JP3789353B2 - スエード調人工皮革の染色方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなるスエード調人工皮革の染色方法およびそれにより得られる染色されたスエード調人工皮革に関する。より詳細には、本発明はポリエステル繊維不織布と弾性重合体よりなる基体の表面にポリエステル極細繊維の立毛を有するスエード調人工皮革の染色方法であって、色斑がなく全体が均一に染色されていて、しかも洗濯、摩擦、光などによって色落や変色などが生じず、その良好な染色状態が長期にわたって維持され得る、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、耐光堅牢性に優れる、実用価値のあるスエード調人工皮革の染色物を製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
極細繊維を用いたスエード調人工皮革は、ソフトなタッチと風合い、高級な外観を有することから、近年、衣料用素材をはじめとして、家具、自動車などの車両用シートなどの用途に高級素材として用いられている。特に、ポリエステル繊維不織布と弾性重合体よりなる基体の表面にポリエステル極細繊維の立毛繊維を有するスエード調人工皮革は、ソフトな風合および高級な外観を有すると共に、耐摩耗性に優れ、しかも水洗いが可能でイージーケアー性を備えていることから、幅広く使用されるようになっている。
【0003】
表面にポリエステル極細繊維の立毛を有する前記スエード調人工皮革の染色は、一般に分散染料を用いて高温高圧染色により行われている。その場合に、人工皮革の表面に存在する立毛は、表面積の大きなポリエステル極細繊維から形成されていることにより光の乱反射が起こり易く、染料の染着量が多い割りには白っぽくなり発色性が低いため、ポリエステル極細繊維よりなる立毛部分を所望の色調に染色するには、多量の染料を用いて染着量を高くする必要がある。その際に、ポリエステル繊維不織布および弾性重合体よりなる基体も同時に染色されるが、基体を構成するポリウレタンなどの弾性重合体は分散染料との親和性が小さく、また弾性重合体は多孔質構造を有していて孔中に染料が多量に含浸充填された状態になっているため、洗濯時やクリーニング時、使用時の摩擦などによって染料が脱落して、色落ち、他の洗濯物の汚染などを生じ易く、また耐光堅牢性にも劣るという欠点がある。
【0004】
上記した問題点の解消を目的として、ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなり且つ表面にポリエステル極細繊維の立毛を有するスエード調人工皮革を分散染料で染色した後、化学的還元剤の存在下に水または熱水中でスエード調人工皮革を揉み処理して弾性重合体に吸着した染料を脱着・脱色して堅牢性を向上させる方法が提案されている(特公昭51−38761号公報)。
しかしながら、この方法による場合は、ポリエステル極細繊維の立毛と同じかまたは近似した色調になるように弾性重合体を脱色することが困難な場合が多い。色目によっては、ポリエステル極細繊維の立毛の色調と基体表面に露出している脱色後の弾性重合体の色調の違いが大きくなって色斑を生じ、外観不良を招くことになる。色斑の発生による外観不良を防止するために、還元剤の濃度を低くして、弱い条件下に還元処理を行って、基体を構成する弾性重合体の表面に色目(染料)を残しておくことも考えられるが、そのような弱い脱色条件を採用した場合は、脱色処理後のスエード調人工皮革を洗濯やクリーニングした時、使用した時に、染料の脱落、色落ち、それに伴う他の洗濯物の汚染、耐光堅牢性の低下など問題が依然として残っており、十分に満足のゆくものではない。
【0005】
上記した問題を解消するために、スエード調人工皮革の製造に用いる弾性重合体およびポリエステル極細繊維を染顔料を用いて目標とする色調に予め着色しておき、着色した弾性重合体およびポリエステル極細繊維を用いてスエード調人工皮革を製造する方法が考えられる。しかしながら、この方法による場合は、所定の色調を有する弾性重合体およびポリエステル極細繊維を、色調ごとに予め製造し在庫しておく必要があり、市場から要求される多種多様の色調をすべてカバーし得るように予めそのような準備をしておくことは現実には不可能である。
かかる点から、ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなり且つポリエステル極細繊維の立毛を有するスエード調人工皮革の染色において、基体表面に露出している弾性重合体の色調と、ポリエステル極細繊維の立毛の色調および基体を構成するポリエステル繊維不織布の色調が同じか又は近似していて色斑がなく外観に優れており、しかも洗濯、摩擦、光などによっても色落ちや変色がなく堅牢性に優れる実用価値のあるスエード調人工皮革の染色物を確実に且つ簡単に得ることのできる染色方法が強く求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなる基体の一方または両方の表面にポリエステル極細繊維よりなる立毛を有するスエード調人工皮革を染色するに当たって、ポリエステル極細繊維の立毛、基体を構成する弾性重合体、特に基体表面に露出している弾性重合体およびポリエステル繊維不織布が同じ色に染色されていて色斑がなく、スエード調人工皮革全体が均一で良好な色調および外観を有する染色方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、耐光堅牢性などに優れていて、洗濯、摩擦、光、時間経過などによっても染料の脱落、変色、退色などがなく、前記した色斑のない良好な色調および外観が長期にわたって維持される実用性のある染色物を、確実に且つ簡単に製造することのできる染色方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、ポリエステル繊維不織布および弾性重合体からなる基体の表面にポリエステル極細繊維の立毛を有するスエード調人工皮革を分散染料で染色して染色物を製造するに当たって、該スエード調人工皮革を分散染料で染色した後、還元剤で処理して過剰の分散染料を還元分解し、基体の表面に露出している弾性重合体部位を脱色するか、または基体の表面に露出している弾性重合体部位と表面近傍の弾性重合体部位を脱色し、その後に該脱色後のスエード調人工皮革を界面活性剤を含有する熱水を用いて処理すると、基体を構成する弾性重合体の内側部分に存在していた染料または弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布に存在していた染料が弾性重合体の表面部分に移行し、ポリエステル極細繊維の立毛の色調、基体表面に露出している弾性重合体の色調および基体を構成しているポリエステル繊維不織布の色調が同じか又は近似したものになり、色斑のない、均一で良好な色調および外観を有するようになることを見出した。
