JP3785849B2 - 光学活性ノルボルネンアルデヒド類の製造法 - Google Patents
光学活性ノルボルネンアルデヒド類の製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラセミのノルボルネンアルデヒド類から医農薬の合成中間体として、またそれらの光学分割剤として有用な光学活性ノルボルネンアルデヒド類の製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノルボルネンアルデヒドは、従来、ディールスアルダー反応により容易にそのラセミ体の合成が行われてきており、エンド体とエキソ体の選択性に関しては多く研究がなされているが、そのほとんどがラセミ体の合成を目的としており、純粋な光学活性体を得る方法はあまり無い。ノルボルネンアルデヒドの不斉合成法には不斉配位子とチタニウム化合物の錯体をルイス酸触媒として用いる方法(Journal of Organic Chemistry, 58, 2938-2939 (1993))、不斉配位子とボラン化 合物との錯体をルイス酸触媒として用いる方法(Journal of American Chemical Society, 120, 6920-6930 (1998))などがある。また、ノルボルネンアルデヒドにオキサゾリジノン環を結合させ、誘導体であるアミド化合物として、文献記載の方法(Journal of American Chemical Society, 110, 1238-1256 (1988))により容易に得る事のできる(4S)−3−((3R,4R,5S,6S)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプテン−4−カルボニル)−4−(1−メチルエチル)−2−オキサゾリジノンから2工程でノルボルネンアルデヒドを得る方法(特願平10−130397)もある。
【0003】
目的物が安定な固体である場合には、これに不斉配位子を結合させて再結晶により精製を行う方法や、目的物がごく少量である場合にはキラルカラムクロマトグラフィを用いてこれを分離する方法も可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来法のほとんどが、高価な不斉配位子や試薬を必要としたり、複雑な反応工程や厳密な反応条件を必要とするため、大量合成には不向きである。
【0005】
また、目的物であるノルボルネンアルデヒドが液体であったり、さらに揮発性を有している場合、通常の再結晶やクロマトグラフィによる精製は困難である。さらに、これらの方法でも完全に光学活性な物は得られない場合も多い。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらラセミのノルボルネンアルデヒド類の2−エンド体を、C2対称ジオールを用いてこれらのジアステレオマーへ導き、これらジアステレオマーどうしの反応性の違いを利用することにより純度よく光学分割すると同時に、得られた光学活性ノルボルネンアルデヒドの等価体でありかつノルボルネンアルデヒドよりも安定な物性を示すアセタール体へと導いた。また、このアセタール体はそのままメソ−1,2−ジオールからの光学活性アルコール誘導体の製造方法(特願平10−130397)に用いることが可能である。
【0007】
すなわち、本発明は、
(a)下記一般式[I]および[I']で表されるラセミのノルボルネンアルデ ヒド類の2−エンド体に、一般式[II]で表される光学活性なC2対称1,2−ジオール類を作用させて、一般式[III]および[III']で表されるエンアセタ ール類のジアステレオ混合物を生成させ、これをハロゲン化剤およびアルコールもしくは水の存在下分子内ハロエーテル化し、その後、生成物を分離することにより立体選択的に一般式[III']で表されるエンアセタール類および、一般式[IV]もしくは[V]で表されるハロエーテル類を得る方法と、
(b)上記方法(a)で得られたハロエーテル類[V]に一般式[VI]で表されるメソ−1,2−ジオール類を反応させて同ハロエーテル類[V]を一般式[VII]で表されるアセタール類とし、これを脱ハロエーテル化反応により一般式[VIII]で表されるエンアセタール類に導く方法、
(c)上記方法(a)で得られたエンアセタール類[III']を、ハロゲン化剤および水の存在下分子内ハロエーテル化して、一般式[V']で表されるハロエー テル類とし、これを一般式[VI]で表されるメソ−1,2−ジオール類と作用させて一般式[VII']で表されるアセタール類とし、これを脱ハロエーテル化反応により一般式[VIII']で表されるエンアセタール類に導く方法、
を特徴とする、光学活性ノルボルネンアルデヒド類の製造法である。
【0008】
上記方法(a)は、一般式[I]および[I']
【化53】
で表されるラセミのノルボルネンアルデヒド類の2−エンド体に、一般式[II]
【化54】
で表される光学活性なC2対称1,2−ジオール類を作用させて、一般式[III ]および[III']
【化55】
で表されるエンアセタール類のジアステレオ混合物を生成させ、該混合物をハロゲン化剤およびアルコール(R2 OH)の存在下に分子内ハロエーテル化し、一般式[IV]で表されるハロエーテル類を立体選択的に生成させると共に上記エンアセタール類[III']を残存させるか、もしくは、該混合物をハロゲン化剤および水の存在下に分子内ハロエーテル化して、一般式[V]で表されるハロエーテル類を立体選択的に生成させると共に上記エンアセタール類[III']を残存させる製造方法である。
【0009】
【化56】
方法(a)の最終生成物であるハロエーテル類[IV]およびハロエーテル類[V]、ならびにその合成中間体であるエンアセタール類[III] 、およびエンアセタール類[III']、これらのエンアセタール類[III] [III']のジアステレオ混合物は、いずれも新規物質である。
【0010】
上記方法(b)は、上記方法(a)で得られたハロエーテル類[V]に、一般式[VI]
