JP3783698B2 - 高周波装置に用いられる集積回路 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、調整要素を有する高周波装置に用いられる集積回路に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
以下、従来の高周波装置について説明する。従来の高周波装置は図８に示すように、高周波信号が入力される入力端子１と、この入力端子１に接続されたバンドパスフィルタ２と、このバンドパスフィルタ２の出力に接続された不平衡・平衡変換器３と、この不平衡・平衡変換器３の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には電圧制御発振器４の出力がバッファ５を介して接続された平衡混合器６と、この平衡混合器６の両出力間に接続された中間周波フィルタ７と、この中間周波フィルタ７に接続された平衡・不平衡変換器８と、この平衡・不平衡変換器８の出力に接続された出力端子９と、前記電圧制御発振器４に接続されるとともにその発振周波数を制御する公知のＰＬＬ回路１０と、このＰＬＬ回路１０に局部発振周波数指定データを与えるデータ入力端子１１とを有する構成となっていた。また、この高周波装置を調整するために前記中間周波数フィルタ７の両端に夫々テスト端子１２と１３とが設けられていた。
【０００３】
以上のように構成された高周波装置について以下にその動作を説明する。入力端子１から入力された高周波信号はバンドパスフィルタ２を通過する。このバンドパスフィルタ２を通過した信号は、データ入力端子１１から入力された信号に従ってＰＬＬ回路１０で決定された電圧制御発振器４の出力信号と平衡混合器６で混合され、その和または差の周波数が平衡出力される。すなわち、入力端子１から入力された高周波信号は、データ入力端子１１から入力されたデータ信号に基づいて選局される訳である。この平衡混合器６の出力は中間周波フィルタ７を通過することにより５４．２５ＭＨｚ〜５８．７５ＭＨｚの周波数帯に選択され次の平衡・不平衡変換器８で不平衡出力となって出力端子９から出力されるものである。
【０００４】
ここで、バンドパスフィルタ２は、高周波フィルタであり、インダクタンスとキャパシタンスとで構成され図９（ａ）の特性４１に示すような通過特性を有するものであり、このような特性を有するように波形調整される。また、中間周波フィルタ７もインダクタンス１４とキャパシタンス１５との並列回路で構成され図９（ｂ）の特性４２に示すような通過特性を有するものであり、このような特性を有するように波形調整される。しかし、バンドパスフィルタ２と中間周波フィルタ７は直列に接続されているので、出力端子９から出力される出力波形は、図９（ｃ）の特性４３に示すような合成波形となり、この合成波形４３を観測しながらバンドパスフィルタ２を調整、即ち、図９（ａ）の特性４１に示すようにするには、中間周波フィルタ７の影響が出てしまいバンドパスフィルタ２の調整が困難であった。そこで、中間周波フィルタ７の両端１２と１３とをダンピング抵抗１６を有する接触ピン１７で短絡してダンピングし、中間周波フィルタ７の影響を除去した後、出力端子９から出力される出力波形を観測しながら前記バンドパスフィルタ２の調整を行っていた。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の構成では、接触ピン１７の長さやダンピング抵抗１６のバラツキ或いは接触ピン１７の接触抵抗等により、中間周波フィルタ７の影響が除去されきれず、結論として、調整素子であるバンドパスフィルタの調整誤差が生ずるものであった。
【０００６】
また、調整素子である中間周波フィルタ７においても同様に、バンドパスフィルタ２の影響のため中間周波フィルタ７の正確な調整ができなかった。
【０００７】
この発明は、このような問題点を解決するもので、複数の調整素子を有する高周波装置において、夫々の調整素子の調整誤差を少なくした高周波装置に用いられる集積回路を提供することを目的としたものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の高周波装置に用いられる集積回路は、高周波フィルタを介して一方の入力に供給されるとともに、他方の入力には局部発振器の出力信号が供給される混合器と、この混合器の出力信号が接続されるとともに中間周波フィルタが接続される第１、第２の中間周波フィルタ用端子と、これらの第１、第２の中間周波フィルタ用端子に接続される中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力信号が供給される出力端子と、前記局部発振器にループ接続されたＰＬＬ回路と、このＰＬＬ回路にデータを供給するデータ入力端子とを備え、前記混合器に平衡混合器を用い、この平衡混合器の出力間に前記中間周波フィルタを接続するための第１、第２の中間周波フィルタ用端子を設け、この第１、第２の中間周波フィルタ用端子間に、ダンピング抵抗を介して直列に電子スイッチを接続し、制御端子により前記電子スイッチを短絡することにより前記中間周波フィルタの通過特性を略平坦にするものである。
