JP3663335B2 - 高周波用磁器組成物および高周波用磁器並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子収納用パッケージや多層配線基板等に適用される配線基板に関するものであり、特に、銅や銀と同時焼成が可能であり、また、GaAs等のチップ部品やプリント基板などの有機樹脂からなる外部回路基板に対し、高い信頼性をもって実装可能であり、配線基板における絶縁基板として用いられる高周波用磁器組成物および高周波用磁器並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、セラミック多層配線基板としては、アルミナ質焼結体からなる絶縁基板の表面または内部にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からなる配線層が形成されたものが最も普及している。
【0003】
また、最近に至り、高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波化に移行しつつある。このような、高周波の信号の伝送を必要とする高周波配線基板においては、高周波信号を損失なく伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいこと、また絶縁基板の高周波領域での誘電損失が小さいことが要求される。
【0004】
ところが、従来のタングステン(W)や、モリブデン(Mo)などの高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝搬速度が遅く、また、1GHz以上の高周波領域の信号伝搬も困難であることから、W、Moなどの金属に代えて銅、銀、金などの低抵抗金属を使用することが必要となっている。このような低抵抗金属からなる配線層は、融点が低く、アルミナと同時焼成することが不可能であるため、最近では、ガラス、またはガラスとセラミックスとの複合材料からなる、いわゆるガラスセラミックスを絶縁基板として用いた配線基板が開発されつつある。例えば、特開昭60−240135号のように、ホウケイ酸亜鉛系ガラスに、Al2O3、ジルコニア、ムライトなどのフィラーを添加したものを低抵抗金属と同時焼成した多層配線基板や、特開平5−298919号のように、ムライトやコージェライトを結晶相として析出させたガラスセラミック材料が提案されている。
【0005】
また、多層配線基板や半導体素子収納用パッケージなどの配線基板にGaAsなどのチップ部品を実装したり、また配線基板をマサーボードなどの有機樹脂を含むプリント基板に実装する上で、絶縁基板とチップ部品あるいはプリント基板との熱膨張差に起因して発生する応力により実装部分が剥離したり、クラックなどが発生するのを防止する観点から、絶縁基板の熱膨張係数がチップ部品やプリント基板のそれと近似していることが望まれる。
【0006】
そこで、本出願人は、先に特開平9−17904号に開示されるように、結晶化が可能なリチウム珪酸ガラスを用いることにより、絶縁基板の熱膨張係数を高めることができることを提案した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のガラスセラミックスは、銅、銀、金などの低抵抗金属との同時焼成が可能であっても、熱膨張係数が3〜5ppm/℃程度と低く、GaAs等のチップ部品(熱膨張係数6〜7.5ppm/℃)を実装したり、プリント基板(熱膨張係数12〜15ppm/℃)に実装する場合に、実装の信頼性が低く実用上満足できるものではなかった。
【0008】
また、特開平9−17904号に開示されるようにアルカリ金属を含有するガラスを用いる方法では、長時間高温多湿雰囲気に曝されると、アルカリ金属が大気中の水分と反応し表面にシリケート結晶相が析出して表面が変質してしまう場合があった。
【0009】
また、従来のガラスセラミックスは、ミリ波などの高周波信号を用いる配線基板の絶縁基板として具体的に検討されておらず、そのほとんどは誘電損失が高く、十分満足できる高周波特性を有するものではなかった。
【0010】
従って、本発明は、金、銀、銅を配線導体として多層化が可能な800〜1000℃での焼成が可能であるとともに、GaAs等のチップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波領域においても低誘電率でかつ誘電損失が低い磁器およびその製造方法並びにそれを作製可能な高周波用磁器組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末に対して、アモルファスシリカ粉末を特定の比率で配合した組成物を用い、これを成形後、800〜1000℃の温度で焼成することによって、低誘電率で、かつGaAs等のチップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、1GHz以上の高周波領域においても低誘電損失を有する磁器が得られることを知見し、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明の高周波用磁器組成物は、SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末を50〜95重量%と、アモルファスシリカ粉末を5〜50重量%との割合で含有することを特徴とするものである。
【0013】
また、前記ガラス粉末は、SiO245〜55重量%と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜24重量%と、CaO20〜30重量%とからなることが望ましい。
【0014】