【化57】
で表されるメソ−1,2−ジオール類を作用させて、同ハロエーテル類[V]を一般式[VII]
【化58】
で表されるアセタール類とし、これを脱ハロエーテル化反応により一般式[VIII]
【化59】
で表されるエンアセタール類に導くエンアセタール類の製造方法である。
【0011】
方法(b)の合成中間体であるアセタール類[VII]は、新規化合物である。
【0012】
上記方法(c)は、上記方法(a)で得られたエンアセタール類[III']を、ハロゲン化剤および水の存在下分子内ハロエーテル化して、一般式[V']
【化60】
で表されるハロエーテル類とし、これを一般式[VI]
【化61】
で表されるメソ−1,2−ジオール類と作用させて、一般式[VII']
【化62】
で表されるアセタール類とし、これを脱ハロエーテル化反応により一般式[VIII']
【化63】
で表されるエンアセタール類に導くエンアセタール類の製造方法である。
【0013】
上記式中、Rどうし、R1 どうしおよびR3 どうしはそれぞれ同一であって、Rは水素原子もしくは低級アルキル基であり、R1 はアリール基であり、R2 は低級アルキル基であり、R3 は低級アルキル基もしくは低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル基、保護基により保護されたアミノ基、シアノ基、またはアリール基であり、Xはハロゲン原子である。
【0014】
方法(c)の合成中間体であるハロエーテル類[V']およびアセタール類[VII']は、いずれも新規化合物である。
【0015】
上記方法(a)から(c)の方法は、それぞれ下記式で示す通りである。
【0016】
【化64】
【0017】
【化65】
【0018】
【化66】
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明方法において、各基は、本明細書全体を通してつぎのように定義される。基Rどうしは同一であって、低級アルキル基である。基Rとしての低級アルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソブチル、t−ブチル、sec −ブチルなどの炭素数1〜6個の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。特にメチル基が好ましい。
【0020】
化合物中の2つの基R1 どうしは同一であって、アリール基である。アリール基としてはフェニル基、トリル基が代表例として挙げられる。
【0021】
また、化合物中の2つの基R3 どうしは同一であって、低級アルキル基もしくは低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル基、保護基により保護されたアミノ基、シアノ基、またはアリール基である。
【0022】
基R3 としての、保護基により保護されたアミノ基はベンジルオキシカルボニル基で保護されたアミノ基を意味する。基R 3 としてのアリール基としてはフェニル基、トリル基が代表例として挙げられる。基R3 としての低級アルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチルなどの炭素数1〜6個の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。基R3 としての低級アルケニル基は、ビニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタジエニル、3−メチル−2−ブテニルなどの炭素数1〜6個の直鎖または分岐鎖のアルケニル基である。
【0023】
また、基R3 としての低級アルコキシカルボニル基はメトキシカルボニル、エトキシカルボニルを意味する。基R3 としてのアリール基としてはフェニル基が代表例として挙げられる。
【0024】
Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子である。
【0025】
上記方法(a)についてさらに詳しい説明をする。
【0026】
まず、方法(a)の第1工程では、ラセミのノルボルネンアルデヒド類の2−エンド体[I][I']を、鎖状の光学活性1,2−ジオール類[II]とアセタ ール化することにより、それぞれエンアセタール類のジアステレオ混合物[III ][III']を得る。
【0027】
この反応は、通常、有機溶媒中酸触媒存在下で行われる。用いられる酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩(PPTS)、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸;トリフルオロボランエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のルイス酸;塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸が挙げられるが、なかでもPPTSが好ましい。酸触媒の添加量はノルボルネンアルデヒド1当量に対し好ましくは0.05〜0.5当量である。
【0028】
有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、なかでも芳香族系溶媒が特に好ましい。反応温度は0℃から溶媒の還流温度までであってよいが、室温が好ましい。
【0029】
続いて、方法(a)の第2工程では、第1工程で得られたエンアセタール類のジアステレオ混合物[III][III']を有機溶媒中、ハロゲン化剤と、アルコー ル(R2 OH)もしくは水との存在下、場合によってはさらに塩基の存在下、ハロエーテル化する。これにより、アルコールを用いる場合にはハロエーテル類[IV]が生成し、エンアセタール類[III']が残存する。水を用いる場合にはハロエーテル類[V]が生成し、エンアセタール類[III']が残存する。こうしてハロエーテル類[IV] もしくはハロエーテル類[V]およびエンアセタール類[III']が立体選択的に得られる。これらを蒸留あるいは再結晶、シリカゲルカラ ムクロマトグラフィ等の一般的な分離方法により分離することによりハロエーテル類[IV]もしくはハロエーテル類[V]およびエンアセタール類[III']を取得することができる。