【０００９】
これにより、高周波フィルタの調整素子の調整誤差を少なくすることができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、高周波信号が高周波フィルタを介して一方の入力に供給されるとともに、他方の入力には局部発振器の出力信号が供給される混合器と、この混合器の出力信号が接続されるとともに第１、第２の中間周波数フィルタが接続される中間周波フィルタ用端子と、これらの第１、第２の中間周波フィルタ用端子に接続される中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力信号が供給される出力端子と、前記局部発振器にループ接続されたＰＬＬ回路と、このＰＬＬ回路にデータを供給するデータ入力端子とを備え、前記混合器に平衡混合器を用い、この平衡混合器の出力間に前記中間周波フィルタを接続するための第１、第２の中間周波フィルタ用端子を設け、この第１、第２の中間周波フィルタ用端子間に、ダンピング抵抗を介して直列に電子スイッチを接続し、制御端子により前記電子スイッチを短絡することにより前記中間周波フィルタの通過特性を略平坦にする高周波装置に用いられる集積回路であり、バンドパスフィルタには１セグメントのバンド幅を通過させるＳＡＷフィルタを用い、このＳＡＷフィルタの前後の少なくとも一方とグランド間にインダクタとコンデンサの直列回路で形成されるとともに隣接チャンネルから受ける妨害を除去するトラップフィルタを設けて通過帯域幅を狭くしているので、次段以降へ伝達される信号エネルギーは少なくなる。従って、歪みを低減することができる。また、次段以降への信号のパワーは少なくなるので、その分省電力化が図れる。従って、携帯機器等に使用すれば電池寿命を長くすることができる。
【００１１】
また、集積回路内に電子スイッチを設けているので、従来の接触ピンのように接触ピンの長さや接触抵抗等による不確定要素を含まず、調整素子の調整誤差の少ない高周波装置に用いられる集積回路を提供することができる。
【００１２】
更に、接触ピンを使う必要がないので、生産設備の簡略化が可能になるとともに、生産設備の低価格化が図れる。
【００１３】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【００１４】
（前程例１）
図１において、本発明の前程例となる高周波装置は、入力端子２１と、この入力端子２１に接続されたバンドパスフィルタ２２（高周波フィルタの一例として用いた）と、このバンドパスフィルタ２２の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には局部発振器２３の出力が接続された混合器２４と、この混合器２４の出力が接続された中間周波フィルタ２５と、この中間周波フィルタ２５の出力が接続された中間周波増幅器２６と、この中間周波増幅器２６の出力が接続された出力端子２７と、前記局部発振器２３にループ接続されたＰＬＬ回路２８と、このＰＬＬ回路２８に接続されたデータ入力端子２９と、前記中間周波フィルタ２５の近傍に配置されるとともにこの中間周波フィルタ２５の両端に接続された電子スイッチ３０と、この電子スイッチ３０の短絡或いは開放を制御する制御端子３１とを有したものである。
【００１５】
以上のように構成された高周波装置について以下にその動作を説明する。入力端子２１から入力された高周波信号はバンドパスフィルタ２２を通過する。このバンドパスフィルタ２２を通過した信号は、データ入力端子２９から入力された信号に従ってＰＬＬ回路２８で決定された局部発振器２３の出力信号と混合器２４で混合され、その和または差の周波数が出力される。すなわち、入力端子２１から入力された高周波信号は、データ入力端子２９から入力されたデータ信号に基づいて選局される訳である。この混合器２４の出力は中間周波フィルタ２５を通過することにより５４．２５ＭＨｚ〜５８．７５ＭＨｚの周波数帯に選択され次の中間周波増幅器２６で増幅されて出力端子２７から出力されるものである。
【００１６】
ここで、バンドパスフィルタ２２と中間周波フィルタ２５は、インダクタンスとキャパシタンスとで構成され夫々図９（ａ）の特性４１、或いは図９（ｂ）の特性４２に示すような通過特性を有するものである。従って、このような特性を有するように波形調整される。即ち、電子スイッチ３０を制御端子３１からの信号で短絡することにより、中間周波フィルタ２５の特性を４２ａに示すように平坦にさせて、バンドパスフィルタ２２の出力波形がそのまま通過特性４１になるように出力端子２７から観測しながらバンドパスフィルタ２２を調整する訳である。この調整が終了したら電子スイッチ３０は開放にしておく。このように、中間周波フィルタ２５の近傍に電子スイッチ３０を設けているので、従来の接続ピンのように不確定要素を含まず、バンドパスフィルタ２２の調整誤差の少ない高周波装置が提供できる。
