JP3781905B2 - 車両挙動検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の挙動を制御する装置などに適用され、車両の挙動、特に、スリップ角を検出する車両挙動検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の挙動に応じて、各車輪の制動力や駆動力を最適制御して、過オーバステアによるスピンや過アンダステアによる操縦性の低下を防止して車両の走行を安定させる制御が実行されている。このような制御を実行するには、車両挙動を正確に遅れなく検出することが必要であり、特に、車両のスリップ角βを遅滞なく高い精度で検出することが望まれている。
【0003】
従来、上述のスリップ角βを含む車両挙動を検出する装置として、例えば、特開平5−208608号公報に記載の装置が知られている。
この従来技術は、自動車の、横方向加速度やヨー速度や姿勢角やスリップ角やサイドフォースなどの運動変数を決定する技術であって、タイヤのスティフネス(単位スリップ角あたりのサイドフォース)を予め2種与えておき、2種のフィルタ対の出力差からスティフネスを再帰計算して、上記スリップ角などの運動変数を推定するよう構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術では、スリップ角を推定するにあたり、スティフネスを予め与えておいて、そこから再帰計算を行って推定するようにしているため、路面摩擦係数(以下、路面μという)の変化などにより、スティフネスが予め与えられていた値と大きく異なる場合、評価値の差からスティフネスを得るのに時間がかかり、推定誤差が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、検出時間の短縮ならびに検出精度の向上を図ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本願発明者は、オブザーバ(車両モデル)型式を用いて車両挙動を検出することとした。すなわち、車両の挙動は、図2に示す数式で近似させることができる。なお、式において、dψ/dtヨー速度、Vyは横方向速度、δはタイヤ転動角である。
【0007】
そこで、この車両と同じモデルであるオブザーバを設け、実際の車両におけるヨー速度の検出値とオブザーバの出力とを比較し、さらに、この比較結果をフィードバックすることにより車両挙動を検出することができる。
【0008】
ここで、図2に示す数式におけるa11〜a22およびb11,b21は、下記のように求めることができる。
a11=(1/(IZ・VX))(Kf・Lf2 +Kr・Lr2 )
a12=(1/(IZ・VX))(Kf・Lf−Kr・Lr)
a21=(1/(W・VX))(Kf・Lf−Kr・Lr)−VX
a22=(1/(W・VX))(Kf+Kr)
b11=(−1/IZ)Kf・Lf
b21=(−1/W)Kf
なお、Vx:前後方向速度、IZ:車両ヨー慣性モーメント、Kf:前輪タイヤスティフネス、Kr:後輪タイヤスティフネス、Lf:前輪車軸と重心との距離、Lr:後輪車軸と重心との距離、W:車重である。
【0009】
以上の関係から、図2のオブザーバ型式により横方向速度Vyを推定するのであるが、この時、タイヤスティフネスKf,Kr以外は、既知あるいは検出可能な値であるのに対し、タイヤスティフネスKf,Krは、図3に示すように、非線形の特性であり、かつ、路面μ(路面摩擦係数)により変化する。
【0010】
そこで、本願発明者は、車両挙動を正確に検出するには、これらタイヤスティフネスKf,Krを正確に推定する必要があると考え、これらタイヤスティフネスKf,Krを、タイヤに発生するサイドフォースと、現時点でのタイヤスリップ角とに基づいて、図4に示すように、仮想的に常時計算し、オブザーバにより横方向速度Vyを求め、スリップ角β=Vy/Vxを推定することとした。
【0011】