【0030】
この反応において用いるハロゲン化剤としては、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)等が挙げられるが、なかでもNBSが好ましい。ハロゲン化剤の使用量は、エンアセタール類1当量に対し0.5当量である。
【0031】
この反応にアルコール(R2 OH)を用いる場合、R2 は低級アルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチルなどの炭素数1〜6個の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が好ましく、なかでもメタノールが特に好ましい。アルコールの使用量はエンアセタール類1当量に対し0.5当量以上であるが、5当量程度が好ましい。反応に水を用いる場合、その使用量は溶媒に対して約1%程度が好ましい。
【0032】
この反応に塩基を用いる場合、塩基としてはピリジン、ルチジン、γ−コリジン等が挙げられるが、なかでもγ−コリジンが好ましい。塩基の使用量は、エンアセタール類1当量に対し約0.5当量である。
【0033】
有機溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、なかでもニトリル系溶媒が特に好ましい。
【0034】
つぎに、上記方法(b)について詳しい説明をする。
【0035】
まず、方法(b)の第1工程では、方法(a)の第2工程で得られたハロエーテル類[V]に、メソ−1,2−ジオール類[VI]を反応させて、同ハロエーテル類[V]をアセタール類[VII]とする。
【0036】
この反応は、通常、有機溶媒中酸触媒存在下で行われる。用いられる酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩(PPTS)、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸;トリフルオロボランエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のルイス酸;塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸が挙げられるが、なかでもPPTSが好ましい。酸触媒の添加量はハロエーテル類[V]1当量に対し好ましくは0.05〜0.5当量である。
【0037】
有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、なかでも芳香族系溶媒が特に好ましい。反応温度は0℃から溶媒の還流温度までであってよいが、室温が好ましい。
【0038】
続いて、方法(b)の第2工程では、方法(b)の第1工程で得られたアセタール類[VII]を脱ハロエーテル化してエンアセタール類[VIII]に導く。
【0039】
この脱ハロエーテル化反応は、通常は、有機溶媒中、還元剤およびルイス酸触媒の存在下の還流によって還元的に行われる。
【0040】
用いられる還元剤としては亜鉛が好ましい。ルイス酸触媒としてはトリフルオロボランエーテル錯体、四塩化チタン、四塩化スズ塩化アルミニウム、臭化マグネシウムエーテル錯体、塩化ジエチルアルミニウム、臭化亜鉛、塩化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、テトラフルオロボラン亜鉛等が挙げられるが、なかでもトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛が好ましい。還元剤およびルイス酸触媒の使用量はアセタール類[VII]1当量に対し1当量以上であるが、好まし くは還元剤は約30当量、ルイス酸約10当量である。用いる溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミドが最も好ましい。
【0041】
最後に、上記方法(c)について詳しい説明をする。
【0042】
まず、方法(c)の第1工程では、方法(a)の第2工程で得られたエンアセタール類[III']を分子内ハロエーテル化反応によりハロエーテル類[V']と する。
【0043】
この反応は、通常は、有機溶媒中ハロゲン化剤および水の存在下に行われる。
【0044】
用いられるハロゲン化剤としては、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−クロロコハク酸イミド(NCS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)等が挙げられるが、なかでもNBSが好ましい。ハロゲン化剤の使用量は、エンアセタール類[III']1当量に対し約1.2当量が好ましい。反応に用いる水の量は溶媒に対して5%程度が好ましい。
【0045】
有機溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、なかでもニトリル系溶媒が特に好ましい。
【0046】
続いて、方法(c)の第2工程では、方法(c)の第1工程で得られたハロエーテル類[V']をメソ−1,2−ジオール類[VI]とアセタール化反応するこ とにより、アセタール類[VII']を得る。
【0047】
この反応は、通常、有機溶媒中酸触媒存在下で行われる。この反応で用いられる酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩(PPTS)、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸;トリフルオロボランエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のルイス酸;塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸が挙げられるが、なかでもPPTSが好ましい。酸触媒の添加量はハロエーテル類1当量に対し好ましくは0.05〜0.5当量である。
