JP2005179137A - 高周波伝送特性に優れた磁器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 800〜1000℃にて焼成可能で、高周波領域において誘電損失を低減できる高周波用配線基板の絶縁層用の磁器とその製造方法およびその組成物を提供する。
【解決手段】 この磁器用組成物は、(A)ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な結晶性ガラス粉末40〜70質量%と、(B)フィラーとしての金属酸化物粉末30〜60質量%との混合粉末からなり、前記結晶性ガラス粉末(A)は、SiO、MgO、CaOを含み且つAl量が0.4質量%以下であると共に、前記金属酸化物粉末(B)は、少なくともコーディエライトを1〜60質量%含有していることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マイクロ波やミリ波等の高周波帯で用いられる配線基板における絶縁基板の形成材料として好適な高周波伝送特性に優れた磁器に関するものであり、より詳細には、高周波伝送特性に優れた磁器を製造するための磁器用組成物、該磁器用組成物から形成される磁器、及び該磁器の製造方法に関するものである。
従来、セラミック多層配線基板としては、アルミナ質焼結体からなる絶縁基板の表面または内部にタングステンやモリブデンなどの高融点金属からなる配線層が形成されたものが最も普及している。
また、最近に至り、高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波帯域に移行しつつある。このような、高周波信号の伝送を必要とする高周波用配線基板においては、高周波信号を損失なく伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいこと、また絶縁基板の高周波領域での誘電損失が小さいことが要求される。
ところが、従来のタングステン(W)や、モリブデン(Mo)などの高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝搬速度が遅く、また、1GHz以上の高周波領域の信号伝搬も困難であることから、W、Moなどの金属に代えて銅、銀、金などの低抵抗金属を使用することが必要となっている。
このような低抵抗金属からなる配線層は、融点が低く、アルミナと同時焼成することが不可能であるため、最近では、ガラス、またはガラスとセラミックスとの複合材料からなる、いわゆるガラスセラミックスを絶縁基板として用いた配線基板が開発されつつある。
例えば、特許文献1には、ホウケイ酸亜鉛系ガラスに、Al、ジルコニア、ムライトなどのフィラーを添加した磁器用組成物の成形体を低抵抗金属からなる配線層と同時焼成した多層配線基板が提案されている。しかし、この多層配線基板では、高周波帯域での絶縁基板における誘電損失が大きく、その特性向上が求められている。
そこで、特許文献2及び3では、ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な結晶性ガラス粉末70〜100%と、アルミナ、ムライト等のセラミック粉末0〜30%との混合粉末を用いて得られた成形体を焼成した磁器が提案されており、かかる磁器によれば、2GHzの周波数での誘電損失を3〜7×10−4と低減できることが開示されている。
特開昭60−240135号 特開平10−120436号公報 特開平11−49531号公報
ところで、ディオプサイド型酸化物結晶相は、高周波帯における誘電損失が低いという特性を有しているが、ガラス粒子の表面で結晶化しやすく、このため、上記特許文献2及び3では、低抵抗導体と同時焼成可能な800〜1000℃のような低温領域で、特にAgとの同時焼成に最適な850℃付近での温度領域で焼成を行った場合、ガラス粒子内部の成分が結晶化せずに残留してしまい、残留ガラス相が多く且つ磁器中のディオプサイド結晶相の割合が低いという問題がある。即ち、低温焼成では十分な量のディオプサイド結晶相が析出せず、且つ誘電体損失の増大を招く残留ガラスが多く、この結果、2GHzよりも高い周波数帯での誘電損失が高いという問題を生じている。