すなわち、本願請求項1記載の発明は、図1のクレーム対応図に示すように、車両のタイヤの転動角を検出する操舵角センサaと、車両の横方向加速度を検出する横加速度センサbと、車両の重心回りのヨー速度を検出するヨーレイトセンサcと、所定の演算周期にて各センサa,b,cからの入力に基づいて、車両進行方向と車両の前後方向とが成す角度である車両のスリップ角を推定するスリップ角推定手段dと、を備えた車両挙動検出装置において、前記スリップ角推定手段dには、検出したヨー速度および横方向加速度に基づいて、前後輪のタイヤで発生しているサイドフォースを推定するサイドフォース推定手段eと、前後各サイドフォース推定値とその時点での各タイヤスリップ角との除算によりタイヤスティフネスを推定するタイヤスティフネス推定手段fと、が設けられ、前記スリップ角推定手段dが、前回の最終スティフネス推定値と今回のタイヤスティフネス推定値とに基づいて今回の最終スティフネス推定値を求め、この最終スティフネス推定値に基づいてタイヤの横方向速度推定値を求め、前回の横方向速度推定値に今回の横方向速度微分値を積算し、この積算値に、さらにヨー速度の検出値と推定値との差に基づいて形成したフィードバック誤差値を積算して今回の横方向速度推定値を求めるとともに、今回の横方向速度推定値を前後方向速度により除算してスリップ角を演算するよう構成されていることを特徴とする。なお、タイヤスティフネスとは、単位スリップ角あたりのサイドフォースのことを言う。
【0012】
本発明では、サイドフォース推定手段eにより前後輪のサイドフォースを推定し、さらに、サイドフォースに基づいてタイヤスティフネス推定手段fにより常時タイヤスティフネスを推定し、このタイヤスティフネスに基づいてスリップ角を推定する。したがって、路面μなどの変化に即座に対応して高い精度でタイヤスティフネスを求め、精度の高いスリップ角を得ることができる。
【0013】
なお、請求項2に記載のように、請求項1記載の車両挙動検出装置において、前記スリップ角推定手段dは、タイヤの横方向速度推定値を前後速度により除算してスリップ角を演算するよう構成されているとともに、前回の最終スティフネス推定値と今回のタイヤスティフネス推定値とに基づいて今回の最終スティフネス推定値を求め、この最終スティフネス推定値に基づいて横方向速度推定値を求めるよう構成してもよい。
【0014】
また、請求項3に記載のように、請求項2記載の車両挙動検出装置において、前記スリップ角推定手段dは、横方向速度推定値を求めるにあたり、前回の横方向速度推定値に今回の横方向速度微分値を積算し、この積算値に、さらにヨー速度の検出値と推定値との差に基づいて形成したフィードバック誤差値を積算して求めるよう構成してもよい。
【0018】
また、本願請求項2記載の発明は、車両のタイヤの転動角を検出する操舵角センサaと、車両の横方向加速度を検出する横加速度センサbと、車両の重心回りのヨー速度を検出するヨーレイトセンサcと、所定の演算周期にて各センサa,b,cからの入力に基づいて、車両進行方向と車両の前後方向とが成す角度である車両のスリップ角を推定するスリップ角推定手段dと、を備えた車両挙動検出装置において、前記スリップ角推定手段dには、検出したヨー速度および横方向加速度に基づいて、前後輪のタイヤで発生しているサイドフォースを推定するサイドフォース推定手段eと、前後各サイドフォース推定値とその時点での各タイヤスリップ角との除算によりタイヤスティフネスを推定するタイヤスティフネス推定手段fと、が設けられ、前記タイヤスティフネス推定手段fは、大小2種類の時定数を有し、前記タイヤ転動角が所定値以上でありかつ前記前記サイドフォース推定値が所定値以上の場合には、予め設定された所定時間分だけ小さい方の時定数を選択し、前記タイヤスティフネスに対してローパスフィルタ処理を行うように構成され、前記スリップ角推定手段dが、タイヤスティフネス推定値の前回値に基づいて今回の演算周期におけるスリップ角を推定するよう構成されていることを特徴とする。
【0019】
したがって、操舵角(タイヤ転動角)が大きい場合には、小さい時定数が選択されて、スティフネスの収束速度が速くなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図5は全請求項記載の発明の実施の形態の車両挙動検出装置を示す構成図であって、1〜4は車輪の回転速度を検出する車輪速度センサであり、例えば、ピックアップコイルなどを使用し、車輪の回転速度に応じた周波数信号を出力するよう構成されている。