【0048】
有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、なかでも芳香族系溶媒が特に好ましい。反応温度は0 ℃から溶媒の還流温度までであってよいが、室温が好ましい。
【0049】
最後に、方法(c)の第3工程では、方法(c)の第2工程で得られたアセタール類[VII']を脱ハロエーテル化してエンアセタール類[VIII']に導く。
【0050】
この脱ハロエーテル化反応は、通常は、有機溶媒中、還元剤およびルイス酸触媒の存在下の還流によって還元的に行われる。この反応に用いられる還元剤としては亜鉛が好ましい。ルイス酸触媒としてはトリフルオロボランエーテル錯体、四塩化チタン、四塩化スズ塩化アルミニウム、臭化マグネシウムエーテル錯体、塩化ジエチルアルミニウム、臭化亜鉛、塩化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、テトラフルオロボラン亜鉛等が挙げられるが、なかでもトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛が好ましい。還元剤およびルイス酸触媒の使用量はアセタール類[VII']1当量に対し1当量以上であるが、好ましくは還元剤は約30当量、ルイス酸約10当量である。用いられる溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミドが最も好ましい。
【0051】
このようにして、本発明による方法は、ノルボルネンアルデヒド類を光学分割することを可能にする。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬や農薬等の各種の化学製品の中間体および光学分割補助剤として有用な光学活性ノルボルネンアルデヒド類をきわめて高収率、高エナンチオ選択的に得る事ができる。特に本方法は、特殊なキラルリガンドも必要なく、複雑な反応機構も無いことから、工業的にも有用な方法である。また、本方法は揮発性の高いノルボルネンアルデヒドを単離すること無くメソ−1,2−ジオールの光学分割法へ移行できることから、光学活性アルコールの合成においても有用である。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
下記実施例において、工程i)はラセミ体エンアルデヒド[I]および[I' ]のアセタール化反応によるエンアセタール類[III]および[III']の合成法 、工程ii)はエンアセタール類[III]および[III']のアルコール存在下での ハロエーテル化反応によるハロエーテル類[IV]およびエンアセタール類[III']の合成および単離法、工程iii)はエンアセタール類[III]および[III']の水存在下でのハロエーテル化反応によるハロエーテル類[V]およびエンアセタール類[III']の合成および単離法、工程iv)はハロエーテル類[V]とメソ−1,2−ジオール類[VI]とのアセタール化によるアセタール類[VII]の合成 法、工程v)はアセタール類[VII]の脱ハロエーテル化反応によるエンアセタ ール類[VIII]の合成法、工程vi)はエンアセタール類[III']のハロエーテル化反応によるハロエーテル類[V']の合成法、工程vii)はハロエーテル類[V']とメソ−1,2−ジオール類[VI]とのアセタール化反応によるアセタール 類[VII']の合成法、工程viii)はアセタール類[VII']の脱ハロエーテル化反応によるエンアセタール類[VIII']の合成反応にそれぞれ対応する。
【0055】
実施例1
3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキサルデヒドの光学 分割
工程i)
(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1S,2S,3R,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランおよび(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン混合物の合成
【化67】
【0056】
窒素雰囲気下、(1S,2S,3R,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキサルデヒドおよび(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボキサルデヒドの混合物(578mg,4.24mmol)のベンゼン溶液(42ml)に、(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2 −エタンジオール(909mg,4.24mmol)を加え、さらに触媒量のp−トルエンスルホン酸ピリジン塩(PPTS)を加えて、全体を室温で12時間撹拌した。その後、反応液に重曹水を加え、同液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。
【0057】
得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1S,2S,3R,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランおよ び(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランのジアステレオ混 合物(1.38g,4.15mmol)を得た。
【0058】
無色油状化合物