さらに、本発明者らは、界面活性剤を含有する熱水で処理した後の上記スエード調人工皮革は、洗濯、使用時の摩擦などによっても染料の脱落が生じにくく、また光にも強くて、変色や退色しにくく、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、耐光堅牢性などに優れていることを見出した。
【0008】
さらに、本発明者らは、還元剤による上記した脱色処理は、スエード調人工皮革を構成する弾性重合体中での分散染料の含有量が脱色後の弾性重合体1g当たり1〜30mgの範囲になるようにして行うと一層優れた効果が奏されること、また還元剤による脱色処理後の上記した界面活性剤を含有する熱水での処理は、界面活性剤を0.5〜3g/dm3の割合で含有する温度80〜100℃の熱水を用いて行うのが好ましいこと、スエード調人工皮革の分散染料による染色処理は115〜150℃の染色浴を用いて行い、その後の還元剤による処理を還元剤を2〜10g/dm3および還元助剤を1〜10g/dm3の割合で含有する温度50〜80℃の熱水を用いて行うことが好ましいことを見出した。
【0009】
したがって、本発明は、
(1) ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなる基体の片面または両面にポリエステル極細繊維の立毛を有するスエード調人工皮革の染色方法であって、(a)分散染料でスエード調人工皮革を染色する工程;
(b)染色したスエード調人工皮革を還元剤で処理して、過剰の分散染料を還元分解し、基体の表面に露出している弾性重合体部位を脱色するか、または基体の表面に露出している弾性重合体部位と表面近傍に位置する弾性重合体部位を脱色する工程;および、
(c)過剰の分散染料を還元分解してなる前記工程(b)後のスエード調人工皮革を、界面活性剤を含有する熱水を用いて処理して、基体を構成する弾性重合体の内部に存在する染料、または基体を構成する弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布中に存在する染料を、弾性重合体の表面に移行させる工程;
を有することを特徴とするスエード調人工皮革の染色方法である。
【0010】
そして、本発明は、
(2) 工程(b)の還元剤処理による脱色後に、基体を構成する弾性重合体における分散染料の含有量が、脱色後の弾性重合体1g当たり1〜30mgの範囲になる条件下で工程(b)の還元剤処理を行う前記(1)の染色方法;
(3) 基体を構成する弾性重合体の内部に存在する染料、または基体を構成する弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布中に存在する染料の弾性重合体表面への移行が過度にならない条件下で工程(c)の染料の移行処理を行う前記(1)または(2)の染色方法;
(4) 界面活性剤を0.5〜3g/dm3の割合で含有する温度80〜100℃の熱水を用いて工程(c)の染料の移行処理を行う前記(1)〜(3)のいずれかの染色方法;および、
(5) 分散染料を含有する温度115〜150℃の染色浴を用いて工程(a)の染色を行い、還元剤を2〜10g/dm3および還元助剤を1〜10g/dm3の割合で含有する温度50〜80℃の熱水を用いて工程(b)を行う前記(1)〜(4)のいずれかの染色方法;
である。
【0011】
さらに、本発明は、
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかの染色方法により得られる染色されたスエード調人工皮革である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるスエード調人工皮革は、ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなる基体の片面または両面にポリエステル極細繊維の立毛を有する。
本発明で用いるスエード調人工皮革では、立毛部はポリエステル極細繊維からなることが必要であり、また基体を構成するポリエステル繊維不織布はポリエステル極細繊維が絡み合った絡合不織布であることが好ましい。立毛部、および基布を構成するポリエステル繊維不織布の両方をポリエステル極細繊維から形成することにより、高級なスエード調の品位のある外観を有し且つ表面タッチがソフトなものにすることができる。立毛部およびポリエステル繊維不織布を構成するポリエステル極細繊維の単繊維繊度は0.5デシテックス以下であることが好ましく、0.0005〜0.2デシテックスであることがより好ましく、0.0001〜0.1デシテックスであることが更に好ましい。ポリエステル極細繊維の太さ、特に立毛部を形成するポリエステル極細繊維の太さが、0.5デシテックスを超えると、高級なスエード調の品位のある外観およびソフトな表面タッチが得られにくくなり、一方、ポリエステル極細繊維の太さが0.0001デシテックス未満であると、染着性が低下して、色調が劣ったものになり易い。しかし場合によっては、基体を構成するポリエステル繊維不織布は、非極細ポリエステル繊維から形成されていたり、または非極細ポリエステル繊維を一部含んでいてもよい。
【0013】
立毛部を構成するポリエステル極細繊維および基体を構成するポリエステル繊維不織布を形成するポリエステルは、繊維形成性のポリエステルであればいずれでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、前記したポリエステル中に5−スルホナトリウム−イソフタル酸などを共重合してなるポリエステルなどを挙げることができ、ポリエステル極細繊維またはポリエステル繊維はこれらのポリエステルの1種または2種以上から形成されていることができる。
【0014】