【００１７】
（実施の形態１）
図２は実施の形態１における高周波装置のブロック図である。本実施の形態１における高周波装置は図２に示すように、高周波信号が入力される入力端子５１と、この入力端子５１に接続された広帯域のバンドパスフィルタ５２と、このバンドパスフィルタ５２の出力に接続された高周波増幅器５３と、この高周波増幅器５３の出力に接続された狭帯域のバンドパスフィルタ５４と、このバンドパスフィルタ５４の出力に接続された不平衡・平衡変換器５５と、この不平衡・平衡変換器５５の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には局部発振器５６の出力がバッファ５７を介して接続された平衡混合器５８と、この平衡混合器５８の両出力端子間に中間周波フィルタ用端子を介して接続された中間周波フィルタ５９と、この中間周波フィルタ５９を介して接続された平衡・不平衡変換器６０と、この平衡・不平衡変換器６０の出力に接続された出力端子６１と、前記局部発振器５６に接続されるとともにその発振周波数を制御する公知のＰＬＬ回路６２と、このＰＬＬ回路６２に局部発振周波数指定データを与えるデータ入力端子６３と、前記中間周波フィルタ５９の両端にダンピング抵抗６４（略５０オーム）を介して直列に電子スイッチ６５が接続されている。また、６６はこの電子スイッチ６５の制御端子である。
【００１８】
そして、不平衡・平衡変換器５５と局部発振器５６とバッファ５７と平衡混合器５８と平衡・不平衡変換器６０とダンピング抵抗６４と電子スイッチ６５とは第１の集積回路６７内に収納されている。また、ＰＬＬ回路６２は第２の集積回路６８内に収納されている。
【００１９】
図３は、ダンピング抵抗６４と電子スイッチ６５の回路図である。ここで、端子６９と７０は、前記中間周波フィルタ５９の両端に接続される。また、ダンピング抵抗６４は２分割された抵抗６４ａと６４ｂとで構成される。７１ａと７１ｂはダイオードであり、カソード側が共通に接続されており、この接続点とグランドとの間がトランジスタ７２で接続されている。また、６６は制御端子であり、抵抗７３を介してトランジスタ７２のベースに接続されている。７４はベース抵抗である。
【００２０】
以上のように構成された高周波装置について以下にその動作を説明する。入力端子５１から入力された高周波信号はバンドパスフィルタ５２を通過した後、高周波増幅器５３で増幅され、その後バンドパスフィルタ５４を通過する。このバンドパスフィルタ５４を通過した信号は、データ入力端子６３から入力された信号に従って、ＰＬＬ回路６２で決定された局部発振器５６の出力信号と平衡混合器５８で混合され、その和または差の周波数が出力される。すなわち、入力端子５１から入力された高周波信号は、データ入力端子６３から入力されたデータ信号に基づいて選局される訳である。この平衡混合器５８の出力は中間周波フィルタ５９を通過することにより５４．２５ＭＨｚ〜５８．７５ＭＨｚの周波数帯に選択され、次の平衡・不平衡変換器６０で不平衡出力に変換されて出力端子６１から出力されるものである。
【００２１】
ここで、バンドパスフィルタ５２と５４は共に高周波フィルタであり、インダクタンスとキャパシタンスの並列回路で構成され、夫々図４（ａ）の特性４４、図４（ｂ）の特性４５に示すような通過特性を有するものであり、このような特性を有するように波形調整される。また、中間周波フィルタ５９もインダクタンス７５（略１マイクロヘンリー）とキャパシタンス７６（略８ＰＦ）の並列接続で構成され、図４（ｃ）の特性４６に示すような通過特性を有するものである。従って、このような特性を有するように波形調整される。即ち、制御端子６６をハイレベルにすることにより、トランジスタ７２とダイオード７１ａとダイオード７１ｂがオンして、中間周波フィルタ５９の両端がダンピング抵抗６４ａと６４ｂでダンピングさせる。このようにして、中間周波フィルタ５９の影響をほとんど無視できる程度、即ち図９（ｂ）の特性４２ｂに示すように小さくして、バンドパスフィルタ５２と５４の調整を行う。
【００２２】
（実施の形態２）
図５は、本発明の実施の形態２である。実施の形態１と異なるところは、実施の形態１における第１の集積回路６７と第２の集積回路６８とを一つの集積回路８０に集積したことである。このことにより、電子スイッチ６５の制御信号のための信号をデータ制御端子６３から得られるので、集積回路８０に電子スイッチ６５の制御端子６６を特別に設ける必要がない。また、電子スイッチ６５の制御は、データ入力端子６３からの信号で行うことができるので、検査用の接触ピンが不要となり、接触ピンによる接触不良がなくなる。更に、接触ピンが不要になることから、検査治具が小型化できるとともに低価格化を図ることができる。
