JP3793558B2 - 高周波用磁器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子収納用パッケージや多層配線基板等に適用される配線基板に関するものであり、特に、銅や銀と同時焼成が可能であり、また、GaAs等のチップ部品やプリント基板などの有機樹脂からなる外部回路基板に対し、高い信頼性をもって実装可能であり、配線基板における絶縁基板として用いられる高周波用磁器に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、セラミック多層配線基板としては、アルミナ質焼結体からなる絶縁基板の表面または内部にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からなる配線層が形成されたものが最も普及している。
【0003】
また、最近に至り、高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波化に移行しつつある。このような、高周波の信号の伝送を必要とする高周波配線基板においては、高周波信号を損失なく伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいこと、また絶縁基板の高周波領域での誘電損失が小さいことが要求される。
【0004】
ところが、従来のタングステン(W)や、モリブデン(Mo)などの高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝搬速度が遅く、また、1GHz以上の高周波領域の信号伝搬も困難であることから、W、Moなどの金属に代えて銅、銀、金などの低抵抗金属を使用することが必要となっている。
【0005】
このような低抵抗金属からなる配線層は、融点が低く、アルミナと同時焼成することが不可能であるため、最近では、ガラス、またはガラスとセラミックスとの複合材料からなる、いわゆるガラスセラミックスを絶縁基板として用いた配線基板が開発されつつある。例えば、特開昭60−240135号のように、ホウケイ酸亜鉛系ガラスに、Al23、ジルコニア、ムライトなどのフィラーを添加したものを低抵抗金属と同時焼成した多層配線基板が提案されている。
【0006】
また、多層配線基板や半導体素子収納用パッケージなどの配線基板にGaAsなどのチップ部品を実装したり、また配線基板をマザーボードなどの有機樹脂を含むプリント基板に実装する上で、絶縁基板とチップ部品あるいはプリント基板との熱膨張差に起因して発生する応力により実装部分が剥離したり、クラックなどが発生するのを防止する観点から、絶縁基板の熱膨張係数がチップ部品やプリント基板のそれと近似していることが望まれる。
【0007】
そこで、例えば、特開平10−120436号公報、特開平11−49531号公報では、ディオプサイド型結晶相を析出可能なガラス粉末70〜100%に対して、アルミナ、ムライト等のセラミック粉末0〜30%を添加、混合して焼成した磁器が提案され、マイクロ波帯での誘電損失を低減でき、磁器強度を2200kg/cm2まで高めることができることが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のガラスセラミックスは、銅、銀、金などの低抵抗金属との同時焼成が可能であっても、熱膨張係数が3〜5ppm/℃程度と低く、GaAs等のチップ部品(熱膨張係数6〜7.5ppm/℃)を実装したり、プリント基板(熱膨張係数12〜15ppm/℃)に実装したりする場合に、実装の信頼性が低く実用上満足できるものではなかった。
【0009】
また、特開平10−120436号公報、特開平11−49531号公報では、磁器強度がせいぜい2200kg/cm2以下であり、配線基板に種々の電子部品や入出力端子等を実装する工程において、絶縁基板にかかる応力によって絶縁基板に亀裂が生じたり、破損したりする恐れがあるために、さらなる強度向上が求められていた。
【0010】