本発明で用いるスエード調人工皮革における基布では、ポリエステル繊維不織布の繊維空隙内に弾性重合体が含有されている。
ポリエステル繊維不織布内に含有させる弾性重合体としては、公知の高分子弾性体であればいずれも使用でき、例えば、ポリウレタンエラストマー、天然ゴム、SBR、NBR、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンゴム、アクリルゴム(アクリル酸エステル系弾性重合体)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、塩素系熱可塑性エラストマー、可塑剤の使用によって弾性化した樹脂(例えば可塑化したポリ塩化ビニル、ポリアミドなど)などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、弾性重合体としては、ポリウレタンエラストマー(弾性ポリウレタン樹脂)が、弾性回復性、多孔質化容易性、スエード調人工皮革の風合い、染色性、耐摩耗性、引張強度などの力学的特性などの点から好ましく用いられる。
【0015】
ポリウレタンエラストマーとしては、弾性を有するポリウレタン樹脂のいずれもが使用できるが、特に数平均分子量が500〜5000の高分子ジオールをソフトセグメント成分とし、有機ジイソシアネートをハードセグメント成分とし、それらの成分と共に低分子鎖伸長剤を反応させて得られるセグメント化ポリウレタンが好ましく用いられる。
【0016】
セグメント化ポリウレタンの製造に用いる前記した高分子ジオールとしては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との反応により得られるポリエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオールなどを挙げることができ、これらの高分子ジオールの1種または2種以上を用いることができる。セグメント化ポリウレタンの製造に用いる高分子ジオールの数平均分子量が500未満であると、ソフトセグメントが短すぎて、ポリウレタンが柔軟性に欠けたものとなり、天然皮革様のスエード調人工皮革が得られにくくなることがある。一方、該高分子ジオールの数平均分子量が5000を超えると、ポリウレタン中におけるウレタン結合の割合が相対的に減少することによって、耐久性、耐熱性および耐加水分解性などが低下し、実用的な物性を有するスエード調人工皮革が得られにくくなる。
【0017】
セグメント化ポリウレタンの製造に用いる有機ジイソシアネートとしては、ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ジイソシアネートのいずれもが使用でき、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートなどを挙げることができる。前記した有機ジイソシアネートの1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
セグメント化ポリウレタンの製造に用いる低分子鎖伸長剤としては、ポリウレタンの製造に従来から用いられている低分子鎖伸長剤、特に分子量が400以下の低分子鎖伸長剤のいずれもが使用でき、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、N−メチルジエタノールアミン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどのジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0019】
セグメント化ポリウレタンの製造に当たっては、[全イソシアネート基]/[水酸基、アミノ基などのイソシアネート基と反応する全官能基]の当量比が、0.9〜1.1の範囲になるようにして、上記した高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび低分子鎖伸長剤を反応させることが、引裂き強力の高いスエード調人工皮革が得られる点から好ましい。
また、ポリウレタンの耐溶剤性、耐熱性、耐熱水性などを向上させる目的で、必要に応じて、トリメチロールプロパンなどの三官能以上のポリオールや三官能以上のアミン等を反応させてポリウレタン中に架橋構造を持たせてもよい。
【0020】
本発明で用いる染色前のスエード調人工皮革では、天然皮革様の柔軟な風合いが得られる点から、基体を構成するポリエステル繊維不織布(繊維成分):弾性重合体の質量比が、30:70〜95:5の範囲内であることが好ましく、40:60〜85:15の範囲内であることがより好ましい。繊維成分の割合がスエード調人工皮革の質量に基づいて30質量%未満であると、ゴムライクな風合いとなり易い。一方、繊維成分の割合がスエード調人工皮革の質量に基づいて95質量%を超えると、ポリエステル極細繊維よりなる立毛の脱落、耐ピリング性の低下などを生じ易くなる。
【0021】
スエード調人工皮革の片面または両面における立毛は、スエード調人工皮革の片方または両方の表面を、サンドペーパーなどによるバフィングや針布起毛などにより起毛処理して、ポリエステル繊維不織布を構成しているポリエステル繊維の一部を立毛として起毛させることによって形成することができる。
染色前のスエード調人工皮革における立毛部の立毛長や立毛密度は制限されず、スエード調人工皮革の用途などに応じて調節することができるが、一般的には、立毛長が0.05〜2mm、立毛密度は1000本/cm2以上であることが好ましい。
また、染色前のスエード調人工皮革の厚さは、用途などに応じて任意に選択できるが、一般的には、立毛部をも含めて0.2〜4mm程度であることが、風合い、強度などの点から好ましく、0.3〜2mm程度であることがより好ましい。
染色前のスエード調人工皮革の目付けは、柔軟な風合い、適度な腰感と反発性を得るために、50〜1000g/m2であることが好ましく、100〜800g/m2であることがより好ましい。
【0022】
本発明で用いる染色前のスエード調人工皮革では、その基体において不織布を構成しているポリエステル繊維と弾性重合体とが実質的に接着していないことが好ましい。ポリエステル繊維と弾性重合体とが接着していないことにより、ポリエステル繊維が弾性重合体によって拘束されずに動きの自由度が増して、天然皮革様の柔軟な風合いを得ることができる。