【0021】
図中5はタイヤ転動角を検出する操舵角センサで、例えば、フォトトランジスタなどにより舵角速度に応じた周波数信号を出力し、これを積分処理することで舵角の検出を行う。
【0022】
6はヨー速度センサであり、例えば、音叉型の歪みゲージなどによりコリオリ力を受け、ヨー速度の検出を行う。
【0023】
7は横加速度(以下、横Gという)センサ、8は前後加速度(以下、前後Gという)センサであり、例えば片持梁型の歪みゲージなどにより、それぞれ横力、前後力を受け、横加速度、前後加速度の検出を行う。
【0024】
9は演算装置であり、上記各センサ1〜8の各信号を受け、各種の演算処理を行い、車両挙動の検出を行う。
【0025】
次に、図6〜図8のフローチャートにより演算装置9における挙動検出について説明する。
ステップ10では、操舵角センサ5からの信号に基づいてタイヤ転動角δを検出し、次のステップ20では、横Gセンサ7によって検出された横加速度YGを算出し、続くステップ30では、ヨーレイトセンサ6によって検出されたヨー速度YAWを検出する。
【0026】
続くステップ40では、車輪速度センサ1〜4によって検出された各車輪の車輪速度VWを検出し、ステップ50において、この車輪速度VWに基づいて、車体速度VXの算出を行う。なお、この車体速度VXは、例えば、4輪の車輪速度VWのセレクトハイ信号にリミッタをかける(加減速度などに基づく上制限値・下限値を与える)などの処理により求める。
【0027】
続くステップ60では、ステップ30で検出したヨー速度YAWの1階差分値に基づいてヨー加速度DYAWの算出を行う。
【0028】
続くステップ70およびステップ80は、前後輪にかかるサイドフォースSFF・SFRの算出を行うもので、請求の範囲のサイドフォース推定手段に相当するものである。これは、図9に示すように、Lf,Lrをそれぞれ前輪車軸と重心との距離、後輪車軸と重心との距離とし、さらに、IZ:車両ヨー慣性モーメント、DYAW:ヨー加速度とした場合に、成り立つ下記の2式
W・YG=SFF+SFR
IZ・DYAW=Lf・SFF−Lr・SFR
を変形して、
SFR=[Lf/(Lf+Lr)][W・YG−(IZ/Lf)・DYAW]
SFF=W・YG−SFR
となり、ここで、
W=Kyg、Lf/(Lf+Lr)=Ksf、IZ/Lf=Kyawとして横GYGおよびヨー加速度DYAWに基づいて各ステップに示す
SFR=(YG・Kyg−DYAW・Kyaw)・Ksf
SFF=−SFR+YG・Kyg
の2式に基づいてサイドフォースSFF,SFRの算出を行う。
【0029】
次にステップ90〜120において前輪タイヤスティフネスKCPFPの推定を、ステップ130〜160において後輪タイヤスティフネスKCPRPの推定を行うもので、このような処理を行う部分が、請求の範囲のタイヤスティフネス推定手段に相当する。
【0030】
まず、ステップ90,100および130,140において、スティフネス算出許可判断を行う。各タイヤスティフネスKCPFP,KCPRPは、それぞれサイドフォース/タイヤスリップ角で算出されるものであるが、この時、ステップ70,80で算出したサイドフォースSFF,SFRが小さかったり、後述するタイヤスリップ角βf,βrが小さかったりして、検出誤差が生じるとスティフネス推定誤差が大きくなる。このため、サイドフォースSFF,SFRおよびスリップ角βf,βrが、それぞれ予め定めた対応する所定値SFFKCPI,SFRKCPI,SFFBT,SFRBTよりも小さい場合には、ステップ120,160に進み、予め定めた固定値KCPFI,KCPRIをタイヤスティフネスとし、それ以外の場合は、ステップ110,150において、KCPFP=SFF/βf,KCPRP=SFR/βrにより算出する。なお、このようにサイドフォースSFF,SFRおよびスリップ角βf,βrが、それぞれ予め定めた対応する所定値SFFKCPI,SFRKCPI,SFFBT,SFRBTよりも小さい場合に、タイヤスティフネスを予め定めた固定値KCPFI,KCPRIとする処理が、請求項5記載の発明に対応している。