また、上記のような磁器は、GaAsチップなどの半導体素子やプリント基板との熱膨張係数差が大きいという欠点もあった。このため、GaAsなどの半導体素子が搭載される配線基板中の絶縁基板として用いた場合、半導体素子実装(1次実装)やプリント基板への実装(2次実装)に際しての熱処理或いは実装された半導体素子の動作による発熱等により、熱膨張差に起因する熱応力が発生し、半導体素子の剥離や破壊等の不都合を生じ、実装の信頼性を欠くという問題もあった。
従って、本発明の目的は、800〜1000℃のような低温領域で、特に850℃付近の焼成温度においても十分な量のディオプサイド結晶相が析出し、高周波領域での誘電損失がさらに低減された高周波伝送特性に優れた磁器を製造可能な磁器用組成物、及び該磁器用組成物から得られる磁器、並びに該磁器を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の特性と共に、GaAsチップなどの半導体素子やプリント基板との熱膨張係数差が小さく、半導体素子が搭載される配線基板中の絶縁基板として使用した場合において、半導体素子やプリント基板との熱膨張差に起因する不都合が有効に解消され、実装信頼性に優れた絶縁基板を作製可能な磁器用組成物、及び該磁器用組成物から得られる磁器、並びに該磁器を製造する方法を提供することにある。
本発明によれば、(A)ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な結晶性ガラス粉末40〜70質量%と、(B)フィラーとしての金属酸化物粉末30〜60質量%との混合粉末からなり、前記結晶性ガラス粉末(A)は、SiO、MgO、CaOを含み且つAl量が0.4質量%以下であると共に、前記金属酸化物粉末(B)は、少なくともコーディエライトを1〜60質量%含有していることを特徴とする磁器用組成物が提供される。
上記の磁器用組成物においては、
(1)前記結晶性ガラス粉末(A)が、40〜65質量%のSiO、0〜0.4質量%のAl、11〜30質量%のMgO及び20〜35質量%のCaOからなること、
(2)前記金属酸化物粉末は、MgAl、ZnAl、ムライト、SiO、TiO、MgTiO、SrTiO、BaTiO、CaTiO、ZnTiO、CuOおよびCuOからなる群より選択された少なくとも1種を、コーディエライト以外に、さらに含有していること、
が好ましい。
本発明によれば、また、結晶性ガラスから析出したディオプサイド型酸化物結晶相と、コーディエライト結晶相と、残留ガラス相とを含有し、60〜77GHzでの誘電損失が20×10−4以下であることを特徴とする磁器が提供される。
本発明の上記磁器においては、
(3)800〜1000℃での焼成により得られ、残留ガラス相が10質量%以下であること、
(4)室温から400℃における熱膨張係数が3ppm/℃以上、誘電率が10以下、磁器強度250MPa以上であること、
が好ましい。
本発明によれば、さらに、上記の磁器用組成物を成形し、800〜1000℃の温度で焼成して、構成元素として少なくともSi、Mg及びCaを含むディオプサイド型酸化物結晶相と、コーディエライト結晶相とを含有し、残留ガラス相が10質量%以下の磁器を得ることを特徴とする高周波伝送特性に優れた磁器の製造方法が提供される。
本発明の磁器組成物によれば、800〜1000℃以下の低温での焼成により磁器を製造することができるから、銅、銀、金などの低抵抗金属による配線層を同時焼成によって、かかる磁器からなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面または内部の低抵抗導体配線層とを同時焼成により一括で形成することができる。
しかも、得られる磁器は、800〜1000℃以下の低温での焼成によって形成された場合においても、ディオプサイド型酸化物結晶相の有効量が結晶性ガラスから析出しかつ残留ガラス量が少ないため、しかも60〜77GHzでの誘電損失が30×10−4以下と低く、さらには低誘電率であり、高周波領域において高周波信号を極めて良好に損失なく伝送することができる。
また、上記の磁器は、磁器強度が250MPa以上と高く、かつGaAsチップあるいはプリント基板と近似した熱膨張特性に制御可能であり、特に配線基板中の絶縁基板として優れた特性を有するとともに、GaAsチップを実装した場合、あるいは有機樹脂製の絶縁基板からなるプリント基板にロウ材等により実装した場合において、優れた耐熱サイクル性を有し、高信頼性の実装構造を提供できる。
(磁器組成物)