【0023】
本発明で用いる染色前のスエード調人工皮革の製造方法は特に制限されず、従来から既知の方法を使用して製造することができ、例えば、以下の(i)〜(iii)の方法を挙げることができる。
(i)ポリエステルおよびポリエステルと相溶しない他のポリマーを用いて混合紡糸法、海島型複合紡糸法、分割型複合紡糸法などによってポリエステル極細繊維発生型繊維を製造し、次いで該ポリエステル極細繊維発生型繊維を用いて不織布を製造し、それに弾性重合体を含浸して凝固した後に、ポリエステル極細繊維発生型繊維中の他のポリマーを溶解、分解などにより除去してポリエステル極細繊維を形成するか、またはポリエステル極細繊維発生型繊維を分割してポリエステル極細繊維を形成させ、次いで起毛処理するする方法。
(ii)前記ポリエステル極細繊維発生型繊維を用いて不織布を製造した後、該ポリエステル極細繊維発生型繊維中の他のポリマー成分を除去するか又は該ポリエステル極細繊維発生型繊維を分割してポリエステル極細繊維とし、それに弾性重合体を含浸・凝固し、次いで起毛処理する方法。
(iii)メルトブロー法などによって直接得られたポリエステル極細繊維を用いて絡合不織布を製造した後に弾性重合体を含浸・凝固し、次いで起毛処理する方法。
【0024】
上記(i)または(ii)の方法で用いるポリエステル極細繊維発生型繊維において、溶解除去または分解除去される他のポリマーとしては、ポリエステル極細繊維を形成するポリエステルと溶剤に対する溶解性または分解剤に対する分解性を異にし、ポリエステルと相溶性が低く且つ溶融紡糸条件下でポリエステルよりも溶融粘度が小さいか又は表面張力の小さいポリマーが好ましく用いられる。そのようなポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリル系モノマー共重合体、スチレン−エチレン共重合体などを挙げることができ、ポリエステル極細繊維発生型繊維は、これらの他のポリマーの1種または2種以上を用いて形成されていることができる。
【0025】
また、上記(i)または(ii)の方法で用いるポリエステル極細繊維発生型繊維は、極細繊維化後のポリエステル極細繊維の単繊維繊度を0.5デシテックス以下、特に0.2デシテックス以下とするために、貼合わせ型(分割型)繊維であるよりは、ポリエステルを島成分として他のポリマーを海成分とする海島型の繊維(海島型複合紡糸繊維または海島型混合紡糸繊維)であることが工程上有利である。
【0026】
上記(i)の方法によって立毛を有するスエード調人工皮革を製造するに当たっては、例えば、以下の方法を採用することができる。
(a) ポリエステル極細繊維発生型繊維に延伸、捲縮、カットなどの処理を施して綿様の形態にする。それをカードで開繊した後、ランダムウェバーやクロスラップウェバーなどによりウェブとし、必要に応じて所望の目付けになるように該ウェブを積層する。ウェブの目付けはスエード調人工皮革の用途などにより異なるが、一般的には100〜1000g/m2であることが好ましい。
【0027】
(b) 次いで、例えば、ニードルパンチング法、高圧水流法などの公知の手段を用いて絡合処理を行って三次元絡合不織布を製造する。また、スエード調人工皮革の伸び強力の調整、目付けや厚みの調整、その他の目的により、ウェブ形成後から絡合処理完了までのいずれかの段階で、織編物、異なる繊維の不織布、フィルムなどのシート状物を、絡合不織布に積層して一体化してもよい。但し、三次元絡合不織布は最終的に表面が毛羽立てられ、立毛表面が形成されることとなることから、その表面はポリエステル極細繊維発生型繊維から形成されていることが必要であり、三次元絡合不織布全体がポリエステル極細繊維発生型繊維から形成されていることが好ましい。また、三次元絡合不織布は、表面平滑な基体とするために、弾性重合体の含浸前に加熱プレス処理などにより表面平滑化することが好ましい。弾性重合体を含浸する前(加熱プレス後)の三次元絡合不織布の目付は150〜1000g/m2の範囲内にあることが好ましく、厚みは1.0〜3.0mm程度であることが好ましい。三次元絡合不織布の目付が150g/m2未満であると、弾性重合体の含浸移行の工程で伸びなどが生じて形態の変化が大きくなり易く、得られる製品に歪みが残ったり、面感不良を招き易い。一方、三次元絡合不織布の目付が1000g/m2を超えると、弾性重合体の含浸や凝固工程、ポリエステル極細繊維発生型繊維から他のポリマーを除去してポリエステル極細繊維を形成させる工程などにおいて工程速度が遅くなり、実用性を欠いたものになり易い。また、加熱プレス後の三次元絡合不織布の厚みが1.0mm未満であると、弾性重合体の含浸移行の工程で伸びなどが生じて形態の変化が大きくなり易く、得られる製品に歪みが残ったり、面感不良を招き易い。一方、三次元絡合不織布の厚みが3.0mmを超えると、厚いために巻き取る際に表面に折れしわを生じ易くなる。
【0028】
(c) 続いて、上記(b)で得られた三次元絡合不織布に上記した弾性重合体を含有させる。弾性重合体の付与方法は特に制限されず、弾性重合体の溶液または分散液中に三次元絡合不織布を浸漬して弾性重合体を含浸させた後にニップする方法、三次元絡合不織布上に弾性重合体溶液を付与し高速回転するロールで摺りこむ方法などが挙げられる。風合いのバランスなどの点から、弾性重合体の溶液または分散液を三次元絡合不織布に含浸した後、湿式法または乾式法により凝固(固化)する方法が好ましく採用される。弾性重合体の溶液または分散液には、必要に応じて、顔料、染料などの着色剤、凝固性調節剤、酸化防止剤、分散剤などの添加剤を添加することができる。三次元絡合不織布における弾性重合体の含有割合は、柔軟な風合および弾性回復性の点から、極細繊維化する前の状態で、三次元絡合不織布と弾性重合体の合計質量に対して10質量%以上であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。弾性重合体の含有量が10質量%未満であると、緻密な多孔質構造が形成されず、基体表面を起毛して立毛を形成させる際に、ポリエステル極細繊維よりなる立毛を基体に十分に固定できにくくなり、しかも弾性重合体部の緻密性欠如により表面平滑性が低下して立毛面が平滑になりにくくなる。
【0029】