【００２３】
（実施の形態３）
図６は、本発明の実施の形態３である。実施の形態３は、電子スイッチ８１の近傍に調整素子８２との並列接続体を入力８３と出力８４との間にバッファ８５を介して３個直列接続し、前記電子スイッチ８１の短絡或いは開放を制御端子８６からの信号で外部から制御する高周波装置であり、一つの調整素子８２に並列接続された電子スイッチ８１のみ開放にして他の調整素子８２ａと８２ｂに並列接続された電子スイッチ８１ａと８１ｂを短絡することにより、調整素子８２を調整することができる。また、この操作を順次実行することにより、他の調整素子８２ａと８２ｂの調整ができる。なお、少なくとも電子スイッチ８１，８１ａ，８１ｂとバッファ８５，８５ａは一つの集積回路に集積することができる。
【００２４】
（実施の形態４）
図７は、本発明の実施の形態４である。実施の形態４は、電子スイッチ９１の近傍に調整素子９２との直列接続体を入力９３と出力９４との間に３個並列接続し、前記電子スイッチ９１の短絡或いは開放を制御端子９５からの信号で外部から制御する高周波装置であり、一つの調整素子９２に直列接続された電子スイッチ９１のみ短絡して他の調整素子９２ａと９２ｂに直列接続された電子スイッチ９１ａと９１ｂを全て開放することにより、調整素子９２を調整することができる。また、この操作を順次実行することにより、他の調整素子９２ａと９２ｂの調整ができる。なお、少なくとも電子スイッチ９１，９１ａ，９１ｂは一つの集積回路に集積することができる。
【００２５】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、混合器に平衡混合器を用い、この平衡混合器の出力間に前記中間周波フィルタを接続するための前記第１、第２の中間周波フィルタ用端子を設け、この第１、第２の中間周波フィルタ用端子間に、ダンピング抵抗を介して直列に電子スイッチを接続し、制御端子により前記電子スイッチを短絡することにより前記中間周波フィルタの通過特性を略平坦にするものであり、混合器に平衡混合器を用いているので、外部ノイズに対して優れているとともに集積回路に適したものである。
【００２６】
また、この平衡混合器の出力間にダンピング抵抗を介して短絡することにより、中間周波フィルタの影響を少なくして、高周波フィルタの調整を行うことができるので、高周波フィルタの調整誤差の少ない高周波装置に用いられる集積回路を提供することができる。
【００２７】
また、集積回路内に電子スイッチを設けているので、従来の接触ピンのように接触ピンの長さや接触抵抗等による不確定要素を含まず、調整素子の調整誤差の少なくできる。
【００２８】
更に、接触ピンを使う必要がないので、生産設備の簡略化が可能になるとともに、生産設備の低価格化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の前程例となる高周波装置のブロック図
【図２】 本発明の実施の形態１における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図３】 同、要部回路図
【図４】 （ａ）は、同、要部回路である広帯域バンドパスフィルタの特性曲線図
（ｂ）は、同、要部回路である狭帯域バンドパスフィルタの特性曲線図
（ｃ）は、同、要部回路である中間周波フィルタの特性曲線図
【図５】 本発明の実施の形態２における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図６】 本発明の実施の形態３における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図７】 本発明の実施の形態４における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図８】 従来の集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図９】 （ａ）は、同、要部回路であるバンドパスフィルタの特性曲線図
（ｂ）は、同、要部回路である中間周波フィルタの特性曲線図
（ｃ）は、同、合成出力波形の特性曲線図
【符号の説明】
５４ 高周波フィルタ
５５ 混合器
５６ 局部発振器
５９ 中間周波フィルタ
６２ ＰＬＬ回路
６３ データ入力端子
６５ 電子スイッチ
８０ 集積回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、調整要素を有する高周波装置に用いられる集積回路に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