本発明の磁器組成物は、(A)ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な結晶性ガラス粉末と、(B)フィラーとしての金属酸化物粉末との混合粉末からなる。ここで、ディオプサイド型酸化物結晶相は、代表的には、式:MgCaSiで表されるが、該式中のMgサイト及びSiサイトの一部は、それぞれAl原子で置換されていてもよく、例えば式:Ca(Mg,Al)(Si,Al)で表される組成を有するものであってよい。
前記結晶性ガラス粉末(A)は、ディオプサイド型酸化物結晶相(以下、DI相と呼ぶことがある)を析出可能なものであり、従って、構成成分として、SiO、MgO及びCaOを含有するが、本発明においては、かかる結晶性ガラス粉末中のAl量は、0.4質量%以下(勿論、ゼロであってもよい)に抑制されていることが重要である。即ち、Alを多量に含有している場合にもDI相が析出可能であるが、この場合には、低抵抗導体との同時焼成可能な低温領域(800〜1000℃)、特にAgとの同時焼成に最適な850℃付近で焼成を行った場合には、ガラス粒子表面で結晶化が進行し、ガラス粒子中心部の成分の結晶化が進行せず、この結果、高周波領域での誘電損失を低減させるに十分な量のDI相が析出せず、逆に、誘電損失を増大させる残留ガラス量が増加してしまう。しかるに、Al量を0.4質量%以下とすることにより、低抵抗導体との同時焼成可能な低温領域で焼成を行った場合にも、磁器中のDI相の析出割合を高め、且つ残留ガラス量を低減させ、例えば60〜77GHzでの誘電損失を20×10−4以下、特に10×10−4以下に低減でき、特に1GHz以上、さらに20GHz以上、さらには50GHz以上、さらにまた70GHz以上の高周波領域における誘電損失を大幅に低減できる。
また、上記のようなDI相は、室温(20℃)〜400℃で約8〜9ppm/℃の高熱膨張係数を有することから、その析出量を高めることにより、後述するコーディエライトフィラーとの共存により、磁器の熱膨張係数を3ppm/℃以上、特に8ppm/℃以上に高めることができる。
本発明において、前記結晶性ガラスは、低温領域での焼結性の点から、軟化点が750〜830℃であることが望ましく、例えば、以下の組成を有していることが好ましい。
SiO: 40〜65質量%
Al: 0〜0.4質量%
MgO: 11〜30質量%
CaO: 20〜35質量%
また、作業性、均一混合性等の点で、結晶性ガラス粉末(A)の粒径は、1乃至3μmの範囲にあることが好ましい。
また、上記結晶性ガラス粉末(A)と混合されるフィラーとしての金属酸化物としては、コーディエライト(MgAlSi18)が使用される。即ち、フィラーとしての金属酸化物粉末は、磁器に所定の強度を与えるために使用されるものであるが、コーディエライトは、磁器のヤング率を高め、磁器強度を高めるために特に有用であり、例えば磁器強度を250MPa以上、特に300MPa以上に高めることができる。また、磁器の誘電率を低下させる上でも有利であり、コーディエライトの使用により、磁器の誘電率を10以下、特に8以下に制御でき、高周波信号の伝送に有利な低誘電率の磁器を得ることができる。しかも重要なことには、コーディエライトは、それ自体で、室温〜400℃での熱膨張係数が2〜3×10−6/℃であるため、前述した高い熱膨張係数のDI相との共存により、磁器の熱膨張係数(室温〜400℃)を、磁器の熱膨張係数を3ppm/℃以上に高め、GaAsチップの熱膨張係数(6〜7×10−6/℃)に近づけることができ、配線基板の1次実装(GaAsチップの実装)や2次実装(プリント基板への実装)の信頼性を高める上で有利な物性を磁器に付与することができる。
また、上記のコーディエライトの金属酸化物粉末(B)当りの含有量は、1〜60質量%、好ましくは30〜60質量%、最も好ましくは30〜40質量%である。即ち、フィラーである金属酸化物粉末中のコーディエライト含量が、上記範囲よりも少ないと、磁器のヤング率の低下によって磁器強度が不満足なものとなってしまうばかりか、磁器の熱膨張係数をGaAsチップの熱膨張係数やプリント基板の有機樹脂の熱膨張係数に近似させることもできなくなってしまう。一方、上記範囲よりも多量に使用すると、この磁器用組成物が難焼結性となってしまい、1000℃以下の低温での焼成により緻密化が困難となってしまう。即ち、低抵抗導体との同時焼成により磁器(絶縁基板)を作製することができなくなる。