(d) 次に、弾性重合体を含有させた三次元絡合不織布をポリエステル極細繊維発生型繊維中の他のポリマー成分を選択的に溶解または分解する溶剤または分解液で処理してポリエステル極細繊維発生型繊維から他のポリマー成分を除去してポリエステル極細繊維束にするか、或いは弾性重合体を含有させた三次元絡合不織布に機械的処理または化学的処理を施してポリエステル極細繊維発生型繊維におけるポリエステル成分と他のポリマー成分をその界面で剥離させてポリエステル極細繊維を含む極細繊維束に変性して、ポリエステル極細繊維を含む絡合不織布内に弾性重合体が含有されたシート状物とする。この極細繊維束の形成に当たって、極細繊維発生型繊維としてポリエステルを島成分とする海島構造繊維を用いて島成分をポリエステル極細繊維として残留させる場合は、ポリエステル極細繊維(束)と弾性重合体とが実質的に接着していない構造となり、ポリエステル極細繊維束が弾性重合体に拘束されていないことにより構造内での動きの自由度が増すことから、天然皮革様の柔軟性に優れるスエード調人工皮革を得ることができる。
【0030】
(e) 次いで、上記(d)で得られたシート状物を、必要に応じて厚み方向に複数枚に切断(スライス)したり、バッフィングして所定の厚みにした後、さらに必要に応じて弾性重合体の溶剤と非溶剤の混合液をシート状物の表面に塗布して弾性重合体の表面部分を溶解させ立毛長を調整し、その後に片方または両方の表面をサンドペーパー等によるバッフィング、針布起毛などにより起毛し、さらに必要に応じて整毛して、スエード調人工皮革の染色前生地を形成させる。
【0031】
ポリエステル極細繊維発生型繊維から不織布を製造し極細繊維化した後に弾性重合体を含有させる上記(ii)の方法、および既に極細化されたポリエステル極細繊維を用いて絡合不織布を製造しそれに弾性重合体を含有させる上記(iii)の方法による場合も、絡合不織布の製造、絡合不織布への弾性重合体の含浸、起毛処理などを、上記(i)の方法におけるのと同様にして行うことができる。
上記(ii)または(iii)の方法では、ポリエステル極細繊維製の絡合不織布に弾性重合体を含浸して凝固させる前に水溶性樹脂を絡合不織布に予め付与しておき、弾性重合体の含浸・凝固後に水溶性樹脂を水で溶解除去するようにすると、極細繊維と弾性重合体との接着が防止または低減されて極細繊維の動きの自由度が増して、柔軟性の向上したスエード調人工皮革を得ることができる。
また、上記(i)の方法においても、絡合不織布に弾性重合体を含浸して凝固させる前に水溶性樹脂を絡合不織布に付与しておき、弾性重合体の含浸・凝固後に該水溶性樹脂を水で溶解除去する方法を用いてもよく、これにより得られるスエード調人工皮革の柔軟性が一層向上する。
【0032】
本発明では、上記のようにして製造されたスエード調人工皮革を分散染料によって染色する。分散染料の種類は特に制限されず、ポリエステル繊維と弾性重合体からなるこの種のスエード調人工皮革において従来から用いられている分散染料のいずれもが使用でき、例えば、アミノアゾベンゼン系、アントラキノン系、ニトロジフェニルアミン誘導体などのニトロアリールアミン系の分散染料を挙げることができる。
【0033】
分散染料によるスエード調人工皮革の染色は、高温高圧染色機を用いて高温下で行うことが望ましく、一般に115〜150℃、特に120〜140℃の染色温度が好ましく採用される。また染色時間は一般に30〜120分間が好ましい。染色温度が115℃未満であったり、染色時間が短すぎると、ポリエステル繊維中に分散染料が十分に拡散せず染色が不十分になり易い。一方、染色温度が150℃を超えたり、染色時間が長すぎると、基体を構成している弾性重合体が高温高圧染色中に加水分解して、基体の強度低下、立毛の脱落、ピリングの発生などが生じやすくなる。
スエード調人工皮革の染色は、分散染料を水系媒体中に分散させた染色浴中にスエード調人工皮革を浸漬して行うことが好ましい。その際に、分散染料を染色浴中に安定に分散させて均一な染色が行われるように、染色浴中に分散剤を存在させておくことが好ましい。分散剤としては、例えば、芳香族スルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤の少なくとも1種が好ましく用いられる。また、染色浴中には、必要に応じてpH調整剤、金属イオン封鎖剤などを含有させておいてもよい。染色時の浴比は、スエード調人工皮革生地の質量に対して10〜40倍が適当である。また、染色浴における分散染料の濃度は、1〜35%owfが好ましい。分散染料の濃度が1%owf未満であると、染色物の色調が薄くなって本発明の効果が現れにくくなり、一方35%owfを超えると染色物の洗濯堅牢性、摩擦堅牢性などが低くなり、実用性が低下し易い。
【0034】
ポリエステル繊維不織布と弾性重合体よりなる基体の表面にポリエステル極細繊維の立毛を有するスエード調人工皮革は、カチオン染料やその他の反応性染料を用いても染色は可能であるが、それらの反応性染料は繊維中の特定部位に結合するため、染色物を還元剤で処理して弾性重合体表面を脱色した後に界面活性剤で処理しても、染料が弾性重合体の表面に移行せず、本発明の効果を奏することができない。
【0035】
次いで、染色したスエード調人工皮革を還元剤を用いて処理して、過剰の分散染料を還元分解して、基体の表面に露出している弾性重合体部位を脱色するか、または基体の表面に露出している弾性重合体部位と表面近傍の弾性重合体部位を脱色する。
還元剤としては、ポリエステル染色繊維の還元洗浄に一般に使用されている還元剤のいずれもが使用でき、具体例としては、二酸化チオ尿素、ハイドロサルファイトナトリウム、ハイドロサルファイトカルシウムなどのハイドロサルファイト系化合物、亜鉛スルホキシレートアルデヒド、ナトリウムスルホキシレートアルデヒド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルピリジニウムブロマイド、酸性亜硫酸ナトリウムなどを挙げることができる。
また、還元処理に当たっては、還元助剤(例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ、非イオン系界面活性剤など)を用いることが、還元処理を円滑に行えることから好ましい。
【0036】