以下、従来の高周波装置について説明する。従来の高周波装置は図８に示すように、高周波信号が入力される入力端子１と、この入力端子１に接続されたバンドパスフィルタ２と、このバンドパスフィルタ２の出力に接続された不平衡・平衡変換器３と、この不平衡・平衡変換器３の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には電圧制御発振器４の出力がバッファ５を介して接続された平衡混合器６と、この平衡混合器６の両出力間に接続された中間周波フィルタ７と、この中間周波フィルタ７に接続された平衡・不平衡変換器８と、この平衡・不平衡変換器８の出力に接続された出力端子９と、前記電圧制御発振器４に接続されるとともにその発振周波数を制御する公知のＰＬＬ回路１０と、このＰＬＬ回路１０に局部発振周波数指定データを与えるデータ入力端子１１とを有する構成となっていた。また、この高周波装置を調整するために前記中間周波数フィルタ７の両端に夫々テスト端子１２と１３とが設けられていた。
【０００３】
以上のように構成された高周波装置について以下にその動作を説明する。入力端子１から入力された高周波信号はバンドパスフィルタ２を通過する。このバンドパスフィルタ２を通過した信号は、データ入力端子１１から入力された信号に従ってＰＬＬ回路１０で決定された電圧制御発振器４の出力信号と平衡混合器６で混合され、その和または差の周波数が平衡出力される。すなわち、入力端子１から入力された高周波信号は、データ入力端子１１から入力されたデータ信号に基づいて選局される訳である。この平衡混合器６の出力は中間周波フィルタ７を通過することにより５４．２５ＭＨｚ〜５８．７５ＭＨｚの周波数帯に選択され次の平衡・不平衡変換器８で不平衡出力となって出力端子９から出力されるものである。
【０００４】
ここで、バンドパスフィルタ２は、高周波フィルタであり、インダクタンスとキャパシタンスとで構成され図９（ａ）の特性４１に示すような通過特性を有するものであり、このような特性を有するように波形調整される。また、中間周波フィルタ７もインダクタンス１４とキャパシタンス１５との並列回路で構成され図９（ｂ）の特性４２に示すような通過特性を有するものであり、このような特性を有するように波形調整される。しかし、バンドパスフィルタ２と中間周波フィルタ７は直列に接続されているので、出力端子９から出力される出力波形は、図９（ｃ）の特性４３に示すような合成波形となり、この合成波形４３を観測しながらバンドパスフィルタ２を調整、即ち、図９（ａ）の特性４１に示すようにするには、中間周波フィルタ７の影響が出てしまいバンドパスフィルタ２の調整が困難であった。そこで、中間周波フィルタ７の両端１２と１３とをダンピング抵抗１６を有する接触ピン１７で短絡してダンピングし、中間周波フィルタ７の影響を除去した後、出力端子９から出力される出力波形を観測しながら前記バンドパスフィルタ２の調整を行っていた。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の構成では、接触ピン１７の長さやダンピング抵抗１６のバラツキ或いは接触ピン１７の接触抵抗等により、中間周波フィルタ７の影響が除去されきれず、結論として、調整素子であるバンドパスフィルタの調整誤差が生ずるものであった。
【０００６】
また、調整素子である中間周波フィルタ７においても同様に、バンドパスフィルタ２の影響のため中間周波フィルタ７の正確な調整ができなかった。
【０００７】
この発明は、このような問題点を解決するもので、複数の調整素子を有する高周波装置において、夫々の調整素子の調整誤差を少なくした高周波装置に用いられる集積回路を提供することを目的としたものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の高周波装置に用いられる集積回路は、高周波フィルタを介して一方の入力に供給されるとともに、他方の入力には局部発振器の出力信号が供給される混合器と、この混合器の出力信号が接続されるとともに中間周波フィルタが接続される第１、第２の中間周波フィルタ用端子と、これらの第１、第２の中間周波フィルタ用端子に接続される中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力信号が供給される出力端子と、前記局部発振器にループ接続されたＰＬＬ回路と、このＰＬＬ回路にデータを供給するデータ入力端子とを備え、前記混合器に平衡混合器を用い、この平衡混合器の出力間に前記中間周波フィルタを接続するための第１、第２の中間周波フィルタ用端子を設け、この第１、第２の中間周波フィルタ用端子間に、ダンピング抵抗を介して直列に電子スイッチを接続し、制御端子により前記電子スイッチを短絡することにより前記中間周波フィルタの通過特性を略平坦にするものである。
【０００９】