【0031】
次に、ステップ170に進み、このステップ170〜360において、スティフネスのフィルタ係数を決定するためのフラグのセット/クリアを行う。
まず、ステップ170〜210が前輪タイヤスティフネスのフィルタを軽くする処理を行うもので、まず、ステップ170において、タイヤ転動角δが予め定められた値KCPSTRよりも大きく、かつ次のステップ180において前輪サイドフォースSFFが所定値SFFKCP2よりも大きい場合、操舵によりスリップ角βが大きく変化する可能性があり、この場合、スティフネスのフィルタ時定数を小さくして応答性を向上させ、スリップ角βの精度を向上させる必要があるため、ステップ200において、フィルタ係数切替フラグFSFFを1にセットする。逆に、タイヤ転動角δおよびサイドフォースSFFが所定値KCPSTR,SFFKCP2以下の場合は、スティフネス変化は小さいために、安定性を優先してフィルタ時定数を大きくすることとして、ステップ190あるいは210において、フィルタ係数切替フラグFSFFを0にクリアする。
【0032】
ステップ220〜240では、後輪について上述のタイヤスティフネスのフィルタを軽くする処理を行い、すなわち後輪側のフィルタ係数切替フラグFSFRのセット/クリアを行う。
【0033】
続くステップ250〜360は、各切替フラグFSFF,FSFRに基づいてフィルタ時定数切替カウンタのセット/デクリメントを行う演算部であり、転動角度が大きい時に、所定時間だけタイヤスティフネスのフィルタを軽くすることを目的としている。
【0034】
まず、ステップ250,260において、フィルタ係数切替フラグFSFFの立ち上がりエッジの検出を行い、FSFF=1となった瞬間、ステップ270において、フィルタ時定数切替カウンタCSFFを予め定めた所定値TSFFにセットし、それ以外の時、ステップ280〜300において、カウンタ値CSFFを1つづつCSFF=0となるまでデクリメントを行っている。これにより所定時間を設定する。また、ステップ310〜360では、後輪について同様の処理を行っている。
【0035】
ステップ370〜430は、最終スティフネスKCPF,KCPRを算出する処理部であり、ステップ370においてフィルタ時定数切替カウンタCSFFが0以上である場合、つまりタイヤ転動角δがKCPSTR以上、かつ、前輪サイドフォースSFFがSFFKCP2となってからTSFF時間内の場合、ステップ380に進んでフィルタ時定数SFFTAUを小さい時定数SFFTAUHに設定し、それ以外の場合、ステップ390に進んで大きい時定数SFFTAULを設定し、ステップ430において、このフィルタ時定数を用いて最終スティフネスKCPFを求めることで、転舵時のスティフネス演算の収束速度を上げ、前輪スリップ角βfの検出精度の向上を図っている。なお、ステップ400〜420では、後輪について同様の処理を行うものである。また、ステップ170〜430の時定数を設定してスティフネスを求める処理が請求項6記載の発明に対応している。
【0036】
次に、ステップ440では、既に決定された最終スティフネスKCPF,KCPRに基づいてシステムゲインGA11〜GA22,GB11,GB21の決定を行う。これらのシステムゲインは、前述図2のシステム方程式により、車両諸元等により決定し、以下の数式1に基づいて定めている。
【数式1】
GA11=(1/(IZ・VX))(KCPF・Lf2 +KCPR・Lr2 )
GA12=(1/(IZ・VX))(KCPF・Lf−KCPR・Lr)
GA21=(1/(W・VX))(KCPF・Lf−KCPR・Lr)−VX
GA22=(1/(W・VX))(KCPF+KCPR)
GB11=(−1/IZ)KCPF・Lf
GB21=(−1/W)KCPF
次に、ステップ450では、ヨー加速度推定値SDYAWおよび横G推定値SDVyを算出し、ステップ460でこれを積分することでヨーレイト推定値SYAWおよび横速度推定値SVyを得る。
