JP3796904B2 - ポリフェニレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンスルフィドの製造方法として、特に顆粒状の重合体を得る際に重合のサイクルを短縮しかつ未反応単量体の回収を容易にする方法に関するものであり、ポリフェニレンスルフィド製造の増能力、単量体の効率的回収による原単位削減により近年用途の拡大しつつある同重合体の供給安定化、産業廃棄物削減に貢献せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)はその高い耐熱性,耐薬品性、難燃性を活かし自動車部品や電気機器部品などに使用されるための射出成形用途やフィルム・繊維に使用されるための押出し用途に近年次第に需要が拡大しつつある。
【0003】
PPSの製造方法は大別して2種類に区別でき、粉末状の重合体を得る方法と顆粒状の重合体を得る方法がある。前者は重合後半に、重合反応混合物を高温高圧でフラッシュし溶媒回収を容易ならしめんとする方法であり、後者は重合後半に重合反応混合物を徐冷しPPSを顆粒状に回収する方法である。このPPSの顆粒状の回収としては、例えば、特公平1−25493号公報に示される相分離系の利用や、特開昭59−49232号公報あるいは特開平4−255722号公報に示されるように徐冷による顆粒状PPSの生成がある。またPPS収率向上に対しては、主に粉末状PPS製造法ではあるが特開平4−275334号公報に記載されている重合途中での反応系のガス抜き方法があるが、顆粒状PPSの製造に於て更に生産性を向上させる方法が要求されているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、顆粒状PPSを製造する方法において、顆粒生成に長時間を要する過程を短縮し、その生産効率を向上せしめ、かつ重合反応混合物中から未反応単量体の回収を容易にする方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)密閉した容器の中で、少なくとも1種の硫黄源およびポリハロ芳香族化合物を有機極性溶媒中で重合反応させ、重合反応後期に徐冷し、顆粒状のポリフェニレンスルフィドを製造する方法に於いて、重合反応後期に180〜220℃の範囲まで徐冷し、仕込み硫黄源に対し少なくとも50モル%以上が固形顆粒状重合体で存在し、かつ、密閉した容器の圧力が0.39×106 Pa以上である状態で、容器を放圧して、ガス相と液相からなる重合反応混合物をガス抜きし、容器の圧力を0.20×106 Pa以上減圧することを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法、
)顆粒状のポリフェニレンスルフィドを製造する方法が、重合反応後期に液−液相分離させるとともに180〜220℃の範囲まで徐冷するものである上記(1)記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法、
)前記硫黄源がアルカリ金属硫化物、ポリハロ芳香族化合物がジクロルベンゼンである上記(1)または(2)記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法、
)重合体混合物中にアルカリ金属カルボキシレートを含有することを特徴とする上記(1)〜()のいずれか記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法、および
)上記(1)〜()のいずれか記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法によりポリフェニレンスルフィドを製造する際に、重合反応混合物をガス抜きすることにより、容器外へ留出した混合物から未反応ポリハロ芳香族化合物を回収することを特徴とするポリハロ芳香族化合物の回収方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、PPS製造用の硫黄源として使用に適している化合物としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、硫化水素及びそれらの混合物などが挙げられ、アルカリ金属水酸化物と併用することも都合良い。さらに具体的には硫化ナトリウム、水硫化ナトリウムと水酸化ナトリウム、硫化水素と水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、分子量調整を目的とした助剤として、アルカリ金属カルボキシレート、スルホン酸塩、リチウム塩、水等の使用も可能である。