本発明において、コーディエライト以外に使用される金属酸化物粉末としては、磁器の高強度化等のために従来から使用されているものを使用することができるが、特に前述したDI相やコーディエライトの特性を損なわずに、磁器の高強度化や低誘電率化を達成させる上で、MgAl、ZnAl、ムライト、SiO、TiO、MgTiO、SrTiO、BaTiO、CaTiO、ZnTiO、CuOおよびCuOからなる群より選択された少なくとも1種を使用することが、好適である。
上述したコーディライト含有の金属酸化物粉末は、その粒子形状は、特に制限されず、球状、針状、不定形等であってよいが、一般に、磁器中に均一に分散した状態で存在させるため、その粒径は、1乃至3μm程度の範囲にあることが好ましい。
本発明の磁器用組成物は、上記の結晶性ガラス粉末(A)とコーディエライト含有の金属酸化物粉末(B)とを均一に混合した混合粉末からなり、混合粉末中の結晶性ガラス粉末含量は、40〜70質量%、好ましくは50〜65質量%、さらに好ましくは55〜60質量%の範囲にあるのがよく、金属酸化物粉末含量は、30〜60質量%、好ましくは35〜50質量%、さらに好ましくは40〜45質量%の範囲にあるのがよい。例えば、混合粉末中の結晶性ガラス粉末の含量が上記範囲よりも少ないと、1000℃以下の温度での焼成により磁器を緻密化させることが困難となり、上記範囲よりも多いと、磁器中のフィラー含量が低減するばかりか、磁器中のディオプサイドの析出量も低下してしまい、磁器の強度が弱くなるためである。
また、上記の混合粉末からなる本発明の磁器用組成物中には、例えばSi、Mg、Ca、Sr等の元素を含み、焼結助剤などとして機能する不可避不純物を含有していてもよく、このような不可避不純物の存在により、低温焼結性をさらに高めることもできる。このような不可避不純物含量は、8質量%以下、特に1質量%以下とするのがよい。
(磁器の製造)
上述した混合粉末からなる磁器用組成物は、イソプロピルアルコール等の溶剤やポリビニルアルコール、アクリル系ポリマーなどの有機バインダーと混合してスラリーとし、このスラリーを用い、それ自体周知の成形手段(例えばドクターブレード法、カレンダーロール法、圧延法、プレス成形法など)により所定形状の成形体を作製した後、該成形体を酸化性雰囲気または不活性雰囲気中で焼成することにより作製することができる。
本発明において、上記の焼成は、800〜1000℃の範囲で行うべきであり、焼成温度が800℃より低いと、磁器を緻密化できないとともにガラスの結晶化度が低く、高周波領域での誘電損失が増大してしまう。また、焼成温度が1000℃を越えると、CuやAg等の低抵抗金属との同時焼成ができなくなってしまい、低抵抗導体により配線層が形成された配線基板を同時焼成により一括で製造できなくなってしまう。特にAgにより配線層が形成された配線基板の用途に本発明の磁器を適用する場合には、850℃付近で焼成を行うことが好適である。また、焼成時間は、焼成温度によっても異なるが、通常、相対密度が97%以上、特に99%以上となるまで緻密化される程度の時間とすればよい。
(磁器)
上記のようにして得られる本発明の磁器は、前述した金属酸化物に由来するコーディエライト結晶相を含むフィラー相以外に、式:MgCaSi、或いは式:Ca(Mg,Al)(Si,Al)で表されるディオプサイド型酸化物結晶相(DI相)を含んでいる。即ち、本発明の磁器は、CuやAgなどの低抵抗導体と同時焼成可能な800〜1000℃の低温での焼成により得られたものでありながら、ガラス中からのDI相の析出が促進され、ガラス粒子の中心部分からもDI相が析出し、その析出割合が多いばかりか、結晶相の粒界に残存するガラス(非晶質ガラス)量が10質量%以下、特に5質量%以下、さらには2質量%以下に低減化されている。この結果として、本発明の磁器は、高周波伝送特性に優れ、既に述べたように、60〜77GHzでの誘電損失が20×10−4以下、特に10×10−4以下に低減され、1GHz以上、さらに20GHz以上、さらには50GHz以上、さらにまた70GHz以上の高周波信号の伝送に使用される高周波用配線基板の絶縁基板形成用材料として極めて有用である。
また、上記のようなDI相の析出割合が高められ、同時にフィラー相中に所定割合でコーディエライト結晶相を含有しているため、その誘電率は10以下、特に8以下と低く、配線基板の絶縁基板材料に用いた場合、高周波伝送線路やアンテナの伝送損失を低めることができる。また、磁器強度も250MPa以上、特に300MPa以上に高められており、配線基板の用途に用いた場合、半導体素子等の電子部品の実装時や入出力端子部に施すリード接続時に、磁器にかかる応力による破損等を防止することができる。