これにより、高周波フィルタの調整素子の調整誤差を少なくすることができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、高周波信号が高周波フィルタを介して一方の入力に供給されるとともに、他方の入力には局部発振器の出力信号が供給される混合器と、この混合器の出力信号が接続されるとともに第１、第２の中間周波数フィルタが接続される中間周波フィルタ用端子と、これらの第１、第２の中間周波フィルタ用端子に接続される中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力信号が供給される出力端子と、前記局部発振器にループ接続されたＰＬＬ回路と、このＰＬＬ回路にデータを供給するデータ入力端子とを備え、前記混合器に平衡混合器を用い、この平衡混合器の出力間に前記中間周波フィルタを接続するための第１、第２の中間周波フィルタ用端子を設け、この第１、第２の中間周波フィルタ用端子間に、ダンピング抵抗を介して直列に電子スイッチを接続し、制御端子により前記電子スイッチを短絡することにより前記中間周波フィルタの通過特性を略平坦にする高周波装置に用いられる集積回路であり、バンドパスフィルタには１セグメントのバンド幅を通過させるＳＡＷフィルタを用い、このＳＡＷフィルタの前後の少なくとも一方とグランド間にインダクタとコンデンサの直列回路で形成されるとともに隣接チャンネルから受ける妨害を除去するトラップフィルタを設けて通過帯域幅を狭くしているので、次段以降へ伝達される信号エネルギーは少なくなる。従って、歪みを低減することができる。また、次段以降への信号のパワーは少なくなるので、その分省電力化が図れる。従って、携帯機器等に使用すれば電池寿命を長くすることができる。
【００１１】
また、集積回路内に電子スイッチを設けているので、従来の接触ピンのように接触ピンの長さや接触抵抗等による不確定要素を含まず、調整素子の調整誤差の少ない高周波装置に用いられる集積回路を提供することができる。
【００１２】
更に、接触ピンを使う必要がないので、生産設備の簡略化が可能になるとともに、生産設備の低価格化が図れる。
【００１３】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【００１４】
（前程例１）
図１において、本発明の前程例となる高周波装置は、入力端子２１と、この入力端子２１に接続されたバンドパスフィルタ２２（高周波フィルタの一例として用いた）と、このバンドパスフィルタ２２の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には局部発振器２３の出力が接続された混合器２４と、この混合器２４の出力が接続された中間周波フィルタ２５と、この中間周波フィルタ２５の出力が接続された中間周波増幅器２６と、この中間周波増幅器２６の出力が接続された出力端子２７と、前記局部発振器２３にループ接続されたＰＬＬ回路２８と、このＰＬＬ回路２８に接続されたデータ入力端子２９と、前記中間周波フィルタ２５の近傍に配置されるとともにこの中間周波フィルタ２５の両端に接続された電子スイッチ３０と、この電子スイッチ３０の短絡或いは開放を制御する制御端子３１とを有したものである。
【００１５】
以上のように構成された高周波装置について以下にその動作を説明する。入力端子２１から入力された高周波信号はバンドパスフィルタ２２を通過する。このバンドパスフィルタ２２を通過した信号は、データ入力端子２９から入力された信号に従ってＰＬＬ回路２８で決定された局部発振器２３の出力信号と混合器２４で混合され、その和または差の周波数が出力される。すなわち、入力端子２１から入力された高周波信号は、データ入力端子２９から入力されたデータ信号に基づいて選局される訳である。この混合器２４の出力は中間周波フィルタ２５を通過することにより５４．２５ＭＨｚ〜５８．７５ＭＨｚの周波数帯に選択され次の中間周波増幅器２６で増幅されて出力端子２７から出力されるものである。
【００１６】
ここで、バンドパスフィルタ２２と中間周波フィルタ２５は、インダクタンスとキャパシタンスとで構成され夫々図９（ａ）の特性４１、或いは図９（ｂ）の特性４２に示すような通過特性を有するものである。従って、このような特性を有するように波形調整される。即ち、電子スイッチ３０を制御端子３１からの信号で短絡することにより、中間周波フィルタ２５の特性を４２ａに示すように平坦にさせて、バンドパスフィルタ２２の出力波形がそのまま通過特性４１になるように出力端子２７から観測しながらバンドパスフィルタ２２を調整する訳である。この調整が終了したら電子スイッチ３０は開放にしておく。このように、中間周波フィルタ２５の近傍に電子スイッチ３０を設けているので、従来の接続ピンのように不確定要素を含まず、バンドパスフィルタ２２の調整誤差の少ない高周波装置が提供できる。
【００１７】
（実施の形態１）
