JP3788508B2 - 印刷用塗被紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用塗被紙に関するものであって、特に水性インキを使用するグラビア印刷に適した印刷用塗被紙に係る。
【0002】
【従来の技術】
低粘度のインキを使用する印刷の代表例としてグラビア印刷がある。グラビア印刷は、ハイライト部から中間部にかけての良好な色調再現性、高い印刷濃度、高い印刷光沢が得られるので、美しい写真印刷ができるだけでなく、高速で大量印刷が可能であることから、発行部数の多い雑誌や通信販売用カタログ等の印刷に広く利用されている。然るに、グラビア印刷に使用されるインキでは、その溶剤としてトルエンなどの有機溶剤が普通使用されるが、印刷時の作業環境や安全性を考慮すると、グラビア印刷には非有機溶剤系のインキを使用することが望ましい。
【0003】
有機溶剤を排除した印刷インキ、すなわち、水性系印刷インキは、包装材用途中心のグラビア印刷やフレキソ印刷などで使用されている。しかしながら、出版用途のグラビア印刷には勿論、前記包装材用途でも塗工紙や塗工板紙へのフルカラー再現を目的とするグラビア印刷に、水性系インキを使用した場合には、有機溶剤系のインキに比べて、紙表面上でのインキの広がりが遅いため、次のような問題がある。
すなわち、▲1▼淡色図柄から濃色図柄にかけて印刷濃度が突然変化する(「トーンジャンプ」と呼ばれる)問題、▲2▼ベタ部に流れ筋のような欠陥が発生する(「インキモットル」と呼ばれる)問題、▲3▼重い図柄部においてしわ(「吸水じわ」と呼ばれる)が発生する問題などがある。こうした理由から、水性系印刷インキを使用して塗工紙や塗工板紙に、フルカラーを再現させるグラビア印刷は、実用化されていないのが現状である。
【0004】
ここで、水性系インキを使用したグラビア印刷の問題の1つである▲1▼トーンジャンプついて説明する。最近のグラビア印刷用刷版において、出版用途で広く使用されている機械彫刻のいわゆるヘリオ版では、階調は網点の面積と凹版の深さの両方を変化させて計量するインキ量を調整している。このことは、インキ量の少ない淡色図柄部では元々網点面積が小さいことに加え、水性系インキは有機溶剤系インキと比較して、紙面上でインキが広がりにくいので1つずつの網点が小さく、有機溶剤系インキより印刷濃度が低くなる。一方、濃色図柄部では、1つずつの網点面積が大きくなるだけでなく、凹版の深さも大きくなり計量されるインキ量が多くなるので、水性系インキでも有機溶剤系インキと同様に網点が広がり、その結果、隣同士の網点がつながり、印刷濃度が高くなる。水性系インキにおける問題は、網点が小さく凹版で計量されるインキ量が少ない淡色図柄部では、有機溶剤インキと比較して印刷濃度が低いのに対し、凹版で計量されるインキ量が多い濃色図柄部では、有機溶剤系インキと同様の濃度が得られるので、中間濃度図柄部から濃色図柄部にかけて、ある網点面積を境に印刷濃度が突然高くなって印刷濃度や色調が急激に変化する。このように印刷濃度や色調が急変するところでは、印刷濃度が高い部分と、低い部分が混在して濃度ムラとなることが多い。
【0005】
次に、▲2▼インキモットルについて説明する。インキ量が多いベタ印刷部では、インキを計量した凹版が紙と接触してインキを転移させながら版と紙が離れる際に、インキの粘性や濡れ性、印刷速度、版の形状(網点配列)などの影響により、インキが均一に広がらずに、ある部分だけにインキが集まった状態で乾燥、固定化される。この結果、その集まりが印刷方向に平行(縦筋)や斜め(斜め筋)に見える欠陥をいう。
【0006】
▲3▼吸水じわは、水性系インキであるが故に発生する現象であり、原紙層まで浸透したインキ由来の水により原紙中のパルプ繊維が膨潤し、用紙が流れに対して直角方向(CD方向)に、インキ量の多い重い図柄部だけ紙が伸びてしわが発生するものである。上記した▲1▼〜▲3▼の欠陥は、これらが1つでも発生すると印刷物の見栄えを大きく損なうため、その解消が必須である。
【0007】
水性系インキでは上記▲1▼〜▲3▼の問題に加え、有機溶剤系インキと比較して乾燥に要するエネルギーが大きく、有機溶剤系インキを使用した場合と同じ速度で印刷する場合、より高い温度で乾燥する必要がある。グラビア印刷では、印刷ユニット毎に、すなわち、各色毎に乾燥装置が設けられるが、より高温で乾燥する水性系インキでは乾燥装置通過後の塗被紙の収縮が大きくなるため、▲4▼見当ずれと呼ばれる問題も起こり易い。
【0008】