さらに、本発明の磁器においては、高熱膨張係数のDI相が析出し、且つ高熱膨張係数のコーディエライト結晶を含有しているため、室温( ℃)から400℃における熱膨張係数が3ppm/℃以上、特に好ましくは8ppm/℃以上である。すなわち、半導体素子等のチップ部品が搭載され(1次実装)或いはプリント基板などに実装(2次実装)される配線基板中の絶縁基板材料として本発明の磁器を用いる場合、当該磁器の熱膨張係数は、実装するチップ部品等やプリント基板等の熱膨張係数に近似するように適宜調整することが望ましく、このような熱膨張係数の調整が可能である。例えば、磁器の熱膨張係数が実装されるチップ部品等やプリント基板のそれと大きな差がある場合、半田実装時や半導体素子の作動停止による繰り返し温度サイクルによって、チップ部品等やプリント基板とパッケージとの実装部に熱膨張差に起因する応力が発生し、実装部にクラック等が発生し、実装構造の信頼性を損ねてしまう。しかるに、本発明では、磁器の熱膨張係数を、例えばGaAs系の半導体チップ部品やプリント基板を構成する有機樹脂との熱膨張係数の差が2ppm/℃以下となるように調整することができ、上記熱膨張差に起因する熱応力によって発生する不都合を有効に回避することができる。
尚、本発明の磁器においては、ガラスからDI相が析出しているが、同時に、ディオプサイド型酸化物に類似の結晶相、例えば、CaMgSi(akermanite)、CaMgSiO(monticellite)、CaMgSi(merwinite)等の結晶相が析出していてもよい。
(配線基板)
上述したように、本発明の磁器は、高周波用配線基板の絶縁基板の形成材料として極めて有用である。図1には、このような高周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの概略断面構造を、これに実装される半導体素子(半導体チップ部品)及び該パッケージが実装されるプリント基板と共に示した。
図1に示されている半導体収納用パッケージは、接続端子が特にボール状端子からなるボールグリッドアレイ(BGA)型パッケージであり、このパッケージAは、本発明の磁器から形成された絶縁基板1を有している。図1から明らかな通り、この絶縁基板1は、複数の絶縁層の積層体であり、各絶縁層が、本発明の磁器から形成されているものである。
図1において、この絶縁基板1と蓋体2とによりキャビティ3が形成されており、そのキャビティ3内には、半導体素子のチップ部品4が実装されている。蓋体2は、放熱性が良好な金属等の電磁遮蔽性を有する材料からなり、絶縁基板1と同種の絶縁材料(即ち、本発明の磁器と同じ組成のガラスセラミック材料)や、樹脂、その他のセラミック材、ロウ材などの接着剤により固定され、チップ部品4は、この蓋材2によってキャビティ3内に気密に封止されている。また、チップ部品4を構成する半導体素子としては、Si系、GaAs系など、特に制限されるものではないが、熱膨張係数差を低減させ得るという本発明の磁器の特性を考慮すれば、GaAs系が最も好適である。
また、チップ部品4は、樹脂、Ag−エポキシ、Ag−ガラス、Au−Si等の樹脂、金属、セラミックス等の厚み50μm程度の接着剤を用いて絶縁基板1の表面に固着される。
絶縁基板1の表面および内部には、チップ部品4と電気的に接続された配線層5が形成されている。配線層5とチップ部品4との接続(実装)は、ワイヤボンディング、TABテープなどを用いて行ってもよいし、或いはチップ部品4を、直接絶縁基板1表面の配線層5上に固定するフリップチップ接続などによって行ってもよい。
配線層5は、高周波信号の伝送時に導体損失を極力低減するために、銅、銀あるいは金などの低抵抗金属から形成されているのがよい。また、この配線層5に1GHz以上の高周波信号を伝送する場合には、高周波信号が損失なく伝送されることが必要となるため、配線層5は周知のストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路のうちの少なくとも1種から構成される。また、図示されているように、絶縁基板1の表面および内部に形成されている配線層5は、ビアホール導体5aによって、互いに電気的に接続されている。ただし、配線層5の形態によっては、これら配線層5は、電磁結合により接続される部分もある。