図２は実施の形態１における高周波装置のブロック図である。本実施の形態１における高周波装置は図２に示すように、高周波信号が入力される入力端子５１と、この入力端子５１に接続された広帯域のバンドパスフィルタ５２と、このバンドパスフィルタ５２の出力に接続された高周波増幅器５３と、この高周波増幅器５３の出力に接続された狭帯域のバンドパスフィルタ５４と、このバンドパスフィルタ５４の出力に接続された不平衡・平衡変換器５５と、この不平衡・平衡変換器５５の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には局部発振器５６の出力がバッファ５７を介して接続された平衡混合器５８と、この平衡混合器５８の両出力端子間に中間周波フィルタ用端子を介して接続された中間周波フィルタ５９と、この中間周波フィルタ５９を介して接続された平衡・不平衡変換器６０と、この平衡・不平衡変換器６０の出力に接続された出力端子６１と、前記局部発振器５６に接続されるとともにその発振周波数を制御する公知のＰＬＬ回路６２と、このＰＬＬ回路６２に局部発振周波数指定データを与えるデータ入力端子６３と、前記中間周波フィルタ５９の両端にダンピング抵抗６４（略５０オーム）を介して直列に電子スイッチ６５が接続されている。また、６６はこの電子スイッチ６５の制御端子である。
【００１８】
そして、不平衡・平衡変換器５５と局部発振器５６とバッファ５７と平衡混合器５８と平衡・不平衡変換器６０とダンピング抵抗６４と電子スイッチ６５とは第１の集積回路６７内に収納されている。また、ＰＬＬ回路６２は第２の集積回路６８内に収納されている。
【００１９】
図３は、ダンピング抵抗６４と電子スイッチ６５の回路図である。ここで、端子６９と７０は、前記中間周波フィルタ５９の両端に接続される。また、ダンピング抵抗６４は２分割された抵抗６４ａと６４ｂとで構成される。７１ａと７１ｂはダイオードであり、カソード側が共通に接続されており、この接続点とグランドとの間がトランジスタ７２で接続されている。また、６６は制御端子であり、抵抗７３を介してトランジスタ７２のベースに接続されている。７４はベース抵抗である。
【００２０】
以上のように構成された高周波装置について以下にその動作を説明する。入力端子５１から入力された高周波信号はバンドパスフィルタ５２を通過した後、高周波増幅器５３で増幅され、その後バンドパスフィルタ５４を通過する。このバンドパスフィルタ５４を通過した信号は、データ入力端子６３から入力された信号に従って、ＰＬＬ回路６２で決定された局部発振器５６の出力信号と平衡混合器５８で混合され、その和または差の周波数が出力される。すなわち、入力端子５１から入力された高周波信号は、データ入力端子６３から入力されたデータ信号に基づいて選局される訳である。この平衡混合器５８の出力は中間周波フィルタ５９を通過することにより５４．２５ＭＨｚ〜５８．７５ＭＨｚの周波数帯に選択され、次の平衡・不平衡変換器６０で不平衡出力に変換されて出力端子６１から出力されるものである。
【００２１】
ここで、バンドパスフィルタ５２と５４は共に高周波フィルタであり、インダクタンスとキャパシタンスの並列回路で構成され、夫々図４（ａ）の特性４４、図４（ｂ）の特性４５に示すような通過特性を有するものであり、このような特性を有するように波形調整される。また、中間周波フィルタ５９もインダクタンス７５（略１マイクロヘンリー）とキャパシタンス７６（略８ＰＦ）の並列接続で構成され、図４（ｃ）の特性４６に示すような通過特性を有するものである。従って、このような特性を有するように波形調整される。即ち、制御端子６６をハイレベルにすることにより、トランジスタ７２とダイオード７１ａとダイオード７１ｂがオンして、中間周波フィルタ５９の両端がダンピング抵抗６４ａと６４ｂでダンピングさせる。このようにして、中間周波フィルタ５９の影響をほとんど無視できる程度、即ち図９（ｂ）の特性４２ｂに示すように小さくして、バンドパスフィルタ５２と５４の調整を行う。
【００２２】
（実施の形態２）
図５は、本発明の実施の形態２である。実施の形態１と異なるところは、実施の形態１における第１の集積回路６７と第２の集積回路６８とを一つの集積回路８０に集積したことである。このことにより、電子スイッチ６５の制御信号のための信号をデータ制御端子６３から得られるので、集積回路８０に電子スイッチ６５の制御端子６６を特別に設ける必要がない。また、電子スイッチ６５の制御は、データ入力端子６３からの信号で行うことができるので、検査用の接触ピンが不要となり、接触ピンによる接触不良がなくなる。更に、接触ピンが不要になることから、検査治具が小型化できるとともに低価格化を図ることができる。
【００２３】
（実施の形態３）
図６は、本発明の実施の形態３である。実施の形態３は、電子スイッチ８１の近傍に調整素子８２との並列接続体を入力８３と出力８４との間にバッファ８５を介して３個直列接続し、前記電子スイッチ８１の短絡或いは開放を制御端子８６からの信号で外部から制御する高周波装置であり、一つの調整素子８２に並列接続された電子スイッチ８１のみ開放にして他の調整素子８２ａと８２ｂに並列接続された電子スイッチ８１ａと８１ｂを短絡することにより、調整素子８２を調整することができる。また、この操作を順次実行することにより、他の調整素子８２ａと８２ｂの調整ができる。なお、少なくとも電子スイッチ８１，８１ａ，８１ｂとバッファ８５，８５ａは一つの集積回路に集積することができる。