水性系印刷インキ自体を改良することで、上記した▲1▼、▲2▼の問題を改善する方策としては、紙表面に対する濡れを良くするために、インキの表面張力を小さくし、さらに塗被層上に転移したインキ皮膜のレベリングを良くするために、インキの粘度を低くする提案がある。しかしながら、インキの表面張力を小さくしすぎると、インキ皮膜がレベリングしにくくなってインキモットルを改善することができないという問題がある。また、インキの粘度を下げすぎると、塗被層内部にインキが浸透しやすくなり、表面張力を下げすぎた場合と同様の問題が発生するだけでなく、印刷機上でインキが飛び散ったりする印刷作業上の問題が発生する。こうした理由から、水性系インキ自体の改良だけでは、▲1▼〜▲2▼の問題を十分解決できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水性系インキを使用してグラビア印刷した場合において、トーンジャンプ、インキモットル、吸水じわのみならず、見当ずれも発生しにくい、従って、見栄えの良い印刷物が得られる印刷用塗被紙の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る印刷用塗被紙は、顔料と接着剤を主成分とする顔料塗被層を原紙の少なくとも片面に設けてなる印刷用塗被紙において、該塗被紙の特性として、接触時間25ミリ秒における水吸収量が10ml/m以下で、かつ該塗被紙の顔料塗被層に水を滴下して0.1秒後の接触角が75度以下であり、さらに、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載の王研式透気度が10,000秒以上であることを特徴とする。
上記した本発明の印刷用塗被紙は、(1)ISO8791−4に準拠して測定したパーカープリントサーフテスタによる顔料塗被層の平滑度が0.2〜1.0μmの範囲にあり、その平滑度の値(A)と上記した水吸収量の値(B)との関係が、B/A ≦ 12 を満足することが好ましく、(2)J.TAPPI紙パルプ試験方法No.27に記載の浸水伸度試験(B法)に準拠して測定した用紙の流れに対して直角(CD)方向の10秒後のフェンチェル浸水伸度が3.5%以下であることが好ましい。
【0011】
そして、本発明の印刷用塗被紙をその顔料塗被層の構成で特徴付ければ、該顔料塗被層が顔料と接着剤を主成分とする塗被組成物から形成され、その塗被組成物に含まれる顔料の90〜100重量%が、平均粒子径0.5〜4.0μmのカオリンであり、前記塗被組成物の接着剤として、ガラス転移温度(Tg)−65℃〜−25℃、平均粒子径30nm〜120nmの共重合体ラテックスを、顔料100重量部当たり12〜35重量部含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らが得た知見によれば、水性系インキを使用したグラビア印刷によって、フルカラーを再現した見栄えによい印刷物を得るためには、印刷用紙である塗被紙は、接触時間25ミリ秒における水吸収量が10ml/m以下、好ましくは、9ml/m以下であるようにその吸収性が低いことと、顔料塗被層の表面に水を滴下して0.1秒後の接触角が75度以下、好ましくは、70度以下であるように水に対する濡れが良いことと、そして、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載の王研式透気度が10,000秒以上、好ましくは、13,000秒以上であるように当該塗工紙の透気度を高くすること、換言すれば、その通気性を低くすることが肝要である。
【0013】
すなわち、塗被紙の特性として、水の吸収性を低くし、水に対する濡れが良いものとすることで、版から塗被紙の顔料塗被層表面上に転移したインキが、顔料塗被層内部やその下の原紙層まで浸透するのを防止あるいは遅らせ、印刷ユニットから乾燥装置に入るまでの間、顔料塗被層上でのインキの不動化を抑制し、これによって、インキ皮膜のレベリングを良くしてインキモットルを改善することができる。また、水の吸収性を低下させることで、原紙の吸水による伸びが原因と考えられる吸水じわ(これはベタ重色図柄部で発生し易い)を改善できる。そして、塗被紙の表面が水に濡れ易いことから、水性系インキの場合でも、網点を広げることができてトーンジャンプも改善することができる。
念のため付言すれば、塗被紙の特性として、水の吸収量が10ml/mを超える場合、あるいは水を滴下して0.1秒後の水との接触角が75度を超える場合、トーンジャンプ、インキモットルおよび吸水じわの発生を防止できない恐れがある。
水吸収量の下限値は、水を全く吸わないということで理論上0が最小値となり、接触角も0が最小値となる。
【0014】
また、塗被紙のJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載の王研式透気度を10,000秒以上であるように透気度を高く(通気性を低く)することで、見当ずれを小さくできる。すなわち、水性系インキは有機溶剤系インキと比較して乾燥に要するエネルギーが大きいため、有機溶剤系インキと同じ速度で印刷を行う場合、より高い温度で印刷物を乾燥する必要がある。この高い温度に起因してインキが転移した図柄部における塗被紙の水分が大きく下がるということは考えにくいが、インキの転移していない白紙部では、紙面温度が上昇して塗被紙から水分が蒸発し易く、結果として塗被紙が収縮する。
グラビア印刷機では各色印刷ユニット毎にインキが転移した塗被紙が乾燥装置を通過するため、塗被紙からの水分の蒸発は見当ずれに結びつき易い。そこで、塗被紙の透気度をJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載の王研式透気度において10,000秒以上とすることで、乾燥過程で塗被紙からの水の蒸発を抑制することができ、見当ずれを防止することができる。一方、透気度が10,000秒未満の場合、見当ずれを防止できないおそれがある。