【0007】
ポリハロ芳香族化合物としては、70モル%以上はp−置換ハロゲン化ベンゼンであることが好ましく、特にp−ジクロルベンゼンが好都合に使用される。30モル%未満の範囲では、共重合可能なm−、又はo−ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、ビフェニル置換体、ナフタレン置換体も使用することができる。
【0008】
重合反応に使用できる有機極性溶媒としては、有機アミド、ラクタム、尿素、スルホンおよびそれらの混合物などが挙げられるが、適当な溶媒の例として、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,4−ジメチル−2−ピペラジノンおよびそれら混合物がある。好適な溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドンである。
【0009】
本発明に於て、重合反応系中に仕込むポリハロ置換芳香族化合物の量は広い範囲にわたって変動できるが、好ましくは硫黄源1モル当り0.90〜1.10モルの範囲、さらに好ましくは0.95〜1.05モルの範囲で存在せしめることができる。このポリハロ芳香族化合物の導入は、硫黄源および有機極性溶媒混合物を脱水し、系内の含水率が硫黄源に対し0.3モル当量以下にされた後にされることが、得られるPPSの分子量を増大させる点から適当である。
【0010】
重合反応には密閉可能な容器を用い、重合反応後期にガス抜きするまでは容器を密閉した状態で重合反応を行なう。
【0011】
重合反応を実施する反応温度は、通常220〜370℃、好ましくは230〜350℃の範囲であり、反応時間としては通常、1〜20時間、好ましくは2〜15時間の範囲内で行なわれる。用いる助剤の種類、量にもよるが、反応時間を適宜選択することにより、得られる重合体の分子量を適宜変動させることができる。
【0012】
本発明において、顆粒状PPSとは100メッシュ(149μm目開き)のフルイおよびフリィシュ(Fritsch)社製の“アナリセット(Analysette)”型振盪装置を用い、5分間振盪した際に補集される固形物を意味する。
【0013】
顆粒状のPPSは通常、重合反応後期に、ガス相と液相からなる重合反応混合物中の液相が液−液に相分離した系を徐冷中に得られるが、降温とともに顆粒部分が増大してくる。重合反応混合物中には有機極性溶媒、副生物としての水、その他故意に添加された水や低沸点副生物が存在し、かなりの高圧の反応系となる。PPSの品質に鑑み、重合中の溶媒は硫黄源1モル当り2〜8モルの範囲で使用されることが好ましいが、このような条件では、反応容器内の圧力は、徐冷中、200℃でも0.50×106 Pa以上、150℃でも0.35×106 Pa以上を示すのが通常である。
【0014】
上記において徐冷は、約10℃/分よりも遅い速度で徐冷する方法が好ましい。従来、この徐冷は、重合反応混合物を、別の槽へ抜出す際、抜出し時の突沸、装置の振動等不都合な事態が発生しない程度、例えば150℃程度以下となるまで行なわれ、その後、別の槽へ抜出し、有機溶剤や水による洗浄が行なわれるが、重合のサイクルが長くなり、生産能力の低下をもたらしてしまう。徐冷の調整は通常反応容器ジャケットを冷却することにより行なわれるが、重合反応混合物の液相温度を約10℃/分より遅い速度で冷却するよう外部ジャケットを調整して行なわれる。
【0015】
上述のように顆粒状のPPSは通常液−液に相分離している状態から得られるが、その相分離を増大せしめることは、顆粒状に回収される重合体の収率を向上させるのに有利である。この相分離を増大せしめるためにはアルカリ金属カルボキシレートや水等の助剤の存在が有効である。特に水に関しては重合途中、好ましくは硫黄源の転化率が80%を越えた状態で添加することにより相分離を効果的にすることができる。
【0016】
