース25がサブハウジング11の軸方向と同時に半径方向に移動し、引き込み型のチャッキング動作を行う。
【0025】
なお、前記アクチュエータ28のキャップスクリュー29がドローバージョイント5にそのT字溝9のTナット10に螺合して接続されていることにより、前述のサブプレート12の主軸径方向への移動調整の際、アクチュエータ28がドローバージョイント5に接続されたまま、サブプレート12と一緒に移動できるようになっている。
【0026】
また、アクチュエータ28の前側端面の開口からは一端が閉じられたフランジ付き中空円筒のガイド31が挿嵌されており、このガイド31はそのフランジ部が回り止めピン32とともにサブハウジング11にネジ止めされている。ガイド31の中空部はワーク(クランクシャフトC)を把握した際のワークの長軸部(クランクシャフトCのジャーナル部J)の逃がし穴となっている。また、このフランジ部端面の中空部の周りには三等分方位で突条31aが設けられており、ジョウピース25が軸方向に移動する際、この突条31aの端面がジョウピース25の限界当接面になっている。アクチュエータ28の内部には前記ガイド31の旋盤側段部とアクチュエータ28の旋盤側端部内面との間に圧縮バネS1 が内装されており、アクチュエータ28を常に旋盤側に押しやっている。この実施形態では22Kgのバネ力のものを用いた。
【0027】
サブハウジング11の前側端面には、図1および図2に示すように、その軸芯を挟んで、前記ガイドブロック21と対向する位置にストッパベース33がネジ止めされており、このストッパベース33端面にワークが当接するストッパリング34がネジ止めされている。
【0028】
前記ハウジング3とバランスリング4には、図3に示すように、両者に亘って一直径方向の軸対称の位置に軸方向の貫通穴35が設けられている。この貫通穴35には次に示すプランジャ36が摺動自在に挿嵌されている。
【0029】
プランジャ36は丸棒の一端が楔形状37を成し、後述する位相爪マスタ45のカム溝47に摺動自在に嵌入して楔機構を形成している。また、プランジャ36の他端には係合溝38が設けられており、その係合溝38には次に示すプランジャプレート39の段付き部40が係合している。
【0030】
プランジャプレート39は図2に示すように前記ドローバージョイント5の軸方向中間段部の外周面に摺動自在に挿嵌されている。プランジャプレート39は一直径方向の所定の幅に亘って厚み方向に段付き部40を成しており、この段付き部40に前記プランジャ36の係合溝38が係合している。また、プランジャプレート39の前側端面の二直径方向にはそれぞれ軸対称の位置にバネ受け穴41が設けられ、前記ハウジング3にもこの穴に対向した位置にバネ受け穴42が設けられており、両バネ受け穴41、42に圧縮バネS2 が挿入されている。この実施形態では43Kgのバネ力のものを用いた。この圧縮バネS2 によりプランジャプレート39は常に旋盤側に押しやられ、プランジャプレート39の段付き部40に係合した前記プランジャ36も常に旋盤側に押しやられている。
【0031】
前記バランスリング4の前側端面の一直径方向には軸対称の位置に位相爪ベース43が固定されており、この位相爪ベース43に設けられた逆T字溝44にはその溝に嵌合して摺動可能な位相爪マスタ45がスライド可能に取り付けられている。位相爪マスタ45の前側端面にはワークを把握する位相爪46がネジ止めされており、旋盤側端面にはカム溝47が設けられている。このカム溝47には前記プランジャ36の楔形状37が摺動自在に嵌入してカム機構を成しており、プランジャ36が軸方向に移動すると位相爪マスタ45が主軸径方向に移動し、その上に固定された前記位相爪46も主軸径方向に移動する。
【0032】
次に、以上のような構成のチャック装置の動作を説明する。
この実施形態のチャック装置では前記ジョウピース25でクランクシャフトCのジャーナル部Jをチャッキングし、前記位相爪46でクランクアームAの周面をチャッキングする。
【0033】
先ず、図2および図3に示すように、チャックの閉じた状態からジョウピース25と位相爪46を開放(アンチャック状態)するため、旋盤のドローバーDを前進させる。この図2および図3の状態では、前記サポートドローバーのフランジ部旋盤側端面とバックプレート2の間にh1 、サポートドローバーのフランジ部前側端面と前記プランジャプレート39の旋盤側端面の間にh2 、前記キャップスクリュー29のナット部29aとアクチュエータ28の旋盤側端面の間にh3 および、前記アクチュエータ28の突条30の根元前側とサブハウジング11のアクチュエータ28摺動用ガイド穴27の旋盤側周縁との間にh4 の隙間がある。
【0034】
図2および図3の状態からドローバーDが前進すると、サポートドローバー6、ドローバージョイント5が押圧されこれらが前進するが、前記h2 の間隔を進んだところで、先ず、サポートドローバー6のフランジ部が前記プランジャプレート39に当接し、以降前進してこれを押圧し、それに係合しているプランジャ36を前進させる。プランジャ36が前進すると、プランジャ先端の楔形状37と前記位相爪マスタ45とのカム機構が働き、位相爪マスタ45に取り付けられた位相爪46が主軸径方向外方に移動してアンチャック状態になる。