【0015】
本発明の印刷用塗被紙は、上記した塗被紙の特性に加えて、表面張力が27〜38mN/m、#2ザーンカップで測定した粘度が、27〜35秒である水性系インキで測定した接触時間25ミリ秒におけるインキ吸収量が8ml/m以下であることが好ましい。
すなわち、低粘度インキを使用するグラビア印刷では、水性系インキは通常上記特性の粘度範囲で使用されることが多い。従って、この粘度範囲にある水性系インキで測定した塗被紙のインキ吸収量を低く保持することで、版から塗被層表面上に転移したインキが、塗被層内部やその下の原紙層まで浸透するのを防止あるいは遅らせて、印刷ユニットから乾燥装置に入るまでの過程で、塗被層上でのインキの不動化を防ぎ、これによって、インキ皮膜のレベリングを良くしてインキモットルを改善させることができると共に、塗被紙の吸水による伸びが原因と考えられるベタ重色図柄部で発生し易い吸水じわを改善させることができる。
【0016】
インキ皮膜のレベリングを良くしてインキモットルを改善するための要件である印刷用塗被紙の接触時間25ミリ秒での水吸収量は、当該塗被紙の平滑度の影響を受ける。すなわち、平滑性が高い塗被紙ほど、顔料塗被層上に転移したインキは凹版の形及び大きさを忠実に再現する傾向が高く(換言すると網点が広がりにくい)、その分、水の吸収量を小さくして顔料塗被層上でのインキの流動性を維持させることで、網点の広がりやレベリングを改善することができる。
従って、本発明の印刷用塗被紙は、ISO8791−4に準拠して測定したパーカープリントサーフテスタによる顔料塗被層の平滑度が0.2〜1.0μmであって、かつその平滑度の値(A)と、顔料塗被層の接触時間25ミリ秒における水の吸収量の値(B)との関係が、B/A ≦ 12 を満足することが好ましい。これは、平滑性が高い(平滑度の数字が小さい)ほど、水吸収量が小さくなることが好ましいことを示している。
ちなみに、B/Aの最小値は水の吸収量の最小値が0であることから0となる。
【0017】
印刷用塗被紙において、本発明が規定する水吸収量や接触角は、一般に、顔料塗被層の形成に使用される塗被組成物の組成並びに塗工量に依存する。塗被組成物には、顔料の分散剤、増粘剤、保水剤、耐水化剤、滑剤、染料、pH調整剤などの助剤が含まれることもあるが、塗被組成物の主成分は、顔料と接着剤であって、塗被組成物に100重量部の顔料を配合するとすれば、接着剤の量は5〜35重量部の範囲で選ばれるのが通例である。そして、塗被組成物の塗工量は、特別な例外を除けば、紙の片面当たり、乾燥基準で8〜35g/mの範囲で選ばれるのが通例である。
従って、塗被組成物に含有させる顔料と接着剤の量的関係や塗被組成物の塗工量が、上記した通常の範囲を逸脱しない限り、本発明が規定する水吸収量や接触角は、塗被組成物に含まれる顔料の種類、形状、大きさ、接着剤の種類などに依存する。同様にして、本発明で規定する透気度は、塗被組成物に含まれる顔料の種類、形状、大きさ、接着剤の種類などに依存するほか、顔料塗被層の平滑化仕上げの度合いに左右される。
こうした理由から、本発明が規定する水吸収量、接触角及び透気度に適合する印刷用塗被紙を得るためには、塗被組成物の調製に使用する顔料の種類、形状、大きさ、接着剤の種類などを適宜選択すると共に、原紙上に設けられる顔料塗被層の平滑化仕上げ条件を適宜調整することが肝要である。
なお、本発明の印刷用塗被紙は、片面にのみ顔料塗被層を設けるいわゆる片面塗被紙であっても良いが、見当ずれを効果的に改善するには、原紙の両面に顔料塗被層を有するいわゆる両面塗被紙が好ましく、その場合、両側の塗被層がほぼ同様の通気性抑制効果(透気度が高くなる効果)を有するように調整することが好ましい。
【0018】
本発明の印刷用塗被紙では、ISO8791−4に準拠して測定したパーカープリントサーフテスタによる顔料塗被層の平滑度が、0.2〜1.0μmの範囲内にあることが、グラビア印刷でのミッシングドット発生を防止する上で好ましい。顔料塗被層の平滑度は、上記した透気度と同様に、塗被組成物の調製に使用する顔料の種類、形状、大きさ、接着剤の種類などを適宜選択することによって、あるいは顔料塗被層を設けた後の平滑化仕上げを金属ロールと弾性ロールで形成されるニップに紙を通過させるスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトニップカレンダ、ヤヌスカレンダなどの各種カレンダを使用して、金属ロールの表面温度やニップに加える線圧を適宜調整することによって、前記平滑度を所望の範囲に維持することができる。
【0019】
さらに、本発明の印刷用塗被紙では、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.27に記載の浸水伸度試験(B法)に準拠して測定した塗被紙の流れに対して直角(CD)方向の10秒後のフェンチェル浸水伸度が3.5%以下であることが見当ずれを防止する上で好ましい。すなわち、浸水伸度が3.5%を超える場合、水性インキの由来の水分が顔料塗被層を通過して原紙まで到達した際に、印刷された画線部分に原紙の伸びによる吸水じわが発生するおそれがあり好ましくない。