従って、本発明は、金、銀、銅を配線導体として多層化が可能な800〜1000℃での焼成が可能であるとともに、GaAs等のチップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波領域においても低誘電率、低誘電損失で、かつ磁器強度が高い磁器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、SiO、Al、MgOおよびCaOを含み、ディオプサイド型結晶相を析出可能なガラスに対して、フィラーとして少なくともAlを含有する酸化物を30重量%より多い所定の比率で配合した組成物を用い、これを成形後、800〜1000℃の温度で焼成することによって、少なくともMg、Ca、Si、Alを含むディオプサイド型結晶相と、少なくともAlを含有する酸化物結晶相とを含む(但し、エンスタタイト結晶相を除く)磁器からなり、磁器中のガラス相を30重量%以下と低減できるとともに、該ガラス相中のSiの含有量を酸化物(SiO)換算で70重量%以上含有せしめることができ、低誘電率で、GaAs等のチップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、1GHz以上の高周波領域においても低誘電損失を有するとともに、磁器の4点曲げ強度が250MPa以上の磁器が得られることを知見し、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明の高周波用磁器は、少なくともMg、Ca、Si、Alを含むディオプサイド型結晶相と、少なくともAlを含有する酸化物結晶相と、少なくともSiを酸化物(SiO)換算で70重量%以上含有するガラス相を30重量%以下とを含有する(但し、エンスタタイト結晶相を除く)磁器からなり、且つ該磁器の室温から400℃における熱膨張係数が5ppm/℃以上、誘電率が10以下、60〜77GHzでの誘電損失が50×10−4以下、4点曲げ強度250MPa以上と優れた特性を実現できることを見出した。
【0013】
ここで、前記少なくともAlを含有する酸化物は、Al23、MgAl24、ZnAl24、3Al23・2SiO2のうち選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。
【0014】
さらに、前記高周波用磁器のヤング率が140GPa以上であることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の高周波用磁器は、少なくともMg、Ca、Si、Alを含むディオプサイド型結晶相と、少なくともAlを含有する酸化物結晶相と、少なくともSiを酸化物(SiO)換算で70重量%以上含有するガラス相を30重量%以下とを含有する(但し、エンスタタイト結晶相を除く)磁器からなるものである。
【0016】
上記結晶相のうち、ガラスから析出する少なくともMgOとCaOとSiOとAlを含むディオプサイド結晶相Ca(Mg,Al)(Si,Al)(DI)は、約8〜9ppm/℃の高熱膨張および誘電率6.5〜7.5の特性を有する結晶であることから、上記組成のガラスよりディオプサイド型結晶相を析出させるとともに、少なくともAlを含有する酸化物を特定量添加して磁器中に析出させることにより、磁器の熱膨張係数を5ppm/℃以上に高めるとともに、磁器の誘電率を10以下、特に8以下に、磁器の4点曲げ強度250MPa以上、特に300MPa以上に高めることが可能である。
【0017】
また、磁器中には、上記ディオプサイド結晶相以外に、Ca2MgSi27(akermanite)、CaMgSiO4(monticellite)、Ca3MgSi28(merwinite)等の類似の相が析出してもよい。
【0018】
また、ガラス中にSrOを含有する場合、SrOは上記ディオプサイド型結晶相内に固溶してもよく、また、(Ca,Sr)SiO3、SrSiO3、(Ca,Sr)Al2Si28等の別の結晶相として析出してもよい。
【0019】
さらに、Alを含有する酸化物結晶相は、強度向上の点で、平均粒径1〜2.9μm、特に1.5〜2.5μmの粒子が磁器中に分散して存在することが望ましい。
【0020】
なお、磁器中には、特にガラスの表面のみが結晶化して中心部に非晶質ガラス(G)が残在するが、磁器強度向上の点で磁器中のガラスの存在割合を30重量%以下、特に15重量%以下、さらに7重量%以下に低めることが重要であり、かつ、非晶質ガラス(G)は、誘電損失の低減および高熱膨張係数化の点でガラス中のSi成分の含有量がSiO2換算で70重量%以上、特に80重量%であることが望ましい。
【0021】
これによって、磁器の誘電損失を低減することができ、60〜77GHzでの誘電損失を50×10-4以下、特に30×10-4以下、さらに20×10-4以下に低減することができる。
【0022】
特に、ガラス中にSrOを含有しめた場合には、磁器を低い焼成温度で緻密化させることが可能であるが、磁器中に非晶質ガラス(G)が残存しやすい。これに対して、本発明によれば、ガラス中にSrOを含有しめた場合においても非晶質ガラス量を30重量%以下に低減して低誘電損失化、高強度化、高ヤング率化を図ることができる。なお、ガラス中には、ZnO、CuO、TiO2、B23、Na2O、K2O等の他の成分が総量で3重量%以下含有されていてもよい。