本発明の方法では、上記徐冷は、通常、密閉された容器を放圧することにより、重合反応混合物をガス抜きするまで行なう。好ましくは重合反応後期に220℃以上で重合反応が行なわれた後、200℃以下となるまで徐冷する。ガス抜きは、重合体の少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは75%以上が固形顆粒状に存在し、圧力が0.39×106 Pa以上、好ましくは0.45×106 Pa以上、さらに好ましくは0.50×106 Pa以上の状態で放圧することにより行ない、それにより、圧力0.20×106 Pa以上減圧する。このガス抜きの操作により、その後の重合反応混合物の抜出し操作を容易にすると同時に、圧力低下のための外部からの冷却により従来長時間要していたこの冷却操作を短縮し重合反応のサイクルを短縮することが可能となる。このガス抜き時の温度は、固形顆粒状PPSが少なくとも50%以上存在する状態で行なう必要があり通常、180〜220℃の範囲まで徐冷した段階で行なわれる。
【0017】
放圧による減圧は0.20×106Pa以上、好ましくは0.25×106以上行う。放圧による減圧が少なすぎると、反応器を封じてから解放する間でのサイクルの短縮の程度が小さくなる傾向にある。
【0018】
固形顆粒状のPPSの存在比率は、重合後期から徐冷途中の任意の温度で反応混合物を容器から抜出し弁を通しサンプリングし、未反応の硫黄源および顆粒状重合体量を直接定量することにより知ることが可能であるが通常、重合反応混合物中の溶媒、水、重合助剤の量および温度が決定されればほぼ予測することもできる。また圧力は、重合反応混合物中のガス相の圧力であり、反応容器内ガス相部に設置された圧力計感知部により知ることができる。
【0019】
ガス抜きは、重合反応槽に付属した弁の開閉により調整する方法が便利であり、このガス抜きにより系内の温度が低下し重合反応混合物の抜出しには更に有利となる。弁の開閉は、ボール弁、ニードル弁型等の汎用の型式によりその開度を調整し、重合反応混合物の突沸を防止する速度で行なわれるが通常20秒〜60分、好ましくは1分〜50分の時間でガス抜き操作を完了する。
【0020】
ガス抜きにより系外へ導かれる物質は、未反応の単量体、水、低沸点有機物、一部の溶媒などであり、特にこれら混合物から未反応単量体、例えばp−ジクロルベンゼンなどのポリハロ芳香族化合物を固液分離又は蒸留により回収することを容易ならしめる。重合混合物をガス抜きするのに適切な方法は、公知の方法で行なうことが可能であり、例えば反応器に連結したバルブを操作することにより実施する。バルブを開放し、系外へ導かれた物質は、必要であれば冷却し、集められる。
【0021】
本発明により製造した顆粒状PPSは、有機溶剤、水等による洗浄の後乾燥することができ、充填剤、顔料、他ポリマー等とブレンドし使用することも可能である。また単独に射出成形用や押出し用として使用することも可能である。場合によっては、酸化性の雰囲気下に加熱し硬化処理を加えることも可能である。
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0023】
【実施例】
実施例および比較例の中で述べられる測定法について記述する。
【0024】
メルトフローレート:ASTM D1238−86に従って316℃、5Kgの荷重にて測定した。
【0025】
平均粒径:100メッシュ(149μm目開き)、80メッシュ、50メッシュ、30メッシュ、20メッシュ、10メッシュおよび4メッシュ(4.76mm目開き)のフルイおよびフリィシュ(Fritsch)社製の“アナリセット(Analysette)”型振盪装置を用い、PPS100g、カーボンブラック(粒径<50μm)1gを混合し、5分間振盪させ、各フルイ上の顆粒状PPSの重量から分布を算出し、重量分布の1/2点での粒径を平均粒径とした。
【0026】
収率:得られたPPS樹脂のうち100メッシュのフルイおよびフリィシュ(Fritsch)社製の“アナリセット(Analysette)”型振盪装置を用い、5分間の振盪により、補集されたPPSの重量を理論値の重量で除して、その百分率を求めた。
【0027】
比較例1(顆粒状PPSの製造−ガス抜きなし−)