上記浸水伸度は、印刷用塗被紙のベースとなる原紙と顔料塗被層の水浸透抑制効果の両方の影響を受ける。したがって原紙を構成するパルプの種類やその叩解度、また薬品として含まれる紙力増強剤や耐水化剤などの種類やその添加量の影響を受けるほかに、原紙を製造する際の乾燥方法の影響も受ける。このため、本発明の印刷用塗被紙の製造において使用する原紙としても、同様に測定した浸水伸度が小さい方、具体的には5%以下であることが好ましい。
また、顔料塗被層の水浸透抑制効果は、先に述べたJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載の王研式透気度においてその効果を判定することができ、印刷用塗被紙の王研式透気度で10,000秒以上となるような顔料塗被層を設けることが好ましい。
【0020】
本発明の印刷用塗被紙を得るのに好適な塗被組成物の一例(以下、これを好個の組成物と呼ぶ)を以下に説明する。
好個の組成物の顔料成分としては、平均粒子径が0.5〜4.0μm、好ましくは0.5〜2.0μmの範囲にあるカオリンを、組成物に含まれる顔料全量の90〜100重量%の範囲で使用することが好ましい。
カオリンの平均粒子径が0.5μm未満では、接触時間25ミリ秒における水や水性系インキの吸収量が大きくなり、トーンジャンプやインキモットルを改善できないおそれがある。一方、カオリンの平均粒子径が4.0μmを超える場合、光沢の低下や平滑性の悪化によるミッシングドットの発生が懸念されるため好ましくない。また、カオリンの量は、全顔料中の90〜100重量%とすることが、塗被紙の水に対する濡れ性改善、すなわち、接触角を小さくすることに有効である。そして、カオリンの量が90重量%未満では、水の接触角が大きくなって、トーンジャンプやインキモットルを改善できないおそれがある。
なお、好個の組成物の顔料には、通常の印刷用塗被紙の顔料塗被層に使用される顔料、例えば、上記した平均粒子径範囲から外れるカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、サチンホワイト、各種有機顔料等も、全顔料の10重量%を超えない範囲で使用することができる。
【0021】
好個の組成物における接着剤成分には、ガラス転移温度(Tg)が−65℃〜−25℃の範囲にあり、平均粒子径が30nm〜120nmの範囲にある共重合体ラテックスを使用することが好ましい。
この種の共重合体ラテックス例示すると、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリル系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系などの各種共重合体ラテックスを挙げることができる。これらの中でも、特に、スチレン・ブタジエン系、アクリル系、スチレン・ブタジエン・アクリル系の共重合体ラテックス、あるいはこれらの共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ官能性あるいはアルカリ非官能性の共重合体ラテックスが好ましい。
これらの各共重合体ラテックスは、単量体成分の配合率を調整することによってそのガラス転移温度(Tg)を所定の範囲に収めることができ、乳化重合における界面活性剤等の乳化剤の種類・添加量や乳化時の撹拌条件を調整することによってその平均粒子径を所定の範囲に収めることができる。
【0022】
接着剤成分として使用する共重合体ラテックスのガラス転移温度が−65℃未満である場合は、スーパーカレンダでのロール汚れを招くおそれがあり、また、巻取り状態で塗被紙を保管した場合に、塗被紙同士がブロッキングするおそれがある。一方、共重合体ラテックスのガラス転移温度が−25℃を超えると、塗被層が硬くなってグラビア印刷での網点抜け(ミッシングドット)が発生するおそれがある。
共重合体ラテックスの平均粒子径は、得られる塗被紙の水吸収性やインキ吸収性を小さくする上で、30nm〜120nmとすることが好ましい。平均粒子径が30nm未満では、共重合体ラテックスの機械安定性が劣るなどその実用性に問題がでるおそれがあり、逆に平均粒子径が120nmを超える場合は、本発明が必要とする水やインキの吸収量や透気度を得るために、多量の共重合体ラテックスを必要とするので、経済的な面で不利となるほか、得られる塗被紙同士がブロッキングするなど別の問題が発生するおそれがある。
【0023】
上記した好個の組成物において、接着剤成分として使用する共重合体ラテックスの配合量は、塗被紙の水吸収性やインキ吸収性を小さくすることと、塗被紙の透気度を高くする上で、顔料100重量部に対して12〜35重量部の範囲で選ばれる。配合量が12重量部未満の場合、塗被紙の水やインキの吸収性が大きくなる、あるいは透気度が低くなるため、トーンジャンプ、インキモットルや見当ずれを改善できないおそれがある。一方、35重量部を超える場合は、その効果が頭打ちになることから経済的に不利であり、得られる塗被紙同士がくっついてブロッキングするなど別の問題が発生するおそれがある。
【0024】