【0023】
さらに、上記ディオプサイド結晶相のヤング率は160GPa程度と高いものであるから、上記磁器中のディオプサイド型結晶相の析出割合を高めるとともに、Alを含有する酸化物結晶相を所定量含有せしめることによって、磁器のヤング率を高めることができ、特にヤング率が140GPa以上、特に150GPa以上であることが望ましい。
【0024】
また、本発明の高周波用磁器の全体組成としては、Si、Al、MgおよびCaの各金属元素の酸化物換算による合量を100重量%とした時、SiO2を15〜47.6重量%、Al23を32.4〜65重量%、MgOを8〜35重量%、CaO12〜40重量%であるか、またはSi、Al、Mg、CaおよびSrの各金属元素の酸化物換算による合量を100重量%とした時、SiO2を15〜49.6重量%、Al23を32.4〜65重量%、MgOを8〜35重量%、CaO2.5〜20重量%、SrO7.5〜25重量%の割合から構成されることが望ましい。
【0025】
これによって、本発明の高周波用磁器は、1GHz以上、特に20GHz以上、さらには50GHz以上、またさらには70GHz以上の高周波用配線基板の絶縁層を形成するのに好適な磁器である。
【0026】
本発明の磁器を配線基板の絶縁基板として用いる場合、誘電率が10以下、特に8以下と低いために高周波伝送線路やアンテナの伝送損失を低めることができる。
【0027】
また、磁器の室温から400℃における熱膨張係数は、実装するチップ部品等やプリント基板等の熱膨張係数に近似するように適宜調整することが望ましい。これは、上記の磁器の熱膨張係数が実装されるチップ部品等やプリント基板のそれと差がある場合、半田実装時や半導体素子の作動停止による繰り返し温度サイクルによって、チップ部品等やプリント基板とパッケージとの実装部に熱膨張差に起因する応力が発生し、実装部にクラック等が発生し、実装構造の信頼性を損ねてしまうためである。
【0028】
具体的には、GaAs系のチップ部品との整合を図る上ではGaAs系のチップ部品との熱膨張係数の差が2ppm/℃以下であり、一方、プリント基板との整合を図る上ではプリント基板との熱膨張係数の差が2ppm/℃以下であることが望ましい。
【0029】
また、磁器の4点曲げ強度が250MPa以上、ヤング率が140GPa以上と高いために、半導体素子等の電子部品の実装時、または入出力端子部に施すリード接続時に磁器にかかる応力による破損等を防止することができる。
【0030】
上記磁器を作製するには、まず、SiO2、Al23、MgOおよびCaOを含み、ディオプサイド型結晶相を析出可能なガラスを40〜69.9重量%、特に50〜69.9重量%と、フィラーとして少なくともAlを含有する酸化物原料を30.1〜60重量%との割合で含有する磁器組成物を準備する。
【0031】
なお、各成分組成のうち、上記ガラスが40重量%よりも少ないと、1000℃以下の温度での焼成により磁器を緻密化させることが困難であり、69.9重量%よりも多いと、磁器中の結晶化度が低下し、磁器の4点曲げ強度が250MPaより低くなるためである。ガラスの特に望ましい範囲は、55〜65重量%である。
【0032】
ここで、前記ガラスは、ガラスの軟化点が500〜800℃であることが望ましく、さらなる低温焼成化の点で、SrOを含有してもよい。
【0033】
さらに、ガラスの組成はSiO230〜55重量%、Al234.5〜15重量%、MgO16〜35重量%、CaO24〜40重量%の割合か、またはSiO230〜55重量%、Al234〜15重量%、MgO14〜30重量%、CaO5〜20重量%、SrO10〜25重量%の割合であることが望ましい。
【0034】
なお、上記のガラスからのディオプサイド型結晶相の析出割合を高める上では、ガラス中におけるCaOとMgOの合計量が35〜50重量%であることが望ましい。
【0035】
また、フィラーとして添加されるAlを含有する酸化物としては、Al23、MgAl24、ZnAl24、3Al23・2SiO2、Mg2Al4Si518のうち選ばれる少なくとも一種からなることが望ましく、特にAl23、MgAl24、ZnAl24、さらにはAl23であることが望ましい。
【0036】