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.37-7.18, 6.28, 6.14, 6.07, 4.90, 4.71, 3.04, 2.47, 1.92, 1.61-1.44, 1.27-1.19
【0059】
工程ii)
(1S,2S,3S,5S,6S,8S,9S,10R,12S)−2−ブロモ−8−メトキシ−12−メチル−5,6−ジフェニル−4,7−ジオキサトリシクロ[7.2.1.03,10]ドデカンおよ び(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランの合成
【化68】
【0060】
窒素雰囲気下、(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1S,2S,3R,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランお よび(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランのジアステレオ 混合物(202mg,0.608mmol)のアセトニトリル溶液(6.1ml)に、メタノール(0.12ml,2.96mmol)およびγ−コリジン(2,4,6−トリメチルピリジン,0.04ml,0.303mmol)を加え、全体を−40℃に冷却した。その溶液にN−ブロモコハク酸イミド(NBS,54mg,0.303mmol)を加えて、全体を撹拌しながら室温にまで徐々に昇温させた。
【0061】
TLCで反応終了を確認した後、反応液にハイポ水(飽和チオ硫酸水溶液)を加え、同液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)で精製し、(1S,2S,3S,5S,6S,8S,9S,10R,12S)−2−ブロモ−8−メトキシ−12−メチル−5,6−ジフェニル−4,7−ジオキサトリシクロ[7.2.1.03,10]ドデカン(93.3mg,0.210m mol)および(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン(1 02.8mg,0.310mmol,ジアステレオマー過剰率99%以上)を得た。
【0062】
(1S,2S,3S,5S,6S,8S,9S,10R,12S)−2−ブロモ−8−メトキシ−12−メチル−5,6−ジフェニル−4,7−ジオキサトリシクロ[7.2.1.03,10]ドデカン
白色固体
【0063】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.16-6.86(10H,m), 5.19(1H,d), 4.45(1H,t), 4.42(1H,d), 4.34(1H,d), 3.85(1H,t), 3.28(3H,s), 3.00(1H,bs), 2.22(1H,bs), 1.94-1.90(2H,m), 1.71-1.59(2H,m), 1.10(3H,d)
【0064】
13C−NMRδ(CDCl3 ):138.25, 137.87, 127.77, 127.67, 127.55, 127.47, 127.35, 127.13, 110.10, 91.51, 88.35, 86.73, 57.85, 54.89, 54.36, 52.94, 45.36, 41.40, 32.08, 21.39
【0065】
(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン
【0066】
無色油状化合物
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.35-7.18(10H,m), 6.27(1H,dd), 6.07(1H,dd), 4.90(1H,d), 4.70(2H,m), 3.04(1H,bs), 2.46(1H,bs), 1.91(1H,m), 1.61-1.44(3H,m), 1.20(3H,d)
【0067】
13C−NMRδ(CDCl3 ):138.59, 138.19, 137.20, 133.04, 128.40, 128.37, 128.21, 127.88, 126.70, 126.30, 109.64, 86.63, 64.72, 52.99, 48.80, 46.15, 44.71, 36.38, 21.64
【0068】
工程iii)
(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−5−ブロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オキシ−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルバ ルデヒドおよび(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランの合 成
【化69】
【0069】
窒素雰囲気下、(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1S,2S,3R,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランお よび(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランのジアステレオ 混合物(203mg,0.61mmol)の1%含水アセトニトリル溶液(6.1ml)に、N−ブロモコハク酸イミド(NBS,54mg,0.305mmol)を加えて、全体を室温で6時間撹拌した。
【0070】