上記した好個の組成物には、必要に応じて分散剤あるいは顔料塗被層の水に対する濡れ性改善剤として機能する界面活性剤を配合することができる。この種の界面活性剤には、(A)カチオン性界面活性剤、(B)アニオン性界面活性剤、(C)ノニオン性界面活性剤が使用可能であって、中でも、(B)アニオン性界面活性剤及び/又は(C)ノニオン性界面活性剤が好適に使用できる。界面活性剤の配合量は、顔料100重量部に対して、界面活性剤の有効成分として0.01〜3部の範囲で適宜調整できる。なお、界面活性剤の添加により塗料の発泡性が高まるので、発泡防止のため、各種消泡剤を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
【0025】
(B)アニオン性界面活性剤としては、官能基としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩を持つ低分子または高分子界面活性剤があり、低分子カルボン酸塩としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムおよびオレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩、高級アルコールポリエチレンオキサイドエーテル酢酸塩、ペルフルオロアルキルカルボン酸塩等が例示できる。高分子カルボン酸塩としては、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸−マレイン酸共重合物の塩等の如く、カルボン酸の単独重合物の塩又は少なくとも2以上のカルボン酸の共重合物の塩、ビニル化合物とカルボン酸系単量体との共重合物の塩等が例示できる。低分子硫酸エステル塩としては、例えば、高級アルコールポリエチレンオキサイド硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィンおよびアルキルフェノールポリエチレンオキサイド硫酸エステル塩等が例示でき、低分子スルホン酸塩としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンポリスルホン酸塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸塩、イゲホンT型およびエアロゾル型等が例示できる。高分子スルホン酸塩としては、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルスルホン酸塩、ポリアリールスルホン酸塩およびアクリルアミドとアクリルアミドプロパンスルホン酸の共重合物の塩等が例示できる。共重合型高分子界面活性剤としては、例えば、カルボン酸単量体とスルホン酸単量体からなる共重合体またはその塩が例示できる。低分子リン酸エステル塩としては、例えば、高級アルコールモノリン酸エステル塩、高級アルコールポリエチレンオキサイドリン酸エステル塩およびアルキルフェノールポリエチレンオキサイドリン酸エステル塩等が例示できる。
【0026】
(C)ノニオン性高分子界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型および多価アルコール型非イオン界面活性剤があり、ポリエチレングリコール型としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物およびポリエーテル変成シリコーン等が例示できる。多価アルコール型としては、例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはそのエチレンオキサイド付加物およびアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が例示でき、更にメチルセルロース(MC)、ハイドロオキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルキレンオキサイドビニールエテル化合物およびポリハイドロキシルアルキル(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0027】
上記した好個の組成物には、接着剤成分として、上記した共重合体ラテックス以外に、酸化、エーテル化、アセチル化、エステル化などの各種変性澱粉、ポリビニルアルコール系樹脂やメラミン樹脂などの合成樹脂系接着剤、カゼイン、大豆蛋白質、合成蛋白質などの蛋白質、メチルセルロース、メチルヒドロキシセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体を、1種あるいは2種以上使用することができるが、その配合量は、全顔料100重量部当たり0.5〜5重量部の範囲を超えないことが好ましい。
また、好個の組成物には、塗被組成物に一般的に使用されている分散剤、増粘剤、保水剤、耐水化剤、滑剤、染料、pH調整剤などの助剤を本発明の効果を阻害しない範囲で適宜使用しても良い。
【0028】
以上、好個の組成物に関して説明したが、この組成物を使用して印刷用塗被紙を製造するに際しては、通常の印刷用塗被紙を製造する場合に慣用されている技術を採用することができる。