還元処理は、ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなる基体の表面に露出している弾性重合体部位が脱色されるか、または基体の表面に露出している弾性重合体部位と表面近傍の弾性重合体部位が脱色されて、染色前の弾性重合体の色調とほぼ同じ色調になるような条件で行うことが好ましい。基体を構成する弾性重合体の表面部位または表面近傍部位のみならず、弾性重合体の全体または深部までが脱色されるような過度の還元処理を行うと、次工程で界面活性剤を含有する熱水を用いて処理を行っても、弾性重合体の表面に染料を移行させ得なくなり、最終的に得られるスエード調人工皮革に色斑が発生し、外観に劣ったものとなる。一方、還元処理が不十分で、基体の表面に露出している弾性重合体部位や弾性重合体の表面近傍部位に染料が脱色されずに多く残っていると、次工程で界面活性剤を含有する熱水を用いて染料の移行処理を行ったときに、弾性重合体の表面部分に過剰の染料が存在するようになり、洗濯した際や使用時などに染料の脱落、変色、退色などが生じ、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、耐光堅牢性などに劣ったものとなる。
【0037】
一般的には、基体の表面に露出している弾性重合体部位および表面近傍に位置する弾性重合体部位が染色前とほぼ同じ色調にまで脱色されていて、且つスエード調人工皮革を構成する弾性重合体での分散染料の含有量が、還元処理後(脱色後)の弾性重合体1g当たり1〜30mgの範囲になるようにして還元処理を行うことが好ましく、1〜10mgの範囲になるようにするのがより好ましい。
そのような還元状態(脱色状態)を得るための還元条件は、分散染料の種類、弾性重合体の種類、基体の厚さ、還元剤の種類、還元助剤の種類などに応じて異なり得るが、一般的には、還元剤を2〜10g/dm3および還元助剤を1〜10g/dm3の割合で含有する温度50〜80℃の熱水を用いて行うと上記した好ましい還元・脱色状態とすることができる。
還元処理は、スエード調人工皮革を熱水中に静置状態で浸漬して行っても、またはスエード調人工皮革を熱水中で揉みながら行ってもよく、そのうちでも熱水中で揉みながら行うことが好ましい。
【0038】
還元剤を用いて基体の表面に露出している弾性重合体部位、または基体の表面に露出している弾性重合体部位と表面近傍の弾性重合体部位における染料を還元分解して脱色したスエード調人工皮革は、そのままで次の界面活性剤を含有する熱水を用いる染料の移行処理に付してもよいが、その前に酸化剤を含む液で処理(酸化洗浄)して、スエード調人工皮革に残留している還元剤を除去しておくことが、次の染料の移行処理を円滑に行うことができ、また得られるスエード調人工皮革の洗濯堅牢性などの物性が良好になることから好ましい。
洗浄(酸化洗浄)を行うための酸化剤を含む液としては、還元剤で脱色処理を行った後のスエード調人工皮革に残留している還元剤を酸化して除去できるものであればいずれでもよく、例えば、過酸化水素水、過酢酸、次亜塩素酸ナトリウムなどを挙げることができる。
スエード調人工皮革の酸化処理は、酸化剤を含有する洗浄浴中に還元処理後のスエード調人工皮革を浸漬させて、温度50〜90℃で行うことが好ましく、それによってスエード調人工皮革に残留している還元剤を円滑に酸化除去することができる。
【0039】
次いで、酸化処理を行ったスエード調人工皮革を、必要に応じてさらに水などを用いて洗浄した後、界面活性剤を含有する熱水で処理して、基体を構成する弾性重合体の内部に存在する分散染料、または弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布中に存在する分散染料を、弾性重合体の表面にまで移行させて、基体の表面に露出している弾性重合体部位または基体の表面に露出している弾性重合体部位と表面近傍の弾性重合体部位を再度染色する。この染料の移行処理に用いる界面活性剤としては、分散染料による染色時に用いたのと同様の界面活性剤を使用することができ、例えば、芳香族スルホン酸塩類などのアニオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤の1種または2種以上を使用することができ、具体例としては、日本化薬株式会社製「KPレベラーAUL」(芳香族スルホン酸塩誘導体)などを挙げることができる。
【0040】
染料の移行処理に用いる熱水の温度および熱水中での界面活性剤の含有量は、分散染料の種類、基体を構成する弾性重合体の種類、界面活性剤の種類、弾性重合体における分散染料の含有量、基体の厚さなどに応じて調整し得るが、一般的には熱水1dm3当たり界面活性剤を0.5〜3gの割合で含有する温度80〜100℃の熱水を用いることが好ましい。熱水中での界面活性剤の含有量が0.5g/dm3未満であると、基体を構成する弾性重合体の内部、または弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布中から弾性重合体表面への染料移行が不十分になり色斑を生じ易くなり、一方3g/dm3を超えて使用しても効果に大差がなく、コスト的に不利になり易い。また、熱水の温度が80℃未満であると、基体を構成する弾性重合体の内部または弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布中から弾性重合体表面への染料移行が不十分になり色斑を生じ易くなり、一方100℃を超えると弾性重合体の内部などから表面への染料移行が過多になり、洗濯堅牢性、耐光堅牢性、耐光堅牢性などが低下したものになり易い。
【0041】
また、界面活性剤を含有する熱水による処理時間は、熱水に含まれる界面活性剤の種類や量、熱水の温度、移行処理時の操作(例えば揉み処理の有無等)などに応じて調整できるが、界面活性剤を前記した0.5〜3g/dm3で含有し且つ温度が80〜100℃の熱水を用いて行う場合は、一般に5〜60分程度の処理時間で、染料が弾性重合体の表面にまで良好に移行し、色斑のない、全体に均一な色調を有する、外観に優れるスエード調人工皮革の染色物を得ることができる。
【0042】
最後に、常温の水または温水を用いて洗浄した後、乾燥し、必要に応じて撥水処理、整毛処理などの仕上げ処理を行う。それによって、ポリエステル極細繊維の立毛部、基体を構成するポリエステル繊維不織布および弾性重合体がほぼ同色に均一に染色されていて、全体の色調が均一で、良好な外観を有する本発明のスエード調人工皮革を得ることができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。以下の例中、特に断らない限り、部は質量部を、%は質量%を示す。