【００２４】
（実施の形態４）
図７は、本発明の実施の形態４である。実施の形態４は、電子スイッチ９１の近傍に調整素子９２との直列接続体を入力９３と出力９４との間に３個並列接続し、前記電子スイッチ９１の短絡或いは開放を制御端子９５からの信号で外部から制御する高周波装置であり、一つの調整素子９２に直列接続された電子スイッチ９１のみ短絡して他の調整素子９２ａと９２ｂに直列接続された電子スイッチ９１ａと９１ｂを全て開放することにより、調整素子９２を調整することができる。また、この操作を順次実行することにより、他の調整素子９２ａと９２ｂの調整ができる。なお、少なくとも電子スイッチ９１，９１ａ，９１ｂは一つの集積回路に集積することができる。
【００２５】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、混合器に平衡混合器を用い、この平衡混合器の出力間に前記中間周波フィルタを接続するための前記第１、第２の中間周波フィルタ用端子を設け、この第１、第２の中間周波フィルタ用端子間に、ダンピング抵抗を介して直列に電子スイッチを接続し、制御端子により前記電子スイッチを短絡することにより前記中間周波フィルタの通過特性を略平坦にするものであり、混合器に平衡混合器を用いているので、外部ノイズに対して優れているとともに集積回路に適したものである。
【００２６】
また、この平衡混合器の出力間にダンピング抵抗を介して短絡することにより、中間周波フィルタの影響を少なくして、高周波フィルタの調整を行うことができるので、高周波フィルタの調整誤差の少ない高周波装置に用いられる集積回路を提供することができる。
【００２７】
また、集積回路内に電子スイッチを設けているので、従来の接触ピンのように接触ピンの長さや接触抵抗等による不確定要素を含まず、調整素子の調整誤差の少なくできる。
【００２８】
更に、接触ピンを使う必要がないので、生産設備の簡略化が可能になるとともに、生産設備の低価格化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の前程例となる高周波装置のブロック図
【図２】 本発明の実施の形態１における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図３】 同、要部回路図
【図４】 （ａ）は、同、要部回路である広帯域バンドパスフィルタの特性曲線図
（ｂ）は、同、要部回路である狭帯域バンドパスフィルタの特性曲線図
（ｃ）は、同、要部回路である中間周波フィルタの特性曲線図
【図５】 本発明の実施の形態２における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図６】 本発明の実施の形態３における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図７】 本発明の実施の形態４における集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図８】 従来の集積回路を用いた高周波装置のブロック図
【図９】 （ａ）は、同、要部回路であるバンドパスフィルタの特性曲線図
（ｂ）は、同、要部回路である中間周波フィルタの特性曲線図
（ｃ）は、同、合成出力波形の特性曲線図
【符号の説明】
５４ 高周波フィルタ
５５ 混合器
５６ 局部発振器
５９ 中間周波フィルタ
６２ ＰＬＬ回路
６３ データ入力端子
６５ 電子スイッチ
８０ 集積回路
Claims (1)
- 高周波信号が高周波フィルタを介して一方の入力に供給されるとともに、他方の入力には局部発振器の出力信号が供給される混合器と、この混合器の出力信号が接続されるとともに中間周波フィルタが接続される第１、第２の中間周波フィルタ用端子と、これらの第１、第２の中間周波フィルタ用端子に接続される中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力信号が供給される出力端子と、前記局部発振器にループ接続されたＰＬＬ回路と、このＰＬＬ回路にデータを供給するデータ入力端子とを備え、前記混合器に平衡混合器を用い、この平衡混合器の出力間に前記中間周波フィルタを接続するための前記第１、第２の中間周波フィルタ用端子を設け、この第１、第２の中間周波フィルタ用端子間に、ダンピング抵抗を介して直列に電子スイッチを接続し、制御端子により前記電子スイッチを短絡することにより前記中間周波フィルタの通過特性を略平坦にする高周波装置に用いられる集積回路。
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