例えば、原紙には特に限定されるものではなく、KP、SP等の化学パルプ、GP、TMP、CTMP、CGP、SCP等を含む機械パルプや高歩留まりパルプ、それらの漂白パルプ、さらにはDIP等の古紙再生パルプ、合成パルプなどの1種又は2種以上を抄造して得た原紙がいずれも使用可能であるが、原紙のCD方向浸水伸度が大きくならないようなパルプの選定や叩解度を設定することが好ましい。
原紙の填料にも、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、カオリン等の各種填料が使用できるほか、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤も、常法とおり使用することができる。原紙の抄造方法にも特に限定されるものではなく、例えば、抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙によるもの、あるいは抄紙pHが約6〜約9の弱酸性領域、中性領域、弱アルカリ性領域で行ういわゆる中性抄紙による方法が適用できる。その場合の抄紙機も長網抄紙機、オントップワイヤ抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機等を適宜使用できるが、原紙のCD方向浸水伸度が大きくならないような、繊維の配向性制御や乾燥時の収縮抑制が可能な抄紙機を選定することが好ましい。
【0029】
原紙上に塗被組成物を塗工する装置にも特に限定はなく、例えば、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、エアナイフコーターなどの一般的に公知公用の塗工装置が適宜使用できる。特にブレードコーターは、平滑性の高い顔料塗被層面を得ることができるので好ましく使用される。原紙上への塗被組成物の塗工量は、一般的に乾燥重量で片面当たり3〜50g/m程度の範囲で選ばれるが、得られる塗被紙の白紙品質、印刷適性や印刷適性、あるいは塗被紙製造時の高速塗工における乾燥能力等を考慮すると5〜30g/mが好ましい。
【0030】
顔料塗被層の乾燥方法には、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種乾燥方式が適宜採用可能である。乾燥後の塗被紙は、好ましくはこれにカレンダ通紙処理を施して、本発明の印刷用塗被紙に仕上げられる。この場合のカレンダ装置としては、特に限定されるものではなく、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトニップカレンダ、ヤヌスカレンダなどの一般に使用されているカレンダ装置が適宜使用できる。
【0031】
本発明でいう水性系グラビアインキとしては、溶媒として水を使用したものであれば特に限定されないが、印刷用塗被紙の印刷に使用される水性系グラビアインキとしては表面張力が27〜38mN/m、およびザーンカップ(#2)粘度が25〜35秒になるように、印刷時に調整することが好ましい。また水性系グラビアインキとしては、その表面張力などを調整するためにエチルアルコールやN−プロピルアルコール等のアルコールをインキ重量に対して100重量%程度以下の量で適宜添加して印刷に使用することができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を示す。
【0033】
実施例1
〔原紙の製造〕
LBKP(C.S.F=400ml)65部、NBKP(C.S.F=450ml)15部およびPGW(C.S.F=110ml)20部からなるパルプスラリー100部に、軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121/奥多摩工業社)8部を添加した後に順次、硫酸アルミニウム0.5部、カチオン澱粉(商品名:アミロファックス2200/松谷化学工業社)0.4部、アルキルケテンダイマー(商品名:サイズパインK−287/荒川化学工業社)0.1部、アニオン性ポリアクリルアミド(アラフィックス−504/荒川化学工業社)0.02部を添加して紙料を調整し、得られた紙料を使用してオントップ型抄紙機で抄紙し、脱水、乾燥した後、引き続き濃度2%の澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ社)糊液でゲートロールサイズプレス装置により、サイズプレス処理して米坪46g/mの塗工原紙を得た。なお、得られた原紙のCD方向浸水伸度は3.9%であった。
【0034】
〔顔料塗被層の塗工および仕上げ〕
顔料として、デラミネーテッドカオリン(商品名:Nuクレー、平均粒子径:0.6μm/エンゲルハード社)100部を使用し、ポリアクリル酸ナトリウム(分散剤)0.1部、水酸化ナトリウム(pH調整剤)0.05部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:G−1079.05、ガラス転移温度:−60℃、平均粒子径:116nm/旭化成社)15部を、いずれも顔料100部に対する固形分として配合し、固形分濃度58%の顔料塗被層用の水性組成物を調製した。次いで、原紙に、乾燥重量が片面当たり15g/mとなるようにブレードコーターで両面塗工、乾燥した後、スーパーキャレンダー処理を行って、グラビア印刷用塗被紙を得た。