1リットル容量のオートクレーブに、硫化ナトリウム(5水塩)1.000モル、安息香酸ナトリウム0.200モル、N−メチル−2−ピロリドン3.0モルを仕込み、窒素気流下230℃まで撹拌下に加熱し少量の溶媒を含有する留出水を除去した。留出水は4.80モルを回収した。次に系内を175℃まで冷却し、固形状のp−ジクロルベンゼン0.995モルを0.5モルのN−メチル−2−ピロリドンとともに添加し系を封じ約0.8℃/分の昇温速度で270℃まで昇温し、その温度で2時間保持し、270℃一定に保持したまま高圧ポンプにより1.0モルの水を系内へ10分間かけて添加した。この時圧力は1.5×106 Paであった。次に1.0℃/分で130℃まで徐冷したがこの温度での圧力は0.19×106 Paを示していた。得られた顆粒状PPSは約70℃のイオン交換水で7回洗浄後、130℃にて一昼夜真空乾燥した。なお洗浄、濾過は150メッシュの金網を使用した。
【0028】
反応器を封じてから開放するまでのサイクルは7.5時間であり、収率88%、メルトフローレート130g/10分の顆粒状PPSを得た。このときの平均粒径は1.2mmであった。
【0029】
実施例1(本発明によるガス抜き)
比較例1と同様な仕込み量、脱水、重合方法によりPPSを合成したが反応器にはガス抜きを行なうため下部にボール弁付の開閉器を有する200ml耐圧滴下ロートを付け上部はパイプを通して10%水酸化ナトリウム水溶液中へ導く装置とした。270℃での保持、水添加を全く同様に操作し200℃まで1℃/分で徐冷した。徐冷直前の圧力は1.5×106 Paであり200℃時点での圧力は0.83×106 Paであった。開閉弁を1分間かけて全開とし常圧にした。全開後の温度は130℃になり開閉弁上部のロート部には加熱された液状物が留出した。反応器中のPPSは顆粒状であり比較例1と同様の水洗・乾燥を行なった。
【0030】
反応器を封じてから開放するまでのサイクルは6.4時間であり、収率88%、メルトフローレート125g/10分の顆粒PPSを得、また、平均粒径も1.2mmと比較例1と同等であり、重合サイクル短縮により通常と同等以上のPPSが得られることが確認できた。なおガス抜きにより留出した物質中には、約0.015モルのp−ジクロルベンゼン、1.7モルの水と少量の溶媒が検出され、p−ジクロルベンゼンの回収に有利な混合物であることが判明した。
【0031】
比較例2(高温、高圧下のガス抜き)
比較例1と同じ1リットルオートクレーブに、硫化ナトリウム(5水塩)1.000モル、N−メチル−2−ピロリドン2.8モルを仕込み、窒素気流下220℃まで撹拌下に常圧下加熱し少量の溶媒を含む留出水4.75モルを得た。系内を175℃まで冷却し、p−ジクロルベンゼン0.990モルを0.3モルのN−メチル−2−ピロリドンとともに添加し、0.8℃/分の昇温速度で270℃まで昇温し、その温度で3時間保持した後2.2モルの水を高圧下に封入した。この時圧力は1.8×106 Paとなっていた。次に270℃から240℃まで1℃/分で徐冷した後、実施例1記載の方法と同様にガス抜きを5分間かけて行ない内温を140℃、内圧を常圧まで低下させた。PPSの洗浄は比較例1と同様に行なった。
【0032】
反応器を封じてから開放するまでのサイクルは5.0時間と短縮はされたが、ガス抜きの温度が高温であったため、PPSの顆粒状の収率は45%であり、平均粒径も0.1mmと小さいものであった。なおメルトフローレートは1600g/10分であった。なおガス抜きにより得られた留出物中には0.018モルのp−ジクロルベンゼン、2.9モルの水、0.95モルのN−メチル−2−ピロリドンが検出された。
【0033】
実施例2(本発明によるガス抜き)
比較例2の操作を200℃まで徐冷したことを除き同様に繰り返した。徐冷し200℃に到達した時点での圧力は0.95×106 Paであった。1分間のガス抜きにより0.014モルのp−ジクロルベンゼン、3.0モルの水、少量の溶媒の留出物を得、系内は135℃、0.10×106 Paになった。
【0034】
反応器を封じてからのサイクルは5.7時間であったが、PPS収率は89%、平均粒径0.95mm、メルトフロー1680g/10分の顆粒状物を得た。なおガス抜きを行なわずに135℃まで外部から冷却する場合には7時間程のサイクルになる。
【0035】