【0037】
次にステップ470では、誤差フィードバック分を求めるため、ヨー速度センサ6で検出されたヨー速度YAWとヨー速度推定値SYAWとの差分に予め定めたフィードバックゲインGH11,GH21を掛けている。これを次回演算時のステップ460での積分に加えることで、横速度推定値SVyの誤差フィードバックを行っている。
【0038】
次に、ステップ480では、横速度推定値SVyと車体速度VXの除算により車体のスリップ角βおよび前輪タイヤスリップ角βf,後輪タイヤスリップ角βrの算出を行う。
【0039】
本実施の形態では、以上のようにして、車体のスリップ角βおよび前輪タイヤスリップ角βf,後輪タイヤスリップ角βrを求める。このように、推定サイドフォースSFF,SFRとスリップ角βとに基づいて各タイヤスティフネスKCPFP,KCPRP常時演算し、さらに、これに基づくオブザーバにより横速度推定値SVyを求めていることにより、精度を高くスリップ角βを推定することができるという効果を奏する。
【0040】
さらに、この推定にあたり、サイドフォースSFF,SFRの値が予め設定した値SFFKCP,SFRKCPよりも小さい場合には、各輪スティフネスKCPFP,KCPRPを固定するようにしているため、検出誤差によりその後の推定値の誤差が大きくなるのを防止して、オブザーバの安定性を確保することができるという効果を奏する。
【0041】
加えて、舵角が大きくきられた時には、スティフネスを算出するローパスフィルタの時定数を小さくすることにより、スティフネスの収束速度を高めるよう構成したため、スリップ角推定精度が向上するという効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明してきたように請求項1記載の発明は、操舵角センサa,横加速度センサb,ヨーレイトセンサcからの入力に基づいて、車両進行方向と車両の前後方向とが成す角度である車両のスリップ角を推定するスリップ角推定手段dに、検出したヨー速度および横方向加速度に基づいて、前後輪のタイヤで発生しているサイドフォースを推定するサイドフォース推定手段eと、前後各サイドフォース推定値とその時点での各タイヤスリップ角との除算によりタイヤスティフネスを推定するタイヤスティフネス推定手段fと、を設け、スリップ角推定手段dが、前回の最終スティフネス推定値と今回のタイヤスティフネス推定値とに基づいて今回の最終スティフネス推定値を求め、この最終スティフネス推定値に基づいてタイヤの横方向速度推定値を求め、前回の横方向速度推定値に今回の横方向速度微分値を積算し、この積算値に、さらにヨー速度の検出値と推定値との差に基づいて形成したフィードバック誤差値を積算して今回の横方向速度推定値を求めるとともに、今回の横方向速度推定値を前後方向速度により除算してスリップ角を演算するよう構成したため、路面μなどの変化に即座に対応して高い精度でタイヤスティフネスを求め、精度の高いスリップ角を得ることができるという効果が得られる。
【0044】
また、請求項2記載の発明では、車両のタイヤの転動角を検出する操舵角センサaと、車両の横方向加速度を検出する横加速度センサbと、車両の重心回りのヨー速度を検出するヨーレイトセンサcと、所定の演算周期にて各センサa,b,cからの入力に基づいて、車両進行方向と車両の前後方向とが成す角度である車両のスリップ角を推定するスリップ角推定手段dと、を備えた車両挙動検出装置において、前記スリップ角推定手段dには、検出したヨー速度および横方向加速度に基づいて、前後輪のタイヤで発生しているサイドフォースを推定するサイドフォース推定手段eと、前後各サイドフォース推定値とその時点での各タイヤスリップ角との除算によりタイヤスティフネスを推定するタイヤスティフネス推定手段fと、を設け、タイヤスティフネス推定手段fを、大小2種類の時定数を有し、タイヤ転動角が所定値以上でありかつ前記サイドフォース推定値が所定値以上の場合には、予め設定された所定時間分だけ小さい方の時定数を選択し、タイヤスティフネスに対してローパスフィルタ処理を行うように構成し、前記スリップ角推定手段dが、タイヤスティフネス推定値の前回値に基づいて今回の演算周期におけるスリップ角を推定するよう構成したため、操舵角(タイヤ転動角)が大きい場合には、小さい時定数が選択されて、スティフネスの収束速度が速くなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両挙動検出装置を示すクレーム対応図である。