【0035】
実施例2
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスの配合量を22部としたこと以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0036】
実施例3
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:G−1079.06、ガラス転移温度:−53℃、平均粒子径:103nm/旭化成社)としたこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0037】
参考例1
実施例2の顔料塗被層用の水性組成物において、顔料として微粒カオリン(商品名:ミラグロス、平均粒子径:0.3μm/エンゲルハード社)100部としたこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0038】
参考例2
実施例2の顔料塗被層用の水性組成物において、顔料として、デラミネーテッドカオリン(商品名:Nuクレー、平均粒子径:0.6μm/前出)80部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221GS/奥多摩工業社)20部を使用したこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0039】
参考例3
参考例2において、スーパーカレンダ条件を緩めたこと以外は同様にして、グラビア印刷用塗被紙を得た。
【0040】
参考例4
実施例2の顔料塗被層用の水性組成物において、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:G−1976、ガラス転移温度:−60℃、平均粒子径:190nm/旭化成社)を使用したこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0041】
実施例4
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:G−1−79.07、ガラス転移温度:−53℃、平均粒子径:70nm/旭化成社)を使用したこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0042】
実施例5
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、アニオン性界面活性剤(商品名:サンモリンOT−70/三洋化成社)を顔料100重量部に対し有効成分として0.2部、さらに消泡剤(商品名:SN−777/サンノプコ社)を有効成分として0.1部添加したこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0043】
比較例1
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、顔料として、微粒カオリン(商品名:ミラグロス、平均粒子径:0.3μm/エンゲルハード社)100部としたこと以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0044】
比較例2
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスの配合量を10部としたこと以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0045】
比較例3
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、顔料として、デラミネーテッドカオリン(商品名:Nuクレー、平均粒子径:0.6μm/前出)60部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221GS/奥多摩工業社)40部を使用したこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0046】
比較例4
実施例1の顔料塗被層用の水性組成物において、顔料として、デラミネーテッドカオリン(商品名:Nuクレー、平均粒子径:0.6μm/前出)60部、塗工用タルク(商品名:KCクレー/兼松化成品社)40部を使用したこと以外は同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
【0047】
上記した各実施例および比較例で得られたグラビア印刷用塗被紙それぞれについて、下記に示す品質評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、物性の測定および品質評価は全て23℃、50%RHの環境下で行った。
【0048】
〔評価方法〕
● 用紙の水あるいは水性系インキの吸収量