フィラーとして少なくともAlを含有する酸化物が30.1重量%よりも少ないと、磁器中の結晶化率が低下するとともに、高強度化のために寄与するフィラーの割合が減少して磁器中に存在する酸化物結晶相の割合が低下する結果、磁器強度を高めることができない。逆に、少なくともAlを含有する酸化物が60重量%を越えると、難焼結性となり、1000℃以下の焼成温度で緻密化することができず、誘電損失、磁器強度ともに低下する。少なくともAlを含有する酸化物の望ましい範囲は、35〜45重量%である。
【0037】
さらに、800〜1000℃の焼成で磁器の相対密度を97%以上、特に99%以上に高めることが可能であり、また、高周波領域での誘電損失を低減し、機械的強度を高める上で、Alを含有する酸化物原料粉末の平均粒径は、1μm以上であることが望ましい。
【0038】
次に、本発明における高周波用磁器組成物を用い磁器を製造する方法について説明する。
まず、出発原料として、SiO2、Al23、MgO、CaOを含みディオプサイド型結晶相を析出可能な結晶化ガラス粉末40〜69.9重量%と、少なくともAlを含有する酸化物粉末を30.1〜60重量%との割合で秤量混合する。
【0039】
なお、上記Alを含有する酸化物粉末中には低温焼成化の点で、例えばSi、Mg、Ca、Sr等の不可避不純物が8重量%以下、特に1重量%以下含有されていてもよい。
【0040】
そして、この混合粉末を用いてドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法の周知の成型法により所定形状の成形体を作製した後、該成形体を800〜1000℃の酸化性雰囲気または不活性雰囲気中で焼成することにより作製することができる。
【0041】
ここで、焼成温度が800℃より低いと、磁器を緻密化できないとともに結晶化度が低く磁器中のガラス相の割合を30重量%以下とすることができず、高周波領域での誘電損失が増大し、逆に1000℃を越えるとCuやAg等の低抵抗金属との同時焼成ができない。
【0042】
なお、1000℃以下での焼成で磁器を緻密化させるためには、焼成時の昇温速度を1000℃/時間以下で、かつ焼成時間を10分以上とすることが望ましく、また、磁器中のガラスの含有量を30重量%以下で、該ガラス中のSiO2の比率を70重量%以上に高めるためには、焼成時の降温速度を1000℃/時間以下とすることが望ましい。
【0043】
また、配線層を具備する配線基板を作製するには、前記混合粉末に、適当な有機溶剤、溶媒を用い混合してスラリーを調製し、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法により、シート状に成形する。そして、このシート状成形体に所望によりスルーホールを形成した後、スルーホール内に、銅、金、銀のうちの少なくとも1種を含む金属ペーストを充填する。そして、シート状成形体表面には、前記金属ペーストまたはこれら金属の金属箔を用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法、転写法などによって高周波信号が伝送可能な高周波線路パターン等に配線層の厚みが5〜30μmとなるように、印刷塗布する。
【0044】
その後、複数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着し、800〜1000℃の窒素ガスや窒素−酸素混合ガス等の非酸化性雰囲気で焼成することにより、高周波用配線基板を作製することができる。
【0045】
そして、この配線基板の表面には、適宜半導体素子等のチップ部品が搭載され配線層と信号の伝達が可能なように接続される。接続方法としては、配線層上に直接搭載させて接続させたり、あるいは樹脂、Ag−エポキシ、Ag−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミックス等の厚み50μm程度の接着剤によりチップ部品を絶縁基板表面に固着し、ワイヤーボンディング、TABテープなどにより配線層と半導体素子とを接続する。
【0046】
なお、半導体素子としては、Si系やGaAs系等のチップ部品が使用できるが、特に熱膨張係数の近似の点で、GaAs系のチップ部品の実装に有効である。
【0047】
さらに、半導体素子が搭載された配線基板表面に、絶縁基板と同種の絶縁材料や、その他の絶縁材料、あるいは放熱性が良好な金属等からなり、電磁波遮蔽性を有するキャップをガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤により接合してもよく、これにより半導体素子を気密に封止することができる。
【0048】