また、本発明の高周波用磁器は、少なくともMg、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物結晶相とSiO2非晶質相とを含有し、且つ室温から400℃における熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が5.9以下、60〜77GHzでの誘電損失が10×10 −4 以下であることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、本発明の高周波用磁器の製造方法は、SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末を50〜99重量%と、アモルファスシリカを5〜50重量%との割合で含有する混合物を成形後、800〜1000℃の温度で焼成してなるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の高周波用磁器組成物は、SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末を50〜95重量%と、アモルファスシリカ粉末を5〜50重量%との割合で含有するものである。
【0017】
各成分組成を上記の範囲に限定したのは、上記ガラス粉末が50重量%よりも少ないと、1000℃以下の温度での焼成により磁器を緻密化させることが困難であり、95重量%よりも多いとガラスの結晶化が不十分となり、誘電損失の大きなガラス相が残留し、磁器の高周波での誘電損失が増大するためである。ガラス粉末の特に望ましい範囲は、60〜85重量%である。
【0018】
ここで、前記ガラス粉末は、ガラスの軟化点が500〜800℃であることが望ましく、その組成はSiO245〜55重量%、Al2O33〜10重量%、MgO13〜24重量%、CaO20〜30重量%の割合であることが望ましい。
【0019】
一般に、Al2O3やSiO2を含むガラス相の熱膨張係数は4〜5ppm/℃と低い。これに対し、MgCaSi2O6のディオプサイド型酸化物結晶相は約8〜9ppm/℃の高熱膨張特性を有することから、上記組成のガラス粉末よりディオプサイド型酸化物結晶相を析出させるとともに、磁器の低熱膨張化が必要な場合、熱膨張係数2〜5ppm/℃のアモルファスシリカを含有せしめ、また、その一部をクォーツに代えて含有せしめることもでき、目的の特性に応じて適宜調整すればよい。
【0020】
しかも、ディオプサイドはミリ波帯での誘電損失が小さいものであることから、磁器の低誘電損失化をも図ることができる。
【0021】
また、MgCaSi2O6のディオプサイド型酸化物結晶相は、誘電率6〜8を有するものであるが、これに誘電率3.8〜4.2のアモルファスシリカ粉末を特定量添加することにより、誘電率を5.9以下に低誘電率化することが可能である。
【0022】
上記のガラスからのディオプサイド型酸化物結晶相の析出割合を高める上では、ガラス中におけるCaOとMgOの合計量が35〜50重量%であることが望ましい。
【0023】
アモルファスシリカ粉末の総量が5重量%よりも少ないと、ガラスの残存率が高くなり誘電損失が大きくなる。逆に、50重量%を越えると、難焼結性となり1000℃以下の焼成温度で緻密化することができない。アモルファスシリカの総量の望ましい範囲は、15〜40重量%である。
【0024】
上記の態様の磁器組成物は、800〜1000℃の温度範囲での焼成によって相対密度97%以上まで緻密化することができ、これによって形成される磁器の全体組成としては、Si、Al、MgおよびCaの各金属元素の酸化物換算による合量を100重量%とした時、SiO2を55〜75重量%、Al2O3を3〜5重量%、MgOを10〜14重量%、CaO15〜21重量%の割合から構成されることが望ましい。
【0025】
また、上記磁器は、少なくともMg、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物結晶相とSiO2非晶質相とを含有し、且つ室温から400℃における熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が5.9以下、60〜77GHzでの誘電損失が10×10 −4 以下であることが望ましい。
【0026】
したがって、本発明の磁器組成物は、1GHz以上、特に20GHz以上、さらには50GHz以上、またさらには70GHz以上の高周波用配線基板の絶縁層を形成するのに好適な磁器である。本発明の磁器を配線基板の絶縁基板として用いる場合、高周波信号の伝送特性への影響を低減するため、誘電率が5.9以下と低いことが重要である。
【0027】
また、磁器の室温から400℃における熱膨張係数は、実装するチップ部品等やプリント基板等の熱膨張係数に近似するように適宜調整することが望ましい。これは、上記の磁器の熱膨張係数が実装されるチップ部品等やプリント基板のそれと差がある場合、半田実装時や半導体素子の作動停止による繰り返し温度サイクルによって、チップ部品等やプリント基板とパッケージとの実装部に熱膨張差に起因する応力が発生し、実装部にクラック等が発生し、実装構造の信頼性を損ねてしまうためである。
【0028】
具体的には、GaAs系のチップ部品との整合を図る上ではGaAs系のチップ部品との熱膨張係数の差が2ppm/℃以下であり、一方、プリント基板との整合を図る上ではプリント基板との熱膨張係数の差が2ppm/℃以下であることが望ましい。
【0029】
次に、本発明における高周波用磁器組成物を用い磁器を製造する方法について説明する。
【0030】
まず、出発原料として、SiO2、Al2O3、MgO、CaOを含みディオプサイド型結晶相を析出可能な結晶化ガラス粉末を50〜95重量%と、アモルファスシリカを5〜50重量%との割合で秤量混合する。
【0031】