動的走査型吸液試験機(協和精工社)で、評価液に蒸留水あるいは水性系インキ(AquaPub High Gloss/SunChemical社製の藍インキをエキステンダーと蒸留水で表面張力35mN/m、ザーンカップ#2粘度が30秒に調整したもの)を使用し、接触時間25ミリ秒での水あるいは水性系インキの転移量V(ml/m)を求めた。
●用紙の水との接触角
DAT(動的接触角・吸液特性試験機(FIBRO社)を使用し、蒸留水と上記吸収量の測定で使用した水性系インキと用紙との0.1秒後の接触角を測定した。
●用紙の透気度
王研式透気度試験機(加圧式:旭精工製)を使用してJ.TAPPI紙パルプ試験方法No5(B)に準拠して透気度を測定し、用紙のバリヤー性を評価した。
●用紙の平滑度
パーカープリントサーフ表面平滑度試験機(メズマー社/イギリス製)を使用し、バッキングにラバー(ソフトタイプ)を用いて、クランピング圧を10kg/mして平滑度(μm)を測定した。測定値が低いほど、高平滑であることを示す。
●用紙の浸水伸度
フェンチェル伸縮度試験機(東洋精機製作所製)を使用してJ.TAPPI紙パルプ試験方法No27(B法)に準拠して測定し、浸漬開始から10秒後の紙の横(CD)方向の伸度(%)を求めた。
●グラビア印刷および印刷物の評価
グラビア印刷機(機種:オリエントOSG550HDX/オリエント総業社)を使用し、下記の水性インキを使用して、4色印刷を行った。
●水性インキ
水性グラビアインキにAquaPub HighGloss(大日本インキ化工業社/SunChemical社製)の4色(黄、紅、藍、墨)を使用し、エキステンダー(AquaPub用、大日本インキ化工業社/SunChemical社製)と水を用いて所望の印刷濃度(黄=約1.2D、紅=約1.4D、藍=約1.6D、および墨=約1.8D)と粘度(ザーンカップ#2粘度が27〜33秒)になるように混合調整した。
● トーンジャンプ評価
0〜100%網点の階調印刷部分における濃度変化の均一性および連続性を目視により評価し、トーンジャンプ(階調濃度の急激な変化)の有無を評価した。
◎:トーンジャンプはなく、濃度の均一性、連続性も良好なレベル。
〇:ややトーンジャンプの傾向が認められる(濃度の均一性、連続性がやや劣る)が、実用上許容できるレベル。
△:トーンジャンプの傾向が認められ(濃度の均一性、連続性が劣る)、用途によっては問題となるレベル。
×:著しいトーンジャンプ(急激かつ不連続な濃度変化)があり、実用上問題となるレベル。
●インキ泳ぎ評価
100%ベタ印刷部分におけるインキおよぎ(縦スジ状模様の印刷欠陥)の程度を目視により評価した。
◎:インキ泳ぎはなく、良好なレベル。
〇:ややインキ泳ぎの傾向が認められるが、実用上許容できるレベル。
△:インキ泳ぎがあり、用途によっては問題となるレベル。
×:著しいインキ泳ぎがあり、実用上問題となるレベル。
● 吸水じわ評価
3色(黄、紅、藍)重色印刷部分におけるしわを目視評価した。
◎:吸水じわはなく、良好なレベル。
〇:吸水じわの傾向が認められるが、実用上許容できるレベル。
△:吸水じわが認められ、用途によっては問題となるレベル。
×:きつい吸水じわがあり、実用上問題となるレベル。
●見当ずれ
1色目の墨インキと4色目の黄インキの見当ずれを評価した。
◎:見当ずれはなく、良好なレベル。
〇:見当ずれがやや認められるが、実用上許容できるレベル。
△:見当ずれが認められ、用途によっては問題となるレベル。
×:見当ずれが大きく、実用上問題となるレベル。
【0049】
【表1】
Figure 0003788508

Claims (3)

  1. 顔料と接着剤を主成分とする顔料塗被層を、原紙の少なくとも片面に設けてなる印刷用塗被紙において、顔料塗被層を形成する塗被組成物に含まれる顔料の90〜100重量%が平均粒子径0.5〜4.0μmのカオリンであり、前記塗被組成物の接着剤として、ガラス転移温度(Tg)−65℃〜−25℃、平均粒子径30nm〜120nmの共重合体ラテックスを、顔料100重量部当たり12〜35重量部含有し、しかも、該塗被紙の特性として、接触時間25ミリ秒における水吸収量が10ml/m以下で、かつ該塗被紙の顔料塗被層に水を滴下して0.1秒後の接触角が75度以下であり、さらに、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載の王研式透気度が10,000秒以上であることを特徴とする印刷用塗被紙。
  2. ISO8791−4に準拠して測定したパーカープリントサーフテスタによる顔料塗被層の平滑度が、0.2〜1.0μmの範囲にあって、かつこの平滑度の値(A)と、接触時間25ミリ秒における塗被紙の水吸収量の値(B)の関係が、B/A ≦12 を満足することを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗被紙。
  3. J.TAPPI紙パルプ試験方法No.27に記載の浸水伸度試験(B法)に準拠して測定した塗被紙の流れに対して直角(CD)方向の10秒後のフェンチェル浸水伸度が3.5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗被紙。
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