(配線基板の構成)本発明の高周波用磁器を好適に使用しうる高周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの具体的な構造とその実装構造について図1をもとに説明する。図1は、半導体収納用パッケージ、特に、接続端子がボール状端子からなるボールグリッドアレイ(BGA)型パッケージの概略断面図である。図1によれば、パッケージAは、絶縁材料からなる絶縁基板1と蓋体2によりキャビティ3が形成されており、そのキャビティ3内には、GaAs等のチップ部品4が前述の接着剤等により実装されている。
【0049】
また、絶縁基板1の表面および内部には、チップ部品4と電気的に接続された配線層5が形成されている。この配線層5は、高周波信号の伝送時に導体損失を極力低減するために、銅、銀あるいは金などの低抵抗金属を主成分とすることが望ましい。また、この配線層5に1GHz以上の高周波信号を伝送する場合には、高周波信号が損失なく伝送されることが必要となるため、配線層5は周知のストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路のうちの少なくとも1種から構成される。
【0050】
さらに、図1のパッケージAにおいて、絶縁基板1の底面には、接続用電極層6が被着形成されており、パッケージA内の配線層5と接続されている。そして、接続用電極層6には、半田などのロウ材7によりボール状端子8が被着形成されている。
【0051】
また、上記パッケージAを外部回路基板に実装するには、図1に示すように、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの有機樹脂を含む絶縁材料からなる絶縁基板9の表面に配線導体10が形成された外部回路基板Bに対して、ロウ材を介して実装される。具体的には、パッケージAにおける絶縁基板1の底面に取付けられているボール状端子8と、外部回路基板Bの配線導体10とを当接させてPb−Snなどの半田11によりロウ付けして実装される。また、ボール状端子8自体を溶融させて配線導体10と接続させてもよい。
【0052】
なお、図1では、ボール状端子を用いたものであったが、半田にて直接接合することも可能である。
【0053】
本発明によれば、GaAs等のチップ部品4のロウ付けや接着剤により実装したり、このようなボール状端子8を介在したロウ付けによりプリント基板等の外部回路基板に実装されるような表面実装型パッケージにおいて、GaAs等のチップ部品や外部回路基板の絶縁基板との熱膨張差を従来のセラミック材料よりも小さくできることから、かかる実装構造に対して、熱サイクルが印加された場合においても実装部での応力の発生を抑制することができる結果、実装構造の長期信頼性を高めることができる。
【0054】
【実施例】
下記の組成
Figure 0003793558
からなるディオプサイド結晶相析出可能なガラス3種(ガラスA〜C)と、ディオプサイド結晶相が析出しないガラスDを準備した。
【0055】
そして、上記ガラスに対して表1〜3のフィラー(純度99%)を添加し、さらに、この混合物に有機バインダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートを10〜15枚積層し、50℃の温度で100kg/cm2の圧力を加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中、700℃で脱バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で表1〜3の条件で焼成し絶縁基板用磁器を得た。なお、焼成に際しては昇温速度、降温速度を300℃/hとした。
【0056】
得られた磁器について誘電率、誘電損失を以下の方法で評価した。測定は形状、直径2〜7mm、厚み1.5〜2.5mmの形状に切り出し、60GHzにてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定では、NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共振器の励起を行い、TE021、TE031モードの共振特性より、誘電率、誘電損失を算出した。
【0057】
また、室温から400℃における熱膨張曲線をとり、熱膨張係数を算出した。さらに、焼結体中における結晶相をX線回折チャートから同定した。
【0058】