以下の例において、洗濯堅牢度、摩擦堅牢度および耐光堅牢度は、それぞれJIS L0844(A法)、JIS L0849およびJIS L0842に規定されている測定法に準じて評価した。
【0044】
《実施例1》
(1) ポリエチレンテレフタレート(相対粘度=0.65)を島成分とし、直鎖状低密度ポリエチレン(温度190℃で測定したMFR=40g/10分)を海成分とする海島型複合繊維[島成分:海成分=60:40(質量比)、島数=20、繊度=4.0デシテックス、繊維長=51mm、捲縮数=12山/2.54cm]を用いて常法によりニードルパンチ不織布(厚さ=1.3mm、目付=530g/m2)を製造した。
(2) 上記(1)で得られた絡合不織布に、ポリエーテル系ポリウレタン(大日本インキ化学工業株式会社製「CRISVON 1367」)の15%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を含浸させ、DMF/水(1/5質量比)混合溶液を用いて湿式凝固し、水洗した後、85℃のトルエンを用いて海成分であるポリエチレンを抽出除去して、人工皮革用基体(目付=480g/m2、厚さ=1.0mm)を製造した。
(3) 上記(2)で得られた人工皮革用基体の片面を180番のサンドペーパーによりバフィングして厚さを0.8mmにした後、反対側の面に、DMF/アセトン(30/70質量比)混合溶媒を200メッシュのグラビアロールを用いて8g/m2の割合で塗布して乾燥し、混合溶媒の塗布面を240番のサンドペーパーで2回および400番のサンドペーパーで2回順次バフィングし、混合溶媒塗布後のバフィング面にポリエステル極細繊維(単繊維繊度=0.05〜0.15デシテックス)の立毛を有し且つポリエステル極細繊維不織布とポリウレタンからなる基体を有するスエード調人工皮革の染色前生地を得た。
【0045】
(4) 上記(3)で得られたスエード調人工皮革生地を、80℃の熱水中に20分間湯通しして熱水になじませると共に生地をリラックスさせた後、高圧液流染色機(株式会社日阪製作所製のサーキュラー染色機)を使用し、下記の表1に示す条件で染色した。
【0046】
【表1】
【0047】
(5) 上記(4)の染色処理の結果、スエード調人工皮革では、ポリエステル極細繊維の立毛部、基体を構成するポリエステル極細繊維不織布およびポリウレタンのいずれもが鮮やかなエンジ色に染色されていた。
(6) 上記(4)で使用した高圧液流染色機から染色液を排出させ、代わりに該染色機に、二酸化チオ尿素(還元剤)を7g/dm3および水酸化ナトリウム(還元助剤)を3g/dm3の割合で含有する温度65℃の熱水を入れ、そこに上記(5)で得られた染色後のスエード調人工皮革を入れて(浴比=1:30)、液流状態で30分間還元処理を行った後、スエード調人工皮革を染色機から取り出した。還元処理後のスエード調人工皮革では、ポリエステル極細繊維の立毛部は還元処理前よりも少し薄いエンジ色を呈し、一方基体の表面に露出しているポリウレタン部分および表面近傍のポリウレタン部分がほぼ白色に脱色され、また基体を構成するポリエステル繊維不織布は還元処理前よりも少し薄いエンジ色を呈していて、色斑のある品位の劣った外観を有していた。
【0048】
(7) 高圧液流染色機から還元処理液を排出し、代わりに該染色機に過酸化水素含量3g/dm3およびソーダ灰含量3g/dm3である温度70℃の熱水を入れ、そこに上記(6)で得られた還元処理したスエード調人工皮革を入れて(浴比=1:30)、液流下に20分間酸化処理を行った。
(8) 染色機から酸化処理液を排出し、代わりに該染色機に界面活性剤(日本化薬株式会社製「KPレベラーAUL」、芳香族スルホン酸塩系界面活性剤)を1g/dm3および酢酸を1g/dm3の割合で含有する温度90℃の熱水を投入して(浴比=1:30)、液流下に10分間処理を行って基体を構成するポリウレタンの内部に存在していた染料の一部をポリウレタン表面にまで移行させた。次いで、染色機よりスエード調人工皮革を取り出して乾燥、撥水処理(撥水剤;大日本インキ化学工業株式会社製「ディックガードF−90C」)および整毛処理を順に行って、スエード調人工皮革の染色物を得た。
(9) 上記(8)で得られたスエード調人工皮革の染色物は、ポリエステル極細繊維の立毛部並びに基体を構成するポリエステル極細繊維不織布およびポリウレタンのいずれもが、ほぼ同色のエンジ色に染色されていて色斑がなく、全体に均一な色調を呈し、高級な外観を有していた。得られたスエード調人工皮革の染色物の洗濯堅牢度、摩擦堅牢度および耐光堅牢度は以下の表2に示すとおりであり、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性および耐光堅牢性に優れており、実用価値の高いものであった。
【0049】
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)〜(7)と同様にして、染色前のスエード調人工皮革生地の製造、染色処理、還元処理および酸化処理を順に行った。
(2) 上記(1)で得られた酸化処理後のスエード調人工皮革を、実施例1で使用した高圧液流染色機を用いて、界面活性剤を含有せず酢酸のみを1g/dm3の割合で含有する温度60℃の熱水中で10分間処理した。その結果、この処理後のスエード調人工皮革は、ポリエステル極細繊維の立毛部と基体を構成するポリエステル繊維不織布は還元処理前よりも少し薄いエンジ色を呈し、一方基体の表面に露出しているポリウレタン部分および表面近傍のポリウレタン部分がほぼ白色に脱色されていて、依然として色斑のある品位の劣った外観のままであった。
(3) 上記(2)の処理後に、高圧液流染色機内の熱水に界面活性剤(日本化薬株式会社製「KPレベラーAUL」、芳香族スルホン酸塩系界面活性剤)を1g/dm3になるような量で加えて、液温90℃で液流下に20分間処理を行った後、染色機から取り出し、乾燥、撥水処理(撥水剤;大日本インキ化学工業株式会社製「ディックガードF−90C」)および整毛処理を順に行った。