【0035】
他方、この位相爪46の開放動作に並行して、ドローバーDが図2および図3の状態から前記h3 の間隔を進んだところで、ドローバージョイント5のTナット10に螺合したキャップスクリュー29のナット部29aがアクチュエータ28の旋盤側端面に当接する。
【0036】
さらにドローバーDが前進し、ナット部29aがアクチュエータ28内の圧縮バネS1 に抗してアクチュエータ28を押圧すると、アクチュエータ28外周面の突条がチャッキングピン24を押圧し、先端に取り付けられたジョウピース25が前進するとともに主軸径方向外向きに移動する。この移動は、前記アクチュエータ28外周面の突条30の根元がサブハウジング11のガイド穴27周縁に当接するまで行われ、その間、ドローバーDは前記h4 の距離を前進する。この状態でジョウピース25および前記位相爪46とも完全な開放状態(アンチャック状態)になる。この状態を図4および図5に示す。
【0037】
この図4および図5に示すチャックの開放状態の下、一点鎖線で示されるワークのクランクシャフトCをストッパリング34開口から挿入させ、クランクアームA背面をストッパリング34端面に当接させる。
【0038】
次に、ドローバーDを後退させチャッキング動作に入る。
【0039】
ドローバーDが後退してゆくと、先程とは逆に、アクチュエータ28の突条30がチャッキングピン24を後退させ、ドローバーDが前記h4 の距離後退したところでジョウピース25がジャーナル部Jの外周面に当接し、この部分をチャッキングする。これ以降、ドローバーDが後退し、前記アクチュエータ28の旋盤側端面とキャップスクリュー29のナット部29aの前側端面との距離がh3 になるまでは、アクチュエータ28に内装された圧縮バネS1 によってのみアクチュエータ28の突条30がチャッキングピン24を後退させ、ジョウピース25がジャーナル部Jの外周面をチャッキングする力はこの圧縮バネS1 のバネ力(22Kg)によるものである。
【0040】
他方、ドローバーDが後退し始めると同時にプランジャプレート39も後退し、プランジャ36が引っ張られて位相爪46も主軸径方向内側に移動し始めるが、前記ジョウピース25がジャーナル部Jの外周面に当接して以降しばらくは、位相爪46はまだアームA周面をチャックしないよう、かつ、位相爪46がアームAの周面をチャッキングするのは、ジャーナル部Jのチャッキングが始まって以降、前記キャップスクリュー29がアクチュエータ28内部側面に当接するまでの途中になるように、ワークに合わせて、例えば位相爪46のチャック方向長さ等を設定しておく。
【0041】
こうしておくと、先ず、ジャーナル部JのチャッキングではアームA周面のチャッキングの影響を全く受けないので、セルフセンタリング機能が働き、ジャーナル部Jの芯出しが可能となる。
【0042】
他方、位相爪46によるアームA周面のチャッキングの開始について前記キャップスクリュー29がアクチュエータ28内部側面に当接するまで、すなわち、前記図2および図3の状態になるまでとしたのは、図2および図3の状態になると、後述するように、ジャーナル部JのチャッキングがドローバーDの引っ張り力が直接作用する本クランプの状態に入るからであり、そうなると、アーム部A周面のチャッキングにセルフセンタリング機能を働かせることができないからである。アーム部A周面のチャッキングでは前記サポートドローバー6のフランジ部が前記プランジャプレート39から離れると、前記圧縮バネS2 のバネ力(43Kg×2)だけでチャッキングが行われ、そのバネ力は前記ジャーナル部Jのチャッキングのバネ力(22Kg)より十分大きいのでセルフセンタリング機能が働き、アームA部の幅中心が回転中心(切削中心)に一致するように作用する。
【0043】
こうして、図2および図3の状態に達した時点では、ジャーナル部Jの仮クランプとアーム部Aのピン穴Pの切削中心が求まることになる。
【0044】
そして、この図2および図3の状態に達した時点では、前記したようにサポートドローバー6のフランジ部とアダプタプレート2の間に間隔h1 が存在するようになっており、ドローバーDがサポートドローバー6に引っ張り力を印加できる状態にあるので、サポートドローバー6に引っ張り力を印加すればジャーナル部JにドローバーDの力が直接作用し、ジャーナル部Jを本クランプすることができる。
【0045】
以上でジャーナル部JとアームAの周面がチャッキングされ、芯出しと位置決めが完了するので、ピン差し込み穴Pの切削加工にはいる。
【0046】
加工が終了すると、再びドローバーDを前進させ、ジョウピース25と位相爪46をアンチャック状態にしてワークを外す。
【0047】