【図2】本発明の説明図である。
【図3】サイドフォースとスリップ角の関係を示す図である。
【図4】本発明の推定値の説明図である。
【図5】実施の形態の車両挙動検出装置の全体図である。
【図6】実施の形態のスリップ角検出の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態のスリップ角検出の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態のスリップ角検出の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態の説明図である。
【符号の説明】
a 操舵角センサ
b 横加速度センサ
c ヨーレイトセンサ
d スリップ角推定手段
e サイドフォース推定手段
f タイヤスティフネス推定手段
1 車輪速度センサ
2 車輪速度センサ
3 車輪速度センサ
4 車輪速度センサ
5 操舵角センサ
6 ヨー速度センサ
7 横加速度センサ
8 前後加速度センサ
9 演算装置
Claims (2)
- 車両のタイヤの転動角を検出する操舵角センサと、
車両の横方向加速度を検出する横加速度センサと、
車両の重心回りのヨー速度を検出するヨーレイトセンサと、
所定の演算周期にて各センサからの入力に基づいて、車両進行方向と車両の前後方向とが成す角度である車両のスリップ角を推定するスリップ角推定手段と、
を備えた車両挙動検出装置において、
前記スリップ角推定手段には、検出したヨー速度および横方向加速度に基づいて、前後輪のタイヤで発生しているサイドフォースを推定するサイドフォース推定手段と、前後各サイドフォース推定値とその時点での各タイヤスリップ角との除算によりタイヤスティフネスを推定するタイヤスティフネス推定手段と、が設けられ、
前記スリップ角推定手段が、
前回の最終スティフネス推定値と今回のタイヤスティフネス推定値とに基づいて今回の最終スティフネス推定値を求め、この最終スティフネス推定値に基づいてタイヤの横方向速度推定値を求め、
前回の横方向速度推定値に今回の横方向速度微分値を積算し、この積算値に、さらにヨー速度の検出値と推定値との差に基づいて形成したフィードバック誤差値を積算して今回の横方向速度推定値を求めるとともに、
今回の横方向速度推定値を前後方向速度により除算してスリップ角を演算するよう構成されていることを特徴とする車両挙動検出装置。 - 車両のタイヤの転動角を検出する操舵角センサと、
車両の横方向加速度を検出する横加速度センサと、
車両の重心回りのヨー速度を検出するヨーレイトセンサと、
所定の演算周期にて各センサからの入力に基づいて、車両進行方向と車両の前後方向とが成す角度である車両のスリップ角を推定するスリップ角推定手段と、
を備えた車両挙動検出装置において、
前記スリップ角推定手段には、検出したヨー速度および横方向加速度に基づいて、前後輪のタイヤで発生しているサイドフォースを推定するサイドフォース推定手段と、前後各サイドフォース推定値とその時点での各タイヤスリップ角との除算によりタイヤスティフネスを推定するタイヤスティフネス推定手段と、が設けられ、
前記タイヤスティフネス推定手段は、大小2種類の時定数を有し、前記タイヤ転動角が所定値以上でありかつ前記サイドフォース推定値が所定値以上の場合には、予め設定された所定時間分だけ小さい方の時定数を選択し、前記タイヤスティフネスに対してローパスフィルタ処理を行うよう構成され、
前記スリップ角推定手段が、タイヤスティフネス推定値の前回値に基づいて今回の演算周期におけるスリップ角を推定するよう構成されていることを特徴とする車両挙動検出装置。
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