(4) 上記(3)で得られたスエード調人工皮革は、ポリエステル極細繊維よりなる立毛部並びに基体を構成するポリエステル極細繊維不織布およびポリウレタンのいずれもが、ほぼ同色のエンジ色に染色されていて色斑がなく、スエード調人工皮革全体の染色状態が均一で、高級な外観を有していた。得られたスエード調人工皮革の洗濯堅牢度、摩擦堅牢度および耐光堅牢度は以下の表2に示すとおりであり、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性および耐光堅牢性に優れており、実用価値の高いものであった。
【0050】
《比較例1》
実施例1の(8)の染料のポリウレタン表面への移行処理を行わなかった以外は実施例1と同様の処理を行った。その結果、最終的に得られたスエード調人工皮革では、ポリエステル極細繊維よりなる立毛部および基体中のポリエステル極細繊維不織布はエンジ色に染色されていたが、基体を構成するポリウレタン表面は脱色されたままのほぼ白色状態を呈していて、ポリウレタン内部の染料が表面に移行していないために、スエード調人工皮革全体では色斑のある、不均一な色調の、品位に劣る外観であった。また、この比較例1で得られたスエード調人工皮革の洗濯堅牢度、摩擦堅牢度および耐光堅牢度は以下の表2に示すとおりであった。
【0051】
《比較例2》
実施例1の(6)〜(8)の工程(還元処理工程、酸化処理工程および染料の基体表面への移行処理工程)を行わなかった以外は、実施例1と同様の処理を行った(染色処理工程まで行った)。その結果、最終的に得られたスエード調人工皮革では、ポリエステル極細繊維よりなる立毛部、基体中のポリエステル極細繊維不織布および基体を構成するポリウレタンのいずれもがエンジ色に染色されていて、ほぼ均一な外観を有していた。しかしながら、この比較例2で得られたスエード調人工皮革の洗濯堅牢度、摩擦堅牢度および耐光堅牢度を上記した方法で評価したところ、以下の表2に示すように、洗濯堅牢性および摩擦堅牢性に劣っていた。
【0052】
【表2】
【0053】
《参考例1》
実施例1の(8)の染料の基体表面への移行処理に当たって、処理液の温度を120℃に変えた以外は実施例1と同様の処理を行った。その結果、最終的に得られたスエード調人工皮革では、基体を構成するポリウレタン内部の染料がポリウレタン表面に移行していて、ポリエステル極細繊維よりなる立毛部並びに基体を構成するポリエステル極細繊維不織布およびポリウレタンはほぼ同じエンジ色に染色されており、色斑がなく、スエード調人工皮革全体の染色状態が均一な高級な外観を有していた。但し、このスエード調人工皮革の洗濯堅牢度(退色)は3〜4級、洗濯堅牢度(汚染)は2級、摩擦堅牢度(乾)4級、摩擦堅牢度(湿)2〜3級、耐光堅牢度は3級であり、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性および耐光堅牢性の点では、実施例1および2に比べて劣っていた。これは、基体を構成するポリウレタン内部の染料をポリウレタン表面に移行させる際の処理条件(この参考例1の場合は液温)が高すぎたために、ポリウレタン表面への染料の移行が過度になったことによるものと考えられる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の方法でスエード調人工皮革を製造すると、ポリエステル極細繊維の立毛、基体を構成する弾性重合体、特に基体表面に露出している弾性重合体、および基体を構成するポリエステル繊維不織布が、同じ色に染色されていて色斑がなく、スエード調人工皮革全体が均一で良好な色調を有し、外観に優れるスエード調人工皮革の染色物を、簡単な操作で円滑に得ることができる。
しかも、本発明の方法で得られるスエード調人工皮革の染色物は、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、耐光堅牢性などの堅牢性に優れていて、洗濯、摩擦、光、時間経過などによって、染料の脱落、変色、退色などがなく、前記した色斑のない良好な色調および外観を長期にわたって維持することができ、実用価値に極めて優れている。
Claims (6)
- ポリエステル繊維不織布と弾性重合体からなる基体の片面または両面にポリエステル極細繊維の立毛を有するスエード調人工皮革の染色方法であって、
(a)分散染料でスエード調人工皮革を染色する工程;
(b)染色したスエード調人工皮革を還元剤で処理して、過剰の分散染料を還元分解し、基体の表面に露出している弾性重合体部位を脱色するか、または基体の表面に露出している弾性重合体部位と表面近傍に位置する弾性重合体部位を脱色する工程;および、
(c)過剰の分散染料を還元分解してなる前記工程(b)後のスエード調人工皮革を、界面活性剤を含有する熱水を用いて処理して、基体を構成する弾性重合体の内部に存在する染料、または基体を構成する弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布中に存在する染料を、弾性重合体の表面に移行させる工程;
を有することを特徴とするスエード調人工皮革の染色方法。 - 工程(b)の還元剤処理による脱色後に、基体を構成する弾性重合体における分散染料の含有量が、脱色後の弾性重合体1g当たり1〜30mgの範囲になる条件下で工程(b)の還元剤処理を行う請求項1に記載の染色方法。
- 基体を構成する弾性重合体の内部に存在する染料、または基体を構成する弾性重合体の内部とポリエステル繊維不織布中に存在する染料の弾性重合体表面への移行が過度にならない条件下で工程(c)の染料の移行処理を行う請求項1または2に記載の染色方法。
- 界面活性剤を0.5〜3g/dm3の割合で含有する温度80〜100℃の熱水を用いて工程(c)の染料の移行処理を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の染色方法。
- 分散染料を含有する温度115〜150℃の染色浴を用いて工程(a)の染色を行い、還元剤を2〜10g/dm3および還元助剤を1〜10g/dm3の割合で含有する温度50〜80℃の熱水を用いて工程(b)を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の染色方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の染色方法により得られる染色されたスエード調人工皮革。
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