比較例3(パイロットスケールでの検討)
100リットルの重合槽に硫化ナトリウム(5水塩)100モル、安息香酸ナトリウム20モル、N−メチルピロリドン300モルを仕込み、窒素気流下230℃まで攪拌下に加熱し少量の溶媒を含有する留出水を除去した。留出水は480モルを回収した。次に系内を175℃まで冷却し、固形状のp−ジクロルベンゼン99.5モルを50モルのN−メチル−2−ピロリドンとともに添加し系を封じ約0.8℃/分の昇温速度で270℃まで昇温し、その温度で2時間保持し、270℃で一定に保持したまま高圧ポンプにより100モルの水を系内へ30分かけて添加した。このときの圧力は1.5×106 Paであった。次に1.0℃/分で130℃まで徐冷したが、この温度での圧力は0.19×106 Paを示していた。得られた顆粒状PPSは約70℃のイオン交換水で7回洗浄後、130℃にて一昼夜真空乾燥した。なを洗浄・濾過は150メッシュの金網を使用した。
【0036】
重合槽に仕込みを開始してから開放するまでのサイクルは8.0時間であり、収率89%、メルトフローレート129g/10分の顆粒状PPSを得た。このときの平均粒径は1.3mmであった。
【0037】
実施例3(パイロットスケールでのガス抜き)
比較例3と同様な仕込み量、脱水、重合方法によりPPSを合成し、270℃での保持、水添加を全く同様に操作し、200℃まで1℃/分で徐冷した。徐冷直前の圧力は1.7×106 Paであり、200℃時点での圧力は0.86×106 Paであった。開閉弁を開け30分かけてガス抜きを行い、系内は0.35×106 Pa、132℃になった。重合槽中のPPSは顆粒状であり、比較例3と同様の水洗・乾燥を行った。
【0038】
重合槽に仕込みを開始してから解放するまでのサイクルは6.8時間であり、収率88%、メルトフローレート125g/10分の顆粒状PPSを得、また平均粒径も1.2mmであった。このようにパイロットスケールにおいても重合サイクルの短縮が図られ、かつ比較例3と同等以上のPPSが得られることが確認できた。なお、ガス抜きにより留出した物質中には、約1.5モルのp−ジクロルベンゼンが含まれており、p−ジクロルベンゼンの回収に有効であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明のポリフェニレンスルフィドの製造方法により、顆粒状PPSを短縮されたサイクルで提供可能となり、さらに未反応単量体の回収を容易ならしめることが可能となる。

Claims (5)

  1. 密閉した容器の中で、少なくとも1種の硫黄源およびポリハロ芳香族化合物を有機極性溶媒中で重合反応させ、重合反応後期に徐冷し、顆粒状のポリフェニレンスルフィドを製造する方法に於いて、重合反応後期に180〜220℃の範囲まで徐冷し、仕込み硫黄源に対し少なくとも50モル%以上が固形顆粒状重合体で存在し、かつ、密閉した容器の圧力が0.39×106 Pa以上である状態で、容器を放圧して、ガス相と液相からなる重合反応混合物をガス抜きし、容器の圧力を0.20×106 Pa以上減圧することを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。
  2. 顆粒状のポリフェニレンスルフィドを製造する方法が、重合反応後期に液−液相分離させるとともに徐冷するものである請求項1記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
  3. 前記硫黄源がアルカリ金属硫化物、ポリハロ芳香族化合物がジクロルベンゼンである請求項1または2に記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
  4. 重合体混合物中にアルカリ金属カルボキシレートを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか記載のポリフェニレンスルフィドの製造方法によりポリフェニレンスルフィドを製造する際に、重合反応混合物をガス抜きすることにより、容器外へ留出した混合物から未反応ポリハロ芳香族化合物を回収することを特徴とするポリハロ芳香族化合物の回収方法。
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