そして、この混合粉末を用いてドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法の周知の成型法により所定形状の成形体を作製した後、該成形体を800〜1000℃の酸化性雰囲気または不活性雰囲気中で焼成することにより作製することができる。
【0032】
また、配線層を具備する配線基板を作製するには、前記混合粉末に、適当な有機溶剤、溶媒を用い混合してスラリーを調製し、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法、あるいは圧延法、プレス成形法により、シート状に成形する。そして、このシート状成形体に所望によりスルーホールを形成した後、スルーホール内に、銅、金、銀のうちの少なくとも1種を含む金属ペーストを充填する。そして、シート状成形体表面には、高周波信号が伝送可能な高周波線路パターン等に前記金属ペーストを用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法などによって配線層の厚みが5〜30μmとなるように、印刷塗布する。
【0033】
その後、複数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着し、800〜1000℃の窒素ガスや窒素−酸素混合ガス等の非酸化性雰囲気で焼成することにより、配線基板を作製することができる。そして、この配線基板の表面には、適宜半導体素子等のチップ部品が搭載され配線層と信号の伝達が可能なように接続される。接続方法としては、配線層上に直接搭載させて接続させたり、あるいは50μm程度の樹脂、Ag−エポキシ、Ag−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミックス等の接着剤によりチップ部品を絶縁基板表面に固着し、ワイヤーボンディングや、TABテープなどにより配線層と半導体素子とを接続する。
【0034】
なお、この半導体素子としては、Si系やGaAs系等のチップ部品が使用できるが、特に熱膨張係数の近似性の点では、最もGaAs系のチップ部品の実装に有効である。
【0035】
さらに、半導体素子が搭載された配線基板表面に、絶縁基板と同種の絶縁材料や、その他の絶縁材料、あるいは放熱性が良好な金属等からなり、電磁波遮蔽性を有するキャップをガラス、樹脂、ロウ材等の接着剤により接合してもよく、これにより半導体素子を気密に封止することができる。
【0036】
本発明の磁器組成物を好適に使用しうる高周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの具体的な構造とその実装構造について図2をもとに説明する。図2は、半導体収納用パッケージ、特に、接続端子がボール状端子からなるボールグリッドアレイ(BGA)型パッケージの概略断面図である。
【0037】
図2によれば、パッケージAは、絶縁材料からなる絶縁基板1と蓋体2によりキャビティ3が形成されており、そのキャビティ3内には、GaAs等のチップ部品4が前述の接着剤により実装されている。
【0038】
また、絶縁基板1の表面および内部には、チップ部品4と電気的に接続された配線層5が形成されている。この配線層5は、高周波信号の伝送時に導体損失を極力低減するために、銅、銀あるいは金などの低抵抗金属からなることが望ましい。また、この配線層5に1GHz以上の高周波信号を伝送する場合には、高周波信号が損失なく伝送されることが必要となるため、配線層5は周知のストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路のうちの少なくとも1種から構成される。
【0039】
また、図2のパッケージAにおいて、絶縁基板1の底面には、接続用電極層6が被着形成されており、パッケージA内の配線層5と接続されている。そして、接続用電極層6には、半田などのロウ材7によりボール状端子8が被着形成されている。
【0040】
また、上記パッケージAを外部回路基板Bに実装するには、図2に示すように、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの有機樹脂を含む絶縁材料からなる絶縁基板9の表面に配線導体10が形成された外部回路基板Bに対して、ロウ材を介して実装される。具体的には、パッケージAにおける絶縁基板1の底面に取付けられているボール状端子8と、外部回路基板Bの配線導体10とを当接させてPb−Snなどの半田等のロウ材11によりロウ付けして実装される。また、ボール状端子8自体を溶融させて配線導体10と接続させてもよい。
【0041】
本発明によれば、GaAs等のチップ部品4をロウ付けや接着剤により実装したり、このようなボール状端子8を介在したロウ付けによりプリント基板等の外部回路基板に実装されるような表面実装型のパッケージにおいて、GaAs等のチップ部品や外部回路基板の絶縁基板との熱膨張差を従来のセラミック材料よりも小さくできることから、かかる実装構造に対して、熱サイクルが印加された場合においても、実装部での応力の発生を抑制することができる結果、実装構造の長期信頼性を高めることができる。
【0042】
【実施例】
下記の組成からなるディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な結晶化ガラスを準備した。
ガラスA:SiO250重量%−Al2O35.5重量%
−MgO18.5重量%−CaO26重量%
そして、この結晶化ガラス粉末に対して、平均粒径が5μmのクオーツおよび平均粒径が2μmのアモルファスシリカ粉末を用いて、焼成後の磁器が表1の組成となるように混合した。
【0043】