また、磁器中のガラス相の比率をリートベルト法によって評価した。具体的には、評価する磁器を粉砕した後、内部標準試料としてZnOを所定の比率で添加し、エタノールを加えて湿式混合した。これを乾燥した後、X線回折測定を行い、ZnOの添加比率と、リートベルト法によって得られるZnOと磁器中の結晶相との比率から磁器中に存在するガラス相の比率を算出し、TEMによりガラス相中のSiの比率を測定してSiO2換算での比率を算出した。また、JISR1601に基づいて磁器の4点曲げ強度を測定し、超音波パルス法により磁器のヤング率を測定した。結果は表1〜3に示した。
【0059】
【表1】
Figure 0003793558
【0060】
【表2】
Figure 0003793558
【0061】
【表3】
Figure 0003793558
【0062】
表1〜3の結果から明らかなように、SiO2、Al23、MgO、CaOを含むガラスA、B、Cの量が、50重量%より少ない試料No.1、20、30、33では、低温で焼結することが困難であり、緻密化しなかった。
【0063】
また、Alを含有する酸化物の添加量が30.1重量%よりも少ない試料No.7、8、13、16、26、27、40、44、47では、磁器の4点曲げ強度が低下した。さらに、フィラーとして平均粒径0.6μmのAlを用いた試料No.10、41では、1000℃の焼成で磁器を緻密化させることができず、ガラス相の割合が30重量%を越えてしまい、誘電損失が増大した。
【0064】
また、ガラスとして、B23を多く含むガラスDを用いた試料No.51は溶融してしまい、また、試料No.52では、ディオプサイド型結晶相が消失することによって、ホウ素を含むガラスが多く残留し、誘電損失が大きくなる傾向にあった。
【0065】
これに対して、本発明に従い、特定量の少なくともAlを含有する酸化物を添加した試料では、磁器中に少なくともAlを含有する酸化物結晶相の析出が見られ、また、いずれも熱膨張係数が5ppm/℃以上、60GHzの測定周波数にて、誘電率8以上、誘電損失が50×10−4以下、磁器の4点曲げ強度250MPa以上、ヤング率140GPa以上の優れた特性を有するものであった。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の高周波用磁器組成物によれば、1000℃以下の低温にて焼成できることから、銅などの低抵抗金属による配線層を形成でき、しかも1GHz以上の高周波領域において、誘電率が10以下で、60〜77GHzでの誘電損失が50×10-4以下と誘電損失が低いことから、高周波信号を極めて良好に損失なく伝送することができる。
【0067】
しかも、この組成物を用いて得られる磁器は、磁器強度が250MPa以上と高く、ヤング率が140GPa以上と高く、かつGaAsチップあるいはプリント基板と近似した熱膨張特性に制御できることから、GaAsチップを実装した場合、あるいは有機樹脂を含む絶縁基板を具備するプリント基板などのマザーボードに対してロウ材等により実装した場合において優れた耐熱サイクル性を有し、高信頼性の実装構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波用磁器を用いた高周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの実装構造の一例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
A 半導体素子収納用パッケージ
B 外部回路基板
1 絶縁基板
2 蓋体
3 キャビティ
4 チップ部品
5 配線層
6 接続用電極層
7 ロウ材
8 ボール状端子
9 絶縁基板
10 配線導体
11 ロウ材

Claims (3)

  1. 少なくともMg、Ca、Si、Alを含むディオプサイド型結晶相と、少なくともAlを含有する酸化物結晶相と、少なくともSiを酸化物(SiO)換算で70重量%以上含有するガラス相を30重量%以下とを含有する(但し、エンスタタイト結晶相を除く)磁器からなり、且つ該磁器の室温から400℃における熱膨張係数が5ppm/℃以上、誘電率が10以下、60〜77GHzでの誘電損失が50×10−4以下、4点曲げ強度250MPa以上であることを特徴とする高周波用磁器。
  2. 前記少なくともAlを含有する酸化物結晶相が、Al、MgAl、ZnAl、3Al・2SiO、MgAlSi18のうち選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の高周波用磁器。
  3. ヤング率が140GPa以上であることを特徴とする請求項1または2記載の高周波用磁器。
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