TLCで反応終了を確認した後、反応液にハイポ水(飽和チオ硫酸水溶液)を加え、同液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−5−ブ ロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オキシ− 3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルバルデヒド(115.6mg, 0.27mmol)および(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキ ソラン(102.2mg,0.31mmol,ジアステレオマー過剰率95%)を得た。
【0071】
(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−5−ブロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オキシ−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルバ ルデヒド
無色油状化合物
【0072】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):10.02(1H,s), 7.24-6.96(10H,m), 4.65(1H,d), 4.34(1H,d), 4.31(1H,d), 3.36(1H,t), 3.10-2.75(2H,m), 2.19-2.18(2H,m), 2.08(1H,s), 1.86(1H,dd), 1.65-1.60(1H,m), 1.04(3H,d)
【0073】
13C−NMRδ(CDCl3 ):202.25, 138.83, 137.71, 128.19, 128.11, 127.99, 1 27.85, 127.72, 126.93, 91.25, 89.06, 78.36, 59.98, 55.91, 52.80, 45.97, 35.15, 32.32, 21.24.
【0074】
(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン
無色油状化合物
【0075】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.35-7.18(10H,m), 6.27(1H,dd), 6.07(1H,dd), 4.90(1H,d), 4.70(2H,m), 3.04(1H,bs), 2.46(1H,bs), 1.91(1H,m),1.61-1.44(3H,m), 1.20(3H,d)
【0076】
13C−NMRδ(CDCl3 ):138.59, 138.19, 137.20, 133.04, 128.40, 128.37, 128.21, 127.88, 126.70, 126.30, 109.64, 86.63, 64.72, 52.99, 48.80, 46.15, 44.71, 36.38, 21.64
【0077】
工程iv)
(1S,2S)−2−[(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノールの合成
【化70】
【0078】
窒素雰囲気下、(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−5−ブロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オキシ−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプ タン−2−カルバルデヒド(91mg,0.211mmol)のベンゼン溶液(2.1ml)に、(2R,3S)−ブタンジオール(19mg,0.211mmol)を加え、さらに触媒量のPPTSを加えて、全体を室温で12時間撹拌した。
【0079】
その後、反応液に重曹水を加え、同液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、(1S,2S)−2−[(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノール(92mg,0.18mmol)を得た。
【0080】
(1S,2S)−2−[(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノール
無色油状化合物
【0081】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.18-6.97(10H,m), 5.39-5.34(2H,m), 4.64(1H,d), 4.26−4.15(4H,m), 3.45(1H,t), 2.76(1H,bs), 2.05(1H,bs), 1.71−1.48(4H,m), 1.17(6H,t), 1.08(3H,d)
【0082】
13C−NMRδ(CDCl3 ):139.10, 138.31, 127.76, 127.69, 127.52, 127.22, 127.03, 105.31, 92.79, 91.15, 78.58, 74.77, 74.26, 58.05, 54.06, 53.78, 45.19, 39.72, 32.03, 21.00, 15.78, 15.26
【0083】
工程v)
c−4,c−5−ジメチル−r−2−[(1S,2S,3R,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランの合 成
【化71】
【0084】
窒素雰囲気下、(1S,2S)−2−[(1R,2S,3S,4S,5S,6S)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノ ール(11.7mg,0.0233mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド 溶液(0.2ml)に、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(85mg,0.234mmol)を加え、全体を40℃に加熱し50分間撹拌した後、ここへ亜鉛末(46mg,0.70mmol)を加えて全体を85℃で10時間撹拌した。