なお、この実施形態のチャッキング装置では、前述したように、調整ブロック17、スペーサ18、調整ブロックホルダ19、調整用キャップスクリュー20、サブプレート12のハウジング3に対するスライド機構および接続用キャップスクリュー29、ドローバージョイント5の最大径部に設けられたT字溝9、Tナット10の摺動機構の構成により、バランスリング4を外した状態で前記スペーサ18を交換し、調整用キャップスクリュー20を回動して、サブハウジング11の主軸径方向の位置を調整できるようになっているので、ジャーナル部Jの軸芯位置が異なるクランクシャフトCに対応することができる。
【0048】
以上説明したように、この実施形態では、二箇所でチャッキングするワークに対し、一組のドローバーおよび油圧シリンダにより、それぞれの位置でセルフセンタリング機能が働き、それぞれの位置で独立して仮クランプと本クランプが実現できるチャッキングが行えるチャック装置を実現した。
【0049】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、切削中心がワークの主軸から偏芯した位置にあるワークについて、切削中心に対するチャッキング位置と、前記ワークの主軸に対するチャッキング位置の両位置でワークをチャッキングするのに、一組のドローバーとシリンダの構成による既成の旋盤用チャック装置を用い、それぞれの位置でセルフセンタリング機能を有し、それぞれの位置で独立して仮クランプと本クランプができるチャッキングを行ない得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】チャックを閉じた状態で示した実施形態の側面図
【図2】同上の線I−Iによる断面図
【図3】同上の線II−IIによる断面図
【図4】図2においてチャックを開いた状態で示した図
【図5】図3においてチャックを開いた状態で示した図
【図6】従来および実施形態の装置が切削加工の対象とするワークを示す斜視図
【符号の説明】
3 ハウジング
5 ドローバージョイント
11 サブハウジング
24 チャッキングピン
25 ジョウピース
28 アクチュエータ
36 プランジャ
40 プランジャプレート
45 位相爪マスタ
46 位相爪
S1 、S2 圧縮バネ
h1 、h2 、h3 、h4 隙間
D ドローバー
C クランクシャフト
J ジャーナル部
A アーム部
Claims (1)
- 旋盤の主軸端面に固定されるハウジング(3)内に、前記旋盤のドローバー(D)に接続され、前記ハウジング(3)内を旋盤の回転中心軸上を摺動する摺動体(5)と、
その摺動体(5)に接続され、摺動体(5)の進退により、前記回転中心軸から偏芯した軸を中心に、その偏芯軸径方向および偏芯軸方向にチャック爪(25)が開閉する第1のチャック機構と、
前記摺動体(5)に接続され、摺動体(5)の進退により、前記主軸径方向にチャック爪(46)が開閉する第2のチャック機構と、前記摺動体(5)の前記回転中心軸方向の第1の所定の位置から前方の第2の所定の位置まで摺動体(5)の移動に拘束されずに前記第1のチャック機構を閉じるように作用する第1のバネ(S1)と、
その第1のバネ(S1 )よりバネ力が大きく、前記摺動体(5)が前記第1の所定の位置から前方でかつ前記第2の所定の位置より手前の第3の所定の位置に移動するまで摺動体(5)の移動に拘束されずに前記第2のチャック機構を閉じるように作用する第2のバネ(S2 )とを有し、
前記第2のチャック機構のチャック爪(46)は、前記摺動体(5)が前記第3の所定の位置から前方ではその摺動体(5)が前進することにより開かれようとし、
前記第1のチャック機構のチャック爪(25)は、前記摺動体(5)が第2の所定の位置から前方の第4の所定の位置に進むまでは摺動体(5)が前進することにより開かれようとし、且つその第1のチャック機構のチャック爪(25)は、前記摺動体(5)の後退時、前記第2のチャック機構のチャック爪(46)が前記第2のバネ(S 2 )のバネ力により閉じられる前に前記第1のバネ(S 1 )のバネ力により閉じられ、前記摺動体(5)が前記第1の所定の位置に達して以降は、摺動体(5)が後退する際の引っ張り力が直接作用して閉じられるようになっている旋盤用チャック装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09252596A JP3798843B2 (ja) | 1996-04-15 | 1996-04-15 | 旋盤用チャック装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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- 1996-04-15 JP JP09252596A patent/JP3798843B2/ja not_active Expired - Lifetime
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