さらに、絶縁基板1の底面には、接続用電極層6が被着形成されており、パッケージA内の配線層5と接続されている。そして、接続用電極層6には、半田などのロウ材によりボール状端子8が被着形成されている。
上記パッケージAが実装されるプリント基板Bは、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの有機樹脂を含む絶縁材料からなる絶縁基板9を備えており、この絶縁基板9の表面に配線導体10が形成された構造を有している。
パッケージAの外部回路基板Bに対しての実装は、例えば、パッケージAの絶縁基板1の底面に取付けられているボール状端子8と、外部回路基板Bの配線導体10とを当接させてPb−Snなどの半田11によりロウ付けすることにより行われる。また、ボール状端子8自体を溶融させて配線導体10と接続させることも可能である。
本発明の磁器から形成された絶縁基板1を備えたパッケージAは、GaAs等のチップ部品4や外部回路基板Bの絶縁基板9との熱膨張差を従来のセラミック材料からなる絶縁基板を備えたものよりも小さくできることから、かかる実装構造に対して、熱サイクルが印加された場合においても実装部での応力の発生を抑制することができる結果、実装構造の長期信頼性を高めることができる。
また、本発明においては、上述したパッケージAなどの配線基板は、低抵抗導体からなる配線層5との同時焼成により一括で製造でき、このような同時焼成により製造する場合にも、性能低下を生じることなく、高周波帯での誘電損失が著しく低減され、先に述べたように、1GHz以上、さらに20GHz以上、さらには50GHz以上、さらにまた70GHz以上の高周波信号の伝送を損失なく、有効に行うことができる。
尚、同時焼成により、上記パッケージA等の配線基板を製造する場合には、基本的には、前述した磁器の製造法に準拠したプロセスで行われる。
例えば、前述した磁器の製造法で示したように、本発明の磁器用組成物を用いて、絶縁基板1を構成している各絶縁層に対応するシート状成形体(グリーンシート)を作製する。そして、このシート状成形体に所望により、ビアホール導体5a用のスルーホールを形成し、該スルーホール内に、銅、金、銀のうちの少なくとも1種を含む金属ペーストを充填する。そして、シート状成形体表面には、高周波信号が伝送可能な高周波線路のパターンを、上記の金属ペーストを用いてスクリーン印刷法、グラビア印刷法などによって配線層の厚みが5〜30μmとなるように、印刷塗布する。
このようにして形成された複数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着し、800〜1000℃の非酸化性雰囲気或いは大気雰囲気で焼成(同時焼成)することにより、絶縁基板1と配線層5(及びビアホール導体5a)とが一括で形成され、上述したパッケージA等の高周波用配線基板を作製することができる。この場合、配線層5をCuで形成する場合には、その酸化を防止するために、窒素ガス等の非酸化性雰囲気中で焼成を行うのがよい。
上記のようにして作製されたパッケージAには、先に述べたようにして、半導体素子のチップ部品4が実装され、蓋体2の接続により、チップ部品4が気密に封止され、さらに、このパッケージAをプリント基板B上に実装することにより、図1に示す実装構造が得られる。
本発明を、次の実験例で説明する。
(実験例)
下記の組成のガラス粉末A〜C(何れも平均粒径2μm)を用意した。
ガラスA:SiO(52.2質量%)−Al(0.15質量%)
−MgO(21.8質量%)−CaO(25.85質量%)
ガラスB:SiO(50質量%)−MgO(20質量%)
−CaO(30質量%)
ガラスC:SiO(10.4質量%)−Al(2.5質量%)
−B(45.3質量%)−CaO(35.2質量%)
−NaO(6.6質量%)
尚、ガラスA,Bは、ディオプサイド結晶相析出可能なものであり、ガラスCは、ディオプサイド結晶相が析出しないものである。
上記ガラスA〜Cの粉末を、表1、2に示すフィラー(純度99%、平均粒径2μm)で且つ表1,2に示す量割合で添加混合し、磁器用組成物の混合粉末を調製した。
この混合粉末に、有機バインダ、可塑剤、トルエンを添加し、スラリーを調製した後、このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ300μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシートを10〜15枚積層し、50℃の温度で100kg/cmの圧力を加えて熱圧着した。得られた積層体を水蒸気含有/窒素雰囲気中、700℃で脱バインダ処理を行った後、乾燥窒素中で表1、2の焼成温度で2時間焼成し、絶縁基板用磁器(試料No.1〜25)を得た。