【0085】
TLCで反応終了を確認した後、酢酸エチルを加え、析出してきた塩と亜鉛を濾別した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)で精製し、c−4,c−5−ジメチル−r−2−[(1S,2S,3R,4R) −3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキ ソラン(3.6mg,0.0173mmol)および(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール(3.9mg,0.0182mmol)を得た。
【0086】
c−4,c−5−ジメチル−r−2−[(1S,2S,3R,4R)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン
無色油状化合物
【0087】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):6.19(1H,dd), 6.00(1H,dd), 4.25(1H,d), 4.05(2H,qd), 2.90(1H,bs), 2.39(1H,bs), 1.59-1.26(4H,m), 1.17-1.14(6H,m), 1.12(3H,d)
【0088】
13C−NMRδ(CDCl3 ):138.17, 133.05, 107.08, 74.39, 74.29, 53.44, 48.63, 46.00, 44.69, 36.37, 21.40, 15.73, 15.46
【0089】
(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール
白色固体
【0090】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.25-7.10(10H,m), 4.70(2H,s), 2.91(2H,s)
【0091】
工程vi)
(1S,2R,3R,4R,5R,6R)−5−ブロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オキシ−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルバ ルデヒドの合成
【化72】
【0092】
窒素雰囲気下、(4S,5S)−4,5−ジフェニル−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン( 23.7mg,0.071mmol)の5%含水アセトニトリル溶液(0.7ml)に、N−ブロモコハク酸イミド(NBS,15.2mg,0.085mmol)を加えて、全体を室温で下で6時間撹拌した。
【0093】
TLCで反応終了を確認した後、反応液にハイポ水(飽和チオ硫酸水溶液)を加え、同液をジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、(1S,2R,3R,4R,5R,6R)− 5−ブロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オ キシ−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルバルデヒド(19mg, 0.044mmol)を得た。
【0094】
(1S,2R,3R,4R,5R,6R)−5−ブロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オキシ−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルバ ルデヒド
無色油状化合物
【0095】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):10.00(1H,s), 7.25-6.95(10H,m), 4.59(1H,dd), 4.41(1H,d), 4.08(1H,d), 3.88(1H,bs), 3.07(1H,d), 2.93(1H,bs), 2.46(1H,m), 2.26-2.23(2H,m), 1.88(1H,d), 1.66(1H,d), 1.07(3H,d)
【0096】
13C−NMRδ(CDCl3 ):202.77, 138.53, 136.45, 128.18, 128.12, 127.96, 127.80, 127.68, 127.49, 126.96, 86.66, 86.21, 78.00, 60.73, 55.28, 52.72, 45.72, 33.94, 32.88, 21.14
【0097】
工程vii)
(1S,2S)−2−[(1S,2R,3R,4R,5R,6R)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノールの合成
【化73】
【0098】
窒素雰囲気下、(1S,2R,3R,4R,5R,6R)−5−ブロモ−6−[(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]オキシ−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプ タン−2−カルバルデヒド(22.5mg,0.052mmol)のベンゼン溶液(0.5ml)に、(2R,3S)−ブタンジオール(7.1mg,0.079mmol)を加え、さらに触媒量のPPTSを加えて、全体を室温で12時間撹拌した。その後、反応液に重曹水を加え、同液を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、(1S,2S)−2−[(1S,2R,3R,4R,5R,6R)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノール(23.3m g,0.046mmol)を得た。
【0099】