そして、この混合物に有機バインダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。そして、このグリーンシートを10〜15枚積層し、50℃の温度で100kg/cm2の圧力を加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中、700℃で脱バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で表1の条件で焼成し絶縁基板用磁器を得た。
【0044】
得られた磁器について誘電率、誘電正接を以下の方法で評価した。測定は形状、直径2〜7mm、厚み1.5〜2.5mmの形状に切り出し、60GHzにてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用いて誘電体円柱共振器法により行った。測定では、NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共振器の励起を行い、TE021、TE031モードの共振特性より、誘電率、誘電損失を算出した。
【0045】
また、室温から400℃における熱膨張曲線をとり、熱膨張係数を算出した。さらに、焼結体中における結晶相をX線回折チャートから同定した。結果は表1に示した。
【0046】
また、一部の試料については、フィラー成分として、アモルファスシリカに代わり、ZrO2粉末、CaZrO3粉末を用いて同様に磁器を作製し評価した(試料No.2〜4)。
【0047】
また、上記結晶化ガラスAに代わり、以下の組成からなるガラスCを用いて同様に評価を行った(試料No.11、12)。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の結果から明らかなように、SiO2、Al2O3、MgO、CaOを含むガラス量が95重量%を越える試料No.1では、誘電損失が30×10-4を越えてしまい、ガラス量が50重量%よりも少ない試料No.6〜8では、低温で焼結することが困難であり、緻密化しなかった。
【0050】
試料No.2〜4は、ガラスへの添加成分として、ZrO2やCaZrO3を配合したものであるが、焼結体中にZrO2やCaZrO3などが析出し誘電損失が増大した。また、ガラスとして、B2O3を多く含むガラスCを用いた試料No.11、12では、Bを含むガラスが多く残留し、誘電損失が大きくなる傾向にあった。
【0051】
これに対して、本発明に従い、特定量のアモルファスシリカ粉末を添加した試料No.5、9、10では、磁器中にアモルファスシリカ相が存在し、また、いずれも熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、60GHzの測定周波数にて、誘電率5.9以下、誘電損失が10×10 −4 以下の優れた特性を有するものであった。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の高周波用磁器組成物によれば、1000℃以下の低温にて焼成できることから、銅などの低抵抗金属による配線層を形成でき、しかも1GHz以上の高周波領域において、低誘電率、低誘電損失を有することから、高周波信号を極めて良好に損失なく伝送することができる。しかも、この組成物を用いて得られる磁器は、GaAsチップあるいはプリント基板と近似した熱膨張特性に制御できることから、GaAsチップを実装した場合、あるいは有機樹脂を含む絶縁基板を具備するプリント基板などのマザーボードに対してロウ材等により実装した場合において優れた耐熱サイクル性を有し、高信頼性の実装構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組成物を焼成して得られる磁器の組織を説明するための概略図である。
【図2】本発明の組成物を焼成した磁器を用いた高周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの実装構造の一例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
Si SiO2結晶相
DI ディオプサイド型酸化物結晶相
G 非晶質(ガラス)相
AM アモルファスシリカ相
A 半導体素子収納用パッケージ
B 外部回路基板
1 絶縁基板
2 蓋体
3 キャビティ
4 チップ部品
5 配線層
6 接続用電極層
7 ロウ材
8 ボール状端子
9 絶縁基板
10 配線導体
11 ロウ材
Claims (4)
- SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含み、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末を50〜95重量%と、アモルファスシリカ粉末を5〜50重量%との割合で含有することを特徴とする高周波用磁器組成物。
- 前記ガラス粉末が、SiO245〜55重量%と、Al2O33〜10重量%と、MgO13〜24重量%と、CaO20〜30重量%とからなることを特徴とする請求項1記載の高周波用磁器組成物。
- 少なくともMg、Ca、Siを含むディオプサイド型酸化物結晶相とSiO2非晶質相とを含有し、且つ室温から400℃における熱膨張係数が5.5ppm/℃以上、誘電率が5.9以下、60〜77GHzでの誘電損失が10×10 −4 以下であることを特徴とする高周波用磁器。
- SiO2、Al2O3、MgOおよびCaOを含むディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能なガラス粉末を50〜95重量%と、アモルファスシリカ粉末を5〜50重量%との割合で含有する混合物を成形後、800〜1000℃の温度で焼成してなることを特徴とする高周波用磁器の製造方法。
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