得られた磁器について、誘電率、誘電損失、を以下の方法で評価した。
即ち、試料の絶縁基板用磁器を、直径2〜7mm、厚み1.5〜2.5mmの円板形状に切り出し、60GHzにてネットワークアナライザー、シンセサイズドスイーパーを用いて誘電体円柱共振器法に従って測定を行った。この測定では、NRDガイド(非放射性誘電体線路)で、誘電体共振器の励起を行い、TE021、TE031モードの共振特性より、誘電率、誘電損失を算出した。
また、各絶縁基板用磁器の室温(20℃)から400℃における熱膨張曲線をとり、熱膨張係数を算出した。さらに、磁器(焼結体)中における結晶相をX線回折チャートから同定した。
また、磁器中のガラス相の比率をリートベルト法より評価した。具体的には、評価する磁器を粉砕した後、内部標準試料としてZnOを所定の比率で添加し、エタノールを加えて湿式混合した。これを乾燥した後、X線回折測定を行い、ZnOの添加比率と、リートベルト法によって得られるZnOと磁器中の結晶相との比率から磁器中に存在するガラス相の比率を算出した。また、TEMによりガラス相中のSiの比率を測定してSiO換算での比率を算出した。
さらに、JISR1601に基づいて磁器の4点曲げ強度を測定し、1mm厚みの試料に対してレーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。
上記の測定結果は表1、2に示した。
Figure 2005179137
Figure 2005179137
本発明の組成物を焼成した磁器を用いた高周波用配線基板の一例である半導体素子収納用パッケージの実装構造の一例を説明するための概略断面図である。
符号の説明
A:半導体素子収納用パッケージ
B:プリント基板
1:絶縁基板
4:半導体素子チップ部品
5:配線層
9:絶縁基板
10:配線導体

Claims (7)

  1. (A)ディオプサイド型酸化物結晶相を析出可能な結晶性ガラス粉末40〜70質量%と、(B)フィラーとしての金属酸化物粉末30〜60質量%との混合粉末からなり、前記結晶性ガラス粉末(A)は、SiO、MgO、CaOを含み且つAl量が0.4質量%以下であると共に、前記金属酸化物粉末(B)は、少なくともコーディエライトを1〜60質量%含有していることを特徴とする磁器用組成物。
  2. 前記結晶性ガラス粉末(A)が、40〜65質量%のSiO、0〜0.4質量%のAl、11〜30質量%のMgO及び20〜35質量%のCaOからなる請求項1記載の磁器用組成物。
  3. 前記金属酸化物粉末は、MgAl、ZnAl、ムライト、SiO、TiO、MgTiO、SrTiO、BaTiO、CaTiO、ZnTiO、CuOおよびCuOからなる群より選択された少なくとも1種を、コーディエライト以外に、さらに含有している請求項1または2記載の磁器用組成物。
  4. 結晶性ガラスから析出したディオプサイド型酸化物結晶相と、コーディエライト結晶相と、残留ガラス相とを含有し、60〜77GHzでの誘電損失が20×10−4以下であることを特徴とする磁器。
  5. 800〜1000℃での焼成により得られ、残留ガラス相が10質量%以下である請求項4記載の磁器。
  6. 室温から400℃における熱膨張係数が3ppm/℃以上、誘電率が10以下、磁器強度250MPa以上である請求項4または5記載の磁器。
  7. 請求項1の磁器用組成物を成形し、800〜1000℃の温度で焼成して、構成元素として少なくともSi、Mg及びCaを含むディオプサイド型酸化物結晶相と、コーディエライト結晶相とを含有し、残留ガラス相が10質量%以下の磁器を得ることを特徴とする高周波伝送特性に優れた磁器の製造方法。
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CN114213115A (zh) * 2022-01-04 2022-03-22 浙江嘉康电子股份有限公司 一种微波介质材料及其制备方法
WO2022137949A1 (ja) * 2020-12-24 2022-06-30 デンカ株式会社 酸化物複合粒子及びその製造方法、並びに樹脂組成物

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