(1S,2S)−2−[(1S,2R,3R,4R,5R,6R)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノール
無色油状化合物
【0100】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.21-7.05(10H,m), 5.40-5.39(2H,m), 4.58(2H,s), 4.16-4.01(3H,m), 3.88(1H,t), 2.39(1H,bs), 2.14-2.11(2H,m), 1.88(1H,m), 1.69(1H,dd), 1.52(1H,d), 1.21-1.17(6H, m), 1.04(3H,d)
【0101】
13C−NMRδ(CDCl3 ):139.55, 137.20, 128.09, 127.96, 127.93, 127.83, 127.50, 127.16, 103.87, 87.32, 85.89, 78.46, 74.91, 73.74, 56.61, 53.90, 51.81, 45.96, 35.59, 32.61, 21.80, 15.85, 15.01
【0102】
工程viii)
c −4,c −5−ジメチル−r−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソランの合成
【化74】
【0103】
窒素雰囲気下、(1S,2S)−2−[(1S,2R,3R,4R,5R,6R)−3−ブロモ−6−(c−4,c−5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−r−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルオキシ]−1,2−ジフェニル−1−エタノ ール(5.0mg,0.010mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(0.1ml)に、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(36mg,0.10mmol)を加え、全体を40℃に加熱し50分間撹拌した後、ここへ亜鉛末(26mg,0.40mmol)を加えて、さらに全体を85℃で10時間撹拌した。
【0104】
TLCで反応終了を確認した後、反応液に酢酸エチルを加え、析出してきた塩と亜鉛を濾別した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)で精製し、c−4,c−5−ジメチル−r−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン(1.1mg,0.0053mmol)および(1S,2S)−1,2− ジフェニル−1,2−エタンジオール(1.1mg,0.0051mmol)を得た。
【0105】
c−4,c−5−ジメチル−r−2−[(1R,2R,3S,4S)−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル]−1,3−ジオキソラン
無色油状化合物
【0106】
1 H−NMRδ(CDCl3 ):6.19(1H,dd), 6.00(1H,dd), 4.25(1H,d), 4.05(2H,qd), 2.90(1H,bs), 2.39(1H,bs), 1.59−1.26(4H,m), 1.17−1.14(6H,m), 1.12(3H,d)
【0107】
13C−NMRδ(CDCl3 ):138.17, 133.05, 107.08, 74.39, 74.29, 53.44, 48.63, 46.00, 44.69, 36.37, 21.40, 15.73, 15.46
【0108】
(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオール
白色固体
1 H−NMRδ(CDCl3 ):7.25−7.10(10H,m), 4.70(2H,s), 2.91(2H,s)
Claims (19)
- 一般式[I]および[I']
- 一般式[III]および[III']
- 一般式[V]
(式中、R1 どうしおよびR3 どうしはそれぞれ同一であって、Rは水素原子もしくは低級アルキル基であり、R1 はアリール基であり、R3 は低級アルキル基もしくは低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル基、保護基により保護されたアミノ基、シアノ基、またはアリール基であり、Xはハロゲン原子である。) - 一般式[III']
(式中、R1 どうしおよびR3 どうしはそれぞれ同一であって、Rは水素原子もしくは低級アルキル基であり、R1 はアリール基であり、R3 は低級アルキル基もしくは低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル基、保護基により保護されたアミノ基、シアノ基、またはアリール基であり、Xはハロゲン原子である。) - 一般式[I]および[I']
(式中、Rどうし、R1 どうしおよびR3 どうしはそれぞれ同一であって、Rは水素原子もしくは低級アルキル基であり、R1 はアリール基であり、R3 は低級アルキル基もしくは低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル基、保護基により保護されたアミノ基、シアノ基、またはアリール基であり、Xはハロゲン原子である。) - 一般式[I]および[I']
(式中、Rどうし、R1 どうしおよびR3 どうしはそれぞれ同一であって、Rは水素原子もしくは低級アルキル基であり、R1 はアリール基であり、R2 は低級アルキル基であり、R3 は低級アルキル基もしくは低級アルケニル基、低級アルコキシカルボニル基、保護基により保護されたアミノ基、シアノ基、またはアリール基であり、Xはハロゲン原子である。)
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